妄想が暴走し爆発した短編集   作:鈴北岳

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旧外道神父.6

 はい、どーもどーもー。

 

 言峰綺礼に転生してしまった転生者でーっす(テヘッ☆

 

 ……うん、ごめん。調子に乗りすぎましたすいませんなにもしないで。

 

 それはさておき、これより、俺こと言峰綺礼が高校へ入学するまで、入学してからの裏の事情をつらつらと書き殴っていこうかと。

 

 裏の事情ってゆーより、エクソシスト活動報告みたいな? もしくは言峰活動報告? ほら、俺ってばエクソシストだから。

 

 どうでもいいけど。

 

 にしてもさー、聞いてよ奥さん。

 

 この言峰ボディ。あまり意識しないで言動すると、言峰が取り得るであろう言動を取る。そして、俺自身の言動が取りにくい。

 

 まあ、別にいいんだけども。結構楽だし。それになんつーかさ、顔の表情が変わりにくいって便利だね。ハッタリかましやすいし、相手を楽に威圧できるし。相手が勝手に勘違いして自爆してくれるし。

 

 ……あれ? なんか無表情が活躍したところって全部戦場……。

 

 ……ま、まあ、気のせい……――じゃねえよ。

 

 思いっきり戦場でしか役に立ってねえじゃねえか。

 

 ……思い返せば、ここ数年。戦場のことしか印象に残ってねえ……。

 

 俺は聖剣使いではない。一応、レアな神器持ちではあるけども、あくまでただレアな神器。効果は魔力を溜め込むという、他のマジックアイテムでも代用できる効果だしな……。

 

 需要は低いですのよ。

 

 俺の需要は高いけどな!

 

 そのせいで中学校の長期休みはほとんど戦場行きだ! ……あの人に会えたのは嬉しかったけどなぁ。やっぱあの人はカッコいい。

 

 あの人や教会の人、俺のお父様曰く、俺は地の戦闘能力に関しては天才の域らしい。

 

 まあ、そりゃ前世の記憶持ちで、言峰ボディですから。

 

 あ、ちなみに俺のお父様の名前は言峰璃正。元エクソシストで、八極拳の達人。俺の八極拳、及び、エクソシストの戦闘訓練の師匠。地力はかなり強い。

 

 ただ、そんな俺もお父様も、聖剣使いには及ばない。

 

 エクソシストにおいて、聖剣使いか強力な神器持ち以外は、少々扱いが悪い。窮地に陥った時、真っ先に捨て駒役に選ばれる。まあ、それは当たり前だが。

 

 ただ、選民意識が強いのか、一部の聖剣持ちが、能力の低い奴らに対して偉そうにするのはいただけない。

 

 正々堂々不意打って叩き潰したけど。というか不意打ちでなきゃ倒せない。正攻法は不可能。

 

 そのせいで不名誉なあだ名がついた。陰険天邪鬼。

 

 噂ばっかりは叩き潰せない。それを聞いた幼馴染な同僚には大爆笑された。なぜか俺を尊敬している同僚は同情してくれた。幼馴染のほうは今度会ったら模擬戦で、なにもさせずにすぐにぶっ倒してやろう。同情した同僚とは普通に模擬戦しよう。

 

 ……さて、そろそろ俺の持つ神器についてお話しようか。

 

 こうやって転生した時は神器は無さそうだとか思ったけど、ばっちりあった。中途半端に使える神器だった。

 

 神器の名前は〝聖杯の聖痕(スティグマエングレイヴァー)〟。かなりレアな神器で、汎用性は高いが、それだけなんだよなー……。

 

 この神器の能力は周囲に漂う魔力を溜め込み、その溜め込んだものを刻印として所有者の体に刻む。そしてその刻印は、魔力の代わりとなる。ぶっちゃければFateの令呪。デザインは言峰ver。

 

 ただ、その刻印の譲渡はできない。いや、譲渡できるにはできるのだが、それにはマイナーで結構高度な技術が要る。俺は持ってるけど。ただ、習得したのは最近。

 

 まあ、ここまではまだまだ有用な神器だとは思える。ただこの神器、決定的な欠陥がある。

 

 

 一つの刻印作るのに一年かかりやがるのだ。

 

 

 その分、一つにこめられた魔力量は目を見張るものがあるが……。ぶっちゃけ使い時を間違えたらヤバイ。

 

 虎の子過ぎるにも程がある。

 

 ちなみに、今持っている刻印は十二個。そして俺の年齢は十七。一回命の危機があって、そこから生還するのに四個必要なんだぜ……? どれだけこの神器が微妙かおわかりだろう。

 

 ……いや、あの時はマジで死ぬかと思った。マジで。

 

 以上が俺の神器の説明。なに? 説明だけじゃなく愚痴もあった? 気にすんな。俺は気にしない。お前は気にすんな。

 

 ……うわ、思い出しちまったよ。死に掛けた時の事。あれはマジでやばかった。……気分悪い。

 

 ……泰山行くか。麻婆食いに。

 

 あ、泰山と言えば、最近木場達と行ったか。小猫ちゃん、杏仁豆腐食べてるとき可愛かったなぁ……。お菓子食べてる時もそうだけど。

 

 そういや、木場が泰山麻婆食った時、「こんやはこんなにも つきが、きれい――――だ―――――」とか言って倒れたな。その時のあわあわしてた小猫ちゃん可愛かった。

 

 木場の声的にはあってるけど、ここに元ネタは無いんだけどなぁ……。どこからあの台詞思いついたんだろ?

 

 いや、しかし、あの時は焦った。いきなり姫島先輩は、俺の唇を人差し指で触るんだもんな。その上、姫島先輩の情報源が小猫ちゃんだったしなー。

 

 小猫ちゃんは無口だから、そこから漏れるとはまったく思わなかったんだけど。っつか木場にならばれても大丈夫なんだが、姫島先輩にばれるとなるとな……。お菓子作り。

 

 なんかそれをネタにされて、弄られそうだ。まあ、ともかく、俺にとって姫島先輩との邂逅は、かなり恥ずかしかった。黒歴史認定だ。

 

 兵藤一誠。

 

 原作通り、やっぱり殺されたな……。安心しろ、骨はまだ拾えないし、グレモリー先輩に電話しといたから。

 

 しかしびっくりした。グレモリー先輩に電話していたら、通話時間が過ぎていきなり切れたんだもんな、あれは。恨むなよリアス・グレモリー。というか変声機を使ってるから、正体ばれてないし、恨まれようが無いか。秘密にするように釘も刺しておいた。

 

「……ふぅ…………」

 

 教会内の自室。そこで俺は椅子に深く腰掛けている。うむ、やはり高級品。座り心地は良い。

 

 石造りの古式な部屋。冬は暖房をつけないと寒くて厳しい部屋。その部屋の窓から、外を見る。日はもう沈んでいて、闇に沈んでいる。星などは見えない。

 

 ………………。ああもう。

 

 気分は、最悪だ。畜生。

 

 こういうときくらい、星が見えても天罰はくだらんだろうに……。どうして見えない。

 

 ……俺は、友人を見殺しにした。

 

 信じられない悪徳だ。神に仕えるものとして、これ以上無い悪徳だ。たとえ、それを実行したのが、堕ちた神の使いだとしても。……いや、堕ちた神の使いだからこそか?

 

 ――天井を見上げる。

 

 そこにあるのは現代的な蛍光灯。中世的なこの部屋にはそぐわないものだ。そう思って、自嘲する。自分に向けて嘲笑を漏らす。

 

「……しがらみとは厄介なものだ」

 

 俺が代行者でなければ、教会関係者でなければ助けることができた。俺の地位が、あいつらよりも高かったのなら止める事ができた……かもしれない。――しかし生憎と、俺は教会の代行者。そして人間であり、堕天使や天使より高い地位に就くことができるわけがない。

 

 なにせ教会の聖書に記された神の使い。その存在を役職等で人間より下におくことは到底できない。

 

 ――――教会には、大きく分けて二つの陣営が存在する。天使側の陣営『熾天使(セラフ)』と、堕天使側の陣営である『神の子を見張る者(グリゴリ)』。その両方は人間のエクソシストにとって、上司に当たる。

 

 ……せめて、神器保持者の危険かどうかの見極めが、全員の仕事ではなく、人間達の仕事であればこのようなことは無かったのに。

 

 机の引き出しを開けて、手帳を取る。

 

 百均で売っているような安物の、紙製の手帳。これには数年前の俺が記した原作知識が断片的に記されている。傍から見れば、子供の落書きでしかない手帳だ。

 

 書かれているのは、おおまかなストーリーの内容と、どんな感じのやつがどんな感じの能力を使うとか、そういう情報。俺が生まれて書くまでに、五年程の歳月が流れたから結構あやふやだ。その間、色々と衝撃的な出来事があったために、名称はほとんど忘れてしまった。パッと思いつくのは…………、……乳龍帝だよ、畜生。

 

 ……まあ、あやふやで詳しいことがわからないという問題は、俺の役職で解決できた。

 

 俺は、人間とそれ以外の知的生命体の力量差はこの身を以って知っている。どのような技術があるのかもまた、知っている。これでこの手帳の知識も合わされば、誰がどのような技術を使うかが大まかだがわかる。それさえわかればよほどのことが無い限り、勝てる状況を作る事はできるだろう。

 

 そしてストーリーの方も、ある程度俺の役職による特権でカバーできるだろう。俺がいることでどのようなことが起きるかは解らないが……。

 

 魔女と呼ばれる聖女の情報は手に入れた。彼女の上司となる人物の情報もだ。更にはあの馬鹿もいるようだが……。……やたらめったらに殺さないよう、忠告したんだがなぁ……。……しても無駄か、あいつには。

 

 瞑目する。

 

 なんとかして手に入れた亜空間には、なんとかして手に入れた武器がある。前の任務で消費した分も補充した。

 

 おそらく、一年ぶりの格上相手との対戦になるか。できれば、不意打ちの一つで終わらせたいんだけどなぁ……。

 

 ……一応、すぐに助っ人を呼べるようにしておくか。

 

 椅子から立ち上がり、窓の扉と部屋の扉を閉める。そしてその扉に細工した限定礼装に魔力を流して、防音の魔術を起動させる。

 

 これから電話する人とのつながりがあることを知られては色々面倒だ。

 

 時に唐突だが、一つ話を。

 

 ――――――魔術師は存在する。

 

 この世界では神様やら悪魔やら天使やら堕天使やらが大きな勢力となっている。その大きな勢力に隠れるようにして、また小さな勢力も存在する。それは妖怪だったり仏教徒だったりするのだが。

 

 その小さな勢力の一つに、魔術師がある。……とはいっても、他の勢力のせいで、ほとんど存在しないのだが。一つの国に三家あれば多いくらいだ。

 

 その魔術師達は、全ての物事の原因――世界の根源を探求する学者がほとんどだ。その過程で魔術の実用化はされるが、魔術の実用化そのものを目指す魔術師はいない。

 

 また、魔術師に似たような存在もある。それは魔法使い。魔法使いは他の大きな勢力の傘下に存在するため、魔術師より多く存在する。

 

 魔法使いは他の大きな勢力の傘下に存在する性質上、戦闘に特化している。そのために、大魔術師マーリンによって実用化された魔法を使用する。

 

 魔術師と魔法使いの違いといえば、根源を目指すか目指さないか。ということともう一つ。どのような手段を使って、超常の現象を起こすか。この二つだろう。詳しいことは追々。

 

 話を戻そう。

 

 俺にはその魔術師にコネがある。

 

 今から電話をかける相手はその魔術師の――――はぐれ者の魔術使い。過去、俺が行った戦場で出会った殺し屋。今ではもうすっかり丸くなり、引退した殺し屋の魔術使い。

 

 活動を見れば、魔法使いのようなのだが……その人は魔法使いとは呼びづらい。

 

 腕は少し衰えているだろうが、まだ現役で働けるだろう。無理っぽいならばせめて、知恵とコネを利用させてもらおう。

 

 電話をかけ、呼び出し音を聞く。

 

「…………もしもし。言峰綺礼だ」

 

 五秒も経たないうちに目的の人物は電話に出た。

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