ラブライブ! オーブ‼︎   作:ベンジャー

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第16話 『失ったもの』

数年前・・・・・・。

 

紅葉達がまだ中学1年ほどの時のこと・・・・・・。

 

紅葉が1人、誰もいない公園でオーブニカを吹きながらメロディーを奏でているとそこにいつの間にか穂乃果がやってきていた。

 

『わー! 素敵な曲だね、お兄ちゃん?』

『穂乃果?』

 

穂乃果は紅葉の隣に立つと、「もっとその曲聴かせて?」とお願いしてくる。

 

『お安いご用だ』

 

穂乃果に頼まれ、紅葉は快く承諾しオーブニカのメロディーを奏でる。

 

すると、隣に立つ穂乃果もそのオーブニカのメロディーに合わせて歌を口ずさみ、それに紅葉は一瞬驚いた顔を浮かべるが・・・・・・紅葉は演奏を途中でやめることをせず、最後まで演奏を終えると、彼は「よく1回ほんのちょっと聴いただけで曲に合わせて歌えたな?」と感心していた。

 

『うん、なんか・・・・・・ずっと前から、知っている曲なのような気がして・・・・・・』

『そっか。 もう1回、やるか?』

『うんっ!』

 

そうして、2人はもう1度オーブニカのメロディーを奏で、公園中にその音色を響かせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在。

 

穂乃果が病院に入院して、一週間が経った。

 

穂乃果はあの時大怪我を負ったものの、このまま行けば順調に回復し、医者が言うには退院してもしばらく安静にするように言われたもののアイドル活動自体には問題ないだろうとのことで・・・・・・。

 

幸い、彼女は「怪我のせいでスクールアイドルができなくなる」なんてことは無かった。

 

穂乃果も怪我がまだ完治していないとは言え、既に何時もの元気な姿をみんなに見せるようになっており、海未達も着実に回復しつつある穂乃果にほっと安堵していたのだった。

 

ただ1つ、気がかりがあるとすれば・・・・・・それは、来月に「ラブライブ」が再開するということ。

 

今からさらに一週間の入院が必要で、退院してもしばらく穂乃果は絶対安静ということは・・・・・・彼女達、μ'sはラブライブに出場することができないことを意味していたのだ。

 

ラブライブに出場するためにはあまりにも時間がなさすぎるため、μ'sは大会を辞退することになった。

 

それを絵里や海未から聞かされた際は、穂乃果はショックを受けたものの、こんな状況では「仕方がないよね」と言って彼女はどうにか納得し、今はぽけーっとしながら病室で母が持って来てくれたノートパソコンで動画を暇つぶしに観ているところだった。

 

そんな彼女の元に、お見舞いの為に海未とことり、絵里とにこがやってきたのだ。

 

「あっ、海未ちゃん! みんな・・・・・・って何してるの?」

 

海未達が病室に入ってくるとパァッと明るい表情を浮かべるが・・・・・・海未達は以前にこに教えられたサングラスとマスクと分厚いコートを着た不審者スタイルの格好をしており、なぜ4人ともそんな怪しさ満開な格好をしているのか尋ねると、にこ曰く「マスコミ対策」だそうだ。

 

「マスコミ対策?」

「あんなことがあったんです。 世間では、ウルトラマンオーブに対する批判の声が高まっているようで・・・・・・だから・・・・・・」

「ごめん海未ちゃん、真面目な話をする前にその格好やめて? 頭に内容が入って来ないから」

 

穂乃果にコートなどを脱ぐのを忘れていたのを指摘された海未は顔を赤くし、咳払いしながらサングラスとマスクを外してコートを脱ぐと、先ほどの続きを話し始める。

 

「ニュース見てないんですか?」

「ニュース?」

 

海未に言われ、穂乃果はパソコンのニュースサイトを見ると「人類の敵か味方か? ウルトラマンオーブに怒りの声!」と書かれた内容の記事があったのを発見。

 

今回の事故を切っ掛けに怪獣と同じく、オーブも人類の敵ではないかという世論が高まっているらしく、入院中の穂乃果がそんなオーブに対して何を思っているのか、回復が待たれるという内容の記事が書かれており、それを読んだ穂乃果は「なにこれ!?」と複雑そうな顔を浮かべていた。

 

さらに言えば、オーブ批判には今話題のスクールアイドル、それも人気急上昇中のμ'sのメンバーが被害にあったということも後押ししているのも理由だろう。

 

「マスコミの人達、穂乃果からオーブを批判するコメントを引き出そうとしてるみたいね・・・・・・」

「マスコミの人達、穂むらにも押しかけてるみたいで・・・・・・」

 

絵里とことりの言葉を聞いて穂乃果は「えっ!?」と驚きの声をあげる。

 

どうやらマスコミが穂むらにまで押しかけて来ていることを穂乃果は知らなかったらしく、そんな穂乃果の様子を見て「しまった」という顔を浮かべることり。

 

恐らく、彼女の両親も雪穂も穂乃果に心配をかけまいとそのことを黙っていたのだろう。

 

それに気付かず、余計なことを言ってしまったかもしれないと落ち込むことりだったが、そんなことりの肩を優しく叩き、励ます海未。

 

「知らなかったんだからしょうがないですよ、ことり」

「海未ちゃん・・・・・・でも・・・・・・」

 

最も、海未からの話によれば穂むらに来たマスコミはまんじゅうも買わないならただ迷惑なだけと穂乃果の父が凄みと威圧感を放ったことですぐに追っ払うことができたので、そこまで深刻な問題にはなっていないとのことだった。

 

「・・・・・・アンタ自身はさ、オーブが憎かったりしない訳?」

 

そこで、今まで黙っていたにこが穂乃果にあんな目に合わされたのに、オーブが憎くないのかと尋ね、穂乃果はギャラクトロンの時のことを思い出しながら、にこの問いかけに言葉を返す。

 

「私も、同じだったかもしれないから。 オーブと・・・・・・。 ギャラクトロンに捕まった時、私は自分が何をしているのか分からなかったから・・・・・・」

「それは、ギャラクトロンが穂乃果の精神を乗っ取っていたから・・・・・・」

 

穂乃果の言葉から、彼女はギャラクトロンが暴れたことについて、責任を感じているのだろうかと思った海未。

 

だが、あれは穂乃果の意志で暴れた訳ではなく、むしろ人質に近い状態だった為、穂乃果自身には一切の責任はないと海未は言い放つ。

 

「でも、多分だけど・・・・・・あの時のオーブにも、あの時の私と同じようなことが起きてたんじゃないかなって。 何か、巨大な力が彼を支配してた・・・・・・そんな気がするんだ」

 

そう語る穂乃果を見て、海未はオーブに対して怒りを抱いていないようで、むしろ逆にオーブのことを心配しているかのようだった。

 

それに少し戸惑う海未だったが、その時、穂乃果の話を聞き、「それは、マスコミなんかには言わない方が良いわね」と絵里が呟く。

 

それに対して「えっ?」と首を傾げる穂乃果。

 

「下手したら、穂乃果に危険が迫るかも知れない。 それほどまでに、オーブに対する国民の声が高まってるの・・・・・・」

「オーブを許すなって言うデモ行進を、今日も国境議事堂の前でもやっているそうです」

 

絵里と海未は穂乃果に、人々がオーブに対する怒りの声が高まっているということを話し、さらに戦闘機を撃墜されたことで軍隊の方でもオーブを批判する声が大きいらしく、今度オーブが出現した時は彼を攻撃するかもしれないとのことだった。

 

「だから穂乃果、そのことを私達以外に話すのは・・・・・・」

 

その為、海未は改めて穂乃果に先ほどのことをあまり他言しないようにと釘を刺し、それに穂乃果は暗い表情を浮かべつつも「うん」と頷く。

 

「ちゃんと海未ちゃんや絵里ちゃんの言う通り、さっきの話はしない。 でも・・・・・・オーブのことを批判したりもしないから、私」

 

先ほどの話をしないことは海未達に約束した穂乃果、だが・・・・・・だからと言ってオーブを批判するようなコメントもマスコミなどに絶対にしないと彼女は言い放つ。

 

そんな彼女を見て、本当ににこは穂乃果はオーブに怒りを抱いていないのだと思い、なんだか呆れて溜め息を吐いてしまう。

 

「アンタ、あんな目に合わされたのに、本当にオーブのことを怒ってないの?」

「さっきも言った通りだよ、にこちゃん。 オーブだって、多分・・・・・・ううん。 きっと苦しんでたんだよ・・・・・・だから・・・・・・」

「下手したら死ぬとこだったのよ!!?」

 

改めて穂乃果はオーブのことを怒ったりなんてしていないと伝えるのだが、それににこは納得できず、思わず声を張り上げてしまった。

 

「死ななかったとしても、怪我が元でアイドル活動が出来なくなってたかもしれないのよ、身体のどこかが一生治らなかったかもしれないのよ!! なのに、なのにあんな奴を許せるの!!?」

 

最悪死ぬことはなくても、怪我が元で身体のどこかの機能が停止し、アイドル活動ができなくなるどころか、一生不自由な暮らしを余儀なくされたかもしれない。

 

にこはマガオロチの時は紅葉に責任はないと許した。

 

穂乃果とことりが喧嘩した時も原因が紅葉にあるなんて思わなかったし、彼の責任ではないから何も言わなかった。

 

だが今回は違う。

 

彼女は素直では無いので、言わないだろうがにこもまた絵里と同じように穂乃果が自分をμ'sに誘ってくれたことに感謝していた。

 

そんな穂乃果を、血の繋がりはなくとも、妹である彼女を、ウルトラマンオーブは・・・・・・紅葉はどんな理由があろうと殺しかけたのだ。

 

もしかしすれば、穂乃果は視力を失っていたかもしれない、耳が聞こえなくなってしまったかもしれない、そう思うと・・・・・・にこはオーブに怒りでいっぱいになる。

 

「でも、生きてる」

「っ・・・・・・」

「目も見えるし、耳も聞こえる。 スクールアイドルも続けられる」

 

そんなの結果論だとにこは言うのだが、穂乃果を真剣な眼差しで・・・・・・首を横に振って「違う」と否定する。

 

「戦闘機のパイロットさんも無事だったみたいだし。 きっと、日頃の行いが良いんだよ、オーブは。 確かに今回はこんなことになったけど、でも・・・・・・ずっとオーブは私達みんなのことを助けてくれた。 μ'sの中にも、オーブに助けて貰った人は多いんじゃないかな?」

「それは・・・・・・」

 

そんな穂乃果の言葉を受け、言い淀むにこ。

 

確かに、海未は紅葉の姿が見当たらず、彼が心配だから早く怪獣を倒してくれと頼むとオーブは可能な限り、素早く怪獣を倒してくれた。

 

絵里は入らずの森の時、宇宙人や怪獣達に襲われているところをオーブに助けて貰った。

 

ことりも地球侵略に乗り出し、街で暴れたのにブラック店長、ブニョ、ノーバのことを倒さず、止めてくれた。

 

にこもまた公園で遊んでいた妹や弟達を公園に現れた怪獣から守ってくれた。

 

ここにいるメンバーだけではない。

 

花陽や凛は2人や子供達が慕っていたババルウ星人ババリューこと馬場を助けてくれたりもした。

 

確かに穂乃果の言う通り、オーブはずっと自分達を守ってきてくれた。

 

「でも・・・・・・!!」

 

それでも、今回の件をこんなあっさりと穂乃果が許すことが納得できなかったにこは、何か言い返そうとするのだが・・・・・・。

 

「穂乃果の言う通りかもしれないわね」

 

そこに丁度、穂乃果の母が病室にいつの間にかやって来ていたのだが・・・・・・彼女もまた、黒スーツに帽子にサングラスを被った怪しさ満載の格好をしており、にこ達とかなりどっこいどっこいな格好をしていた。

 

「ここ仮装大会の会場じゃないんだけど・・・・・・」

 

すかさず穂乃果が呆れ顔でツッコミを入れるのだが、母曰くやはりこれも「マスコミ対策」とのこと。

 

やはりそんな格好をしていたのはその為かと穂乃果は納得するのだが、「逆に目立ってるような・・・・・・」と思わずにはいられなかった。

 

「日頃の行いが良いから、穂乃果は治らないような怪我も負わず、死にもしなかったって言うのは、私もちょっと同意かしらね?」

 

母は帽子とサングラスを外すと、「お見舞いの品」と言いながらなぜかハイパーゼットンデスサイスの事件の時、なんとなく自分の部屋に持ち帰っていたあのマトリョーシカをコトッとベッドに装着されたテーブルの上に置いたのだ。

 

「えっ? なんでお母さんこれ持って来たの?」

「これね、実は私のひいお婆ちゃん・・・・・・つまり、『ルサールカ』にいた穂乃果のひいひいお婆ちゃんの幸運の御守りだったそうよ」

 

だからと言ってお見舞いの品にマトリョーシカをワザワザ病室にまで持って来るのはどうなのだろうかと言うのだが・・・・・・。

 

「まだ怪我も完治してないし、兎に角念のために持ってなさい。 お婆ちゃんもその御守りのおかげで動乱の時代を生き抜いて、その子供、つまり私のひいお婆ちゃんもこれを持って日本で健康で幸せな毎日を過ごしたそうよ?」

 

母曰く、自分もこの御守りを持っていたおかげで過去に重い病気や事故にかかることもなかったそうで・・・・・・むしろ子宝に恵まれたとのことだった。

 

だから、今回穂乃果が奇跡的な生還を果たしたのもきっとこのマトリョーシカの御守りのおかげだと母は信じているようで、にこは「非科学的過ぎない?」と思ったが、それを言える雰囲気ではなかった為、口を閉じた。

 

「人の恩を忘れないのは、人として大切なことなのよ穂乃果? それを忘れない穂乃果は立派だと思うわ。 頭の方はちょっと残念だけど」

「最後の一言いる!!? でも、ありがとう、お母さん」

 

母の最後に発した言葉はいるのかと怒る穂乃果だったが、それでも自分のことを褒めてくれた母に穂乃果は照れ臭そうにしつつも「ありがとう」と伝え・・・・・・そこで彼女は、ふっと先ほど母が言った言葉を思い出し、それについてのことを母に尋ねる。

 

「そう言えば、さっきルサールカって言った? 私のひいひいお婆ちゃんって海外にいたの?」

「そうよ。 だから穂乃果や雪穂にはロシアの人の血がほんのちょびっと流れてることになるわね。 穂乃果の目が青いのもその名残かもね」

 

そう言えばロシア人とのクォーターである絵里も目が青いなと思い、彼女の顔を穂乃果はジッと見つめ、それに戸惑う絵里。

 

「えっ、な、なに穂乃果? ジッと私の顔を見て・・・・・・」

「あはは、そう言えば私と絵里ちゃんって目の色が一緒だね!」

 

母の話を聞いて気付いたが、そう言えば自分と絵里と同じ青い目をしていることに気づき、「お揃いだね~」なんて笑いながら呟き、絵里の方は気恥ずかしそうにしていた。

 

「でも、ルサールカか・・・・・・。 そう言えば、さっき海未ちゃん達が少し来る前に、そのルサールカで起こった事件の動画、観てたんだよね」

「珍しいね、穂乃果ちゃんがそんな動画観るなんて・・・・・・」

 

ことりの言う通り、穂乃果なら別のスクールアイドルの動画を観ているか、もしくはアニメなんか観てそうだと思っていたので、ことりは意外そうな顔を浮かべる。

 

「私だってたまにそういう動画だって観るよ~。 それでね、この動画なんだけど・・・・・・150年前くらいに、ルサールカのとある場所で謎の大爆発が起こったそうなんだ」

 

穂乃果が言うには、そのルサールカで起こった大爆発は未だに原因不明とされており、人類史上最大のミステリーとされているそうなのだ。

 

ただ、穂乃果が気になったのはそれだけではなく・・・・・・同時期に、剣を持った光の巨人と巨大な獣が戦っていたという目撃情報もあるようで150年前にも、オーブと同じウルトラマンがいたのではないかと彼女は興味を持ったのだ。

 

「オーブ以外のウルトラマンですか・・・・・・」

「まぁ、あり得なくはないんじゃない?」

 

紅葉から以前、自分には複数の先輩ウルトラマンがおり、その先輩達の力を使ってオーブに変身しているという話をにこは聞いたことがあるので、あり得ない話ではないだろうと考えるにこ。

 

にこは紅葉が穂乃果達とそう変わらない年齢だとしか思っていないのでそんな昔にオーブがいる可能性についてはこれっぽっちも考えつかないでいたが。

 

「あっ、そう言えば・・・・・・ねえ、お母さん? お兄ちゃん全然病院に来てくれないんだけど、お兄ちゃんどうしてるの?」

 

そこで穂乃果が自分に謝罪の言葉を送って以来、紅葉は病室に訪れていないようで海未達は敢えてその話題に触れないようにしていたのに、穂乃果の方から話を振ってきた為、海未達は「あー!! あー!!」と叫びながら必死に誤魔化そうとしてる。

 

病院では静かにしてください。

 

「あぁ、紅葉なら家出したわよ」

「えっ」

 

しかし、海未達が必死に声をあげて誤魔化そうとしているにも関わらず、穂乃果の母はあっけらかんと紅葉が家出したことを穂乃果に伝え、彼女は目を見開く。

 

「なんで言うんですか!? 穂乃果に精神的負担になるかもしれないから今は黙っていようってみんなで話したのに!!?」

「海未ちゃん達は知ってたの!? っていうか、お兄ちゃんがい、家出ってどういうこと!?」

 

なんでも母が言うには、ギャラクトロンの騒動が一応の終わりを迎えた後、母と父が家に帰ると「どうしても行かないといけない場所があるんです。 勝手なお願いですが、だからどうか、少しの間学校を休ませてください」と書かれた置き手紙があったそうだ。

 

「それでお兄ちゃん探してないの!? なんで!!?」

 

息子が家出したというのにやたら落ち着いた雰囲気の母にどうして紅葉を探さないのかと穂乃果は当然問い詰めるが・・・・・・母曰く、「あの子がそうして欲しそうだったから」とのことだった。

 

「こんなことになって、あの子もきっと1人でしばらく考え込みたいことがあるんでしょう。 紅葉のことだし、きっと心配ないわ」

「で、でも・・・・・・」

「・・・・・・」

 

穂乃果の母の話を聞いて、にこは又もやオーブ、紅葉に不快な気持ちを抱かずにはいられなかった。

 

確かに自分は紅葉に穂乃果に会う資格はないと言い放った。

 

だが、だからと言ってこの状況で「行きたい場所がある」というのはどういう了見なのか、にこには紅葉が逃げ出したとしか思えなかった。

 

(アンタは、ヒーローじゃなかったの?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、穂乃果は紅葉のことで母と言い合いになったのだが、結局母に言いくるめられる形で話を切られてしまった。

 

それから母や海未達は「また来る」とだけ言い残して病室を後にし、今は穂乃果1人ジッとベッドの上で座りながら、マトリョーシカを手に持ちながら見つめながら・・・・・・紅葉と2人でこのマトリョーシカのことを話していた時のことを思い出していた。

 

『なんか、それお兄ちゃんっぽいよね』

『俺に?』

『うん、幾つもの別のお兄ちゃんが、お兄ちゃんの中に隠れてる感じ』

 

穂乃果のその言葉に紅葉は「そんなこと、あるのか?」と疑問に思う。

 

『だって、お兄ちゃんには私の知らないところとか、色々ある気がして……』

『……でも、最後の1つを開けて見れば結局、空っぽだって分かるさ……』

 

少し、どこか悲しげな様子で紅葉は最後のマトリョーシカを開けようとしたのだが……穂乃果はその手を掴んでマトリョーシカを開けようとするのをやめさせる。

 

『ダメだよお兄ちゃん! マトリョーシカの最後って確か開けたらダメなんだよ!』

『……あぁ、そう言えば、そんな話、聞いたことあるな……』

 

それを切っ掛けに、穂乃果は紅葉との思い出を次々と思い出していくのだが・・・・・・そこで穂乃果はあることに気付く。

 

「ずっと一緒にいるのに、私・・・・・・お兄ちゃんのこと、あんまり知らないのかも・・・・・・」

 

生まれた時からずっと一緒にいるのに、紅葉には自分の知らない一面があるような気がして仕方がなかった。

 

ナターシャのこともそうだし、いつの間にかにことやたら仲が良くなっていたり、自分の知らないところで、彼は何をしているのか、紅葉は今どこにいるのか、気になって仕方がなかった。

 

「こんなに気になるなんて・・・・・・私、やっぱり好きなんだなぁ、お兄ちゃんのこと・・・・・・」

 

それは「兄が大好きなだけのただの妹」という意味ではない。

 

最初はそうだったかもしれない、だが・・・・・・成長するに連れて徐々に彼女が紅葉に対する気持ちは「兄としてではなく、1人の男性として」という風に変化していった。

 

いつ彼に好意を持つようになったのかは分からない、ただいつの間にか気付いたらとしか言いようがなかった。

 

それなのに、紅葉は全然病院に来てくれなくて、それどころか家出をしてしまっていることに穂乃果はショックを受けてしまった。

 

「お母さんのバカ、お兄ちゃんのバカ・・・・・・」

 

紅葉は穂乃果を守れなかったことに責任を感じていたようで、それが理由で彼は家出をしたのだろうと海未は話していたが・・・・・・穂乃果からすれば、気にしないで欲しかった。

 

むしろいなくなる方が彼女に取っては会えなくて辛かった。

 

「会いたいなぁ・・・・・・。 会いたい、会いたいよぉ、お兄ちゃん・・・・・・帰ってきてよぉ・・・・・」

 

穂乃果は膝を抱え、マトリョーシカを抱きしめながら、ただひたすら泣き出しそうな声で「お兄ちゃんに会いたい、帰ってきて」と呟き続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルサールカのある森にて・・・・・・。

 

紅葉はそこに訪れており、150年前のことを思い出しながら、彼は辺りにある草木を眺めていた。

 

150年前、マガゼットンとの戦いで辺りを焼け野原にしてしまったオーブこと紅葉。

 

だが、150年もの時が経てば森の中の自然はもうほぼ完全に回復しており、紅葉はナターシャと初めて会ったと思われる場所に立っていた。

 

「あれから、150年か・・・・・・もうスッカリ、回復したみたいだな・・・・・・」

 

彼はナターシャと初めて会った時のことを思い出しながら、森の中に生える1つの木に触れる。

 

その中の1つの思い出・・・・・・それは、『これは、俺の古里の曲なんだ』とオーブニカを吹く時に演奏するメロディーをナターシャに教え、2人で一緒に森を歩き回りながらそれに合わせてナターシャが歌を口ずさんでくれていた・・・・・・。

 

「楽しかったな・・・・・・」

 

しかし、ある日の夜、「そんな楽しい時間は長くは続かない」とでも言うように「光ノ魔王獣 マガゼットン」が復活し、出現。

 

マガゼットンの元へと向かおうとする紅葉をナターシャは腕を掴んで必死に引き止めてようとする。

 

『ダメ、行かないでお兄さん!!』

「・・・・・・すまん、俺は、行かないといけない」

 

紅葉はそう言ってオーブニカをナターシャに手渡す。

 

『これを持っていて欲しい。 俺は必ず、帰って来るから』

 

そう言うと紅葉はマガゼットンの方へと駆け出して行き、マガゼットンの姿が見えると、紅葉はオーブリングを掲げて光輝く巨人、「ウルトラマンオーブ」へと変身する。

 

『ゼッ・・・・・・トン!』

『光ノ魔王獣・・・・・・!!』

 

オーブは不気味に佇むマガゼットンに向かって駈け出して行くと、マガゼットンは顔から赤い光線をオーブの足下に放ち、赤い煙が巻き起こってオーブの視界を防ぎ、思わずオーブはその場に立ち止まってしまう。

 

『グッ、ウゥ・・・・・・デヤァ!!』

 

オーブは両腕を振るってなんとか赤い煙を振り払うのだが、先ほどまで目の前にいたマガゼットンはその場にはおらず、周囲を見回して見ても姿はなかった。

 

不意に、マガゼットンはオーブの背後に現れるとオーブも即座にそれに反応して振り返りざまに両腕を十時に組んで放つ必殺光線を撃ち込むのだが・・・・・・マガゼットンはバリアーを張って光線を防ぐ。

 

『ピロロロ・・・・・・!』

 

マガゼットンは光線を防ぎ、バリアーを解除した直後に顔から火球を放ち、それの直撃を受け、オーブは吹き飛ばされて倒れ込んでしまう。

 

『ウグアア!!?』

 

倒れ込んだオーブにマガゼットンは素早くマウントを取り、オーブを何度も殴りつけまくる。

 

『ぐっ・・・・・・シェア!!』

 

なんとかオーブは足を振り上げてマガゼットンの背中を蹴り、自身から引き離すと立ち上がったオーブはすかさずマガゼットンにドロップキックを浴びせて怯ませる。

 

しかし、すぐさまマガゼットンは火球を放ってオーブはそれを受けてしまい、吹き飛ばされてしまう。

 

『グアアアア!!?』

 

倒れ込んだオーブの首をマガゼットンは掴みあげるとそのままオーブの腹部を殴りつけようとするがオーブはマガゼットンの腕をどうにか振りほどいて回し蹴りを喰らわせる。

 

『お兄さーーーん!!』

 

そんな時、やはり紅葉が心配になり、彼を探しに来たナターシャがこの場へとやって来たのだ。

 

彼女の存在に気付き、「なぜここに!?」と驚きを隠せないオーブ。

 

『ナターシャ、ここにいきゃいけない!! すぐに逃げるんだ!!』

「・・・・・・お兄さん?」

 

オーブの姿を見て、ナターシャはすぐにそれが紅葉であることに気付いたが・・・・・・直後にまたマガゼットンの火球が飛んで来て両腕を交差してオーブは攻撃を防いだものの、その衝撃でナターシャは吹き飛ばされてしまった。

 

『ナターシャ!!』

『ゼットン・・・・・・!』

 

さらにマガゼットンはオーブへと向かって先ほどよりも強力な火球を撃ち込もうとし、オーブはそれに対し、巨大な大剣を出現させ、マガゼットンの火球を切り裂く。

 

『ハアアア、シュア!!』

 

そして光の巨人はその大剣で円を描くように振るうと大剣にエネルギーが集まり、マガゼットンに向かって強力な光線として発射し・・・・・・その直撃を受けてマガゼットンは身体中から火花を散らす。

 

すると光の巨人が握っていた大剣が消滅し、マガゼットンは火花を散らしながら・・・・・・爆発、しかし、その時の光線の威力の制御にオーブは失敗してしまい、その爆発は周囲一帯の森を巻き込み、ナターシャもその爆発に巻き込まれてしまう。

 

『きゃああああああああ!!!!?』

『っ、ナターシャ!!』

 

その後、マガゼットンを倒したオーブは紅葉の姿へと戻り、黒焦げた森の中央で、ナターシャにオーブニカを預けていた紅葉はそれを拾いあげると、膝を突き、彼はその場で泣き崩れるのだった。

 

『ナターシャ・・・・・・俺の、俺のせいで・・・・・・うわああああああああ!!!!!!』

 

紅葉は昔の苦い思い出を思い出しながら、かつて自分が犯してしまった過ちに胸が苦しくなるのを感じ、彼は自分の胸を押さえつける。

 

「よぉ? 随分と楽しんでいるようだなぁ?」

 

そんな時、紅葉の左肩に後ろから自分の顎を乗せて、いきなり現れるラグナ。

 

「うわおおおお!!!?」

 

それに驚いた紅葉は思わず勢いよく左腕を押し上げてラグナの顔を殴りつけてしまい、「がっ!?」と小さな悲鳴をあげて鼻を押さえながら悶える。

 

「おまっ、何しやがる・・・・・・!!」

「あっ、すまん・・・・・・でも急に後ろから顎乗せてくるのも悪いぞ。 って、ラグナ、なんでここにいるんだ!?」

 

紅葉はラグナがここにいることに驚きの声をあげ、涙目で鼻を摩り、ある程度痛みが落ち着くとラグナは一度紅葉に背を向け・・・・・・なぜかシャフ度角度をしながら紅葉の質問に応える。

 

「勿論、お前と遊ぶ為さ。 ったく、その為にお前を探して来てみればこんな所にいやがって・・・・・・。 何時までウジウジしているつもりだ? ここに来ても失ったものは戻らない。 お前は昔の自分には決して戻れはしないんだよ」

「・・・・・・っ」

 

シャフ度をやめて普通の体勢に戻りながらラグナは紅葉にそう言い放つのだが、紅葉は何も応えない。

 

いや、単に返す言葉が見つからないだけかもしれない。

 

ラグナの言う通り、ここに来たところで過去がやり直せる訳では無いのは確かだからだろう。

 

だから紅葉はラグナに何も言い返すことができず、ただ唇を噛み締め、拳を握りしめるしかできなかった。

 

「あのベリアル陛下が新しいお前を引き出してくれたじゃないか。 あれがお前の本当の姿だ」

「っ、違う・・・・・・!」

「恥じることはない、力を持った者はおのれの力を試す為に他のものを破壊、支配したくなるのさ。 ただし、お前の場合大切にしたいものほど壊したくなるようだ。 聞いたぜ? お前の妹ちゃん1号のこと」

 

ラグナはオーブがサンダーブレスターの力を使い、穂乃果がいると分かって攻撃したギャラクトロンの事件のことは既に知っているようで、ラグナはそれを話題に出し、紅葉を挑発する。

 

「次は誰を傷つける? 誰を傷つけたい? あの青い髪の娘か? それとも可愛い声をしたお嬢さんか? はたまた今度こそあの妹ちゃんを殺すか? お前がその手で・・・・・・。 結局、お前は昔も今も大切にしてるものを壊して行くんだろう?」

「なんだと・・・・・・?」

 

ラグナ、嫌らしい笑みを紅葉に向け、それに苛立った紅葉は思わず拳をラグナに放ち、ラグナはそれを素早く回避し、「魔人態」に変身。

 

それに紅葉は振り返りざまに右腕を振るって殴りかかるがラグナはそれを左腕で受け止め、膝蹴りを喰らわせる。

 

攻撃を受け、蹲る紅葉だがすぐに右手から光の光弾をラグナに放ち、ラグナはそれを受け止めて闇のエネルギーに変換した光弾を撃ち返し、紅葉はそれを弾き飛ばす。

 

ラグナは日本刀に似た「蛇心剣」を取り出すと、それを紅葉に向かって振りかざすが、対する紅葉も右手から光の剣を出現させて受け止め、紅葉は「ウルトラマンアグル」と「ウルトラマンヒカリ」の力を融合させた等身大の「ウルトラマンオーブ ナイトリキデイダー」へと変身する。

 

『ナイトリキデイダー!』

『シュア!!』

 

オーブは右腕の光の剣、「ナイトアグルブレード」でラグナを押し返すと、左腕にも同じナイトアグルブレードを出現させ、ラグナに斬りかかるが、ラグナは蛇心剣で受け流し、カウンターで逆にオーブを斬りつける。

 

『グウウ!!?』

 

さらに左腕から闇のエネルギーの光弾をオーブに撃ち込むが、オーブは右腕のブレードを振るって切り裂き、素早くラグナに駆け出して跳び蹴りを喰らわせる。

 

『ウオッ!?』

『ストライクナイトリキデイダー!!』

 

ブレードを仕舞い、両腕で青い光弾を作り出して放つ「ストライクナイトリキデイダー」をオーブはラグナに向かって放つのだが、ラグナは邪心剣で切り裂き、オーブはすかさず攻撃を繰り出そうとするのだが……ラグナが右手を前に突き出し、待ったをかける。

 

『ちょっと待て。 このままの状態で遊ぶのも面白いが……今日は新しい玩具を手に入れたから、それをお前に自慢したくてね』

 

ラグナはそう言うと右手に持つ邪心剣を掲げ、すると上空に巨大なワームホールのようなものが出現し、そこから蠢くマガオロチの尻尾が出現する。

 

『覚えているか? お前があの時切り落としたマガオロチの尻尾だ』

 

それは、初めて紅葉がサンダーブレスターになった際に切り落としたマガオロチの尻尾であるらしく、オーブはその尻尾を見て驚愕する。

 

『本番はここからだぜ紅葉? 今日がお前との、決着の日だ』

 

そう言うとラグナはダークリングを取り出し、1枚の怪獣カード、マガゼットンと非常によく酷似した怪獣、「宇宙恐竜 ゼットン」のカードをダークリングにリードさせる。

 

『ゼットンよ』

『ゼットン!』

 

続けて、ラグナは赤い双頭の怪獣、「双頭怪獣 パンドン」のカードをダークリングにリードして読み込ませる。

 

『パンドンよ』

『パンドン!』

 

そして最後に、ラグナはダークリングを掲げ、黒いオーラに包まれると上空にあるマガオロチの尻尾の方へと飛んでいく。

 

『お前達の力、頂くぞ!!』

 

すると、ゼットン、パンドン、マガオロチの尻尾が融合し、胴体はゼットンの黒い身体に胸部にはその発光体があり、長い突起の伸びる両肩から脚部、そして側頭部にかけてはパンドンのような赤い体表で覆われ、サメや深海魚を思わせる顔が付いていた1体の怪獣が出現したのだ。

 

『あれは・・・・・・!』

『超合体!! ゼッパンドン!!』

 

ラグナが変身したその怪獣の名は・・・・・・「合体魔王獣 ゼッパンドン」

 

それを受け、ゼッパンドンの出現に驚きつつもオーブも右腕を掲げ「ウルトラマン」と「ウルトラマンティガ」の力を融合させた「ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン」へと巨大化しながら姿を変える。

 

『ウルトラマンオーブ! スペシウムゼペリオン!』

『フフ、意味深だろ? 紅葉? この場所で、ゼットンの力を使うのは・・・・・・』

『貴様・・・・・・!!』

 

オーブはゼッパンドンに駆け出して左手でゼッパンドンの顔を押さえつけると、右手でチョップを頭部に叩きこもうとする。

 

しかし、ゼッパンドンはそれを左手で受け止め左手の鋭い爪でオーブを斬りつけ、怯んだところで続けざまにゼッパンドンはオーブの胸部を右手で殴りつけ、それによってオーブがまた怯むとさらに左手でオーブの胸部を殴りつける。

 

『グウウウ!!?』

『ピロロロ・・・・・・ゼッパンドン・・・・・・』

 

またもやゼッパンドンが殴りかかって来た時、オーブはなんとかその放って来た右腕を受け止め、腹部に蹴りを叩き込むのだが・・・・・・。

 

『ゼッパンドン・・・・・・!』

 

ゼッパンドンにはあまり効いておらず、右腕を振るって自分の腕を掴んでいたオーブの腕を振り払い、左手でオーブの顔を殴りつける。

 

『ウアア!!?』

 

さらに近距離から放たれた口から吐き出す超高温の火球「ゼッパンドン撃炎弾」をオーブは喰らってしまい、火花を散らしながら吹き飛んで倒れ込んでしまう。

 

『ウオオオオ・・・・・・!!!?』

 

なんとかオーブはすぐに立ち上がるものの、ゼッパンドンは再び「ゼッパンドン撃炎弾」をオーブへと撃ち込み、オーブは咄嗟に上空に飛んで回避し、空中から両腕を広げてエネルギーを貯めてから放つ光の鋸「スペリオン光輪」をゼッパンドンへと放つ。

 

『スペリオン光輪!!』

 

しかし、ゼッパンドンはそれをガブリと口で掴むと、そのままムシャムシャとスペリオン光輪を食べてしまったのだ。

 

『ウマウマ。 う~ん、光輪の味がする』

『なに!?』

『あっ、やべ、歯の変なとこに挟まった』

 

ゼッパンドンは右手の爪を爪楊枝代わりにして歯に挟まったスペリオン光輪の欠片を取ろうとするのだが、その間にオーブは「ジャック」と「ゼロ」の力を融合させた「ハリケーンスラッシュ」に変身し、武器である「オーブスラッガーランス」をゼッパンドンに振りかざす。

 

『ハリケーンスラッシュ!』

『オーブスラッガーランス!!』

 

だが、ゼッパンドンは欠片を取り出すのをやめてスラッガーランスを受け止め、頭部の両脇にある口のような器官から発射する紫色の破壊光線を放ち、直撃させてオーブを引き離す。

 

『今歯に挟まったもん取ってんだろうがァ!! あっ、取れた』

『ヌアアアア!!?』

 

オーブはオーブスラッガーランスのレバーを1回引き、ランスの先端から放つ必殺光線「オーブスラッガーシュート」をゼッパンドンへと放つ・・・・・・だが・・・・・・。

 

『オーブスラッガーシュート!!』

『ゼッパンドンに光線は効かねえよ。 ゼッパンドンシールド!!』

 

顔の両側から前面に展開する六角形のバリア『ゼッパンドンシールド』でゼッパンドンは攻撃を完全に防いでしまい、その直後にゼッパンドンはオーブの目の前から姿を消す。

 

『っ!?』

 

すると、ゼッパンドンは瞬間移動でオーブの背後に現れ、咄嗟にオーブは振り返りざまにスラッガーランスを振るうのだが、ゼッパンドンは又もや瞬間移動でその場から消え、オーブの攻撃は空振りに終わってしまう。

 

今度はオーブから少し離れた位置とは言え目の前に現れ、「クイクイ」と右手でゼッパンドンはオーブを挑発。

 

オーブは高速でゼッパンドンに近寄ると、スラッガーランスをゼッパンドンの胸部に突き立て、レバーを2回引いてエネルギーを送り込んで相手を内側から爆破する「ビッグバンスラスト」を繰り出す。

 

『ビッグバンスラスト!!』

 

だが、ゼッパンドンにはビッグバンスラストも効かず、逆にオーブスラッガーランスに熱を送り込み、高熱を発するようになった為オーブは思わずスラッガーランスを手放してしまい、ゼッパンドンはスラッガーランスをも吸収し、取り込んでしまったのだ。

 

ゼッパンドンはそこからさらに口から電撃を放ってオーブを攻撃し、それを浴びたオーブは片膝を突いてしまう。

 

『闇の力を頼れ。 このまま滅びるか、闇に墜ちるか。 お前にはそれしかないんだ!!』

『・・・・・・ッ』

 

オーブのインナースペース内で・・・・・・紅葉はベリアルのカードを取り出して見つめ、ベリアルは「まるで俺の力を使え」とでも言うかのように怪しい光を放つ。

 

そうこうと考えている間にゼッパンドンにオーブは頭を掴まれ、胸部に蹴りを叩き込まれて大きく蹴り飛ばされ、オーブは地面に転がりながら倒れ込む。

 

『ウワアア!!?』

 

既にカラータイマーは点滅を開始し、変身していられる時間ももう少ない。

 

『こんなものか、紅葉!!?』

『バーンマイト!』

 

どうにか立ち上がったオーブは「タロウ」と「メビウス」の力を融合させた「バーンマイト」へと姿を変えると、全身に炎を纏って相手に体当たりし、抱きついて相手を爆発させる「ストビュームダイナマイト」をゼッパンドンへと繰り出す。

 

『ストビューム・・・・・・ダイナマイトォ!!!!』

 

しかし、それすらもゼッパンドンには通用せず・・・・・・。

 

だが、オーブはその爆発の時に起こった炎を利用してその場から消えており、ゼッパンドンはオーブの姿を探して見渡す。

 

『どこだ? 紅葉? どこだあああああああ!!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐは・・・・・・うぅ」

 

変身を解いた紅葉は森の中にある1つの木の下に背中を預ける形で座り込み、ゼッパンドンとの戦いのダメージか、その場で目を閉じてしまったのだ。

 

そんな時、自分の頬に誰かの手が触れられ、その柔らかな感触を受けて目を開けると・・・・・・そこには昔と変わらぬナターシャの姿が。

 

「ナターシャ・・・・・・?」

 

紅葉は弱々しく彼女の名を呼び、彼女に右手を伸ばすと・・・・・・ナターシャはその手を取って両手で優しく握りしめる。

 

すると、ナターシャは何かを紅葉に手渡し、彼女が手を離して紅葉はナターシャから受け取ったものを見ると・・・・・・それは真っ白な何も描かれていない1枚のカードだった。

 

「これは・・・・・・?」

「あなた自身だよ。 ありのままの、あなた・・・・・・」

 

紅葉が顔を上げると、そこにはナターシャではなく、入院している筈の穂乃果の姿があり、紅葉は「穂乃果?」と首を傾げながら彼女の名を呼ぶ。

 

「戻って来て、お兄ちゃん。 私のところに・・・・・・。 私は、ありのままのお兄ちゃんを受け入れる。 だから・・・・・・!!」

 

穂乃果は紅葉の手をもう1度握りしめ、それだけを伝えると彼女は立ち上がり、その場を去って行くのだった。

 

「穂乃果・・・・・・!!」

 

そんな去って行く穂乃果に向かって紅葉は必死に手を差し伸べるが・・・・・・。

 

「っ・・・・・・!!」

 

そこで紅葉は目を覚まし、彼は自分が気を失っていたことに気付いた。

 

「夢・・・・・・?」

 

今まで見ていたものは夢だったのか、そう思った紅葉だったが・・・・・・自分の右手を見てみるとその手には夢の中で穂乃果から受け取ったと思われるあの真っ白なカードが握りしめられていた。

 

「真っ白なカード・・・・・・今の俺には、お似合いかもな・・・・・・。 俺には、何も見えない。 おのれの心も・・・・・・守るべき、未来も・・・・・・」

 

紅葉は白いカードを見つめつつ、自虐気味にそう呟きながら空を見上げるのだった。




にこ
「サブタイを探せ! のコーナー! ってまだ紅葉も穂乃果も今回も来てない」


「しょうがないにゃ。 代わりに凛が来たよ」

にこ
「別にこれくらいなら1人でもできるんだけどね・・・・・・。 取りあえず、今回のサブタイをラグナが言った『決着の日』よ!」


「ラグナさんがゼッパンドンに変身する前に言った台詞だね!」
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