「どうして高校は通信制にされたんですか」
ナルが彼女に尋ねた。
「PKの源が溜まりすぎるのが原因です」
聞いていた一同が「???」となったのを見て、彼女は鞄から数枚の写真を取り出した。
植物が植木鉢やプランターに植わっているのだが、通常のチューリップや大根には見えなかった。
「これは?」
ナルが写真を手に取りながら言った。
「溜まりすぎたエネルギーを植物に移して、PKの暴走を止めていたのです。そうすると、このように肥大化、異常成長したんです。これなんて、本来は大根なのにまるでカブのようでしょう」
彼女は写真を指さしながら言う。
「なるほど、大変興味深い」
ナルの目が、良いデータがとれた時のそれになっていた。
「ナル、真夜さんに興味持ってるね」
綾子がティーカップを洗いに行って戻ってきて立っていた麻衣に耳打ちした。
「そうだね」
麻衣は素っ気なく返した。
彼女は朝エネルギーを移しても午後には溜まってきて暴走しないようにするのが大変だったので、高校は定時制にしなかったと説明した。
「そのエネルギー、人間にも移せますか?」
「やってみないと分かりませんが、出来るかと思われます」
ナルが手を差し出す、彼女が手を添える。
リンはサイコメトリを心配したが何も言わなかった。
「どうでしたか?ヒト相手にはしたことなくて……」
「問題ありません、成功しています」
ナルのその言葉に、彼女はほっとした様に少し笑顔になった。
ナルは久々に興奮していた。
死んだ兄、ジーンしか出来なかった「トス」が彼女は出来た。
驚いたことに、彼女はPKの持ち主であり、増幅の機能も持つ。
それだけ燃費が良ければ、エネルギーが有り余るのも仕方ない。
ナルとジーン2人でしていたことが、彼女は一人でできる。
「おい、ナル、すげえ嬉しそうじゃないか?」
ナルの微細すぎる表情の変化が読めるようになってきているSPRメンバーにはそれがよく分かり、滝川の呟きに皆、心の中で激しく同意するのだった。
「では、最後に一つだけ。まだ15歳なのに、どうして一人暮らしをしているのですか」
「「「15歳!?」」」
ナルに彼女が答える前に麻衣と綾子と滝川が同時に突っ込んだ。
どう見ても28歳OLにしか見えない。
それが彼らの総意だった。
「彼らのことは気にせず続けてください」
「ええ……。両親とは仲が悪くて「なんで親御さん元気なのに一緒に暮らさないの」
彼女の言葉を麻衣が遮って言った。
「親はいつまでも生きてるわけじゃないんだよ、進学の為でもないのに、どうして!?」
直情的な麻衣は初対面の相手ということもあり、なんとか理性で押さえつけ叫ばなかったものの、怒りと悲しみが滲み出ていた。
「麻衣、やめろって。人には色々事情があんだよ」
滝川の発言を聞いた麻衣は、困った顔をした金髪の彼を睨んだ。