自分で書いててその速さに追いつけなくなったんだぜ……(意味不明)
「もしやと思ったけど、本当にやるとはなー。なぁディアナ」
「ティアナです。ってなんでここに居るんですか!」
時刻は朝の四時。昨日精神的にフルボッコにしたというのに、本当に元気なことだ。今朝は相方のスバルも一緒と来たもんだ。
「お、おはようございます」
「ん、おはよう。あー、なんだ。無理は……、止めないだろけど無茶はするなよ? スバル」
「だから質問に答えてください! と言うか私との扱いに差がありませんか?」
どうせまたお節介を言いに来たんだろうと邪推し、ご立腹のようだ。だが、俺はそんなことをしに来たわけじゃない。
「日課のランニングをしてただけなんだがな」
「こんな朝早くに?」
「こんな朝早くだからだ」
それこそ習慣となった早寝早起き早朝ランニング。夜はぐっすり眠れるし朝は快調に起きられる、その上朝ご飯だって格別旨く感じられて確実に三文以上得している。
「昨日の約束は昨日ちゃんと守ったんなら何も言わねぇよ。多方昨日早く終わらせられた分、朝取り戻そうと思ったんだろう?」
「いえ、元々この時間から自主トレする予定でした」
…………、呆れを通り越して感心してしまいそうだ。
「生き急いでるな……、早く年取っちまうぜ?」
「余計なお世話です!」
まあ、それはそうかもしれないけど。だがしかし、
「まあ、聞け。人生余裕を持たないと――」
「うるさいっ!!」
一喝。有無を言わせない拒絶がその場の空気を叩いた。それでも、俺は意見するのをやめようとは思わなかった。
「昨日のトレーニングだってそうだ。余裕がないからミスをした」
「ミス……?」
「ああ、そうだ」
行動範囲を限定され、飛ぶことも防御もしない俺を十分間捉えきれなかったあのミニゲーム。
「冷静じゃないから見落とすんだ。俺は一撃当てさえすればいいと言った、そこに何の制限も加えちゃいない」
そう、おそらくずっと射撃訓練をしていたのであろう彼女はろくに確認も取らずに勘違いした。
「射撃だろうがバインドだろうが、なんなら全方位にスフィアを停滞させて一斉射撃でも良かった。準備する時間も考える時間も自由だと言った」
あのミニゲーム。何をどう取ろうが圧倒的有利は彼女にあったのだ。
「でも、そんな事……」
「言わなかった。お前に少しでも冷静さが残っていれば気付いていただろうし、実際楽勝だっただろうさ」
ちらりと、一体何を言い合っているのか分からないで、所在無さげに佇むスバルを見た。
「例えばスバルなら俺に格闘戦を挑むだろう。逆に言えばそれしかないからな。だが、お前には選択肢が幾つもあったはずだ。お前は色んなものを持っているだろう? 情熱思想理念頭脳手数友情勤勉さ! だが、決定ー的に速さが足りない!」
一息に、そして一方的にまくし立てる。
「ここで言う速さは単純なスピードの話じゃねぇ。お前には色々出来ることがある分、単細胞みたいな俺らとは違うロジックで物事を考えているんだろうさ。それこそ何倍もの工程を踏んで結論に至るなら、それ相応の思考スピードが求められるはずだ……。まあ、聡明なお前さんならここまで言えば後は独自の答えにたどり着けるだろう」
そうやって、言いたいことだけ言って俺は踵を返した。
「おーと、最後にもう一つ。人の何倍も努力しようって根性は嫌いじゃない。これから先、邪魔することはしないから精々頑張りな」
一気に喋って喉が渇いちまった。コーヒーでも飲むとするかね。
「す、すごかったね? 殆ど意味が分からなかったんだけど、ティアは分かったの?」
「……まあ、少しだけならね」
「へぇ……、やっぱりティアはすごいね」
「……当然、よ」
そうだ、だって私はランスターなのだから。
そして、鍵を握るのは戦闘用の思考ロジックの最適化。
「体を鍛えるだけが強くなる方法じゃないって事よね」
だとしても、まだ選択肢は増やせるし、増やせば増やすほど有利になる。切り札だって必要。私は強くならなければならないのだから。スバル達に負けてなんていられない。
あれから、スターズの二人早朝訓練は自重する事は無かった。俺はこっそり見守ったり、上から回ってくる書類仕事をプチお節介で横取りしたりと、影から見守る事にした。実はちょっとだけ自分が言った事の責任は感じている。
まあ、教官はなのはだ。今の状況はあまり宜しい状況とは言えないかもしれないが、俺はあいつらの本気も感じてしまったのだ。自分が一番自由人であることを誇りにしている以上、他の人に強く言えないというのもあるが……。
問題が表面化するは時間の問題だろうという予感はあったし、実はすでに見通しは経っていた。先取り先回りは俺の十八番。流れから結果を予想するのはかなり得意な方だ。
俺の予想からすれば近日予定されている模擬戦。成長度合いを計る2on1辺りで何かしらのアクションが起こると予想される。
なのは、怒るかな……。怒るだろうな……、それも結構本気で。
あいつらの本気となのはの本気。結果は火を見るより明らかというやつだ。まあ、教官と生徒の本気のぶつかり合いって成長フラグじゃん。やったねティアナちゃん。
……先にちょっとだけフォロー入れとこうかな?
「教導お疲れさん」
そう言ってなのはにスポーツドリンクを手渡してやる。
「ありがとう隼人君」
「良いって事よ。それで、調子はどうだ?」
「凄く良いよ。みんなやる気もあるし飲み込みも早いから、成長速度が著しくて……」
「あー、レイジングハート?」
『問題ありません。多少睡眠不足が気になりますが』
うん。なのはの体調の事はなのはよりレイジングハートに聞くのが早いな。むしろそんな超優秀なデバイスであるレイジングハートが付いてるんだし、そこまで心配する必要はないかな?
「相変わらずなのはは自分のことより他人のこと、だな。多方、寝不足の原因も教導関係なんだろ?」
「にゃはは、みんなには期待してるからね。その分つい、調子に乗っちゃってるかも」
「ノリノリで鬼訓練かー」
ある意味軍曹かもしれない。いや、詳しくは知らないからイメージだけど。
「調子は良くても疲労は蓄積するんだから、無理はするなよ?」
「大丈夫、ちゃんと分かってる。無茶はしないしさせないから」
確かに、現行の訓練は基礎体力などを重視している。それはこれから待ち受けるであろう更なる訓練のための布石となっている筈だ。
効率化。それは現代を生きる魔導士の最重要課題といってもいいし、なのははその事が良く分かっているからエースオブエースと言われるまでになったのだ。
なのはの訓練メニューは一見地味に見えるが、長期の目で見ればその効率性は目を見張るものがあるだろう。
しかし、そんな輝くようなリターンには相応のリソースが必要となるのも事実。しかも、なのはの場合そのリソースは訓練を受ける生徒達から引き出したりしない。
全てはなのはが時間を割いて、考えに考え抜いて作り上げる、ひとりひとり、個人個人それぞれで違う専用の訓練メニュー。
常に人のことを想い、人のために全力を尽くすのがなのはのスタイル。
「人のことを心配するくらいに、自分の身の心配もして欲しいものだな」
「そ、そんなに危なっかしく見えるのかな?」
「ああ、昔からな」
昔は限界知らずで無茶してたけど、今は限界を見極めて無茶してるから本当に危なっかしいし、タチが悪いと思う。
「酷いなー、もう。……シャーリーと話があるからもう行くね?」
「おう。今度時間作って翠屋行ってくるから、お土産はシュークリームで良いかな?」
「ありがとう。でも急にどうしたの?」
ちょっと部隊長に捧げ物を……、とは言えずに言葉を濁す。
「疲れてる時は甘い物って言うし、なのはのお口に合うクラスの物はそうそうないからな」
「あー……、フォローとはなんだったのか」
完全に忘れてた事を後悔しつつ、
「フォアード全員分のシュークリームかな?」
体もそうだが、心にこそ甘いものが必要な時ってきっとあるよな。
実はこの後書きが書きたくて。一日で一話サクッと仕上げたんだぜ(その結果暴走してた気がするけど)
実は、前の後書きで言った二つの話のプロローグが、それぞれ完成してると言ったら……、どうする?
高町なのはは天才だ! しかし、いくら天才でも数日で高機動戦なんて無茶を言いなさんな。フェイト・テスタロッサははるか格上の相手! でも実際は実戦経験なんてないただの女の子。
そして俺は転生オリ主! 魔法の才能はなのはには及ばず、転生特典も原作知識もありゃしない。だが二十年近く生きた記憶は伊達じゃない!
魔法少女リリカルなのは『魔法少年も楽じゃない』始まります(?)
春。憧れのあの子に告白した俺が連れて来れれたのは何故か研究所!? 広い空間に映し出される大型モニターに用途のわからない様々な機械達が妖しく光る。意味深に笑う彼女の表情とロケテストという言葉の意味とは……。
こんなの想定外! 策士系男子の熱い戦いの物語が今、幕を開ける……。
魔法少女リリカルなのはINNOCENT『彼女はいつも俺の想像を超えていく』(仮題)
感想(?)お待ちしておりまーす。