大きな窓から明るい朝日が差し込むホテルの一室。私達は疲れ果てて大きなベットの上に転がっていた。ちゃんと着替えるどころか服は脱ぎ散らかされ辺りに散らばっている。髪の長い二人は髪を解くのも億劫に感じているのかそのままだ。本当に十代の乙女としてはあるまじき姿だという自覚はある。
この場合は誰が悪いのだろうか。本来なら休暇を満喫していたであろう私達四人は、昨晩起きた大規模火災の鎮火、救援活動に協力。私達の努力もあってか規模の割に被害は少なく出来た……、と思う。朝のニュースによれば死者も出ていないようなので頑張った甲斐もあったと言うものだ。
夜天の主八神はやてと、融合機リインフォースⅡ。エース・オブ・エース高町なのは。若き執務官フェイト・T・ハラオウン。自分らで言うのも何だが、若くても実力があって経験も豊富なメンバーであることは間違いない。迅速に動ける位置に私達がいたのは不幸中の幸いというべきもので、折角の休暇が潰れてしまったことへの不満は何処にぶつけたものか……。
「うーん、やっぱりなぁ……」
「ぅん?」
「実際働いたんは災害担当と初動の陸士部隊と、なのはちゃんとフェイトちゃんやんか」
常々思っていたのだが、テレビなどでは『本局の航空魔道師隊』が活躍してると強調しすぎている。心なしか不信感を覚えてしまうほどに。
「あはは……。まあ、休暇中だったし」
「民間の人が無事だったんだし」
なのはちゃんも、フェイトちゃんも優秀な航空魔道師なので丸っきり嘘とは言えない。本人たちも気にしている訳じゃないが、しかしそれではいけないのではないかと思わずにはいられない。特に、管理局に入ってその正義に力添えすることで、過去の罪を。全部とは言わないにしても、少しでも償おうと考えている私は。
「あんなぁ。なのはちゃん、フェイトちゃん」
体を起こして二人に向き直る。
「私、やっぱ、自分の部隊を持ちたいんよ。今回みたいな災害救助はもちろん、犯罪対策も、発見されたロストロギアの対策も。なんに付けミッドチルダ地上の管理部隊は行動が遅すぎる。後手に回って承認ばっかりの動きじゃアカンし。私も今みたいにフリーで呼ばれてはあっちこっち回ってたんじゃ、ちっとも前に進んでる感じがせーへん」
少し前まではあまり立場上、上に強く意見することはできなかったけれど、ずっと持ち続けてきた願望。不満感なんて言ってしまえば物騒に聞こえてしまうけれど、夜天の主としてみんなを正しく導こうと考え続けてきた間に私の目線も、随分と上官向きになってしまったようだ。
「少数精鋭のエキスパート部隊。それで成果を上げていったら、少しは上も変わるかもしれへん。でな、私がもしそんな部隊を作ることになったら……。フェイトちゃん、なのはちゃん。協力してくれへんかな?」
「「……」」
顔を見合わせる二人。や、やっぱりいきなり過ぎたかな……。
「もちろん二人の都合とか、進路とかあるんは分かるんやけど……。あ、でもその……」
「はやてちゃん、何を水臭い」
「小学三年生からの付き合いじゃない」
「あ……」
二人揃ってやれやれと言った表情。で、でもこんな突拍子もない話を……。
「それに、そんな楽しそうな部隊に誘ってくれなかったら、逆に怒るよ? ね、フェイトちゃん」
「うん」
そう言って、昔から変わらない笑みを浮かべる二人。
「ぁ……、おおきに。ありがとうな、なのはちゃん、フェイトちゃん」
そう言って私は目頭を少しだけ拭った。本当に二人共変わらない。
コンコンコンッ。
「オー邪魔邪魔」
「ちょっ、なんでそんな急に入ってくるのぉ!」
「み、見ないでぇ!」
素早くリズミカルなノックと共に、間髪いれずに入室してくる青年が一人。彼もまた昔から変わらない。
「あー。おはような、隼人君。もう仕事終わったんか?」
「もちろんだとも、それこそ俺のアイデンティティ。しかし、事件と聞いてすっ飛んできたというのに、事件自体は解決してるわ、後処理は任せられるわで散々な扱いだな」
「は、はやてはなんでそんなに落ち着いてるの? 隼人くんは早く外に出る!」
「はわ、はわわわわ……!」
あられもない姿を見られてテンパるなのはちゃんとフェイトちゃん。昔馴染みなんやからそんなに慌てんでもえーのに。
「ふむ、久我隼人はCOOLに去るぜ」
「あ、隼人くんもウチの部隊に呼んでええ? 何時か作るから」
「いいぞ」
「そ、即答なんだ」
驚くなのはちゃん。ノータイムやしな。ちゃんと考えてるんか?
「はやてなら俺の事は良くわかってるだろ? 俺にしかできない、俺の能力を活かせる仕事のために俺が必要だというなら断る理由が見当たらないな」
考えていた。相変わらずというかなんというか。
「まかしとき。頼りにしとるよ」
「朝飯もまだだろう、俺が買ってこようか? 四十秒で」
「いや、どうせウィ○ーインとかでしょう? ちゃんとしたもの食べに行きたいから準備するまで外で待ってて」
「四十秒で支度しな」
「だ、だから無理だって」
高速戦闘を得意とするフェイトも彼の前ではタジタジだ。最後に仕方ないとだけ呟いて彼は出て行った。まるで嵐の様な彼もまた、昔から変わらない。
多少短いかなーと思ったり。まあ、勢いに任せて行きます。