狩人異想神喰録〜自由を愛した烏天狗と空を求める狩人〜 作:ドーントレス
世界観の説明や人物の紹介とかにあてようかなぁ…って思ってます。
でも、後書きの方に書いた方がかっこいいし、まとまる気がするなぁ…
あ、後タグ付けなかったんですがキャラ崩壊注意です。
「も、妹紅さん…⁉︎」
「なんだ。ツカサが
妹紅はいつもと全く変わらない口調で文に話かける。それどころか「ツカサが女装趣味にでも目覚めたのかと思ったぜ」などと微笑んで軽口までたたき、ツカサと呼ばれた青年に笑いかけるほどなのだ。
これに対して口を挟めるのはこの部屋でたった1人であろう。
「あ…あの、待ってください。まだちょっと頭がついて来てないのですが…まず、妹紅さんはいつからここに?」
確か妹紅が幻想郷から姿を消したのは、文が博麗神社に尋ねるよりも三週間ほど前だった筈だ。
文は、そんなことを思い出しながらもついつい確認せずにはいられなかったのである。
何かが引っかかり、そしてそれはとても重要なことのように思えたからだ。
妹紅はちょこんと首を傾げ、左端の天井を見上げるように眼球を動かし、文の質問に真正面から答えるべく記憶をたどっている様だった。
「んー……確か、
「ん?…ああ、ちょうど2ヶ月と49時間前だな。お前さんを拾った時は流石にインパクト強かったぞ。なんせアラガミに素手で喧嘩売ってるお嬢さんがいるって、偵察班から俺んとこに直電が来たんだからな」
「う、うっせぇ!あん時はアラガミなんて知らなかったし!あと、細かく覚え過ぎだろ!
それに…まさか能力があそこまで制限されるなんて思わなかったんだよ!」
「…?……へ?も、妹紅さん…今、今なんと⁉︎」
文は最初に自分から聞いた質問の答えすらそっちのけにされるくらいの衝撃を受け、ツカサに食ってかかっている妹紅に更に食ってかかる勢いで再び疑問をぶつける。
妹紅はそんな文の勢いに押される様にちょっと身を引きながら、自分の体験をもとに文に応える。
「お、おう…お前も知ってるとは思うが、私は死なない。おそらくそれそのもの変わってはいないんだろうが、治癒能力が低下してるみたいでな…通常私は髪の毛一本でも残っていたらそこから瞬時に完全復活できるんだが、前にアラガミに腕を食われた時に再生するまで15分ほどかかったんだよ」
更に妹紅は文の目を見て続ける
「んで、一番やばいのは此処じゃあ『スペルカード』が使えない。それどころか妖術の類もまるで何も起こらないんだ。
弾幕も作れなければ、筋力も半分以下。正直、此処じゃ私達は中途半端な特殊能力を持つただの小娘に過ぎないんだよ……」
「そ、そんな……」
妹紅が声のトーンを落とし、文が絶望に顔を染めようとした時、それを静聴していたツカサが徐に切り出した。
「だが、此処で戦う力を手に入れることもできる。…あんまりおすすめはしないし、もしかしたら後悔だけが残るかもしれない。
君は…自分を犠牲にしてでも、護りたい何かがあるかい?」
ツカサの言葉に文が顔を上げ、瞬時に言葉の意味を了解した妹紅が鋭くツカサを睨みつける。
「…おい、ツカサ。あんたはそんなことを強要するような奴じゃないと信じてたんだが…?」
「そんなに睨むなよ妹紅…博士から渡された書類に沿って質問をしてるだけだ。それに、俺は最初に『おすすめしない』って言ったろ?」
ツカサがあくまで事務的に妹紅からの脅迫にも似た問いに返すと、妹紅は「ふんっ」とツカサから顔を背けた。
やれやれと言わんばかりにため息を吐くと、ツカサは1人置いてけぼりを食らわされている文に説明を始めた。
「方法は一つ。俺たち同様【ゴッドイーター】になれば俺たち全人類の敵、絶対的捕食者である『アラガミ』を狩ることができる。
だが、さっきも言った通りおすすめはしない。
適正がなければそれまでだし、何より一度ゴッドイーターになった者は最終特異点…全能不死のアラガミ【ヘラクレス】を狩るまでアラガミとの
俺たちは後戻りもできやしないから諦めとかつくけど、君は違うだろ?女の子なんだし、しっかり自分の未来を自分で決めてくれ」
そこでツカサは話をきり、文の目をしっかりと見つめたまま、隣で煙草を取り出した妹紅のほっぺたをつまむ。
そのまま上に引き上げられたものだから、身長の足りない妹紅からしたらかなりの痛みを伴う。
「いひゃい!!にゃにしゅんだよ!ふかひゃ!」
「うっさい。此処病室だって何回も教えたのに煙草取り出す妹紅が悪い」
「うぅ、わきゃった!わきゃったきゃらはにゃしぇよぉ!」
妹紅は一向に手を離そうとしないツカサの腕を両手で掴み、引き剥がそうともがく。
ツカサは相変わらず無表情なまま、文の方を向いていたが、文はとある疑問を持ってしまった。
「…妹紅さん、ツカサさんと同じようなものを左手首に着けているようですが…もしかして、お二人はそういう関係なんですか⁉︎」
「ふぁっ!?ひがふひがふ!!ひてて!ふかひゃ!ふぉんほひゅるひへよ〜」
妹紅が文の質問に(多分)猛反発した後に、涙目になりながら(おそらく)ツカサに謝っている(ようだ)が、ツカサはその手を離すどころか指先で妹紅の頬の感触を味わうように動かし始める。
「その質問には俺が答えよう。何を隠そう、この腕輪こそが俺たちゴッドイーターの証であり、体内に埋め込まれた『オラクル細胞』を制御する為のリミッターでもある。
…まぁ、わかりやすく言えばこの腕輪が壊れたりしたらとんでもなくやばいってことだ」
「え?……んーと…では何故そんなものが妹紅さんの腕に「まったく…説明下手なら無理して説明しなくていいデス。むしろ初心者さんに偏った変な知識を入れてしまうだけなのデスから」ーーっ!?」
文が質問をした時にはいなかったはずの、聞き覚えのない少女の声が真横から聞こえた。
あたかも最初からそこに居たかのような自然さと、存在自体が理由もなく万物に不自然だと思わせる何かを持った少女に文のみならず、漸くツカサから解放され、頬をさすっていた妹紅までもが電流が走ったような顔を作り、それを惜しみなく少女の方へ向ける。
若干の静寂と謎の緊張感が生まれたこの病室で、ただ1人彼女の素性を知るツカサは無表情のまま少女に近づき、この空気をいとも簡単に切り裂いた。
「なんだ、来てたのか『LUKE』。いや、今は『Assassin』の方か?」
「いえ、わたしはこの近畿支部に拾われた時に『Assassin』のコードは捨てマシタ。此処にいるときは常に『LUKE』でいいデス」
「そうか…んーと、紹介しておく。うちの
ツカサに頭をぽんぽん叩かれながら、『LUKE』と呼ばれた白髪ショートカットの少女は、タレ目のジト目で文と妹紅を交互に見る。
妹紅は「2ヶ月も居たのに全然知らなかった」と興味深々だが、文は
「うぅ…何でしょうか……貴女を見てると部下の
「お、君もなのか。実は彼女の目が苦手な奴が俺の隊にも居てなぁ、そいつとも案外仲良くできるかも知れないな」
ツカサは文に笑顔を作り、文は驚いたようにそれに見惚れてしまった。
彼の笑顔があまりにも無邪気だったからだ…
刹那
『招集!招集!第1・第2部隊長並びに副隊長は速やかにロビーに集合!いっそげ急げ!アラガミちゃん達のお出ましだよん♪』
「はぁ……あいつ、また勝手に放送室をジャックしやがって…まあいい、妹紅!その子を安全なブロックまで連れて行ってくれ。神機の使用に関しては状況次第だが、おまえに任せる」
ツカサがため息を一つ吐くと、まるでスイッチが切り替わったように、初見の柔らかそうな(ほぼ無表情だったが…)雰囲気から戦場に立つ戦士の目に変わる。
「あいよ!んじゃ射命丸ちゃんはこっちな!しっかりついてこいよ!」
慣れた足取りで病室の扉を開けて文を呼び、ツカサ達が病室から出るのと文がこちらに合流するのを見届けた妹紅は、ツカサ達とは逆の方向に向かって走り出す。
急に走り出した妹紅に置いていかれてなるまいと、文も羽を広げ加速するが…
「なっ⁉︎お、追いつけない…⁉︎」
幻想郷最速の名を欲しいままにしていたはずの彼女には、自分よりも早く走る妹紅の少し後ろにつくのが精一杯の現状が理解出来ずにいた。
しかし、この時の文は冷静に『おそらく、妹紅が先ほど病室で言っていた通り、幻想郷にいた頃とは比べ物にならないくらい力が制限されているのだろう』と無理矢理自分を納得させ、妹紅を追うのであった。
第2話【再会】
ーー『フェンリル近畿支部・ロビー』ーー
先ほどの招集で集まった第1部隊副隊長と第2部隊の面子に第1部隊隊長であるツカサが加わり、今回のアラガミ討伐のミーティングが始まる。
「よし人員、揃ったな」
「……」
「ったぁく!待ち切れずに寝ちまいそうになっちまったよ!第1部隊長さんは時間も守れないのかい?それとも相変わらずの他所者にお熱ってだけか?」
「…口を慎んでください『JOKER』。隊長への偏見と暴言は私が許しません」
「…けっ!あんたも相変わらずの『KING』贔屓だねぇ…えぇ?『QUEEN』さんよぉ?」
「私は部下として当然のことを申し上げたまでです。貴女は
『QUEEN』と『JOKER』が睨み合う中に割って入ったのはツカサだった。
「やめろ『QUEEN』。俺はそんなに怒っていないし、『JOKER』のそれは今に始まったことじゃないよ」
「…了解いたしました。それが隊長の御意志なのでしたら…」
あくまで柔らかく『QUEEN』を宥める。
ひとまず『QUEEN』は落下地点を見つけ、落ち着いてくれたようだ。
「けけけ!ざまぁ「…てめぇもちっとは黙れ。殺すぞ」……ちっ」
それを煽るように嗤う『JOKER』をひと言で黙らせたのは、先ほどからソファに深く座り込んでいた青年だった。その青年と、第1部隊長であるツカサが顔を合わせる。
青年は気怠げに立ち上がると、ツカサに地図を広げて見せ、赤く引かれた線をなぞりながら口を開く。
「…オレらは西側から攻める。ポイント
「うん。じゃあ俺たちは東から。そっちの信号弾に合わせて行動するよ」
「…異議なし。3分後の先発は譲ってやる…しくじんなよ…『KING』」
「あぁ、もちろんだとも『EMPEROR』。武運を祈るよ」
2人は互いに余裕のある笑みを浮かべ、お互いの掌を刹那に打ち合わせ共に神機保管庫へと向かう。
その僅か10分後ーー
2人はアラガミの群れの進路変更の通信を受けるとは、夢にも思わなかったであろう。
次回からちょっとずつ
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