角の無い鬼と幻想郷   作:暇人(暇では無い(´・ω・`))

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第2話 「藤原妹紅と地獄絵図」

 

 朝起きると、妙な胸騒ぎがした。

 まるで友人(かぐや)がどこか遠くへ行ってしまうような・・・。

 しかし、昨日約束したのだ。私は約束を守れないような女では無い。仕方ないので、今日は最近通っている美味しい団子屋さんにでも行って1日ゆっくりしよう。

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「おっちゃーん、みたらし2つちょーだーい」

「お、優。今日も来たか。全く、毎日来るのはお前ぐらいだぞ?」

 

 はいよっ。とおっちゃんがみたらし団子をくれる。

 流石に毎日は来すぎなのかもしれないが、全てはここの団子が美味いのが悪い。私は悪くねぇ!

 ・・・っと、見ない顔がある。

 白い綺麗な髪だ。輝夜は黒い透き通るような髪が綺麗だが、この子の白い髪も非常に綺麗である。私は・・、気にしてはいけない。

 おっと、話が逸れた。最近はずっとこの団子屋に通っているので、良く来ている客はみーんな覚えてしまった。

 しかし、お金が無いのだろうか。私の特等席にポツーン、と座っている。ここは一つ、団子を利用して輝夜以外にも友達を増やす作戦を実行する!

 

「あのー、ずっとそこに座ってるけど、誰か待ってるの?良かったらお団子食べる?ここのお団子、美味s」

「いらない。」

 

 おおう、初っ端から私のHPを半分近く削る攻撃を繰り出してきやがった。本当は私に言ったのだろうが、何故か団子を侮辱されている気がして無性に腹が立つ。

 しかし、ここは『優』の名の通り、優しく接しなければ。私の友達を増やす作戦が失敗してしまう。

 

「・・、横、座るね。」

「・・・。」

 

 ・・、気まずい。とにかく隣に座ってはみたが、喋る事が無いので黙っているしかない。うう、沈黙が辛い・・・。

 うーん、喋る事が無いなぁ・・・。

 

「・・・、あんたはさ、あんたに優しくしてくれる人っている?」

 

 むっ。話を振ってくれたことは嬉しいが、いきなり人をあんた呼ばわりとはいけない子である。ここは常識を教えて上げるべきか。いや、ここは会話を繋げなければ。

 

「そうだね・・。まあ一応はいるかな。って言っても親はいないし二、三人いるかいないかぐらいだけどね。」

 

 そう言って、私は苦笑する。隣の子は一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐに元の暗い表情に戻る。

 ふむ、この子は何か訳ありと見た。勘ではあるが、何故かそんな気がする。

 

「私さ、お父さんに捨てられたんだ。」

「・・!そりゃまたどうして?」

「まだ決まった訳じゃないんだけどさ、最近ずうっとあそこにあるおっきな屋敷に通ってるんだ。噂じゃああそこには絶世の美女がいるらしいし。だからきっと、お父さんは私を捨てちゃったんだ。」

 

 彼女の指さす方向を見ると・・・。なるほど。あれは輝夜の家だ。となると、今日の外せない用事があるってのは求婚を断るからか。

 

「だからさ、私、家出したんだ。使用人さんがお昼を持ってきたすぐあとに。」

「ふーん。んじゃあ今頃使用人さん達は大慌てだろうねぇ・・。」

「そんな訳ないよ。あの人たちはお父さんに金で雇われただけ。私に優しくする理由はないし、私がいなかったらいなかったで仕事が楽になるんだから。」

「・・・、人の繋がりって、そんなに脆いもんかねぇ・・。」

「ん、何か言った?」

「いんや、何も。あ、お団子食べる?」

「ん・・・。じゃあ貰っとく。」

 

 話して落ち着いたからか、お団子をようやく食べ始めた。

 気に入ったらしく、はむはむと一心不乱に食べている。団子は身分を超えるのである。(`・ω・´)キリッ

 しかし、彼女の話を聞いていると、何故か昔の事を思い出してしまう。

 ・・・、ダメダメ、考え事してたら時間はどんどんすぎて言ってしまう。もっと会話しないと友達にはなれない。

 

「あなた、名前は?」

「『藤原 妹紅』(ふじわらのもこう)。そういうあんたは?」

「人をあんた呼ばわりしないの。優っていうの。」

「ふーん。あ、まだお団子あるんじゃん。もーらいっと。」

「あーっ!それ私のみたらし団子ぉ!」

「食べておかないのが悪い。」

「ぐぬぬぬぬぬ・・・。おっちゃーん!みたらしもう2本!!」

 

 食べすぎだぞー、という声が聞こえる気がするが、きっと幻聴だろう。お金には余裕があるし、糖分を取らなければ乙女は死んでしまうのだ。

 

「はいよっ、お待ちぃっ・・・と、藤原さん所の娘さんじゃねえか。どうした?」

「あ、まあ色々あってね。」

「・・・、優。お前の色々は信用ならんが、いらんことをするなよ?」

「そこら辺の常識は弁えてますよーだ。」

「はぁ・・。嬢ちゃん、こいつがちょっとでも変な動きをしたらすぐに呼んでくれよ?」

 

 全く、おっちゃんはああいう所があるからモテないのである。細かいことを気にする奴は嫌われるのだ。主に私にだけど。

 

「ねえ、優。今日の夜、暇?」

「ん?んー、どうだろ。多分暇じゃないかな。」

「わかった。じゃあ今日の夜、ここに来てよ。」

「ん、いいよ。何かあるの?」

「その時まで秘密。」

「ふーん。んじゃあまた今晩ね。」

「じゃあね〜。」

 

 そう言って、妹紅と別れ、家へと帰る。

 とは言っても、今日のメインイベントである『団子屋でほのぼの』は終わってしまったので、する事が無い。

 ・・・、寝よ。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 ドンドン、ドンドン、と扉を叩く音がする。

 窓を見ると、まだ昼間であり、やけに明るい。

 はいはぁーい、と扉を開けると、

 

「あれ、妹紅じゃない。どしたの?まだ昼間だよ?」

「寝ぼけてる場合かっ!屋敷がすごいことになってるんだよ!」

「屋敷がぁ?」

「なんて言うか、説明しづらいからとにかく来て!」

 

 なんのこっちゃ。(´・ω・`)

 話を聞いても今ひとつ話が飲み込めないが、妹紅が嘘をつくとは思えないので、信じるしかない。

 妹紅に手を引かれ、走っていると、

 

「何かね、空から何か降ってきて、それが屋敷に落ちたの。」

 

 ・・・前言撤回。どうやってこの証言を信じろと。

 空から何か降ってきたって・・・、何かってなんだ。

 

「んでね、それが落ちたら急に光を放ってね、それを浴びたらみんな倒れちゃったんだよ。」

 

 おおう、初っ端から急展開。しかし、その光を真っ向から浴びてる私達は一体どうなっているのか。

 

「だからさ、気になって行こうと思ったんだけどさ、何か1人じゃ心配だったからあんたを連れてきたってわけ。」

「・・・、つまり私はただで雇われた妹紅の用心棒ってわけ?」

「あ、大丈夫。そんなに頼ってないから。」

 

 うう、私の豆腐メンタルが着々と削られてゆく...。

 しかし、さっきから変な音が屋敷から聞こえてくる。

 

「なんの音だろうね?」

「ちゃっかり心を読むのはやめて。」

 

 全く、人間はみんな〇スパーなのだろうか。いや、実はさとり妖怪だったのか。

 それよりも、屋敷に近づけば近づくほど光は強くなっていく。こんなことになるんならお気に入りの番傘でも持ってくれば良かったかなぁ。

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「さて、屋敷に着いたわけだけど、妹紅。」

「なんで止まるの?早く行こうよ!」

「いや、凄くまずい気がするからさ。どうする?引き返すなら今しかないけど。」

「ここまで来て何言ってんの!馬鹿なこと言ってないで早く行くよ!」

 

 ・・・、一瞬、真剣に後戻り出来ない気がした。

 いつもみたいに適当に言ってるわけじゃない。この屋敷に入れば、何かを失う。そんな気がした。

 まあ、そんな事を考えていてもこの光が収まる訳では無い。レッツ、潜入である。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 ・・・一言で表すと、中は『地獄絵図』であった。

 見たことのない武器。それが刺さり、息絶えている者、首から上が無い者。片足を失い、地面を這いずっている者、いくつも出来ている血溜り...。

 ぐっ、と吐き気がこみ上げる。隣の妹紅は青い顔をして固まっている。先程までの元気が嘘のようであり、今にも吐いてしまいそうである。

 とにかく、進むしかない。外がこの様子だと、輝夜は、きっと、もうーーー。

 

 ーーーいや、そんな筈は無い。輝夜のことだ。きっと生き延びて、いつもの様にニコッと笑ってくれるのであろう。

 だから私は、輝夜の元へ急がなければ。

 

「妹紅、大丈夫?」

「・・・、行くしか、無いでしょ。行こうって言ったのは、私・・、なんだから。」

「ほんとに、大丈夫なの?」

「・・・、大丈夫。」

「わかった。行くよ。」

 

 よく良く考えれば、何故この時生きていられたのかが不思議である。仮にも片方は鬼とはいえ、未知の武器を相手にして生きていられるとは考えにくい。

 せめて薙刀ぐらい持っていけば良いのに・・・、と思う。

 

「・・・!!」

「ん、どした、妹紅?」

「あ、ああ・・、こ、これ・・。」

 

 妹紅の指さす先を見ると、そこには人であったモノが転がっていた。原型をとどめていないところを見ると、相当酷くやられたらしい。しかし、妹紅が気づいたのはそこでは無かった。

 

「このお守り、私が、父の、日にあげ、た・・・。あ、ああ、あああああああああ!!!!!」

 

 もう、目を伏せるしかなかった。

 自分では捨てられたと思っていても、父は父である。

 愛情は足りなくとも、手塩にかけて育ててくれた家族ざ目の前で原型をとどめずに死んでいるのだ。ショックどころの話ではない。

 

「妹紅・・・。」

「わかってる。行こう。」

 

 ・・・!この立ち直りのはやさ・・。将来大物になるかもしれない。なぁんて言っている場合では無い。全く、私は何を考察しているんだか。

 

 

 

 

 

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