寒さも大分身を潜め暖かな日が続く中今日も喫茶店 はち は開店する。
「この辺のはずなのだけれど…」
「なぁ、お前」
「ひっ、ん!んん!なにかしら、ただのナンパなら酷い目にあうわよわたしが」
「お前がかよ…。いや、お前雪ノ下雪乃だろ?」
「なんで私の名前を知っているのかしら?もしかしてストーカー?」
「おいやめろ携帯から手を離せ。お前の姉から聞いてたんだよ…。雪乃ちゃんは方向音痴だから大通りまで見て回ってくれない?ってな」
この面倒くささやっぱり姉妹なだけあるわ…。
「そう。お迎えご苦労様比企谷くん」
「なっ!お前俺のこと知ってんなら最初のやり取りはなんだよ…」
「姉から比企谷くんはからかうと面白いと聞いていたのよ」
「やっぱお前ら面倒くせーわ…」
「ふふっ。とりあえずお店に案内してもらえるかしら」
「あぁ。迷子になんなよ」
☆☆☆
「ご注文は?お客さん」
「紅茶をもらえるかしら」
「茶葉は?定番のアールグレイでいいか?」
「えぇ。お願い」
「ほれ」
「あっ美味し…。」
「だろ?妹が紅茶好きでな。家でもよく淹れてんだ」
「見た目に似合わずとはこのことね」
「うるせ」
「もっと真面目な格好したらいいのに」
「色々あんだよ、色々な…」
「そうね、ごめんなさい失言だったわ」
「いやいい気にすんな」
「それよりあなた高校は?」
「総武高校に席はあるな。留年しない程度に行ってる程度だが」
「驚いた。一緒なのね。と言っても私国際教養科のクラスだから面識がなくても不思議ではないけれど」
「そうか。俺はこの店もあるし学校終わったらすぐこの店開かなきゃだからな」
「なるほど、だからこのお店は営業時間が書いてないのね」
「あぁそれもある」
まぁ1番の理由は俺の気分次第なんですけどね。
「大変なのね。も、もしよかったらこのお店手伝ってあげてもいいのよ?」
「やめとけやめとけ。大体この立地のせいで大して忙しくもねーからな」
「…そう」
「なんでちょっと寂しそうなんですかね…」
雪乃がこう言うには理由があった。
☆☆☆
それはもう1年程前になるだろうか。
私は勉強に使う教材を買うため市内のショッピングモールを訪れていた。
そこで、クラスの子達が不良に絡まれてるのが見えた為仲裁に入っていた。
「そこまででやめなさい」
「あ?なんだお前?」
「私はそこの子達のクラスメイトよ。貴方みたいな不良が絡んでいるのが見えて仲裁に入った。ここまで言えばいいかしら?」
「お前おちょくってんのか?」
「おい、やめろ。女相手にムキになってんじゃねーよハゲ」
最初、その人は不良の仲間なのかと思ったがどうやら違った様子だった。
その人はわざと不良を挑発し、相手をしてくれていた。
目があった。手をヒラヒラさせている。あれは立ち去れといったことでいいのかしら…。
何か声をかけようとしている時、クラスメイトに手を引かれそれは躊躇われた。
あの人のおかげで助かったのかもしれないがそれはまた同時に私の心に強く残った。
鷹のように鋭い目。
それが1番印象強かった。
後日、姉に話したら物凄く怒られたのも記憶に残る一因だったのは私だけの秘密だ。
1年後、姉に勧められた喫茶店に出向いた。
声をかけられた時驚きのあまり普段では出さないような声まで上げてしまった。
あの時とは違い、目つきを隠すように眼鏡をしていたがよく見るとあの時の人だった。
私のことは覚えていないようであの時のことを言い出すのは躊躇われ、つい誤魔化してしまった。
しかし、姉が言っていたお気に入りの喫茶店の店主がこの人なんてとんだ偶然ね。
☆☆☆
「ねぇ、あなた前にショッピングモールで喧嘩しなかった?」
「喧嘩売られるのなんて結構あるから覚えてねーな。なんでだ?」
「いえ、覚えてないのならいいの」
「はぁ。陽乃さんといい、お前といい。よくわかんねーやつだな…。」
「ちょっと待って。今私の姉のこと陽乃と呼んだ?」
「お、おう。お前の姉にそう呼べって言われたからな」
「そう。じゃあ私のことは雪乃でいいわ」
「は?」
なんなの?姉のこと名前で呼んでるのが気にくわないの?負けず嫌いなの?
「いや、かしら?」
「その言い方はズルいだろ。雪乃」
「ふふ、ごめんなさい」
「ほれ、もう店閉めるから帰れ帰れ」
「もう閉めてしまうの?」
「あぁ。今日はあんまり客も来そうにないしな」
「…そう。それじゃあまた来るわ。色々と”ありがとう”」
「ん?あぁ。ありがとうございましたまたのご来店を」
「えぇ、またね比企谷くん」
「じゃあな、雪乃」
今日もこうして喫茶店 はち は閉店していく。
次はどんなお客様に巡り合うのだろうか。
次のキャラは決まってないので希望がありましたらコメントまで。
期待に応えられなかったらごめんなさい。