僕の腹にナイフが刺さる音ではなく、地面に重い物が落ちるような音がした。
目を開く。
「あれ?」
「ナル!良かった、良かったよ…………」
麻衣が抱きついてきた。
僕は、生きているのか?
少し離れた前方に真夜が倒れている。
不可解すぎる、まるで夢のようだ。
ナイフを持った女は滝川が取り押さえにいった。
リンは砂利の上に横たわる真夜の元へ向かう。
ナルを助けたのは真夜さんだ。
もう私も無理だと諦めたとき、真夜さんが横から走り出てきて鮮やかな飛び蹴りをかまし、ナイフを持った女が宙を舞った。
女が宙を舞っているとき、真夜さんはPKをあて、女は芝生に落ちた。
果たして、距離を稼ぐためだったのか、女に怪我をさせないためか……本人に聞かない限り分からない。
女はいいとして、真夜さんが落下したのは砂利の上。
大丈夫だろうか。
「真夜さん」
「痛たたたた…………」
ぱっと見ただけで数カ所は傷をしている。
打撲も酷いに違いない。
「間に合って、良かった」
真夜さんは上半身を起こす。
ナルの生存は聞こえてくる麻衣さんの声が伝えている。
「動けますか……?」
「えーっと、リンさんが肩貸してくれたら動けると思います」
真夜さんは苦い顔をしていた。
人は助けても、誰かを頼るのは苦手なのかもしれない。
「右ですか、左ですか?」
「右足首です、捻挫だと思うんですけど……」
ズボンの裾を上げて見てみたら、赤くなり少し腫れているようだった。
「分かりました」
真夜はリンに抱き上げられた。
少女漫画定番の「お姫様抱っこ」である。
「肩貸してもらえれば歩けます!」
「こちらの方が安全です」
いいいや、そういうことじゃなくてっ!
トリプル級に恥ずかしい。
いや、これはもう恥ずかしさでキュン死するとかどっかの誰かが言ってたけど、私もそんな風になるのかっ!
あ゛あ゛あ゛あ゛ー!
どうすればいいんだああああ!
でも冷静になって考えてみれば、リンさんも良かれと思ってしてくれてるんだよね?
恥ずかしがってたら、悪いのかも……
そう思って身を預けてみた。
見た目よりしっかりした肉体で、なぜだろう安心する感じ。
「どうしたの、真夜!?そんなにボロボロになって」
走ってきたのは綾子さんだった。
そう言われてみると確かにボロボロだった。
服は砂で汚れシャツは少し穴が空いている。
「応急処置お願いします」
リンさんはそう言ってから、ソファーの上に私を降ろしてくれた。
「リンさん、ありがとうございました」
「……いえ」
リンさんはいつも通り素っ気ない返事をし部屋を出ていった。
「女子の夢!『お姫様抱っこ』を叶えた気分はどう?」
興味津々という風の綾子さん。
「恥ずかしかった、です」
そりゃあ、本当に、もう。
「うぶねぇ~」
そうだ、忘れてた。
私が嶋田家から外出していた理由を。
「すいません、綾子さん。この庭の畑のところに鞄を放置しててその中にリンさんに頼まれていた書類が入っているので、そのことをリンさんに伝えて欲しいんです」
「りょーかい。手当するものも取ってくるから待ってて」
部屋には私一人になった。
見回してみると、豪華な照明、立派なソファー。
どう見ても応接間……だ。
「汚してたらどうしよ…………」
綾子が戻ってきて、真夜が痛みに耐えてる間、客間の扉には“治療中 男入室禁止”の貼り紙がされていた。
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│ │ │ 木
│ 芝 │ 砂 │ 木
│ │ │ 畑 木
│ 生 │ 利 │ 木
│ │ │ 木
├───┴───┴───┤
│ 嶋 田 家 │
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嶋田さん宅の図です。
前に大きく庭を取るタイプですね。
因みに玄関は家(建物)中央にあります。
行間がとられているので、縦の線は繋がりませんでした。
お使いの機種によっては正常に表示されないかも……
その時はすいません。
木のとなりは道、芝生の隣は隣家です。