秘密結社の残党らしき者たちが根城として使っていると思われる古びた外観の中世のお城。
その証拠となるか知らねど門番として立っているのであろう見張りのモヒカンが二人。身の丈を超す
モヒカンが二人いるのは襲撃があった場合に備えてのことだろう。
一人が敵の侵攻を食い止めている間にもう一人が城内にいる味方に報せるために…
他にもモヒカンがいるのでは? ──と城の城壁等を含め周辺を探るが……先日での私たちとの戦闘で負傷し、人員が減ったせいなのか他のモヒカンの姿は見当たらなかった。
城内に侵入しようにも出入口は一つ。モヒカンが立つ城門しか確認できないでいる。しかも見晴らしがよく隠れる場所もない。
時間はかかるが城の裏側に回ってから背後から強襲しようかと思ったとき…
「大丈夫だ。私にいい考えがある」
ボーボボに妙案があるらしく、どこからか荷車を引っ張り出すと色とりどりの モヒカンヘアー を被せたマネキンの頭部を荷台に乗せていく。何これ…?
少女移動中 NowLording…
「そこで止まれ、 モヒカン屋 がなぜこんなところにいる?」
ボーボボを先頭に城門に近づく私たちにハルバードを突きつけるモヒカンその1。っていうか モヒカン屋 って何? モヒカン屋のことは気になるが……ともかく怪しい一行が近づいてきたのだ。モヒカンその1のこの対応も頷ける。モヒカンその2もいつでも城内に駆け込めるためか入り口付近に陣取っていた。
「 ぐはぁっ!!!? 」
いつ戦闘が発生してもおかしくない緊迫感が漂う中、首領パッチが突然血を吐いて前のめりになって地面に倒れる。
モヒカンたちが何かをしたのかと、注意深く観察するが────彼らもこれには想定外だったのか……声こそ出さなかったものの、目を大きく見開いて驚いていた。
吐血するほどのダメージを負ったように見えた首領パッチだったが、幽鬼のようにゆらりと立ち上がり怒り心頭でモヒカンたちを睨み付ける。
「テメェら、よくもこの首領パッチ様の顔にキズをつけてくれたなぁ~?」
「待て! オレたちはまだ何もしていないぞ!?」
「とぼけんじゃねぇ!! テメェが一歩前に踏み出したときにたまたま蹴飛ばした 小石 が顔面に当たってものスゲー痛かったんだぞ!? どう落とし前つけてくれんだよ!?」
そう言って親指と人差し指、二本の指で摘まんだ米粒ほどの大きさの小石をモヒカンたちに見せつける。
「「 ヤダ、なにこのチンピラ!? 」」
身勝手な首領パッチの言動に思わず声をハモらせるモヒカン二人組。
「それだけじゃねぇ、大事な売り物をダメにしやがって!!」
荷車の荷台を片手でバシバシ叩く。一見、モヒカンヘアーにさして変化は見られないが……モヒカンその1もそのことについて指摘するつもりだろう飾られているモヒカンヘアーを指差した瞬間────マネキンの頭部ごとモヒカンヘアーが粉々になった。そう、まるでナイフみたいな刃物にでも切り刻まれたかのように……そして傍らには手に持ったナイフを隠すように後ろ手を組む咲夜の姿が…
「むっ!? あれは飛ぶ『指銃』〟
「知っているのか!?
荷台の惨状を見た美鈴が重苦しい空気を纏ってそう告げ、やたらと渋い劇画タッチの顔の首領パッチがわざとらしく驚いて聞き返す。
王大人とは何ぞ? …と思いつつ飛ぶ指銃『撥』について説明される。
『飛ぶ指銃 〟
高速の指による突きで相手を貫く技。
その派生したものが撥であり、これは超スピードによる突きで空気を弾丸のように押し出して相手を突く。
「って、天の助が答えるんかい!? っていうか、そんな超人技そう簡単に修得できるとは思えないんですけど!?」
「何故わかった!?」
「 ぬ の文字でわかるよ!」
てっきり首領パッチに聞かれた美鈴が答えるのかと思いきや、まさかの天の助に思わずツッコミを入れる私。
「ゆっくりたちが精魂込めて作ったモヒカンヘアー。その頑張りを、努力の成果を嘲笑うキサマらの所業……人間とは思えん」
いつもの表情ながら胸の奥から静かな怒りが感じ取れるボーボボの佇まい。
ボーボボを視界の端におさめつつバラバラになったモヒカンヘアーを見て私は思った。ゆっくりが作ったんだアレ……手がないのにどうやって作ったんだろう? …と、あとモヒカンたちは何もしていない。
「行くぞ天の助!! マッスル・ドッキングだ!!」
ボーボボはモヒカンの一人が繰り出すハルバードを避けつつ接近。ハルバードを片手で掴んで封じ、空いた手でモヒカンの頭を上から押さえて体を「く」の字に折り曲げ、次に腰に腕を回して持ち上げると同時に高く跳躍。
天の助もまたボーボボの跡を追ってモヒカン……ではなく、なぜか首領パッチをこれまたボーボボと同じく拘束、その際に首領パッチが「何でオレ!?」と叫ぶが無視して地を蹴る。
二人は上昇しながら、技を整えていく。
ボーボボはモヒカンの体を上下逆さまの体勢にすると、足首を掴み、脇に足をかけ…
天の助は首領パッチを逆さに担ぎ上げ、自分の肩口に首領パッチの首を乗せて太ももを掴むと……ボーボボに肩車するように乗っかっり、次に地面に向かって─────高速落下した。
「「 マッスル・ドッキング!!!! 」」
勢いよく地面と激突し、轟音とともに陥没、大きく抉る。
技の衝撃でモヒカンと首領パッチが揃って血を吐いた。
「「 ぐはぁっ!? 」」
二人が技の拘束を解いて解放すると、モヒカンその1と首領パッチは白目を剥いたまま口から泡を吹きつつ、ピクピクと全身を痙攣した状態で地面に倒れる。
さらに離れて見ていたモヒカンその2も「ぐはぁっ!?」と技を喰らった二人以上に血を吐いて倒れた。
「イヤ!? なんで!? どういうことなのボーボボ!?」
「もらい泣きならぬ、もらいダメージ……というやつだな」
「なんか新しい言葉が出た!!
いや、そもそも首領パッチに技をかける必要あったの!?
モヒカン二人に技をかければよかったんじゃないの!?」
「いや、ダメだ」
「なんで!?」
「むしゃくしゃしたときに首領パッチを殺れないだろ?」
「完全な 私怨 じゃん!!」
「とりあえずモヒカンたちが気を失ってる間に身動きが取れないように縛っておこう」
もっともらしいことを言ってモヒカン二人と、味方であるハズの首領パッチを幅の広い布でぐるぐる巻きにしていくボーボボ。
「よし誰にも気づかれずに侵入できそうだな」
「もう手遅れだと思うけど」
いったい何処から湧いてくるのか自信満々に言うボーボボに私は力なく答える。それもそのハズ、こんなハデな技を城門付近で門番相手に出したんだ。さぞかし城内は慌ただしくなっていることだろう。
なぜなら私たちが城内に足を踏み入れるべく城門をくぐろうとしたとき……二体あったガーゴイルの像がなくなっていることに気づいたからだ。
(´・ω・)にゃもし。
地道に進もう…