音ノ木坂の屋上にて。
そこでは穂乃果、絵里、花陽、紅葉がノートパソコンで今回行われるラブライブの専用サイトを確認しており、それ以外のメンバーは海未の声に合わせてダンスの練習をしているところだった。
「これがラブライブ専用のサイト・・・・・・」
するとパソコンの画面が突然変わり、画面が変わるとそこには色んなステージのようなものが映し出され、花陽曰くそれは「予選が行われる各地のステージの場所」とのことだった。
「おぉ、流石花陽ちゃん。 誰よりも詳しい」
相変わらずこういったことに誰よりも詳しい花陽に紅葉は感心し、さらに花陽は説明を続ける。
「今回の予選は参加チームが多いから会場以外の場所で歌うことも認められてるの!」
「えっ、そうなの!?」
花陽の説明を受け、目を見開き驚きの声をあげる穂乃果。
「それはルールブックに載っていることよ? なんで穂乃果が知らないの?」
「いやぁ、文字を読むのが苦手で・・・・・・」
「それくらい知っておけよ、リーダー・・・・・・」
絵里にこのことはルールブックにも載っていることだと言われ、その辺のことは全く読んでいなかった穂乃果に呆れた声を出す紅葉だが・・・・・・。
花陽の説明を受けて感心などしていたところを見るに、実は紅葉もルールブックなんてものは読んでおらず、むしろルールブックがあること自体紅葉は今知ったところだった。
それを必死にポーカーフェイスで切り抜けようとするが、絵里からジト目で見られ、物凄く怪しまれていた。
「あなたもそれくらい知っておきなさいよマネージャー」とでも言うような視線で。
「もし自分達で場所を決めた場合、ネット配信にライブを生中継。 そこから全国の人にライブを見て貰うんです!」
「全国・・・・・・凄いや!」
さらに花陽から全国の人にライブを見て貰えるのだと聞いて俄然気合いが入ったようで穂乃果は笑みを浮かべるのだった。
*
その後、一同部室へと移動してラブライブのより詳しいルールを改めてみんなで確認することとなり、それには海未が中心となり、彼女はホワイトボードを使ってラブライブのルールをより分かりやすく解説。
「各グループの持ち時間は5分。 エントリーしたチームは出演時間が来たら自分達のパフォーマンスを披露! この画面から全国に配信され、それを見たお客さんが良かったグループに投票。 順位が決まるのです!」
「そして上位4組が最終予選に・・・・・・という訳ね」
「狭き門ね」
海未からの説明を受け、そう呟く絵里と真姫。
「特のこの東京地区は1番の激戦区・・・・・・」
「んまぁ、A-RISEがいる地区でもあるからなぁ」
紅葉が開かれたノートパソコンに視線をやると、ゆるいパーマががったセミロングヘアのお嬢様風の少女、「優木 あんじゅ」、長い黒髪と切れ長の目を持ちクールな雰囲気の少女、「統堂 英玲奈」、そしてショートヘアのデコ出しルックで活動的な雰囲気の少女「綺羅 ツバサ」のA-RISEの3人が前回の優勝者ということもあってかラブライブの東京予選を告知する動画が流されていたのだ。
『『『こんにちは!!』』』
『私、優木あんじゅ!』
『統堂英玲奈!』
『そして、リーダーの綺羅ツバサ!!』
『『『ラブライブ予選、東京大会。 みんな見てね!!』』』
画面越しからでも分かるその大物感に圧巻される一同。
最も紅葉だけは逆に「かかってこい!!」とでも言いたげな雰囲気で静かに対抗意識を燃やしていたが。
さらにここにいるメンバーの中でも特に穂乃果は険しい表情を浮かべており、「A-RISE・・・・・・」と彼女達の名を小さく呟く。
「そう、既に彼女達の人気は全国区! 4組の内1つは決まったも同然よ!」
「えーっ!? ってことは凛達あと3つの枠に入らないといけないの!?」
「そういうことよ」
ただでさえ少ない4つの枠の内の1つがほぼ確実に潰され、自分達が入らないといけない枠が残り3つしかないことに嘆く凛だったが、だが、穂乃果や紅葉は凛とは違い、ポジティブに考え、逆にあと3つもあるならまだまだやれると一同に言い放つ。
「でも、ポジティブに考えよう! あと3組進めるんだよ!」
「A-RISEがいる時点で最初から3組しか無かったようなもんだろ? 4つも3つも大して変わんないだろうよ」
あと3組も進める、4つも3つも変わらないと前向きな姿勢を見せる穂乃果と紅葉の姿を見て海未達もどこか安心したような顔を浮かべ、それは穂乃果や紅葉の言う通りだと思ったからだろう。
「しっかし、アンタほんと、A-RISE相手でも尻込みしないわね・・・・・・。 さっきの動画の時も明らかに私達と雰囲気違ってなかった?」
そこでにこが紅葉が先ほどの動画の時も他のみんなとは違い圧巻されず、これは穂乃果にも言えたことだが尚且つ先ほどのような強気な発言・・・・・・。
それに対して紅葉は口元に笑みを浮かべてにこに言葉を返す。
「A-RISEは確かに凄いと思うよ。 でも相手が凄ければ凄いほど、こっちだって燃えるもんでしょ。 それに、誰よりも1番近くでμ'sのこと見てきた俺から言わせれば、μ'sだって凄い!! だから弱気になんてなる筈ないんだよ、にこ」
紅葉は穂乃果の頭をワシャワシャと撫でながら自分が尻込みしない理由を語り・・・・・・にこ達は「それは贔屓してるだけでは?」と一瞬思ったが・・・・・・。
だがここまで言われて悪い気はしない一同だった。
「今回の予選は会場以外の場所で歌うことも認められてるんだよね? だったら、この学校をステージにしない?」
穂乃果はライブで使う場所にここなら緊張もしないし、自分達らしいライブが出来る筈だとこの学校のどこかをステージにしようと提案し、それにことりや紅葉も納得するのだが・・・・・・。
「甘いわね」
「にこちゃんの言う通りです!」
しかし、その意見はにこと花陽に一蹴され、物凄くいい提案だと思ったのに「なぜ?」と首を傾げる紅葉。
「中継の配信は1回勝負! やり直しは効かないの!」
そこから一同は何故か中庭に移動することとなり、にこや花陽からなぜ穂乃果の案がダメなのか、ビデオカメラを構えながら説明し、花陽はもし失敗すればそれがそのまま全世界の目に晒されてしまうと彼女から説明を受け、それに思わず納得する穂乃果。
「それに、画面の中で目立たないといけないから目新しさも必要になるのよ!?」
「目新しさ?」
「奇抜な歌とか?」
「衣装とか?」
さらににこが言うには目新しさも必要ということでその目新しさに奇抜な歌や衣装などを用意すれ良いのだろうかと呟く凛とことり。
「メイドふ「それもうやったから却下」ハイ」
メイド服を提案しようとした紅葉だが、ワンダーゾーンの時にもうやったので絵里から却下され、露骨に残念そうにする紅葉とことり。
「なんでことりまで・・・・・・」
「ことりちゃんもメイド服とか好きだから」
紅葉が残念がるのは分かるが、なぜことりまで・・・・・・と思った真姫だったが、穂乃果が言うには元々興味はあったもののブラック店長の件以来以前にも増してメイド服が好きになったからとのことらしい。
「例えばセクシーな衣装とか?」
次に、ニヤニヤした顔で希がセクシーな衣装などどうだろうかと意見を出し、それを聞いた海未は直後に「む、無理です・・・・・・!」と膝を抱えて顔を俯かせ、蹲ってしまう。
「海未ちゃ〜ん!?」
「こうなるのも久しぶりだね」
「何時以来だ、こうなるの?」
「えりちのセクシードレスも見てみたいなぁ?」
そこへ希はニヤついた笑みで今度は絵里に彼女のセクシードレスも見てみたいと耳元で呟き、確かに絵里のようなスタイルの良い女性ならそういった衣装も似合うだろうと思ったのか、穂乃果もノリ気で「おぉ!」と感心の声をあげる。
「セクシャルハラスメンツ!」
「セクシーダイナマイトじゃ・・・・・・」
「無理です・・・・・・」
「何時まで言ってんの!?」
未だに塞ぎ込む海未に即座に何時までやってるんだとにこからツッコまれ、絵里はすぐさま希に「嫌よ!!」とセクシードレスを着ることを拒否。
「やらないわよ、私は!」
「・・・・・・セクシー、ドレス・・・・・・」
するとそこで不意にチャイナ風のセクシードレス衣装を着ている自分の姿を海未は想像してしまい、顔を真っ赤にして涙目になってそこから逃げだそうとする。
『みんなのハート、撃ち抜くぞ〜! バーン!』
「放してください!! 私は嫌です!!」
「誰もやるとは言ってないよ〜!!」
そんな風に逃げだそうとする海未は別に誰もやるとは言ってないと穂乃果が必死になって引き止め、同時ににこもセクシードレスを着るのは反対だと言うのだが・・・・・・。
「フン、私もやらないからね!」
「にこが着たら逆に可哀想な気が・・・・・・」
「またまた〜、部長には誰もお願いしてな・・・・・・」
直後、にこは余計なことを言った紅葉と凛の頬をそれぞれ両手で力強く抓り、にこにお仕置きされる2人だった。
「抓るわよ?」
「「もう抓ってるだろ/にゃー!?」」
「というか、何人かだけで気を引けても・・・・・・」
確かに、花陽が言うように何人かだけで気を引くようなライブはあまり良くは無いだろう。
それにはなぜかグッタリしている海未を支えている穂乃果も同意見であり、「確かに、そうだよね・・・・・・」と一体どうすれば良いのかと考え込むが・・・・・・。
「っていうか、こんなところで話してるよりやることがあるんじゃない!?」
「うん? やること?」
*
その後、真姫の提案で放送室へと向かった一同は真姫と同じクラスの放送部員の女生徒に頼み込んで交渉し、放送室を使わせて貰うことに。
「ホントに!?」
「はい、お昼の放送で良ければ構わないですよ?」
「彼女、放送部員なの。 こうやって実際マイクに向かって校内のみんなにアピールすれば応援して貰えるし、中継される時の練習にもなるでしょ?」
なぜ放送室に来たのか、それはこうやってアピールしてより多くの生徒達に応援して貰えるようにすること、それと同時に中継される時の練習にもなれるからと言うことで、この一石二鳥な提案に紅葉や穂乃果は感心の声をあげた。
「凄く良い提案だな、真姫ちゃん」
「そうだね、真姫ちゃんナイスアイディア!!」
学校なら失敗しても迷惑はかからないし、外に漏れる心配もないと絵里もまた真姫のアイディアに感心し、ことりもこれでみんなに応援して貰えれば心強いと思った。
「確かに、それは凄くいいとは思いますが・・・・・・」
そこでなぜか放送室の入り口からこっそり覗き込むように中の様子を伺っていた凛と花陽はなぜか放送部員と話す真姫の姿を見て心底驚いた顔をしており、それに気付いた絵里が「どうしたの?」と尋ねる。
「真姫ちゃんが同じクラスの子と仲良くなるなんて・・・・・・」
「ビックリ・・・・・・」
「君ら地味に失礼なこと言ってない?」
それ遠回りにちょっと失礼なこと言ってないかと思う紅葉だが、自分達以外にも仲の良い友人がいることを花陽や凛は嬉しく思っているのだろうと考え、紅葉はそれ以上のことは何も言わなかった。
「ヴェッ!?」
また凛と花陽の発言に顔を真っ赤にし、「べ、別に!」とそっぽを向く真姫。
「ただ日直で一緒になって少し話しただけよ!」
そんな真姫の姿に一同は思わず笑みを零し、それから早速校内放送を使わせて貰うことに。
「あー、皆さんこんにちわ!! うがっ!?」
マイクに顔を近づけ、校内放送をする穂乃果だったが、ついつい挨拶する感覚で頭を下げてしまった為勢いよくマイクに頭をぶつけてしまい、「いったーい!!」と彼女は自分の頭を抑える。
「なにやってんのよ!?」
「おい、大丈夫か穂乃果!?」
「だ、大丈夫・・・・・・!」
即座に体勢を立て直して改めてマイクに顔を近づけ校内放送を行う穂乃果。
「えーっと……皆さんこんにちは! 私、生徒会長の……じゃなかった! μ'sのリーダーをやっています高坂穂乃果です!! って、それはもう、みんな知ってますよね。 実は、私達また、ライブをやるんです! 今度こそラブライブに出場して、優勝を目指します!! みんなの力が、私達には必要なんです!! ライブ、皆さん是非見てください!! 一生懸命頑張りますので、応援よろしくお願いします!!」
最後に、彼女は「高坂 穂乃果でした!!」と自分の名前を言った後に、「そして他のメンバーも紹介!!」と自分の後ろに待機させていた2人・・・・・・海未と花陽の方へと振り返るのだが・・・・・・。
「あれ?」
「誰か助けて誰か助けて・・・・・・!」
「あっ、あっ、あっ・・・・・・!」
そこには緊張のあまり涙目で上がってしまっている海未と花陽の姿があり、これはもう少し心の準備が必要かもしれないということでその準備が完了するまでの間、紅葉が「どうしても自分も校内放送やりたい」と言って来たので彼が時間を稼ぐことに。
「えー、μ'sのマネージャーをやってて、穂乃果の兄の高坂 紅葉です。 俺から言うことと言えば1つ・・・・・・。 先ほど穂乃果が言ったように、俺達で声援を送るんだ。 簡単ではないだろう、ラブライブ優勝への道のりは険しい。 常にそうだった。 だが応援する価値はある。 例え俺1人でも応援するが、1人ではないと信じる」
明らかにどこかで聞いたことあるような台詞に、思わず真姫が「アンタそれやりたかっただけでしょ!?」と即座にツッコミを入れられ、同時に紅葉の言葉を聞いた穂乃果がハッとした顔を浮かべると、紅葉の傍に寄り・・・・・・。
「今のやつ原稿あるの? それとも全部アドリブ?」
というノリの良さを見せる穂乃果だった。
「ウィ〇ター・ソ〇ジャーの名シーンのパロディやってんじゃないわよ!!?」
「校内放送って聞いてどうしてもやりたかったんです・・・・・・!!」
にこにパロディやってんじゃないと叱られる紅葉だが、みんなキャ〇プ好きなのか校内では意外にも結構ウケがよく好評だった模様。
兎にも角にも紅葉が時間を稼いでくれたおかげで海未や花陽もなんとか心の準備は完了したようで、先ずは海未が顔を真っ赤にしつつもマイクに顔を近づけ、オドオドしながらも先ずは自己紹介を行う。
「えっと、そ、園田 海未役をやっています園田 海未と申します・・・・・・」
「なんだその声優の自己紹介みたいなやつは・・・・・・。 三森 すずこが園田 海未役をやってるみたいな・・・・・・」
声優みたいな自己紹介の仕方にツッコミを入れる紅葉。
ちなみに、なぜ校内放送に自分からやりたいと言った紅葉以外でこの3人にしたのかにこが絵里に尋ねると、絵里曰く、「リーダーと1番緊張しそうで練習が必要な2人だから」とのことだった。
続いて今度は花陽がマイクに顔を近づけ、自己紹介を行うことになったのだが・・・・・・。
「あ、あの・・・・・・μ'sのメンバーの小泉 花陽です。 えっと、好きな食べ物はごはんです・・・・・・。 μ'sの中ではあまり目立たない方で・・・・・・」
しかし、彼女の声は非常に小さく、そんな花陽の姿に真姫は溜め息を吐きつつ、彼女の声が聞こえるように放送部の生徒にマイクのボリュームを上げるように頼むものの・・・・・・それでもやはり声は小さく・・・・・・。
「おーい、声もっと出して! 声!」
それに見かねた凛が花陽にもっと声を大きく出すように言うのだが、それになぜか穂乃果がグッとサムズアップし、彼女はマイクに顔を近づけ・・・・・・。
「イエーイ!!!! そんな訳で皆さんμ'sをよろしく!!!! あれ?」
真姫がボリュームを上げるように放送部の生徒に頼んでいたのを見ていなかったのか、穂乃果は大声でマイクに向かって喋り、それによって校内放送でも彼女の声が大ボリュームで響くこととなり、学校中の生徒達はみんなそのあまりの声の大きさに思わず耳を塞いでしまう。
尚、常人より遙かに耳の良い紅葉は海未達以上のダメージを耳に受け、彼は泡を吹いて白目を剥き、その場にバタリと倒れ込んでしまっていた。
「がふ」
「えっ、わっ!? 紅葉くん!?」
「えっ? えっ!? ちょっ、わー!! ごめんなさーい!! お兄ちゃ〜ん!!」
穂乃果も倒れ込んだ紅葉に気付くと、彼女は泣いて謝りながら紅葉を抱きかかえて揺さぶり、何度から身体を揺らすと紅葉はなんとか目を覚ますことができた。
「ハッ!? あれ? 何が起こったんだ今・・・・・・?」
「うぅ、うわぁーん!! お兄ちゃんごめんなさーい!」
しかし、紅葉は気を失う前のことが思い出せず、なぜか泣いている穂乃果が目の前にいて訳が分からず彼は困惑し、首を傾げるのだった。
あとついでに紅葉の鼓膜は無事だったようだ。
「なにやってるのよ、全く・・・・・・」
そんな穂乃果に真姫は呆れ顔になるが・・・・・・。
「でも、μ'sらしくて良かったんじゃない?」
放送部の生徒はいかにもμ'sらしいということで良かったのではないかと言うが、「それって褒め言葉?」と怪訝な顔を浮かべる真姫であった。
*
「あぁ〜、まだ耳がキンキンする」
その後、他にもまだ色々なことを話し合うことがあるため、次に屋上へと向かうことに。
「まぁ、少しは練習になったんじゃない?」
「うん、もう無闇に大声は出さない・・・・・・!」
「ホントに頼む」
穂乃果は今度からはもう無闇に大声を出さないと約束し、紅葉は未だにガンガンする頭を摩りながら本当に頼むと穂乃果にお願いし、あとはライブをどこにするかという話題に一同は移る。
「カメラで中継できるところであれば場所は自由だから・・・・・・」
「でも屋上は前にライブで使っちゃったし」
しかもそれはもうネットに配信してしまっている為、また屋上でライブをしてしまっては新鮮みに欠けてしまい、だとしたら他にどんな場所があるのか、まだライブで使っていなさそうな場所を紅葉達は探し回ることに。
しかし、講堂、グランド、校門・・・・・・ライブで使えそうな場所は学校の中では殆ど使ってしまっていて学校内ではどうしてもライブに良さそうな場所が見つからなかった。
「同じところだとどうしても目新しさがなくなっちゃうんじゃないかな?」
「そうだよね? うーん」
「まぁ、別にライブする場所はどうしても学校でないとダメだって訳じゃないんだから・・・・・・学校の外でもライブに使えそうな場所、探してみようぜ?」
学校内でダメなら外にライブで使えそうな場所を探しに行こうと紅葉が意見を述べ、「確かにそうだよね」と彼の言葉に穂乃果達も納得し、一同は学校の外を出て秋葉辺りに行ってみることに。
*
「でも・・・・・・」
「この辺りは、人が沢山・・・・・・!」
なんやかんやで秋葉に来た紅葉達だったが、海未や花陽は人の多さからこんなところでライブしたら間違いなく自分達は緊張してしまうと懸念。
「それに何より秋葉はA-RISEのお膝元やん」
「下手に使うと、喧嘩売ってるように思われるわよ?」
さらに秋葉はA-RISEお膝元ということから希やにこはこんなところでライブしたらまるで喧嘩売ってるように思われるのではないかと考え、学校以外ならこの辺りが1番良いのではないかと思ったが・・・・・・やはりこの辺りも使えそうにはなかった。
それから一同はそこからUTX高校が近かった為、何気なく立ち寄ってみることに。
そこでは相変わらずA-RISE目当てで人が沢山集まっており、丁度、UTXのモニターではA-RISEが自分達の新曲が完成したという報告をする映像が流れているところだった。
『遂に新曲ができました!』
『今度の曲は今までで1番盛り上がる曲だと思います』
『是非聞いてくださいね!』
それを受けてか、周りの人々から沢山の黄色い歓声があがり、その光景を見て改めて穂乃果達はA-RISEの凄さを実感するのだった。
「やっぱり凄いね」
「堂々としています・・・・・・」
A-RISEの映像を見たことりと海未はそんな風にそれぞれの感想を述べ、穂乃果も映像を見つつ、笑みを浮かべながら「負けないぞ」と呟くのだった。
するとそこへ・・・・・・。
「高坂さん」
「アッハイ」
「えっ?」
いきなり名前を誰かに呼ばれ、思わず返事をしてしまう紅葉と不思議そうな顔をする穂乃果。
「呼んだの穂乃果さんの方なんだけど・・・・・・」
気付けば、穂乃果の目の前にはA-RISEのリーダー、ツバサの姿があり、彼女の存在に穂乃果、海未、ことり、紅葉は一瞬思考が停止し・・・・・・。
「あ、あ、あああああ!! A-RISE・・・・・・!!」
「シーッ!」
それがツバサであると気付いた穂乃果は驚きの声をあげそうになるが、ツバサに叫ばないように注意され、「来て」といきなり穂乃果の腕を両手掴み、彼女を連れてどこかに走り去ってしまう。
「あっ、おい待て!!」
紅葉は慌てて穂乃果を連れ去ったツバサを追いかけようとするのだが、その時、「わああああ!!!?」という誰かの悲鳴が聞こえ、紅葉は思わず足を止めて立ち止まってしまう。
「な、なんだ?」
また、A-RISEの映像をうっとりした顔で眺めていた花陽も穂乃果を連れ去るツバサの存在に気づき、彼女が目を見開くとツバサも花陽の視線に気付くと彼女に対して舌を出しながらウインクを送る。
「あ、あああああー!!」
「かよちん?」
そんな穂乃果を連れ去っていくツバサを花陽は慌てて追いかけ、同じくツバサの存在ににこも花陽に追いついて彼女の隣に走ってくる。
「今のは絶対・・・・・・!」
「ツバサよね!?」
そのまま花陽達はツバサと穂乃果を追いかけて行ってしまい、取りあえず、穂乃果のことはにこ達に任せて自分は先ほど聞こえた悲鳴が気になった為、声のした方に行ってみるとそこでは男性2人が殴り合っていたのだ。
「お前マジで許さねえからな!!」
「そりゃこっちの台詞だ!!」
「なんだなんだ、一体なにがあったんだ?」
紅葉が近くの人に一体何があったのか尋ねてみると、それは数分前のこと・・・・・・。
UTX高校の前でA-RISEのモニターの前で彼女達のライブを見ていた男性Aがボソリと呟いたことが切っ掛けだった。
「なんとなく近く通りかかったけど、やっぱスクールアイドルはA-RISEよりもμ'sの方が魅力的だよなー」
そんなことを男性Aが呟いてしまったせいで、たまたま隣にいたA-RISEのファンと思われる男性Bの反感を買ってしまったのだという。
「ハァ? 前回ラブライブが予選始まる前に逃げ出した腰抜けチームのどこが魅力的なのさ?」
そのような暴言を聞いて男性Aは思わず苛立ち、男性Bに対して反論する。
「何が腰抜けだよ!! あの時は穂乃果ちゃんが怪我して入院してたから辞退したんだよ!!」
「あっそ、それって罰が当たったんじゃないの? 結成したばかりのグループがラブライブに出場しようなんておこがましいことしようとするから」
「ハアアア!!? お前μ'sのこと殆ど知らねえんだな!! 彼女達は結成当時から加速的に人気が上がって来てた凄いグループなんだぞ? μ'sがラブライブ出場してたらA-RISEにだって勝ってたかもしれないんだぞ!? A-RISEこそ前回μ'sが辞退したから、そのおこぼれで優勝したんじゃないの!?」
そのように売り言葉に買い言葉という感じで言い争いも徐々に発展し、遂には喧嘩に発展し、今この状況に陥っているという訳だ。
μ'sがラブライブに出るのがおこがましいとか、腰抜けとか言われる部分は確かに紅葉も納得できない。
自分が原因なので尚更。
だからといって男性AのそのおこぼれでA-RISEが優勝したというのも納得できるものではない。
確かに自分はA-RISEに対して「かかってこい!!」という感じだったが、それは強敵だから燃えるというものだったからで・・・・・・別にA-RISEのことを嫌っている訳ではない。
むしろ高く評価している。
だからこそ、この2人言い分は紅葉にとって不快なものでしかなく、尚且つ彼女達のファンだと言うなら殴り合いなんて恥ずかしい真似はやめろと紅葉は彼等に注意を促したのだ。
「こんなとこで殴り合いなんてみっともないし、迷惑だ。 こんなことしてたらμ'sにしてもA-RISEにしても彼女達は悲しむぞ」
紅葉が喧嘩している2人にそう注意を呼びかけるのだが、2人とも全く聞く耳を持たず、むしろ男性Aも男性Bも自分達を注意してくる紅葉に対し苛立ち、「うるせええ!!」と彼にも2人同時に殴りかかって来たのだ。
最も、2人とも拳が紅葉に届く前に、一瞬で紅葉に腹パンされ、ダウンしてしまうのだが。
「「ぐはぁ!?」」
「言っとくけど今の正当防衛だからな?」
「紅葉、大丈夫ですか!?」
そこで騒ぎを聞きつけた海未が駆け寄ってくるのだが、正直、今この状況で海未が来られては困る。
幸い、男性Aも男性Bも蹲って顔を下に向けている為、まだ海未の存在には気付いていなかったが・・・・・・紅葉は右手で海未がこちらに来るのを制し、「大丈夫」とだけ伝える。
「こっちは大丈夫だから、海未は穂乃果達を追いかけてくれ」
「えっ、ですが・・・・・・」
「大丈夫大丈夫」
紅葉は軽いノリでそう言うと、海未も紅葉の態度を見てどうやら本当に問題いのだろうと思い「分かりました」と頷くとそのまま彼女も穂乃果を追いかけて行くのだった。
*
「はぁ、はぁ・・・・・・」
一方、穂乃果を連れ去ったツバサはUTX高校へと入り、その1階のある場所で立ち止まるとツバサは穂乃果に笑みを向けつつ「はじめまして」と挨拶。
「うっ、はじめまして・・・・・・!」
それに戸惑いつつも穂乃果も挨拶を返す。
「ようこそ、UTX高校へ!」
それから少しだけ遅れてどこからともなく他のA-RISEのメンバーのあんじゅと英玲奈も現れ、それに穂乃果が唖然としていると遅れて後ろからにこが駆けつける。
「A-RISE!!?」
「フフ」
「あ、あ、あの・・・・・・よ、よろしければさ、サインください・・・・・・!」
またそこに花陽もやってくると彼女はどこからか色紙を取り出してツバサ達にサインをねだり、それに「ちょっとズルいわよ!?」とにこが慌てて花陽の肩を掴む。
「フフ、いいわよ?」
そんな花陽とにこの姿に微笑みながら快くサインを書くことをツバサは了承し、それにとても喜ぶ花陽とにこ。
「い、良いんですか!?」
「ありがとうございます!」
「でも、どうして・・・・・・」
「それは前から知っているからよ、μ'sの皆さん」
穂乃果の疑問にツバサがそう応え、後に海未達や喧嘩騒動をどうにか沈静化することに成功した紅葉が合流すると一同は場所を移動し、お互いに話し合う為に食堂へと向かうことに。
正確に言えば、食堂と一緒になっているカフェスペースに行くことになったのだが。
「ゆっくり寛いで。 ここはこの学校のカフェスペースになっているから、遠慮なく」
「食堂の料理美味そう・・・・・・」
「いや、お兄ちゃん・・・・・・」
尚、紅葉はさっきからずっと食堂の方に顔が向いており、隣に座るそんな紅葉に呆れた視線を送る穂乃果。
流石の自分でもそこまで食い意地はってないよとツッコミを入れられた後、穂乃果に無理矢理顔を前に向かせられ、話を戻す。
「あの、さっきはうるさくてすみません」
花陽は先ほど下の階で騒がしくしたのを謝罪し、それに対してあんじゅは髪をくるくると弄りながら「良いのよ、気にしないで」と言葉を返す。
「素的な学校ですね!」
「フン・・・・・・」
「ちょっと、何偉そうにしてんのよ!?」
腕を組んで、なぜか少し偉そうに鼻を鳴らす真姫とそんな彼女を注意するにこ。
「そうだぞ真姫ちゃん、あんじゅさんと髪弄りキャラ被ってるからって・・・・・・」
「いや、別にそんなの気にしてないんだけど!?」
紅葉からも注意されるが、別にあんじゅとキャラ被ってるから偉そうな態度取ったとかではないので即座にそれを真姫は否定する。
「ウフフ、あなた達もスクールアイドルでしょ? しかも同じ地区」
そんな紅葉達の様子にあんじゅは思わず笑ってしまい、ツバサは一度穂乃果達に挨拶してみたかったのだと話す。
「一度挨拶したいと思っていたの。 高坂 穂乃果さん!」
「えっ?」
「下で見掛けた時、すぐにあなただと分かったわ。 映像で見るより本物の方が遙かに魅力的ね!」
それを受けてか、なぜか自慢げな顔をする紅葉。
「なんで紅葉が自慢げなんですか」
「自慢の妹だからな」
「・・・・・・自慢の妹かぁ・・・・・・」
ただ穂乃果の方は「自慢の妹」という言葉にあまり嬉しそうでは無かったが。
「人を惹きつける魅力、カリスマ性とでも言えば良いのだろうか。 9人いても、尚輝いている」
「はぁ・・・・・・」
英玲奈からそう評され、一応は物凄く褒められているのだろうか、穂乃果自身にはそんな自覚全くない為、どうにもよく分からないといった感じだった。
「私達ね、あなた達のことずっと注目していたの」
『えっ!?』
それを受けて、穂乃果達はまさかA-RISEが自分達に注目しているなんて夢にも思っていなかった為、彼女達は驚きの声をあげた。
「実は前のラブライブでも1番のライバルになるんじゃないかって思っていたのよ」
「前の・・・・・・」
あんじゅの言葉に、紅葉は顔を俯かせ、暗い表情を見せる。
穂乃果のおかげで色々と吹っ切ることが出来たものの、自分が容赦なくギャラクトロンを倒し、穂乃果を殺しかけたことを思い出してしまったからだ。
そのせいで穂乃果は大怪我をして前のラブライブには参加することができず、そんな紅葉に気付いた穂乃果はそっと彼の肩に手を乗せる。
「私は大丈夫だから、お兄ちゃんも元気出して?」
「うっ・・・・・・あ、あぁ。 すまん。 ありがとう」
しかし、A-RISEからライバル視されるなんてと照れる絵里だったが・・・・・・。
「絢瀬 絵里。 ロシアでは常にバレエコンクールの上位だったと聞いている」
「そして西木野 真姫は作曲の才能が素晴らしく、園田 海未の素直な詩ととてもマッチしている」
「星空 凛のバネと運動神経はスクールアイドルとしては全国レベルだし、小泉 花陽の歌声は個性が強いメンバーの歌に見事は調和を与えている」
「牽引する穂乃果の対になる存在として、9人を包み込む包容力を持った東條 希」
「それに、秋葉のカリスマメイドさんまでいるしね?」
A-RISEの3人は次々と穂乃果達9人の特徴をそれぞれ言い当て、ライバル視しているだけあってとてもよく相手のことを調べているようだった。
「いや、『元』と言った方が良いかしら?」
「あっ、うぅ・・・・・・」
それに頬を赤くし、照れ臭そうにすることり。
可愛い。
「それにリーダーの高坂 穂乃果さんの兄で、南さんや園田さんの衣装製作や作曲作りのネタ探しの手伝いなどを行ったりして彼女達の活動に貢献している。 μ'sのマネージャーをやっている高坂 紅葉さん」
「えっ、俺にも感想あるの?」
まさかマネージャーである自分にまで感想が来るなんて思ってなかった紅葉はちょっとだけ驚いた顔を浮かべる。
「そして、矢澤 にこ・・・・・・」
「むうう・・・・・・」
そして最後にツバサはにこの名を呼び、自分はどんな感想が来るのかと不安に思いながらも期待するにこ。
「・・・・・・いつもお花ありがとう!」
『えっ?』
その瞬間一同の一斉にジトッとした視線がにこに向けられ、ツバサ曰く、にこは昔から応援してくれている人なのだとか。
「昔から応援してくれているよね、すごく嬉しいよ?」
「にこ、そうなの?」
「知らなかったんやけど」
絵里や希からは呆れた視線を送られ、にこは苦笑し、笑って誤魔化す。
「い、いやぁ、μ's始める前からファンだったから〜ってそんなことはどうでも良くて!! 私の良いところでは!?」
「フフ、グループにはなくてはならない小悪魔ってところかしら?」
改めてツバサからの評価を聞いたにこはそれを受けて身体をくねらせながらとても嬉しそうな様子を見せ、そんな評価をにこにしたツバサに紅葉は「えぇ・・・・・・」と少しだけ困惑した。
(にこが小悪魔ってなんか違和感が・・・・・・。 なんか誤魔化されてる感が凄い)
「なぜそこまで・・・・・・」
そこで絵里はどうしてそこまでして自分達に興味を持つのかとツバサに尋ねると、彼女が言うにはこれだけのメンバーが揃っているスクールアイドルのチームはそうはいないからとのことだった。
「だから注目もしていたし、応援もしていた。 そして何より・・・・・・」
「んっ?」
「負けたくないと思ってる」
真剣な表情でそう力強く宣言するツバサ。
そんな真面目な雰囲気を感じて、先ほどまではしゃいでいたにこは黙って座り込む。
「でも、あなた達は全国1位で私達は・・・・・・」
「それはもう過去のこと」
「私達はただ純粋に今、この時1番お客さんを喜ばせる存在でありたい。 ただ、それだけ」
海未の言葉にあんじゅと英玲奈がそう答えると、そこから感じ取れるA-RISEの雰囲気に穂乃果達は圧巻されそうになる。
「μ’sのみなさん、お互い頑張りましょう! そして、私達は負けません!」
それだけを言い残すと、ツバサ達3人は立ち上がって部屋を出て行こうとする。
だが、それを椅子から立ち上がった穂乃果が「あの!」と声をかけて呼び止める。
それに合わせて他のメンバー達も立ち上がる。
「うん?」
「A-RISEの皆さん!! 私達も負けません!」
今度は穂乃果が、力強くそうツバサ達に宣言すると、彼女は一瞬驚いた顔を浮かべる。
そんな穂乃果にまるで「よく言った」とでも言わんばかりに彼女の頭をくしゃくしゃと撫でる紅葉。
「ちょっと、今頭撫でるのやめてよお兄ちゃん! えっと、それで・・・・・・今日はありがとうございました!」
穂乃果がそう笑みをツバサに向けながらお礼を述べると、ツバサは「アハハ!」と突然笑い出す。
「あなたって面白いわね?」
「えっ?」
「ねえ、もし歌う場所が決まっていないなら、うちの学校でライブやらない?」
突然のツバサのその申し出に「えっ?」と首を傾げる穂乃果達。
「屋上にライブステージを作る予定なの! もし良かったら是非! 1日考えてみて?」
それを受けて、紅葉は両腕を組んで少し考えて見る。
確かにμ’sのライブをやる場所が中々決まらなくて困り果てていた。
だが、この条件だと少しばかり相手の方が有利なのではないかと考えずにいられなかった。
(いや、でももうどの道学校以外でやらないといけないんだから選択肢は限られてくるか。 でももう少し場所を探してそれから改めてみんなで話し合ってから・・・・・・)
「やります!!」
しかし、紅葉がそうこう考えている内に穂乃果は即決してしまい、それに紅葉は目を丸くし、他のみんなも「えぇー!!?」と当然ながら驚きの声をあげるのだった。
*
そして時は流れ・・・・・・。
ラブライブ予選当日。
紅葉達はUTX学園に訪れており、紅葉、穂乃果、希は屋上から下を見下げ、穂乃果はそこから見える景色を見て「すごーい!!」とはしゃいでいた。
「うちらの学校とは大違いやね・・・・・・」
(これくらいの景色割と見慣れてるから、俺はあんまり新鮮みないなぁ)
*
その頃、数日前に男性AとUTX前で喧嘩騒ぎをしていた男性Bはというと・・・・・・。
UTX高校の近くにあるビルの路地裏に隠れながら、イライラした様子で地団駄を踏んでいた。
「クソクソクソ!! A-RISEのいるUTXでμ'sがライブぅ? ふざけるな!! 聖地を汚しやがって・・・・・・。 許さない、絶対に許さないぞ・・・・・・!! UTXでライブなんて俺が許さない!!」
そう言うと、男性Bの姿が変化し「P」と書かれた青いシャツを着て鋭い目つきをした木彫りの人形のような外見の異星人へと姿を変えたのだ。
男性Bの正体、それはこことは別の宇宙に存在する地球で、「ウルトラマンタロウ」が地球防衛に着いていた時期に現れた異星人「わんぱく宇宙人 ピッコロ」の同族にして名を「ピッコラ星雲人 ピッコル」という。
ちなみにピッコロとの見た目の違いは先ほども外見の特徴として紹介したが青いシャツを着ていることと目つきが鋭いところである。
*
一方、待合室では他のμ'sのメンバー達が衣装に着替えて準備しており、にこが左右の頭にお団子を作っているとそこへ凛が「可愛いにゃー!」と言いながら寄ってきた。
「当たり前でしょ! 今日が勝負なんだから!」
予選とは言え、気合いは十分な様子のにこ。
それを見て凛も「よーし、やるにゃー!!」と俄然やる気を出し、さらに花陽曰く、既に動画などでは沢山の人が見てくれているそうで既にかなりの盛り上がりを見せているとのことだった。
「みんな! 何も心配ないわ。 兎に角集中しましょう!」
みんなに向かってそう言い放つ絵里だが、ことりは「でも、ホントに良かったのかな?」とA-RISEと一緒にライブをやることに対して不安そうに呟く。
「一緒にライブをやるって決めてから2週間集中して練習ができた! 私は正解だったと思う」
そんな不安を抱くことりに対し、絵里はむしろこれで良かった、正解だったと応える。
するとそこへ、A-RISEの3人が絵里達の様子を「こんにちわ」と挨拶を交えつつ見に来たのだ。
「あっ、こんにちわ!」
そこで丁度穂乃果と希が帰って来て穂乃果はツバサに挨拶を返す。
ちなみに紅葉は部屋の外で待機中である。
「いよいよ予選当日ね? 今日は同じ場所でライブができて嬉しいわ。 予選突破を目指して、互いに高め合えるライブにしましょ?」
そう言いながらツバサは穂乃果に手を差し伸べ、穂乃果はそれに一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑みをツバサに向けながら「はい!!」とその手を握り、握手を交わすのだった。
*
その頃、高坂家では雪穂と亞里沙がノートパソコンを開いて本日開催するライブの動画を観ており、亜里沙はライブが始まるのを待ちながらずっとそわそわしており、緊張しているようだった。
「あ〜、ドキドキする! ねえ、お姉ちゃん達、大丈夫かな・・・・・・?」
「大丈夫だよ、きっと。 私のお兄ちゃんもついてるし!」
雪穂は緊張する亜里沙を安心させるようにそう言うと、雪穂は視線を部屋の壁に移し・・・・・・。
雪穂の視線の先、そこには「ほ」と書かれた穂乃果の練習着がハンガーでかけられていた。
*
そして遂にライブの時間となり、いよいよ待ちに待ったライブの瞬間。
ライブは屋上で披露されることとなり、先ずはA-RISEから・・・・・・。
A-RISEが歌う曲は・・・・・・「Shocking party」
そして、A-RISEの曲が終了し、彼女達のパフォーマンスが終了するとそれによって会場の外からでも彼女達のファンの歓声が聞こえ、それに穂乃果達も圧巻され唖然とした顔を浮かべていた。
「じかに見るライブ・・・・・・」
「全然違う。 やっぱり、A-RISEのライブには・・・・・・私達・・・・・・」
「敵わない・・・・・・」
「認めざる得ません・・・・・・」
A-RISEの生のライブを見て、強い衝撃を受けた海未達は1人ずつ、弱気になっていってしまう。
(絵里は前A-RISEのこと素人にしか見えないとか言ってなかった?)
以前、A-RISEのことを素人にしか見えないと言っていた絵里まで弱気な態度を見せた為、思わず心の中でツッコミを入れる紅葉。
最も、これに関しては生で見るのとでは違う、彼女達が以前よりも成長しているからと説明がつくが。
それに、今そのことを指摘するよりも、自分がやらないといけないことがある。
紅葉は沈んでいく表情の穂乃果の肩に手を置き、ぼそりと穂乃果の耳元で呟く。
「やる前から諦めるな。 お前達だって、凄いさ。 それをみんなに言ってやれ」
「お兄ちゃん・・・・・・うん!!」
紅葉の言葉を受けて、穂乃果は力強く頷く。
「A-RISEのライブが凄いのは当たり前だよ!! 折角のチャンスを無駄にしないよう、私達も続こう!!」
穂乃果の言葉を受けてか海未達の暗かった表情は明るいものへと変化し、一同は穂乃果の言葉に頷くと、穂乃果達はそれぞれピースサインを作って互いが互いに指を合わせ、星のような形を作る。
「A-RISEはやっぱり凄いよ! こんな凄い人達とライブができるなんて、自分達も思いっきりやろう!」
『おう!!』
「よーし!! それじゃ行くよ〜!! μ's!! ミュージック〜!!」
と、そこで「穂乃果ー!!」と彼女の名前を呼ぶ聞き覚えのある声が聞こえ、声のした方に顔を向けるとそこにはヒフミトリオを筆頭とした音ノ木坂の学生達が何人かが駆けつけて来たのだ。
「手伝いに来たよ!」
それを受けて、穂乃果達はとても喜ばしい気持ちとなったのは言うまでも無い。
おかげで先ほど以上に気合いも十分に入った。
「さあ、行こう!!」
そして、穂乃果達μ'sは・・・・・・自分達のライブを行おうとライブステージに上がろうとするのだが、その時・・・・・・。
『そこまでだ!!』
突如として巨大化したピッコルがUTX高校の前に出現したのだ。
「ひゃあ!? えっ、な、なに・・・・・・? 木彫り人形・・・・・・?」
いきなりのピッコルの出現に可愛らしい悲鳴をあげるツバサ。
そんなツバサに「可愛い悲鳴だな〜」と呑気な感想を呟く穂乃果。
ちょっと冷静すぎないかと思えるかもしれないが、ツバサよりも驚きが少ないのは穂乃果はこういう状況にちょっとだけ慣れてしまったからなのかもしれない。
『A-RISEのライブは終わった!! お前達μ'sにこの聖地でライブなんてさせてなるものかぁ!!』
「えっ、なんだあの木彫り人形私達のファンなのか?」
ピッコルの言動から英玲奈はもしかして彼は自分達のファンなのかと疑問を抱き、またにこもピッコルの言動から彼が自分達のライブを邪魔しようとしているのが分かった。
「ちょっと、ラブライブの予選中なのよ!? 邪魔なんてしたら許さな・・・・・・!!」
『黙れ!! お前達は目障りだ!! 俺が潰してやる!!』
にこの言葉に対してピッコルは逆上し、先ずはリーダーを始末してやろうと穂乃果に手を伸ばす。
「きゃああ!!?」
そのことに穂乃果はギュッと思わず目を瞑るのだが、その時・・・・・・。
『ウルトラマンオーブ! バーンマイト!』
『シュアアア!!!!』
そこへ現れたのはメビウスとタロウの力を融合させた2本角の赤き姿、「ウルトラマンオーブ バーンマイト」であり、いつの間にか姿を消し、こっそりと人気のない場所でオーブに変身した紅葉はピッコルに跳び蹴りを喰らわすと一気にピッコルをUTX高校から引き離す。
『紅に燃えるぜ!!』
「っ、オーブ!!」
穂乃果はオーブが現れたことに気付くと、彼女はオーブが自分を助けてくれたのだということを即座に理解し、彼女はそんなオーブに対し笑みを向け得「ありがとう!」とお礼を述べる。
それに対してオーブはコクリと静かに頷く。
ピッコルと向き合い、ピッコルに向かって駈け出す。
『ウルトラマン!? こんのぉ〜!! 邪魔するなぁ〜!!』
自分の邪魔をされたことに怒ったピッコルは「ピッコルハンマー」というハンマーの武器を取り出すとハンマーを振るってオーブに攻撃。
それをオーブは両手で受け止め、ピッコルの横腹に蹴りを叩き込む。
『バーンアロー光線!!』
さらに頭のウルトラホーンにエネルギーを集め、鏃状の光弾を放つ「バーンアロー光線」を放ち、直撃を受けたピッコルは僅かに怯む。
『うわああ!!? このぉ!!』
ピッコルはオーブに向かってハンマーを投げつけ、オーブはそれをはたき落とすが・・・・・・直後に自分目がけてピッコルのドロップキックが直撃し、オーブは地面に倒れ込んでしまう。
それを見てピッコルはすぐさまハンマーを回収し、倒れ込んだオーブに向かってハンマーを何度も振りかざし、オーブはその度に身体を地面に転がして攻撃を躱す。
『逃げるんじゃない!!』
だが、オーブは一瞬の隙を突いて起き上がってピッコルの顔面を殴りつけると、ピッコルは顔を抑えながらその場に蹲る。
『お前、以前UTX前で喧嘩してた時のA-RISEのファンだろ? もうこんなことはやめるんだ』
『っ! そういうお前は、あの時俺達の喧嘩を止めたいけ好かない奴か!? まさかウルトラマンオーブだったとは・・・・・・!! だが、そんなことはどうでもいい!! 俺のやることは変わらない!!』
オーブはピッコルを説得しようとするが、ピッコルはまるで聞く耳を持たず、立ち上がって口を開いてそこから白い煙を発射。
『ヌアアア!!?』
煙によって視界を遮られたオーブは周りを確認することが困難となり、オーブは背後からピッコルの振るったハンマーの攻撃を受け、ダメージを受けてしまう。
『ウアアア!!?』
さらに今度は前から振るって来たピッコルのハンマーで胸部を叩きつけられ、オーブは大きく吹き飛ばされて倒れ込む。
『フッハッハッハ!! どうだ! 俺の煙に紛れて繰り出す攻撃は! それに俺の目は特殊でな。 自分の煙で周りが見えなくなっても、俺だけは煙の中でもどこに誰がいるか分かるのさ!!』
『フン、だったら・・・・・・この煙を晴らせば良いだけだ!!』
するとオーブは身体を横に高速回転させることで起こす風圧で煙を振り払うことに成功。
『な、なぁにぃ!?』
『廻ればなんとかなる・・・・・・ってやつだな』
そのまま紅葉はインナースペース内でさらに新たにカードをオーブリングに読み込ませる。
『コスモスさん!』
それは「慈愛の勇者」と呼ばれる青き巨人、「ウルトラマンコスモス・ルナモード」のカード。
『エックスさん!!』
さらに紅葉はメカニカルな外見をした戦士、「ウルトラマンエックス」のカードをオーブリングにリード。
『救う為の力、お借りします!』
『フュージョンアップ!』
そのままオーブはコスモスとエックスの力を融合させた姿、「ウルトラマンオーブ フルムーンザナディウム」へと姿を変えるのだった。
『ウルトラマンオーブ! フルムーンザナディウム!』
『繋がる力は心の光!!』
『それがなんだ!!』
ピッコルはハンマーを地面に置くと、今度は木製でできたような見た目の剣「ピッコルソード」を取り出し、ピッコルソードで何度もオーブを斬りつけようとするが、オーブはひらりひらりとまたひらりとピッコルの攻撃を躱していく。
『ちょこまかするなぁ!!』
『ストライクXスラッシュ!』
長い鼻から発射するミサイルをピッコルはオーブに撃ち込むが、右手を前に突き出し光エネルギーを矢じり型にして放ち、敵を切り裂く破壊光弾「ストライクXスラッシュ」を連射して放つことでピッコルのミサイルを全て相殺する。
この技も通じないとなると、再びピッコルはピッコルソードを握りしめてそれをオーブに向かって振るうが、オーブに片手でソードを持っている右手を左手で掴まれると、そのままオーブは右手でピッコルの右手に手刀を入れ、刀を落とさせる。
『ハアア、シュア!!』
そこから手の平をピッコルの胸部に押し当て、押し返し、フラつくピッコル。
するとピッコルはソードを地面に突き刺し、頭に被った回転のこぎりとなる帽子「ノコギリハット」を手に取ってそれをオーブに投げつけるが、オーブはパシッと上下を両手で挟みこむようにそれを掴み取り、ノコギリハッとをゆっくりと地面に降ろす。
『くそぉ〜!』
ことごとくオーブに攻撃を受け流され、イライラを隠せないピッコル。
その怒りを爆発させながら、今度はピッコルはハンマーとソードを両手に持ってオーブに向かって突撃。
だが、オーブは突撃してくるピッコルに対し、電流状エフェクトを発生させながら大きく振りかぶり、正面に向き直りながら右手を突き出して放つ光の粒子のような光線「フルディウム光線」をピッコルに放つ。
『ハアアア、フルディウム光線!!』
『うおおおおお!!!! って・・・・・・あ? ああ、あああああ?』
その直撃を受けたピッコルは立ち止まり、ピッコルは怒りが静まり、大人しくなったのだ。
『なんだ? さっきまであんなにイライラしてたのに・・・・・・』
『お前の高ぶる感情を静めたんだ。 これでようやく落ち着いて話ができるだろ?』
オーブはピッコルに近寄り、彼の肩にポンッと手を置く。
『お前がA-RISEのことが好きなのは分かった。 でもな、だからって他のアイドルグループを襲ったりなんかしたらお前が襲った娘達だけじゃなく、お前が応援しているA-RISEの人達だって傷つくんだ。 彼女達はそんなことを望んでいないんだから。 そんな風にして、A-RISEがラブライブに優勝したとしても、彼女達は心から喜べない。 そんな彼女達を見たとして、お前は嬉しいか?』
『・・・・・・それは・・・・・・』
『ピッコラ星雲人。 どうか、優しさを失わないでくれ。 弱いものを労り、互いに助け合い、どこの国の人達とも友達になろうとする心を失わないでくれ。 例えその気持ちが何十回、何百回裏切られようと・・・・・・』
ピッコルは黙ってオーブの言葉を聞き続け、彼は顔を俯かせて反省の色を見せる。
『例え応援するアイドルが違っても、その人と仲良くなることはできる筈だ』
『オーブ・・・・・・。 俺、最近、嫌なことがあってさ。 そんな時、丁度UTXの近くを通りかかったからA-RISEのライブを観て、心を癒やして貰おうと思ったんだ。 でも、その時隣にいた奴がA-RISEをバカにしたもんだから、それでカッとなってしまって・・・・・・』
ピッコルはただA-RISEのライブ映像を観て楽しみたかっただけなのに、偶然隣にいた男性がそれに水を差すようにA-RISEよりもμ'sの方が魅力的なんて言ったものだからついカッとなってしまい、UTX前でその男性と喧嘩し、今日このような凶行に及んでしまったのだ。
だが、オーブがその気持ちを静めた為、ピッコルはイライラは解消され、今は落ち着きを取り戻している。
『確かにそうなのかもしれない。 ごめんよ、俺が間違ってた』
オーブの説得を受け、冷静になったピッコルは遂にオーブに謝罪し、またピッコルはUTX高校前にまで行くとピッコルは頭を下げて、ツバサ達や穂乃果達に謝罪したのだ。
『A-RISEの皆さん、それにμ'sの皆さん、それ以外に迷惑をかけた皆さん。 お騒がせしてすいませんでした。 俺、A-RISEが好きで、彼女達に優勝して欲しくて・・・・・・こんなことを。 俺が・・・・・・間違ってました・・・・・・!』
ピッコルはもう1度謝罪をすると、「これ以上迷惑はかけたくないから」と言ってその場を立ち去ろうとする。
「待って!!」
しかし、それをツバサが呼び止めたのだ。
『・・・・・・?』
「確かに、あなたがやろうとしたことは許せない。 でも、宇宙人にまで応援して貰えるなんてとても嬉しいわ。 だからいつも応援してくれてありがとう!」
『っ』
ツバサはそう言ってピッコルに笑みを向け、それにドキリとするピッコル。
「何時でも、ライブを観に来てくれて良いからね!」
「待ってるぞ!」
ツバサに続くようにあんじゅや英玲奈もそう言うと、ピッコルは「はい!!」と嬉しそうに頷くのだった。
それを受け、今度こそ帰ろうとするピッコルだが、「ちょっと待って!!」と穂乃果から呼び止められ、ピタリと立ち止まる。
「ねえ! 折角だから私達のライブも観ていかない?」
『えっ』
突然の穂乃果の提案に、海未達は「えぇ!?」と驚きの声をあげる。
「ちょっと正気!? アイツあんたに襲いかかろうとしてたのよ!?」
「でも、反省してくれたんでしょ? このまま帰るのもなんか勿体ないしさ! ねっ? どうかな?」
にこは穂乃果に対して正気を疑ったが、穂乃果は本気で言っており、反省してくれたのだから問題ないと言い放ったのだ。
だが、これにはピッコルも動揺しているようで、ピッコルは視線をオーブに向ける。
『迷惑かけた礼に見てけよ』
『分かり、ました・・・・・・。 そういうことなら』
オーブにもそう言われて、ピッコルは等身大になってUTXの屋上に行くと、他の生徒達などから若干警戒されつつも、受け入れられる。
また、それを見たオーブはカラータイマーが既に激しく点滅しているのもあり、空へと飛び立つのだった。
「あっ、オーブにもライブ見て欲しかったな〜」
「仕方ないですよ、オーブには時間制限があるっぽいですし」
凛はどうせならオーブにもライブを見て欲しかったとボヤくが、海未はオーブには3分の時間制限があるから仕方がないと割り切る。
その後、遅れてこっそりと紅葉が戻って来たのだが、穂乃果には気付かれてしまい、「一体どこに行ってたの!?」と怒りながら彼の元に駆け寄ってきたのだ。
「あっ、いや・・・・・・すまん。 腹壊してちょっとトイレに・・・・・・」
「あんな大変な自体だったと言うのに・・・・・・紅葉は全く・・・・・・」
そんな紅葉に対し、海未も呆れたような声を出すと、紅葉は縮こまってしまい、「本当にすまなかった」と深く頭を下げて反省するのだった。
「お兄ちゃん」
「んっ?」
すると、そんな紅葉に不意に穂乃果が話しかけてきたのだ。
「私、頑張るから!」
「おう! 行って来い!!」
笑顔を浮かべながら、穂乃果が紅葉に向けてそう言うと、彼女は海未達の待つステージへと上がっていく。
そして、騒動も収まったということもあり今度こそ穂乃果達は全員がライブステージに上がると、ライブが始まる。
彼女達が歌う曲は・・・・・・「ユメノトビラ」
ライブを終えると、ピッコルは「凄い」と素直な感想を述べ、穂乃果は肩で息をしながら、紅葉の視線が合い、「イェイ」とVサイン。
「ほらな、やっぱり凄いじゃん、みんな・・・・・・」
それに対し、紅葉もグッとサムズアップするのだった。
エース兄さんの言葉を言わせるなら、スラッガーエースを出そうかと思いましたけど(現に一度は戦闘シーン書いた)倒すべき相手ではないということでフルムーンザナディウムに変更しました。
ピッコルの設定は設定集の方に。