私は天使なんかじゃない   作:月詠ウサギ

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戦いの報酬

 

 

 

  報われる事は大切。

  物であれ。

  心であれ。

  人は報われてこそ動くものだろう。

 

  聖人君子はそうではない?

  いいえ。同じ。

  正しい行いをした、喜ばれた。その瞬間満たされるわけだ。心が。

  ほら、報われた。

 

  戦いの報酬。

  それは……。

 

 

 

 

 

  ビッグタウンの街の前面では激しい戦いが繰り広げられている。

  敵勢は総勢で250。

  スーパーミュータント50+ケンタウロス200=250の軍勢。

  数では圧倒的だ。

  だけどこの街の防御力は格段に跳ね上がっている。

  迎え撃つ側は急場ではあるものの作り上げた弾除けがある、バリケードがある。そこに身を隠しつつ射撃さえすれば簡単に迎え撃てる。

  防衛とはこういう事だ。

  私達はそれをこの街に施した。

  相手がただ突撃を続けるだけであれば数が何倍だろうと……少なくとも銃弾が尽きない限りは迎え撃てる。

  問題ない。

  問題はね。……少なくとも前方は。

 

 

  問題は後方。

  相手は街を囲う形で存在するバリケードを爆破して突入して来た。

  その数は20。

  全面に比べたら圧倒的ではないけど問題がある。それはその連中は街の中に侵入しているという事だ。迎え撃つ為の準備はあくまで街に侵入する

  前に防ぐ為のものであり侵入された場合は想定されていない。あの程度の時間ではその場合は想定出来なかった。

  住人の訓練もあくまで付け焼刃。

  それに後方にいるのは女子供ばかり。銃火器は全て前方での防戦に使用している。

  つまり。

  つまり街の奥は戦力的に皆無も同然だ。

  さらに厄介なのは侵入してきた個体は全てスーパーミュータント・マスター。上位タイプばかり。

  そして指揮するのはジェネラル。

  女子供達には銃口が向けられている。つまり人質同然。

  私は銃を大人しく捨てた。

  私は銃を……。

 

 

  「これでいいわけ?」

  「賢明だ」

  私はアサルトライフルを捨てた。

  腰の44マグナムもホルスターごと地面に捨てた。全てジェネラルの指示だ。

  ふぅん。

  少なくとも奴隷商人のシスターよりはまともよね。

  もちろんこいつらは人間の女に対して性欲の対象を抱かないわけだから、シスターのように間抜けな振る舞いはしないのが普通かな。

  ……。

  ……まあ、私としてはそれがまずいか。

  付け入る隙がないわけだからね。

  さてさて。

  どうしたもんかな。

  スーパーミュータント・マスター達の銃口は恐怖で硬直している女子供に向けられている。私に対してではない。

  何故?

  だって私が抵抗しないのは人質がいるからだ。

  人質の心配がなければマスターどもを全員皆殺しにしてる。

  マスターだろうが特に怖くはない。

  多少頑丈なだけで私にしてみれば容易く殺せる相手だ。DCでの経験から私はかなりレベルアップしてる。マスターだからって怖がる理屈は存在しない。

  それにしても厄介。

  こいつら人質の意味を知ってる。その活用方法も。

  おそらくはジェネラルの指図だろう。

  やり辛い。

  実にやり辛いなぁ。

  勝てない状況ではないけど住民を犠牲にしない為には動けない。

  何か隙はないかな。

  何か……。

 

  ドカアアアアアアアアアアアアンっ!

 

  爆発音が響く。

  街の前面からだ。大気が震える。

  またスーパーミュータントどもが街の四方を囲むバリケードを爆破した?

  いや。

  これは街の前面に、大体スーパーミュータントが布陣している辺りに撒いてあった地雷が爆発した音だ。クリスが射抜いたのかハークネスのミニガンで

  爆発したのだろう。設置したのは1つや2つではない。

  確か13だったかな。

  ともかく。

  ともかくそれが連鎖爆発。

  大気を震わせつつ大爆発したのだ。

  ……。

  ……グリン・フィス達は巻き添えじゃないわよね?

  考えてみればそこは考えてなかったなぁ。

  やばいかも。

  まあ、実際問題としてやばいのは私だけどさ。爆発と同時にアサルトライフルを拾おうとするもののジェネラルはまったく動じず。

  動くに動けなかった。

  何故に?

  だって相手が動じてないのに動いたら次の瞬間に射殺される。

  とりあえず今の私の命を永らえているのは動かないからだ。抵抗の素振りを見せたら最後始末されてしまう。

  もちろんこのまま止まってても殺されるけどさ。

  さてさて。

  私の命のリミットはあと何分?

  「ジェネラル。お仲間の大半はきっと吹っ飛んだわよ? 見て来たらどう?」

  「遠慮する」

  「じゃあ私と勝負する?」

  「遠慮する」

  「なら何するつもり?」

  「抵抗すら出来ないお前を殺す。わっはっはっはっはっはっ!」

  「悪趣味」

  ポツリと私は呟く。

  それにしてもこいつってこんなキャラだっけ?

  キャラ性一新?

  そうかもしれない。

  グリン・フィスも誰かに負けてからはユーモアを磨いたりして新境地を開拓しているらしいし。……ま、まあ、あれがユーモアなのかは不明だけど。

  「あんたがあたしらの死神ってわけ?」

  「ビターカップっ!」

  ナタを手にジェネラルにツカツカと詰め寄ろうとする。

  マスター達は自動小銃を構えようとするもののジェネラルが手で制した。こんな女に何が出来る、という自負だろう。

  それは分かる。

  ビターカップにどうにか出来る相手ではない。

  面白そうにナタを片手に持つぴたーカップを眺めている。

  うーん。

  やっぱりこいつ変わった。

  性格が馬鹿だ。

  てか粗野?

  よく分からないけど前回よりも思慮がない。

  ジェネラルは笑う。

  「赤毛の冒険者ミスティ。嘆くがいい」

  「はっ? あんたゾーマ?」

  旧時代のゲームの大魔王のような喋り方。

  気のせい?

  「お前の目の前でこの愚かな女を八つ裂きにして殺してやる。阻む? くくく。だがお前はその時既に血反吐を吐いているのだ。嘆くがいい」

  「それはそれは」

  ジェネラルに取ってソードオブショットガンは愛用の武器なのだろう。

  そいつを構える。

  そして……。

  「そろそろいいんじゃない、アンクル・レオ」

  「俺の友達のミスティに手を出すなジェネラルっ!」

  バッ。

  突然一軒の建物からスーパーミュータントが飛び出てくる。手にはハンティングライフル。

  ふん。

  完全に後方を無防備にするほど私は甘くない。

  万が一の為にアンクル・レオを後方に配置していたのだよ、ジェネラル君。

  「貴様は裏切り者っ!」

  「ジェネラルっ!」

  アンクル・レオは同胞に平和を説いたが為に追放された。追放した相手はジェネラル。

  戦闘能力の差?

  さてね。

  それはよく分からない。

  ただジェネラルの気を引くのには充分な時間だ。そしてビターカップも動く。……彼女の行動はまったく予想外。この女、はちゃけてますなぁ。

  「くっ!」

  だけど。

  だけどジェネラルは舌打ちした。

  敵ではない。

  そうね、多分2人はジェネラルの敵ではない。……まともな状況ならね。

  現在の状況。ジェネラルは手一杯の状態だ。

  憎い私。

  ナタを片手に挑み掛かるビターカップ。

  平和論を掲げるスーパーミュータントのアンクル・レオ。

  倒すべき相手がジェネラルには多過ぎる。

  倒すべき順位が瞬時には浮かばないらしく一瞬困惑した。

  なるほど。

  瞬時に選定し瞬時に倒すほどの知能の鋭さはないってわけか。だとしたら私に劣る。私には何をすべきかが瞬時に分かった。

  「小賢しい、女っ!」

  「きゃあっ!」

  ビターカップを煩わしげに右手で払い除ける。

  バッ。

  同時に私は地面にあった石を蹴った。

  「くっ!」

  小さな石ころがジェネラルの顔に当たった。ビターカップ、石ころ、その2つが奴の意識の集中を一時的とはいえ惑わす。

  さらにアンクル・レオもいる。

  既に尻餅ついたビターカップには注意を払っていないもののジェネラルは困惑している。

  どっちから始末するかと。

  一応私は無手。

  それに対してアンクル・レオはハンティングライフルを持っている。……まあ、射撃の持ち方ではないけどさ。完全にバッティングスタイルっす。

  どっちから殺す?

  どっち?

  難しい選択ではあるとは思う。

  憎しみを前提に考えるなら私を殺すだろうけど、脅威を前提に考えるならアンクル・レオだ。銃の扱い方はともかく、銃は銃だ。

  奴は迷う。

  迷う。

  ……。

  ……それにしても。

  うーん。

  ジェネラルってこんなに頭の回転遅かったっけ?

  少し退化してる?

  まあ、前回頭吹っ飛ばした。

  脳味噌の一部が消失したのだろう。……多分。

  ともかく。

  ともかく相手のその一瞬の隙で充分だ。私は地面に転がるアサルトライフルに飛びつく。銃器を掴み、ゴロゴロと二回転。

  そして銃口をジェネラルに向ける。

  距離は三メートル。

  あまり近いと私も怖いけど……だけど、近ければ近いほど爆発は収束して相手に当たるだろう。拡散される事はないのだ。

  再登場して早々のご退場で悪いんだけどここまでだ。

  悪いわね。

  「ジェネラルっ!」

  「くそっ!」

  「アンコールは嫌いなのよ。バイ」

  引き金を引いた。

 

  ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンっ!

 

  「うひゃっ!」

  近距離だと衝撃がきっつぅーっ!

  放たれたのは弾丸ではない。リベットで取り付けてもらったグレネードランチャーの追加パーツ。そう、グレネード弾だ。

  近距離での直撃。

  私も盛大に引っくり返ったものの耳がキーンとするだけで特に怪我はしていない。

  あー、大分擦り剥いたか。

  まあこの程度ならすぐに治るだろう。

  奴はどうなったかって?

  「再登場して小物になったってわけね、ジェネラル」

  ジェネラルは粉砕。

  新兵器のグレネード弾の直撃を受けてジェネラルは吹き飛んだ。即死だ。

  頭脳は明晰なんだろうけど肉体的には他のスーパーミュータントとそう変化はないらしい。

  ……。

  ……ま、まあ、直撃に耐えられても困るんだけどさ。

  ともかく。

  ともかくジェネラルは再び私の前に屈したわけだ。

  撃破完了。

  私はさらに銃弾を乱射する。44口径の銃弾を受けたマスターどもは跳ね上がるように吹っ飛び二度と動かない。弾装が空になる。だけど問題はない。

  すべてのマスターどもは沈黙していた。

  永遠に。

  騒がしくなくなるのはいいものだ。

  実に助かる。

  「ふぅ」

  空の薬莢を捨てて新しい弾丸を装填する。

  こいつらの特性が分かった気がする。

  こいつらリーダーを失うと脆い。

  ジェネラルが死ぬと戦いを放棄しようと逃げ出した。上位タイプのマスターどもが戦いを捨てて逃げようとした。

  なるほど。

  DCでもそうだった。

  ジェネラルが死ぬと同行していた手下どもは戦わずして逃げた。

  これが特性か。

  ならば。

  「ビターカップ」

  「何?」

  「そのナタを貸して」

  「……?」

  「いいから」

  「分かった」

  ビターカップからナタを借りる。もちろんその際に二挺の44マグナムをホルスターに戻したのは言うまでもない。

  力一杯に振りかぶる。

  ザシュ。

  私はジェネラルの首を斬り飛ばす。

  その落ちた首を掴む。

  「それ、どうするつもり?」

  「見せ付けてやるのよ、ビターカップ」

  「見せ付ける?」

  「ええ」

  後の展開は非常に簡単だった。

  私は今だ激戦が続く街の前面に向い、敵勢に対してジェネラルの首を見せ付けた。スーパーミュータントの軍勢は右往左往。可哀想なまでの動揺だった。

  完全に総崩れ。

 

  「ヒケェーっ!」

 

  スーパーミュータントの一体が叫ぶ。

  敵勢は撤退。

  それもほぼ瓦解した撤退。完全に指揮系統は崩壊していた。

  確かに。

  確かにこいつらはリーダーが死ぬと組織としては崩壊する特性らしい。

  どんなに勢いに乗ってても指揮官が死ぬとどうしていいのかまったく分からない状態に陥るご様子。

  ふぅん。

  だけどこのまま逃がすほど皆様善人ではないですよー?

  今までの恨みを晴らすかのように……まあ、恨みを晴らすという意味合いもあるのだろうね。ビッグタウンの住人達は銃火器を手にしたままそれぞれの

  陣地を離れ、身を乗り出し、乱射を開始する。

  飛び交う弾丸はスーパーミュータントの背中を撃ち抜く。

  もちろん私の仲間もそうだ。

  特にハークネスのミニガンは強力な火力を発揮。

  次々と敵を撃破していく。

  そして。

  そしてスーパーミュータントによるビッグタウンの包囲は消滅、私達は勝利した。

 

 

  掃討戦も勝利。

  成す術もなく撤退し続けるスーパーミュータントとその飼い犬であるケンタウロスに壊滅的打撃を与えて私達は凱旋した。

  少なくとも連中は戻っては来ないだろう。

  この近辺にいるスーパーミュータントはほぼ全滅したはず。

  これで街の脅威は1つ消えたわけだ。

  ただ……。

  「うーん」

  「主、どうされました?」

  私とグリン・フィスは死んだジェネラルの死体を遠目で見ていた。

  今回の戦いで精力的に働いたグリン・フィスではあるものの疲労感はまるで見せていない。結構タフよね、こいつ。

  どこかは知らないけどシロディールという地名の連中は非常にタフなのだろう。

  まあ、それはいい。

  「何でこいつは生き返ったんだろう」

  「本人だったのですか?」

  「多分」

  私の情報にしても非常に詳しかった。

  誰かに聞いた?

  うーん。

  よく意味が分からない。仮に奴が本物だったとしよう。だけどその場合別の問題が出てくる。

  奴は何故生き返った?

  確実にDCでは殺した。

  まったくの別人、つまりジェネラルという別の個体というわけではなさそうだった。少なくとも奴はDCでの出来事を全て知っていた。……まあ、DCでの一件を

  情報として得ていた可能性はあるわけだけど。

  「……」

  気付くと無言でアンクル・レオが私達の背後にいた。

  聞いてみる。

  「奴は本当にジェネラル?」

  「ああ」

  「ジェネラルって何人もいるの?」

  「ジェネラルは1つでたくさんなんだ」

  「1つでたくさん?」

  意味が分からない。

  「1つでたくさん。それがジェネラルだ」

  「……」

  「殺しても殺してもジェネラルは起きる。だから奴は仲間達を指揮する立場になったんだ」

  「うーん」

  アンクル・レオは説明を続ける。だがその内容は決定的ではなかった。やはり必要な部分は欠けている。詳細は謎のままだ。

  そこは仕方ないかもしれない。

  1つでたくさんか。

  その意味は不明だけど1つだけ確かな事がある。

  ジェネラルは再び現れるだろう。

  前回は頭粉砕、今回は頭切断、決定的な一撃ではあるけど今回復活して来た。おそらく同一人物。限りなく同じと言い切れる。粉砕しても復活したなら

  切断したところで意味は同じだ。また出て来る事は請合ってもいい。

  やれやれ。

  タロン社も奴隷商人も健在、スーパーミュータントの軍勢も今だ健在。

  なかなか楽は出来ないようだ。

  面倒だなぁ。

  「やったぁっ!」

  突然華やかな女性の喜ぶ声が響いた。

  振り返る。

  レッドだ。それに否定的で生意気なパピー、私が手術したタイムボム、霊感あるっぽいピターカップもいた。

  纏め役的な感じの強いレッド。

  だけど今このメンバーの中で一番はしゃいでいた。

  「やったっ! 貴女達、本当にやったのねっ!」

  「ええ。やっちゃった」

  「これで私の服の色がこれ以上レッドになる事はないわ」

  「ふぅん」

  なるほど。

  もしかしたらレッドとは名前ではなくてニックネームなのかもしれない。私もミスティはあくまで愛称で本名はティリアスだし。きっとそんなノリでレッドなのだろう。

  次にタイムボムが一歩前に出た。

  「傷は大丈夫?」

  「お陰様で」

  「よかったわ」

  タイムボムって変わった喋り方するのよねぇ。

  間延びしたような感じ。

  独特な喋りだ。

  「本当に何から感謝したらいいのか分からないよ。これ、受け取ってくれ。幸運のお守りなんだ」

  「いいの?」

  ビリヤードの⑦。ラッキーセブンだ。

  「あんたは命の恩人だ。とても凄い人だよ。本当に、本当にありがとう」

  「いいのよ」

  「なあ」

  「何?」

  「俺達は皆、あんたが好きさ」

  「あ、ありがとう」

  私は少し照れた。

  からかうようにアンクル・レオが笑うと皆続けて笑った。なかなか照れ臭いものがありますね、正義の味方って。

  笑みのまま今度はパピー。

  こいつは何言うんだろ。

  ずーっと否定的だったもんね。

  まあ楽観的になられ過ぎても困ったけどさ。

  「お前が良い人だなんて思ってもみなかったんだけど……でも、ありがとよ。悪い事ばかりじゃあなさそうだな」

  「私達に感謝した?」

  「といったところで俺達を狙ってのはまだたくさんいるけどな。でも今日は何とか生き延びたな。それは感謝しないと。ありがとうよっ!」

  「……結局そのノリかい」

  「これが俺さ」

  「まったく」

  苦笑。

  まあ、いきなり良い奴になられてもそれはそれで面倒だけどさ。

  「ね、ねぇ」

  「何? ビターカップ」

  「あたし、あんたに惚れちゃった」

  「はっ?」

  「あんた最高だよっ!」

  ギュッ。

  私の手を両手で包むビターカップ。何か怪しい雰囲気。

  ……。

  ……またかっ!

  クリスに次いで私はまた女に惚れられるのかーっ!

  何気に『オブリからこんな展開ばっかだぜー。たまには男と絡ませろよー』という意味不明な叫びが聞こえてきそうな気がする。

  うーん。

  女に好かれそうな顔してるのかなぁ。

  それともこの世界の神の趣味?

  それだと回避不可能っぽいって……何の話だ?

  いかんっ!

  完全に動揺しているっ!

  意味不明だ今の私の頭の中はーっ!

  うがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああたまには男とロマンスしたいーっ!

  ま、まあ、直にパパにも会えるだろう。

  そしたらパパに甘えよう。

  うん。

  それはそれでロマンスさ☆

  さて現実に戻ろう。

  「本当に感謝してる。これからも生きて行ってみるわ。辛い世界だけど……とりあえず笑って生きてみる」

  「それがいいと思う」

  「あんたに小さな聖堂を作ろうと思って。取って置きのお香とロウソクを使うとするわ」

  「聖堂?」

  「そうよ」

  「何の為に?」

  「あんた達のしてくれた事を皆が忘れない為に。そして語り継ぐ為に」

  「照れ臭いなぁ」

  クリスが叫んだ。

  そろそろ出発という事だろう。

  あまり長居する理由はない。あくまで休憩の為に立ち寄っただけだ。それ以上でも以下でもない、本来はね。激戦とはいえ銃を撃つ行為以外はあまり

  していない。戦闘慣れしている私達にしてみればそれほど疲れる戦いではなかった。

  そろそろ行くとしよう。

  ジャーマンタウンで色々と必要な物資は補給出来たし旅は続行出来る。

  続行しよう。

  「グリン・フィス、行こう」

  「御意」

  「アンクル・レオも付いてくる?」

  「俺ミスティとマブダチ。一緒に行く」

  マブダチにランクアップ☆

  気の良いスーパーミュータントだ。そして凶暴でない限りはまったく怖くない。普通に接する事が出来る。そういうものなんだなぁ。

  私はそれじゃあねとビッグタウンで知り合った友人達に声を掛けた。その時ビターカップが懸命な声を張り上げた。

  「ねぇ。あたしの事、忘れないでよっ!」

 

 

 

  私達はビッグタウンを旅立つ。

  また友達が出来た。

  嬉しいなぁ。

  ……。

  ……ま、まあ、若干1名恋に芽生えた奴と知り合ったけど。なかなか難儀な展開ですなぁ。

  「一兵卒っ!」

  「何よ」

  「浮気したなっ! 密通したという事だぞそれはっ!」

  「まだ誰とも私は通じてはないっ!」

  言い返した後で私は赤面した。

  途端にニヤニヤするクリス。くっそぅ。こいつ嫌いだー。

  ともかく。

  ともかく私達は南西に進む。

  目指す場所はボルト112。そこにパパがいるっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「あ、あいつら働かせるだけ働かしてとんずらかよーっ! 行くぞ、ドッグミートっ!」

  「ワン」

  「伏せじゃないっ! 走るんだ、行くぞっ!」

  「ワン」

  「こら待て人の財布咥えて走って逃げるな、遊んでいる場合じゃないんだぞーっ! しかもお前逆方向だ、南西に行くんだ、南西にーっ!」

 

 

  ケリィ、ボルト112への方向ではなく逆走。

  没主人公のおっさんはこの先一体どこに行くー(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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