私は天使なんかじゃない   作:月詠ウサギ

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ジェファーソン記念館

 

 

  皆に新鮮で綺麗な水を。

  それが浄化プロジェクトの趣旨であり概要。

 

  ごく当たり前の事。

  だけどキャピタルウェイストランドではその当たり前の事もままならない状況なのだ。

  それが。

  それが終末の世界の現状。

 

 

 

 

 

  ジェファーソン記念館。

  PIPBOYによるとキャピタルウェイストランド最南端にある場所だ。

  ここでかつて浄化プロジェクトが研究されていた。

  そして。

  そして今現在パパがいるであろう場所。

  私達はリベットシティから一路ジェファーソン記念館を目指した。

 

 

  建物の中は荒廃していた。

  「……」

  私は無言のまま眼でグリン・フィスに合図する。彼は心得たもので剣を抜き放って広大な室内をゆっくりとした足取りで警戒する。クリスはクリスでグールと

  アンドロイドに指示して室内を探索させる。

  探索は数分で終わった。

  「異常ありません」

  「ご苦労様」

  「いえ」

  グリン・フィス、一礼。

  声を発したという事は誰もいないという事なのだろう。カロンとハークネスの方も同様のようだ。

  クリスが私に声を掛ける。

  「どう思う、一兵卒」

  「油断は出来ないけど、とりあえずは力抜いてもいいと思う」

  「よし。……ミスティ、ボクは全身から力抜いたからご褒美のキスして……」

  「……」

  何なんだ。

  何なんだこいつはーっ!

  意味分かんない。

  軍人かと思えばツンデレだしボクっ娘だし同性愛者だし……相変わらずすげぇキャラ性ですねー。

  クリスほど分からない奴も珍しい。

  差別主義者(本人曰く、差別ではなく区別らしい)かと思えばグールのカロン、アンドロイドのハークネスに対して労りがあるし。ただの純血主義者ではない。だ

  からこそ余計に掴み辛い性格なのは確かだ。

  ……。

  ……仲間集めも何かの伏線なのかなぁ。

  うーん。

  カロンにしてもハークネスにしても、少なくとも『私』の仲間ではないのだ。『クリス』の仲間。

  クリスと私が今は仲が良いから敵対はしてないけど、クリスと敵対したら彼らはそのままクリス側に付くのは必至。……まあ、物騒な例えなんだけどさ。

  仲間集め。

  何か意味あるのかな?

  まあいいけど。

  とりあえずは支障がないし。それに憶測であれこれ想定しても、それが必ずしも現実に繋がるわけではないのだ。

  ならば。

  ならば憶測はするだけ無駄。

  さて。

  「一兵卒。気をつけーっ!」

  「何?」

  はぁ。

  キャラの使い分けこいつ微妙……いえいえ、微妙のレベルじゃないな。ともかく、キャラの使い方完全におかしいっ!

  まあ、今さらなんですけどね。

  「クリス。何?」

  「こういう場所が無人というのはおかしいとは思わんか?」

  「思う」

  キャピタルウェイストランドを3日でも過ごした奴なら馬鹿でもおかしい事に気付くだろう。

  こういう丈夫でちゃんとした建物に誰もいない?

  おかしいって。

  普通は『新鮮な肉だーっ!』と力一杯叫ぶレイダーが陣取ってるはずなんだけど……それがいない。

  うーん。

  何故に?

  まあ、ここにパパが向った(今いるかは分からないけど)と聞いているから、もしかしたらパパがここに巣食ってた連中を排除したのかもしれない。

  その時グリン・フィスが囁いた。

  「主。耳を澄ませてください」

  「耳を?」

  「はい」

  「……」

  言われた通りに耳を澄ます。

  何なんだ?

  だけどすぐにその意味が分かった。

  奥から声が聞こえる。

  知ってる声だ。

  パパの声?

  いいえ。

  これはラジオから流れる音声だろう。何故なら声はエデン大統領のものだったからだ。つまり誰かがエンクレイブラジオのチャンネルを聴いているのだろう。

  それは誰?

  それは……。

  「……」

  私は手で合図した。グリン・フィス、音の元に剣を抜いたまま先行。

  クリスもカロンとハークネスを前進させる。

  お互いに頷き合い、私もクリスも続く。

  もちろん銃は抜いている。

  長年放置されていたこのまともな建物に誰もいない方がおかしい。レイダー、スーパーミュータント、化け物に暴走した軍事ロボット。何かがいない方がおか

  しい。もしかしたらパパかもしれないけど……パパだと、いいなぁ。

  進む。

  進む。

  進む。

  次第にエデン大統領の声は大きくなっていく。

  音の元に近付いているのだ。

 

 

  『こちらはこの冷たく不条理な世界に温かさと理性の声を届けるエンクレイブラジオ』

  『ハロー偉大なるアメリカよ。こちらエデン大統領。少し話をしたい』

 

  『平和。秩序。安全への希望を砕く者達が我々人類の同類だと君達は知っていたかね?』

  『この過激な不穏分子達はあなたの事、アメリカの事などどうでもいいと思っている。自分の欲望だけを満たす事だけが目的だ』

  『その扇動者達についてはっきりさせておこう』

 

  『当然、彼らはレイダー。無法者のアナーキストだ』

  『ウェイストランドを徘徊し全てを食い物にし、盗み、殺す。奴らはケダモノだ』

 

  『西海岸から来た偽者のBOSの英雄を気取った戯言やアメリカ軍との見せ掛けの繋がりに騙されてはいけない。この銃火器を装備した世間知らず

  どもは時代遅れの技術を手に入れた公共の敵、犯罪者に過ぎない。エンクレイブこそが真なるアメリカ政府なのだ』

  『彼らは厚かましい犯罪者だ』

  『国内の軍事機密である国防総省を奪い、クラブハウスのように使っているのだ』

  『アメリカ国民よ。騙されるな』

 

  『BOSを捨てアウトキャストの烙印を押された者達は危険だ』

  『放浪しているからこそさらに危険なのだ』

 

  『パラダイスフォールズの奴隷商人はどうだ?』

  『アンダーワールドの大量の放射能にさらされたグール達は危険ではないのか?』

  『自らの欲望の為だけに戦場を拡大するタロン社の傭兵どもの脅威は?』

  『偏った正義を振りかざすレギュレーターの不正義の代償は?』

  『最後になったが醜く変異したスーパーミュータントについて。彼らはダウンタウンDC全体を完全に掌握した。我々人類の明日は?』

 

  『アメリカ国民よ、分かっただろう。君達は決して安全ではないのだ』

  『私達は法の欠如、恐怖、殺戮に囲まれている』

  『それは私も分かっている』

  『だがアメリカ国民よ。こんな事はそう長くは続かない。エンクレイブは、この偉大な国家に平和、秩序、そして繁栄を再び回復させる』

 

  『私達に反対する者は除外する』

  『永遠にだ』

  『エンクレイブが全てを統制するのはそう遠い事ではない。我々は必ずアメリカの大地に戻ってくる。必ずだ。アメリカ国民よ、待っていて欲しい』

 

  『だがアメリカ国民よ、今はお別れの時間だ』

  『世界でもっとも偉大な国にかつての栄光を取り戻す、それがエンクレイブの使命だ』

  『例えエンクレイブでも簡単には片付かない仕事だ。しかしエンクレイブは一日も休まずに働いている。諸君らの未来の為にだ』

  『ではまた会おう。大統領ジョン・ヘンリー・エデンから、さようなら』

 

 

  ゴボゴボゴボ。

  ……?

  何だ、この部屋?

  音を辿って進んでみれば奇妙な部屋に行きついた。

  巨大な装置がある。

  その中央には強化ガラスに覆われた円柱形の水槽らしきものがある。これまた巨大だ。

  周囲には様々な計器、機械。

  そして……。

  『……』

  グリン・フィス、カロン、ハークネスがいる。

  巨漢を囲んだ形で立っている。

  巨漢?

  ……。

  ……人ではない。緑色の巨漢の存在。

  スーパーミュータントだ。

  そいつが私を見て口を開いた。

  「おお。よく来たな。俺はアンクル・レオ。ここに住んでるんだ。腹減ってるか? 飯食ってくか? 遠慮するな、食事は大勢の方が楽しい」

  「……」

  ガク。

  何か力抜けた。

  スーパーミュータントは流暢な口調で話している。……まあ、人が話すような発音ではなく、若干舌足らずな感じはあるものの、それでもDCの廃墟で遭遇

  した普通のスーパーミュータントの片言に比べると流暢な部類だろう。

  特異なタイプかな、こいつ。

  まあジェネラルも流暢に話してたけどさ。

  うーん。

  スーパーミュータントにもインテリ的な奴がいるらしい。

  世の中不思議が一杯。

  「あんた誰?」

  一歩前に私は出る。手で仲間達を制した。グリン・フィスは素直に従って剣を鞘に戻す。カロンとハークネスはクリスの頷きを見てから銃を下ろした。

  この緑の巨漢は敵ではないだろう。

  少なくとも私はそう思った。

  「あんた誰? ここで何してるの?」

  「俺はここに住んでるんだ」

  「住んでる?」

  「3年になると思うぞ」

  「ふーん」

  人畜無害に見える。

  ……。

  ……ああ、そうか。接したら人畜無害と分かるけど、普通はスーパーミュータント見たらびびる。多分ジェファーソン記念館を拠点にしようとしたであろうレイダー

  どもはこいつを見て逃げるのだろう、戦わずに。

  スーパーミュータントは基本的に徒党を組んでいる。さすがに喧嘩する気は湧かず、結果としてこの建物を諦めたんだと思う。

  それで物騒な敵がいないのか。

  なるほどなぁ。

  だけど……。

  「ここに私のパパ……えっと、男性来なかった?」

  「来たぞ」

  「どこにいるの?」

  「出てった」

  「出てった? ……その間、貴方はどこに?」

  「ブツブツとそいつは言ってたからちょっと怖くてずっと隠れてた」

  「隠れて……はあ?」

  スーパーミュータントが怖くて隠れてた?

  変な奴だなぁ。

  まあ、パパに襲い掛かってたら万死に値するけどさ。

  パパの事が気になる。

  だけどこいつの事も少し気になっているのは確かだ。

  聞いてみよう。

  「アンクル・レオ」

  「何だ?」

  「私はミスティ。よろしく」

  「おお。よろしく」

  「どうしてここに住んでるの?」

  「仲間の元を追い出されたんだ」

  「追い出された?」

  流暢に話すからだろうか?

  ジェネラルとキャラ被るからかな。……まあ、ジェネラルは死んだけど。頭をショットガンで砕いたから確実に死んでる。

  普通じゃなくても死んでる。

  さて。

  「追い出されたってどうして?」

  「争いは良くない。憎しみは連鎖し続けるだけなんだ。俺達はボルト87の科学者によって作られた存在だ」

  「えっ?」

  ボルト87?

  ボルトテック社はたくさんのボルトを作ったらしいけど……そのボルトは聞いた事がない。

  それにしても作られた?

  ……。

  ……そういえばアンダーワールドのチューリップも同じような事を言ってたな。

  人間を改造したのがスーパーミュータント。

  どうやら本当らしい。

  「俺はジェネラルに言ったんだ。もう人間殺すのやめようと。人間を誘拐して仲間増やしても悲しみが増えるだけだと。そう言ったんだ。そしたらジェネラル

  は凄い怒って仲間に俺を殺させようとしたんだ。俺は逃げた。それで、3年前にここに来たんだ」

  「そっかぁ」

  つまり。

  つまり情報を整理するとスーパーミュータントを作ったのはボルトテック社という事になる。

  ボルトは核シェルターなんかじゃない。

  実験施設という事か。

  そして大金払って入居した連中は単なる人体実験のモルモットでありストックなのだ。

  ボルト101では変な事してないでしょうね?

  うーん。

  それ考えると怖いなぁ。

  「一兵卒。まずはお義父様の居場所を調べるのが最善ではないか?」

  「……お義父様?」

  「お父様もお義父様も発音は同じだ、気にするな。……しかしよく分かったな。ミスティの感性は詩人並だな☆」

  「……」

  意味分かんねぇ。

  まあいい。

  ともかく、クリスの言う事はもっともだ。

  「パパどこに行った知ってる?」

  「知らない」

  「そう」

  「ただ、そいつは妙な機械に声を吹き込んでた。多分ここに戻ってくるつもりらしいから、その機械置いてった」

  「録音してたのかも。どこにある、それ?」

  「ちょっと待ってろ。持って来てやる」

  「ありがとう」

  「気にするな。困った時はお互い様だ」

  「あははは」

  平和主義者か。

  面白いスーパーミュータントだ。

  アンクル・レオは数分後に戻って来た。何枚かのディスクを持っている。私はPIPBOYにディスクを挿入。

  音声を再生する。

 

 

  『そこで俺は原点に戻ったんだ。浄化プロジェクトだよ。そう、俺達は世界を変えたかったんだ』

  『本気で命の水が出来ると考えたんだ』

  『だからこそ今が一番大切な時期なんだ。……19年経った今でも俺はまだそれを信じているんだ。浄化プロジェクトは実行可能だし実行されるはずだ』

  『これは全ての始まりなんだ』

 

  『このプロジェクトの復活を試み始めて2日目だ』

  『ポータブル融合炉を一台稼動させているんだが非常照明とシステムを幾つか動かすと、もう一杯一杯だ。今のところはこれで何とかなるがメインフレーム

  を強化するとなると助けが必要だな。リベットシティのマジソンを訪ねてみるか』

 

  『リベットシティのDrリーと話をしてきた。ご期待通りの結果だった。ようするに彼女から見たら俺は完全にイカレちまっているらしい』

  『まあ、無理もないだろうな』

  『彼女には彼女の人生と研究チームがあって現実的で具体的な研究成果を挙げているんだ。そこに俺がノコノコと行ったわけだ』

  『俺のやって来た事は失敗と偽りの繰り返しだな』

  『実際にはマジソンと彼女の研究チームがどうしても必要なんだ』

  『だが俺1人にはどうにも出来ない』

  『浄化プロジェクトは俺1人の手には負えない代物だ。それにキャサリンもいないしな。……くそ、またこんな風に立ち消えさせてたまるかっ!』

 

  『ボルト101に来てからも浄化プロジェクトの研究をやめる事はなかった』

  『始めの頃は夜になると制限区域に忍び込むのが日課だった。そこで俺は特に目的もなく使える物はないかと探していた』

  『ボルトはボルトテック社の施設だ。何かあると思った。この国の史上最高の技術を駆使して建造された場所だ。しかしそこで特に役立ちそうな物が見

  つかる事はなかった』

  『ある日の夜、俺はスコッチでほろ酔いになって監督官のオフィスに侵入したんだ。もちろん無断でだ』

  『監督官のコンソールをちょいとハッキングして閲覧制限ファイルにアクセスしたんだ。その情報のほとんどはゴミ同然だった。プロパガンダ、スパイ報告、

  下らん事が長々と記されているだけだった。だがその中に1つ、際立っていた名前がボルトテック社の幹部リストにあったんだ』

  『Drスタニウラウス・ブラウン』

  『ブラウンの研究の事は知っている。権威あるボルトテックの科学者だ』

  『彼のその魔術のような科学技術に同僚達は恐れたらしい』

  『俺はそのファイルの中でボルトテック社の社会保存計画の1つに彼が関与している事を初めて知った。彼はG.E.C.Kと呼ばれるものを研究していたんだ』

  『エデンの園の創造キット。頭文字を取ってG.E.C.K』

 

  『俺はあの時途方に暮れていた』

  『愛する妻が死んだ。その代わりにいるのは娘だが小さくて無力だ。ここが俺にとって大事なところとはいえ、キャサリンにとっても大事なところとはいえ、幼

  児に相応しい場所ではなかった。特に母親のいない幼児には俺達の研究施設であるジェファーソン記念館は相応しくなかった』

  『俺はボルト101に娘を連れて逃げた。マジソンと研究を捨ててな。彼女が俺を憎むのは当然の事だろう』

 

  『もう行かないと』

  『プロジェクトは前から困難続きだった』

  『内部的にも外部的にも成果に結び付かないプロジェクトは凍結状態になった。俺が死ねばこの研究も終わりかもしれない』

  『誰も引き継ぐ者はいないだろう』

  『誰も』

 

  『正直なところG.E.C.Kは空想にしか聞こえなかった。例えブラウンほどの能力を持った者にしてもだ』

  『それは既に奇蹟の領域だ』

  『完全な無生命状態から生命を作り出す惑星改造モジュール。だがこれは実在していていくつかのボルトでは実際に研究されていた』

  『核戦争の後にボルトテック社が世界を支配する為に』

  『完成する事はなかったがな』

  『今あるであろう代物は残骸であり未完成品だ』

  『しかし使いようによっては浄化プロジェクトに利用できるだろう。あのシステムさえあれば水から放射能を取り除けるのだ』

  『ボルト101は残念ながら研究対象施設ではなかった。もっと深く調べてみるとボルト112にブラウンの名が見つかった。ボルト112には何かあるかもしれない』

  『俺だって能無しじゃあない』

  『けどブラウンなら俺が出来なかった事に容易く成功していたのかもしれない』

  『ブラウンの集めた知識はおそらくまだボルト112に残されている』

  『もしブラウンという天才の知識の断片でも手に入れる事が出来れば浄化プロジェクトは実現するかもしれない』

 

  『ボルト112に向かう』

  『この浄化装置の稼動に役立ちそうなものを、ブラウンの知識を探すつもりだ』

  『場所はエバーグリーン・ミルズの西にあるガレージのような建物にカムフラージュされたのがボルト112の入り口らしい』

  『浄化プロジェクトの達成が見えてきた』

  『だが何事ももう少しという段階が一番長いんだ。ブラウンが欠けたパズルピースを持っている事を祈っている』

 

 

  「ボルト112か」

  パパはそこに向ったらしい。

  その施設にある天才科学者の遺産を得るべく行動しているのだろう。

  ならば。

  ならぱ当然ながら私もそこに向かうべきだ。

  パパの足跡はすぐそこにあるのだから。

  ただ、録音されていた音声の中に『もう少しという段階が一番長い』とあった。実際にそうだと思う。パパの居場所はもう少しだけどまだ先は長そう。

  再会まで気を抜かないようにしよう。

  「ありがとうアンクル・レオ」

  「もう一枚あるぞ」

  「もう一枚?」

  「大事そうにここに来た男が持ってたディスクだ。これも置いてった。だけどここで録音したやつじゃないぞ」

  「ふぅん」

  再生してみる。

 

 

  『一連の検査では確定しなかったけど第二システムに問題があると思う』

  『マジソンも同じ考えみたい。機械類を調べ直して明日もう一度やってみるとするわ』

 

 

  「……ママ?」

  パパが持ってたという事はママの肉声のディスクの可能性が高い。

  これがママの声?

  これが……。

  うっわ涙腺緩んだーっ!

  初めて聞いたママの声。

  感慨深いものがある。

  続きを聞く。

 

 

  『そうすれば……ああん……』

  『ジェームス、やめて。仕事中よ。今はそれどころじゃないでしょ。……じゃあ次の段階ね。結果が得られているんだから次は……ジェームス、やめてよ。

  あははは、ちゃんと記録したいんだから。もう、ジェームスの両手はいけない子ね。あっははは』

  『放射能吸収剤で問題箇所の検査に取り掛かるわ。そうすれば……痛っ! ジェームス、今はそんな場合じゃ……あっははは、もう、仕方ないわね』

 

 

  「……」

  以下、まだ続くけど自主規制。

  多分ママは私をこの時に身籠ったのだと思われ。

  ……。

  ……うがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああパパだけはまともな人だと信じてたのにーっ!

  人間不信になりそうだ。

  ちくしょうっ!

  ポンポン。

  グリン・フィスが微笑を浮かべながら私の肩を叩く。

  「何よ?」

  「そのディスク、焼き増しして欲しいのですが。男子たるもの、一枚は持っておきたい一品。まさに興味津々な代物です」

  「なっ!」

  「ユーモアです」

  「殺すっ! 全員殺すーっ!」

 

 

  ……はぁ。

  ……パパのイメージちょっと崩れた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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