IS-Lost Boy-   作:reizen

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前話までたくさんの感想、ありがとうございました。

推奨BGM

進撃の智久:黒い波動(機動戦士ガンダムSEED Destiny)
愚行抹殺:Nの城メドレー(大乱闘スマッシュブラザーズWiiU/3DS)
アンノウン:ブラックサレナⅢ(劇場版機動戦艦ナデシコ)



ep.44 終焉の日本

 もはやその戦闘は、一方的な蹂躙だった。

 一夏は力任せに振るうが、智久は敢えて脚部で受けて流す。

 

「………許さねえ……お前だけは……許さねえ!!」

 

 粒子砲弾が飛ばされる。しかし智久は左腕のビームブレードで弾き、今度は右ウイングスラスターを破壊した。

 

「見せてあげるよ。僕のゲーム脳の「当たり前」をね!」

 

 すると智久は脚部にビームソードを展開して一夏の腕部装甲を吹き飛ばした。

 

「ま、まだまだ―――」

「吹き飛べ!」

 

 闇鋼の左腕部装甲が複合武装から大型武装へと変わる。それを一夏の腹部に殴るようにぶつけた智久は脳内に引き金を引くと、一夏は吹っ飛んだ。

 すぐに体勢を立て直そうとする一夏。しかし智久はそれを許さず、容赦なく蹴りを入れる。

 

「ま……まだ……」

「コア・ネットワークにマスターアカウントモードで接続を許可。侵入開始」

 

 一夏の頭を大型ビームライフルを消して手首辺りから大きな爪を出して抑え、智久は唱えるように言う。プログラムが作動し、ハイパーセンサーに丁寧に翻訳された状態で智久に情報が送られていく。

 

「ああ、そういうこと。白式に天才が細工してシールドエネルギーが切れないようにされていたのか。道理で燃費が悪いはずの白式が長時間戦えるはずだよ」

 

 嘲笑うように言った智久は。すると急に目つきを変えて言った。

 

「―――所詮、傀儡でしかないか」

 

 ―――パキャッ

 

 ヘッドギアを破壊した智久。すると一夏は動かなくなった。

 

「………まぁ、こんな感じかな」

 

 視線をずらし、ハイパーセンサーで智久はある人物たちを見る。そして確認した瞬間、小馬鹿にするように笑った。

 しかし智久の行動はそれだけで終わらなかった。

 智久は白式触れると、どうしたことか解除される。

 

「………こ……ここか―――」

 

 顔を上げる一夏。すると彼は信じらないという顔をした。

 

「智久……待ってくれ……それって……一体……」

「これ? 君の白式だよ」

 

 事もなげにそう答える智久。そう、彼はとうとう―――信じられない力で白式を力任せに奪ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会場全体が「ありえない」や「どうしてこんな…」などという声を漏らす。実際、本来なら智久が初期化を行わず白式を装備することはありえないのだ。だが、智久は平然と事もなげに白式を装着していた。

 

「待ってくれ智久! 白式は俺にとって大事な―――」

 

 ―――ドンッ!!

 

 一夏の隣を白式の腕部で殴られる。急にそんなことをされたこと、そしてまだ状況整理が追いつかない一夏は信じられないくらい震え始めた。

 

「確かに君にとっては大事かもね。でも、白式はもう僕のものだ。そして本来なら白式(これ)は僕が持つべきものだった。考えてもみなよ。世界最強の姉にISを作り出した創造主と知り合いなんでしょ。だったら、必要ないじゃないか? 君が狙われるのは限りなく0に近い。ならば、本当に必要なのは僕のはずだ。なのに君のような非オタに渡った! 状況も理解できない子どもにね! その結果どうなった!? 君の姉に唇を奪われた挙句、それを理由に僕の家族は殺された!」

 

 まるで合わせたのか、白式が光を放つ。第一形態になった証拠だ。

 

「まだ赤ん坊もいたんだ! 小学生もいたんだ! 全員がこれからって時期なのに……なのに君の身勝手な行動で虐殺されたんだ!」

「い、一体何の話なんだよ……そんなの俺、知るわけが―――」

「君は危機感がなさすぎるんだよ! そんなにヒーローごっこしたいなら別の場所でやってくれ! もっとも、もうそんなこともできないけどね」

 

 智久は《雪片弐型》を振り上げる、瞬間、衝撃砲が飛んできて智久は回避した。

 

「一夏、大丈夫?」

「シャル、それにみんなも―――」

「他人のせいにしてんじゃないわよ!」

「その腐った根性、わたくしが直々に叩き直してあげますわ」

「安心して、一夏。僕が守るから」

 

 それぞれが戦闘態勢を取る。しかし智久は―――これ以上ないくらいの笑みを浮かべた。

 

「クフフフフ………フハハハハハ………」

 

 そして笑い出し、白式から闇鋼へ変身した智久は一瞬で甲龍を中破させた。

 

「鈴!」

「愚かだね。実に愚かだ………わざわざ罪を償い、殺されるためにここに来るなんてさ!」

「……ぐぅ…」

「鈴さん! この、離しなさい!」

 

 セシリアがビットを展開して智久を狙う―――が、智久は鈴音を盾にして攻撃を受ける。しかしそれではまだ智久はダメージを受ける―――しかし、それらは相殺された。

 

「…そんな……どうしてあなたがビットを!?」

「君も君だ。よもや同時操作ぐらいできないのにエリートを名乗るなんて―――三流にほどがある」

 

 次々とブルー・ティアーズが破壊されていく。セシリアは回避ししているが、できるのはわざと智久が道を作っているからだ。

 ちなみにその間に甲龍は大破し、ダメージレベルはFと表示されていた。

 

「墜ちろ」

 

 ビットを操りながら、智久はセシリアの胴体を貫くように撃った。絶対防御に阻まれて実際に貫くことはなかったが、大ダメージは確実だった。

 

「その程度か。雑魚が」

 

 そう吐き捨て、残り無事でいて一夏を守っているシャルロットを見る。

 

「一夏逃げて! ここは僕が―――」

 

 既にシャルロットと距離を無くした智久は容赦なく腹部を突く。すると動けなくなったシャルロットに智久は容赦なくビームを浴びせ、ラファール・リヴァイヴを破壊した。

 

「シャル! みんな!」

「嬉しいことを教えてあげるよ。君たちの未来は―――一生男に回されるだけの人生を歩むことになる」

「……ちょっと待てよ! それってつまり―――」

「政治家の玩具になるか、下々の慰み者になるか。どっちにしろ碌な人生を歩めることにはならないね。まぁ、どうでもいいけど」

 

 そう吐き捨てた智久は上部に展開されているバリアに触れ、一瞬で破壊した。

 

「待って、時雨君」

「……更識先輩」

 

 立ちはだかるように楯無が智久の前に立つ。周りには教員が戦闘態勢を取る。

 

「お願い。もうこれ以上は止めて。今は大人しく―――」

 

 何とか止めようとする楯無。だが智久は容赦なく―――彼にとっての周りのごみを掃除した。

 

「大人しく……何ですか?」

「……時雨…君……」

「確かにあなたやあなたの部下には少なからず感謝しています。ですが今がチャンスなんです―――この腐った世界を壊すには。だから―――」

 

 智久は既にそこにいなかった。

 楯無は周りを探し、ハイパーセンサーに探知させる。智久とは既にかなりの距離が開いていて、とても追えるほどの距離ではなかった。

 だが、楯無にも生徒会長としての責務が、そして「楯無」としてのプライドがある。このまま行かせるわけにはいかないと思い、追い続ける。

 しかし、次に楯無が見たのは―――昼空に奔る赤い彗星だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 箒は思わず前の席を叩く。何事かと慌てる生徒がいたが、彼女はそんなことを気にしていなかった。

 

(どうして……どうして私の手元に紅椿がない……)

 

 この前没収された紅椿。自分は正しいと信じて選んだ道だったが、帰って来たのは千冬の「没収」という処分だった。

 信じられなかった。福音を撃破したのは自分たちだと言うのに。

 確かに自分たちは命令違反を犯した。だが倒したのは私だ。私と一夏だ! それでも……それでも我々が間違っているというのか!

 そう叫びたくなった箒。彼女はその間、ずっと眼を閉じていたが、急に鈴の音が聞こえたことで目を開ける。

 

「………紅椿?」

 

 何度も見返す。確かに自分の右手首には金と銀の鈴が付いた紐が巻きついている。

 

「……そうか。わかった」

 

 箒は1人、外に出て紅椿を展開し、智久の後を追う。

 

「時雨智久、これ以上の愚行は私が止めるぞ!」

「止めれるものなら止めてみなよ」

 

 智久は一斉ビットを射出する。その数は合計10基であり、さらに箒を驚かせたのは智久自身が10基ものビットを動かすのと同時に自在に飛んでいることだ。

 しかし箒は、無意識ながら絢爛舞踏を発動させている。

 

「何故千冬さんを殺した!」

 

 《雨月》で攻めながら箒は叫ぶ。智久はそれをビットで器用に捌きながら答えた。

 

「あの人は、お前のことを理解しようとしていたのだぞ!」

「そんなこと、僕の知ったことじゃない! そうだというなら、最初からそうすればよかったんだ!」

 

 智久の思いに闇鋼が答えるかのように装甲の筋が光り、ウイングスラスターが展開され、高速移動を始める。

 その速さは紅椿すら凌駕するが、箒はさらにスピードを上げて智久と戦闘を繰り広げた。

 

「そして君もだ! 図に乗るなよ、悪魔が!」

 

 迫る《空裂》を弾き、箒の腹部に衝撃を叩き込んだ。

 

「くっ……まだま―――」

 

 すぐに硬直状態から立ち直る箒だが、智久は甘くなかった。

 容赦なく首にビームソードをぶつけ、シールドエネルギーを一気に奪う。

 

「まだだ、まだ終わらな―――」

 

 智久によって硬直させられた時にはすでに紅椿の単一仕様能力『絢爛舞踏』は解除されている。智久は連続で鈴音に食らわせた新たなパイルバンカー《エアパルスバンカー》を叩き込んだ。それですべてのエネルギーを奪い、IS学園と本州をつなぐ道路に向けて箒を蹴りつけた。

 

(……後は国会議事堂。そして、女権団本部だ)

 

 智久は箒から目を離した瞬間、上空からのエネルギーを察知して回避した。

 

「誰だ……何だ、このプレッシャーは」

 

 急に強くなった何かまとわりつくものをそう呼んだ智久はすぐにその場から回避。

 瞬間、雲の中から黒い球体が現れた。

 

「確か、ボールとか……いや、違う……」

『ISコアと意思疎通を行い、世界を変えさせたその行動には褒めてやる。だけど、詰めが甘いな』

 

 新たに現れたその存在は、ざっくりといえば球体に近かった。側面には肩のようなものと戦闘機を思わせるウイングが4枚付いていて、背部には大型ブースターが4基装備。さらに前方には麒麟のような顔があった。

 そして何より智久が驚いたのは、コア・ネットワークにアクセスしたが、

 

【該当するナンバーがありません】

 

 完全なアンノウンだということだ。

 そしてアンノウンはミサイルを容赦なく撃ち、紅椿や闇鋼と同等のスピードで接近してくる。

 智久はそれを切り払ってビットで迎撃。だが向こうもまるでコピーするかのようにビットを飛ばしてくる。

 

「何なんですか、あなたは!」

『私もあなたと同等の存在……でも、世界はまだ荒れ続ける』

 

 無謀にも迫る敵機だが、器用に智久の弾幕を回避して接近してくる。

 

「その機体で接近戦など!」

『できるさ。私とあなたでは、歩んできた質が違う』

 

 左腕のビームソードを格納していた同じビームソードで防いだ敵機はゼロ距離で智久にビームを浴びせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界は、いや、日本は荒れた。

 実のところ、世界はそれほどの被害は被っていない。とある企業はシャルロット・デュノアを今月末に強制解雇を行うことを決め、とある国は凰鈴音から専用機を没収し、再教育を施すことを決めた。そしてとある国では、セシリア・オルコットの代表候補生による権利を剥奪し、ティアーズ型を製作している企業からの給料を半年間の無償奉公を命じられた。その程度で済んだのは、彼女らの適正値が数少ないAランクだからである。特にオルコット家はIS学園からイギリスに請求された多額の弁償金を一括で払い終えたという理由があるだろう。

 

 だが、日本はこの程度では終わらなった。

 ある場所は元自衛官によって爆撃され、消滅。さらに10年前から総理大臣の座に就いていた人間は見せしめに殺され、現場には「女を優遇した愚かなゴミ」という字が書かれており、治安は悪化し始めた。

 さらに現役裁判官の大半も同様に殺され、政治家の子供たちは隔離され始め、抵抗した夫人は年齢別に処分され始める。特に現役首脳陣の子供たちは人質に取られた。

 

 ―――そして、女権団本部は強襲された

 

 本目的はあくまでも制圧だが、場合によっては射殺も許可された。これまで機会を伺っていた男性自衛官はすぐさま女権団を包囲し、再三降伏を呼び掛けたが応じなかったが故の制圧作戦である。

 

「この悪魔共が!」

「ふざけるな! こちらはこちらの正義で行動している!」

「その結果が子供を虐殺することか!!」

「お前たちは子どもを産むことが仕事だろう! それを放棄して自分たちの利益ばかり追求して!」

 

 中ではそのような罵倒が行われ続ける。

 それが実に数日が続き、その上空をヘリが飛んで紙をバラまき、放送を行った。その内容は―――

 

 ―――7月31日を以って日本は女性優遇制度を撤廃し、新たに男性優遇処置法が施行されることになったというものだ

 

 その法案は一見すれば男性が女性に変わり優遇されるといった内容だが、同様に男性もまた女性を極度に否定すれば逮捕されるというのなことも書かれている。また、ある一定の行いをし、日本に認められた者のみ、女性との複数婚―――所謂一夫多妻制が適用されることになった。そして現在、その適用に当てはまるのはたった1人―――時雨智久のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 篠ノ之束は怒りを顕わにし、すぐさま飛ばした機体の制限を解除する。

 直ちに時雨智久を惨殺するように命令を飛ばしたが―――その瞬間、ミサイルは破壊された。

 

(……これで良し、と)

 

 智久を倒した機体と同じタイプと思われる機体の操縦者は、満足気にすべてを回収してその場を去った。

 そして束は突然飛んできたミサイルを回避する。

 

(え? どうして―――)

 

 束はすぐさま自分の飛行研究所を移動させる。この時、束はまだ知らなかった。

 

 ―――自分の居場所は、全世界のあらゆる軍事基地に表示されているということを




これで一応は終わり、なんですが、そのあとの補足やらなんやらが必要とわかっていますし、次話からはその展開を書いていくつもりです。
なのでもう少し、大丈夫な方はお付き合いください。
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