ラブライブ! オーブ‼︎   作:ベンジャー

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第12話 『復活の大魔王獣』

今朝、学校に行く準備を紅葉がしていると・・・・・・。

 

ドタドタとパンを咥えて珍しく早起きした穂乃果が紅葉の部屋に勢いよく入って来たのだ。

 

「お兄ひゃん聞いて聞いて~!!」

 

穂乃果は朝からはしゃぎながらスマホの画面を紅葉にズイズイ見せてきて、紅葉はそんな穂乃果に「落ち着け」と呆れつつ宥め、穂乃果からスマホを借りて画面を見るとそこには・・・・・・。

 

音ノ木坂学院、μ'sがスクールアイドルのランキングで19位を獲得しており、それは穂乃果達μ'sがこのまま順位を落としたりなどしない限り、ラブライブ出場の権利を得ている状態であり、それには紅葉も「おぉ!」と感心の声をあげる。

 

「やったな穂乃果!!」

「うん!!」

 

紅葉は穂乃果の頭を優しく撫で、それに嬉しそうな声を穂乃果はあげる。

 

「しかし、凄いな・・・・・・」

「凄いなんてもんじゃないよ!! 19位だよ19位!! ラブライブに出場できるかもしれないんだよ!! ラブライブ、出場できればきっと学校もなくならない!!」

 

その後、紅葉と穂乃果は家を出て海未やことりとも合流し、この喜びを4人は分かち合いながら登校するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、学校に着くや否やヒデコ、フミコ、ミカもμ'sがランキングで19位になったことを知り、3人は学校にやってきた穂乃果に「やったじゃん!!」と祝いの言葉をかけ、そのことは学校でも凄い話題になっていた。

 

ミカはそんな穂乃果の頭を「よーしよし、よく頑張った」と褒めながら頭と顎を撫でる。

 

「くぅーん♪」

「ミカ、俺にも撫でさせろ」

「えー? 紅葉くん何時も撫でてるし今日は私に撫でさせてよ」

「穂乃果が犬真似してる時は別格なの!!」

 

よく分かるような、分からないような・・・・・・と思いつつも「しょうがないなぁ」とでも言いたげな様子で穂乃果から手を離し、交代で今度は紅葉が穂乃果の頭と顎を撫で始める。

 

「わっふぅ・・・・・・くぅーん♪」

「可愛いなこいつ」

「っていうか、穂乃果のことだからすぐに飽きちゃうと思ってたんだけど・・・・・・」

 

ヒデコにそう言われて、確かに穂乃果は飽きやすいところがあり、彼女自身もそれを自覚しているのか穂乃果は思わず苦笑いを浮かべる。

 

「でもさ、私達ってラブライブに出るμ'sの初ライブ見たことになるんだよね!」

 

彼女等3人はファーストライブの時、色々と穂乃果達の手伝いをしてくれており、その関係で後のμ'sになるメンバー以外では彼女等だけがμ'sのファーストライブを見たことになる。

 

そのμ'sがラブライブという大きな大会に出場するとなるとなんだか感慨深いなと思うフミコ達。

 

「しかも3人が見たのは生ライブだからな。 あの時見に来なかった奴等はさぞかし悔しいだろうなぁ・・・・・・? 見に行くとか言って来なかった奴とかいたし・・・・・・」

 

紅葉はファーストライブの時に来なかった連中はさぞかし後悔しているだろうとどこか勝ち誇った黒い笑みを浮かべ、そのことにヒデコとミカがツッコミを入れる。

 

「紅葉くん、笑みが黒いよ・・・・・・?」

「これは来てくれなかった人達に対して結構根に持ってるね」

「まぁ、でも、まだ2週間近くある訳だし・・・・・・ラブライブ出場はランキング1位~20位のグループってルールがあるし、その間にずっと19位以上を保てるかが勝負だから・・・・・・まだ気を抜くには早いからな?」

 

紅葉に穂乃果はそう注意され、穂乃果もそれは理解しているので「分かってるよ!!」とガッツポーズを見せながら紅葉にやる気の高さを見て、それを見て紅葉は「慢心してないなら」と頷くのだった。

 

そんな時、そこに自分の教室に向かおうとしている絵里が通りかかり、彼女は穂乃果と紅葉の2人に「おはよ」と朝の挨拶をする。

 

「あっ、絵里ちゃん!! おっはよ~!」

「おはようございます、絵里さん」

 

朝の挨拶をお互いに済ませると、絵里はそのまま学校の階段を上っていき、また紅葉は兎も角、そんな穂乃果と絵里のやり取りを見てヒデコ、ミカ、フミコは「えっ・・・・・・!?」と驚きの声をあげる。

 

その理由は先輩である絵里に対して「ちゃん呼び」と「タメ口」をしたからでミカは慌てて穂乃果の肩を掴んで「穂乃果! 先輩だよ!!」と彼女を注意する。

 

「あぁ、大丈夫大丈夫! 先輩後輩やめよって話したんだ」

「さっき通りかかった絵里さんの案でな。 まっ、俺は『さん付け』にして敬語は続行だが」

 

穂乃果のその説明を受けてミカは「凄い! 芸能人みたい!!」と驚きの声をあげる。

 

「芸能人っぽいかこれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、教室に戻って少しするとまたヒデコ、ミカ、フミコが穂乃果の元に色紙を持ってやって来て今度は彼女にサインをお願いしたのだ。

 

そのことに「えっ、サイン?」と首を傾げ疑問に思う穂乃果。

 

「これから有名になるんだから記念に1枚書いてよ!」

 

とのことで、紅葉はそれを聞いて「ちょっと気が早すぎるんじゃ無いの・・・・・・」と思わずにいられなかったが、実際μ'sの知名度は上がり続けているので「まぁ、別に問題はないかな」とも思うのだった。

 

「さっき、園田さんにも書いて貰ったんだけど・・・・・・」

「えっ、どこに?」

 

一応、先ほど海未もサインを書いて貰ったらしく、恥ずかしがり屋の海未がサインなんて書くとは珍しいなと紅葉は思うのだが・・・・・・。

 

ミカが見せる海未のサインが入った色紙には何も書かれてないように見え、紅葉と穂乃果は「どこに?」と不思議に思いながらジーッと色紙をマジマジと見つめる。

 

すると、左端の隅っこの方に小っさく・・・・・・本当に小さく・・・・・・「園田 海未」と名前が書かれており、名前を発見した紅葉と穂乃果は「字小っさ!!」と驚くのだった。

 

「海未がサインを書くなんて、珍しいと思ったら・・・・・・」

「恥ずかしいから、これが限界なんだって」

 

だから穂乃果は大きく書いて欲しいとミカは頼み、それを受けて穂乃果は頷いて自分の名前を色紙に書き込むのだが・・・・・・。

 

穂乃果の場合だと、海未とは正反対に字が大きすぎて最後の穂乃果の「果」の部分だけが少し小さくなってしまったのだった。

 

「ごめん入りきらなかった!」

「ホントアンタ達極端よね」

 

そんな海未と穂乃果にヒデコは苦笑し、またフミコが言うにはにこにもサインを頼みに行ったらしいのだが・・・・・・。

 

『すいません、今プライベートなんで』

 

と言われて断られたらしい。

 

「なにバカなこと言ってんですかね、にこさん」

 

そんなことを紅葉が呟くと遠くの方で「だぁれがバカよ!!!!」という声が聞こえて来た気がしたが、恐らく気のせいだろう。

 

「私達、芸能人って訳じゃないし・・・・・・」

 

またこれには穂乃果や海未も苦笑い。

 

「あと、さっきからペン構えてるみたいだけど紅葉くんのはいらない」

 

ミカはさっきからペンを持ってずっとそわそわしている紅葉に気がつき、紅葉のサインはいらないとハッキリと言われ、「えっ!?」とショックを受ける紅葉。

 

「えっ!!? だって俺一応マネージャーだし・・・・・・」

「マネージャーのサイン欲しがる人って普通はいないと思うんだけど・・・・・・」

 

ミカにそう言われた紅葉はさらにショックを受け、彼は椅子の上で膝を抱えて縮こまるのだった。

 

「そんなことでショック受けないでよお兄ちゃん!! って・・・・・・あれ? そう言えば、ことりちゃんは・・・・・・?」

 

そこで穂乃果はことりがそこにいないことに気づき、そのことりはというと・・・・・・。

 

廊下の隅っこ辺りにある階段の下で、暗い表情を浮かべながら一通の手紙の入った封筒をジッと見つめていたのだった。

 

「・・・・・・っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、放課後にて。

 

穂乃果と凛はノートパソコンにラブライブに出場したら出られる舞台の画像を表示しながらそれをうっとりとした様子で眺めており、彼女等2人は自分達がここに立つ姿を想像して楽しんでいた。

 

「うわ~! ラブライブに出場できたら、ここに立てるんだ!」

「凄いにゃー!」

「なにうっとりしてんのよ! ラ、ラブライブ出場ぐらいで・・・・・・」

 

そんな穂乃果と凛をにこが注意するのだが、彼女の目尻には涙が浮かびあがっており、彼女は流れそうになる涙を堪えながら穂乃果達に自分の顔を見せないように窓の外に顔を向ける。

 

「う、ううう・・・・・・やったわね、にこ・・・・・・」

「にこさんが1番喜んでるよな・・・・・・、ラブライブ出場に」

 

この中で1番最初にスクールアイドルを始め、一度グループが解散してしまったにこからしてみればラブライブに出場できるのは確かに喜ばしいことだろう。

 

もしかすれば、この中でラブライブに出場できるかもしれないと1番喜んでいるのは紅葉の言うようににこなのかもしれない。

 

だが、にこはすぐに嬉しいという感情を抑えて気持ちを切り替え、キリッとした顔を浮かべて穂乃果達の方に振り返る。

 

「まだ喜ぶのは早いわ! 決定した訳じゃないんだから。 気合い入れて行くわよ!!」

 

右腕を上げて気合いを入れるにこに、「その通りよ」と言いながら絵里と希が部室にやってきた。

 

絵里は穂乃果達からノートパソコンを借りるとUTX高校のホームページを開き、そこの「A-RISE」の動画を見てみると「連続ライブ決定! 7days!」と書かれており、つまり、A-RISEは7日間連続ライブを行うことを予告していたのだ

 

「7日間連続ライブ?」

「そんなに!?」

 

これには穂乃果や凛も驚きの声をあげ、紅葉も「やるなぁ」と感心の声をあげていた。

 

「ラブライブ出場のチームは2週間後の時点で20以内に入ったグループ。 どのスクールアイドルも最後の追い込みに必死なん」

「成程。 だから目立つことして順位をあげようってことか」

「その通りよ紅葉くん。 それに、20位以下に落ちたところのグループだってまだ諦めてはいないだろうし、今から追い上げてなんとか出場を勝ち取ろうとするスクールアイドルも沢山いる」

 

その為、自分達が今朝19位になったからと言ってまだまだ余談は許さない状態だと絵里は説明。

 

「つまり、これからが本番ってわけね」

「ストレートに言えばそういうこと。 喜んでいる暇はないわ」

 

真姫の言葉に絵里が頷き、それに穂乃果は「よーし、もっと頑張らないと!」と気合いを入れる。

 

「とは言え、特別なことを今からやっても仕方ないわ。 先ずは目の前にある学園祭で精一杯良いステージを見せること。 それが目標よ」

「よし、そうとなったら先ずはこの部長に仕事を頂戴!!」

 

絵里の話を一通り聞き終えたにこは部長として自分にできる何かが無いかと絵里に尋ね、丁度絵里にはにこにうってつけの仕事があった為、それを頼むことにしたのだ。

 

「じゃあにこ、うってつけの仕事があるわよ?」

「んっ? なに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「書道部!! 午後3時からの1時間講堂の使用を許可します!」

「「やったぁー!!!」」

 

学校のある部屋にて、茶道部の代表と思われる2人がくじ引きで金のボールを引き当て、講堂の使用許可を貰い、彼女等2人は抱き合って喜びを分かち合っていた。

 

「・・・・・・なんで講堂がくじ引きな訳?」

「昔から伝統らしくて・・・・・・」

 

にこの疑問に絵里がそう応え、自分達としては講堂を文化祭でどうしても使いたかったので部長であるにこにはなんとしてでも金のボールを引き当て、講堂の使用許可を貰ってくれなければいけなかったのだ。

 

そして穂乃果は「にこちゃん!」と彼女の名を呼び、にこは自分がくじ引きを引く番が来ると、彼女は気合い入れてくじ引き台まで力強く歩いて行く。

 

「ひっ!?」

 

その際、係の人がそんなにこにビビっていたりしたが。

 

「不安しかないのは俺だけかな」

 

紅葉としては運が良さそうな希や穂乃果がやった方が金のボールが出る確率上がるんじゃ無いのかと思うのだが、にこは「私に任せなさい!!」と言って妙に自信満々だった。

 

「見てなさい!! 絶対に当たりを引いてやるんだから!!」

「にこちゃん、頼んだよ!」

「講堂が使えるかどうかでライブのアピール度は大きく変わるわ!」

 

そうしてにこはガラガラを回し、彼女は見事金のボールを当て・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・られませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

残念ながらくじ引きで出たのは白いボールであり、つまり、穂乃果達は講堂を使用することができなかったのだ。

 

「残念! アイドル研究部学園祭で講堂は使用できません!!」

 

それを受け、一緒に来ていたμ's全員はその場に崩れ落ちるのだった。

 

「・・・・・・嘘・・・・・・」

 

特ににこが驚愕的な顔を浮かべており、そんな一同に紅葉はどう声をかけて良いか分からず、取りあえずにこの肩にポンッと手を置く。

 

「えっと、その・・・・・・ドンマイ?」

「やめて励まさないで余計になんか傷つく!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、屋上にて。

 

「どーしよー!!」

 

穂乃果は講堂使えないことに頭を抱えて嘆き、くじを外したにこは「だ、だってしょうがないじゃない! くじ引きで決まるなんて知らなかったんだから!!」と開き直る。

 

「あー!! 開き直ったにゃー!!」

「うるさい!!」

 

そのことに凛から指摘されるがにこに怒鳴られて「ひっ!?」と小さな悲鳴をあげてから彼女は黙り込む。

 

「うぅ、なんで外れちゃったのぉ・・・・・・」

「まぁ、予想されたオチね」

 

花陽がくじ引きが外れたことにポロポロと涙を流し、真姫は「予想できた」なんて言って冷静を装うが・・・・・・。

 

「いつもより髪の毛くるくるしてないか真姫ちゃん? 実は結構動揺してるでしょ?」

「し、してないわよ別にこんなことで動揺なんて!!」

 

何時も以上に髪をくるくる弄ってることから紅葉に即座に実は動揺してるのではと疑われるが本人は否定。

 

だが誰がどう見ても動揺しているのは一目瞭然だった。

 

「にこっち、ウチ、信じてたんよ」

 

また膝を抱えてそう呟く希。

 

「うるさいうるさいうるさーい!!!! 悪かったわよ・・・・・・!」

「こればっかりは運だからな。 にこさんだって外したくて外した訳じゃないんだ。 みんなもいい加減許そうぜ?」

「紅葉くんの言うとおりね。 気持ちを切り替えていきましょ? 講堂が使えない以上、他のところでやるしかないわ」

 

紅葉に同意するように絵里は頷き、今は兎に角他のところでライブができそうな場所を見つけなければならないという話になるのだが・・・・・・。

 

他にライブのできそうな体育館やグランドは他の運動部が使っているので恐らく使用はできないということで、海未はそれならばどこでやればと誰もが思った疑問を口にし、みんなはそのことに頭を抱えて悩むのだった。

 

「・・・・・・部室とか?」

「狭いよ!!」

 

にこが意見を出すが、即座に穂乃果から「狭い」というツッコミが入れられる。

 

「あっ、じゃあ廊下は!?」

「バカ丸出しね」

 

今度は穂乃果が意見を出すのだが、にこはバカっぽいという理由で却下。

 

「にこちゃんがくじ外したから必死で考えてるのに!!」

「あとは・・・・・・」

「じゃあここ!!」

 

すると、再び穂乃果は意見を出し、文化祭でライブをする場所にこの場所・・・・・・つまり、屋上を指定したのだ。

 

「ここに簡易ステージを作れば良いんじゃない? お客さんも沢山入れるし!」

「屋外ステージ?」

「確かに人は沢山入るけど・・・・・・」

 

希とことりは屋上の広さを考えれば理論上、沢山の人が入るのは間違いなく、ライブを行うこと自体は問題は無さそうだった。

 

「何よりここは私達にとってすごく大事な場所! ライブをやるのに、相応しいと思うんだ!」

「野外ライブ! カッコイイにゃー!」

 

屋上でライブをやることに凛もノリ気になるのだが、1つ問題があるとすれば、この辺りはあまり人が通りそうにないということでここだとたまたま通りかかるということもないだろうと海未は予想し、もしかすれば1人もお客は来ないかもと真姫は懸念する。

 

「じゃあ、おっきな声で歌おうよ!」

「ハア、そんな簡単なことで解決できるわけ・・・・・・」

「校舎の中や外を歩いてるお客さんにも聞こえるような声で歌おう! そしたら、きっとみんな興味を持って見に来てくれるよ!」

 

そう言い放つ穂乃果に対し、絵里は思わず笑い出してしまう。

 

「フフ、アハハ・・・・・・穂乃果らしいわ」

「えっ・・・・・・ダメ?」

 

穂乃果が不安そうに絵里に尋ねるが、絵里は穂乃果の元へと歩み寄る。

 

「何時もそうやってここまで来たんだもんね。 μ'sってグループは」

「ですね。 それに、同時にμ'sらしくもあると思います。 俺も穂乃果の意見に賛成だ」

「絵里ちゃん、お兄ちゃん・・・・・・えへへ・・・・・・」

 

絵里と紅葉の言葉を受けて穂乃果は思わず笑みを浮かべる。

 

「決まりね、ライブはこの屋上にステージを作って行いましょ!」

「確かに、それが1番μ'sらしいライブかもね!」

「よーし! 凛も大声で歌うにゃー!!」

 

みんなも「自分達らしい」ということで納得し、文化祭では屋上でライブをすることに決定したのだった。

 

「じゃあ各自、歌いたい曲の候補を出してくること。 それじゃ練習始めるわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから練習が終わり、海未は弓道部、紅葉は「大きな声でお客を呼ぶ」ということになったものの打てる手は打っておこうということで当日余所から来る人達に渡すための「ライブをやります!」というチラシ作りをするために学校に残り、2年組は今日は穂乃果とことりの2人だけで帰ることになったのだった。

 

「わぁ~! ライブ楽しみだなぁ! ねっ、ことりちゃ・・・・・・うん?」

 

穂乃果は文化祭に行うライブが待ち遠しいという感じで話をことりに振るのだが、ことりはどこか浮かない顔をしており、そんなことりを見て穂乃果は首を傾げる。

 

「・・・・・・あのね、穂乃果ちゃん」

「うん?」

「あ・・・・・・あのね・・・・・・」

 

ことりは何か言いたそうにしているのだが、余程言い辛いことなのか、どこか歯切れの悪い彼女。

 

「えっと、ライブ、頑張ろうね!」

 

しかし、ことりはすぐさま笑顔を浮かべて「ライブを頑張ろう!」と穂乃果に言い、その言葉に穂乃果は嬉しそうに「うん!」と頷くのだった。

 

「・・・・・・っ」

 

そして自分の前を歩く穂乃果の背中を、ことりはただじっと寂しそうに見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、自分の家に帰ってきたことりは・・・・・・。

 

電気もつけず、薄暗い部屋の中一通の手紙をジッと見つめており、そんなことりに後ろから「どうするの?」とことりの母でもある理事長が尋ねてきたのだ。

 

「・・・・・・」

「こんなチャンス、めったにないわよ?」

「・・・・・・うん」

「・・・・・・」

 

理事長はそのままそこから立ち去ろうとするのだが、その時、ことりが振り返って「お母さん!!」と理事長を呼び止める。

 

「うん?」

「お母さんは、行った方が良いと思う?」

 

そのことりの問いかけに対し、理事長はジッとことりの目を真っ直ぐ見つめて応える。

 

「それは自分が決めることよ?」

「・・・・・・っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、部室にて。

 

「えっ、曲を?」

「うん! 昨日、真姫ちゃんの新曲聴いたらやっぱりよくって。 これ1番最初にやったら盛り上がるんじゃないかなって!」

 

昨日絵里に「自分が歌いたい曲を各自選んで来て欲しい」と言われ、それに対して真っ先に穂乃果が意見を出し、真姫の新しい曲を使うのはどうだろうかと提案して来たのだ。

 

しかし、歌も振り付けもまだこれからであり、絵里は本番までに間に合うだろうかと心配するが・・・・・・。

 

「頑張れば何とかなると思う!」

 

そんな風に力強く言い放つ穂乃果に、絵里は薄らと笑みを浮かべる。

 

「でも、他の曲のおさらいもありますし・・・・・・」

「わ、私自信ないな・・・・・・」

 

しかし、時間はそこまで長くないということもあり、海未や花陽は不安を口にする。

 

「μ'sの集大成にしなきゃ! ラブライブの出場がかかってるんだよ!」

「まぁ、確かに、それも一理あるね」

「多少の無茶は、必要かもな・・・・・・」

 

穂乃果の言葉に希や紅葉も一理あるとして穂乃果の意見に賛成の意を示し、それに穂乃果も「でしょ?」と頷く。

 

「ラブライブは今の私達の目標だよ! そのためにここまで来たんだもん!!」

「・・・・・・ラブライブ・・・・・・」

 

そんな穂乃果の力強い言葉に先ほどまで不安がっていた花陽もラブライブに出場するためならと少し考える。

 

「このまま順位を落とさなければ本当に出場できるんだよ! 沢山のお客さんの前で歌えるんだよ! 私、頑張りたい!! その為にやれることは全部やりたい! ダメかな?」

 

椅子から立ち上がり、そうみんなに強く訴える穂乃果。

 

「反対の人は?」

 

そんな穂乃果を見て、絵里は反対の人はいないかと一同に尋ねると、そこには誰も反対意見を出す者はおらず、みんなは穂乃果の提案に笑顔で賛同したのだ。

 

「みんなぁ・・・・・・! ありがとう!」

 

ただ、1人・・・・・・みんなが笑みを浮かべている中、ことりだけがどこかその笑みに影があり、そのことにただ1人、紅葉は気付いて頭に疑問符を浮かべ彼は首を傾げる。

 

「ことり、どうかしたのか? なんか元気ないように見えるけど・・・・・・穂乃果の意見に反対だったりするのか?」

 

ことりの性格上、彼女は穂乃果に甘いこともあり、何か言いたいことがあるのに黙っているのではないかと思った紅葉は遠慮せず、彼女も反対意見や言いたいことがあるなら遠慮せず言って良いと伝えるが・・・・・・ことりは慌てて首を左右に振って否定する。

 

「ううん、違うの! 私も穂乃果ちゃんの意見には賛成だよ!! 頑張ろうね、穂乃果ちゃん!!」

「ことりちゃん・・・・・・うん、ありがとう!!」

「ただし、練習は厳しくなるわよ? 特に穂乃果!」

 

穂乃果はセンターボーカルなのだからみんなの倍はキツくなると絵里に言われ、穂乃果はガッツポーズをして力強く頷いた。

 

「うん! 全力で頑張る!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから穂乃果は自分が1番に頑張らなくてはいけないということで夜も体力作りの為に走り込みを毎日するようになった。

 

「えぇ? 夜も練習してるの?」

「うん!!」

「やりすぎはよくないよ? いっつも無理するんだから」

 

そのことを聞いた居間で勉強していた雪穂にやりすぎはよくないと穂乃果は注意されるのだが、穂乃果は「大丈夫!!」と言葉を返す。

 

「自分が誰よりも頑張ってライブを成功させなきゃ! 自分がやるって言い出したんだから!!」

 

それだけを言い残すと穂乃果は自分の部屋へと戻り、そんな穂乃果を見て雪穂は薄らとした笑みを浮かべ、また穂乃果と入れ替わる形で紅葉が居間にやってくる。

 

「あいつ、ああ見えて責任感強いんだよな」

「そうだね。 普段ぐーたらな感じのくせに」

「あはは! 違いない」

 

すると紅葉は机の上に置いてある「国立音ノ木坂学院 入学案内」と書かれた学校のパンフレットが置いてあることに気づき、それを見た紅葉はUTXに行こうとしていた雪穂の気が変わったのかと思い、「まさか雪穂、音ノ木受けるのだろうか?」と思いジッと雪穂の顔を見つめる。

 

「な、なに? お兄ちゃん・・・・・・そんなに見つめられると照れるんだけど」

「あぁ、すまん。 いや、雪穂・・・・・・お前、音ノ木坂受けるのか?」

 

紅葉の問いかけに対し、雪穂は一瞬黙り込むが・・・・・・。

 

「うん、視野には入れてるよ」

「そっか。 それじゃ、視野どころか雪穂の第1希望になるように俺も色々と頑張りますか!」

 

紅葉もまたそれだけ言い残すと彼は自分の部屋へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから学校の方も文化祭に向けて本格的にその準備をやり始め、紅葉とことりで制作したライブ開催のポスターを掲示板に手分けして張ることになり、穂乃果はことりと一緒にポスターを掲示板に張りに行き、そのポスターのイラストを見て穂乃果は「おぉ~!!」と感心の声をあげる。

 

「いい感じだよ! これならきっと、屋上までみんな来てくれるね!」

「えへへ・・・・・・。 あの、穂乃果ちゃん・・・・・・」

 

そこでことりは穂乃果に何かを言いかけるのだが・・・・・・。

 

「よぉーし!! クラスのみんなにも見て貰おう!!」

 

ことりの声が小さかったこともあってか、穂乃果はことりの言葉が聞こえておらず、彼女はクラスのみんなにもチラシを見て貰おうと走り去ってしまう。

 

「あっ・・・・・・はぁ・・・・・・」

「ポスターいい感じですね」

 

そこで後ろの方から海未がやってきてポスターの出来を褒められ、ことりは「あ、ありがとう・・・・・・」とお礼を述べるのだが・・・・・・。

 

ことりはどこか元気がない様子。

 

そのことに海未は「んっ?」と不思議そうに首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、教室にて・・・・・・。

 

「ふぁ~」

 

教室では穂乃果が大きな欠伸をしており、海未は「ちゃんと寝ているのですか?」と眠そうな顔をしている穂乃果を見てそう尋ねる。

 

「えへへ、つい朝までライブのこと考えちゃうんだよね」

「普段寝るの好きなのに」

 

苦笑しながら紅葉にそう言われる穂乃果。

 

「だって!! 今からワクワクして眠れないんだもん!!」

(そういや最近俺のところ来て添い寝しないけど、それが理由か)

 

若干、最近穂乃果が添い寝してくれないことに寂しさを感じるが、後々のことを考えると、お互いに妹離れ、兄離れするためにもこれで良いのだろうと思うことにする紅葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから放課後の練習の時間。

 

そんな穂乃果の現状を聞いたにこは「子供ね・・・・・・」と呆れ気味な様子を見せる。

 

「にこちゃんに言われたくない!!」

「どういう意味?」

 

穂乃果の言葉にジトッとした視線を送るにこ。

 

するとその時、穂乃果は「そうだ!!」と言って新しいダンスの振り付けを思いついたらしく、それをみんなに見て「どう?」とみんなに感想を求める。

 

「昨日徹夜で考えたんだ!!」

「ちょっと! 振り付け変えるつもり?」

「そ、それはちょっと・・・・・・」

 

流石に時間が無い中で振り付けを多少とは言え、変えるこには難色を示すにこと花陽。

 

「絶対こっちの方が盛り上がるよ!! 昨日思いついた時、『これだ!』って思ったんだ! あぁ~、私って天才!」

 

しかし、穂乃果はあまり花陽やにこの話を聞いていないようで、海未も「これは流石に・・・・・・」とことりに意見を求めるのだが・・・・・・。

 

「うっ、良いんじゃないかな?」

「えっ」

 

ことりは穂乃果の意見に賛成し、それに穂乃果も「だよねだよね!」と目を輝かせる。

 

「まぁ、組み込めないこともない・・・・・・かな」

「流石お兄ちゃん!! 分かってるね~!」

 

紅葉も穂乃果の考えた振り付けは別に無理のあるようなものではないため、特に問題は無いだろうということで彼も穂乃果の意見に賛成するのだが・・・・・・。

 

(でも、最近穂乃果の奴、ちょっと張り切りすぎだな・・・・・・。 少し無理にでも休ませた方が良いかもしれない)

 

 

 

 

 

 

 

それから、その日の夜・・・・・・。

 

紅葉はその日、夢を見ていた。

 

何時ものように見る大切な者を失う悪夢ではない。

 

紅葉は白い空間にただ立っているだけで、彼はぼーっと地面を見つめていた。

 

そんな時、彼の目の前に白い服を着た女性が突如現れる。

 

「っ、アンタは・・・・・・」

『・・・・・・私の名は、玉響』

「玉響・・・・・・」

 

紅葉はその名前に聞き覚えがあり、少しだけ自分の中の記憶を探ると以前、マガジャッパの事件が起こる少し前に・・・・・・希からあの入らずの森の話に出てきた人物だ。

 

正確には希から聞いた話に少し興味を持って自分で調べた時に知った名前ではあるが。

 

「玉響姫・・・・・・アンタが・・・・・・。 もしかしてこれは、ただの夢じゃないのか?」

 

紅葉の問いかけに対し、玉響姫はこくりと頷く。

 

『光の者よ。 大きな災いが、起きようとしています』

「大きな災い・・・・・・?」

 

玉響姫はそれだけを紅葉に伝えると、彼女の身体は足からどんどん薄くなっていき、それを紅葉は慌てて引き止める。

 

「お、おい!! それだけ言って終わりか!?」

『申し訳ありません。 今の私の力だけでは・・・・・・これくらいの警告が限界なのです。 ですが、どうかお願いです、光の者よ・・・・・・。その災いを、どうか・・・・・・』

 

玉響姫はそれだけを言い残すと、彼女の姿は完全に消え、紅葉もそこで目を覚まし、起き上がるのだった。

 

「っ・・・・・・! 大きな、災い・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、学校の屋上での練習にて・・・・・・。

 

ライブ当日1日前。

 

紅葉はその日、学校に来るべきか悩んだが・・・・・・彼は玉響の言葉が頭の中で引っかかりつつも、今μ'sは大事な時期なのでマネージャーである自分が離れる訳にはいかないこともあり、紅葉も何時も通り彼女等の手伝いをしていた。

 

「ハァ、もう足が動かないよー!」

 

一通りの練習を終えると、疲れ切ったしまったにこはその場に座り込んでしまうのだが・・・・・・。

 

「まだダメだよ! さぁ、もう1回!!」

「えぇ!? またぁ!?」

 

にこは屋上の柵に両手でしがみつき、穂乃果はそんな彼女を「まだまだできるよ!!」と言いながら引っ張って柵から引き離そうとする。

 

「私達は兎も角、穂乃果は少し休むべきです!」

 

そこで海未が何時も以上に張り切って夜も遅くまで練習しているらしい穂乃果に、少しは休むべきだと注意するのだが・・・・・・穂乃果は首を横に振って「全然大丈夫!!」とガッツポーズをしながら応える。

 

「私、燃えてるから!!」

「夜も遅くまで練習しているんでしょ?」

「だって、もうすぐライブだよ!」

 

そんな穂乃果に海未は呆れたような表情を見せ、ことりからも何か言ってやって欲しいと言うのだが・・・・・・。

 

「えっと、私は、穂乃果ちゃんおやりたいようにやるのだが1番だと思う」

「ほら! ことりちゃんもそう言ってるよ!」

 

どこか困り気味にではあるが、ことりは穂乃果のやりたいようにやるべきだと言い、ことりが穂乃果に甘いのは何時ものことなのだが・・・・・・どこか、最近は甘すぎるような気がしてならないと考える海未。

 

海未は視線を紅葉に移すと、紅葉は海未の心情を察してか頷き、穂乃果に声をかける。

 

「穂乃果、ちょっと2人で話があるんだが・・・・・・良いか?」

「えっ、でも練習が・・・・・・」

「練習にも関わる重要な話だし、すぐに終わる」

 

今は少しでも空いた時間を練習に費やしたいと考える穂乃果だったが、紅葉があまりにも真剣な眼差しで頼むと穂乃果も断ることができず、紅葉と穂乃果の2人は階段の方へと向かうのだった。

 

「えっと、それで話って何かなお兄ちゃん?」

「ことりはああ言ったが、海未の言う通り穂乃果は少し休むべきだ」

「えっ」

 

その言葉を受けて穂乃果は少し意外そうな顔を浮かべる。

 

練習に関して紅葉が何か言うとすれば、彼のことなのでてっきりことりと同じようにやりたいようにやれみたいなことを言われると思ったからだ。

 

しかし、今回は全くの逆であり、海未と同じように少し休めと言ってきたのだ。

 

「でも、もうすぐライブだし・・・・・・これでラブライブに出場できるかどうかがかかっているんだよ!?」

 

当然、穂乃果にとってもうじきライブ、それもラブライブ出場がかかっているのならばそれに向けて休んでいる暇なんてないと訴える穂乃果。

 

無論、穂乃果の言い分も分かる。

 

センターである穂乃果が特に頑張らないといけないのだから。

 

だが穂乃果の場合、紅葉は少し度が越しているのでは無いかと思ったのだ。

 

この調子の穂乃果に「休め」と普通に言っても、聞きはしないだろう。

 

だから紅葉は何時もは甘やかしてばかりだが、ライブの為、ラブライブ出場の為、学校の為、μ'sのみんなの為・・・・・・そして何よりも穂乃果自身の為に彼女に何時もと違い、敢えて厳しめの言葉をかけることにする。

 

「思い上がんな!」

「えっ・・・・・・?」

「お前は昔からそうだ。 できるできるって全部1人で背負い込んで・・・・・・。 ライブはお前1人でやるんじゃないんだぞ!! 頑張りすぎて、疲れを溜めまくって・・・・・・それでライブ当日、もしお前が身体を壊したらどうなる? みんなに迷惑がかかるんだ。 それが分かってるのか?」

 

何時もと違ってどこか厳しめな口調の紅葉に戸惑いの色を隠せない穂乃果。

 

「でも、ことりちゃんは私のやりたいようにって・・・・・・」

「ことりは関係ない! それに、もしそうなったらお前を止められなかったってみんなが責任を感じる。 俺だってそうだ。 ここで頑張りすぎるお前を止められなかったら、俺も後悔するだろう。 それに何よりも、そんなことになったら自分のせいだってお前が1番責任を感じて、後悔するんじゃないのか?」

「・・・・・・」

 

紅葉にそう言われて、穂乃果は顔を俯かせて黙り込む。

 

「俺はお前に、そんな想いをして欲しくないんだ。 練習をするなって言ってるんじゃない。 ただ少し休んで欲しい・・・・・・それだけなんだ」

 

顔を俯かせ、しばらく考え込んだような仕草を見せる穂乃果。

 

「顔を俯かせるな、ちゃんと俺の目を見ろ!!」

 

急に怒鳴られ、ビクッと肩を震わせながらも、言われた通り顔を上げて紅葉の目を穂乃果は見つめる。

 

「ライブを成功させる為にも、ちょっとで良いから休んで欲しい」

「・・・・・・」

 

本当なら、練習を休むことなんてしたくない。

 

こうやって紅葉と話している時間だって惜しいのに・・・・・・。

 

だが穂乃果は紅葉の言葉に対して何も言い返すことができない。

 

紅葉の言う通りだからだ。

 

それに、想像してしまったから・・・・・・自分が疲労でライブで倒れてしまった時の姿を。

 

確かに、最近は練習で眠気や疲労を感じることも多かった。

 

しかし、それは全てライブの為、ラブライブに出場する為だからとそんなものを気にしている余裕は無いと思っていた。

 

だが、紅葉に言われ、ライブの途中でもしも今までの無理が祟って倒れてしまったら・・・・・・きっと、彼の言うようにみんなが責任を感じてしまうだろう。

 

何よりも穂乃果自身、自分が1番悪いのだと責めてしまうだろう。

 

ライブ当日に倒れるとは限らないが、それでもこのまま何時も以上に練習をしてしまえばその可能性はどんどん高まるだろう。

 

紅葉に厳しめに指摘され、穂乃果はそこでようやく気付いた。

 

自分はラブライブ出場に向けて、盲目になっていたと・・・・・・。

 

彼女は「自分が無茶をしている」ということに。

 

「失敗できないライブだからこそ、休むんだ。 これも練習の内だ」

「っ・・・・・・そう、だよね。 お兄ちゃんの言う通り・・・・・・かも。 ううん、言う通り・・・・・・なんだよね」

 

ほんの数分、穂乃果は頭の中で色々と考え込んだ後、彼女はジッと紅葉の顔を見つめて頷いたのだ。

 

「そうだよね、確かに私・・・・・・昔から何時も張り切りすぎちゃうところがあるもんね・・・・・・」

「分かってくれたのなら、良かった」

 

紅葉は穂乃果が分かってくれたことに喜び、笑みを浮かべて穂乃果の頭を優しく撫でる。

 

「ありがと、お兄ちゃん、私を止めてくれて・・・・・・」

「マネージャーだからな。 メンバーの体調管理もしっかり見とかないといけないし」

 

穂乃果の説得に成功した紅葉はせめてあともう一練習してから穂乃果は他のメンバーより今日は早めに練習を切り上げることとなった。

 

紅葉の方も家に帰ってまた穂乃果が練習しないかと心配した海未に様子を見るように頼まれ、今日は紅葉も早めに帰ることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきはすまなかったな、怒鳴ったりして」

「えっ?」

 

校門を出ると、紅葉は先ほど怒鳴ったことを自分の隣を歩く穂乃果に謝罪するが、穂乃果は「そんなこと無いよ!」と首を横に振る。

 

「だって、お兄ちゃんが怒ってくれなかったら、きっとまだ練習しまくってたと思うし・・・・・・。 それに、何時も私に優しいお兄ちゃんも好きだけど、私に怒ってくれるお兄ちゃんも悪くないなぁ・・・・・・なんて・・・・・・」

 

そんな風に穂乃果は「えへへ・・・・・・」と可愛らしく笑い、そんな彼女に紅葉も自然と笑みが零れた。

 

「一応、今日は休むことになったけど、折角だし、帰りになんか食べて帰るか? お兄ちゃんの奢りだ」

「ホント!? わーい!! なら穂乃果、アイスが食べたいな!!」

 

紅葉がアイスを奢ってくれるということで、子供のように喜ぶ穂乃果。

 

「全く、現金な奴め」

 

そんな穂乃果の姿を苦笑する紅葉。

 

すると、ふっと穂乃果が動きを止め、どこかモジモジした様子を見せ始める。

 

「ね、ねえ・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・」

「なんだトイレか?」

「ち、違うよぉ!!」

 

急にモジモジし始めたので、お約束とばかりに「トイレか?」と尋ねる紅葉。

 

そんな紅葉にどっちにしろデリカシー無いなと思いつつも、穂乃果は顔を赤らめながら、自分の右手を差し出してきた。

 

「手、繋いで行っちゃ、ダメかなぁ・・・・・・?」

 

不安そうな表情でそう尋ねる穂乃果に、紅葉は断る理由は無いので「あぁ!」と頷いて差し出された穂乃果の右手を握りしめ、2人でアイスの売っている公園を目指すのだった。

 

その際、紅葉に「兄妹じゃなかったら殺してる!!」みたいな他の男子生徒の視線が突き刺さっていたりしたが。

 

ちなみにこの2人に血の繋がりがないことを知っているのは、実は現状家族以外では海未とことりだけだったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳で、とある噴水などがある、広々とした公園にアイスを買う為に訪れた紅葉と穂乃果。

 

「どこに売ってるんだっけ」

「確か公園の中央辺りだった筈・・・・・・」

 

目的の場所を2人でキョロキョロと辺りを見回しながら探していると・・・・・・不意に、紅葉は背後に気配を感じ、彼は素早く振り返りざまに腕を振るい、紅葉の背後に立っていた人物はそれを軽く片手で受け止める。

 

「おやおやぁ~? いきなり殴りかかってくるとはご挨拶だなぁ紅葉?」

「ラグナ・・・・・・!!」

「あなたは・・・・・・!!」

 

そこにいたのは紅葉の宿敵、ラグナであり、穂乃果はラグナの姿を見て驚いた顔を浮かべ、紅葉はラグナの睨み付ける。

 

「お前の妹は驚いた顔も可愛いなぁ? 食べちゃいたいくらいだ」

 

下劣な笑みを浮かべながら舌なめずりをするラグナの姿を見て「うわぁ・・・・・・」と穂乃果はどん引きし、紅葉はすぐに穂乃果を自分の後ろに下がらせる。

 

「穂乃果、お前はアイス買いに行ってろ。 金は後で払うから。 俺はこいつと話がある」

「で、でもお兄ちゃん・・・・・・!!」

「心配すんな。 俺の分も頼むぜ?」

 

紅葉は穂乃果の頭を撫でながら彼女をラグナから遠ざける為、アイスを買ってくるように言うのだが・・・・・・それでも心配なものは心配なのだ。

 

それに、ラグナが得体の知れない人物なのも分かっているので尚更ここから離れたくは無い。

 

「俺を信じろ。 俺なら大丈夫だ。 それとアイスはチョコレート味で頼む」

「お兄ちゃん・・・・・・」

 

ジョークを交えつつも真剣な眼差しでそう頼まれ、穂乃果はそれに戸惑いながらも「う、うん」と頷いてその場から走り出して離れる。

 

「お前が海に行ったあの日だけどな。 あの時はお前への嫌がらせとして怪獣を出したが・・・・・・あの日の本当の目的を、今日お前に教えようと思ってな?」

「本当の目的だと?」

 

ラグナは「くくく・・・・・・」と小さく笑い、彼は6枚の魔王獣の怪獣カードを取り出し、それを紅葉に見せつける。

 

「お前は魔王獣を全て倒したと良い気になってるかもしれないが、それは実はぜーんぶ俺の為だったんだよ!! じゃっじゃじゃーん!! 今明かされる衝撃の真実ゥ!! ってやつだな」

「それは・・・・・・そのカードは!! おい、どういうことだ?」

「つまり、『ありがとう』ってことだ。 お前は俺の為に魔王獣を倒してくれたってこと。 お前の魔王獣退治は俺がこれらのカードを手に入れる為に全て俺が仕組んだことなんだよ」

 

ラグナ曰く、紅葉は今までラグナの手の平の上で踊らされていただけに過ぎないとのことでそれを聞いて紅葉は以前予想していた「大魔王獣復活」というラグナの目的が未だに潰えていないのだと察する。

 

だが、例え魔王獣全てのカードがあったとしても、完全に大魔王獣を復活させることはできないだろう。

 

「だからそこでこいつの登場だ」

 

そんな紅葉の疑問に応えるかのようにそこでラグナが取り出した7枚目のカード・・・・・・それを見て紅葉は目を見開く。

 

そこに描かれているのは鋭い爪を持つ黒いウルトラマン、ウルトラマン達の故郷である光の国で悪に墜ちた最凶最悪の戦士、「ウルトラマンベリアル」のカードだったのだ。

 

「それは、ウルトラマンベリアル・・・・・・!!」

「ご名答。 だが安心しな。 そんなすぐにこのカードは使わない。 少しの間猶予を与えてやるよ。 精々大魔王獣の復活にビクビクしてると良いさ!」

 

ラグナはそれだけを言い残してその場を立ち去ろうとするが、このまま黙って見過ごす紅葉ではない。

 

紅葉はすぐさまラグナの持つベリアルのカードを奪い取ろうと勢いよく手を伸ばし、ラグナは紅葉の攻撃を躱すと腕を振るって反撃し、紅葉はラグナの振るって来た腕を両腕でガードして受け止める。

 

「この俺がそう簡単にこのカードをお前に渡すと思うか?」

「お前こそ、俺がこのままお前をミスミス逃すと思うか?」

 

お互いに睨み合う紅葉とラグナ・・・・・・。

 

そんな時、ラグナの視線が右方向に向けられ、薄らと笑みを浮かべる。

 

「おいおい、折角お前が遠ざけたってのに、アイスを持ってお前の妹が戻って来たぞ?」

「なに!?」

 

ラグナの言葉に紅葉は慌てて後ろを振り向くとそこに穂乃果の姿はなく、ラグナの言葉にまんまと乗せられたと思った紅葉は再びラグナの方に顔を向けるが・・・・・・。

 

そこにはもうラグナの姿はなく、紅葉は「クソ!!」と悪態をつくのだった。

 

「まさか、これが玉響姫が言っていた大きな災い・・・・・・なのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、紅葉と穂乃果は無事家に帰宅し、紅葉は「調べることがある」と言って部屋に籠もり、穂乃果は自室のベッドの上に寝転がっていると海未から電話がかかってきたのだ。

 

「えっ? ことりちゃん?」

 

それは「最近ことりの様子がおかしくないか」という内容で穂乃果は「別に何時もと変わらないと思うけど・・・・・・」と特に何かを察したということは無かった。

 

『・・・・・・そうでしょうか』

 

しかし、海未は本当にそうなのだろうかと疑念を抱かずにはいられなかった。

 

「海未ちゃんは何か聞いたの?」

『いえ、私は弓道の練習もあったので・・・・・・最近あまり話せてないんです』

「・・・・・・大丈夫じゃないかなぁ。 きっと、ライブに向けて気持ちが高ぶってるだけだよ!」

 

穂乃果はそう言うのだが、海未は「本当にそうなのだろうか」と心の中で首を傾げていると・・・・・・電話越しに穂乃果が「はくしゅっ!」とくしゃみをする声が聞こえた。

 

『ほら、明日は本番。 体調を崩したら元も子もありません。 今日は休みなさい』

「はーい!」

 

それから会話を終え、電話を切ると穂乃果はスマホの画面のスクールアイドルのランキングの画面を開き、それをジッと見つめる。

 

「・・・・・・っ」

 

明日がライブ本番ということもあり、穂乃果は「走り込みくらいなら・・・・・・」と言う考えがほんの少しだけ脳裏に過ぎったが・・・・・・。

 

「ライブは、私1人でやるんじゃない・・・・・・」

 

『ライブはお前1人でやるんじゃない。 頑張りすぎて、疲れを溜めまくって・・・・・・それでライブ当日、もしお前が身体を壊したらどうなる?』という紅葉の言葉を思い出した穂乃果は「今日は休む」という紅葉との約束を守るためにも、今日はもう練習は絶対にしないことにし、明日に備えて彼女は早めに眠るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、穂乃果と通話を終わらせた直後、海未のスマホにことりが電話をかけてきたのだ。

 

噂をすればなんとやらと思いつつも海未はすぐに通話に出る。

 

「ことり?」

『海未ちゃん、私・・・・・・あのね、実は・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから翌日、ライブ当日。

 

紅葉はネットなどで大魔王獣が封印されていると思われる場所の目星は幾つかつくことが出来たが、明確な場所は未だに掴めないでいた。

 

そこで紅葉は入らずの森について知っていた希なら何か知っているのでは無いかと思い、ライブ前ではあるが、なるべく早く対処したい為、今、彼女に話を聞くことにしていたのだ。

 

「えっ、入らずの森の話?」

「えぇ、できれば以前よりも詳しく、もしくはそれに関連した話なんかを。 例えば玉響姫のこととか・・・・・・」

 

希はなぜ紅葉は今更そんな話を詳しく聞こうとしているのか分からず、首を傾げるが・・・・・・。

 

別に教えない理由も無いので希は快く紅葉にその辺りの話を彼にし始める。

 

「そうやねぇ。 入らずの森の話は以前と殆ど内容は変わらんし・・・・・・取りあえず、玉響姫の話でもしようか」

 

なんでも希が言うには玉響姫は太古の霊能力者だったらしく、その容姿は絶世の美女と言えるほど美しかったと言う。

 

「それでその美貌に魅せられたオロチが玉響姫を攫ったらしくてなぁ」

「それで、玉響姫はどうなったんですか?」

「なんでも1人の光の勇者がオロチを封印し、玉響姫を助けたらしいわ。 助けられた玉響姫はオロチが復活しないように勇者の力を借りて結界を張り、入らずの森を守り続けてるそうやで」

 

それを聞いた紅葉は大魔王獣が封印されている場所、その可能性が1番高い場所・・・・・・。

 

希から話を聞いて紅葉はそれが以前にも訪れた「入らずの森」であることをほぼ確信し、紅葉は慌ててその場から離れるように駆け出した。

 

「えっ、ちょっと紅葉くん!!」

「すいません!! すぐ戻りますんで!!」

 

希の制止も聞かずに紅葉は学校を飛び出し、入らずの森へと彼は急いで向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、凛と花陽は屋上の様子を見に来たのだが・・・・・・残念ながら今日の天気は雨であり、ライブステージである屋上に客が全くいないことを2人は嘆いていた。

 

「ああああっ、凄い雨!」

「お客さん全然いない・・・・・・」

「この雨だもの、しょうがないわ」

 

真姫の言うように雨はかなりの勢いで降っており、客がいないのも当然と言えた。

 

「私達の歌声でお客さんを集めるしかないわね」

 

だが、だからこそ、自分達の歌声でお客を集めようと絵里は語り、にこも絵里の言葉を受けて「そう言われると燃えてくるわね!!」と俄然やる気を出していた。

 

一方、絵里達から少し離れた場所で海未とことりは何かを話し合っており・・・・・・。

 

「本当に良いんですか?」

「うん。 本番直前にそんな話したら、穂乃果ちゃんにも・・・・・・みんなにも悪いよ」

「でも、今日がリミットなのでしょう?」

 

海未のその問いかけに対し、ことりはどことなく暗い表情を浮かべつつも「うん」と頷く。

 

「だから、ライブ終わったら私から話す。 みんなにも、穂乃果ちゃんにも・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃんがいない!!」

 

もうすぐライブ開始ということで部室で穂乃果を除くμ'sのメンバーが着替えを完了させた中、少し遅れて穂乃果がそう叫びながら部室にやってきたのだ。

 

見たところ昨日休んだのが功を成したのか全然元気のようだ。

 

「遅いわよ」

 

そんな穂乃果が遅れてきたことに文句を言うにこだが、穂乃果の「お兄ちゃんがいない」という言葉から推測するに、どうやら紅葉を探していたのだろう。

 

「ご、ごめん。 でもさっきからお兄ちゃんを探してるんだけど、全然いなくて・・・・・・」

「そう言えばアイツ、今朝少し顔見た程度でその後全然見掛けなくなったわね・・・・・・。 全く、マネージャーの癖にこんな時にどこ行ってんだが・・・・・・」

「そういや紅葉くん、今朝ウチになんか話が聞きたい言うて私のところに来たんやけど・・・・・・」

 

にこは紅葉の姿が無いことに悪態をつき、そこで希が今朝あったことを一同に話し始める。

 

「なんで紅葉が今、そんなおとぎ話みたいな話を希から聞きたがったんでしょう?」

 

希からの説明を受け、なぜ紅葉が玉響姫についての話を今聞こうと思ったのか、それが分からず疑問符を頭に浮かべる一同。

 

ただ1人、にこだけはどうして紅葉が希から玉響姫の話を聞いたのか、どうして希から話を聞いた後にどこかへと去って行ったのか、なんとなくではあるがその理由を彼女は察した。

 

(・・・・・・入らずの森って確か以前怪獣が現れた場所よね。 もしかしてアイツ・・・・・・)

 

紅葉は恐らく、ウルトラマンとしての役目を果たしに行ったのだろうとにこは予想し、彼は自分達のライブを守る為に、戦いに行ったのかもしれないとにこは考えた。

 

(だとしたら、私達も全力でやんないとね・・・・・・)

「・・・・・・お兄ちゃん、もうすぐライブが始まるのに・・・・・・」

 

ただ穂乃果は紅葉がいなくて多少の不安を感じているらしく、そんな穂乃果ににこはポンッと軽く彼女の背中を叩く。

 

「なに今更ビビってんのよ、アンタらしくない」

「にこちゃん・・・・・・。 うん、だって今までずっとお兄ちゃんが傍でライブを見てくれてたからさ・・・・・・。 絶対にこれないだろうなって思ってたファーストライブにも来てくれたし・・・・・・。 だから今日お兄ちゃんがいないのはなんだか不安で・・・・・・」

「ブラコンめ」

 

ブラコン全開な穂乃果ににこは呆れた視線を送り、それに対して穂乃果は「だってぇ~」と言うが・・・・・・。

 

「まっ、兄がいなくてもちゃんとやれるってとこ見せれば『偉いな~』って褒めてくれるかもよ?」

「あっ、確かにそっか!! お兄ちゃんに褒められる為にもお兄ちゃんがいなくても頑張ろう!!」

「アイツもシスコンだけど、アンタもやっぱブラコンよね」

 

そんな穂乃果ににこは「はぁ」と溜め息を吐きつつ、「大丈夫よ」と穂乃果に声をかける。

 

「紅葉ならその内来るでしょ。 アイツを信じてやんなさい」

「・・・・・・うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから穂乃果はライブの衣装に着替えたのだが、彼女以外のメンバーは外を見て未だに雨が止まないことを少しだけ嘆いていた。

 

「全然弱くならないわね・・・・・・」

「っていうか、さっきより強くなってない?」

 

にこの言うように、雨は先ほどよりも激しく降っている様子を見せており、これでは例えお客が来てくれたとしても・・・・・・と考える真姫。

 

先ほど燃えると言っていたにこも、こんなに激しく雨が降っては少しばかり気持ちが沈んでしまう。

 

そんな時・・・・・・。

 

「雨がちょっと強く降ってるからってなんだ!! そんなもの関係ないだろ!!」

 

と突如、穂乃果が彼女らしくない口調で啖呵を切ったのだ。

 

そのことに当然驚く海未達。

 

「ってお兄ちゃんならきっと言うだろうね・・・・・・」

 

どうやら、今のは紅葉の真似だったらしく、急に穂乃果が豹変したのかと思い、海未は「紛らわしいことしないでください!!」と怒鳴る。

 

「ご、ごめんごめん! でも、そうでしょ!? ファーストライブの時もそうだった!! あそこで諦めずにやってきたから今のμ'sがあると思うの! だからみんな、行こう!!」

 

力強く、そう言い放つ穂乃果。

 

それに対し、花陽も「そうだよね」と頷く。

 

「その為にずっと頑張ってきたんだもん」

「後悔だけはしたくないにゃー!!」

 

花陽に続き、凛もやる気を十分に見せ・・・・・・。

 

「泣いても笑ってもこのライブの後には結果が出る!」

「なら思いっきりやるしかないやん!!」

「進化した私達を見せるわよ!」

 

花陽や凛に続いて絵里、希、真姫も気合いを入れる。

 

「やってやるわ!!」

 

またにこも拳を握りしめてライブに向けて意気込む。

 

だが、みんながそんな風に気合いを入れる中・・・・・・ことりだけがまたどこか浮かない顔をしており、そんなことりに海未は心配そうに彼女の名を呼ぶ。

 

「・・・・・・ことり」

「あっ・・・・・・ご、ごめん・・・・・・」

 

苦笑いしながら海未に謝ることり。

 

「兎に角今は、ライブに集中しましょう。 折角ここまで来たんですから」

 

そんなことりに海未は今はライブに集中しようと言われ、ことりも「うん」と頷き、μ's一同は屋上のライブステージへと向かうことに。

 

屋上では雪穂や亜里沙、ヒデコ、フミコ、ミカを始めとしたそこそこの観客がおり、そしてライブステージに並び立つμ'sの9人。

 

(やっぱり、お兄ちゃんいないなぁ・・・・・・)

 

なんだかんだで何時もちゃんとライブに見に来てくれる紅葉がいないことに多少の不安を感じる穂乃果だったが・・・・・・。

 

(何時までも、甘えきゃ、ダメだよね・・・・・・。 例えお兄ちゃんがいなくても・・・・・・大丈夫、いける、できる!!)

 

何時までも甘えてばかりではダメだと穂乃果は思い、そしていよいよライブがスタート。

 

ライブの曲は・・・・・・「No brand girls」

 

ライブの1曲目が何事もなく無事に終わり、続いて2曲目を披露しようとしたその直後・・・・・・。

 

学校から遠く離れてはいるが、それでも遠目からでも分かるほど巨大な赤い岩のようなものが大きな音を立てながら地面から出現したのだ。

 

「っ・・・・・・!! なに・・・・・・あれ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前のこと、入らずの森に訪れた紅葉はというと・・・・・・。

 

その森の中央に紅葉は全身雨でずぶ濡れになりながらも辿り着き、そこでは傘をさしてちくわを食べているラグナの姿があった。

 

「なんでちくわ食ってんだお前」

「好物なんだよ。 それよりも、思ったよりも場所を見つけるのが早かったじゃないか」

 

ラグナは残りのちくわを一気に口の中に押し込み、どこから取り出したペットボトルの水を飲んでちくわを一気に「ごっくん」と飲み込む。

 

「裏でこそこそと立ち回りやがって・・・・・・今日は大事な日なんだ。 お前の企みを阻止させて貰う・・・・・・」

「らしいな!! あのμ's・・・・・・だったか? アイツ等に取って今日は特に大事なライブだそうじゃないか・・・・・・」

「・・・・・・まさかお前・・・・・・!!」

 

ラグナの言葉を聞き、彼は最初から今日、大魔王獣の復活をさせるつもりだったのではないかと紅葉は考え、それに対してラグナは「ご名答♪」と嫌らしい笑みを浮かべながら紅葉の考えが正解であることを伝える。

 

「何が猶予を与えるだ。 この日に大魔王獣を復活させるのはお前の中で決定事項だったんじゃないか」

「ちゃんと1日だけ猶予を与えただろう・・・・・・?」

「アイツ等の・・・・・・μ'sのライブの邪魔はさせない!!」

 

そんな強く言い放つ紅葉の言葉を、ラグナは「フン」と鼻で笑い、紫の光弾を右手から放ち、紅葉はそれを左手を振るって弾き飛ばす。

 

そのままラグナは紅葉に突っ込んでいき、胸に三日月の傷がある鬼のような姿・・・・・・「無幻魔人 ラグナ」へと姿を変え、紅葉に殴りかかって来たのだ。

 

紅葉はそれを片手で受け止め、取っ組み合いになる紅葉とラグナ。

 

紅葉はラグナに膝蹴りを叩きこむが、ラグナはそれをひょいっと後ろに後退して躱し、紅葉に向かって駈け出し、跳び蹴りを放つ。

 

「っ!!」

 

それを紅葉はなんとか両手で受け流し、ラグナの背後に回り込むと彼の背中に何発も拳を叩き込む。

 

『おっと!』

 

それによって多少フラつくラグナだったが、振り返りざまに右腕を振るって紅葉を攻撃し、紅葉は左腕でガードするが軽く吹き飛ばされてしまう。

 

「チッ・・・・・・!」

『フン』

 

するとラグナはダークリングを取り出す。

 

『いけません・・・・・・!! やめさせてください!』

「っ、玉響姫・・・・・・! 分かってる!!」

 

すると、近くにあった石碑のようなものから玉響姫の霊体と思われる女性が現れ、慌てて紅葉にラグナを止めるように頼み、紅葉はラグナを止めようと駆け出す。

 

紅葉はラグナに向かって蹴りを放つが、ラグナはのらりくらりと紅葉の攻撃を避け続け、ダークリングに6枚の魔王獣カードをリードさせる。

 

『もう遅いんだよ、紅葉ィ!! 蘇れ、魔王獣の頂点に立つ大魔王獣!!』

 

そしてラグナはダークリングを掲げると宙に6枚の魔王獣のカードが浮かび上がり、それらから6つのエネルギーが地面に降り注ぐと地面が大きく抉れる。

 

「うわっ!?」

『っ!!?』

 

それに紅葉と玉響姫は大きく吹き飛ばされてしまい、その衝撃で玉響姫の石碑がバラバラに砕け散り、彼女ははその場から姿が消え、紅葉は彼女の名を叫ぶ。

 

「玉響姫!!!!」

 

そして地面から巨大な赤い岩のようなものが出現し、中央には光輝く1枚のカードが存在していた。

 

『お前に見せてやる。 よみがえった伝説を!!』

 

さらにラグナは最後にベリアルのカードをダークリングにリードすると、ベリアルのカードは大魔王獣を封印していたウルトラマン、「宇宙警備隊隊長 ゾフィー」のカードに向かって飛んでいき、ゾフィーのカードを砕くと岩は破壊され・・・・・・。

 

その中から翼のような形状の背中の巨大な突起物と、腹部には6つの目玉のような模様があり、赤い角を持った巨大な怪獣・・・・・・魔王獣の頂点に立つ存在、「大魔王獣 マガオロチ」が復活したのだ。

 

「ガアアアア!!!!」

『これぞ、如何なる星をも食い尽くす大魔王獣・・・・・・マガオロチだ!!』

 

マガオロチは街に向かって進んでいき、それを見た紅葉はラグナを強く睨み付ける。

 

「お前の目的は俺だろうが!! 関係ない奴等を巻き込むな!!」

『アハハハ!! 知ったことか!! 退治できるもんならやってみろ!! アーハハハハハ!!!! ハーッハッハッハッゴホゴホッ!!』

「・・・・・・っ!!」

 

紅葉は怒りで強く拳を握りしめ、マガオロチを止めるために彼はオーブリングを取り出す。

 

最初にカードホルダーから紅葉はウルトラマンのカードを取り出してそれをリードさせる。

 

「ウルトラマンさん!!」

『ウルトラマン!』

 

続いて紅葉はティガのカードをオーブリングにリード。

 

「ティガさん!!」

『ウルトラマンティガ!』

 

最後に紅葉はオーブリングを掲げる。

 

「光の力、お借りします!!」

『フュージョンアップ!』

 

そして紅葉はウルトラマンとティガの力を合わせた「ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン」へと変身し、マガオロチの前に立ち塞がる。

 

『ウルトラマンオーブ! スペシウムゼペリオン!!』

『闇を照らして、悪を討つ!! スペリオン光線!!!!』

 

オーブは出現と同時に右腕、左腕の順番に両腕をL字に広げてエネルギーを貯めた後、十字に組んで放つ必殺光線「スペリオン光線」をマガオロチに向かって発射。

 

しかし、マガオロチは避けるどころかスペリオン光線を敢えて受け・・・・・・そのままオーブに向かって突き進み、口から放つ雷撃光線、「マガ迅雷」を近距離からオーブに向かって放ち、オーブを大きく吹き飛ばし、吹き飛ばされたオーブはビルに激突して倒れ込む。

 

『ウアアアアア!!!!?』

『パワーストロング!』

『ぐうう・・・・・・!! 光の剛力に敵は無い!!』

 

だが、オーブはティガ・パワータイプとダイナ・ストロングタイプの力を融合させた「パワーストロング」に姿を変えながら立ち上がったオーブはマガオロチに向かってその巨大な拳を叩き込もうとするのだが・・・・・・。

 

マガオロチはオーブの頭上をジャンプして飛び越え、後ろに回り込むと振り返りざまにマガ迅雷を放ち、背中から直撃を受けて膝を突いてしまうオーブ。

 

『ヌアアアアアア!!!!?』

 

一瞬、マガオロチの光線が止まった僅かな隙に立ち上がろうとするオーブだったが・・・・・・そこを狙って再びマガオロチがオーブの背中に素早くマガ迅雷を撃ち込んできたのだ。

 

『グアアアアア!!!!?』

『スカイダッシュマックス!!』

『輝く光は疾風の如し!! これならどうだ!!』

 

オーブは今度はティガ・スカイタイプとマックスの力を融合させた「スカイダッシュマックス」となり、目にも止まらぬ速さでマガ迅雷を躱してマガオロチの周囲を囲むように動き回り、右手から冷気光線を放つ「スカイダッシュブリザード」を繰り出し、マガオロチの全身を凍らせて動きを封じる。

 

『スカイダッシュブリザード!!』

「グルルルル・・・・・・!!」

『バーンマイト!』

 

その間にオーブはタロウとメビウスの力を融合させた「バーンマイト」に姿を変えると全身に炎を纏って相手に体当たりし、抱きついて爆発させる「ストビュームダイナマイト」を繰り出す。

 

『紅に燃えるぜ!! ストビューム・・・・・・ダイナマイトォ!!!!』

 

しかし、オーブが抱きつく前にマガオロチは全身から電撃のようなオーラを放って氷を砕き、そのオーラはオーブにも直撃してオーブは倒れ込んでしまう。

 

『ヌアアア!!!!?』

 

倒れ込んだオーブをマガオロチはすかさず踏みつけ、足を上げてもう1度踏みつけようとするが・・・・・・オーブはそれを身体を転がしてなんとか回避。

 

『ナイトリキデイダー!』

『影を払いし、光の刃!!』

 

次にオーブはアグルとヒカリの力を合わせた「ナイトリキデイダー」に姿を変え、両手から光の剣「ナイトアグルブレード」を出現させ、マガオロチに向かってナイトアグルブレードを振り下ろすが・・・・・・マガオロチはそれらを両手で余裕で受け止め、オーブを引き寄せて胸部の突起物でオーブの胸部を攻撃する。

 

「グギャアアアアア!!!!!」

『グアアア!!!?』

 

さらに近距離からのマガ迅雷を喰らわせ、オーブは火花を散らしながら吹き飛び、そのままビルに突っ込みながら倒れてしまう。

 

『グッ・・・・・・ウゥ・・・・・・』

『スペシウムシュトローム!』

『受け継がれてゆく魂の絆!!』

 

なんとか立ち上がったオーブはウルトラマンとネクサス・アンファンスの力を融合させた「スペシウムシュトローム」となり、オーブは空中でインサイドループした後に胸と両手から二種類の光線を発射する「ウルトラフルバースト」を放ち、見事にマガオロチに攻撃が直撃するのだが・・・・・・。

 

『ウルトラフルバースト!!』

「グルルルル・・・・・・!!」

 

マガオロチは身体をボリボリかいた後、空中にいるオーブにマガ迅雷を撃ち込んで撃ち落とす。

 

『ウアアアア!!!!?』

『ハリケーンスラッシュ!』

『ぐ、うぅ・・・・・・光を超えて、闇を斬る!!』

 

どうにか立ち上がりつつもオーブはゼロとジャックの力を融合させた「ハリケーンスラッシュ」に姿を変えると槍型の武器「オーブスラッガーランス」を構えてオーブスラッガーランスのレバーを3回引き、ランスの穂先に光の刃を形成し、残像を伴いながら相手を滅多切りにする「トライデントスラッシュ」をオーブはマガオロチに炸裂させる。

 

『トライデントスラッシュ!!』

 

しかし、オーブのトライデントスラッシュによる攻撃を全て受けているにも関わらず、マガオロチには一切のダメージが禄に入っておらず、マガオロチは尻尾を振るってオーブを叩き飛ばす。

 

『ヌアアア!!?』

『レオゼロナックル!』

『ぐっ、宇宙拳法、ビッグバン!!』

 

吹き飛ばされつつもオーブは空中でゼロとレオの力を融合させた「レオゼロナックル」に姿を変えると身体を捻って地面に着地し、すぐにジャンプして身体を回転させながら繰り出す炎を纏った跳び蹴り「レオゼロスピンキック」を繰り出す。

 

『レオゼロスピンキック!!』

 

それに対してマガオロチは口からマガ迅雷を放ってオーブを弾き飛ばし、地面を転がりつつも今度はタロウとマックスのカードを使い、「ストリウムギャラクシー」へと姿を変える。

 

『ストリウムギャラクシー!!』

『宇宙の悪に立ち向かう光!!』

 

オーブはマガオロチに向かって駈け出して行き、マガオロチに連続で拳を叩き込んでいくが全く効いておらず、逆にマガオロチの振るった拳で顔を殴りつけられ、それによって片膝を突いたところに胸部に蹴りを叩き込まれ、蹴り飛ばされるオーブ。

 

『ヌアアア・・・・・・!!?』

 

既にカラータイマーは激しく点滅を始めており、フュージョンアップが解けそうになるオーブ。

 

『グッ・・・・・・!』

 

もはや立ち上がるのもやっとと言うほどであり、マガオロチはそんなオーブに向かって容赦なくマガ迅雷を吐き出し、オーブはセブンとゼロの力を融合させた「エメリウムスラッガー」となり、腕をL字に組んだ後、右腕を真横に伸ばしてエネルギーを溜め、再び腕を十字に組んで放つ必殺光線「ESスペシウム」を放つ。

 

『エメリウムスラッガー!!』

『知勇双全、光となりて!! ESスペシウム!!!!』

 

互いの光線がぶつかり合うが、光線はあっさりと弾かれ、オーブはマガ迅雷の直撃を受けて身体中から火花を散らす。

 

『ウアアアアアアア!!!!!?』

「オーブ・・・・・・!!」

 

一方、学校の屋上から避難所に逃げていた穂乃果達は9人は手分けして紅葉がいないか彼を探しつつもスマホのニュースでマガオロチとオーブの戦闘をリアルタイムで時折観ており、その戦いの光景を見て穂乃果は悲鳴にも似た声をあげる。

 

「そんな、オーブが・・・・・・」

 

マガオロチの攻撃を受け、オーブは全身が光に包まれるとそこから姿を消し・・・・・・それを見ていた穂乃果達は顔を青ざめさせる。

 

オーブは一度マガパンドンに敗れてはいるが、今回はあの時とは比べものにならないくらいにオーブが手も足も出なかった。

 

そのことに、この戦いの様子を見ていた人々は絶望感にかられ、「オーブが勝てないんならもう終わりだ」「そんな・・・・・・そんな・・・・・・!!」と人々が嘆く。

 

「穂乃果!」

 

するとそこへ海未が穂乃果の元へ駆けつけ、彼女は「紅葉はいましたか?」と尋ね、穂乃果は首を横に振る。

 

「もしかしてやけど、紅葉くん入らずの森に行ったんとちゃう?」

 

そこで希や他のみんなが穂乃果達の元に合流し、今朝の出来事からもしかして紅葉は入らずの森に行ったのではないかと予想し、それを聞いて凛は「なんでそんなところに行ったにゃー?」と疑問を口にするが・・・・・・。

 

今はそんなことは大した問題ではない。

 

ちなみにこの時絵里は入らずの森の話題が出てきて顔を引き攣らせていた。

 

「可能性は、高いかもしれないわね。 幸い、あの怪獣希が言ってた入らずの森からそこそこ離れてくれたみたいだし・・・・・・今の内に・・・・・・」

「お兄ちゃんを助けに行こう!」

 

真姫の可能性が高いという言葉を聞いた穂乃果はそう言うとすぐさま避難所から飛び出し、入らずの森に向かってみんなの制止も聞かずに走り出し、すぐににこが穂乃果を追いかける。

 

「私も行くわ!! みんなは念のためここに残ってて!!」

「わ、私も行きます!!」

 

一応、紅葉にフォローがいるだろうと思ったにこや穂乃果達を心配した海未が慌てて穂乃果を追いかけるのだった。

 

(でも、オーブが倒れた場所を考えると、紅葉は入らずの森にいないかも・・・・・・。 その辺どうにかしないと・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

また、オーブが倒れた場所では紅葉がボロボロの状態で気を失って倒れており、そんな彼の元に人間態のラグナが現れる。

 

「・・・・・・これで本当におしまいか」

 

ラグナはそう呟くと、紅葉に腰についてあるカードホルダーに腕を振るわせながら手を伸ばし、それを手に取って奪い取る。

 

「フフ、ハハハ・・・・・・アハハハ・・・・・・ヒャーッハッハッハッハ!!!!! アーッハッハッハッハ!!!!! ゲホォ、ゴホォ!! ヒーヒー!! アハハハハハ!!!!」

 

ラグナは何時も以上に大声で笑い出し、マガオロチはオーブを倒し、勝利の雄叫びをあげるのだった。




紅葉
「今回のサブタイを探せ! のコーナー!!」

穂乃果
「わー!!(パチパチパチ」

にこ
「いい加減ワンパターンよね、このコーナーの始まり方」

紅葉
「まぁそう言わずに。 今回のサブタイは・・・・・・ラグナがマガオロチが復活した際に言った『よみがえった伝説』だ!!」

にこ
「あぁ、だから『よみがえった』の部分平仮名だったのね」

穂乃果
「ウルトラマン80、第8話のサブタイだね!!」

紅葉
「この際だから言うけど、80さん、40周年おめでとうございます!」


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