晴天広がる帝都の空
雲はなくその青さをいかんなく発揮していた。
その青さは今我々が渦中にあることを忘れさせてくれるかの如く青さであった。
戦争ということを
憎しみの連鎖が起こす無を
平和を切り取ったの如く空は
全てを包容していたのかもしれない。
————人々が夢から覚め活動期に入り時間が程よくたった午前10時。帝都渋谷区のとある駅前の一角。白銀の長髪を棚引かせながら誰かを待つ少女が一人。見た目の年齢から察するに高校生か大学生…女性として実を成した体躯はまるで人形の様に整った造形であった。服装は半袖ロングスカートの白いワンピースをベースにやや少しばかり胸元を開かせた黒いフリル付き、ノースリーブの上着を羽織り、やや鍔が長い白帽子を被っていた。その服装たるや自らが持つその四肢の価値を極限までに引き上げ、見る者全てを虜にするかのような美しさであった。事実道往く人々は服を見るや否や即座に彼女の方向に誘導されたほどである。そして被る帽子は彼女が隠れ持つ妖艶さをヒシに感じさせるように鼻まで鍔で隠れるようになっており、時折ちらつかせる口は惹きつける魔性何かであった。
「はあ…提督はまだかしら…」
まだ約束の時間ではない。しかしながら彼女はその前に此処に来ていた。それは今日が非常に特別なものであるからだ。それは誰にも言えないほどの重要さを誇るほどの。
そんなときである。
「は…は…おーい!」
誰に向かっていったのかわからない叫び声が響く。人の波が形成されたこんな海の中ではただの騒めきであるがその言葉は彼女にとっては非常に重要な救難信号であった。その発生場所に顔を向ける。そこにいたのはボサボサ髪の男が一人。
連鎖反応かの如く、彼女は彼を見た時精神は最高潮の興奮へ達した。
しかし、彼女は内なる興奮を抑える。
「提督、遅いですよ!」
「あはは、ごめんごめん。加賀とか振り切るのに手間取ってさ。アイツどこに行くんですかの一点張りでね。寮入り口でカバディする羽目になったよ」
「もう…バレてませんよね?」
「ああ、モチロン!」
「本当ですか?」
「ほ、本当だよ!」
「じー」
「いや。本当だからね!!」
「なんだがその言葉信用できないんですよね…」
「ちょ…ちょっと!!さりげなくそれ言う?!その言葉結構心に刺さったよ!?」
「思いましたがメンタル弱いですね提督。」
「追い打ちやめてえええええええええええええええええええええええええ」
「ふふ、大袈裟ですねぇ…嘘ですよ提督。そんなこと言う訳ないじゃですか。」
「え?」
「だって私の提督はみんなの為に一生懸命周りの業務をこなしいつも私たちの為に動いている。誰よりも働いている姿は私たちにとってただ煌々と輝く太陽のような存在…そんな人に悪口なんて言えるもんですか。」
「でもさっき…」
「冗談ですよ提督。冗談を言われ真に受けてるようではみんなの心配が付きませんよ!」
「みんな過保護過ぎない??加賀に然り、翔鶴に然り。」
「気のせいですよ!!!もう!行きますよ提督!!」
そういうと翔鶴はその白く小さな手を提督の傷だらけの一回りも二回りも大きい手を握ると彼を引っ張った。
その力は軽かった。が、しかしその手に何か引き寄せられるものがあった。
「え…ちょ…」
「さ、行きますよ!提督!」
そういうと人集まる繁華街に歩を向けた