私は天使なんかじゃない   作:月詠ウサギ

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スチールヤード

  望む望まぬは関係なく展開に流されて行く。

  だけどこれだけは言える。

  私はあるがままに、私として物事を進めて行く事をここに宣言する。

  誰の指図も受けはしない。

 

 

 

 

  ピットの街は2つの区画に分かれているらしい。

  支配する側の区画アップタウン、支配される側の区画ダウンタウン。後者は当然奴隷の区画だ。

  この街の産業は銃火器の売買。

  今だ稼動している製鉄所で銃火器を製造しているらしい。ある意味でキャピタル・ウェイストランドよりも技術の水準は高いのかもしれない。

  まあ、奴隷制度の街だけどね。

  ピットは製造業の街なのに原材料である鉄のインゴットは生産出来ないという本末転倒な問題を抱えている。

  鉄のインゴットはスチールヤードと呼ばれる廃墟の工場区画にあるらしい。

  そこはトロッグの巣窟。

  当然ながらインゴットの回収は奴隷の仕事であり、この街で死亡率が最も高い仕事の模様。

  指名されちゃいました、私。

  ……。

  ……何の罰ゲームなんだ、これは?

  清く正しく美しくキャピタル・ウェイストランドで博愛主義と平和主義を信じて生きてきただけなのに。

  ワーナーめ、覚えてろーっ!

 

 

 

  「インゴットを収集するラッキーな奴隷ってのはお前だな?」

  「そうみたい」

  ダウンタウンにある製鉄所。

  ここからスティールヤードに通じる扉があるらしい。そもそも隣り合っていた工場なのだろう、こことスティールヤードは。

  レイダーが出迎えてくれる。

  鉄のインゴット回収の監督者らしい。

  それにしてもレイダーの見分けがつかない。入り口で私を殴ってくれた奴とさっき射殺した奴、そしてここにいる奴との見分けがつかない。

  何気にヒヨコの性別の見分けよりも難しいんじゃないかな。

  難題よねー。

  「随分と涼しい顔してるな? 死ぬかも知れんのは分かってるんだろうな?」

  「大丈夫。私この話の主人公だから死しない。死んだら完結だし。当分は終わらない予定だからそれまで私は死なないわ」

  「ははは。久し振りにガッツのある女を見たぜ。ついて来いっ!」

  「了解」

  「俺の名はエベレットだ、奴隷」

  「ミスティよ」

  エベレットと名乗ったレイダーに私は付いて行く。

  ふぅん。

  なかなか話の分かりそうなレイダーだと思う。全員が全員、粗野で下品で下劣というわけではなさそうだ。

  そりゃ助かるわね。

  懐に隠している32口径ピストルを無駄撃ちせずに済む。

  弾は13発しかないわけだし。

  工場内を抜け、室内を抜け、その先は金網の通路だった。

  金網?

  「何ここ?」

  「防御用だよ」

  「防御?」

  「この部屋の屋根のあたりに穴が開いててな。そこからトロッグが入り込んで来るんだよ。その防御用だ」

  「ふぅん」

  トロッグ。

  その単語は何度も聞いているけど実物がどんなのかが分からない。

  少なくともキャピタル・ウェイストランドでは聞かない単語だし。

  多分ここ特有の生物なのだろう。

  エベレットと名乗ったレイダーが立ち止まって指差す。

  「あそこにいるのが見えるか?」

  「何あれ?」

  「あれがトロッグだ。工場の外はああいうのがゴロゴロしてるんだ。まあ、気を付けな」

  「強いの?」

  私は頭上の金網の上を四足手で歩きながら私達を威嚇する異形の存在を見ながら訊ねる。歩き方が独特だった。四足とはいえ犬の

  歩き方ではない、どちらかというと爬虫類、それもトカゲに似ている。

  外観は人に似てるけど人ではない。

  眼は異様なまでに爛々としていた。例え人の形をしていても人ではない。ケダモノだ。

  「強いの?」

  もう一度エベレットに聞く。

  それほど強そうには見えない。金網すら破れないのだから。それにケンタウロスのように放射能のヘドロを吐き出すわけでもなさそうだ。

  ただただ金網に遮られた向こう側にいる私達を威嚇しているだけ。

  エベレットは曖昧に首を振った。

  「強くはねぇよ。ただ……」

  「ただ?」

  「外には大量に徘徊している。集団で襲って来るのさ。大抵の奴は数秒で殺され、数分で食われて骨になる」

  「集団で来るのは厄介かも」

  「悪いが奴隷に武器はやれん」

  「だよね」

  黙ってるだけで銃とナイフを所持してますけどね。

  だけど大量にいるのであれば楽観は出来ない。弾もないし銃の威力も弱い。

  くっそ。

  私の武器があればなぁ。

  「あの扉の向こうが地獄の一丁目スチールヤードだ。十人に九人はまず死ぬ。まっ、精々頑張れよ」

  「まあ、善処する」

 

 

 

  「……」

  コツ。コツ。コツ。

  腰にはナイフを差し、右手には32口径ピストルを構えつつ私はスチールヤードを歩く。

  ここは完全に廃墟の工場らしい。

  つまり稼動出来ないから切り捨てたのだろう。

  それともトロッグ関係?

  「……」

  コツ。コツ。コツ。

  背中には鉄のインゴットを運ぶ為にカゴを背負ってる。

  間抜けな恰好だ。

  パパには見せられないなぁ。

  このカゴにはインゴットが十本ぐらい入りそう。もしかしたらもっと入るのかもしれないけど私の体力的にそれ以上は持てないだろう。

  まだ一本も見つかってない。

  というかこの廃墟の区画に入り込んでまだ10分。

  そんなに簡単には見つからないだろう。

  トロッグにも接触してない。

  そんなに強そうには見えないけど大量に来られると困る。そもそも弾に限りがあり過ぎる状況だ。戦闘しないで済むならそれに越した事はない。

  「うー。疲れるなぁ」

  コツ。コツ。コツ。

  戦闘状態を維持しながら動くのは疲れる。

  最近働き過ぎかも。

  過労死は嫌だよー(泣)。

  この街はまだ初日だけど色々と面倒なん展開が盛りだくさんらしい。そしてそれだけではなく色々な問題も抱えているようだ。

  1つはインゴット集めだ。

  広場で車を解体してたのは慢性的な鉄不足が原因だろう。

  ここでの私の行動もまた然り。

  銃は作れても鉄の確保は困難らしい。

  ただ、銃火器の売買は、まあ、資金源の1つなのはいいにしても……この街の支配体制って何?

  レイダーの集団が仕切ってる?

  アッシャーはレイダー達の親玉という意味合いなのだろうか?

  治療薬の意味は?

  ……。

  ……はあ。ミディアとワーナーが秘密主義過ぎるからまるで意味が分からない。

  これで命令通りに演じろと言われても意味不明。

  そもそもどう演じろと?

  ワーナーはアッシャーとかいう奴を引き摺り下ろして自分が親玉に成り上がろうとしているのかもしれないけど、そもそもアッシャーは誰?

  基本すら抑えてない私。

  あいつ説明能力皆無なんじゃないの?

  少なくとも街を仕切るには能力的に不安ありまくりな気がする。

  無能な暴君タイプよね。

 

  カサ。

 

  「ん?」

  ピタリ。

  私は止まる。

  周囲を見つめる。何か物音がした。

  耳に響くのは風の音。

  「……」

  銃口をゆっくりと動かす。照準に入るものは何もない。

  あるのは放棄コンテナと廃棄された貨物車両。

  それだけだ。

  「……」

  だけど何かいるのは確かだ。

  左腕に巻いた布を外す。

  ピピ。

  PIPBOY3000の索敵モードは起動している。周囲に何かいる、それも複数。……囲まれてるっ!

  敵はまだ姿を現さない。

  待つ。

  待つ。

  待つ。

  「……ちっ」

  多少の頭はあるらしい。

  私が焦れるのを待っている。獲物を駆る側としての頭はある模様。

  まあ、どっちが獲物かは私が教えてあげるけどさ。

  じっくりと。

  タッ。

  私は地を蹴り走り出す。まっすぐと。

  瞬間、気配が動き出した。

  トロッグの一体が物陰から飛び出し私の目の前に現れる。私は大きくジャンプ、飛び越えて逃げる。

  タタタタタタタッ。

  走る。

  走る。

  走るーっ!

  振り返る事はしない。ペタペタと独特な音を立てながらトロッグの群れは追撃して来るのが分かる。

  目的はインゴットの回収。

  だけどその前にある程度の掃除をしておく必要がある。

  もちろんトロッグを全滅させる気はない。そこまでの手間を掛けるつもりはない。

  まあ、そもそもそれだけの弾がないし。

  いずれにしても邪魔する奴らは潰しておく必要がある。

  逃げている間に別のトロッグどもを引き付ける可能性はあるだろうけど……あの場に留まるのは得策ではなかった。

  タタタタタタタッ。

  トカゲのような妙な走り方にしてはやたらと素早いわね。

  次第に私に追いつきつつある。

  車両だ。

  貨物車両が放置してある場所まで逃げよう。包囲される場所で戦うのは戦術的に不利だ。

  あのあたりは狭い。

  包囲されるのとはまた別の戦い方が出来る。

  私は1人。

  地形は選んで有利な展開に持ち込むとしよう。

  「ちっ」

  その時、目の前から別のトロッグが走ってくる。銃で撃つ……いや、良い事を考えた。前方のトロッグは速度を上げて飛び掛ってくる。私も速度を

  上げる。私が速度を上げる事で相手が想定していた間合を狂わせた。牙と爪が微妙に私に当たらない。抱き付く形となる。

  もちろんこんな奴とハグしてるつもりはない。

  そのまま私はそいつを飛び掛ってきた勢いを利用して投げた。

  後方にいるトロッグの群れに向って。

 

  「きしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 

  トロッグどもはもつれ合って転がる。

  よし。

  時間稼ぎが出来た。

  貨物車両に私はその間に走る。

  こりゃ完全に鉄のインゴット集めをしている場合じゃないわね。死亡率が高いのも頷ける。……いや。ミディアに聞いたところによれば、トロッグは

  放射能汚染の果ての人間らしい。奴隷達はここで迷ってる間にあの化け物に変じるのかな?

  私はなりたくないなぁ。

  視界の端に別の群れが目に入る。何かをムシャムシャと食べているようだ。

  おそらくは奴隷。

  それとも共食いでもしてる?

  まあ、そこはいい。

  問題なのはそいつらと眼が合ったって事だ。一匹が奇妙な叫び声を上げると他の連中も同調する。敵が増えたーっ!

  駆けて来る。

  もつれ合って転んでいた連中も追いかけて来ている。

  八方塞だ。

  八方塞だーっ!

  「くっそっ!」

  こりゃ本気インゴットどうでもいいしーっ!

  貨物車両に到達。

  貨物の中に逃げる?

  扉を閉めて立て籠もるのもいいけどトロッグは諦めないと思う。私が死ぬまで貨物車両の周りをウロチョロするだろう。

  どうする?

  どうしよう。

  敵が近付いてくる。

  「この手で行くか」

  私はとりあえず車両と車両の間を飛び越える。

  ドカ。

  その直後にトロッグ達が殺到、もつれ合う。

  よしっ!

  計画通りっ!

  人間なら車両と車両の連結部分を通り越えれる。しかしトロッグは四足、それも平蜘蛛のように地べたに這い蹲った独特な感じだ。つまり連中は

  この隙間を通り抜けれないのだ。間隔は狭い。普通に二足歩行なら通れるけど連中には無理。

  殺到し、ぶつかり合い、もつれ合ってる。

  つまり。

  つまりこれは私のターンなわけだ。

 

  ばぁん。

 

  32口径ピストルの引き金を引いた。

  トロッグの頭を吹っ飛ばす。

  よし。

  殺せる。

  私はその場から離れる。相手はまだ立ち直っていない。このまま撒ければいいんだけど。

  タタタタタタタタッ。

  「ふぅ」

  何故撃ったのか。

  それは簡単だ。

  殺せるかどうかを試したかった。

  はっきり言ってトロッグは脆い、簡単に殺せる。それが知りたかった。

  私はもつれ合ってるとロッグどもを無視して走り去る。

  全部殺すだけの弾はない。

  今は身を潜めるとしよう。

  私は走る。

  「はあはあ」

  体力は常に満タンというわけではなく。

  走れば当然消費する。

  息が切れて来た。

  さっきのトロッグどもは撒けそうだけど問題がある。真正面から別の新手が向ってきている。……はあ。インゴットなんか回収できるかゴラァーっ!

  確かにこりゃ死ぬわ、奴隷。

  そんなに鉄が欲しければレイダーが部隊編成してトロッグ掃除しながらにしてくれ。

  私は銃あるけど普通は丸腰なわけでしょう?

  感性疑います、命令する奴のね。

  やれやれだ。

  「くっそ」

  悪態ついてばっかだ。

  ともかく真正面から気味の悪い走り方をして向ってくる新手のトロッグは五匹。

  数は多くない。

  こいつらはスーパーミュータントには到底及ばないほどの雑魚だしケンタウロスよりも弱い。ただしここはトロッグの庭のようなものだ。

  地の利も数も向うが上。

  厄介ですね。

  32口径ピストルを構える。こいつらは倒さないと面倒だ。追いかけっこは体力がある内はいいけど、なくなると負ける。

  死に直結する事はしたくない。

  粉砕して逃げるっ!

  「いっけぇーっ!」

 

  ばぁん。

  ばぁん。

  ばぁん。

  ばぁん。

  ばぁん。

  

  五連発。

  狙いは正確に、そして完璧。全てのトロッグの額を撃ち抜く。

  私ってば最高☆

  肉塊と化すトロッグ五匹……いや、一匹仕留め損なったようだ。それでも致命傷だ。這い蹲っているけど生きている。

  私は大きくジャンプ。

  グシャ。

  仕留め損なったトロッグの首を踏み砕いて逃げる。

  弾は大切だからね。

  死に損ないの奴に発砲する気はない。そんなの勿体無いです。

  「この街に来たばっかりなんだけどなぁ」

  どいつもこいつも手荒な歓迎ばっか。

  面倒な事です。

  とりあえずはどこかに逃げ込むとしよう。……もっともどこに逃げてもトロッグだらけな気はしますけどね。

  やれやれだぜー。

 

 

 

  「あー、疲れた」

  追いかけっこは余裕がある内に終わるに限る。

  とりあえず逃亡完了。

  もっともまだスチールヤードの中だけどね。

  腰を下ろす。

  どうやらここは廃屋らしい。……正確には物置か。そう広くはない。使えそうなものは……ないわね。

  ……。

  ……いや。1つある。

  先客だ。

  私より前にこの廃屋にいて、そして永遠に寝ているらしい。

  死体だ。

  カチャ。

  私は32口径ピストルを床に置く。

  あれからトロッグの群れを突破する為に銃弾を全て使ってしまった。弾がない銃はただの鈍器。ナイフの方がまだマシだ。

  死体を調べる。

  死体愛はないですけど、生き延びる為には必要な物を遺品から得る必要がある。

  それがキャピタル・ウェイストランドの掟だ。

  さて。

  「ん?」

  死体は何かの紙切れを握っていた。

  読んでみる。

 

  『すまん、ミリー。俺は戻れそうもない』

  『街の皆は俺ならインゴット回収をやり遂げれると思っていたようだが、得体の知れない連中がいる。銃火器で武装した連中だ』

  『奴らに撃たれた。もう助からない』

  『俺の死体を見つけた、この手紙を読んでるあんたに俺の銃はやるよ。俺にはもう使えないしな』

  『その代わりに頼みがある』

  『製鉄所の皆に俺はやれるだけの事をやったと伝えて欲しい。……じゃあな、頼んだぜ』

 

  「得体の知れない連中?」

  銃火器で武装しているのであればトロッグではないだろう。

  そして『得体の知れない』という表現を使うのであればおそらくアッシャーとかいう奴の手下のレイダーではなさそうだ。

  まあいいさ。

  そこまで深入りするつもりはない。

  気にはなるけど、まずは生き延びる事だ。……その為には鉄のインゴットを一定量ゲットしないとね。

  そうしないとエベレットに街に入れてもらえそうもない。

  あー。面倒。

  「32口径ピストルか」

  死体が手紙を読んだ者に対して託したのは自分の最後と32口径ピストルだった。

  ……。

  ……また32口径か。贅沢は言いたくないけどアサルトライフルが欲しい。連射系の武器が欲しい今日この頃。

  今、最高に欲しいのはミニガンだ。

  さすがに落ちてないだろうなぁ。

  ただ、この死体は大量に弾丸を持っていた。大量にといっても40発。

  それでも役に立つ。

  「よし」

  パン。

  両頬を叩いて奮起。

  私は立ち上がって廃屋を出た。鉄のインゴットは……入手しないと駄目なんだろうなぁ。

  「げっ」

  目が合った。

  廃屋を囲む形で集結していたトロッグどもと。

  「……」

  50匹はいる。

  こいつらが放射能汚染の人間の成れの果てならここでトロッグ化した奴らはどれだけいるんだ?

  ありえないだろこの数。

  まずはここを掃除しろよ支配者どもっ!

  そもそもトロッグ狩りの部隊を編成して一網打尽にしろよー。そしたら鉄のインゴット全部回収出来るじゃん。

  やれやれだぜー。

 

  ばぁんっ!

 

  私は引き金を引く。

  威力が高いっ!

  トロッグの頭が簡単に吹っ飛んだ。トロッグどももこの威力を恐れたのか、トロッグの輪が広がる。

  私は下がる。

  ドン。

  廃屋の壁が背に当たった。背後からは襲われないけどあまり良いポジションではない。

  逃げるに逃げれなくなる。

  何かが聞こえる。

  頭上から唸り声……くそっ!

  「きしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

  「ちっ!」

  廃屋の屋根の上からトロッグが飛び降りてくる。一匹だけど接近を許してしまったっ!

  人間臭い両手の動き。私を鋭い爪で掻き毟るつもり?

  タッ。

  私は踏み込む。

  手には刃。

  ザシュ。

  ナイフをトロッグの喉元に突き刺した。一匹始末完了っ!

  トロッグの輪が一気に狭まる。

  「寄るなっ!」

  引き金を引く。

  不用意に近付いたトロッグを吹っ飛ばした。これで目が覚めただろうよ、不用意に近付くと私は噛むわよっ!

  だけど展開は八方塞だ。

  「くっそ」

  壁を背に私は32口径ピストルを構えたまま毒づく。

  照準は手近なトロッグ。

  数が多い。

  多過ぎるので捌き切れない。

  誰だか知らない奴隷が所持していたこの32口径ピストルはカスタマイズされている。威力は高い。しかし所詮は単発だ。

  大多数を相手には向かない。

  場所もまずい。

  背には壁。

  つまり?

  つまり逃げ場がないって事だ。

  動きも鈍くなる。

  「ちっ」

  舌打ちするもののどうにもならない。銃を危険な代物として認識するだけの頭はトロッグにある模様。

  下手に襲い掛かって来ようとはしない。

  少なくとも私が発砲するまではね。

  こっちの銃が単発なのを理解はしているらしい。一度撃てば私は詰みだと判断してるようだ。

  まあ、そうね。

  数にモノを言わせて飛び掛ってきたら私に勝ち目はない。

  もちろん引き金を引かなくてもジリジリとトロッグは詰め寄ってきている。

  ……。

  ……詰みだね、こりゃ完璧に。

  やばいなぁ。

  生きたのは19年か。美人薄命って本当の事だったんだなぁ。

 

  「あんたっ! 眼を潰したくなかったらすぐに閉じてっ!」

 

  「誰っ!」

  女の声が突然響いた。

  瞬間、トロッグの数体が地にへばる。誰かが狙撃してる。

  色々と気になるものの声の通りに私は目を閉じた。

  そして……。

 

  かっ!

 

  瞼の向こう側で激しい光が弾けたのが分かった。

  トロッグの絶叫が響く。

  しばらくすると光が収まった。光は瞬間的なものだったらしい。閃光弾か。トロッグどもは全て引っくり返っていた。

  死んでる?

  死んでるようだ。

  光が弱点なのかもしれない。

  だけど誰がした?

  「よぉよぉ。大丈夫かぁ? 俺達がここに住んでてラッキーだったぜ、赤毛のお嬢ちゃん」

  「あたしは住んでないけどね。お宝探してるだけよ」

  現れたの2人。

  グールの男性と人間の女性だ。

  ……。

  ……てか誰?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新キャラ登場っすな(=゚ω゚)ノ
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