最速の兄貴に俺はなりたい   作:STERUNHEXE

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兄貴の人気さを改めて感じました。


機動六課

 

「あ、ヴァイス君。もう準備できたんか?」

 

「準備万端、いつでも出れますぜ」

 

「このヘリ、結構新型なんじゃない?」

 

「JF704式。一昨年から武装隊で採用され始めた新鋭機です。機動力も積載能力も一級品っすよ。こんな機体に乗れるってのはパイロットとしては幸せでしてねぇ……、もう」

 

「むー、ヴァイス陸曹。あなたはみんなの命を乗せる乗り物のパイロットなんですからちゃんとしてないとダメなんですからー」

 

「へーへー、わかってまさー。ねぇ、リイン曹長」

 

「あれ、ハヤトはあんまり興味ないの? 意外だね」

 

「や、ヘリはあんまりスピードでないし。出したら出したでみんな怒るし、担当からも外されてるし」

 

「あー……」

 

 

 

 首都へ出かけたはやて達の見送りを済ませた俺は正直暇だった。割り振られた仕事は速攻片付けたし、まだ新設で手の足りない部署を回って、スピードの要りそうな仕事はあらかた片付けた。後の面倒な仕事は押し付けられる前に脱出、新人達の訓練の見に来た。

 

 先客に八神さん家のヴィータ(何年経ってもその低身長は変わらず)がいたので近づいたら露骨に嫌な顔された。

 

「悪い」

 

「……なにいきなり謝ってんだよ」

 

「考える時間が勿体無かったから」

 

「意味分かんねぇし」

 

「「……」」

 

 お互いに無言。俺は訓練スペースに浮かび上がる空間シミュレータの街並みを見て、俺も訓練に参加したく思ったり思わなかったり。でもまあ、わざわざなのはの作業を増やすつもりもないので、当分はできそうもない。

 

「ヴィータに……、クガ・ハヤトか」

 

「シグナム」

 

 続いて現れたのはこれまた八神さん家の剣将シグナム。補足説明するなら……。いやどうでもいいことか。彼女達がどのような存在であれ、はやての大切な家族であることに変わりはない。……十年近く前から不老な彼女等が将来的にどうなるのかは気になる気もするが……。

 

「新人達は早速やっているようだな。お前等は参加しないのか?」

 

「まだ早ぇーよ。それに、自分の訓練もしてーしな」

 

「俺も手伝おうか? 前に話した高速戦技コンビネーションとか試してみようぜ」

 

「それは確か、お前がヴィータを抱えて敵陣最奥に放り込みに行くと言う……」

 

「ばっかじゃねーの」

 

 そもそもそんなんがコンビネーションって言えんのかよ……。と怒りを現わにするヴィータ。

 

「だが、厄介な敵後衛を潰すには確実だぞ」

 

「お前に抱えられるってのが気に食わねぇ」

 

 あぁ、そうかい。

 

「なら、私と模擬戦をするか? 今度こそ捉えてみせるぞ」

 

「だが断る」

 

 バトルマニアシグナムとの模擬戦は結構こなしてるが、白星はゼロ。黒星もまたもゼロ。俺が落とされることは無いが、逆に俺がシグナムを落とすことも無い。俺からすると不意を尽くしか勝機がないのだが、一体一で隙を晒すほどシグナムは弱くない。多対多なら俺にも勝機が、時間無制限ならシグナムに勝機があると思われる。

 

「おいハヤト」

 

「ん、どうしたヴィータ」

 

 相変わらず険しい表情のヴィータが俺に呼びかける。

 

「お前の実力は今更疑うまでもねぇ。お前の言う速さこそ正義って言い分も、もう今更何も言わねぇ。だが、お前の魔力総量はあたし達に比べて一回りどころか何回りだって下だ。生き急ぐような真似だけはすんなよ。あたしはもう仲間が落ちるのは見たくねぇんだ」

 

「……ヴィータ」

 

 それはきっと、昔なのはが任務中に撃墜された時の事を未だに想っているのだろう。その時一番近くにいたのに、何もできなかったことを。気付く事が、どうしようもなく遅かったことを。

 

「……余裕が足りないな」

 

「なっ! お前にだけは言われたくねーよ!」

 

「ノンノン。俺はいつでも余裕たっぷりだぜ? あらゆることを迅速に解決、時間を短縮することによってその分俺は時間的に余裕を得ているんだ。つまり世界最速な俺は世界で一番余裕を持っている、と言う訳だ」

 

「とてもそうは見えねぇけどな……」

 

「まだ分からないか? じゃあ後でゆっくり食事でもしながら話をしようぜ」

 

「う、んん……。食事はまあ、良いけど。ホント、お前といると疲れるよなぁ」

 

「全くだな……」

 

 

 

「あ、お帰りはやて。もうご飯済ませたか?」

 

「ただいま。お昼も食べてないからもう、お腹ペコペコやー」

 

「じゃあ準備しますね」

 

 本局から帰ってきたはやてを出迎えたのは、俺、ヴィータ、シグナムに加え、主任医療官シャマルにザフィーラは……、なんだろう使い魔的な扱いでいいのかな? 二人(?)もまた八神さん家の大切な家族だ。

 

「ふむ、せっかくの家族団欒を邪魔するのも悪いな。俺は遠慮しておこう」

 

「えー、隼人君も昔良く食卓囲んだ仲やんか。なんや水臭いんとちゃう?」

 

「まあ、機会はこれからいくらでもあるさ。今日くらいは別で食うとするよ」

 

「しょうがないなぁ。あ、ならフェイトちゃんが食堂に行ってると思うから、一緒に食べたらええんとちゃう?」

 

「そうだな、一人ぼっちは可哀想だ。行ってくる」

 

 

 

「という訳で一緒に食事でもどうかな? ヘイト」

 

「フェイトです」

 

「あー、そうだった。それより隣、座っていいかな?」

 

 と、言いつつもう半ば座りかける。

 

「良いけど……。それよりって、君がそんなだからレヴィもちゃんと名前呼んでくれなかったんだよ?」

 

「いやー、懐かしい話題だな。もう十年近くなるけれど、彼女たちは元気かな?」

 

 光陰矢の如しってか? まあ、俺の方が速いけど。

 

「その、十年来の付き合いなのに未だに名前を間違えるかなぁ……」

 

「人の名前を覚えるのは苦手でな~」

 

「もう……、新人達の名前とかはちゃんと覚えてあげるんだよ?」

 

「大丈夫、既に覚えた」

 

 朝から計算すれば既に十二時間以上。俺にとっては十分すぎる時間だ。

 

「……昔、暗記科目のテストで、プリント一分くらい眺めて『覚えた』とか言って良く撃沈してなかった?」

 

「中学後半くらいまで続けてたら、本当に覚えられるようになったけどな」

 

 最終的に速さは正義と言う信念を突き等した俺の逆転勝利だった。

 




……更新速度にまでスピードを求められるのだろうか?
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