IS〈インフィニット・ストラトス〉宿命を変える奇跡の双騎士   作:《陽炎》

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今回は一夏の話。


第1章 動き始めた宿命
第1話 ファーストバトル


「あぁ~……わからん」

 

今、俺織斑一夏は非常に厄介な問題に直面している。IS学園に入学する事になった俺宛てにIS学園から荷物が届いた。中身を確認すると、荷物の正体参考書。これが普通の参考書ならよかったんだ、しかし何なんだこの電話帳より分厚い参考書は?何百ページあるのか確認するのもおっくうになる分厚さ。一通り見て内容はISの専門用語や情報を纏め上げた物だというのは理解した。しかし、肝心の内容が理解不能だ。念の為言っておこう、俺は決して頭は悪くはない。てか、ISの知識が無い奴にいきなりこの参考書を渡して理解しろ、と言われても結果は今現在の俺みたいな状態だと思う。

 

「けどまぁ……やるしかないか」

 

どうせこの状況じゃあ中学には行けないんだ。なら、IS学園への入学に備えておこう。めげかけた己を鼓舞して、取り敢えず参考書の内容を理解するのを再開した。

 

「……もう昼過ぎか」

 

何時もの様に朝6時に起きて顔を洗い身支度を整えた後、洗濯物を干してから朝食を作り食べ終えたのが8時頃。その後から参考書とにらめっこし続けた今現在の時刻は12時を回っている。およそ4時間こいつとにらめっこしてたのか、結果は俺の完敗だが。

 

「昼飯にするか」

 

気付けば腹の虫も活動を始めている。昼飯食べて気分転換しよう、と昼飯を作りに台所に向かう。

 

「今日のゲストは、今売り出し中のこのお二人です」

 

トーストした食パン、目玉焼きとカリカリに焼いたベーコンに付け合わせにポテトサラダ、それにコンソメスープという昼食を食べながらお昼の長寿番組を見ている。今日のゲストは今売り出し中の双子の女性ユニットだった。

 

「二人はとても仲がいいそうだけど、普段はどんな感じで過ごしているの?」

 

「「そうですねぇ~」」

 

司会者からの問に双子の返答がハモリ、双子独特のハーモニーを醸し出している。

 

「一緒に暮らしていますから殆ど一緒に行動してますね」

 

「買い物や御飯食べに行く時も一緒に行きます」

 

双子がそれぞれ答えている。しかしこの2人、どっちがどっちなんだ?髪型の分け目が違う所ぐらいしか違いが解らない。

 

「双子、か……」

 

双子という単語に、ふと思い返す。俺には両親も親戚も居ないし両親の記憶は全くない。家族と呼べるのは千冬姉だけだ。けど、俺には双子の兄弟がいたらしい。しかしその兄弟は産まれて直ぐに命を落とした。そう千冬姉から話された事がある。

 

「もしそいつが生きていたら、どうなってたんだろう……」

 

兄か弟か解らないが、画面の向こう側の双子みたいに仲良くしていたのだろうか?喧嘩したり、笑いあったり、幸せを分かち合ったりしたのだろうか?

 

「もしかしたら、俺と同じ様にISを動かしたりして」

 

それなら現在のこの状況を励ましあえるのにな。

 

「……たらればの話してもしゃあない。1人でも乗り越えるしかないんだ」

 

昼飯を食べ終えテレビを消し食器を洗った後、俺は部屋に戻り強敵参考書との戦いを再開した。

 

 

 

 

 

あれから時は経ち今は3月半ば、春とはいえ寒かったりする日もある。結局俺は卒業式には出られず、卒業式後に中学校に赴き卒業証書を受け取り行き3年間の中学校生活にピリオドを打った。出来る事なら出たかったが、俺が出て騒動が起きて卒業式が台無しになるのは嫌だから我慢する事にした。正直寂しい終わり方だが、卒業証書を受け取る時に担任の先生からクラスの皆が書いた寄せ書きを渡された時は心から嬉しかった。男子の文面からは羨み、やっかみ、等も混じっていたのには、人の気も知らないで……と思ったが。

今日まであの参考書に悪戦苦闘しISについて学習する毎日を過ごしていた。その甲斐あってそれなりにISを把握する事は出来た。そして今現在、俺はモノレールに乗り、ある場所へと向かっている。

 

「スゲェ……」

 

目の前の光景を見て思わずそう言葉を漏らす。モノレールを降りて徒歩で向かった場所とは俺が入学するIS学園である。数日前にISの実技試験を実施するのIS学園に来るように、という電話を受け此処に赴いたという訳だ。筆記試験の方は良いのだろうか?で、今正面ゲート前に着いた訳だが、入学案内の資料は見ていたけど、この学園……規模が凄すぎるだろ。

 

IS学園は1つの島が学校である全寮制の国立高校。他にあるのは来賓が宿泊するホテルくらいだ。此処に来る交通手段はモノレールしかない。他はヘリや船とかだろうが、それは外国のお偉いさんぐらいだ。

 

『後、10分くらいか』

 

指定された時間は午後4時、携帯に備え付けられている時刻は3時48分。正面ゲート前で待っていれば教師の方が迎えに来てくれる。それまでは暫し待とう。

 

それから迎えが来るまで10分程待っていた。もうそろそろか、と思っていると、此方に向かってきている人影が見える。

 

『おっ、来たか……って、えぇっ!?』

 

次第に近付いて来る迎えに来た教師と思わしき人物を見て仰天した。2~3メートルの距離ともなればどんな人物かは大凡把握する事は出来る。でだ、今此方に近付いて来ているのは

 

「ち、千冬姉!?何で此処に居るんだよ!」

 

黒いスーツを身に纏った我が姉、織斑千冬だった。しかし、どうして千冬姉がIS学園に居るんだよ?

 

「お前を迎えに来たに決まっているだろう。私は此処の教師だからな」

 

あぁそうか、千冬姉ってIS学園の教師だったのか。なら納得だ、って

 

「いやいや!それ初耳だぞ、千冬姉がIS学園の教師だなんて!」

 

そんな話聞いた事がない。てか千冬姉高卒だろ、教員免許はどうした?

 

「そりゃ言ってないからな」

 

あっけらかんと答えんでくれ、何処でどんな仕事してるのかは知らなかったがまさか教師やってたなんて。しかも全寮制のIS学園とは、そりゃ帰って来るのが少ないわな、うん。

 

「さて、早く行くぞ。後、此処では織斑先生と呼ぶように」

 

まだ頭が現実に追いついていないがそれは置いといて、取り敢えず千冬姉に着いて行こう。

 

「あぁ、わかった」

 

バシィ!

 

「ぬわっ!」

 

「返事は「はい」だ」

 

黒く薄い物体による一撃が頭を襲う。返事がまずかったのだろう、痛む頭で思考を働かせてそう結論付けた。

 

「わ、わかりました。千ふ…織斑先生」

 

危ねぇ……また一撃喰らうとこだった。てか俺は出席簿で殴られたのか。それは人を殴る物じゃないだろう。

 

「では行くぞ。こっちだ」

 

「はい」

 

指示通りに千冬姉の後ろに着いて歩を進める。移動中に確認してみたが、筆記試験に関しては免除されるらしい。理由は知識は授業で覚えればいいから、取り敢えず男でIS動かせるんなら目の前でどれだけやれるか見せて。そんな理由らしい。

 

「着いたぞ。此処第1アリーナで実技試験を行う」

 

第1アリーナと言われるそれは目の前にドーンと広がっていた。デカ過ぎだろ、野球やサッカー余裕でやれる広さだぞ、こりゃ。第1アリーナって事はこんなアリーナが幾つもあるのか?高校という枠に収まらない規模だぞ、流石国立にして世界中から生徒が学びに来ているIS学園、規模が桁違いだな。

 

その後更衣室へと案内されると、ISスーツを渡されこれに着替える様に指示をされた。ISスーツは体を動かす際に発生する電気信号等を増幅させてISに伝達させる衣装。本来なら女性専用の物なので見た目はワンピースやレオタードに近い。しかし俺に渡されたISスーツは違う、臍丈上の半袖インナーと膝丈上の半ズボンである。まぁ男の水着みたいだと上半身裸になるからな、その辺への配慮だろ、うん。

 

「しかし、着づらい……」

 

服を脱いで着ようとするのだが、初めてなもので手間取ってしまう。裸だから着づらいのだろうか?引っかかるし、何処とは言わんが。

 

「よし、やっと着れた」

 

やっとこさ着る事が出来たISスーツ体にぴったりとフィットしている、こんなに着づらいとは……さて、急ごう。更衣室を出て待っていた千冬姉に案内され再び移動する。

 

「では織斑、どちらかのISを選べ」

 

辿り着いたのはピット、4つのピットがあるらしく俺が連れてこられたのはAピット。そこには2機のISが存在していた。1つは『打鉄(うちがね)』、純国産ISとして定評がある第2世代型の量産型であり、安定した性能を誇り初心者にも扱いやすい。もう1つは『疾風の再誕(ラファール・リヴァイヴ)』、打鉄と同じく第2世代型だがスペックは初期の第3世代型にも引けを取らないISだ。以上、参考書やその他媒体で調べた情報。

 

「じゃあ、打鉄で」

 

打鉄はガード型というのもあり近接ブレードを主体に接近戦を行うタイプだ、ラファール・リヴァイヴは遠距離・近距離どちらで戦闘を行うのにも適してはいるのだか、操縦経験が皆無の俺には打鉄の方が適している。

 

「では、装着したら一通りアリーナを飛んで移動。その後教師との模擬戦を行う。以上が今回の試験内容だ」

 

「わかりました」

 

打鉄を選択した後、千冬姉から改めて試験内容を説明される。どの道入学は確定している訳だが、それでも全力を尽くす。最初からそう決めている。

 

 

 

 

 

『スゲー、本当に飛んでる』

 

打鉄を装着し起動させた俺はアリーナの空中を飛翔している。初めて動かした時は浮いただけだったが、今は鳥の様に空を翔けている。飛ぶという感覚に慣れていない分、まだまだ動きにぎこちなさが残っている。

 

『織斑、そろそろ模擬戦を開始する。準備をしておけ』

 

暫く飛び回り少し動きかたのコツを掴みかけた所に、千冬姉によるアナウンスで模擬戦開始を告げられる。

 

『千冬姉も見てるんだよな。無様な姿は見せられない』

 

今まで何度千冬姉に助け、守られてきただろう。数えても数えきれない。俺が覚えていない件もあるかもしれない。けれど、『あの事』は一生忘れる事は出来ないし忘れてはいけない。あれ程自分の無力さに腹を立てた事は無い。

 

「織斑君、準備は出来ましたか?」

 

考え込んでいると5メートル位前にラファール・リヴァイヴを装着した教師が浮遊していた。どうやらISのオープン・チャンネルで話しかけてきたあの人が模擬戦の相手らしい。

 

「はい、大丈夫です」

 

もう覚悟は決まっている。これからこういった事が何度となく訪れるのだろう。

 

『では、試合開始!』

 

千冬姉による開始宣言と、それと同時に鳴り響くブザー音を引き金に戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

「……なんでこうなった?」

 

遠距離からの銃撃を避けながら様子を見ていたら、接近戦に作戦を変更したらしい先生が、いきなり勢いよく突っ込んで来たのを避けたらそのまま壁に激突。そしてそのまま動かなくなり、その結果

 

『はぁ……織斑、この勝負お前の勝ちだ』

 

この結果に呆れているのだろう。軽い溜め息の後、千冬によるアナウンスが俺の勝利を宣告した。

 

『こんなのアリかよ……』

 

意気込みや覚悟といった心意気をものの見事に肩透かしにされ、何ともやりきれない幕切れで俺の初陣は終わりを迎えた。

 




原作の一夏と違いこの小説の一夏はちゃんとISの予習しています。原作のまんまだとオリ主がブチ切れそうなので。しかし見事にタイトル詐欺の話に……一夏のファーストバトルはオチとなりました(笑)

しかしオリ主の出番少なっ!まぁ次回からは出番も増えますので……

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