IS-Lost Boy-   作:reizen

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本当は、ずっと前からリンク切りを使いたかったんです! 使ってみたかったんです!

これで心置きなく、周りからの非難を気にせず書ける!



推奨BGM:永世のクレイドル(SDガンダムジージェネレーション ジェネシス)


第3章 海上のガードファイト
ep.27 そろそろ認めてくださいな


 英中代表候補生、それと篠ノ之さんに懲罰用トレーニングと謹慎が命じられた翌日。僕は朝早くから学園長室に呼ばれていた。一応、応対室はあるようだけど、僕らは学園長の机を挟んでいる。

 

「おはようございます」

「おはようございます。早速ですが、本題に入らせていただきます」

 

 さっきシャワーを浴びて、寝る前にメールが入っていたから急いで来たけど……学園長はもうこの時間に起きていたのか。

 

「昨日、ドイツのとある方から時雨君が開発した武装を買いたいという方が現れました」

「え? 本当ですか!?」

「作成先は学園の専門部署で行い、時雨君のチェックが済み次第に搬入を行う方式を取りたいと思います。開発者が生徒の場合、こういう形を取らせていただいていますので、ご了承ください。先方には既に連絡済みです」

「わかりました。そのチェックは布仏先輩にも立ち会ってもらっても良いですか?」

「向こうがよろしければ。それと―――」

 

 引き出しを開けた学園長は、中から金庫のようなものを出した。

 

「これは?」

「IS学園が生徒1人1人に専用メモリーカートリッジを配布しているのは知っていますね?」

 

 その質問に僕は頷く。

 

「これはそれの一般向け用です」

 

 そう言って学園長は蓋を開ける。中には10本のカートリッジが入っていた。

 

「………えっと」

「ちなみに、今回はこれが優勝賞品です」

「どうして僕に?」

「今回は事実上、2名が失格であなたと織斑君の一騎打ちと言っても過言ではありませんでした。しかしあなたはほとんど独力で2名を撃墜。また、1名を救って自分も無事帰還を果たしました。その功績を称えて今大会は特別にMVP賞を用意させていただき、時雨君が該当した、ということです」

 

 …とりあえず落ち着いて。

 確かこれって前にボーデヴィッヒさんが言っていた奴だよね? 確か個人のデータが入れられているって話の。

 僕は一度冷静になり、自分の頬をつねる。言うまでもなく痛い。

 

「つ、つまりこの大容量メモリーは、すべて僕の……あ、ボーデヴィッヒさんのもありますよね」

「いえ。すべてあなたの物です」

 

 もう一度僕は自分の頬をつねった。

 

「どうやら僕の身体は少し起きているようですね」

「落ち着きなさい。すべて現実です」

「そんな馬鹿な!? 私は周りに嫌われているんですよ?! なのにこんな良いこと尽くめだなんて……」

「いえ、むしろ今までが異常なのですが……普通、機体改造の許可だって最初から下りてしかるべきだったのですが……」

 

 え? そうなんですか……? いやまぁ、そうなのかもしれないけれど……。

 

「もしかしてこれは罠だったりするんですか!? 女権団の陰謀?!」

「ともかく落ち着きなさい。陰謀も何もありませんから」

 

 そう言われて、僕は渋々納得することにした。

 

「あと、アキに頼んであなたの口座に賠償金を振り込んでおきました」

「……へ? 賠償……金?」

「今回の騒動での件ですよ。あと、フランスからは謝礼金も含まれているそうですが、これも受け取ってください」

 

 今度は何だろう。いや、もう驚かないぞ。

 そう決意した僕は額縁に入った紙を読むと、

 

「……えっと、ラファール・リヴァイヴ作成許可書?」

「言うなればライセンスですね。同時にこれからは自由に改造して良いですよ。後、これにもサインをお願いします」

 

 そう言って出された紙を見ると、公欠届と書かれていた。

 

「こちらのチェックもありますが、そろそろ校外学習でしょう? それまでに機体を一新するというのも1つの手かと思いますが?」

 

 そう言われて僕は、内容をすぐに確認してサインした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。1年1組の教室では4つの席が空席になっていた。

 そんなことを気にしていないのか、それとも敢えて誰も考えないのか黙っていた。

 

「今日は通常授業の日だ。IS学園生とはいえお前たちの扱いは高校生だ。赤点など取ってくれるなよ」

 

 ちなみに、4つの席に加えて本来いるべき人物の姿がない。

 

「それと、来週から始まる校外学習だが、全員忘れ物などするなよ。3日間だけだが学園を離れることになる。自由時間では羽目を外しすぎないように」

「あの、織斑先生。今日は山田先生はお休みですか? ……それと、時雨君と布仏さんもいませんが」

 

 話し終わったとみた鷹月静寐が挙手し、質問する。千冬は少し言いにくそうにして答えた。

 

「山田先生は校外実習の現場視察に行ったため不在だ。それと時雨と布仏は……時雨の機体を改修している」

「……はい?」

「ちょっと待ってください。それってつまり時雨に専用機が渡されるってことですか?」

 

 別の生徒が挙手してそう尋ねると、内心ため息を吐きながら千冬は答えた。

 

「そうだ。時雨の実力は皆もよく知っているだろう。専用機と組み、ブースターが壊れるというアクシデントに見舞われながらも専用機持ちを2機も撃墜しているんだ。むしろ当然と言っていい」

 

 その言葉にまた別の生徒が挙手した。

 

「でも、時雨君だけで機体は完成しないと思いますけど」

「そのための布仏姉妹だ。つい先日、時雨の機体改造制限が解除された。校外学習に間に合わせるつもりだが、最悪の場合は辞退するそうだ」

「えー、そんなー」

 

 どこからともなくそんな声が上がる。

 

「時雨だけズルいわよ! 布仏さんを独占して!」

「しかも姉妹ってことは、あの有名な布仏先輩とも作業しているってことでしょ!?」

「うらやましい。……この憎しみであの男を葬ることができたらどれだけいいか……!」

 

 布仏本音は人気者である。本人は気付いていないが密かにその癒し属性はみんなが憧れている。また、6月中旬からは少し早いプールも始まっており、普段はわからない豊満なボディも魅力の一つだった。

 

「とか言って、あの2人実はできてんじゃないの?」

「同居しているし、実はもう凄いことをしてんじゃない?」

 

 一部女尊男卑派の生徒がそう言い始めるが、誰も相手にしない。何故なら智久に限ってそれはないとよく理解しているからだ。

 

「いや、ここは智×虚(トモウツ)でしょ。内に秘めた野生で解放し、先輩を手籠めにしていくのよ」

「野生ショタ智久。アリね」

 

 そしてこの人たちは本当にごく一部の存在だ。元々彼女らは男同士の絡みが好きな生徒たちだったが、一夏と智久が険悪になったこと、さらにシャルルが実は女の子だったことで完全に彼女らの興味が失せてしまったのだ。

 しかしそれでは次のイベント抽選に間に合わないと思い、新ジャンルを開拓しているのである。おそらく智久に聞かれたら心から引かれるほどだ。

 そんなある意味いつも通りの教室だが、ラウラは盛大にため息を吐いていた。

 

(……暇だ)

 

 彼女は以前のように姿勢正しくHRも受けていたが、周りは臨海学校が近いこともあってお祭りモードの周りとは相容れないため、孤独である自分の現状をつまらないと感じていた。

 本当なら友人として自分も手伝いに行きたいとは思う彼女だが、残念ながらIS関係となると自分が関わることは難しいと思ったからだ。

 今、更識の人間だが智久に味方する虚や本音ならば表的には無所属なので手を貸すこともできる。もっとも、その分楯無の負担が増えるが、それは今更だろう。

 

「下らん話で盛り上がるな。話は以上だ」

 

 そう言って強引に閉める千冬。だが彼女は先程の言葉に内心ため息を吐いた。

 

(こんな風じゃない……私は……本当の意味で教師になりたいんだ……)

 

 そんな、誰にも言えない悩みを抱えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が下見から帰ってきた頃でしょうか、先輩は少し変わっている気がしました。

 なんというか、態度が少し軟化した……とでも言いますか。生徒と積極的に交流を深めようとしているのです。特に顕著になったのは、時雨君との接し方でしょうか。早朝はトレーニング後でしょうか、玄関前で会話をしているのを見かけました。……時雨君には物凄く敬遠されていましたが。

 

「一体、何を考えているんですか? 弟君にデータを横流ししろとでも言うのですか? あんな馬鹿に関わる気はないので放っておいてください!」

 

 ……それにしても、時雨君は凄いですね。あの織斑先生にきつく当たれる人なんて学園でもそういません。やはりモンド・グロッソ優勝者、というのも大きいでしょうが、何よりも生まれ持ったカリスマ性が凄いのかもしれません。そんな相手にああも立ち向かえる人は本当に……少ない……。

 

(……思い返してみれば、あの時もそうでしたね)

 

 デュノア君が正体をバラし、デュノアさんとして転校してきた日。織斑君を好く代表格の3人が織斑君に攻撃を加え始めました。専用機持ちは専用機を展開して攻撃しているのにも関わらず、私は怖くて教卓の中に隠れて震えていました。

 だと言うのに、時雨君は物怖じもせずに止めて、後から来た織斑先生と相談して処分を言い渡すほど。……もしかしたら、

 

(……時雨君に話を聞けば、少しでも成長することができるかも……)

 

 そう思った私は、朝早く織斑先生の部屋に行ってお願いすることにしました。今度の校外学習で時雨君と一緒の部屋にしてほしいと。その申し出は意外なほどあっさりと通ったのは、もしかして織斑先生も久しぶりに織斑君と一緒にいたいと思ったからでしょうか? いや、考えないようにしましょう。

 ………ちなみに、今話を聞きに行かないのは何も怖いからとかじゃないですからね。ただ、彼の専用機作成の邪魔をしたくないだけですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………できた」

 

 僕は思わずそう言った。

 公欠届を書いてすぐ、僕はデータを解析を進めると共に今の僕に必要なものを考えた。布仏先輩は打鉄の容量を大きくしてくれ、スカートアーマーを撤去し、ブースターを1つから3つに増設し、ラファール・リヴァイヴのウイングスラスターを設置すると共に、布仏さんと一緒にカラーリングを変えてくれた。先輩が言うには、僕は浮遊シールドも使用している時があるので、解除しない方が良いということ。……考えてみれば、試合は意外と使用率が高い。浮遊シールドで受けるとシールドエネルギーはあまり消費しないのだ。というか、動かした分しか減らないし、1周しても確か1も減らないはずだ。……塵も積もれば山となると言うことわざがあるように、使いすぎには注意しておく必要があるけど。

 そこまで考えて、先に2人に言うことがあったことを思い出した。

 

「布仏先輩、布仏さん。手伝ってくださり、ありがとうございます」

「「……………」」

 

 あれ? どうしたんだろう? もしかして僕のを手伝って疲れたとか?

 

「……ねぇ、しぐしぐ?」

「何かな、布仏さん」

「しぐしぐは、私たちのことをどう思っているの?」

 

 どう思っている、か。

 一言で言うならば、2人は可愛い。年上に可愛いというのはおかしいかもしれないが、先輩は美しいが4割とすれば可愛いが6割はあるような人だ。布仏さんは言わずもがな。ただし手のかかる妹というのはあるけど、2人はそう言った答えを求めていないのだろう。

 

「えっと、良い人、かな?」

「……それだけですか?」

「それだけです」

 

 僕はたまに、調子に乗る癖がある。仲が深まったと思って少し慣れ慣れしくしたことがあるけど、その時に「チビのくせになれなれしくしないでよ」と言われ、少しトラウマになっていた。……一番は殺されかけたことだけど、あの時はそんなトラウマを克服しようと思っていたんだ。

 

「時雨君。実は私たち、そろそろ見返りを求めたいと思っているんです」

「………え?」

 

 それって……つまりお金を寄越せってこと?

 確かに今の僕はお金をたくさん持っている。もしかしてそれを目当てだったのかな?

 

「時雨君、そろそろ私たちのことを名前で呼んでもらえませんか?」

「……名前?」

「うん。だって私たち、ずっと一緒に機体を作って来た仲間じゃん~」

「確かに私たちは裏の組織に属する人間ですが、その組織自体は副業みたいなものなんです。本職はその組織なんですが、仕事が無い日が続くことも……あの、時雨君?」

 

 急に話すことを止めた布仏先輩。どうしたんだろうと疑問に思っていると、僕の頬に何かが垂れた。

 

「……これ、何ですかね? 涙?」

「しぐしぐ……?」

「時雨君、大丈夫ですか? もしかして気分でも悪いんですか……?」

 

 どうして僕、泣いているんだろう? もしかして、さっきの見返りって言葉に怯えたのかな?

 

「………ああ、そっか」

 

 僕、本当は2人のことを……更識さんも入れて3人のことを認めていたんだ。

 でも、認めても裏切られるかもしれないって怖くなって……ずっと認めることが怖かったのかな?

 

「………名前で、良いんですか?」

「え? ええ。そうです。名前を呼んでくれたら嬉しいな~て」

「……良かった」

「へ?」

「しぐしぐ……?」

「……お金……払わなかったら機体を壊されるって……こんな関係がなくなってしまうのかなって……思った……」

 

 どうしよう。さっきから涙が止まらない。

 僕は何とかして涙を止めようとする。けれど止まるまでしばらくかかった。

 

 この日、僕は布仏姉妹とお互いを名前で呼び合う仲に発展した。……僕はいつも通り敬称をつけるけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 更識家の16代目は、かなりの親ばかで甘い男だ。

 そんなことは家に所属する人間には周知のことで、特に簪に対しては楯無よりも甘い。それはおそらく課したくもない暗部の長としての訓練を無理やりさせたことが原因だろうが、簪はそのことに気付いていなかった。

 そんな彼女に、1通の封筒が届けられた。IS学園の手紙に関するものは小包から注意されるが、封筒はあまり検閲が厳しくない。

 封筒を受け取った簪は早速自分の部屋に戻って封を切り、中身を確認した。1枚の紙が中から出てきて、簪はその内容を確認する。

 

(………やっぱり……思った通りだった)

 

 あの時、智久に触れた時の違和感。それが何かわからず、ずっと簪は考えていた。着いた答えは、持ち続けていた髪が入っていたお守りだ。

 そこから1本の髪を取り出して父親に理由を聞かずにDNA検査をしてほしいと依頼し、こうして結果が戻って来たのだ。その結果、99.1%一致。

 

(………どうしよう……)

 

 簪は脳内で最悪な結末を思い描いてしまう。それはとても恐ろしく、更識にとって最悪な出来事―――布仏が裏切るという、最悪な結末だ。




また、色々とバカげたアイデアが思い浮かんでしまった……。そんな呟き。

……にしてもレイジバースト面白れぇ!!
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