「ナル、夢見た」
麻衣さんの夢はただの夢ではない。
彼女に皆の視線が集まる。
「女の人が泣いてる。……『明に会いたい』って」
「それだけか」
ナルの問いかけに、麻衣さんは頷く。
「時間帯は?」
「あっ、暗かったから夜かも」
「バカ」
ナルにそういわれ、麻衣さんはむくれた。
「原さんを呼ぶ」
連絡から1時間後に彼女は到着した。
「実際に見てませんから、断言はできませんわ」
言葉の割に悠然とした表情で原さんはナルを見つめる。
「予測、で構いません」
その言葉を待っていたと言わんばかりの、艶やかな笑み。
「──生霊かと思われますわ」
「生霊って普通の霊とどう違うんですか」
安原さんが尋ねた。
「生霊は生きている人の魂の欠片。特定の誰かに執着するあまり自らの魂の欠片をその人にとばしてしまうんですの。欠片の送り主を説得しない限り生霊から解放されることはできないのですわ」
ということで、原さんとナルは元カノさんを説得しに行くことになりました。
麻衣さん、そこで悔しそうにしなくても……。
嶋田さんは「引越ししていなければ、ココのはずです」と言って住所を教えてくれた。
名前は上橋 佳奈。
念のために顔写真も見せてくれた。
可愛い系の人だった。
ナルと真砂子は依頼者の元彼女との話し合いを終え、嶋田さん宅へと戻るため歩いているところだった。
ちょうど家が見えてきた辺りで僕は嶋田さんと黒川さんに会った。
買い物に行っていたようだ。
「佳奈……何て言ってました?」
恐る恐る嶋田さんが聞いてきた。
「上橋さんも自分が生霊を送っていることには気付いていないようでした。強い相手への思いが知らず知らずのうちに生霊になっているというのはよくあることです」
「そうですか」
「『知らなかったとはいえ、迷惑かけてごめんなさい。これからは気を付ける』と言ってました」
それを聞いた嶋田さんは喜んでいたが、どうも腑に落ちない。
僕の思い描いてた「元カノ」のイメージ像と違った。
イメージはどこから来た?
呪いの御札、髪の毛の束…………動機は?
「──そうか」
背後で音がした。
砂利を踏む音。
他の三人は気付いている様子はない。
ゆっくりと振り返る。
「下がれ!」
僕らに気付かれたことを知った上橋さんは形容し難い雄叫びをあげて走ってきた。
手には銀色に光る──ナイフ。
「ナル!」
背後からリンの声が聞こえた。
逃げようにも、後ろには嶋田さん達と玄関扉。
PKを使おうにもチャージの時間が足りない。
ジ・エンドだ。
残された手段はない。
こんなところで終わってしまうなんて情けない。
「ナルっ!」
麻衣か。
目を閉じた。
僕にも怖いものがあるらしい。
死ぬのが、怖い。
ジーン、お前もそうだったのか?
「いやあああああぁぁぁ───────」
麻衣の空気を裂くような悲鳴が響いた。
後書き('ω')
今回は真夜特集!
▪真夜の服装
普段のバイト→パンツスーツ(季節によってジャケットも着たりシャツだけだったり)と黒パンプス
春夏の調査→白(汚れそうな時は紺)ワイシャツ、黒スキニー、綺麗め黒スニーカー
▪真夜の髪型
バイト→前髪ぱっつん、ポニーテール
調査→バイト時と同じか、ポニーテールをロープ編みしてお団子ヘアに
後書きにこういう小説に入れ込めきれなかった設定の様なものを書いていくかもしれません。