私は天使なんかじゃない   作:月詠ウサギ

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復讐の系譜

 

  受け継がれる、復讐の系譜。

 

 

 

 

 

  ズリ。ズリ。ズリ。

 

  何かを引き摺るような音を立てながら、音がこちらに向かってくる。

  ミス・グラマラスは後ろも見ずに逃走。

  まあ、いい。

  何だか知らないけどあの女には用がない。

  「化け物、ね」

  44マグナムを構える。

  音の主はまだ姿を現していない。

  市長のバルトの立ち位置がよく分からんけど、私らをポイントルックアウトから逃がさないようにしているのは分かった。元々そのつもりだったのか、オバディア・ブラックホールが

  スワンプフォークをけし掛けて街が立ち行かなくなったから自棄になって道連れ欲しさにやってるのかは知らないけど、敵として認識しよう。

  ヴァン・グラフを使って私を消すつもりだったようだけど、当てになりそうもないから化け物を解き放った?

  かもね。

  少なくともさっきの女の言葉から察するに、ヴァン・グラフは化け物の存在を知らなかったようだし。

  まあいいさ。

  排除するまでだ。

 

  ズリ。ズリ。ズリ。

  

  体を引き摺りながら角を曲がり、私の前に姿を現したのは蠢く肉塊だった。

  この世の創造主が悪戯半分に作ったような造形。

  ケンタウロスだ。

  ……。

  ……これが、化け物?

  まあ、見た目は完全に醜悪な化け物だ。

  何人かの人間をミックスし、捻じくれた無数の手が足の代わりとなっている舌が触手のように蠢いている化け物。ただし化け物なのは外観だけ、実際には見かけ倒し。

  ビッグタウンでスーパーミュータントがかき集めてけし掛けてきたけど、雑魚雑魚でした。

  スパミュの番犬程度の認識。

  あー、今更ながらスパミュって略は楽でいいな。ここで知った楽な単語。いやまあ、それはいいか。ともかくケンタウロスは雑魚です。

  西海岸にはいないのかな?

  ヴァン・グラフはこんなのにびびってるのか?

  うーん。

  理解に苦しむ。

  口からヘドロを吐きだそうと息を大きく飲み込む。放射能を帯びたゲロです。浴びるつもりもないしモーションを見るつもりもない、キモイし。

  44マグナムを一発頭に叩き込む。

  頭が爆ぜた。

  終了~。

  「相変わらず弱いなぁ」

  当時の私のレベルからしても弱いと感じてたケンタウロスなわけだから、今の私からしたら雑魚雑魚だ。

  あれ?

  その時、ふと違和感に気付く。

  ケンタウロスがいる?

  こいつらってスパミュの失敗作だ。つまりFEVウイルスに耐え切れず肉体が崩壊、出来損ないであるケンタウロスになったわけだ。

  「FEVがここにある?」

  まさかわざわざケンタウロスをキャピタルからここまで運ばないだろ、そんなメリットはない。

  だとするとこの地でその類の実験が?

  あの女が言ってた化け物ってその関連?

  まずい。

  まずいですよ、これ、滅茶苦茶厄介そうだ。

  「はあ」

  ため息。

  面倒な展開になってきてる。

  はっきり言ってスワンプフォークなんてこの厄介に比べたら触り程度の展開。そしてその類の実験を行っているのであれば昨日今日の話じゃない。バルト1人でできる展開でもない。あの

  おっさんの立ち位置不明だから何とも言えないけど強力な背後がいるのか。

  嫌だなぁ。

  銃声がそこら中からし始めているのに気付く。

  ケンタウロスが徘徊し始めたのかな、うちの仲間が応戦しているにしては銃声の数が多い。バルト、ヴァン・グラフ見限ったかなむ。それか、まあ、元々使い捨てだったのか。

  私は建物の一つに入る。

  中は滅茶苦茶。

  スワンプフォークが爆発物を投げ込んだからだ。

  階段は何とか原形を保っている。この街の建物はすべて一階建て。つまり階段は屋上へと通じてる。屋上っていうと高いイメージあるな、じゃあ、屋根の上。大差ないかな、まあ、響きの問題だ。

  屋根の上へと通じる扉を開いて私は屋根の上に。

  周囲を見渡す。

  ビンゴ。

  すぐ近くの屋上にヴァン・グラフの手下が路上に向けてアサルトライフルを撃ってた。

  数は2人。

 

  「これがいいのかっ! 弾が欲しいんだろ、これがいいのかっ!」

  「何だってケンタウロスがこんなとこにっ!」

 

  こちらに気付いてはいないようだ。

  ただセリフから推測すると西海岸にもケンタウロスはいるらしい。じゃあミス・グラマラスが言ってた化け物は別物か。

  嫌だなぁ。

  今のところ視界に入るのはこいつらだけ。

  他のヴァン・グラフは通りで戦ってたりするのかな。銃声の数とか考えたらまだまだいそうだ。

  まあいい。

  とりあえず情報源だ。

  「ハイ」

  「ポイントゲットーっ!」

  バリバリバリ。

  声掛けたらいきなり乱射してくる。完全にレイダーだろ、こいつら。階段下りて階下に引っ込む。その場で待機。足音が近付き、数秒後に階下を覗き込む愚か者ハケーンっ!

 

  ドン。

 

  44マグナムを心臓に叩き込むとごろごろと転がり落ちてきた。

  馬鹿だろ、こいつ。

  馬鹿にアサルトライフルは必要ない。

  武器を奪い屋上に。

  大量の弾丸が姿を現した私に向かって飛んでくるものの全て回避。と同時に私は低く掃射。ヴァン・グラフその②は足を撃ち抜かれてその場にひっくり返った。

  足を抱えてひぃひぃ泣いている。

  へたれめ。

  殺しにかかってくるならその程度で泣くな。泣くぐらいなら大人しくしとけよ。まったく。

  スタスタと私は近づく。

  ガチャガチャ。手にしているアサルトライフルを弄りながら近づくも装弾ができない。弾詰まりか。ちっ、使えん。捨てる。

  「少しお話しましようか」

  「あ、赤毛、赤毛さんでしたか、へへへ、最高のポイント対象に手を出すなんて馬鹿ですよね、俺」

  若そうな男。

  私よりは年上みたいだけど。

  落ちているそいつのアサルトライフルを取り上げ、眼下を見る。おーおー、ケンタウロスが徘徊してますね。スワンプフォークもあれだけど、ケンタウロスも美醜的にはきついものがある。

  バリバリバリーと掃射。

  とりあえず数体を穴だらけにする。視認されてヘドロを投げられる前に私は後ろに引き、向こうから見えなくした。まあ、ケンタウロスはどうでもいい。とりあえず数減らしただけ。

  マガジンが空になったから銃を捨てた。

  さてさて。

  「あれは何?」

  「ケ、ケンタウロスですけど、東海岸ではレアだから見たことないとか?」

  「数百単位で見たからレアではないかな」

  「数百っ! 西海岸では核の爆心地あたりでしか見ないレアものなんですけど……」

  「ふぅん」

  向こうでは放射能の影響で生まれる別物?

  まあいいや。

  生態はどうでもいい。

  「あ、あの、スティムパック持ってませんか?」

  「ないわね」

  足穴だらけだけど、まあ、死ぬことはないだろ。すぐにはね。とりあえず止血はしてあげた。

  何で?

  まあ、何となく。

  温情あると見せかけた方が話引き出しやすいだろうし。もっともこいつがどこまで知ってるかだけど。

  「グラッツェはどこ?」

  親玉の居場所を聞いてみる。

  「ボ、ボスは市民銀行にいたはずですけど」

  「あんたはここで何を? ポイントとかって何?」

  「えっと……」

  グリ。

  足を踏む。

  男は半泣きになった。へたれですね。

  「あ、遊びです、ポイント競って楽しもうって……っ!」

  「人狩りをして?」

  「そ、そうです、街に戻ってきた奴ら殺して……痛い、痛いですからっ!」

  「市長の差し金?」

  「ボスからはそう聞いてます目につく奴ら全部殺せってっ!」

  「あいつは何?」

  「知りませんっ!」

  「私を殺したそうなのかは知らないけど……戻って武器回収したらって勧められた。殺す気なのよね?」

  「マジ知らないんですっ!」

 

  ぶしゃあー。

 

  梨汁ではあらず。

  突然弧を描いて何かが降ってきた。私らには当たらなかったけど。路上からだ。見るまでもない、ケンタウロスが当てずっぽうでヘドロ飛ばしてきたんだろ。

  面倒くさいなぁ。

  44マグナムを手に下を覗き込む。

  隠れてたら当てずっぽうで飛ばされても当らないとは思うけど万が一に当たったら痛い……のかは知らないけど、キモイ。あんなの浴びるつもりはない。

  路上にはケンタウロスが8体。

  そのうちの1体は長い舌でヴァン・グラフのメンバーの1人の首を絞め、引き寄せている。抵抗するヴァン・グラフだけど舌の力が強くて振りほどけない。ケンタウロスは口を

  大きく開き、まるで顎が外れたような大口に。そしてそのままヴァン・グラフの頭を銜え込んだ。むしゃむしゃ。

  うっわ。

  エグいなぁ。

  エグい殺し方するんだな、あの肉塊。

  「こんのぉーっ!」

  44マグナムを連打。

  肉塊を全て沈黙させる。

  状況終了。

  さて、尋問に……。

  「何だあいつ」

  どすどすと音を立てて路上をこちらに向かって歩いてくる。スパミュ?

  そいつは灰色の肌のスキンヘッドで緑色のコートを着てる。武器は持っていないようだ。私を視認したらしく、路上から見上げるようにこちらを見ている。視線が交差する。

  えっと、どこの量産型タイラントですか(汗)

  化け物ってこいつか?

  後ろで痛みで悲鳴あげてるヴァン・グラフ曰くケンタウロスは向こうではレア(少なくともキャピタルよりは稀な存在らしい)だけど全く見たことない存在でもなく。となるとミス・グラマラス

  が化け物発言していたのはケンタウロスではないことになる。化け物ってこのコートのスキンヘッドスパミュか?

  再びどすどすと歩き出す。

  こちらに向かって。

  素早く残りの全弾を体に叩き込んだ。接近される前に仕留めようってわけ。死んどけ。

  「げっ」

  大男、微動だにせず歩いてる。

  血痕はまるでない。

  あのコート、防弾仕様か。

  弾丸を頭に叩き込むべきだった。

  空の薬莢を捨てて再装填。しかしその間に大男は視界から消えた。建物に入ったのだ、私が入った建物に。やばいあいつ上がってくるっ!

  銃を階段のある方に向ける。

  しばらくの沈黙の間に大男の頭が現れた。

  躊躇わず引き金を引く。

 

  ドン。ドン。ドン。ドン。ドン。ドン。

 

  6連発っ!

  さすがに頭は痛いのだろう、男はよろけるも巨体が次第に屋上に現れる。平然と階段を上ってる。そして全体像が現れた。

  でかいな。

  私の頭の3個分はでかい。そして横幅もある、筋肉もりもりそうだ。

  ヴァン・グラフが小さな悲鳴を上げる。大男は静かにこちらに向かってくる。走らない、歩いてくる。

  どうする?

  迎え撃つか、それとも……。

  ちらりと下を見る。

  一階分の高さだ。大して高くない。骨を折ることはないだろう。

  私は飛び降りる。

  あんなの相手してられるか。

  ヴァン・グラフの悲鳴と何かが砕ける音が聞こえた気がするけど私は後ろを見ずに走り去った。マグナム受けて動いてるんだ、まともに相手は出来ない。

  ケンタウロスがいるんだからここにはFEVウイルスがあるのだろう。

  だとするとあれはスパミュか。

  PIPBOY3000のクリーチャーデータが何の反応を示さないのを見ると登録されていない新種なのか、もしくはここでのみ作られたスパミュの亜種か。

  まあいい。

  まともに相手なんかしてられない。

  私はとりあえず市民銀行目指す。完全装備しないとやってられない。

  走る。

  ずりずりと歩き、うねうねと舌を動かすケンタウロスが途中目に入る。大して動きは早くないから走り抜けてやり過ごそうとも思ったけど、防御的にも耐久力的にも脆いので瞬殺。

  弾丸1発叩き込めば即死亡。やり過ごした挙句、何らかの形で出合い頭に頭から食べられたくはないので後顧の憂いを断つためにも殲滅。

  差別発言かもだけどあの存在に生きている意味はないだろ。

  迷わず始末。

  私としてはヴァン・グラフやスワンプフォーク、フェラルが大挙して襲ってくるよりも楽だ。街にケンタウロスが溢れている現状はやり易い。

  そうこうしているうちに市民銀行に到達。

  扉は開け放たれ、周囲にはヴァン・グラフ数名が撲殺されている。

  決定ですね、化け物とはさっきのスパミュの亜種だ。

  あいつが市民銀行の地下か奥から出てきて無双した結果だろう。

  銃を構えて中に入る。

  中には誰もいない。少なくとも生きているのは、ね。ケンタウロスは街中に出払っているようでここには残っていない。

  「変な死に方」

  街に来た当初市長が出迎えたカウンターにはヴァン・グラフ・ファミリーのこの支部のボスであるグラッツェが正座して死んでた。本当に変な死に方だ。

  死体の側にはアサルトライフルが置いてあった。

  グレネードランチャー付き。

  私のだ。

  グレネード弾とマガジンも置いてある。

  ふぅん。

  なかなか気の利いてる。準備してくれてたってわけね。44マグナムをホルスターに戻して武器をゲット、これで完全装備だ。

  カウンターを越えて奥の扉を開ける。

  ここから先は初めてだ。

  視界に飛び込んでくるもの。

  それは……。

  「この扉って」

  思わず絶句。

  あったのは丸型の大きな金庫の扉ってわけではなく、それは歯車状の扉だった。

  見知った扉の形状。

  扉に通常あるナンバリングは記されていないけどこれはボルトの扉だ。

  一気にきな臭くなってきたぞ。

  市長のバルトは何者だ?

  当然あいつがここを管理していたんだ、そしてあのケンタウロスとスパミュの亜種、全て総合して考えるとあいつはただの小悪党ではあるまい。

  ボルトテックの残党か、それとも……。

 

  ビービービー。

 

  突然警告音が鳴り響く、そして歯車の形をしたボルトの扉が開いた。

  来いってことか?

  仲間は誰もいないけど飛び込むべきか、迷うとこだ。

  慢心はしてない。

  ただ仲間と合流する前にさっきのスパミュの亜種が追ってくる可能性がある。私としては誘い主を始末してからの方が展開としてはやり易い。

  ならば。

  「行くか」

  アサルトライフルを構えながら私は扉の中に入る。

  途端、警告音同時に再び扉が閉じた。

  閉じ込められた?

  まあ、みたいね。

  ただこれで援軍も遮られるけどあのスパミュ亜種もこれなくなった。先回りしてるってことはあるまいよ。脱出する際にはハッキングして開けるまでだ。

  もう素人じゃない、やれる。

  無機質のボルトの通路を歩く。通路は下に下にと伸びている。行きは下り坂だからいいけど帰りは上り坂、それはちと面倒かもなと考えながら進む。当然このナンバリング不明の

  ボルトはソドムの街が整備される前からあったはず。そう、市長が来る前から。あいつはそれを知ったうえで街を整備して発展させた。

  何がしたいのだろう?

  ただ、推測は出来る。

  バルトは発信機で住民を監視してた、そしてケンタウロスは人間にFEVを注入した結果の存在だ。

  総合するとここは資金集め&モルモット養殖場&FEV実験場ってことか?

  しかし何故だ?

  何で今になってこんな暴走的なことをしてるんだ?

  スワンプフォークに街がめちゃくちゃにされたから切れてるのか?

  まあいい。

  直接聞くとしよう。

  このボルトは居住用を兼ねていないらしい、研究施設のみのようだ。実に小規模のボルトらしい。終点に到着。拘束用のベッド、何かの設備、そして人が入れるであろう空っぽの円形の筒。

  そして胡散臭い人物とその隣を浮遊するMr.ハンディ型のロボット。

  「やあ旅の人。先回りして待たせてもらったよ」

  「爺さんから私らの分の報酬貰ったお礼言う為に?」

  バルトだ。

  市長のバルトがそこにいた。柄にもなく白衣を着ている胡散臭いチョビ髭親父。

  「ヴァン・グラフを使って君を殺そうとは思ったけどね、気が変わった。やはりこの手で殺すのが筋かなって思った次第だよ」

  「私を殺すにしては、大げさよね。街ごと滅ぼすなんて」

  「オバディアのアホのお蔭で滅茶苦茶になってたからな、方向転換考えたんだが、生き方の転換もありかなって思ってな。ここを引き払うことにした」

  「生き方の転換」

  意味の分からんことを。

  アサルトライフルを連中に向ける。グレネード弾撃てば市長もロボも吹っ飛ぶ。

  厄介払いだ。

  「あんたもしかしてCOS?」

  ありえないとは思うけど。

  少なくともこいつはBOS崩れには見えない。

  「COSだって? この、俺が? 俺はただの脳外科気取りのフェリー乗りだよ。……ああ、やべぇ、言っちまったっ!」

  わざとらしいリアクションだ。

  しかしフェリー乗り?

  別におかしなワードではない、ただ脳外科気取りっていうのが引っ掛かった。

  「まさかフェリー乗りのトバル?」

  「まさかってほどではないだろ。トバルとバルト、簡単な言葉遊びだ。問題は誰もそれを信じなかったってことだがな。考えてもみなかったらしい。まあ、だろうな、普通なら死んでるわけだし」

  「幽霊ってわけでもなさそう。でも、死んだんでしょ?」

  「奇跡を信じるかい?」

  「さあ?」

  はぐらかす。

  時間稼ぎ、相手を苛立たせる、話術も私の武器だ。バルトは首を振って笑った。私の反応は最初から意にも介していないようだ。

  「奇跡ってのはな、偶然の連続なんだよ」

  「ふぅん?」

  「俺はネイディーンを解剖しようとして、奴の雇った傭兵に狙撃されて致命傷を受けた、あの女は俺の尻尾を掴むために囮になったんだな。致命傷受けた俺にあの女と

  シーリーンは銃弾を浴びせ、鎖で巻いて海に捨てやがった。しかし俺は生きていたんだな。そして顔を変え、バルトになったってわけだ」

  「偶然の連続ってレベル?」

  「偶然の連続を理解できないから人はそれを奇跡って呼ぶのさ」

  「でも分からないわね、この街を作る資金はどこから出たの?」

  「ここはカルバート様の拠点の一つなのさ。あのお方にここの運営を任された。そう、お前とデズモンドの馬鹿がボルト87を潰すまではなっ!」

  「カルバート?」

  名前に聞き覚えはない。

  だけどボルト87は知ってる。キャピタル・ウェイストランドにあったスーパーミュータントの製造施設だ。そういえばデズモンドにあいつの名前聞いてなかったような。

  なるほど、カルバートね。

  教授、か。

  ここはあいつの支配地域か。

  本拠地をボルト87に移してたようだけど、ここはあいつの資金稼ぎの場であり実験施設として稼働してたってわけだ。

  「バルト、あんたは教授の手下の生き残りってわけか」

  「面白い表現だな。ああ、その通りだ。あんたがミスティと知った時は殺そうと思ったよ。デリンジャーをヴァン・グラフに紹介したとのも俺さ」

  「サソリも?」

  「そいつは与り知らない。あんた恨み買いすぎなんじゃないか?」

  「ふん」

  「オバディアのアホのお蔭で遠回りしちまったが、まあ、いいさ。ここはもう終わりだ、壊滅的だしな。あいつのお蔭で踏ん切りがついた。あんたを殺して俺は余所に行くよ」

  「最後に教授への恩返しってわけ?」

  「そういうことだ」

  「で? さっきの話に戻るけどCOSではないのよね?」

  「連中はここにデータを取りに来たに過ぎない。カルバート様の蓄積した情報を求めてきたのさ。この地にあるカルバート様の別の施設にいるよ。追い払おうとも思ったけどな、

  別に害はないし利用できるかも思ってね。今のところ役には立ってないが、あー、面白い情報を奴らから拾うことはできたよ」

  「面白い情報?」

  COSは別口の敵ってことか。

  まあいい。

  「ハッ! 喋り過ぎじゃないですかー」

  初めてここでMr.ハンディ型が喋る。

  このタコ、妙なテンションだ。

  「ハッ! Mr.チャンとかいうスパイになりきってるCOSのあのアジア人が怒っちゃいますよー。バラすんですかー、原子力潜水艦の引き上げポイントをー、あー、やべー、バラしちゃったー」

  「喋り過ぎだぞ、ザ・ブレイン」

  嗜めるようで、別にそれほど強く批判していない口調の市長。

  原子力潜水艦?

  「私にばらしてもいいわけ?」

  「構わんだろ。あんたはここで俺の趣味の脳手術を受けるんだからな、なあ、そうだよな?」

 

  バチバチバチィィィィィィィィィィ。

 

  突然体が痺れた。

  背後からだ。

  背後から何か押し付けられた瞬間に痺れた。スタンガンの類かっ!

  その場に崩れる瞬間に私は背後の人物を見た。

  「悪いな。人間の作り方は誰でも知っているが、原子力潜水艦となると話は別だ。テクノロジーの保全が全てだ。世界が灰に沈む前に、確保しなければならないのだよ」

  「ごめんなさいね。COSを出し抜いて世界を護る為なのよ」

  マクグロウとオリンっ!

  くそ。

  まさかここで噛み付いてくるとは……。

  「ザ・ブレイン、患者をベッドに運んでくれ。緊急手術をしなければな」

  「ハッ! アイアイサー。で、COSはどうするのさー? あいつらの獲物こいつらにやるんだろー? まあ、あいつらの本来の目的は別だけどな。やべー、バラしちゃったー」

  「バルト、我々は生臭い手術は見たくない。場所だけ教えてくれ。引き上げる」

  「そうね私たちはお暇しましょう。あの保安官は仕留めたし、サラ・リオンズの足止めは出来たし、退き時よね」

  そして私の意識は飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




教授の手下の生き残り、COS、OCマクグロウ派は利害関係から手を組んでます。ヴァングラフはバルトに見限られましたが。未だ明確な動きのない戦闘部族トライバルもバルトと協定を結んでますし、デリンジャーもバルトとはお仕事関係だったりします。敵が一本化されてきましたな。
今の所謎なのはサソリけしかけたストレンジャーと、その雇い主ぐらいか。
次回は月曜、土日はお休みなのよ。

次話タイトル、夢で逢えたら(=゚ω゚)ノ
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