ラブライブ! オーブ‼︎   作:ベンジャー

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第10話 『ブラックスター・メイドカフェ』

オープンキャンパスから数日後、学校は放課後となり穂乃果はかなりの上機嫌な様子で廊下をクルクルと回転。

 

そのまま海未とことり、紅葉の姿を見るや否や彼女は3人に抱きついてくる。

 

「海未ちゃ~ん! ことりちゃ~ん! お兄ちゃ~ん! 凄いよ!! ビッグニュース!!」

「おう!? ど、どうした穂乃果!?」

「えへへ~! それは部室についてからちゃんと話すね~!」

 

そして場所は部室へと移り、穂乃果からのそのビッグニュースはそこでみんなで聞くことに。

 

ちなみに今部室には2年組とりんぱなの合計6人が来ている。

 

なんでも穂乃果が言うビッグニュースとは前回のオープンキャンパスのアンケートの結果はかなり好評だったらしく、廃校の決定はもう少し様子を見てからとのことだった。

 

恐らくは前回の彼女達のライブのおかげだろう。

 

「それって!!」

「この前見に来てくれた子達が興味を持ってくれたってことだよね!!」

 

海未とことりが嬉しそうにするがどうやらまだ朗報はこれだけではないらしく、穂乃果は部室の横にある扉を開けてドヤっとした表情を見せる。

 

「実はそれだけじゃないんだよ~? 部室が広くなりました~♪」

 

隣の教室の使用ができるようになったことを聞き、これには海未もことりも歓喜の声をあげる。

 

「それなりに広いみたいだし、これなら雨の日でも練習がそれなりに出来るかもな?」

「いやぁ、良かった良かった!」

 

穂乃果は又もや上機嫌な様子で身体をクルクルと回転させて椅子に座り、どことなく満足げ。

 

「満足げなところ悪いが、まだまだやることは沢山あるぞ穂乃果?」

「紅葉くんの言う通りよ。 生徒が沢山入って来ない限り廃校の可能性はまだあるんだから頑張らないと……」

 

とそこへ紅葉の言葉を肯定するように部室に入ってきた絵里がやってくるのだが……彼女が喋っている途中で隣から海未の泣くような声が聞こえ、絵里が顔を横に向けるとなぜか嬉しそうに涙を流す海未の姿が。

 

「うぅ、嬉しいです!! まともなことを言ってくれる人がやっと入ってくれました!」

「オイコラ海未、お前どういう意味だそれ?」

「それじゃ凛達がまともじゃないみたいだけどぉ!」

 

紅葉と凛が海未に文句を言うが海未はそれを華麗にスルー。

 

「っていうか穂乃果の部屋でアイドルの真似してた海未に言われたくn」

「わああああ!!!!!」

 

しようとしたのだが紅葉に以前、花陽が穂むらに訪れた時のことを言われて海未は顔を真っ赤にして大声で叫び、紅葉の言葉を遮るのだった。

 

そこで部室に入ってきた希がそろそろ練習を始めようと言い出したその時、ことりは申し訳無さそうにしつつ今日は練習に出られないと断ったのだ。

 

「ごめん、私はちょっと……。 今日はこれで」

 

それからことりはもう1度みんなに謝罪しつつも部室を出て行き、途中で会ったにこと真姫にも今日は練習に出られないことを謝り、どこか急いだ様子で彼女は学校を出て行くのだった。

 

そんな様子を不思議そうに思う一同……。

 

「んっ~? ことりちゃん、最近早く帰るよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、残ったメンバーは屋上で練習をすることとなり、今は休憩時間。

 

穂乃果と海未と凛はパソコンを開いて何気なく今の自分達のランキングを見てみると……。

 

なんと彼女達は50位とそれなりにランクが上がっており、そのことにパソコンを見ていた3人……特に穂乃果が歓喜の声を思わず漏らしてしまう。

 

「うわぁ~! 50位!? なにこれ!? すごぉい!!」

「夢みたいです!!」

 

花陽もそれを聞いて嬉しそうにしており、あともう少しでラブライブに参加するための20位に近づくことができると穂乃果は興奮した様子を見せる。

 

「凄いわね!」

「絵里先輩が加わったことで女性ファンもついたみたいです!」

 

その海未の言葉に絵里は「えっ?」と首を傾げ、穂乃果はジッと絵里を見つめる。

 

「確かに、背も高いし足も長いし美人だし! 何より大人っぽい!! 流石3年生!!」

「女性だけでなく、おかげで男性ファンも増えただろうしなぁ。 絵里先輩のおかげだね」

「やめてよ……!」

 

ベタ褒めする穂乃果と紅葉に対し顔を赤くして恥ずかしそうにする絵里、するとなぜか思わず穂乃果と紅葉の視線は絵里の後ろにいるにこに映り、穂乃果と紅葉はなんとも言えない顔を浮かべる。

 

「んっ? なに?」

 

穂乃果と紅葉の視線に気づいたにこは2人を睨み付ける。

 

「「いえ、何でも……」」

「フン!」

「でもおっちょこちょいな所もあるんよ? この前なんて玩具のチョコレートを本物と思って食べそうになったり」

 

とそこで希が最近あった絵里の恥ずかしい意外なエピソードが暴露され、絵里は「希!」と少し顔を赤くしつつ怒鳴る。

 

「でもホントに綺麗! よし、ダイエットだ!」

「聞き飽きたにゃ~!」

 

するとそこで「おーい!! 穂乃果~!!」という声が聞こえ、穂乃果と凛、紅葉が声のした方を見てみると下の階手を振っているヒフミトリオの姿があった。

 

「頑張ってねー!!」

「ファイトー!!」

「μ's応援してるよー!!」

 

ヒフミトリオに「ありがとー!!」と大きくを手を振って答える穂乃果。

 

「知り合い?」

「はい! ファーストライブの時から応援してくれてるんです!!」

 

絵里の質問に穂乃果がそう答え、そんな様子を見てか真姫は今思ったことを口にする。

 

「でも、ここからが大変よ? 上に行けば行くほどファンも沢山いる!」

 

確かに真姫の言う通りであり、今から短期間でどうにか順位をあげ、見事20位に割り込むためには何か思いきった手を使う必要もあると絵里は語るのだが……。

 

「それよりも! しなちゃいけないことがあるんじゃない!?」

 

突然のにこのその言葉に一同はなんのことかサッパリ分からず、首を傾げる。

 

 

 

 

 

 

 

その後、秋葉原にて……。

 

「あ、あのぉ~。 凄く、熱いんですが……」

 

そこにはにこの提案によってコートを羽織り、マフラーを巻いてサングラスとマスクをつけた穂乃果達がおり、今は夏場であることもあってにこ以外のメンバーは少ししんどそうだった。

 

「我慢しなさい! これがアイドルに生きる者の道よ!! 有名人なら有名人らしく街で紛れる格好ってものがあるの!!」

「でもこれは……」

「逆に目立っているかと……」

 

絵里と海未がそれぞれそう口にし、確かに2人の言う通り絶対に変装前よりどう見ても目立っており、街の人々からの視線もかなりある。

 

真姫に関しては「バカバカしい!!」と文句を言っている。

 

「っていうかなぜ俺まで……」

 

その中にはなぜかアイドルではなく、マネージャーを務めている筈の紅葉も穂乃果達と同じような格好をさせられていた。

 

「マネージャーからアシがつく可能性があるでしょうが!!」

「成程! そういうことでしたか、にこ先輩! でもマスクとサングラスはまだしもワザワザ夏場に厚着する必要はないと思うんですよ!!」

「あるわよ!! え、えっと……そうね、例えば……」

 

紅葉の質問に対してにこはどうにか答えようとするのだが、言葉に詰まってしまい、紅葉から「やっぱり厚着自体は必要ないじゃないですか」と言われてしまう。

 

「と、兎に角!! 例えプライベートであっても常に見られてることを意識する!! トップアイドルを目指すならば当たり前よ!!」

 

しかし穂乃果はイマイチよく分からないと思いつつも取りあえずは「はぁ……」と返事をする。

 

するとその時、凛の「凄いにゃ!!」という声と花陽の嬉しそうな声が聞こえ、一同は2人の声のした方に視線を映すとそこには1つの店があり、2人の声はその中から聞こえ、穂乃果達は2人を追うようにその中へと入っていく。

 

「いつの間にあの2人いなくなってたんだ? ってか花陽ちゃん凄い嬉しそうな声出すな」

 

苦笑しながら紅葉は2人を探して花陽と凛を見つけると2人の目の前にはA-RISEのグッズが置かれてあり、花陽はそれを見て目をキラキラさせていた。

 

「なにここ?」

「近くに住んでる癖に知らないの!? 最近オープンした、スクールアイドルの専門ショップよ!」

 

穂乃果の疑問に答えるようににこは穂乃果にスクールアイドルショップのこの店のことを説明し、こんな店があったのかと絵里も驚きの様子を見せており、希も「まぁ、ラブライブがあるくらいだし」と呟く。

 

「とはいえ、まだ秋葉に数件あるくらいだけど」

「流石にこ先輩、詳しいですね」

「当然よ!!」

 

紅葉に褒められ、にこは誇らしげに胸を張る。

 

「ねえ見てみて~! この缶バッジの娘、可愛いよ~! まるでかよちん! そっくりだにゃ!!」

 

とそこへ凛が1つの缶バッジを持って来て穂乃果、紅葉、にこに見せるように言うのだが……。

 

その缶バッジに映っているアイドルはかよちんも何も誰がどう見ても……。

 

「どう見てもご本人様ですね」

 

花陽であり、紅葉は缶バッジと花陽を交互に見て間違いなくご本人であることを確認し、にこも穂乃果もすぐにそれが花陽であることに気づき、それを教えられて凛は「えー!!?」と驚きの声をあげる。

 

紅葉はそれがどこにあったのか凛に案内して貰うとそこには「人気爆発中 μ's コーナー」と書かれた看板があり、その下の棚には大量のμ'sのグッズが置かれていた。

 

それを見た穂乃果達は心底驚いた表情を浮かべる。

 

「ううう、海未ちゃん! ここここれは私達だよ!?」

「おおお、落ち着きなさい!!」

「みゅ、μ'sって書いてあるよ!? 石鹸売ってるのかな!?」

「なんでアイドルショップに石鹸売ってんだよ!」

 

なんて会話のやり取りを穂乃果、海未、紅葉は行い、その間にこはずっと必死に後ろの方からμ'sのグッズが置かれた棚を見ようとしていたが、身長も低いこともあって中々見ることが出来ずにいた。

 

そこでにこは一同を押し退かして強行し、自分のグッズを探し出す。

 

「あれ!? 私のグッズがない!? どういうこと~!? はあぁ!! 私のグッズがあった!!」

「良かったですね、にこ先輩」

 

その時だ、穂乃果がふっとと同じ棚に1枚の写真があることに気づき、その写真にはなぜかメイド服を着たことりが映っていた。

 

「あれ? ことりちゃんだ……」

「えっ? あ、ホントだ。 ことり……だよな? ってアレ? この背景、どこかで……」

 

一方で海未達はこんな風に少し気恥ずかしさがあるもののこうやってグッズが販売されて自分達が注目されていることに感激していた。

 

「こうやって注目されると勇気づけられますね」

「えぇ……」

 

海未と絵里はそんな話しをしながらも笑みを浮かべ、花陽は嬉しさのあまり涙を流してしまう。

 

そこへ……「すみません!!」とどこかで聞いたことのある脳トロボイスが聞こえた。

 

そして紅葉達は外を見てみるとそこにはなぜかメイドを服を着たことりがどこか慌てた様子でアイドルショップの店員に何かを尋ねていたのだ。

 

「あの! ここに写真が! 私の生写真があるって聞いて! アレはダメなんです!! 今すぐ無くしてください!!」

「ことりちゃん……?」

「ひゃあ!?」

 

穂乃果の声を聞いてことりは肩をビクっと震わせて小さな悲鳴をあげる。

 

「ことり……? 何してるんですか……?」

「似合ってるな、メイド服……」

「いや、そこですか!?」

 

海未は最初にメイド服を褒めるところかと即座に紅葉にツッコミを入れ、ことりはというと慌てて足下の側にあったガシャポンのカプセルを取って両目に当てて振り返る。

 

「コトリ? ホワッツ? ド~ナタデスカ?」

「はっ!? 外国人!?」

 

そのことに凛は外国人かと驚くが、どこからどう見ても必死に惚けようとしているが、誰がどう見てもことりであり、絵里からジトっとした目で呆れたような視線を送られる。

 

「ことりちゃん、だよね……?」

「チガイマース!! ソレデハ、ゴキゲンヨ~」

 

そう言いながらことりはその場を離れようと歩き出す。

 

「ヨキニハカラエ、ミナノシュウ~……。 さらば!!」

「逃げた!?」

 

そのままことりはスカートを掴んで走り出すのだが……。

 

「はい捕まえた~」

「ふぇ!?」

 

身体能力が普通の人間より遙かに高い紅葉から逃げられる筈もなく、ほぼ走り出すのと同時に紅葉に腕を掴まれてしまったのだった。

 

「わわわ!? 離して紅葉くん!!」

「いやいや、なんで逃げようとするんだよことり!?」

 

とその時、誰かが紅葉の肩をポンっと起き、振り返るとそこには……お巡りさんが立っていたのだった。

 

「君、ちょっと話良いかな?」

「ファッ!!?」

 

実際、今のこの状況は端から見れば紅葉が嫌がってるメイド服を着た女の子の腕を無理矢理掴んでいるようにしか見えず、そうなってしまうのも無理はないだろう。

 

尚、その間にことりは「ごめーん!!」と紅葉に謝りながらそそくさと逃げ出し、彼女を追いかけるのは穂乃果と海未に任せ、お巡りには絵里が事情を説明してくれることに。

 

そして逃げ出したことりはというと……穂乃果と海未を上手く巻くことに成功し、彼女は一安心してホッとその場に立ち止まる。

 

「脱出ルート決めておいて良かった~」

 

だが……。

 

「見ぃ~つけた♪」

「ふあ!?」

 

既に希に先回りされており、彼女は両手を構える。

 

「これ以上逃げるとそのふくよかな胸をワシワシするよ~」

「ひい~!? ご、ごめんなさい~!!」

 

ことりはそのことに怯え、最終的に彼女は諦めて観念し、みんなに事情を説明することになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、希に捕まったことりは観念し、一同を自分が働いているというメイドカフェの店……「キュアメイドカフェ」へと案内したのだった。

 

「あ~、やっぱりここかぁ。 最近来てなかったからなぁ……」

 

ただ店に入る前に紅葉が突然立ち止まってそんなことを呟き、彼は少し入店するのを戸惑っているようだった。

 

「何してるのお兄ちゃん? みんな待ってるよ!!」

「あ、あぁ……」

 

だが穂乃果に腕を引っ張られて紅葉は渋々店の中へと入るのだった。

 

そして紅葉達はそこでことりから衝撃的な事実を聞かされたのだ。

 

それは以前、にこが話していた秋葉のカリスマメイド、「ミナリンスキー」本人だというのだ。

 

「あっ、だからにこ先輩がサイン色紙持ってた時ちょっと慌ててたんだな? ミナリンスキーっていうのも名字の『南』から取ったのか」

 

紅葉の言うように、ことりがあの時少し慌てていたのはにこがミナリンスキーの正体を知っているかもしれないと思ったからである。

 

「こ、ことり先輩がこの秋葉で伝説のメイド、ミナリンスキーさんだったんですかぁ!?」

 

勿論、それを聞いて全員……特に花陽は驚きの声をあげていた。

 

「カリスマとは聞いてたけど……ふーん、伝説って?」

「あぁ!!」

 

尚、紅葉と穂乃果がふざけてそんな会話を繰り広げ、それに絵里が「紅葉くん、穂乃果、遊ばない」と注意する。

 

「それにしても酷いよ!! ことりちゃん!! そういうことなら教えてよ!!」

 

と隠し事をしていたことりに穂乃果はプンスカ怒った様子で言うのだが……。

 

「言ってくれれば遊びに来てジュースとかご馳走になったのに!!」

 

と発言する穂乃果に花陽は思わず「そこ!?」とツッコミを入れてしまう。

 

するとそこで絵里が「じゃあこの写真は?」と壁に貼られた先ほどの写真&その他を見ながら質問するとことりが言うには店内のイベントで歌わされてその時に撮られた写真なのだという。

 

「撮影、禁止だったのに……」

「オイ、撮影した奴誰か分かるか? 説教してことりの前に突き出して謝らせてやる」

 

どこか悲しげに言うそんな彼女の姿を見て紅葉は写真を勝手に撮影した誰かにカチンっと来たのか、怒りを燃やしていた。

 

そんな時、彼女に「ごめんなことりちゃん」と突然、彼女達の前に現れ、ことりに謝罪する1人の中年の男性が現れた。

 

「あっ、店長さん!! いえ、もうこうしてみんなにバレるのも時間の問題だったと思いますし……」

「兎に角、あんなの盗撮まがいのものだし、実はもう犯人も見つけて出禁にしてやったからな」

 

店長の言葉にことりは「そうなんですか!?」驚き、店長はそんなことりの言葉に対して「こういうルール守らない客はこっちから願い下げだ」と笑いながら言い放ち、また店長は紅葉の姿を見て右手をあげて「やあ!」と挨拶した。

 

「紅葉の兄ちゃん、ウチに来てくれるの久しぶりですね~。 しかしことりちゃんの知り合いとは驚きましたよ」

『えっ?』

「……」

 

店長のその言葉に、穂乃果達9人は一斉に驚いたような表情を浮かべ、全員が紅葉の方へと視線を向け、紅葉は顔を逸らす。

 

「紅葉くんってここ通ってたん?」

「ことりちゃんが入ってからしばらく来てくれていなかったけど常連だぞ?」

 

店長の「常連」という言葉に1年組と絵里、にこ以外は少し意外だったという表情を浮かべ、逆に穂乃果、海未、ことり、希は「あー、やっぱり」とでも言いたげな顔を浮かべていた。

 

「ウチの巫女服姿に反応した辺りからそんな感じはしとったわ」

「そう言えばことりちゃんのメイド服にも……もしかしてお兄ちゃんこういうの好きなの?」

 

ジトーっとした視線を穂乃果に向けられる紅葉だが……。

 

「そうだよ!! 悪いか!! 俺がメイド好きで!!」

「開き直ったにゃ!?」

 

と完全に開き直ってしまった。

 

「それより今はことりのことだろ!! ことりの!!」

 

一方で穂乃果が「そうかそうか、お兄ちゃんメイドとかこういうのやっぱり好きなんだ……」と何かブツブツ言っていたが、紅葉はどうにか無理矢理話を軌道修正してことりの話に戻そうとする。

 

「それにしても紅葉の兄ちゃん、美少女9人も羨ましいねぇ……? ハーレムでも作るのかぁい?」

 

とその時、ひょっこりとテーブルの下から顔だけを出してきたホラー漫画に出てきそうな顔をした男性が現れ、それに気づいた穂乃果達は又もや「うわああ!!?」と驚きの声をあげ、花陽に関しては涙目になって凛の後ろに隠れる。

 

「良いねぇ! 良いねぇ! そこの涙目になってる君!! 可愛い女の子が泣く姿はそそるねぇ~!!」

「「お前は何してんだコラ!!」」

 

そんな変態臭いことを言う男性の頭を店長と紅葉が殴りつけ、殴られた男性は頭を抑えてのたうち回る。

 

「『ブニョ』!! お前は裏方担当だろうが!! なに出てきてんだ!!」

「可愛い女の子がいっぱいいたから、仲良くなりたかっただけだよ」

「お前は自分が数秒前に言ったこと思い出して見ろ。 『女の子が泣く姿がそそる』とか言ってたろ、なにが仲良くしたいだ!! お客さん怖がらせてさっさと仕事戻らんか!!」

 

店長に怒鳴られ、「ブニョ」と呼ばれた男性は「ちぇ!」と舌打ちしながら厨房へと戻るのだった。

 

「あははは、相変わらず面白い人ですね、ブニョさん……」

「そんなことを言うのは君だけだよ、ことりちゃん」

 

それから店長は一同……特に怖がっていた花陽に頭を下げて謝罪し、そこから紅葉は脱線しかけていた話を戻そうとことりに話を振る。

 

「まぁ、取りあえず、ことりは伝説のメイドって言ってもアイドルって訳じゃないんだよな?」

(あっ、自分のメイド好き云々の話から逸らしたにゃ)

 

紅葉の質問に対してことりは「うん! それは勿論!!」と答えるが、海未はでもどうしてことりがここでバイトすることになったのか分からず、そのことを彼女はことりへと尋ねる。

 

「それは、丁度3人でμ'sを始めた頃……」

 

海未の質問に対し、ことりは3人でμ'sを始めた頃にここの店のメイドにアルバイトをやらないかと誘われたらしく、最初は断ろうとしたのだが……。

 

メイドの衣装が気になったことりは半ば流される形でキュアメイドカフェへと行き、そこで着たメイド服を気に入った為、そのままここでバイトをすることになったというのだ。

 

「自分を、変えたいなって思って……。 私、穂乃果ちゃんや海未ちゃん、紅葉くんと違ってなにもないから……」

 

俯きながらそう語ることりに穂乃果は「何も無い?」と彼女は不思議そうに首を傾げる。

 

「穂乃果ちゃんみたいにみんなを引っ張って行くこともできないし、海未ちゃんみたいにしっかりもしてない。 紅葉くんみたいに色々できる訳じゃないし……」

 

そんな風にネガティブ的なことを言うことりに穂乃果は「そんなことないよ!!」とハッキリと言い放つ。

 

「ことりちゃん歌もダンスも上手だよ!!」

「衣装だってことりが作ってくれているじゃないですか」

 

穂乃果と海未が励ますように言い、真姫からも「少なくとも2年の中では1番まともね?」と評されるのだが、ことり自身は「ううん」と首を横に振る。

 

「私はただ2人について行ってるだけだよ」

 

それでもことりは暗い表情を浮かべ、彼女は穂乃果や海未、紅葉と比べてやはり何もないと主張する。

 

それから、ことりはまだバイトがあるということで店に残り、紅葉は店長と話したいことがあるということで彼以外のメンバーは先に帰ることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュアメイドカフェの厨房、そこでは紅葉と店長が部屋の奥の方で2人は何かを話し合っていた。

 

「店長、最近……ラグナの奴ここに来たか?」

「いんや……。 噂じゃ死んだなんて話を聞きましたが……あの人がそう簡単にくたばるとは思えませんねぇ?」

 

店長のその言葉を聞いて紅葉は「俺もそう思う」と呟く。

 

「あいつが死ぬ瞬間を確かにこの目で見たが……あいつなら死を偽装することくらいできそうだし、何よりあんな死に方あっさりし過ぎてる……」

「ゴキブリ並みの生命力持ってそうですしね」

 

一方……店のベランダにて……。

 

そこではブニョが肩に赤いてるてる坊主のようなものを乗せながらタバコを吸いながら休憩時間を過ごしており、彼はふて腐れた顔を浮かべながら赤いてるてる坊主……「ノーバ」に話しかけていた。

 

「なぁ、ノーバよ~。 昔の俺達は何度敵に敗れても地球侵略を諦めなかったワルだったのに、今じゃすっかり牙が抜かれちまったよなぁ……」

 

彼は休憩時間にこんな風にタバコを吸いながら昔の思い出話や愚痴などをよくノーバに呟いており、ノーバは言葉は発せられないが彼の話をいつも真剣に聞いていた。

 

「あのブラック指令も今じゃオーブなんかと仲良く話しちゃってさ。 昔の面影がねーよ。 はぁ~あ、俺達ずっとこんな風に一生を過ごしていくのかねぇ~」

 

そんなブニョに対し、ノーバは彼を励ますように右腕をあげて右の布をバサバサと動かし、それを見てブニョは微笑ましく思ったのか笑みを浮かべながらノーバの頭をポンポンと軽く叩くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、絵里、海未、穂乃果は花陽、凛、真姫、希、にこと途中で別れ、3人は途中まで帰り道が同じ為一緒になって歩いていた。

 

「でも意外だなぁ、ことりちゃんがそんなこと思ってたなんて……」

 

穂乃果が先ほどのことりの話を思い出しながら呟き、そんな彼女の呟きに対して絵里は「意外とみんなそうなのかもしれないわね」と返し、穂乃果はそれに「えっ?」と首を傾げる。

 

「自分のことを優れているなんて人間は殆どいないってこと。 だから努力するのよ、みんな……」

「確かにそうかもしれません……」

 

絵里の言葉を肯定するように海未は頷く。

 

「そうやって少しずつ成長して……成長した周りの人を見て頑張って……ライバルみたいな関係なのかもね、友達って」

 

絵里のその言葉を聞いて穂乃果と海未は互いに顔を見合わせ、2人は笑みを浮かべる。

 

「絵里先輩にμ'sに入って貰ってホントに良かったです!!」

「なによ急に? 明日から練習メニュー軽くしてとか言わないでよ?」

 

いきなり海未にそんなことを言われて絵里は少し恥ずかしいと思いつつも彼女は笑みを浮かべ、そんな彼女の姿を見て穂乃果と海未も笑うのだった。

 

それから絵里は「じゃあまた明日!」とそこで別れ、穂乃果は海未の方を見てあることを質問する。

 

「ねえ! 海未ちゃんも私を見てもっと頑張らなきゃって思ったことある?」

「数え切れないほどに」

 

穂乃果に質問に対してそう答える海未、その返答に穂乃果は「えぇ!?」と驚きの声をあげる。

 

「海未ちゃんなにをやっても私より上手じゃない! 私のどこでそう思うの?」

「……悔しいから秘密にしておきます♪」

 

そっぽを向き、そう答える海未に穂乃果は不満そうに「えー!!」と声をあげるが、そんな穂乃果を見て海未は思わず笑ってしまう。

 

「ことりと穂乃果、それに紅葉は私の1番のライバルですから!」

 

それを聞いて穂乃果は先ほどの絵里の言葉を思い出し、彼女は海未の言葉を嬉しく思い、「そうだね!!」と笑うのだった。

 

一方、神田明神にて……。

 

そこでは希が巫女のバイトで神社の周りを箒で掃除していたのだが、そこに帰った筈の絵里が現れ、希はそれを疑問に思いながら首を傾げる。

 

「どうしたん? 戻ってくるなんて……」

「ちょっと、思いついたことがあって……。 さっき、街を歩いていて思ったの。 次々新しいものを取り入れて毎日目まぐるしく変わっていく。 この街は、どんなものでも受け入れてくれる。 1番相応しい場所なのかもなって……私達の、ステージに!!」

 

 

 

 

 

 

翌日、放課後の穂乃果達の教室にて……。

 

そこではただ1人教室に残り、ペンを持ちノートを開いて真剣で真面目な表情を浮かべたことりがおり、そんな彼女の様子を穂乃果、海未、紅葉は扉に隠れてこっそり伺っていた。

 

「……チョコレートパフェ、美味しい! 生地がパリパリのクレープ、食べたい! 五本指ソックス……気持ちいい……」

 

ボソボソと真顔でそう呟くことりだったが、次の瞬間彼女は涙目になって机に突っ伏した。

 

「わあぁん!! 思いつかないよ~!!」

 

実は今ことりは次のライブに使うための曲を作詞しているところであり、なぜ彼女がそんなことになったのかと言うと……数日前の部活で……。

 

「秋葉でライブよ!!」

 

と絵里が突然言ってきたのが始まりだった。

 

「えっ、それって……」

「路上ライブ?」

 

穂乃果とことりの質問に絵里は「えぇ」と頷くが、にこはそのライブ場所を聞いて「秋葉と言えばA-RISEのお膝元よ!?」と驚きの声をあげるが、そんな彼女の肩を紅葉はポンっと手を乗せる。

 

「上等だよ、やってやろうじゃねーか!!」

 

とサムズアップしながらなぜか喧嘩腰の紅葉ににこは呆れた表情を浮かべ「なんでアンタそんな強気なのよ!?」とツッコミを入れる。

 

「でもそれだけに面白い!!」

「けど、随分と大体ね……」

 

希と真姫がそう言い、また絵里が言うには秋葉はアイドルファンの聖地、だからこそその場所を利用して認められるパフォーマンスができれば大きなアピールになるということで彼女は今回この案を提案したのだという。

 

それを聞いて穂乃果やことりも「良いと思います!!」「楽しそう!!」とノリ気なのだが……。

 

「しかし、凄い人出が……」

 

しかし、人見知りなところがある海未は2年組の中では唯一不安な表情を浮かべており、そんな彼女に紅葉は「まだ慣れてないのか」と苦笑しながら呟く。

 

「人がいなかったらやる意味ないでしょ?」

「それは……」

 

海未はにこの言葉に何も言い返すことができず、凛や花陽も「賛成!!」と手をあげ、当然ながら紅葉も絵里の意見には賛成派であり、海未は未だに悩んでいたが……流石に賛成派が多数なので彼女は潔く諦めることにしたのだった。

 

(その内、海未が人見知りじゃなくなる方法みんなで探してみるかな……)

「それじゃ早速日程を!!」

 

と穂乃果は日程を決めるためみんなに相談しようとするのだが、絵里は「その前に……」と呟き、穂乃果とことりは首を傾げる。

 

「今回の作詞は何時もと違って秋葉のことをよく知っている人に書いて貰うべきだと思うの」

 

絵里はそう言いながらことりの方へと顔を向き、「ことりさん、どう?」と尋ねられ、当然それにことりは驚きの声をあげる。

 

「あの街でずっとアルバイトしてたんでしょ? きっとあそこで歌うのに相応しい歌詞を考えられると思うの」

「えっ、絵里先輩流石にそれは無茶ぶりじゃないですかね?」

 

海未には昔ポエムを書いていたという経験があったから歌詞作成に抜擢されたが、ことりにはそういったものがないので紅葉が幾らなんでもそれは無茶ぶりじゃないかと思ったのだが……。

 

「でも、秋葉のことをよく知ってるのはことりさんだと思うし」

「いや、一応俺もあの辺よく行ってますけど……」

「紅葉くんはその……なんか違うのよね」

 

絵里にそう言われて紅葉は「なんかちょっとショック!」と言いながら蹲り、そんな彼の頭を嬉しそうに励ますように穂乃果が撫でる。

 

「でもお兄ちゃん、私も絵里先輩の意見に賛成かな! それ凄く良いと思うし!!」

「やった方が良いです!! ことりなら秋葉に相応しい良い歌詞が書けますよ!」

 

穂乃果や海未からも歌詞作成を勧められ、凛や花陽、希や真姫、最終的には紅葉もことりが歌詞を書いて欲しいということになり、それにことりは戸惑いつつも「う、うん!!」と頷いてこの役目を引き受けるのだった。

 

そして現在……。

 

「ふわふわしたもの可愛いな♪ ハイッ! あとはマカロン沢山並べたら~♪ カラフルで~し~あ~わ~せ~♪ ルンルンララン……」

 

彼女は未だに歌詞作詞に悩んでおり、また涙目になると彼女は嘆くように「やっぱり無理だよ~!!」と叫ぶのだった。

 

「中々苦戦しているようですね……」

「うん……」

「でもアレはアレで脳がトロけそうで悪くない気もするがな……」

 

それから数日が経過するのだが、ことりは未だに「なに書いていいのか分かんないよ~」と歌詞に思い悩んでおり、授業中にも身が入らない始末。

 

そしてまた放課後の教室でノートを開き、歌詞を書こうとしているのだが……。

 

やはり彼女は歌詞の内容が何も思いつかず、ノートを閉じてしまうのだった。

 

「やっぱり私じゃ……」

 

そんな彼女を見かねてか、こっそりと廊下から扉越しに様子を伺っていた穂乃果が「ことりちゃん!!」と彼女を名前を呼びながら教室へと入って来る。

 

「穂乃果ちゃん?」

「こうなったら一緒に考えよ!! 取っておきの方法で!!」

「……えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして穂乃果の言うその取って置きの方法と言うのが……。

 

「お帰りなさいませ!! ご主人様!!」

「お帰りなさいませ!! ご主人様!!」

「お帰りなさいませ……ご主人様……」

「お帰りなさいませ、ご主人様!!」

 

キュアメイドカフェにて……ことり、穂乃果、海未、紅葉がメイド服を着てしばらくここで働くことだったのだった。

 

「わぁ~! 可愛い!! 3人ともバッチリだよ!!」

 

なんてことりははしゃいでいたが海未は凄く恥ずかしそうにしており、紅葉に至っては……。

 

「……ってちょっと待てやあああああああ!!!!! なんで俺もメイド服着てるの!? なにこれイミワカンナイ!!」

 

なぜか彼もメイド服を着せられており、しかも茶髪のロングヘアーのカツラを被せられ、さらにことりによるメイクでどこからどう見ても女性にしか見えない穂乃果達と並んでも見劣りしない美少女に変身していたのだ。

 

しかも髪色のせいか穂乃果と並んだら本当の姉妹のようにも見える始末である。

 

「だってお兄ちゃんメイド好きなんでしょ?」

「着るのとは別だろ!! でもまぁ、これで少しでもことりの助けになるのなら……」

 

正直紅葉としては今すぐに着替えたいのだがこれで少しでもことりの助けになるのならと思い、その気持ちをはグッと堪え、なんだったら徹底的にやってやろうと気持ちを切り替える。

 

「なんだったら声も変えるか……んんっ!」

「「「……えっ?」」」

「お帰りなさいませ! ご主人様!!(丹〇桜ボイスで」

「「「えぇ!!? なにその特技!!?」」」

「ミックスボイスってやつだ」

 

やたらと可愛らしい声に変わった紅葉に穂乃果、海未、ことりは驚きの声をあげる。

 

するとそこへ「にゃー!」と右手をあげながら「遊びに来たよ!」と言って凛が入店し、少し遅れて花陽、真姫、絵里、希、にこもやってきた。

 

「秋葉で歌う曲なら秋葉で考えるってことね?」

「まぁ、そういうことですね~。 現状それしか打開策がありませんし」

 

絵里の言葉に同意するように頷く紅葉だが、今の紅葉は見た目も声も普段と全く違うため、絵里は「えっ、誰?」と首を傾げる。

 

「分かりづらいかもしれないけど、紅葉お兄ちゃんだよ!」

 

そこで穂乃果が絵里達に説明し、それを聞いて一同は当然「えええええ!!!!?」と驚きの声をあげる。

 

「声まで変わってるじゃない!! しかも見た目も可愛い!!」

「声を変えるのはお兄ちゃんの特技だそうで……」

「あはは、面白いやん!! ではでは~早速取材を~」

 

希は持って来たビデオカメラを起動させるのだが、慌てて海未がカメラの画面を抑えて「やめてください!!」と拒否し、海未は「なぜみんなが……」と疑問を口にすると隣にいる穂乃果が「私が呼んだの!」と答えた。

 

「それより早く接客して頂戴!」

「うっ……」

 

にこに言われ、一瞬戸惑う海未だが、そこですかさずことりが迅速に対応する。

 

「いらっしゃいませ、お客様。2名様でよろしいでしょうか?」

 

「それではご案内致します、こちらのお席へどうぞ」

 

「メニューでございます。 ただいま、お冷をお持ち致します。 失礼致しました」

 

最後に愛らしい笑顔を見せ、そんなことりの接客業に一同は惚れ惚れとした視線を向ける。

 

「さすが伝説のメイド……」

「ミナリンスキー……」

 

花陽や凛も目を輝かせながら静かにそう呟き、メイド好きの紅葉もことりのその接客っぷりから「これは確かに伝説のメイドかもしれない……」と思うと同時に、「なんでもっと早く来なかったんだ……」と落ち込み、膝を突くのだった。

 

「クソ、もっと前から知ってたら……!! 知ってたら!! 教えろよ、ブニョか店長!!」

 

そんな紅葉を見て穂乃果は「ぷくーっ」と頬を膨らませ、紅葉の尻を思いっきり抓った。

 

「いった!!? 何すんだ穂乃果!?」

「知らない!!」

 

尻を抓った穂乃果に怒鳴る紅葉だったが、穂乃果はプイっと顔を逸らし、紅葉は訳が分からず困惑するのだった。

 

そんな時のことである、ガラの悪い2人組の男が店内に入ってきたのは。

 

「ふーん、ここがあのブラックが店長やってるって店か」

「ブハハハハ!! あのブラックがこんなオタク臭い店の店長!!? 腹痛いっすね兄貴!!」

 

1人は耳にピアスなどをした男性で、もう1人はその男性の弟分のようで弟分は辺りを見回しながら腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。

 

穂乃果達は「なんか変な人達が入って来た……」としか思わなかったが、紅葉にはその2人の男性の正体にすぐに気づくことができた。

 

2人とも、地球人に化けた宇宙人であり、紅葉の目にはその2人の本来の姿が映し出されていた。

 

そしてそんな2人の存在に店長も気づいたようで彼は兄貴分達の元に行くとどうやら店長はこの2人と知り合いのようで「久しぶりだな」と声をかけたのだ。

 

「フン! 牙を抜かれた腑抜けが気安く俺達に話しかけてんじゃねえぞ」

「相変わらず口が悪いな、お前は」

 

弟分の言葉に店長は呆れたような視線を送り、兄貴分は「すまんな」と笑いながら謝罪する。

 

「だがこいつの言ってることは正しいとは思わないか? かつてはあちこちで暴れ回っていたのに、今ではすっかり大人しくなってこんな下らん店の店長とは……」

「正義の味方には勝てないと悟っただけさ」

「腰抜けになっただけだろ」

 

兄貴分のその言葉を聞き、店長の肩にちょこんっと座るように乗っていたノーバはその言葉を聞いて額に青筋を浮かべ、兄貴分に飛びかかろうとするのだがそれを店長は手で押さえて落ち着かせる。

 

「今日は煽りに来たのか? 注文しないなら帰ってくれ」

「おっと、すまんな。 ではお前の自慢のメイドに接客を頼もうか」

 

それから店長は丁度手の空いたことりに兄貴分達の接客を頼み、自分は厨房に入ろうとしたのだが……そこでこっそりと顔を覗かせていたブニョを発見し、店長は「サボるな!!」と怒鳴ろうとしたのだが……。

 

「店長!! あんだけ言われて悔しくないのかよ!! 俺、許せねえ!!」

「ノーバも、お前も落ち着け。 客の前だぞ? 冷静になれ」

 

店長にそう言われてブニョは唇を噛み締めつつ、「そんなんだから腰抜けって言われてんだろ!!」とだけ言い残して厨房へと戻り、店長は頭を抱えて「はぁ……」と溜め息を吐くのだった。

 

その時、「きゃあ!?」ということりの悲鳴を聞き、振り返るとそこには転んで尻餅をついたことりの姿があり、店長や紅葉達は慌てて彼女の元へと駆け寄る。

 

「ことりちゃんどうしたん!?」

 

みんなでことりを起き上がらせ、希がことりに何があったのか聞くと彼女は兄貴分達の注文を聞き、それを厨房にいるブニョに伝えに行こうとした時、兄貴分か弟分のどちらかにお尻を触られ、それに驚いて転んでしまったというのだ。

 

「なにそれ、最低にゃ!!」

「オイオイ、俺達が嘘言ってるって証拠があるのか? 他に目撃者でも?」

「ことりはそんな娘じゃありませんし、彼女が嘘を言っているという証拠もありませんが?」

 

兄貴分の言い分に、いつもは初対面の人物には緊張などする海未もことりのために堂々と言い返し、彼女を庇う。

 

「それよりもさ、ズボンにその娘がさっき持って来てくれた水ズボンに零れちゃったんだけど? お尻触ったかどうかは兎も角、その娘が転んだせいで俺が濡れたのは紛れもない事実だよ」

 

また弟分はことりが注文を聞きに行った際に置いたコップに入った水が先ほどことりが転んだせいでズボンにかかったと主張。

 

「ちょっとメイドさん、君のせいで濡れちゃったんだからちゃんと吹いて貰えるかなぁ?」

「えっ……」

 

下劣な笑みを浮かべ、濡れたズボンの位置を指差す弟分。

 

位置が位置なので完全にセクハラである。

 

それに対し、兄貴分達を睨み付けて文句を言おうとした店長や絵里だったが……。

 

それよりも早く、2人の髪の毛を……紅葉が「ガシッ」と掴みあげる。

 

「お客様? 当店でのそういった行為はご遠慮くださいませ♪」

 

満面の笑顔で……けれども恐ろしい表情で、額に大量の青筋を浮かべた紅葉は2人の髪の毛を全力で引っ張り、無理矢理外に連れ出す。

 

「いだだだだ!!? なんだこいつ!!? なにこの怪力!!?」

「ハゲる!! ハゲる!!」

 

そのまま2人を外に放り出した紅葉は「二度と来んな」とだけ言って店の中に戻ろうとするのだが……。

 

「ふざけんなよクソアマァ!!」

 

ナイフを取り出し、後ろから紅葉を刺し殺そうとする兄貴分だったが、紅葉はナイフが届くよりも早く振り返りざまに拳を兄貴分の顔面に叩き込んだ。

 

さらに紅葉は続けざまにアッパーカットを兄貴分の顎に叩き込み、兄貴分は大きく吹き飛ばされ、地面に倒れる。

 

「ぐふう!!?」

「あ、兄貴ぃー!!? こ、この野郎よくも兄貴を!!」

 

そこで弟分も兄貴分の仇を取ろうと紅葉に殴りかかるが、紅葉は弟分の腕を掴んで背負い投げを繰り出し、弟分は背中を地面に激突させる。

 

「ぐう!!?」

 

倒れたところに紅葉はすかさず弟分の顔面に強烈なパンチを叩きこむ。

 

「ぐへえ!!?」

「お帰りくださいませ、ご主人様♪ 次来たらこんなもんじゃすみませんから!」

 

先ほどと同じく満面の笑みで、けれども額に大量の青筋を浮かべ、恐ろしい表情となっている紅葉の顔を見て2人は「ひ、ひいいいい!!!?」と悲鳴をあげながら立ち上がってその場から逃げるように立ち去り、紅葉は店の中へと戻って行くのだった。

 

「すごーい!」

「かっこ良かったよお姉さん!!」

 

店の中に戻ると従業員の他のメイド達や他の客達から迷惑な客を追い出したとして拍手喝采され、紅葉は軽くペコリと頭を下げた後、ことりの元へと向かう。

 

「大丈夫か? ことり?」

「う、うん、ありがとう紅葉くん!」

「お兄ちゃん、かっこ良かったよ!!」

 

穂乃果に背中をパンパンと叩かれ、紅葉は「そうか?」と尋ねると穂乃果は力強く頷いた。

 

「さて、それじゃ変な客もいなくなったことだし、仕事の続きと行こうか」

「「うん!!」」

「は、はい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は紅葉、穂乃果、海未、ことりはおかしな客もいなくなったので順調に仕事を進めていくのだが……海未は先ほどから接客をせず、裏で洗い物ばかりしており、それを穂乃果に注意されていた。

 

「海未ちゃん? さっきから海未ちゃん洗い物ばっかり!! お客さんとお話しなよ!!」

「し、仕事はしています! そもそも本来のメイドというのはこういう仕事がメインの筈です!!」

「屁理屈じゃねえか」

 

紅葉もそんな海未に呆れ、やっぱりその内彼女のコミュ障を直すべきだなと考えるのだった。

 

「まぁ、無理にとは言わないが、少しくらいは接客をしてみて貰えんかね海未ちゃん?」

 

店長にもそう言われ、海未はそれに少し考え込む仕草をした後……「まぁ、後で少し頑張ってみます……」と答え、それに店長は笑みを浮かべて「うむ」と頷いた。

 

「ところで店長がさっきから肩に乗せてるてるてる坊主……? のぬいぐるみ可愛いですね!」

 

穂乃果は店長の肩に乗っているノーバの頭を撫で、店長も「そうか」と小さく呟く。

 

「こいつはまぁ、この店のマスコット……みたいなもんさ」

「へぇ~」

 

そこに新しく洗う食器を持って来たことりが厨房に現れ、海未に皿洗いをお願いするのだが……。

 

「ダメだよ海未ちゃん? ここにいる時は笑顔を忘れちゃダメ!」

「しかし、ここは……」

「お客さんがいなくてもそういう心構えが大事なの!」

 

笑顔で海未にそう教えることりに穂乃果と海未、紅葉は感心したような表情を浮かべ、また紅葉は「やっぱり伝説のメイドだわ、ことりって……」と改めて彼女がミナリンスキーであることを認識したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、穂乃果達は仕事を終えて帰り、現在店長は肩にノーバを乗せたまま店の扉にかけられた札をopenからClosedに変えて閉店準備をしているところだった。

 

「店長・・・・・・」

 

するとそこへブニョが現れ、店長は怪訝な顔をして「何をしてる? 片付けの準備をしろ」と言うのだが・・・・・・。

 

「そんなのどうでも良いんだよ!! 店のこととかそんなのもう!!」

「なんだと?」

「夕方に現れた異星人の客が俺達のことを好き勝手言ってて思ったんだ。 やっぱり悔しいって・・・・・・!! 俺はアンタについて行くことを決めていたけどなぁ!! もう我慢の限界だ!!」

 

今まで溜め込んでいたのを吐き出すように、店長に怒鳴り散らすブニョ。

 

「ブニョ、落ち着け」

 

店長はブニョに落ち着かせようと彼の肩に手を乗せるが、ブニョはその手を振り払う。

 

するとその時、なんとノーバまでもが店長の肩から離れてブニョの元へと行き、それに店長は驚きの表情を浮かべる。

 

「ノーバ!! まさかお前まで・・・・・・! バカなことはやめるんだ!!」

「嫌だ!! 俺達はアンタが諦めた夢を叶える!! だからやめはしない!! 行くぞノーバ!!」

 

そしてブニョとノーバは店長の制止を振り切ってその場から走り去って行き、ブニョは緑色の巨大な姿「円盤生物 星人ブニョ」へと姿を変え、またノーバも巨大化して「円盤生物 ノーバ」となって出現したのだ。

 

「ブニョ! ノーバ!! あのアンポンタン共がぁ・・・・・・!!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、家に帰っている途中だった紅葉達はというと・・・・・・。

 

「えっ!? あれって・・・・・・店長が肩に乗せてたてるてる坊主!?」

 

穂乃果達はノーバとブニョの存在に気づき、2体が街で暴れようとしているのを目撃。

 

「・・・・・・っ、店長!!」

 

ことりはノーバを見て店長に何かあったのかと思い、彼女はカフェに急いで戻り、それに穂乃果と海未もことりを慌てて追いかける。

 

「ことり!?」

「ことりちゃん!!」

 

ただし、紅葉はことりは追いかけず、彼女のことは穂乃果達に任せて彼は人気のない場所へと向かう。

 

「ノーバ、ブニョ・・・・・・!! アイツ等何してんだ!!」

 

紅葉は怪訝な表情を浮かべながらもオーブリングを取り出し、最初にウルトラマンのカードを取り出してそれをリードさせる。

 

「ウルトラマンさん!!」

『ウルトラマン!』

 

続いて紅葉はティガのカードをオーブリングにリード。

 

「ティガさん!!」

『ウルトラマンティガ!』

 

最後に紅葉はオーブリングを掲げる。

 

「光の力、お借りします!!」

『フュージョンアップ!』

 

そして紅葉はウルトラマンとティガの力を合わせた「ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン」へと変身し、ノーバとブニョの前に立ち塞がったのだ。

 

『ウルトラマンオーブ! スペシウムゼペリオン!』

 

戦闘BGM「スペシウムゼペリオンのテーマ」

 

『俺の名はオーブ!! 闇を照らして、悪を討つ!!』

『出たなオーブ!! 先ずは貴様を倒すことが俺達の目的だ!! 行くぞノーバ!!』

 

ノーバはブニョの言葉に頷き、ノーバはマントの下にある右手の触手を伸ばしてオーブに攻撃するが、オーブは「スカイタイプ」の力を使ってそれを受けて一気に接近し、ノーバの顔を力強く掴みあげる。

 

だがノーバは目から放つ「ノーバレーザー」をオーブに撃ち込んで引き離し、そこでブニョが真横からドロップキックをオーブに繰り出して蹴り飛ばす。

 

『ウオッ!?』

 

地面に倒れ込んだオーブにブニョは跨がって両手でオーブの首を締め上げるが・・・・・・オーブは足を振り上げてブニョの背中を蹴り押し退かす。

 

その後、すぐに立ち上がるオーブだが直後にノーバが円盤形態に変形して敵を切り裂く「ファントムアタック」を繰り出し、それにオーブも両腕を広げてエネルギーを貯めてから放つ通常よりも巨大な光の鋸「スペリオン光輪」を投げつける。

 

『スペリオン光輪!!』

 

それを受けてノーバは弾かれるように吹き飛ばされ、地面に倒れ込み、追撃を行おうとするオーブだが背後からブニョに羽交い締めにされる。

 

『今だノーバ!!』

 

ノーバは元の姿に戻ってフラつきながらも立ち上がり、オーブに接近して左の鎌でオーブを斬りつける。

 

『グアアア!!?』

 

続けざまにもう1度ノーバが鎌をオーブに振り下ろそうとするが、オーブは足を振り上げてノーバを蹴り飛ばし、ブニョに肘打ちを喰らわせて自分から離れさせ、ブニョの腕を掴むと背負い投げをオーブは繰り出す。

 

『シュア!!』

『ぐおっ!? ぐぅ、俺達は諦めないぞオーブ!! あの人の夢は俺達の夢なんだ!! だからこんなところで・・・・・・あの人の為にも、負けてたまるかああああああ!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、戦いの様子を眺めていた店長はというと・・・・・・。

 

「アイツ等・・・・・・!! そうか、お前達は私の為に、そこまで・・・・・・!!」

 

ブニョの叫びを聞き、店長は唇を噛み締め、拳を強く握りしめる。

 

「店長!!」

 

するとそこへことり達が店長の元へと現れ、店長はことり達に視線を向け「君たち・・・・・・」と小さく呟く。

 

「店長、あれって・・・・・・店長が肩に乗せてたてるてる坊主、ですよね? それに、あの緑色の宇宙人みたいな人は・・・・・・」

 

ことりがノーバ達のことを尋ねると、店長は静かに彼女の質問に対して答える。

 

「あの緑色の奴はブニョだ。 そしてあの赤い奴はノーバ。 2人とも、私の相棒だ」

「えっ!? あれってブニョさんなの!? じゃあ、店長も・・・・・・」

 

店長の言葉を聞き、穂乃果はブニョが宇宙人で、ノーバが怪獣なら店長もただの人間ではないのではと疑問を口にし、それに対して店長は「そうだ」と答える。

 

「ノーバ、ブニョ・・・・・・、アイツ等はずっと夢を諦めていなかったんだ。 私が諦めた夢を・・・・・・!」

「店長の、夢って・・・・・・まさか」

「そのまさかだよ、海未ちゃん。 私の・・・・・・いや、私達の夢は、地球、侵略!! アイツ等があそこまでやっているんだ。 私が共に戦わない訳にはいかんでしょう!」

 

そんな店長の言葉を受け、穂乃果達は「まさか・・・・・・」と嫌な予感が過ぎる。

 

「すまなかったな。 お前達だけには戦わせない!! ノーバ!! ブニョ!! 今こそ、私達の夢を叶えようぞ!! 」

 

店長がそう言い放つと彼は水晶のようなものを取り出し、それを掲げると店長は赤い光に包まれてノーバの口の中へと吸い込まれる。

 

それによってノーバは戦闘力が強化され、ノーバの中にいた店長も黒い衣服を纏い、帽子被り、杖を持った姿へと変わった。

 

『やっと来たか。 遅いんだよ店長!』

「バカもん!! 今の私は店長ではない・・・・・・!! 今の私は、『ブラック指令』だ!! 行くぞ2人とも!! 地球、頂きます!!」

 

店長改め、「ブラック指令」は杖をブニョに向かってかざすとブニョも身体が一瞬光って戦闘力が強化され、ノーバ、ブニョはオーブへと戦いを挑む。

 

ノーバはもう1度必殺のファントムアタックを繰り出し、それに対してオーブもまた巨大スペリオン光輪を放つのだが・・・・・・ノーバの回転力が先ほどの倍以上となっていた為にスペリオン光輪はあっさりと砕かれノーバの技がオーブに直撃。

 

『デヤアアアア!!!!?』

 

続けざまにブニョがジャンプして拳を突き出し、それにオーブも「パワータイプ」の力を使って拳を突き出し、互いの拳がぶつかり合うのだが・・・・・・直後にブニョはオーブの横腹に蹴りを入れ、怯んだところに右手でオーブの顔にビンタを喰らわせる。

 

『グオ!?』

「あの2体見かけによらず強いじゃん!! てるてる坊主となんか何時も調子悪そうな顔をしてる人だったのに!!」

「シンプル・イズ・ザ・ベストってやつだよ穂乃果ちゃん! 最近の怪獣はゴチャゴチャしていかん!」

『イズマエルとかな!! ってか顔色悪そうな顔で悪かったな!!』

 

オーブはジャンプしてノーバの背後に回り込み、ノーバに掴みかかって動きを止めようとする。

 

『店長!! もうやめろ!! ノーバとブニョもだ!!』

「私はもう店長ではない!!」

「店長もうやめてー!!」

「そうですこんなこと!!」

「店長ー!!」

 

「店長ではない」と言っているにも関わらず、穂乃果達は店長の名を呼び、ブラック指令は「だから違う!!」と言いながらノーバを操って振り払って振り返りざまに鎌でオーブを斬りつける。

 

『この分からず屋共が!!』

 

すると紅葉はオーブリングに新たなカードをリードさせる。

 

『レオさん!!』

『ウルトラマンレオ!』

 

1枚は「ウルトラマンレオ」のカード。

 

『ゼロさん!!』

『ウルトラマンゼロ!』

 

そしてもう1枚は「ウルトラマンゼロ」のカードをリード。

 

『師弟の力、お借りします!!』

『フュージョンアップ!』

 

紅葉はオーブリングを掲げ、オーブはレオとゼロの力を宿した「ウルトラマンオーブ レオゼロナックル」へと姿を変える。

 

『ウルトラマンオーブ! レオゼロナックル!』

『宇宙拳法、ビッグバン!!』

 

ブニョは口からドロドロの液体を口からオーブに向かって吐き出すが、オーブは両手に炎を宿し、対象を手刀で切り裂く「レオゼロビッグバン」を繰り出して液体を弾く。

 

『レオゼロビッグバン!!』

 

それによって液体はオーブの手が触れた瞬間に瞬く間に蒸発し、それを見たブニョは今度はオーブの足下に液体を放つがオーブはそれをジャンプしてブニョの頭部を蹴りつける。

 

またそこへ円盤形態になったノーバがオーブに向かって突撃して来るが、オーブはそれを跳び蹴りを繰り出してノーバの顔面に直撃させ、ノーバを撃墜。

 

『シェア!!』

 

今度は背後からブニョがオーブに掴みかかろうとしてくるが、それに気づいたオーブはブニョの腕を掴んで背負い投げを繰り出し、ノーバに激突させる。

 

『ぐおおお!!!?』

『スペシウムゼペリオン!』

『セルチェンジ・スペリオン光線!!』

 

その後、オーブはスペシウムゼペリオンへと戻り、両手をプロテクターの前に添えた後、右腕、左腕の順番に両腕をL字に広げてエネルギーを集めてから両手を十時に組んで放つ「セルチェンジ・スペリオン光線」を一列に並んだブニョとノーバに向かって放つ。

 

光線は最初にブニョに直撃し、そのまま貫通してノーバに光線が直撃。

 

『「うぐああああああ!!!!!?」』

 

直撃を受けたブニョとノーバは粒子のようになって消滅するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある公園にて・・・・・・。

 

「結局、また負けてしまったなぁ・・・・・・」

 

そこでは公園の置物の上に座り、うなだれている店長と人間形態のブニョ、そしてミニサイズになったノーバの姿があった。

 

「あの光線を受けて、俺もノーバも、円盤生物の姿になれなくなっちまった!! クソクソクソ!!」

 

するとそこへ、紅葉が「お疲れさんです」と声をかけながら店長達の元へと現れたのだ。

 

それを見てブニョは紅葉を睨み付けながら彼の胸倉を掴みあげる。

 

「お前!! 何のつもりだ!! 俺とノーバから円盤生物の力を奪いやがって!!」

 

そんなブニョに対し店長は「やめろ」と声をかける。

 

「どの道、これが我々にって夢を叶える最後のチャンスだったんだ。 彼は我々を倒せた筈なのに、倒さなかった。 完敗だ」

「・・・・・・さっき、ことりが穂乃果と話してたんだがな・・・・・・」

 

それは・・・・・・先ほどまで穂乃果や海未がことりと一緒に喫茶店で働いていた時のことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ことりちゃん、やっぱりここにいるとちょっと違うね?」

「えっ? そうかな?」

「別人みたい!! 何時も以上にイキイキしてるよ!!」

 

穂乃果にそう言われ、ことりも確かにそうなのかもと思い、彼女は照れ臭そうにしつつ「うん」と頷く。

 

「なんかね、この服を着てると『できる』って言うか・・・・・・。 この街に来ると、不思議と勇気が貰えるの! もし、思い切って自分を変えようとしても、この街ならきっと受け入れてくれる、そんな気持ちにさせてくれるんだ!! だから好き!!」

 

そんなことりの言葉を聞いて穂乃果は微笑み、すると彼女は「あっ!」と何かを思いついたかのような顔を浮かべる。

 

「ことりちゃん!! 今のだよ!!」

「えっ?」

「今ことりちゃんが言ったことを、そのまま歌詞にすれば良いんだよ!! この街を見て、友達を見て、色んなものを見て・・・・・・ことりちゃんが感じたこと、思ったこと、ただそれを・・・・・・そのまま歌に載せるだけで良いんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ことりがそう思えるようになったのはきっと、アンタ達があの店をやってくれていたおかげだ。 アンタ達は俺の友人の恩人なんだよ。 だから、俺にはアンタ達を倒すことはできなかった。 きっとことり達も、アンタ等に感謝してる筈だ」

「ことりちゃん達が・・・・・・」

 

紅葉はそれだけを店長達に伝えると、彼はその場から立ち去ろうとするのだが、途中で足を止め、あることを店長達に伝える。

 

「それともう1つ、円盤生物になれないのは一時的なものだ。 もしまた、バカやろうってんなら先ずは俺のところに来てくれ。 人様の迷惑にならないとこでなら何時でも相手になる」

 

それを聞き、店長やブニョ、ノーバは驚いた様子を見せる。

 

「あの店は気に入ってるからな。 また行くよ」

 

そして紅葉はそれだけを伝えるとその場を立ち去るのだった。

 

「全く、粋なことを・・・・・・つまりは地球侵略するなら先ずはオーブを倒せということか」

「みたいだな・・・・・・。 んで? 先ずはどうするよ店長?」

「決まってる、先ずは店に戻って明日の仕込みだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日が経過し、ライブ当日。

 

秋葉原にてμ'sのゲリラライブが行われた。

 

そしてことり作詞の曲は・・・・・・「Wonder Zone」

 

ライブの観客の中には、店長やノーバ、ブニョの姿もあり、ライブは無事大成功するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブが終わり、穂乃果、海未、ことり、紅葉の4人は神田明神に訪れていた。

 

「上手く行って良かったね! ことりちゃんのおかげだよ!」

「ううん、私じゃないよ。 みんながいてくれたから、みんなで作った曲だから・・・・・・」

 

穂乃果の言葉に対し、ことりはそう言葉を返した。

 

「そんなこと・・・・・・。 でも、そういうことにしとこうかな!」

「穂乃果・・・・・・」

 

そんな穂乃果に海未は呆れた表情を浮かべるが・・・・・・。

 

「うん! その方が嬉しい!」

「ことり・・・・・・」

 

そんなことりの言葉を受けて4人は笑い合い、ふっと彼女達は足下にある階段を見つめる。

 

「ねえ? こうやって4人で並んでるとあのファーストライブの頃、思い出さない?」

「うん」

「あの時はまだ、私達だけでしたね」

「それが今じゃ追加メンバーも6人だな」

 

するとそこでことりは「あのさ・・・・・・」とあることを穂乃果達に尋ねた。

 

「私達っていつまで一緒にいられるのかな?」

「どうしたの? 急に?」

「だって、あと2年で高校も終わっちゃうでしょ?」

 

悲しげな表情を浮かべることりに、海未は「それはしょうがないことです」と彼女もそのことを考えたからか、少し寂しそうな顔を浮かべながら答える。

 

だが、穂乃果は笑みを浮かべ、彼女はことりに抱きつく。

 

「わああ!?」

「大丈夫だよー!! ずーっと一緒!! だってこの先、ずっとずっとことりちゃんや海未ちゃんとお兄ちゃんとずっと一緒にいたいって思ってるよ!! 大好きだもん!!」

「穂乃果ちゃん・・・・・・。 うん、私も大好き!! ずっと一緒にいようね!!」

 

そんな穂乃果にことりは目尻に涙を浮かべ、彼女達は笑みを浮かべ、3人は手を繋ぎあうのだった。

 

「っ・・・・・・」

 

だが、穂乃果の言葉を聞いて紅葉はどこか複雑そうな表情を浮かべるが・・・・・・それに穂乃果達は気づいていない。

 

(すまないな、俺は・・・・・・ずっと一緒にいられない)




穂乃果
「サブタイを探せ!! のコーナーだよ!!」

紅葉
「今回のサブタイはブラック店長がノーバと一体化した際に言った帰ってきたウルトラマン第44話『地球頂きます』からだ!!」

穂乃果
「そう言えばなんで今回バーンマイトじゃなくてスペシウムゼペリオンだったの? レオゼロナックルは分かるけど」

にこ
「最近出番ないなと作者が感じたからよ」
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