後悔はしていないが、公開はしようと思う。
――いったい何処で道を間違えてしまったのだろうか。
「悪魔って、信じるか?」
「止めてくださいっ!」
「喧嘩両成敗、と」
――気が付けば赤ん坊となっていた。
付けられた名前は言峰綺礼。
ならば偽峰とでもなるのか、俺は。
「
「大丈夫です、私が助けます。――
「命に貴賎は無い――というのは嘘だろうな。ここに、生きる価値の無い
あの日々はどんなものだったか。記憶はある。記録もある。
思い出すことはとても簡単で、だからこそか、忌まわしく感ぜられるのは。
「はいはーい! 私だよ私ー! 覚えてるよね、前に会ったのそんな昔じゃないし」
「訊くぞ、主の慈悲は必要か? 過去を振り返って考えてみるんだな」
「こっちへ来るな! このリア充風情が――!!」
俺はあの言峰綺礼ではない。
ただの同姓同名の、どこかでキャラを間違ってしまった、一人の俺である。
威厳のある神父を目指そうとして、軽薄な男子高校生に目指し損ねた。
そしてなぜだか屈強になっていて寡黙になっていて、あまつさえ中途半端な減らず口を叩く、武闘派元エクソシスト兼神父見習いになっていた。
カオス乙。
「ああ、貴方はいつも素晴らしい。会う度に会う度に尊敬してしまう」
「よくもそこまで練り上げたものだ。しかし、惜しむらくはその脆弱さか」
「愉快だよ! 賛辞を送ろう、断言してやる! 貴様はヒトを辞めるべきだとな――!」
毎度毎度どうして俺はここにいるのだろうと思ってしまう。
気がつけば「お前も当然行くよな?」的な雰囲気で断りづらい。
まあ、なんだかんだで嫌ではないから良いか。内心では辟易しつつも、実は楽しんでいるのだろうか? ・・・うん、きっと、そうなのだろう。
どうしても避けられない危機に瀕しても、前世の時みたいに惨めにうずくまったりしないのだから。
それどころか、立ち向かうくらいだし。成長したなぁ・・・、俺。つくづく痛感。
それに、そうであってほしいと思うのだ。
なぜならこの時を、いつまでもいつまでも過ごすことができるのだろうから。
「あぁ、テメェはいつもいつもそうだよな。平気な振りをしてんじゃねえ、
「くだらんな。それで? 今の秩序を壊したとしてはたしてどうなる? 更なる災禍を生むだけだろう」
「憎いんだよ! この今が!! この秩序が!!! ――だけどな、やっぱ一番テメエが憎い」
「ああ、そうか、そうか。これが、こんなもので――ようやく、私は」
――――――壊れていく。
壊してしまいたい。
蛇が脱皮をするように、それまでの自分がどんなものであったかを、それをまざまざと壊れる瞬間の鏡で見せられた。
なんて悪趣味。
いっそ、壊れてしまった鏡で見せてくれれば良かったのに。
「――死が生に勝るなどまやかしだ」
「――その程度などで俺が負けるか」
「――友人になるためにここに来た」
そうすれば、鏡の中を見ずに済んだ。
済んで、きっと、何事も無かったのだ。
だけど、あの言葉を聞くことも無かっただろう。
だから、だろうか。
無事と有事、心の天秤にかけてみようとは思えなかった。