私は天使なんかじゃない   作:月詠ウサギ

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七人の侍

  人の評判なんかどうでもいい。

  スリードッグが『赤毛の冒険者』として私の善行を世界に広めているものの、あまり気にした事はない。

  評価なんてどうでもいいのよ。

 

  私は私。

  私は私として、あるがままに、私として行動するだけ。

  その際に生じる評価などどうでもいい。

 

  私は一人よがりな英雄なんかに興味はないのだから。

 

 

 

 

 

  「そこにバリケードを築いて。銃撃の際にはそこで対応できるでしょ? ……ああ、地雷はそこに設置。起動はさせないで。敵が来たら撃ち抜いて爆破するの」

  翌朝。

  私達はビッグタウンの住人達に指示をしていた。

  私は防御策を考案。

  他の面々はそれぞれに街の住人達に戦闘指南をしている。

  ビッグタウンは人数的に討伐が出来る数ではない。つまり戦闘はどうしても防御に徹する事になる。

  もちろん防御は防御で勝利に繋がる作戦だ。

  相手を引き付けて殲滅。

  それはそれで戦略だろう。待ちの一手は立派な戦略だ。

  「ミスティさん」

  「何?」

  セキュリティのダスティが声を掛けてくる。

  「地雷は起動させておいた方が……」

  「それでもいいけど生活するのに邪魔でしょ?」

  「……ああ、なるほど」

  「住人にいちいち反応して爆発してたら意味がない。設置するのは街の外側の吊橋周辺。とりあえずは誰かを屋根から見張りをさせて。余裕が出来たら見張り

  台でも作る事ね。手を掛ける事はないわ、簡素な見張り台でいいのよ。あるとないとでは全然違うからね」

  「確かに。それで有事の際にはそこから地雷を狙撃するわけですね」

  「そうよ」

  「ではさっそく」

  ダスティは走り去った。

  街は騒然としている。

  何故なら私達が戦闘指南を買って出たからだ。

  特に他意はない。

  ただ一宿一飯の恩義だ。

  それにこのご時世、恩は売れる内に売った方がいい。

  コミュニティは大切です。

  「ふぅ」

  空を仰ぐ。

  相変わらず乾燥した気候だ。これも核戦争の影響かな?

  まだ世界には放射能が残ってる。

  パパはそれを取り除こうとしていた。とりあえずは水限定だけど、パパは浄化プロジェクトで世界を救おうとしている。

  早く追いつきたいなぁ。

  「主」

  「ああ。グリン・フィス、ご苦労様」

  無口で控えめな従者は街の女性達に後方支援の仕方をしている。男性陣が戦闘、女性陣はその支援。

  差別?

  区別です。

  男女雇用均等法には賛成するけど、それぞれの役目はあると思う。

  だってどんなに平等でも肉体労働を任されても女性は困るでしょう?

  つまりはそういう事です。

  区別よ、区別。

  「どうしてのグリン・フィス?」

  「実は頼まれたのですが」

  「何を?」

  「どうやらスーパーミュータントの軍勢は殺すだけではなく何名かを必ず捕まえてから撤退するそうです」

  「うーん」

  アンクル・レオはボルト87で人間を改造してスーパーミュータントにするとか言ってた。

  人間を誘拐。

  つまりはそういう事なの?

  「頼まれたと言ったわね」

  「はい」

  「奪還ね?」

  「御意」

  ふむ。

  どうしたものかな。

  防衛の仕方を教えるのと追撃するのとではまったく意味が異なる。ただ展開次第ではスーパーミュータントの拠点を潰せる事になる。そうなればこの

  近辺で行動しているスーパーミュータントどもを一網打尽に出来るわけだ。

  それはそれでメリットがある。

  その時、クリスの訓辞が聞こえた。

 

  「戦闘とは士気であるっ! 士気さえあれば問題はないっ! 敵を倒すのは簡単だ、狙いを付け、銃を撃つっ! 気持ちで負けるな、という事だっ!」

  『はいっ!』

 

  クリスの担当は実戦の至難。

  クリスの両脇にはカロンとハークネスが立っている。実戦派だからその能力は役立つだろう。

  「主」

  「分かってる。分かってるわ。受けてもいいけどスーパーミュータントの居場所が分からない」

  「それは問題ありません」

  「と言うと?」

  「住人は全員知っているようです」

  「ふーん」

  奪還に行かない住人は臆病者?

  そうは思わない。

  誰もが戦える力があるわけではない。そして誰もが戦いに慣れているわけではない。性格と同じように人それぞれだ。

  「特に詳しいのが自分に依頼した女性です」

  「案内して」

  「御意」

  私は街の奥に進む。

  四方をバリケードに囲まれているので奥はそれなりに荒れていない。それなりに、だけどね。

  主に子供や女性がそこで不安そうに戦闘訓練を見守っていた。

  「よう、赤毛のお嬢ちゃん」

  「ケリィ」

  ゴミ山も街の奥にあった。

  ゴミと言ってもただのゴミではない。テクノロジーの残骸が埋もれているのだ。街の住人もここを掘り出しては何か使えるモノがないかと探しているのだ。

  ケリィはアウトキャストとかいうBOSと分派した組織。

  テクノロジーを漁っているらしい。

  専属スカベンジャーとしてケリィはアウトキャストに手にしたテクノロジーを売っている、ようだ。

  ワンっ!

  瓦礫の山の隣にちょこんと座っている犬が元気に吼えた。

  ケリィの飼い犬。

  「何かあった?」

  「ロボが埋まってるぜっ!」

  「ロボットが?」

  「ああ。腕がある。パーツ全体が埋まってるのかは分からないがこいつは軍用だ。ははは。こいつを売ったら良い儲けになるぜ」

  「ロボット」

  考える。

  そいつは良い戦力になる。

  「機械工学には?」

  「俺か?」

  「ええ」

  「そりゃテクノロジーを専門的に扱ってるんだ。解体だけじゃなくて復元も出来るよ。それがどうしたい?」

  「もしも稼動可能なら修復するのよ。この街の防衛戦力にするの」

  「馬鹿言えっ! 売るのが俺の仕事だっ!」

  「パーツのバラ売りよりも動いているロボットの方が高く売れない? ビッグタウンが高く買ってくれるわよ?」

  ……。

  ……多分ねー。

  ここの住人がどれだけのキャップがあるかは知らないけどさ。

  ケリィは利益で動くタイプ。

  私はそう見た。

  「そいつはいいな」

  「でしょ?」

  ビンゴだ。

  「よっしゃ。俺はこいつを掘り出して復元出来るかどうかやってみるぜ」

  「お願い」

  「任せとけ。……ただよ」

  「うん?」

  「あんたの仲間のクリスティーナだっけか? あの女に言ってくれよ、勝手に俺の犬の名前をハニーにしないでくれってな」

  「ハニー」

  思わず失笑。

  意外に可愛らしい感性みたいだ、クリス。

  「そういえばあんたボルト生まれだったわよね?」

  「ああ。ボルト101だ。あんたは? PIPBOY装着してるんだからボルト生まれなんだろ?」

  「私も101」

  「そうなのか? 親は誰だい?」

  「ジェームス」

  「ジェームスっ!」

  「パパを知ってるの?」

  「あいつにはエロDVD借りっぱなしだったんだ。今度会ったら返すって伝えておいてくれ」

  「……」

  何かパパのイメージがどんどん悪くなっていく気がするんですけど気のせいでしょうか?

  現実って厳しいなぁ。

  おおぅ。

  「主」

  「ええ。分かってる」

  グリン・フィスに促されて仲間救出の依頼をしてきた女性に会うべく私はケリィと別れて街の奥にある診療所に入った。

  入ると同時にむわっとする血の匂い。

  診療所は騒がしい。

  4人いた。

  男性が3人、女性が1人。その内の1人、男性はベッドに転がっていた。粗末な布団を被せられている。顔色は悪い。

  私達を見て女性が口を開いた。

  「悪いけど医者のレッドはスーパーミュータントに誘拐されてしまって診療所は機能してないわ。お役に立てそうもないわ」

  「医者は必要ないわ。グリン・フィスに救出依頼しなかった?」

  「あっ」

  軽く一礼するグリン・フィスを見て女性は声を上げた。

  「私はキンバ。……えっと、聞いたんだけどこの街を救ってくれるの?」

  「救う事になるかは分からない。防衛方法を教えてるだけだから」

  「友達を助けてくれるの? 若い頃と違って希望もなくしたわ。ウェイストランドでの暮らしは厳しくて」

  「若い頃は別の場所で暮らしてたの?」

  「ほとんど皆リトル・ランプライトの出身よ。子供の頃は皆で遊んだわ。だけど大人になって決まり通りに街を離れた。ここに向ったの。それが決まりだったから。

  だけどこんな地獄だなんて誰も言ってなかった。もう楽しみもないし、ほとんど皆、殺されたし……」

  「そっか」

  つまりこの街は幼馴染満載の街なわけか。

  相変わらずランプライトが何なのかよく分からないけど。

  ただ凄惨な状況なのは分かった。

  私は頷く。

  「力になるわ。スーパーミュータントとは因縁あるしね。……まあ、因縁を深めるつもりはないんだけどさ。それで何か情報は?」

  「北方に連れて行かれたの。警察署とか何とか。探し出せる? 救出してくれる?」

  「ええ」

  「やったぁっ! ありがとうっ! 大したものはないけど、救出してくれたら何でもあげるわっ!」

  彼女は喜んだ。

  私の思惑?

  さてね。

  特に他意はないつもり。

  ただ困っている人がいれば助けてあげなさいとパパはいつも言っていた。結局のところ浄化プロジェクトも助け合いの精神と根本は同じ。

  無償の救済が目的。

  私もそれを実践しよう。

  私も……。

  「死にたいなら行けばいいさ」

  「パピーっ!」

  生意気そうな男が口を開いた。ギンバは非難の声。

  もう1人の男性……ベッドに寝ていない方の男性も不満そうな顔をした。

  パピーは続ける。

  「奴らはジャーマンタウンの近くにある警察署に陣取ってる。幸運を祈るよ。運が悪けりゃオダブツだがね。皆は希望を信じてるがよ。はあ? 希望? よして

  くれよ。ここはゴーストタウン一歩手前だ。希望なんかあるかよ」

  「随分否定的ね」

  「この街は想像出来る最悪な事は全部実際に起きるよ。この街の観光案内にそう記したいもんだよ。スーパーミュータントと奴隷商人が交代で俺達を襲いに

  来るのさ。反撃する手段が何もないから俺達はひたすら街をバリケードで囲んだのさ。だけど俺は気付いちまった」

  「何を気付いたの?」

  「俺達は閉じ困られたんだよ、逃げる事も出来やしない。完全に追い詰められたのさ。逃げる場所はどこにもない。そうさっ!」

  「……」

  「俺達は皆死んじまうんだっ!」

  バキ。

  次の瞬間、パピーは殴られる。殴ったのはもう1人の男だ。

  殴り合いが始まる。

  希望があるかないかは私は断定出来ない。どんなに万全な防御方法を教えたところで絶対に安全とは言えないからだ。

  そして誰も死なないとは言えない。

  その時。

  「……よせよパピー、フラッシュ。お前らよりも先に死ぬ人間の前でそんな喧嘩するなよ」

  ベッドの上の男性、いや少年が口を開いた。

  ギクっとした顔で2人の男性は喧嘩を止める。蒼褪めた顔の少年は身を起こして引き攣った笑みを浮かべた。

  「なっ!」

  私は絶句する。

  この少年、まるで治療されてないじゃないのっ!

  肩から腹部にかけて激しい裂傷がある。

  お義理程度に止血され包帯が巻かれているだけの状況だ。

  「何で治療しないのっ!」

  誰に言うでもなく私は叫んだ。

  フラッシュと呼ばれた青年が言う。

  「医者がいないんだ。スーパーミュータントにレッドが攫われちまった。医療品もほとんどないし……」

  「グリン・フィス。私達の持ち物からスティムパックあるだけ持ってきて」

  「御意」

  グリン・フィス、外に飛び出す。

  私は他の3人にキビキビと指示する。

  「とりあえず水を用意して。言うまでもなく綺麗な水よ。放射能に汚れた水は駄目だからね」

  「だけどよ。そんな勿体無い……」

  「パピー、じゃあこの少年を射殺なさい。洗浄するのに綺麗な水がいるのよ。それじゃなきゃ死ぬ」

  「わ、分かったよ」

  「フラッシュ」

  「ああ。なんだ。俺はどうすればいい?」

  「サイコでもジェットでも何でもいいから用意して」

  「ヤクでもキメるつもりか?」

  「この少年の痛み止めよ。うまく使えば、ある程度は役に立つのよ。あまり推奨はしないけどさ」

  「分かった。探してくる」

  「お願いね。ギンバは糸と針を用意して。私の手持ちのスティムパックの量じゃあ完全な治癒は難しい。結構傷深いしね。傷口を縫う必要があるわ」

  「ええ、分かった……」

  「急いでよ」

  「はいっ!」

 

 

  「あー。疲れた」

  太陽は丁度真上。

  お昼だ。

  私は診療所の外にあるベンチに座り休憩。

  手術というほどでもないけど結構時間が掛かった。あの少年、タイムボムという少年は何とか一命を取りとめた。

  よかったよかった。

  まあ、結果としてスティムパックの手持ちが尽きたけどさ。

  ……。

  ……最近出費が多いなぁ。

  てか支出ばっかで収入がまるでなかったりする。

  アンデールでの一件の前に手にしたレイダーから巻き上げた戦利品もアンデール再建の為に老人ハリスに全部上げちゃったし。

  ここらで稼ぎたいですなぁ。

  とりあえず明日明後日干上がるような経済状況ではないけど、あまり無理が出来る状況でもない。

  街の様子を見る。

  「付け焼刃だろうけどしないよりはマシかなぁ」

  戦闘訓練は続いている。

  ただ問題は敵がスーパーミュータントだって事よねぇ。

  訓練さえすれば奴隷商人やレイダーぐらいからなら街を防衛できるだろう。鉄壁のバリケードがあるんだしさ。それこそ街の住人達ですら突破できないほど

  のバリケードで街を囲んでいる。

  だけどスーパーミュータントは人間よりも遥かにタフだ。

  交渉も通用しない。

  理屈も通用しない。

  それこそあの連中は銃弾すら通用しないのだ。もちろん銃で死ぬけど生半可な銃弾では死ぬまい。

  私達のように射撃に自信がある者でなければ1発で倒す事は不可能に近い。

  素人同然の住人では無理だろう。

  「主。ご苦労様です」

  「ありがとう」

  「クリス達を呼んできました」

  「ご苦労様」

  「いえ」

  「隣に座れば?」

  「いえ。お構いなく」

  「……」

  固い奴だ。

  私の隣に侍立するグリン・フィス。命を救われたから私に絶対服従……まあ、悪い気はしないけどあまり強烈にそれを前面に出されると私も疲れる。

  パパに会ったら何と紹介すればいいんだ、グリン・フィスの事は。

  うーん。

  そうこう考えている内にクリス達が集まってくる。

  誘拐された者の奪還という事はグリン・フィスから聞いているはずだ。集まって来た中にはケリィと彼の犬も混じってた。

  ケリィの実力は未知数。

  廃墟のDCでロストテクノロジーを漁ってたわけだから実戦には長けているのだろう。色々な銃火器を帯びている。

  私はまず一言。

  「今回の目的は私達の物資の補充の意味合いも兼ねてる。スーパーミュータントから巻き上げてやるってわけ」

  スーパーミュータント。

  キャピタル・ウェイストランドの災厄。

  だけど私達にしてみればレイダーとそう変わらない。確かにレイダーよりタフではあるけどそれ以上の存在だとは思ってない。倒せない相手ではない。

  「一兵卒、問題がある」

  「問題?」

  私はクリスに聞き返す。

  「ハークネス曹長のミニガンの弾がほとんど尽きている」

  「嘘っ!」

  「嘘は付かん。アンデール戦で使い果たしている」

  「そいつは困ったわね」

  正直にそう思った。

  ミニガンの圧倒的な破壊力は私達一行の旅を楽にしてくれるとても頼もしいものだ。弾丸がない、それはつまり攻撃力が半減したに等しい。

  だけど。

  「相手がスーパーミュータントだから補充出来るんじゃないかな」

  「なるほど。一兵卒の考えはもっともだな」

  「でしょ?」

  スーパーミュータントは巨漢だ。

  ミサイルランチャーだろうがミニガンだろうが軽々と持ち運べるだろう。つまりその手の兵器を武装しても行動の妨げにはならない。その手の武装で身を固

  めている可能性は高い。そしてそういう武装をしているのであれば弾丸の補充は容易だろう。

  レイダーや奴隷商人ならミニガンは装備しない。

  何故なら重いからだ。

  ハークネスはアンドロイドだから持ち運べているだけで普通の人間なら持つ事は出来てもそれを担いで移動はしないだろう。

  だから人間系の敵が武装している可能性は低い。

  反面、強力な腕力と体力誇るスーパーミュータントはそういうパワフルな装備を好む傾向がある。

  弾丸には困らないだろう。

  今から攻め込むのはスーパーミュータントの拠点なんだからさ。

  ついでに色々な物資を頂くとしよう。

  よし。

  私達の物資の補給にもなるわけだ。

  命を懸ける事にもなるけどこのご時世に安全な生き方は皆無に等しい。

  「主」

  「何?」

  「発言しても?」

  「どうぞ」

  回りくどい奴だ。

  丁寧なのは分かるんだけどそこまで気を使わなくてもいいんだけどなぁ。

  「主。我々全員が出張るのはどうかと思いますが」

  「うーん」

  確かに。

  確かに全員で行くと街の防衛能力は低下する。というか元に戻る。どんなに訓練しても一日では付け焼刃。今回の訓練はあくまで訓示的な意味合いが強い。

  まだ攻め込まれたら跳ね返すだけの実力はないだろう。

  ケリィが挙手した。

  「俺様が残るぜ。ロボットを発掘して使えるようにしなきゃならんしな。……別に怖いんじゃないぜ?」

  「そういう事にしとくわ」

  「信じろよー」

  「はいはい」

  「……ちっ。いつかおっさんパワーの偉大さを教えてやるからな。その体にな☆ おっさんはなかなかネチネチ責めるんだぜー?」

  「一兵卒を責めて責めて気絶させていいのは自分だけだっ! 控えろ下卒っ!」

  はいはい。

  勝手にエロ喧嘩しててください。

  ケリィが居残り。

  怖気付いたというわけではなさそうだ。

  もちろん別にロボットを整備して恒久的なこの街の防衛力にしようとしているわけではない。あくまでこのおっさんは金で動くのだろう。私らの妙な正義感云々

  ではお金にならない、だから動かない、それだけの話だ。

  もちろんそういう考えは否定しない。

  いずれにしてもロボットの復元は必要だからだ。

  それに。

  それに襲撃相手がスーパーミュータントならばケリィも欲得で寝返る事も出来まい。

  あいつらには理屈通じないし。

  買収もね。

  「これ以上欠けると決行出来ないから後は全員出撃でいいわよね? グリン・フィス、クリス」

  「御意」

  「聞かれるまでもない。……いずれにしても1人足らず七人の侍になれないのが悔しいがな。カロン、ハークネス、同行に異存はないな?」

  『御意のままに』

  七人の侍ねぇ。

  七人いたところで特に何か起きるわけではないけど……クリスは妙なところで拘るなぁ。

  ああ。

  ケリィの犬も1名とカウントするのはどうかな?

  提案してみる。

  「犬はどう?」

  「ハニーか。心強い友人だが却下だな」

  「ハニー」

  「そうだ。私が昔飼っていた犬の名前だ。良い奴だった」

  「ふぅん」

  考えてみれば私達は皆自分の過去を仲間達に口にしていない。

  つまり。

  つまりクリスの過去を私は知らない。

  まあ私も敢えて自分の過去を口にはしてないからお互い様なんだけどさ。

  「一兵卒、結局我々5名で何とかせねばならんな」

  「そうね」

  さてさて、どうする?

  警察署の建物に入り込んでさえしまえば人数の差は何でもなくなる。廊下にしても部屋にしても幅には限度があるからだ。つまり多ければ有利というわ

  けではない。的確に対処していけば少人数でもスーパーミュータントの連中を圧倒出来る。

  それにあいつらは特にでかいし。

  室内戦には向かない連中だと思う。

  ただ問題はこちらの攻撃力だ。ミニガンが弾丸入手まで使えないのであれば戦闘のスタイルを変える必要がある。

  奇襲の方法。

  考えなきゃ。

  「どうしたもんかなぁ」

  「俺も一緒に考える。ミスティは友達だからな」

  「ありがと……うわっ!」

  スーパーミュータントが隣にいた。

  というか、いつからいたーっ!

  「アンクル・レオっ! どうやってこの街に入ったのっ! というかどうしてここにいるのっ!」

  「暇だったから付いて来たんだ。それで今から何して遊ぶんだ?」

  「……これで七人の侍ね」

 

 

  スーパーミュータントのアンクル・レオ、合流。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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