IS〈インフィニット・ストラトス〉宿命を変える奇跡の双騎士   作:《陽炎》

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タイトルの一夏はひとなつと読みます。紛らわしいですが、いちかではありません。


第17話 夏は変わらず一夏のまま

「まったく……お前という奴は本当にお人好しだ」

 

呆れを含んだ声色で私はそう述べる。あの転校生……一季がオルコットとの揉め事の際に椅子を壊しその場を去った後、どうしたものかという気まずい雰囲気が教室を覆う中、一夏はそれを払拭しようと自ら事の報告を行うからと発し、今し方その件を担任の千冬さんに報告し終えた所だ。私が共に居る理由は、べ、別に一夏と共に居たいからという理由ではないぞ!一夏1人でしっかり説明出来るかどうかをこの目で確認するためだからな!……可笑しい、私は何故言い訳じみた事を考えているのだろう?別に誰かに聞かれた訳でもないというのに……うーむ、実に謎だ、幼い頃に読んだ古文の小説並みに謎だ。最もいまではその古文は理解し読めるのだが、こんな考えをしていた理由は理解出来ない。

 

「けどなぁ、あのままほったらかしとく訳にもいかないだろ」

 

私の言葉にそうあっさりと返事を返す。誰もやらないなら自分がやる、こういう所は昔から変わっていない、。あの時もそうだった、その話は私達が小学2年生の6月のある日に遡る。私と一夏は出会った当初から仲が良かった訳ではない、私は昔からお世辞にも人付き合いが得意とは言えず、寧ろ苦手と言える人間だ。それ故か一夏とも当初は馬が合わずにいた。理由は私にもわからないのだが、初めて一夏と会い後に家の剣道場に来て通い始めてからも何故かはわからないが、どうにもこうにも馬が合わなかった。因みに千冬さんについてだが、あの人相手に馬が合うも合わないもない、絶対敵に回したくはないという畏怖の念は幼からず抱いた。それまで剣道の腕では私のほうが上で

 

「今日こそ俺が勝つ!」

 

「ふんっ」

 

来る日も来る日もそう意気込む一夏の太刀を竹刀で防ぎ、薙ぎ払い、受け流すと

 

ベシッ! バシッ、バシィ!

 

隙を見て私は一振り一振りを確実に一夏の面小手、胴、面に叩き込んで勝利を勝ち取っていた。

 

「あ、明日こそ勝ってやる!」

 

「ふんっ。その台詞、もう聞き飽きた」

 

……いや、待て。ここまで私は愛想のない子供だったか?しかし記憶いう箱を叩いて揺さぶる様に思い返ししみても、出てくる思い出はそういった物ばかりだ。い、いや。いくらなんでもそんな思い出ばかりではない筈だ。ま、まぁ話を戻すとして、そんな日々が続いた6月のある日の放課後、私の中で一夏への認識が劇的に変化を遂げた。

 

 

 

 

 

「やーい男女~」

 

「今日は木刀持ってないのかよー」

 

「……竹刀だ」

 

放課後の教室にて幼いながらに凜とした雰囲気を醸し出している箒が男子達に馬鹿にされている。幼い頃より武士に憧れ剣の道を志していた影響からか女子にも関わらず男じみた口調や振る舞いをしている箒は男子にとっては格好の的だったのだろう、3人の男子が男女と箒をからかい馬鹿にして絡んできた。

 

「しゃべり方も変だもんなー」

 

「やーい、男女男女~」

 

「……………」

 

嘲笑に対して言い返す気にもならなかったのか、箒は沈黙したまま。腹も立つ気にならなかったのだろう。

 

「うっせーなぁ。お前ら暇なら帰れよ。それか手伝え」

 

その時一夏は1人で教室の掃除をしていた。自分以外の登板はサボって帰っていたのに対して一夏は1人黙々と教室を掃除していた。誰かがやらなければ自分がやるだけ、当時からそんな性格だった。

 

「何だよ織斑、こいつ庇うのか?」

 

「お前男女の味方かよ?」

 

「こいつこの男女の事好きなんじゃねー?」

 

男子達は一夏もからかい始める。今そんな台詞を言われれば箒は反応するだろうが生憎その時の箒にはそんな感情はなかった、せいぜい同門という認識だ。

 

「掃除の邪魔なんだよ。手伝わないならどっか行けよ」

 

鬱陶しそうに掃除を続ける一夏に男子達は更に絡んでいく。

 

「へっ。何真面目に掃除なんかやってんだよ」

 

「バッカじゃねーの……おわっ!?」

 

「真面目にやる事の何が悪い?お前達の様な輩より遥かにマシだ!」

 

その言葉を聞いて漸く腹が立ったのか、箒は男子の服の胸倉を掴み上げる。ひたむきに剣道に打ち込んでいる箒には、真面目にやっている人間が不真面目なに嘲笑われるのが我慢出来なかった。

 

「な、何ムキになってんだよ。放せ、放せよっ!」

 

「あーそうか、やっぱりこいつら夫婦なんだ。俺知ってんだぜ、お前ら朝からイチャイチャしてるだろ?」

 

「そういえばこの間なんかリボンしてたよなぁー。男女のくせに、笑っちまうよなー」

 

残りの2人はそんな箒の行動を目にするなり再び箒を標的に据える。今そんな事を言われたらならば顔が赤くなるのは間違いないだろう。たがそ時の箒はさして気にもとめてなかった。

 

「こんな男女はやっつけちまわないとな!」

 

そう言って1人の男子が机に立てかけられていた箒を手に……念の為言っておくが掃除するためのみ箒であって断じて箒の事ではない。話がそれたが、その男子が初心者丸出しの構えから箒目掛け振りかぶってきたその時だった。

 

「ふごっ!?」

 

一撃とは言うに値しない攻撃を交わそうとしていた時、その男子の頬に一夏の拳が直撃し、そのまま倒れこんだ。

 

「……笑える?何が面白いんだよ?あいつがリボンしてたら可笑しいのかよ?いけないのかよ?すげえ似合ってただろうが!」

 

「て、てめー!やりやがったな織斑!」

 

殴られた事に腹を立てた男子達は、3人がかりで一夏を叩きのめそうとするが、家の道場や千冬に鍛えられていた一夏には適わずあっけなくやられた。そんな喧嘩を止めるでもなく箒は只々一夏を見ていた、いや見取れていた。その時からだ、一夏に対しての思いが変わり始め好意を抱き始めたのは。その後教師に見つかり一夏もやり過ぎた事で叱られ、叱られるのが終わった後は特に会話もする事なく、そのまま2人は道場への帰路を歩んでいた。

 

「何やってんだよ篠ノ之?急がないと稽古に遅れちゃうだろ。お前のとーちゃん厳しいんだしさ」

 

「……織斑は馬鹿だ」

 

何時もより足取りが遅い箒に一夏はそう急かしてくる。それに対して箒は口を開くなりこの言葉、昔から素直になるのは苦手な模様。

 

「何が馬鹿だよ、馬鹿じゃねえよ馬鹿」

 

「あんな事をすれば後で面倒になるとは考えないのか?ましてや馬鹿にされてたのは私で、お前は無関係じゃないか」

 

所々幼い少女とは思えない堅い口調だが年相応の面も含む話し方で問いかける。箒の言う通り後日、一夏にやられた男子達の親が騒ぎ立ててくるのは別の話だ。

 

「あぁ、考えねーな。複数で嫌がらせするってのが気に入らねえ。あんな奴ら見てるとイラっとするんだ」

 

「……………」

 

一夏のそんな言葉をただ黙って聞いている箒。幼くても自分なりの信念を持つ一夏の言葉を真面目に聞いている。

 

「だからさ、あんな奴らの言ってた事なんか気にすんなよ?前付けてたリボン似合ってたからまた付けろよ」

 

「……っ」

 

笑顔でそんな台詞を吐く一夏に箒は顔を赤く染める。この言葉と笑顔の時点で箒は確証を得た、織斑……否、一夏の事を好きになったと。それにしても幼い頃からこんな事を言う一夏、この頃より片鱗を出している。

 

「ふ、ふんっ。リボンをするかしないかは私の自由だ!」

 

「ふーん……まぁいいや。急ごうぜ篠ノ之」

 

照れを露わにしている様子の箒を普段通りに受け流している一夏、三つ子の魂百までとはよく言ったものだ。

 

「……だ」

 

「えっ?」

 

「私の名前は箒だ、いい加減覚えろ。大体道場は父も母も姉も篠ノ之なのだ、紛らわしいだろう。だから、次からは名前で呼べ……いいな?」

 

意を決して箒が一夏に告げたのは自分の事を苗字ではなく名前で呼ぶようにという物。好きになった人に名前で呼んで欲しいという素直になれない少女の精一杯の頼み事だ。

 

「わかった。じゃあ俺の事も名前で呼べよな」

 

「な、なに?」

 

「だから名前だよ、織斑は2人いるから俺の事も一夏って呼べよな」

 

同じ苗字の人間が居てやややこしいから名前で呼ぶように言うならば、自分の事も名前で呼べ。理由は箒の言っている事と同じである。

 

「う……む」

 

「よし。ほら、早くしないとホントに遅れるぞ箒」

 

「わかっている。い……一夏っ!」

 

あっさり名前を言う一夏に対し、照れて叫ぶ様に名前を発した箒。そんなやり取りを交わしながら2人は急いで道場へと走っていった。

 

 

 

 

 

「どうしたんだ?箒」

 

「な、なんでもないっ」

 

思い出に浸っていた私にどうしたのだろうと伺う一夏。私のこの返事に、そうか。と特に気にする事なく納得する。……まったく、本当に昔から変わっていない。改めてそう実感した。こういった点は変化していても構わないというのに……私の幼なじみは6年の月日が経ち見た目は子供から青年へと成長しても中身は子供の頃と余り変化していない。そんな認識をしつつも食堂へと辿り着いた私と一夏は、頼んだ日替わり定食を受け取るとテーブルへと移動する。ふむ、今日は鯖の塩焼きか。そのまま席へと着き昼食を食べ進めていく。うむ、これは美味い。此処の料理は実に美味と言える。

 

「織斑君、隣いいかな?」

 

昼食を半分以上食べ終えた所に誰かが話しかけてくる。啜っていた味噌汁の器を置いて見てみると今朝話しかけてきたクラスの面々だった。

 

「あぁ。別にいいけど」

 

一夏のその了承の一言を聞くなり席へと座っていくクラスメート達、こういう事をデジャヴというのだな。朝の光景とまったく同じだ。

 

「朝から聞こうと思ってたんだけど、織斑君と篠ノ之さんが幼なじみって本当?」

 

この機会を逃すものかと谷本が2つに分けた褐色の後ろ髪を揺らしながら聞いてくる。あの時は千冬さんに急かされ聞けなかったから此処で聞こうという事なのだろう。

 

「あぁ、本当だぞ。なぁ箒」

 

「別にそんな大げさなものではない。同じ学校に通い、同じ道場で剣を学んだだけだ……」

 

否定する事でもないので認める台詞を伸べる。この事は寧ろ自慢したいくらいなのだがそれは少々恥ずかしいのでしない。というより認めているこの時点で照れが生まれている。私達が認めるなり、谷本達は渇望の眼差しで私を見た。

 

「織斑君と幼なじみかぁー。いいなー」

 

「ねぇねぇ篠ノ之さん、織斑君のとっておきのエピソードない?」

 

「あっ、それ私も聞きたい!」

 

質問をぶつけてきた鏡に羨ましがっていた谷本も便乗して私に詰め入る様に尋ねてくる。こういう女子特有のノリには正直ついていけない事がある。私も同じ女子ではあるが、同世代とは感性等が合わない事が多いのだ。

 

「ねえ、君って噂の子でしょ?」

 

そんな中、いきなり1人の女子生徒が一夏に話しかけられた。見るとリボンの色が私達とは違う、リボンの色ついてだが1年は青色、2年は黄色、3年は赤色だ。赤いリボンをしている所を見ると3年生のようだ。どこか人懐っこい顔立ちをしていて容姿もだが雰囲気も大人びている。私とは丸で対局の人間性だな……

 

「はぁ……多分そうですけど」

 

「そうです先輩!」

 

「彼こそが世界でISを動かせる2人の男子の内の1人!」

 

「奇跡の男織斑一夏君です!」

 

一夏が恐らく自分の事なのだろうと返答していると、谷本達が本人よりも遥かに高いテンションで一夏の自己紹介をする。その光景に先輩も若干呆れを見せていた。

 

「ところで君、代表候補生の子と勝負するって聞いたけど……ホント?」

 

「はい。そうですけど、それが何か?」

 

一夏がそう返すと先輩はテーブルに腰掛けて一夏の方を見る。マナー違反な上に一夏が見えなくなりいい気分がしない。

 

「でも、君素人だよね。ISの稼働時間はいくつ?」

 

「……えーっと、20分くらいかと」

 

「それじゃあ無理よ♪」

 

語尾に音符がついていそうな明るい口調で言いながら人差し指で一夏の鼻を軽く突っつく。おのれ馴れ馴れしい!実に羨まし……いやけしからん!

 

「ISって稼働時間が物をいうの。対戦相手は代表候補生なんでしょ?なら軽ーく300時間は動かしてるわよ」

 

先輩が説明した通り操縦時間に比例しISも強くなってゆく。専用機ならば尚更操縦者に合わせて進化していくのだ。

 

「たがらさ、私が教えてあげよっか?ISにつ•い•て」

 

そう言いながら一夏に接近し右手の指で一夏の首から顎にかけて撫でる様に触り今までよりも艶を帯びた声色で話しかける……これは、これは間違いない。ISを教えるという名目で一夏に近付きあわよくば誘惑するつもりだ、一夏を見るその目は紛れもなく獲物を見詰めるそれだった。己、いくら先輩とはいえ、そんなけしから……羨ましい事をさせるかぁ!

 

「結構です。私が教える事になっていますので」

 

一夏が先輩の誘惑に良いあぐねている間に私は席から立ち上がり、宣告するかの如く先輩にそう告げる。

 

「あら、でも貴女も1年でしょ?3年の私の方が上手く教えられると思うなぁ。貴女、ISでの模擬戦の経験あるの?」

 

「……………ありません」

 

「あら、模擬戦の経験もない1年生がどうやって私より上手に教えるつもりかしら?」

 

先輩は余裕の笑みを浮かべながら此方を見ている。確かに私はISでの模擬戦経験はない、先輩の方が上手く一夏に教える事が出来るだろう。だが……

 

「……………私は、篠ノ之束の妹ですから」

 

こんな手だけは使いたくなかった。恨みの感情すら抱く姉さんの名前を使う事だけは……姉さんがISを作り出したせいで私は一夏と離れ離れになり重要人物保護プログラムにより西へ東へ転校させられ気が付けば家族は離散し、幾度も監視と聴取を行われた。しかもその原因の当の本人は何処へ行方をくらませたのか現在も各国で手配中、そんな姉さんの事が私は嫌いだ。だが今の私はそんな姉さんの名前を使ってまでこんな事をしている。

 

「篠ノ之って……ええ!?まさかっ……」

 

「そうなんです先輩!我が1年1組にはっ!」

 

「世界でISを動かせる2人の男性にして初代モンド・グロッソ覇者ブリュンヒルデこと織斑千冬の実弟織斑一夏と」

 

「世界屈指の天才科学者でありISのコアを唯一作り出せるISの開発者篠ノ之束の妹篠ノ之箒という2人の天才がいるのです!」

 

「そ、そう……それじゃあ仕方ないないわね」

 

谷本達のハイテンションな説明もあり、私がIS開発者篠ノ之束の妹だと理解すると、先輩はテーブルから離れて食堂から去っていく。既に昼食を済ませていた谷本達も雑談を交わしながら食堂を後にする。

 

「箒……」

 

一夏が私の名前を呟いた。……勝手に見栄を切ってこんな事を言い出したのだ、文句を言われても仕方がないな。

 

「いやー助かったぜ。あの先輩押しが強そうな人だっからどうしようかと思ってたんだ」

 

「……一夏」

 

「しかもISの事まで教えてくれるなんてな。よろしく頼むぜ、箒」

 

身勝手な事を言った私に対して一夏の口から出たのは責めるではなく逆に感謝の言葉。

 

『……………私は実に馬鹿だ……』

 

それが尚更私の中の後悔と罪悪感を増幅させる。あの先輩は3年生、ISに触れ動かしている時間は彼女の方が圧倒的に長い。目的がどうであれ、間違いなく一夏の良きアドバイザーになったであろう。それを私は一夏を他人に取られたくないという身勝手な欲望で邪魔をしてしまった。嫌っている姉さんの名前を使うという愚かな事をしてまで……一夏はプライドを賭けてオルコットと戦わねばならないというのに……

 

『……でも』

 

私は一夏を誰かに取られたくはない、あの時から8年もの月日の間ずっと思い続けていたんだ。ならば……

 

「……一夏」

 

「ん?」

 

「今日の放課後剣道場に来い。一度腕がなまってないか見てやる」

 

「えっ?教えてくれるのはISの事じゃ……」

 

「見てやる」

 

「わ、わかったよ……」

 

その後は共に残りの昼食を食べ進めに掛かる。自分の我が儘であんな大見得を切ったのだ、今更後には退けぬ。ならば答えは1つ、私が一夏の役に立てば良い。

 

『私は、私の持てる全てをぶつけて一夏をサポートをする』

 

今の今の私に見いだせる最善の作、それは一夏がオルコットに勝てる様に全力でサポートする事だ。

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……しかし、まぁ……強くなったな、箒……」

 

「ふぅ……当然、だ。これでも全国優勝者だぞ……」

 

此処は放課後の剣道場。面を外し床に座ると、息を切らす程疲弊した体を休めながら互いを称え合う。一夏の剣の腕を確かめようと2時間近くは休みもせずひたすら打ち込みあったが、その腕は衰えてはなく寧ろ腕を上げていた。私も鍛錬を重ね全国大会を優勝する程にまでになったが、一夏も同じ位、もしかすればそれ以上に強くなっていた。

 

「これ程強くなるとは……私が転校してからも剣道に打ち込んでいたのだな」

 

「いや……暫くの間剣道辞めてたよ。中学も帰宅部立ったし……」

 

「な、なんだと!?それはどういう事だ!」

 

鍛錬を積み重ねていたのだなと頷いていた私の耳に飛び込んで来たのは一時期剣道を辞めていたという言葉。その事を聞くなり私は息も切れ切れに声を荒げ一夏問い詰めていた、あれだけ打ち込んでいた剣道を何故辞めたのか!?と。一夏の名前で呼び合う間柄になってから一夏はどんどん強くなっていった、私が何度挑んでも返り討ちに遭い何時の間にか挑む者と挑まれる者の立場が180°逆転していた。以来一夏の隣に並び立ちたいと日々剣に打ち込んできたのというのに……

 

「いや、そのだな……」

 

「どうした、ハッキリ言え!」

 

どうしようもない理由ならば私は怒るぞ。今でも怒ってはいるがこの10倍は怒る!

 

「何というか……箒やおじさんが居なくなってから張り合いが無くなってさ……」

 

「な、なに?わ、私が……?」

 

聞けば私達家族が引っ越し、私や師でもある父が居なくなってから張り合いがなくなり、次第に剣道から離れていたとの事だ。

 

『……………そうか……そうか、私が居なくなったからか。ふ、ふふふっ』

 

その理由を聞くなり嬉しく思えてきた。そうかそうか、私が居なくなったからか……い、いかん!顔がにやけてしまう、はしたない。気を引き締めなければ!

 

「ふ、ふん。私達が居なくなってやる気がなくなるとは軟弱者め……」

 

「はははっ、違いねぇ……」

 

い、いかん。また厳しく言ってしまった。何故私は昔からこうなのだ?照れを隠そうとするとキツい言ばかり言ってしまう。これだから、『私は友人が少ない』という昔同レーベルだった某ライトノベルのタイトルみたいな状況になるのだ。

 

「だ、だがまぁ……今回は同門のよしみとして大目に見てやろう」

 

こんな理由では仕方ないな、私が居なくなってやる気も張り合いもなく寂しくなったのでは仕方がない。うん、許すとしよう。

 

「さ、さて一夏。もう日も落ちた事だ、シャワーを浴びて夕食にしよう!うむ、そうしよう!」

 

「あ、あぁ。そうだな……」

 

半ば強引に話を切り上げるとそのままシャワーを済ませに向かう。さ、さて。今日の夕食は何にしようかとにやけそうな気持ちを切り替えながら歩む速度を早めるのだった。




という訳で今回一季が過ごしていた間の一夏のシーンを箒の視点でお送りした話です。キャラクターの視点で書くのは楽なキャラとそうでないキャラに別れますので苦労しますがキャラクターの内面を掘り下げれるので気に入ってます。特にサンデーGX版のISの漫画は原作やアニメでは描写されていないキャラクターの内面が描写されてたりしていますのでかなり助かります。実は17話を書い終えた時は3日間でスイッチが入ったのか10000文字以上も書いて、書き終えた時には14000字を超えていました。何だか長すぎるかなと思い2話に分けて更新する事にしました。一気に平均文字上がるとそれを目指して書こうとして煮詰まったり遅い更新ペースがまた遅くなりますので……なので残りは明日18話として更新します。何気に2日連続7000文字越え投稿は私として初になります、そもそも連日投稿した記憶じたいありませんが……それでは明日の18話も是非見てください。

実はうっかり間違えてこの話をダイレクトに投稿して慌てて削除してしまい、さて予約投稿しようとして、しまった!削除してしまったと思い予めフォレストの方にコピーしていたのを貼り付けなきゃと思っていたら、ハーメルンには削除した話を一定期間保存する機能もあるんですね。それをコピーして予約投稿し直しました。色々な機能がありると改めて思いましたが、ルビタグ作成機能は前の方が使いやすかったかなと思います。今だと多機能フォームからじゃないと使えませんし、私は基本スマホで書いてますから。
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