ラブライブ! オーブ‼︎   作:ベンジャー

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第11話 『合宿GO!GO!GO!』

学校の屋上・・・・・・。

 

放課後、今日はダンスの練習をする為、みんなで学校の屋上へと上がっていたのだが・・・・・・。

 

今の季節は夏、しかも学校の屋上という太陽の光が直に当たる場所。

 

つまり、今屋上はどうしようもないくらいに暑く、真っ先に外に出た穂乃果やにこはその暑さ故に外に出た瞬間汗が噴き出てしまった。

 

ちなみに紅葉もにこや穂乃果と同じ真っ先に外に出たのだが・・・・・・流石はウルトラマンと言うべきか、穂乃果やにこと違ってむしろ平然とした顔を浮かべており、ケロっとしている。

 

「っていうかバカじゃないの? この暑さで練習とか!!」

「いや、でもラブライブ出場目指してるんだから暑かろうが寒かろうが練習はしないといけないでしょう、にこ先輩」

 

にこの言葉に紅葉がそう反論し、絵里もまた「紅葉くんの言う通りよ」と彼の意見に賛同する。

 

「そんなこと言ってないで、早く練習するわよ」

 

やや強気に絵里がそう言い放つとそれに少しビクっとなった花陽が慌てて凛の後ろに隠れ、戸惑いながらも「は、はい!」と返事をする。

 

「花陽、これからは先輩も後輩もないんだから・・・・・・ねっ?」

「は、はい・・・・・・」

 

絵里は先ほどのことを反省してか、少し笑みを浮かべて花陽にそう語りかけると彼女もまた薄らと笑みを浮かべて頷くのだった。

 

「それにしても紅葉、アンタはなんでそんなむしろ涼しそうな顔してんのよ・・・・・・。 なんか方法でもある訳?」

「いえ・・・・・・特には・・・・・・強いて言えば、俺はこれですから」

 

紅葉はそう言いながら両手の一差し指で「スペリオン光線」のような動作をにこに見せ、それを見たにこは「ウルトラマンって人間の姿でも暑さとかには強いのか」と驚き半分、羨ましさ半分の眼差しで紅葉を睨み付ける。

 

そんな2人の様子を見て、2人だけで分かるようなジェスチャーのやり取りにムカッときたのか、穂乃果はムスっとした表情で彼女は紅葉の尻を抓った。

 

「いった!!? 穂乃果お前はまた・・・・・・!!」

「そうだ!! 合宿に行こうよ!!」

「無視か? シカトか? お兄ちゃん泣くよ?」

 

既に涙目の紅葉だが、穂乃果は構わず話の続きを行い、穂乃果の「合宿に行こう!!」という提案には凛や希も賛成でノリ気だった。

 

「合宿か~、面白そうにゃ!!」

「そうやね! こう連日炎天下での練習だと身体もキツいし」

 

だが、合宿と言ってもどこに行けば良いのかと花陽は穂乃果に尋ね、それに対して穂乃果は両手をパタパタさせながら「海だよ!! 夏だもの!!」と意気揚々といった感じで答える。

 

「費用はどうするのです?」

「それは・・・・・・うぅ・・・・・・」

 

海未の問いかけに穂乃果は言葉を詰まらせてしまい、少し考え込んだ後、ことりの手を掴み隅っこに行くと彼女はことりにバイト代何時入るのかと尋ねたのだ。

 

「ことりちゃん、バイト代、何時入るの?」

「えーっ!?」

「穂乃果、流石にことりを当てにするのはどうかなって・・・・・・俺は思うんだよ」

「違うよ!! ちょっと借りるだけだ・・・・・・ってお兄ちゃん? どうしたの?」

 

穂乃果が紅葉に言葉を返そうと振り返るとそこには隅っこの方で背中を向けながら体育座りをして床に一差し指でのの字を書いている涙目の紅葉がおり、穂乃果は一体どうしたのかと聞くのだが・・・・・・。

 

「どう考えてもさっき穂乃果が紅葉を無視したせいでしょう!!」

「えーっ!? そこまでイジける!? ごめんねお兄ちゃん!! もう無視とかしないから!!」

 

穂乃果は紅葉を後ろから抱きしめて「ごめんね~」と謝りながら紅葉の頭を撫でるとすぐに立ち直り、紅葉は「元気になった!!」と言いながら勢いよく立ち上がるのだった。

 

「いやチョロいわね!! んで? 合宿結局どうするのよ?」

「うーん。 あっ!! そうだ!! ねえ、真姫ちゃん家なら別荘とかあるんじゃない?」

 

その問いかけに真姫は戸惑いながらも「あるけど・・・・・・」と答えるのだが、それを聞いた穂乃果は「ホント!?」と笑みを浮かべ、真姫に頬ずりをしながらお願いする。

 

「真姫ちゃんお願ーい!」

「ちょっと待って!! なんでそうなるの!?」

「そうよ!! いきなり押しかける訳にはいかないわ!!」

 

そんな穂乃果を絵里は注意し、それを受け、穂乃果は「確かにその通りだ」と思い、真姫から離れる。

 

「っ、そう、だよね・・・・・・」

 

ただ、彼女は目尻に涙を浮かべており、さらにとても残念そうな顔を浮かべ、真姫はなんだか申し訳ない気持ちになり、「はぁ」と一度溜め息を吐く。

 

「仕方ないわねー、聞いてみるわ」

「ホント!!? やったー!!」

 

真姫のその一言に一同は喜び、紅葉は「でかしたぞ穂乃果!!」と真姫を説得した穂乃果の頭を撫で、それに穂乃果は「えへへ~♪」と嬉しそうに笑うのだった。

 

「いやしかし、前々から思っていたが、穂乃果の交渉術は凄いな」

「これ交渉なのかな・・・・・・?」

 

穂乃果の交渉力を褒める紅葉だが、今のは交渉とかそういうのなのだろうかと苦笑しながら首を傾げ、ことりは疑問に思うが・・・・・・何はともあれ、自分も出来れば行きたかったし、真姫は前向きに考えてくれたのだから今はそれを素直に喜ぼうと彼女は考えるのであった。

 

「そうだ! これを機に、やってしまった方が良いかもしれないわね」

 

絵里は希にそう小さく呟き、それに希も「せやね」と頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、真姫は自分のところの別荘を使っても良いという許可が親から降り、紅葉達は今、彼女の家の別荘に行く為に駅前に来ているところだった。

 

「えー!? 先輩禁止!?」

 

だが、出発する前に絵里からこれからみんなでアイドルをやって行く上で1つ提案があると言い、その提案というのが「先輩禁止」というものである。

 

それに驚きの声をあげる穂乃果だが、絵里曰く「先輩後輩は勿論大事だけど、踊っている時にそういうこと気にしちゃダメだから」とのことで海未も絵里のその意見には賛同であり、頷いた。

 

「そうですね。 私も3年生に合わせてしまうところがありますし・・・・・・」

「そんな気遣いまったく感じないんだけど?」

 

海未の言葉に対してそう言いながらジトーっとした視線を彼女に向けるにこ。

 

「それはにこ先輩は上級生って感じがしないからにゃー」

「上級生じゃなきゃ何なのよ!!?」

 

にこの問いかけに凛は「うーん」と少し腕を組んだ後考えると、返って来た答えは・・・・・・。

 

「後輩?」

「っていうか子供?」

「マスコットかと思ってたけど?」

「合法ロリ枠」

 

上から順番に凛、穂乃果、希、紅葉が答え、にこは「どういう扱いよ!?」と4人にツッコミを入れる。

 

「じゃあ早速、今から始めるわよ? 穂乃果?」

「あっ、はい!! 良いと思います!! え・・・・・・え・・・・・・ぅ絵里ちゃん!!」

 

戸惑いながらも穂乃果はなんとか絵里の名前をちゃん付けで呼び、それにホッと胸を撫で下ろす穂乃果。

 

それに絵里も満足そうに頷き、続いて「じゃあ凛も!!」と今度は凛が手を上げ、一度息を吸ってからことりの名前を呼ぶ。

 

「ことり・・・・・・ちゃん?」

「はい! よろしくね、凛ちゃん? 真姫ちゃんも!」

 

ことりにいきなり名前を呼ばれ、「えっ!」と驚く真姫。

 

一同視線も真姫に集中するのだが・・・・・・。

 

「べ、別にワザワザ呼んだりするもんじゃないでしょ!!」

 

っとそっぽを向きながらそう言い放ち、それに絵里は思わず苦笑してしまう。

 

そんな時、紅葉が「あの・・・・・・」と手をあげ、1つ絵里に疑問に思ったことを尋ねる。

 

「俺もしないとダメですかね? マネージャーですし、一応・・・・・・」

「そうね。 マネージャーでも紅葉くんもμ'sの一員だし、同じようにして貰いたいのだけど・・・・・・」

「いやでも絵里先輩、俺キャラ的に先輩を呼び捨てって言うのはちょっと・・・・・・恐れ多いし、せめて『さん付け』で・・・・・・」

 

そんな紅葉ににこから「なんのキャラよ!?」ツッコミを入れられるが、絵里は「まぁ、どうしても無理なら・・・・・・」ということで紅葉は上級生のことは「さん付け」呼びにすることにするのだった。

 

「じゃあ早速・・・・・・ぅ絵里さん!!」

「アンタが穂乃果と同じような絵里の呼び方しても、アンタの場合はただキモいだけね」

「酷い!!?」

 

にこの言葉にショックを受けている紅葉を放って置いて、絵里は話を進めて改めて合宿に出発することを宣言。

 

「では改めてこれより合宿に出発します。 部長の矢澤さんから一言!」

「うえ!? にこ・・・・・・?」

 

いきなり絵里にそう振られて呆気に取られるにこ。

 

「いよっ!! 部長さん一発良い感じのやつ、頼みます!!」

「部長さんどうかみんなの気合いが入るような感じのやつ、頼みます!!」

「ハードルあげんなこのバカ兄妹いいいい!!!!」

 

紅葉と穂乃果がハードルを上げたせいでますます何を言って良いのか分からなくなるにこ。

 

しかも一同の視線も痛いほど彼女に集中しており、にこは戸惑いながらもなんとか声をあげる。

 

「しゅ、しゅ、しゅっぱーつ!!」

 

結局それしか言えなかったが。

 

「・・・・・・それだけ?」

「考えて無かったのよ!! それにアンタと紅葉がハードルあげんのも悪い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、穂むらにて。

 

(フヒヒヒ・・・・・・!! 遂にベリアルのカードと、魔王獣6体のカードを集めることが出来た。 これを使ってマガオロチを・・・・・・!! だが、その前に・・・・・・先ずはこの7枚のカードを紅葉に見せびらかしてやーろーうーっと♪)

 

ウルトラマンベリアルと6体の魔王獣のカードを紅葉に見せびらかしたいが為だけに、今日は穂むらへとやって来たラグナ。

 

彼は紅葉の驚く顔を想像しながら、楽しげな様子で穂むらの扉を開く。

 

「もーみーじーくーんー、あーそーびーまーしょー!!」

「あっ、以前来た紅葉のお友達?」

 

扉を開くと丁度カウンターのところに紅葉達の母がおり、ラグナは「紅葉くんいますか?」と尋ねると母は申し訳無さそうに「ごめんねぇ?」と謝る。

 

「紅葉、今日はμ'sのみんなと一緒に海に合宿に行ってていないのよ~」

「あっ、そうですか。 じゃあ今日はまんじゅうだけ買って帰ります」

 

母にそう言われ、ラグナはまんじゅうだけ購入して渋々帰ることにしたのだが・・・・・・その途中、彼はまんじゅうを食べながらあることに気がついた。

 

それは先ほど、紅葉達の母が言っていた言葉。

 

「μ'sのみんなと一緒に『海』に合宿」という言葉である。

 

「確かμ'sってアイツがマネージャーやってるスクールアイドルの・・・・・・。 画像を見たが、可愛い娘多かったな。 それが・・・・・・アイツと一緒に海で合宿・・・・・・。 海、つまり・・・・・・アイツは複数の水着美少女を1人締めしてんのかあああああああああ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、紅葉達は無事、海の家の近くの真姫の別荘に到着し、一同は豪華な感じの別荘に感心の声をあげていた。

 

にこだけはなぜか「ぐぬぬぬ・・・・・・!」と悔しそうな顔をしていたが。

 

「凄いよ真姫ちゃん!!」

「さっすがお金持ちにゃー!」

「そう? 普通でしょ?」

 

それから一同は別荘の中へと早速入り、紅葉、穂乃果、海未、凛は寝室に訪れ、巨大なベッドに興奮して穂乃果は紅葉の腕を掴んで一緒にベッドにダイブ。

 

「ここお兄ちゃんと一緒にとーった!! おおー!! ふっかふか~! それに広ーい!」

「お、おい穂乃果!! 言っとくが俺は男だから寝る時は別室だぞ!?」

 

穂乃果に引っ張られて思わず一緒にベッドに転がり込んでしまったが、他の女性陣も使うかもしれないのに男もこのベッドを使うのはダメだろうと穂乃果に注意する。

 

「えーっ!? それじゃお兄ちゃんはどこで寝るの~!?」

「まぁ、普通に考えて下のソファだろうな」

 

それを受けて穂乃果はムスーっとした顔を浮かべ、「それなら私もお兄ちゃんと一緒のソファで寝る!!」と言い出すのだが・・・・・・そんな穂乃果に紅葉は苦笑いしながら彼女の頭を撫でる。

 

「良いから、俺に構わずお前は普通に寝ろ。 そろそろ少しお兄ちゃん離れもしないとな?」

「・・・・・・」

 

穂乃果にちょっと無視されただけで落ち込んでいたお前が言うな・・・・・・と呆れた視線を向けながらそう思わずにはいられない海未であった。

 

「うぅ~!」

 

不満そうな顔をしている穂乃果だが、あんまり我儘を言って紅葉に迷惑をかけたくはないので彼女は渋々承諾。

 

「凛はこっちー!!」

 

それから穂乃果達に続いて凛もベッドの上に乗り上がって場所を取り、凛は海未にも場所を取った方がと言うのだが・・・・・・。

 

「海未先輩も早く取った方が・・・・・・あっ」

 

うっかりと彼女は海未のことを「先輩」と呼んでしまい、それに海未は「やり直しですね」と思わず苦笑してしまう。

 

「うん! 海未ちゃん、穂乃果ちゃん?」

「くぅー・・・・・・ZZz」

 

凛が海未と穂乃果の名前を呼ぶのだが、穂乃果は紅葉に抱きついたままいつの間にか眠っており、それに紅葉は困った表情を浮かべていた。

 

「って寝てる!? 紅葉も穂乃果を起こしてくださいよ!!」

「この寝顔見て起こせると思うか!?」

「・・・・・・起こしましょうよ」

「今の間はなんにゃ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、下の階では・・・・・・。

 

「り、料理人!?」

「そんな驚くこと?」

 

真姫から家には料理人がいるということを聞かされ、ことりと・・・・・・特ににこは驚きの声をあげ、真姫は「そんな驚くこと?」と不思議そうに首を傾げる。

 

「驚くよー、そんな人が家にいるなんて。 凄いよね?」

「っ・・・・・・。 へー、真姫ちゃん家もそうだったんだ~? にこん家も、専属の料理人いるのよね! だからにこ、全然料理なんかやったことなくて~」

 

ことりの言葉にそう返すにこ。

 

それにことりは「にこ先輩もそうだったなんて・・・・・・」と感心の声をあげるのだが・・・・・・。

 

「どう考えても見栄張ってんでしょ、にこさん」

 

いつの間にか穂乃果のハグから抜け出して来た紅葉がにこに呆れたようにツッコミを入れ、にこは「見栄なんか張ってない!!」と否定するのだが・・・・・・どう見ても見栄を張っている。

 

「っていうか、ことり!! 『にこにー』でしょ!!?」

「えっ?」

「にこ先輩じゃなくて、『にこにー』でしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、リビングに当たる場所では絵里と希がリビングに来ており、それなりの広さである為、これなら練習もできるだろうと絵里は考え、それには希も同意する。

 

「でも折角なんやし、外の方がええんやない?」

「海に来たとは言え、あまり大きな音を出すのも迷惑でしょ?」

「もしかして歌の練習もするつもり?」

 

希の問いかけに絵里は「勿論!!」と答え、ラブライブ出場枠が決定するまであと一ヶ月ないのだから「やれることはやろう!」ということらしい。

 

「やる気やねー。 でっ? 花陽ちゃんはどうしてそんな端にいるん?」

 

希が階段の傍に置いてある植木鉢の植物の後ろに隠れている花陽になんでそんなところにいるのかと尋ねる。

 

「なんか、落ち着かなくって・・・・・・」

 

花陽は希にそう答えながら苦笑いを浮かべ、また少し奥の方に隠れてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから全員が服を着替えた後、一同は外に集合。

 

最も、穂乃果、凛、にこのスマイル組は最初から海で遊ぶ気満々だったらしく、既に水着姿である。

 

「これが!! 合宿での練習メニューになります!!」

 

だが、海で遊ぶよりも前に、海未が考えて来たという窓に貼った練習メニューの紙をみんなに見せ、それに対してスマイル組の3人はとても不満そうな顔を浮かべていた。

 

「って海は!?」

「えっ・・・・・・私ですが?」

 

無論、海未のことではなく穂乃果が言っているのは海水、海のことである。

 

「そうじゃなくて!! 海だよ!! 海水浴だよ!!」

「あぁ! それなら・・・・・・ほら!!」

 

穂乃果の言葉に海未は練習メニューにある「遠泳10キロ」と書かれた部分を指差し、しかもよく見るとその後に「ランニング10キロ」と書かれた項目が目に入り、それを見て穂乃果とにこは顔を引き攣らせて青ざめる。

 

「最近、基礎体力をつける練習が減っています。 折角の合宿ですし、ここでみっちりとやった方が良いかと!!」

「幾ら何でもスパルタ過ぎるだろ!! 多分この中で俺しかついていけないぞ!? これを考えた海未もできそうな気もするが!!」

 

紅葉も流石に海未に対して幾ら何でもやり過ぎでは・・・・・・と意見を述べ、スマイル組は激しく同意するように頷く。

 

「大丈夫です!! 熱いハートがあれば!!」

 

目を輝かせながらそう言い放つ海未に、紅葉は「これ何言ってもダメなのでは・・・・・・?」と思わず頭を抱えてしまう。

 

「やる気スイッチがイタい方向に入ってるわよ? 何とかしなさい!!」

「う・・・・・・うん。 凛ちゃん!!」

 

穂乃果が凛の名前を呼ぶと凛は「分かったにゃ!!」と頷き、彼女は海未の腕を掴むと空に向かって指差す。

 

「あー!! 海未ちゃんあそこぉ!!」

「えっ、なんですか!?」

 

それを合図に、凛、穂乃果、にこ、花陽、ことりは一斉に海に向かって走り出したのだ。

 

「あっ!! あなた達ちょっと!!」

「まんまとノせられたなぁ、海未?」

 

苦笑しながら海未の肩をポンポンっと叩く紅葉。

 

それにムスッとした表情を浮かべる海未だが・・・・・・。

 

「まぁ、仕方ないわねー」

 

という絵里の言葉を聞き、「良いんですか!? 絵里先輩・・・・・・」と驚きの声をあげる。

 

「あっ・・・・・・」

 

しかし、すぐに海未はまた思わず絵里のことを「先輩」と呼んでしまったことに気づき、絵里もそのことに対して注意する。

 

「禁止! って言ったでしょ?」

「すみません・・・・・・」

「μ'sはこれまで、部活の側面も強かったからこんな風に遊んで、先輩後輩の垣根を取るのも、重要な事よ?」

 

海未は絵里の言うことも確かに一理あると思い、紅葉からも「今日だけ好きにさせてあげて!」と頼まれた為、彼女は渋々承諾するのだった。

 

「さっ! 海未、行きましょ?」

 

絵里に手を差し伸べられ、彼女等は水着に着替えて海へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

それから彼女達は海で水をかけ合って遊んだり、希がその光景をカメラで撮っていたりして遊んでいると、海になんとなくボーッと浸かっていた紅葉がフッとあることを思った。

 

(アレッ? 冷静になって考えると今の俺の状況ってかなり役得なのでは?)

 

水着姿の美少女が9人もいて・・・・・・しかも男は自分1人。

 

普通に考えたらお前そこ代われコラ、と言いたくなるような状況である。

 

(いかん、そう考えるとなんだか顔がニヤけそうになる!! さっき誰かがスイカ割りしたいって言ってたし、スイカを用意でもしてくるか)

 

紅葉は少し冷静になる為、スイカ割り用のスイカを持ってこようと海から出ようとするのだが・・・・・・そんな彼を穂乃果が呼び止める。

 

「どこ行くのお兄ちゃん?」

「いや、さっき誰かがスイカ割りしたいって言ってたからスイカを持ってこようかと思ってな。 別荘に来る途中買ってきたのがあるからそれ持って来る」

 

紅葉はそう言いながら陸に上がろうとするのだが、「穂乃果も手伝うー!!」と言って穂乃果も海から上がり、2人で一緒にスイカを持って来ることにしたのだ。

 

「・・・・・・あっ!! そうだ、お兄ちゃん!! 大事なこと聞くの忘れてた!!」

「うん?」

 

陸に上がった直後、穂乃果は何かを思い出したらしく、彼女は突然頬を赤くし・・・・・・なぜかもじもじし出して上目遣いであることを紅葉に聞いてきた。

 

「その、どうかな? 穂乃果の水着・・・・・・」

「・・・・・・穂乃果らしくて元気な感じの水着だと思う。 可愛いぞ?」

「ほんと!?」

 

紅葉は笑みを浮かべて彼女の水着の感想を言いながら穂乃果の頭を撫で、それに穂乃果は「えへへ~」と嬉しそうに笑顔を見せるのだった。

 

その時、紅葉の脳裏に1人の女性の姿がよぎり、彼は思わず手を引っ込めてしまう。

 

「お兄ちゃん?」

(っ! やっぱり穂乃果は、どことなく・・・・・・『彼女』に・・・・・・)

「お兄ちゃん? どうかしたの?」

 

穂乃果が首を傾げながらそんなことを尋ね、それに紅葉は「えっ!?」と驚きの声をあげる。

 

「なんだか様子が変だったけど・・・・・・」

「いや、なんでもないよ。 それより早くスイカ持ってこよう」

「・・・・・・うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後はみんなで持って来たスイカでスイカ割りをしたり、ビーチバレーをしたりしていたのだが・・・・・・。

 

ビーチバレーをしている途中、紅葉は真姫がパラソルの下でイスに座って読書をしており、その隣のイスににこが座っているのが見えたのだが・・・・・・。

 

スラッとした感じで座っている真姫に対し、ほぼ同じ体勢で座っているのに身長が低いせいかにこはどうしてもダラしなく座っているように見えて、彼女もそれを自覚してか、なるべく足を必死に伸ばそうとしている。

 

その光景を見て紅葉はゲラゲラ笑い出し、にこは「笑ってんじゃないわよ!!」と紅葉を怒鳴りつける。

 

「あとちょっと・・・・・・」

 

だがその直後、ビーチバレーに使っていた風船のボールがにこの顔に当たる。

 

「ごめんにこちゃーん!!」

「もっと遠くでやりなさいよ!!」

「にこちゃんもやろうよ!!」

 

そんなにこに穂乃果は一緒にビーチバレーをやろうと誘うのだが・・・・・・。

 

「そんな子供の遊び、やる訳ないでしょ」

 

彼女はサングラスをかけながらそう言って断るのだがそんなにこを凛と紅葉が挑発する。

 

「あんなこと言って、ホントは苦手なんだにゃー」

「来いよにこさん!! サングラスなんて捨ててかかってこい!! 怖いのか?」

「何言ってるのよ!! 見てなさい!! あたしの勇気ある戦いを!! ラブにこオブクラッシャーお見舞いしてやるわー!!」

 

普通にチョロかった、しかも紅葉にノってくれるにこであった。

 

「真姫ちゃんもやらなーい?」

 

穂乃果は真姫も誘うのだが、彼女は「私は別に・・・・・・」と断ってしまう。

 

「成程ね」

「真姫は中々大変そうね」

 

それを見て希と絵里はそんなことを呟くのだが・・・・・・希は絵里の言葉を聞いてなんだか思わず笑ってしまう。

 

「んっ? 何かおかしいこと言った?」

「別に?」

 

 

 

 

 

 

 

「んっ?」

 

穂乃果達と一緒にビーチバレーで遊んでいる途中、不意に誰かの視線を感じた紅葉。

 

その視線がどこから来るのか、紅葉は辺りを見回すと・・・・・・。

 

彼はその超人的な視力によって遠く離れた位置にいる・・・・・・双眼鏡を持って鼻から血をダラダラ出すラグナの姿を発見した。

 

「何してんだアイツ!!?」

「わっ!? どうしたのお兄ちゃん!?」

 

突然、紅葉が大声を出した為に驚く穂乃果。

 

それに紅葉は慌てて「な、なんでもない」と誤魔化す。

 

「俺ちょっとトイレに行ってくる」

「うん? うん、分かった!」

 

穂乃果達にそう言って紅葉はその場を離れ、パーカーを羽織って彼女達にバレないようにラグナの元へと向かう紅葉。

 

一方、ラグナは紅葉がこちらに向かっていることに気付かず、ただただ双眼鏡でμ'sの水着姿を観察し、鼻血を垂れ流していた。

 

「あの金髪の女は結構エロい水着を着てやがるな。 紫の奴もなかなか・・・・・・。 ふむ、青髪の奴は胸は小さいがあの中じゃ1番好みだな、一緒に夜明けのコーヒーが飲みたいもんだ。 あっ!! 青髪の前に立つな黒髪!! 俺は幼女に興味はねえんだよ!!」

「にこさんは幼女なくて合法ロリだぞ」

 

そんな時、ラグナの頭に紅葉がかかと落としを決め、「がふっ!?」と悲痛の声をあげながら彼は蹲って頭を抑える。

 

「お前、やっぱり生きていたんだな。 っていうか何してんだお前は!?」

「うるせえ。 自分だけ水着美少女と戯れやがって!! お前だけ良い想いしてんじゃねえよ!!」

 

ラグナはそう怒鳴りながら紅葉の両方の頬を掴んで引っ張り、それに紅葉も負けじとラグナの両方の頬を掴んで互いの頬を引っ張り合う。

 

「離せ!!」

 

ラグナは紅葉の腕を振り払い、バックステップで紅葉から距離を取り、彼はダークリングと1枚の怪獣カードを取り出す。

 

「今日は1人だけ良い想いしているお前に嫌がらせに来たんだよ!! それなりに水着姿の彼女達で堪能したし、この楽しそうな光景をぶっ壊してやる!!」

 

ラグナは紅葉を強く睨み付けながら怪獣カードをダークリングにリードさせる。

 

『ザバンギ!』

 

そしてダークリングをラグナが海に向けるとそこから黒い光が海に向かって放たれ、それは1体の巨大な怪獣「守護神獣 ザバンギ」となって海から出現したのだ。

 

「グアアアアアアアア!!!!!」

「ラグナ・・・・・・!!」

「あいつを止めてみろよォ。 紅葉!!」

 

紅葉はラグナを睨み付けつつ、自分もオーブリングを取り出し、1枚のウルトラマンのカードを取り出し、それをオーブリングにリードさせる。

 

「アグルさん!!」

『ウルトラマンアグル!』

 

さらにもう1枚、別のカードをオーブリングに紅葉はリード。

 

「ヒカリさん!!」

『ウルトラマンヒカリ!』

 

最後に紅葉はオーブリングを掲げる。

 

「青く輝く光の力、お借りします!!」

『フュージョンアップ!』

 

そして紅葉は2人の青いウルトラマン、「ウルトラマンアグル」と「ウルトラマンヒカリ」の力を融合させた姿「ウルトラマンオーブ ナイトリキデイダー」に変身する。

 

『ウルトラマンオーブ! ナイトリキデイダー!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「か、怪獣!!?」

「こんなところにもいるのぉ!?」

 

穂乃果と花陽が怪獣、ザバンギが現れたことに驚き・・・・・・ザバンギがこちらに向かって歩いて来ていることもあり一同は急いで逃げようとする。

 

「急いで逃げないと・・・・・・!!」

 

そんな時、颯爽と跳び蹴りを放ちながらオーブが現れ、跳び蹴りは見事ザバンギに直撃し、蹴り飛ばす。

 

『シェア!!』

「あっ!! オーブが来てくれたにゃ~!」

 

凛はオーブの登場に喜び、それに他のメンバーも安堵の表情を見せる。

 

『影を払いし、光の刃!!』

 

そしてオーブはさらにザバンギを穂乃果達から遠ざける為に掴みかかり、そのまま海深くの海中にまで一気に連れて行き、地面に叩きつける。

 

そのままオーブはザバンギに馬乗りとなって拳を振るうのだが・・・・・・ザバンギは口から吐き出す強力な破壊光線をオーブの胸部に撃ち込み、吹き飛ばす。

 

『グアアアア!!!?』

「グルアアアアア!!!!」

 

立ち上がったザバンギはオーブに向かって駈け出し、体当たりを仕掛けるのだが・・・・・・オーブはジャンプして連続蹴りをザバンギに叩き込み、地面に着地するとさらに回し蹴りを放つ。

 

だが、ザバンギはそんなオーブの足を掴んでフルスイングで振り回し、海底の巨大な岩山に向かって放り投げ、オーブは背中から激突してしまう。

 

『グウウウ!!!!?』

 

ザバンギは地面に倒れ込んだオーブに向かって破壊光線を発射、なんとか立ち上がったオーブは両腕から光の剣「ナイトアグルブレード」を出現させ、ザバンギの破壊光線をX字に切り裂く。

 

『ナイトアグルブレード!!』

 

そのままオーブはザバンギに向かって駈け出し、右腕のブレードをザバンギに向かって振りかざすのだが・・・・・・ザバンギはそれを左手で掴みあげて攻撃を止める。

 

ならばとオーブは今度は左腕のブレードをザバンギに振るうのだが、ザバンギは破壊光線を放って左のブレードを破壊してしまう。

 

『グゥ!? シェア!!』

 

オーブはザバンギに膝蹴りを叩きこんだなんとか距離を取ろうとするのだが・・・・・・ザバンギはそう簡単には逃がさず、オーブの首を両手で掴みあげる。

 

『グウウア・・・・・・!!?』

 

オーブはなんとかザバンギの両手を引き離そうとするのだが・・・・・・そんな時ザバンギは片手だけをオーブの首から離し、その手の爪を使ってオーブの胸部を斬りつける。

 

『グアアアア!!!!?』

 

それによって吹き飛ばされるオーブだが、その際オーブは咄嗟に右腕に残ったブレードでザバンギを斬りつけ、お互いに地面へと倒れ込んでしまう。

 

『グウウ・・・・・・!!』

「グルアアアアア!!!!!」

 

オーブはなんとかザバンギよりも先に立ち上がり、未だに起き上がっている途中のザバンギに向かってもう1度左のブレードを展開し、オーブはザバンギに向かって駈け出す。

 

オーブは2本のブレードを光輝かせ、身体を横向きに高速回転させて相手を斬りつける「ストライクナイトリキデイダー」をザバンギに向かって炸裂させる。

 

『ストライクナイトリキデイダー!!』

「グルアアアアア!!!!?」

 

それによってザバンギは吹き飛んで岩山に激突し、オーブ・・・・・・紅葉は今がチャンスだと思い、別の形態へと変わる。

 

『ティガさん!!』

『ウルトラマンティガ! スカイタイプ!』

 

紅葉は新たに「ウルトラマンティガ スカイタイプ」のカードをオーブリングにリード。

 

『マックスさん!!』

『ウルトラマンマックス!』

 

さらに今度は紅葉は「ウルトラマンマックス」のカードをオーブリングにリードさせる。

 

『速いやつ、頼みます!』

『フュージョンアップ!』

 

最後に紅葉はオーブリングを掲げ、「ウルトラマンティガ・スカイタイプ」と「ウルトラマンマックス」の力を合わせた「スカイダッシュマックス」へとオーブは姿を変える。

 

『ウルトラマンオーブ! スカイダッシュマックス!』

『輝く光は疾風の如し!!』

「グルアアアア!!!!」

 

ザバンギは姿を変えたオーブに向かって「それがどうした」とでも言うかのように破壊光線を発射。

 

だが、オーブはそれを素早い動きで回避し、一気にザバンギに詰め寄って跳び蹴りを喰らわせる。

 

「グウウウ!!?」

『デヤアアアア!!!!』

 

さらにオーブは拳を何発も連続でザバンギに叩き込むのだが・・・・・・ザバンギは一瞬の隙を突いて頭突きをオーブに喰らわせ、それを受けてフラついたところにザバンギは振るった尻尾を叩きつけて吹き飛ばす。

 

『ウアアアア!!!?』

「ギシャアアア!!!!」

 

続けざまに破壊光線を放つザバンギだが、オーブはそれを高速で回避し、ザバンギの周囲を円を描くように走り回る。

 

「グル?」

 

それによりオーブが円を描くように走り回った為、海に渦が発生し・・・・・・それがやがて竜巻となり、ザバンギは身体を回転させながら海上へと上がって行く。

 

「ガアアアアア!!!!?」

 

それにザバンギは為す術もなく、海から飛び出し空中へと放り出され・・・・・・同じくオーブも渦の勢いに乗って海から飛び出し、ザバンギに向かって行く。

 

『これで決める!! ダッシュマックスキック!!』

「グルアアアアアア!!!!?」

 

右足を光輝かせた蹴り、「ダッシュマックスキック」をそのままオーブは空中に飛ばされたザバンギに炸裂させ、それをまともに受けたザバンギは再び海へと落下し、爆発するのだった。

 

そして、オーブはザバンギを倒したことを確認するとオーブはそのまま空へと飛び去るのだった。

 

「あっ、オーブ出てきたよ!!」

「どうやら、怪獣を倒してくれたみたいね?」

 

また、遠くからその光景を見ていた穂乃果達はオーブが勝利したことに喜び、穂乃果は「ありがと~!!」と言いながら手を振るのであった。

 

一方、ザバンギを倒されたラグナはというと・・・・・・。

 

「チッ、まあいいさ。 今日はほんの挨拶代わり。 精々今を楽しんでな、本当の恐怖はこれから・・・・・・、フフフ、アハハハハ!! ヒャッハハハゴホォ!! ゴホッ!!」

 

ザバンギが倒されたことに悔しさを感じつつも、ラグナは自分の「切り札」の存在から顔をニヤけさせ、大笑いして何時ものノルマを達成させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「買い出し?」

 

それから、海で遊び終わった一同は別荘へと戻り、夕飯の食料を買ってくるための相談をしていた。

 

「なんかスーパーが遠いらしくて・・・・・・」

「えっ、じゃあ行く行く!!」

 

ことりの話を聞いて自分が行くと手を挙げる穂乃果。

 

「別に、私1人で行ってくるから良いわよ」

 

しかし、真姫が自分以外店の場所が分からないのだから自分1人で行ってくると言って買い出しに行こうとするのだが、そんな真姫に希が「じゃあウチがお共する」と手を挙げてきたのだ。

 

「たまには良いやろ? こういう組み合わせも」

「じゃあ俺も行きましょうか。 女の子だけに荷物持たせる訳にはいかんでしょうし」

 

それに続くように女性だけに買い出しさせて男の自分がここに残るのもダメだろうということで紅葉も挙手。

 

それに真姫は戸惑いつつも同行を許し、3人は一緒にスーパーへと買い出しに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ~、綺麗な夕日やね?」

 

スーパーに向かいながら希が夕日を見ながらそんなことを呟くと、真姫が不意に「どういうつもり?」と希に問いかけた。

 

「別に、真姫ちゃんも面倒なタイプだなーって。 本当はみんなと仲良くしたいのになかなか素直になれない」

「私は普通にしているだけで・・・・・・」

 

希の言葉に対し、真姫はそう返すのだが・・・・・・そんな真姫に希は薄らと笑みを浮かべる。

 

「そうそう。 そうやって素直になれないんよね?」

「っていうか、どうして私に絡むの?」

 

不機嫌そうに真姫は希になんで自分にそんな絡んで来るのかと尋ねると、希は少し考える素振りを見せてから答える。

 

「うーん。 ほっとけないのよ。 よく知ってるから、あなたに似たタイプ」

「・・・・・・なにそれ?」

「まっ、たまには無茶してみるのも良いと思うよ。 合宿やし!」

 

希の答えにあまり納得できないといった顔を見せる真姫だが、それ以上は彼女は何も言わず、一同はスーパーへと再び歩き始めるのであった。

 

(・・・・・・あれ!? これもしかして俺は別荘に残っておくべきだったのでは!?)

 

そして真姫と希のやり取りを今まで見ていた紅葉はもしかして自分は逆に来るべきではなかったのでは・・・・・・となんだか不安な気持ちになるのだった。

 

 

 

 

その後、真姫と希が食材を買ってきて早速調理することになったのだが・・・・・・。

 

「しょうがないわねぇ」

 

にこが手早く調理を開始しており、そのことに関して本来料理当番だったことりが謝罪の言葉を彼女に送っていた。

 

「ごめんね? 私が料理当番だったのにモタモタしてたから・・・・・・」

 

その後、にこお手製のカレーライスとサラダがテーブルの上に並べられ、彼女の作った美味しそうな料理に一同は感心の声をあげていた。

 

尚、花陽だけはなぜかご飯はカレーのルー等をかけず、お茶碗と別々であった。

 

「な、なんで花陽だけお茶碗にごはんなの?」

「気にしないでください!!」

 

また、紅葉もカレーライスとは別にここに来る途中で買ってきたというカレーパンも彼はテーブルの上に並べていたのだった。

 

「紅葉くんもカレーパンとカレーライスって・・・・・・」

「1回やってみたかったんです」

 

絵里の疑問に紅葉はそう答え、また穂乃果は並べられた料理を見て「にこちゃん料理上手だよね~」と褒めるとにこは自慢げな表情を浮かべて満足そうだった。

 

だが、その際ことりが昼間ににこが言っていたことを思い出し・・・・・・。

 

「あれ? でも昼に『料理なんてしたことなーい』って言ってなかった?」

「言ってたわよ。 『いつも料理人が作ってくれる』って」

 

ことりに続き、真姫もにこに対して疑問に思ったことを口にし、にこは気まずそうな表情を浮かべると・・・・・・突然彼女は手に持っていたスプーンを下に下げる。

 

「いやん! にこ、こんな重い物持てなーい!!」

「今更誤魔化してももう遅いですよにこさん。 ここまで料理作っておいて」

「幾ら何でもそれは無理がありすぎるよ、にこちゃん」

 

苦笑しながら紅葉と穂乃果にそう言われてしまい、それに対してにこは勢いよく立ち上がる。

 

「これからのアイドルは料理の1つや2つ、作れないと生き残れないのよ!!」

「「開き直った!!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一同は食事を済ませ、穂乃果はソファの上に寝転がり、それに海未に注意される。

 

「あー! 食べた食べた!」

「いきなり横になると牛になりますよ!」

「牛って言うか太るぞ、穂乃果?」

「もう、お母さんみたいなこと言わないでよ2人共~。 横になるのがダメなら~」

 

海未と紅葉に注意され、ソファから立ち上がった穂乃果は紅葉の元まで歩いて行き、彼の膝の上に持たれるように座り込んだのだ。

 

「お、おい!」

「えへへ~、良い座り心地~♪」

 

穂乃果の行動に紅葉は驚きつつ、「まぁ、寝転がるより良いか」と思い、彼は穂乃果の頭をポンポンっと撫でる。

 

「穂乃果ちゃんはお兄ちゃんっ子やね~」

 

そんな穂乃果と紅葉を微笑ましく見つめる希。

 

するとそれを聞いた海未とことりは互いに顔を見合わせる。

 

「いや、お兄ちゃんっ子でもあるんですけどね・・・・・・」

「そうだね~」

 

海未とことりの言葉に「うん?」と首を傾げる希だが、そこで凛が「よーし、じゃあ花火をするにゃー!!」と手を挙げて来たのだ。

 

「その前にごはんの後片付けしなきゃダメだよ?」

 

と、そんな凛に対し、花陽が先に片付けをしないとダメだと注意するのだが・・・・・・そこでことりが「片付けは自分がやるから」と手を挙げ、それに戸惑う花陽。

 

「えっ、でも・・・・・・」

「そうよ。 そういう不公平はよくないわ! みんなも、自分の食器は自分で片付けて!」

 

そこで絵里は自分達が使った食器は自分で洗うように伝え、また海未は何よりも花火よりも練習が先だと言い放つ。

 

「それに、花火よりも練習です」

「えっ、これから?」

 

そんな海未ににこは引き攣った顔を浮かべ、それに海未は「当たり前です!」と答える。

 

「昼間あんなに遊んでしまったのですから」

「でも、そんな雰囲気じゃないって言うか・・・・・・特に穂乃果ちゃんはもう・・・・・・」

 

ことりが視線を穂乃果に向けると・・・・・・彼女は半分ほど寝てしまっているようで・・・・・・。

 

「雪穂~、お茶まだ~?」

 

という感じで少し寝ぼけてしまっている。

 

「ここには雪穂いないぞ~。 寝るならちゃんと食器片付けて風呂入って歯磨きして寝ろ~」

「って家ですか!? 紅葉ももっとちゃんと起こしてくださいよ!!?」

「これ以上の起こし方は無理。 この寝顔見たら」

 

なんか昼間もこんなやり取りあったな・・・・・・と思う凛だったが、そんな時・・・・・・。

 

「じゃあ、これ片付けたら私は寝るわね」

 

食器を持って立ち上がりながらそう言う真姫に対し、凛は「真姫ちゃんも一緒にやろうよ!!」と言うのだが・・・・・・海未も「この後は練習」というところは譲らない。

 

「いえ、練習があります」

「本気・・・・・・?」

「そうにゃー! 今日はみんなで花火やろう!」

 

しかし、海未は「そういう訳にはいきません!!」と譲らず、凛は花陽はどう思うかと尋ねると・・・・・・。

 

「わ、私は・・・・・・お風呂に・・・・・・」

「第3の意見出してどうすんのよ!?」

 

花陽の第3の意見にツッコミを入れるにこ。

 

「お兄ちゃん!! お茶~!!」

 

そして今度は寝言で紅葉にお茶を頼む穂乃果。

 

「いや無理、お前が膝に座ってるから動けない。 つーかそろそろ足痺れてきた」

「じゃあ、今日はもうみんな寝ようか?」

 

そこで希が新たな意見を出し、練習は明日の早朝で花火は明日の夜することにしようと言いだし、それに対して海未もそれの効率が良いかもしれないと凛共々納得。

 

「じゃあ決定やね!」

 

 

 

 

 

 

 

その後、穂乃果達一同は寝る前に風呂に入ることになり、紅葉は1人寂しくリビングで待機。

 

んっ? こういうのは普通覗きに行く場面だろって?

 

覗きは男のロマン?

 

確かに先ほど穂乃果が紅葉に対して「お兄ちゃん、覗かないでね♪」とウィンクしながら前振り的なことを言われたが・・・・・・紅葉はその辺ちゃんとしているので全く覗きに行く気にはならなかった。

 

「でもラグナが覗いていたりしないよな? まさか・・・・・・」

 

だが昼間にラグナに会ったので少しその辺が心配になった紅葉は前回の前例があることからも風呂の周りだけでも確認すべきかと悩む。

 

取りあえず、一度外に出て超人的聴力で聞き耳を立て・・・・・・怪しい音などが無いかを確かめる。

 

本当ならこんな盗み聞きのようなこともしたくはないのだが・・・・・・ラグナならやりかねないので念のためである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(取りあえず、異常は無かったようだ)

 

一応穂乃果達が風呂から上がるまで聞き耳を立てていたが・・・・・・特に怪しい音などもなく、彼女等以外の気配も感じなかったので良かった・・・・・・と心から安堵するのだが・・・・・・。

 

(でも凄い罪悪感・・・・・・!!)

 

同時にかなりの罪悪感を感じてしまっていた。

 

えっ? 穂乃果達が風呂でどんな会話をしていたか?

 

それは想像にお任せします。

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果達が風呂から上がって交代で紅葉が風呂に入り、上がった後・・・・・・一同は布団を敷いて寝る準備に。

 

「いっくぞー!!」

「にゃー!!」

 

だが、その前に穂乃果と凛が布団の上にダイブしてゴロゴロ転がり、それを紅葉は注意しようとするのだが・・・・・・。

 

いつの間にかにこも加わってゴロゴロ転がっていた。

 

「増えた!? ってにこさんまでなにやってんですか・・・・・・」

「そうですよ! 3人とも敷くの邪魔だから退いてください!!」

 

紅葉と海未から注意され、渋々布団の上から出るスマイル組。

 

「っていうか、どうして全員同じ部屋じゃなくちゃいけないの?」

「全員じゃないぞ。 俺は上の部屋で寝るからな。 流石に女の子ばかりのところで寝る訳にはいかないし」

 

不満そうに声を漏らす真姫に対し、そう答える紅葉。

 

どちらにしてもみんなで寝る意味が分からないといった感じの真姫。

 

そんな彼女に絵里は「合宿だからね」と答える。

 

「まぁ、こういうのも楽しいんよ!」

 

希もそう言って自分1人、別の部屋で寝れる雰囲気でもなかった為、真姫は渋々自分もここで寝ることを決めて一同はそれぞれ自分の寝る場所を決める。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。 お兄ちゃんも一緒にここで寝よーよぅ」

 

だが、穂乃果は紅葉と一緒に寝たいからか、彼の服の袖を引っ張ってお願いするのだが・・・・・・やはりそういう訳にもいかず、紅葉は「ごめんな?」と申し訳無さそうな顔をしながら穂乃果に謝る。

 

「むぅ~。 じゃあ穂乃果がお兄ちゃんの部屋に・・・・・・!!」

「ダメダメ、お前はこっち。 折角なんだから今日はみんなと一緒に寝ろ。 良いな?」

「・・・・・・は~い」

 

紅葉にそう言われ、穂乃果はやむなく返事し、彼女は「それじゃ私ここー!!」と言いながら自分の寝る場所を決める。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一同は明日に備えて眠ることになったのだが・・・・・・。

 

「お前等何してんだ・・・・・・」

 

眠って少し経った頃、なにやら1階が騒がしかったので1体何してるのかと思い降りてみると・・・・・・ぐっすり眠っている海未以外のメンバーが枕投げをして遊んでおり、紅葉はそんな彼女等に呆れた視線を向けていた。

 

「あっ、お兄ちゃん!! お兄ちゃんもやろうよ!!」

「やる訳ないだろ! 明日早いんだろ? さっさと寝ないと・・・・・・むぐっ!?」

 

明日早くから練習があるので、早く寝ないといけないだろと注意しようとした紅葉だったが、穂乃果から投げられた枕が顔面に当たり、紅葉は当たった枕を手に取って仕返しとばかりに穂乃果に投げつける。

 

「何すんだ穂乃果ぁ!!」

「うおっと!? よーし!! お兄ちゃんには負けないよ~!!」

 

紅葉の投げた枕を穂乃果は見事に躱し、ならばと思い紅葉は彼女等の元まで行くと即座に枕を拾ってせめて1発当てた仕返しはしてやろうともう1度穂乃果に投げようとするのだが・・・・・・。

 

「覚悟・・・・・・もぐ!?」

「えへへ~、ごめんね紅葉くん?」

 

今度は横からことりが投げてきた枕が紅葉の顔面に当たる。

 

「上等だ!! お前等纏めて俺が倒してやる!!」

「そう簡単には・・・・・・」

「いかないにゃー!!」

 

今度は希と凛が2人同時に枕を紅葉に投げつけて来るのだが、紅葉はそれを両手で見事キャッチ。

 

「枕の力、お借りします!!」

 

そう言いながら紅葉は凛と希に見事枕を当て、みんな枕投げに大はしゃぎ。

 

しかし、そんな時・・・・・・。

 

「むぐっ!?」

『あっ・・・・・・』

 

投げていた枕の2つは海未の顔を隠すように当たり、彼女は自分の顔の上にある枕を掴んでゆらりと起き上がる。

 

その時の海未は、前髪で目元が隠れて表情が少し分かりづらかったのだが・・・・・・逆にそれがなんだか恐ろしく、紅葉含めて一同はそんな彼女に怯え始める。

 

「何事ですか・・・・・・?」

「ちょっ、怖い怖い!! そう言えば、海未って寝てる時に起こされると物凄く機嫌が・・・・・・」

「・・・・・・どういうことですか?」

 

海未が静かにそう呟くと、「狙ってやった訳じゃ・・・・・・」と真姫が弁明しようとするのだが、あまり意味はなく・・・・・・。

 

「明日、早朝から練習すると言いましたよね? それをこんな夜中に・・・・・・フフフ・・・・・・」

「お、落ち着きなさい海未・・・・・・」

「まずいよ、これ・・・・・・」

 

だが、海未は聞く耳持たず、次の瞬間には高速で彼女が飛ばした枕がにこの顔に直撃し、ダウン。

 

「にこちゃん!! ダメにゃ、もう手遅れにゃ~!!」

「ウフフ、覚悟はできていますね?」

 

不気味に笑みを浮かべる海未。

 

そんな彼女に「どうしよう」と涙目で尋ねることり。

 

「生き残るには戦うしか・・・・・・!!」

 

穂乃果は攻撃される前にこっちが攻撃しようと枕を投げようとするのだが、それよりも早く海未の枕が穂乃果に迫り・・・・・・それを紅葉がなんとか叩き落とす。

 

「おっと危ねえ!!」

「お、お兄ちゃん!」

 

その後も海未は連続で枕を2つ投げるのだが、紅葉はそれを2つともはたき落として後ろにいる穂乃果とことりを守る。

 

(こんなもんケンドロスに比べたら可愛いもんだ!!)

 

そりゃそうだろう、ブーメランじゃなくて枕だぞ、向かって来るの。

 

「こっちも守って欲しいにゃー!!」

「すまんがちょっとそこまでの余裕は無さそうだ!! という訳で攻撃係頼みます、絵里さん!」

 

紅葉にそう言われて頷いた絵里は「ごめん海未!!」と謝罪しながら枕を投げようとするのだが、それよりも早く顔に海未の投げた枕が当たり、絵里は脱落。

 

ならばと次の狙いを海未は花陽と凛に向けるのだが・・・・・・。

 

「今だ!!」

 

その一瞬の隙を突いて紅葉、真姫、希が3人同時に海未に枕を投げて直撃させ・・・・・・彼女は布団の上に倒れてダウンし、再び眠りにつくのだった。

 

「た、助かった~」

 

海未が脱落したことで、ほっと胸を撫で下ろす穂乃果。

 

そしてこんなことになって「まったく~」と呆れた声を真姫は出すのだが・・・・・・。

 

「でも元はと言えば真姫ちゃんが始めたにゃー」

「えっ? そうなのか? 意外だな、真姫ちゃんが・・・・・・」

 

凛の言葉を聞いて驚きの視線を真姫に向ける紅葉。

 

「ち、違うわよ!! あれは希が・・・・・・!」

「うちは何も知らないけどね?」

 

真姫は希の方に顔を向けるのだが、希はとぼけ、それに「アンタね~!!」と怒る真姫だったが・・・・・・。

 

「えい!!」

 

顔に枕を押し当てられ、言葉を防がれてしまう。

 

「って何するの希!!」

「自然に呼べるようになったやん、名前?」

「えっ?」

 

希にそう言われて唖然とする真姫。

 

それに一同は暖かい笑みを浮かべる。

 

「本当に面倒やな?」

「べ、別に・・・・・・そんなこと頼んでなんかいないわよ!!」

 

顔を赤くしながら、彼女は希に向かって枕を投げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の夜中。

 

既にみんなは寝静まった頃の時だった。

 

「・・・・・・うにゅぅ・・・・・・」

 

ふっと穂乃果は目を覚まし、喉の渇きを感じて水を飲もうとキッチンの元へと歩いて行く。

 

(・・・・・・あっ、そうだ、お兄ちゃん・・・・・・)

 

眠気でボーッとしながらも彼女は「ある理由」から紅葉のいる2階へとあがり、彼が眠っている部屋の前に辿り着くと・・・・・・部屋の中から小さな唸り声のようなものが聞こえて来た。

 

「うぅ、うあ・・・・・・うぅ・・・・・・」

(まただ)

 

穂乃果はそっと扉を開けるとやはりそこでは紅葉がうなされながら眠っており、彼女は紅葉の元に歩み寄ると彼の頬に優しく手を添え、そのまま紅葉の布団の中に潜り込んで抱きしめる。

 

すると、少しだけ紅葉の表情が柔らかくなり、唸り声も鳴りを潜める。

 

(昔から、こうなんだよね、お兄ちゃんは・・・・・・)

 

穂乃果がよく紅葉が眠っているときに布団の中に潜り込んで一緒に寝るのには理由があった。

 

勿論、単純に一緒に寝たいからというのもあるが・・・・・・それだけではない。

 

昔から彼は、プレッシャーに子供にされて記憶を一時期消されても尚、昔の悪夢からは解放されなかった。

 

例の夢・・・・・・大切な者を失った時の記憶は昔から彼はよく夢で見ていたのだ。

 

そんなある時、穂乃果は紅葉が悪夢を見てよく苦しんでいるのを知り、まだ幼かった彼女はそんな状態の紅葉を起こせば良いのかどうか分からず、取りあえず抱きしめて一緒に眠ると紅葉は少しだけ落ち着きを取り戻してくれることに彼女は気付いたのだ。

 

それ以来、今でもこうして紅葉が悪夢を見て苦しんでいる時は、穂乃果はいつもこんな風に紅葉を抱きしめて一緒に眠っている。

 

「っ・・・・・・ナターシャ・・・・・・」

(・・・・・・ナターシャって、誰なんだろ)

 

紅葉を悪夢を見る時、決まって口にする名前・・・・・・。

 

穂乃果は昔から紅葉と一緒にいるが、ナターシャなんて名前の人物と会ったことは無い筈。

 

その為、穂乃果はなぜ会ったこともない人物の名前を何時も呟くのか、分からなかったが・・・・・・それが誰なのかを聞くつもりはない・・・・・・というよりも聞く勇気がないというべきか。

 

(でも、何時かは聞かないとだよね。 だって、私、お兄ちゃんと・・・・・・)

 

そこまで考えて、穂乃果に眠気が訪れ始め・・・・・・彼女は眠りの世界へと落ちていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから早朝、少しだけ早めに起きた真姫は何気なく海を眺めるために外に出ると・・・・・・。

 

砂浜に自分よりもどうやら早く起きたらしい希が海を見つめて眺めており、背後に気配を感じた彼女は振り返るとそこに真姫がいることに気付く。

 

「おっ、早起きは三文の徳! お日様からたっぷりパワー貰おうか?」

「・・・・・・どういうつもり?」

「・・・・・・別に真姫ちゃんの為やないよ?」

 

真姫の問いかけに希がそう答えた後、彼女は再び海を見つめる。

 

「海は良いよねぇ、見ていると大きいと思ってた悩み事が小さく見えてきたりする。 ねえ真姫ちゃん?」

「うん?」

「ウチな、μ'sのメンバーのことが大好きなん。 ウチはμ'sの誰にも欠けてほしくないの。 確かにμ'sを作ったのは穂乃果ちゃんたちだけど、ウチもずっと見てきた。 何かあるごとに、アドバイスもしてきたつもり。 それだけ、思い入れもある」

 

すると希は再び真姫の方へと振り返って笑みを浮かべ、一差し指を自分の唇に押し当てる。

 

「ちょっと話過ぎちゃったかも。 みんなには内緒ね?」

 

そんな希に、真姫は思わず笑ってしまう。

 

「めんどくさい人ね? 希?」

「あっ、言われちゃった?」

 

その時、そこへ・・・・・・。

 

「真姫ちゃーん!! 希ちゃーん!! おーい!!」

 

穂乃果が2人の名前を呼びながら他のメンバーを引き連れて現れ、一同はそれぞれが手を繋いで朝日が昇るのを見つめる。

 

尚、紅葉は後ろの階段の方でまだ眠いせいかダウンしてる。

 

「あと24時間寝かせて・・・・・・」

「それ1日終わってるんだけど!?」

 

紅葉の寝言ににこがツッコミを入れるが、そんな紅葉は放って置いて真姫は絵里の名を呼び、名前を呼ばれた絵里は「んっ?」と首を傾げる。

 

「・・・・・・ありがとう」

 

うっすらと笑みを浮かべながら、真姫は絵里にお礼を述べ、それを受けた絵里も嬉しそうに「ハラショー!」と言いながらウィンクする。

 

「よーし!! ラブライブに向けて、μ's頑張るぞー!!」

『おぉー!!!!!』

 

そして穂乃果の言葉に、全員が勢いよく気合いの入れた声をあげるのだった。















紅葉
「サブタイを探せ! のコーナー!! だがその前に、今日は穂乃果の誕生日だ!! おめでとさん穂乃果!」

ことり
「イエーイ♪ 穂乃果ちゃん、おめでとう!!」

海未
「おめでとうございます、穂乃果」

にこ
「取りあえず先駆けてあたし達で祝うけど、後でみんなで部室でお祝いやるから、来なさいよ」

穂乃果
「えへへ~、ありがと~」

紅葉
「祝え!! μ'sの発案者にて、μ'sのリーダー! 本日は俺の妹、高坂 穂乃果の誕生日である!! 取りあえずウォズさんっぽく祝っとく」

にこ
「さて、じゃあそろそろ今回隠れたサブタイを発表するわね? 今回のサブタイはあたしの『勇気ある戦い』よ!」

穂乃果
「オーブ本編でも使われたやつだね~」

ことり
「ビーチバレーの辺りのにこちゃんの台詞だね~」




次回からマガオロチ、ギャラクトロンに当たるエピソードやって行こうと思うのでちょっと紅葉と穂乃果ちゃんの関係掘り下げる話にもなった為、今回は穂乃果ちゃん誕生日記念に更新しました。
本来はのぞ真姫回ですけど。

ザバンギ、正直出すべきか悩んだんですけど、そこそこ強そうでマイナーで一応地上、水中でも活動できそうな奴というとザバンギしか思いつかなかったんですよね。
シーゴリアンも候補にはいたんですけど海の中だと複数の魚に水中で分裂しそうで戦闘描写かなり難しくなりそうだったので。

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