レミリア と ボボボーボ・ボーボボ   作:にゃもし。

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鉄仮面の男

 

 

 ガラの悪い巨漢のモヒカンが自分の頭のモヒカンを両手の指先で挟むと「でぃあっ!」と勢いよく前方に投げ放つ。

 

 

「先手必勝『モヒカン・スラッガー』!!」

 

 

 刃物のような鋭い部分を前にして飛ぶそれだが、ボーボボたち3人は左右にバラけて跳んで避け──彼らの合間を男のモヒカンが通り過ぎていく。

 

 

「しかも脳波コントロールできる!」

 

 

 目をつぶって二本の指を額に当てる大男。彼の意思に反応したのか彼が投げたモヒカンが急激に上昇した後、縦に大きく弧を描いて戻ってきて……

 

 不規則な動きでボーボボの全身を切り刻み、首領パッチを左右真っ二つに切断し、天の助をマントごと賽の目状にバラバラにした後……

 

 

「この人、痴漢 です!」

「しまった!」

 

 

 金髪青年に腕を掴まれた一見紳士っぽい中年男性を切りつけ

 

 

「こいつスリだぞ!」

「やばっ!」

 

 

 逃げようとしたスリの背中を切りつけ

 

 

「指名手配中の 殺人鬼 が!」

「ヒャッハー!!」

 

 

 鉈を持ったホッケーマスクの男の腹部に命中、園内にある池へと突き飛ばした。

 

 

「なんて奴だ! 俺たちだけじゃなく何の罪もない一般人を巻き込むなんて!」

 

何の罪もない一般人、一人もいませんでしたけど!?

 

 

 辺りの惨状に激昂するボーボボ。彼の後ろでは痴漢、スリ、殺人鬼らが警察の手によってパトカーに乗せられ、そのまま連行されていった。とりあえず犯罪者たちによる被害は心配しなくてよさそうである。

 

 

い"や"ぁ"ぁ"ぁ"~~~~~っっっ!!!!

ハ"ケ"モ"ノ"よ"ぉ"ぉ"ぉ"─────っっっ!!!!

 

 

 マントを失ったことで姿が露になったせいだろう。ガマガエルみたいな体型の女性が天の助を指差して叫んでいた。

 

 一瞬、カエル型の妖魔かと思ったぞ。そんな存在に化け物呼ばわりされた天の助は暗く沈んでいた。

 

 そして、女性が悲鳴を上げたことで誰かが通報したのだろう警備員とおぼしきモヒカンたちが駆けつけてくる。

 

 

「なにぃっ!? 化け物だと!?」

「どこだ!?」

「このモヒカン・ランドに侵入するなんて!」

 

 

 まるで見計らったかのように建物の陰、植木の中、あるいはマンホールの下からワラワラと湧いてくる3人のモヒカン。

 

 

「敵は強大だ。クールに決めていこうぜ」

 

「「 オーケー、ラージャー 」」

 

 

 手にこん棒やら釘バット等の得物を携えて一直線へと駆け寄る。

 

 

「「 アタック!! 」」

 

 

 頭、腹、背中へと気合いとともに叩き込む──ただし、女性の。

 

 

何の罪もない一般人が犠牲になった!

 

 

 モヒカンの攻撃に堪らず倒れる女性。モヒカンの一人は見物していた一般人を安心させるために至極、爽やかな笑顔で言う。

 

 

「皆さん安心してください。

 モヒカン・ランドに侵入した化け物は我々モヒカン隊が成敗しました」

 

 

 そう説明すると女性を担架に乗せて何処へと運んでいく。私はそんな彼らの後ろ姿を眺めることしかできなかった。

 

 

 

 

「フハハハ! 怖かろう!!」

 

 

 一連の騒ぎで忘れかけていたが、こっちはリスペクターズの一人である巨漢のモヒカンとボーボボたちが戦いを繰り広げていたことを思い出す。

 

 

「しかも手足を使わずコントロールできるこれをぉぉぉ!!?」

 

 

 3人にダメージを与えたことで気を大きくして饒舌になるモヒカン男。喋ってる途中で返ってきたモヒカンに気づかず眉間に突き刺さって叫び声を上げる。戦闘中に目をつぶるから……

 

 

「「 おのれ! よくもうちのリーダーを!! 」」

 

「そいつリーダーだったの!?」

 

「リーダーの仇はこのニュー・リーダーであるワシが取るしかないようだな」

 

 

 ずいっと前に出てくるスモウレスラー。リーダーと呼ばれていたモヒカン男の頭を片手で掴むとゴミでも放り投げるように背後を見ずに後ろに投げ捨てた。リーダーを敬う気持ちが微塵も感じられない。

 

 

「気をつけろ! 見た目からして相撲が得意な奴に違いない!!」

 

 

 ボーボボが二人に注意を促し、彼らもそれに頷いて応え、スモウレスラーとの距離を取るのだが……

 

 

波動ケツぅ~~~!!

 

 

 敵に背を向け、両拳を地面につけた構えた状態から尻の形をしたオーラを尻から飛ばすスモウレスラー。ボーボボたちはマトモに食らって吹き飛ぶ。

 

 

昇龍ケツぅ~~~!!

 

 

 さらに尻をボーボボたちに向けながら──上昇するヒップアタックの追い打ちでさらにキズを負わせる。

 

 ダメージを受けながらもすぐに起き上がり片膝立ちする3人。ボーボボは口の端から滴り落ちる血を片手で拭いつつスモウレスラーを見据えると次のようなことを宣った。

 

 

「くっ、なんという攻撃力!

 これが スモウ というやつか!!」

 

イヤイヤ、私スモウの事よく知らないけど、これ絶対スモウじゃないよね!?

 

 

 ボーボボたちの有り様を見て両腕を高く翳して「がははは」と笑うスモウレスラー。しかし、その彼が突然「はぐぅ!?」と苦しそうに顔を歪ませ、胸をかきむしるように胸を押さえたのち、その場でバッタリと前向きに倒れた。

 

 

「「 …………………………………………え? 」」

 

 

 私を含めてその場にいた一同は突然の出来事に呆け、しばし倒れたスモウレスラーを目を点にして見ていた。

 

 

「心の臓の発作だな」

 

 

 いつの間にかにスモウレスラーに近づいていた胴着の男。

 

 

「久しぶりの戦闘だというのに、さぞかし無念だったろう」

 

「でしょうね……。

 っていうか、心臓弱い奴を戦闘に駆り出さないでほしいんですけど……」

 

「お嬢様、男には死ぬと分かっていても立ち向かわなければならない時があるのです」

 

「美鈴。私、女なんだけど」

 

 

「敵を前にして会話とは随分と余裕だな、だがリーダーとニュー・リーダーの仇はこの真・リーダーであるこの俺が取らせてもらう」

 

 

 仁王立ちの状態から両目を閉じ黒いオーラを全身から噴出、湯気のように立ち上らせた後、自称、真・リーダーの男は両目をカッと見開いて吼えた。

 

 

二人が味わった苦しみを思い知らせてやる!

 

私達まだ何もしてないんですけど!?

 

 

 私の言葉に聞く耳を持たないのか、片足を上げて滑空するように青黒い残像を連れながら移動する真・リーダー。ボーボボ、天の助、首領パッチを次々と撥ね飛ばして──

 

 

ぎゃぁぁぁ────っ!!!?

 

 

 真横から飛び出したパトカーと追突、勢いよく撥ね飛ばされ、二、三度ほど地面にバウンドしてようやく止まる。

 

 

「「 ………………………………………… 」」

 

 

 再び訪れた静寂。その沈黙を破ったのは美鈴だった。

 

 

「死亡確認!」──と、

 

 

 美鈴には気を察知する能力があるのでそれで生死の判断を確かめたようである。

 

 

 

 

 リスペクターズの最後の一人がほぼ自滅に近い形で倒れたことで、これからどうしたものかと悩んでいる時に…… 

 

 

『──リスペクターズを倒すとはな……』

 

 

 突如、頭上に巨大なスクリーンが投影され、そこにトサカの付いた鉄の兜に黒の軍服の格好をした男が映し出された。

 

 

『それに地球戦隊おじひんがーZもやられたようだな』

 

 

 と、モニター越しにおっさん3人組に視線を送る。おっさん3人組は何のことか分からず「え?」みたいな顔してるけど。

 

 

『敗北者に用はない。貴様らには罰を与えよう』

 

 

 モニター越しにも関わらず、掌から淡い桃色の光線を3人のおっさんに放つ兜男。避ける間もなく桃色の光に包まれる3人のおっさん。

 

 

『私のこの光線を浴びた者は……』

 

 

 もったいぶるように溜めた後、その男は言った。

 

 

おっさん になるのだ!!

 

そいつら元からおっさんなんですけど!?

 

 

 やがて、おっさんたちを包み込む桃色の光がおさまって消えた後には、やはしというか光線を撃たれる前と変わらん、おっさんたちの姿が……

 

 

から に性転換するなんて……」

 

 

 リーダー格の赤いおっさんが女座りでそんなことをめそめそと涙を流していた。

 

 

「あんたらその風体で だったの!?」

 

 

 おっさんたちのその姿を見て笑う仮面の男。彼は一頻りに笑った後……

 

 

『この私──鉄仮面に会いたければ、このモヒカン・ランドにある 公衆便所 に来るがよい』

 

公衆便所!? なんでそんなとこ!? 普通、黒幕ってもっと豪華そうな部屋とかで待ち構えてるものだよね!?」

 

『貴重な品物を壊されると困るから壊されても大して困らない場所を選んだ』

 

「だからって公衆便所はないでしょ!?」

 

『なお、そちらが来ない場合は──』

 

 

 鉄仮面が指を鳴らすと画面が彼の背後へと移動し、見ず知らずのモヒカンが天井から吊り下げられた状態で拘束されていた。額から二本の小さな角が生えていて一目で人間じゃないことがわかる。

 

 

「トモヒロ!?」

 

『ボーボボさん、すいません。ドジを踏んでしまいました』

 

 

 ボーボボに対して謝罪するトモヒロ。どうやらボーボボの知り合いのようである。そんな彼の体の所々には拷問の跡と思われる傷がつけられていた。

 

  

『彼をスパゲティまみれにしてやろう』

 

 

 部屋(公衆便所だけど)にずかずかと入ってくるモヒカンたち。彼らの手には山盛りに盛られたスパゲティが乗っている。

 

 

『ほーれスパゲティだぞ~』

『いい匂いだろ~?』

『ミートソースたっぷりだぞー?』

 

 

 トモヒロの顔近くにスパゲティを持ってくるモヒカン。「トモヒロ!!」と叫ぶボーボボ。「ナポリタンやでー」とケチャップで味付けされたパスタを持つ首領パッチと天の助。

 

 

『妖怪、妖魔……人ならず者たちには、肉体的な拷問よりも精神を追い詰める方法が良く効く、くははははは……』

 

 

 敵対してる私たちを見て嘲笑う鉄仮面。モヒカンたちも彼につられて下品な含み笑いをする。

 

 ボーボボたちも含めて、やってる当人たちは至極真面目にやってるんだろうけど……私からしてみれば、ふざけてるようにしか見えない。

 

 それでもやられているトモヒロには効果は抜群らしく、みるみるうちに憔悴しきっていく。

 

 そんな半死人と言っても過言ではない彼が突然ボーボボの名を叫ぶと同時に縄を力付くで千切って拘束を解くと──

 

 

『俺に構わず悪を討ってください!』

 

 

 隠し持っていた短刀で自分の腹を刺した!

 

 

『なにぃ!? 自害しただと!?』

 

 

 これにはさしもの鉄仮面も驚きを隠せず立ち上がり狼狽え始まる。

 

 

『おそれいりますが
しばらく、そのまま
お待ちください』

 

 

 というテロップとともに画面はどこぞの滝を映し出す。その向こう側からモヒカンたちの慌てた声が聞こえてくる。

 

 

ぎゃー!? トモヒロが暴れ始めたぞ!!

スパゲティだ! スパゲティを持ってこい!!

ダメだ効いちゃいねぇ! こうなったら力付くでおさえるぞ!

 

 

 

 しばらく経つと問題が解決したのか画面が切り替わる。……と思いきや、東アジアらしき地域の竹林風景がそこに映りテロップが表示される。

 

 

『そして僕たちはタケノコになった』

 

 

「何があったの!?」

 

 

 

 

 いくら待っても変わる素振りを見せない上空のモニター。苛立ちを抑えられないのか首領パッチが声を荒げてボーボボに詰め寄る。

 

 

「どうすんだボーボボ!? このままじゃあトモヒロがやられちまうぞ!? 正直、いてもいなくても困らないけどよ!」

 

「公衆便所にいるとは言ってたが、この広いモヒカン・ランドにどれだけの公衆便所があるんだか…… 正直、トモヒロはいてもいなくても困らないが……」

 

「トモヒロは貴方たちの知り合いなんだよね?」

 

 

 私自身もトモヒロが生きようが死のうが構わないが目的の品を持っているであろう鉄仮面には何がなんでもご対面したいところ。

 

 美鈴の能力で探れないかと提案したところ彼女はすぐに返答した。

 

 

「このモヒカン・ランドで気が段々と小さくなっていくのが一つあります。おそらく、それがトモヒロさんでしょう」

 

「さすがだぜ美鈴、どっかのお子ちゃまと違うぜ。そんなお前には500首領パッチ円」

 

「どっかのお子ちゃまって私のことじゃないでしょうねぇ?」

 

 

 美鈴に硬貨を渡す首領パッチに問いただすも、へたくそな口笛で誤魔化そうとする。

 

 

「居場所を特定できるなら話は早い。急ぐぞ!」

 

 

 駆け出すボーボボ。すかさず、その後を私たちが追う。目的の場所は当然、鉄仮面の男がいる場所。……なのだが、その場所が公衆便所なだけにいまいち締まらない。

 

 ため息を吐きつつも、私は僅かにあるやる気を無理にでも奮い立たせて走った。

 

 




( ´・ω・)にゃもし。

というわけで、今回の黒幕さん登場です。
ここまで読んでくれて感謝します。
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