「くっ、自分の乳首なんて普段そんなに見ないからどれが自分の乳首なのか分からん!」
「そうでしょうねー」
宙に浮いている大量の乳首と自分の胸にある時限爆弾──刻々と残りの数値が減っていくのを見て焦るボーボボ。
他二人も焦っているが、首領パッチのは「13月0日」で天の助にいたっては「ぬぬぬ」でいまいち緊迫感を感じられない。当の本人たちにとっては死活問題なんでしょうけど……
「こうなったら一か八かあれに賭けてみるしかない!
いくぞ! お前たち!」
首領パッチと天の助に声をかけるボーボボ。二人も「おう!」と力強く返事を返した後……
「「 プレイヤーに
ダイレクトアタック(物理)だ!! 」」
「 ルール無視しちゃったよ! コイツら! 」
両刃斧や鉄の棒の先にトゲつき鉄球といった見た目からして物騒な武器を片手に薫へと襲いかかる3人。戦略的には間違ってはいないが反則な気がする。
しかし、あと一歩のところで見えない壁と激突、直後に発生した衝撃派じみた突風をまともに浴びて吹き飛ばされ戻ってきた。そのうちの一人、首領パッチは忌々しげに薫を睨むと吼えた。
「 おのれ卑怯な! 」
「 どこが!? 」
「 俺は自分が不利な時は相手を卑怯者呼ばわりしてんだよ! 文句あっか!? 」
「 最悪だコイツ! 」
そして、ルール無視を行ったボーボボたちに敵は見逃すつもりはないらしく、薫の背後にいるイマジナリーフレンド──シンデレラが動き出す。
『 る ぅ る 違 反 ニ ヨ リ 、 ぺ な る て ぃ ヲ 課 シ マ ス 』
口のない仮面のようなのっぺらとした顔でいったい何処から声を出しているのか、ややぐぐもった声でそう告げると──
「「 パネルの数字が!? 」」
ボーボボの胸にある時限爆弾のパネルの数値がどんどん減っていき……
「ふぅー、ギリギリセーフだぜ」
よほど焦っていたのか、額についた汗を拭うボーボボ。彼の胸にあるパネルは「 0,0124 」で止まっていた。
「 小数点以下なんですけど!? 」
さらにペナルティを課せられるのはボーボボだけじゃなく首領パッチにも与えられ、パネルに変化が現れる。
「げ、げぇ~~~!? 俺のは13月もあったのにもう残り1月しかねぇーじゃん!」
「あ、それそういう意味だったんだ」
そんな二人をよそに天の助のパネルには変化はなく「ぬぬぬ」のままだった。これに天の助がホッと安心したのも束の間、薫は無慈悲な言葉を告げる。
「 キサマは見せしめとして爆殺する 」
「 なんでオレだけ!? 」
天の助の胸のパネルの「ぬぬぬ」が「ねねね」へと変わり、次いで凶悪な面構えをした幾つもの巨大な「ね」が上空から高速で飛んできた。
「 ひぃぃぃ~~~っ、こっちに来た───っ!! 」
そして間を置かずに天の助の下へと次々と飛んで群がっていき、その光景はさながら死肉に群がるハゲワシの如く。
「 ぎゃぁぁぁ───っっっ!!?? 」
「「 天の助ぇぇぇ~~~っ!!!? 」」
やがて天の助の悲鳴が消え、彼に群がっていた「ね」が一羽一羽大空へと羽ばたいて離れていき、全てがいなくなった頃には……
「 たまには「ね」もいいよね 」
「ね」の文字でびっしりと埋まった白のスーツ、シルクハットで身を固めた笑顔の天の助がそこにいた。
そんな有り様の天の助にボーボボはサングラスの隙間から涙を溢しながら天に向かって叫ぶ。
「 天の助が爆殺された───!! 」
「 爆殺されてないし、すんごい笑顔で生きてるんですけど!? 」
未だ泣き止まないボーボボ。彼の周囲には天の助との過去の出来事が写真のように四角い枠に収まった状態で空中に散りばめられていた。そのほとんどがボーボボが敵の攻撃を防ぐために天の助を盾にしている場面だったが……
「天の助さん、ろくな思い出しかありませんね」
「正直、予想はついてたけどね」
天の助の扱いに哀れみを込めて言う美鈴。そうこうしてるうちにボーボボが今の状況を打開すべく次の一手を打つ。
「目には目を! フレンドにはフレンドを!
おいでよ♪ 僕のお友達♪」
左腕を頭上に右手の掌を地面に向けながらボーボボが陽気に言うと「ポン」というコミカルな音ともに煙が発生。煙の中から小さな人影が現れる。
「召喚! イマジナリーフレンド『 康一くん 』!!」
「 なんかとんでもないのが出てきた!
これ本人じゃないよね!? 」
名前も容姿も本物と一緒のイマジナリーフレンド。彼は至極真面目な顔で薫の方へ向けると次のようなことを述べた。
「もし僕が選んだ乳首が違う乳首だったとしたら、あなたの
僕の目を見えないようにしてください」
「 他人の乳首のためにそこまでやる必要あるの!? 」
乳首捜索中 NowLording…
「 目がぁぁぁ、目がァァァ!! 」
「 案の定、間違えてるし! 」
両手で両目をおさえながら地面を転がり回るボーボボのイマジナリーフレンド。やがて力尽きたのか途中でピタリと止まり、来たときと同じようにして煙に包まれて煙とともに消えた。
「 くその役にも立ちやしねぇ! 想像以上に想像以下だったぜ! けっ! 」
「 あんたが想像以上に想像以下だよ! 友達に言う言葉じゃないよね!? それ! 」
「やはり最後に頼れるのは自分の力のみ! 自力で探し当てるしかないようだ!」
「時間もないのに、どうやって!?」
「計算して導き出す!」
そう言うとカツカツとチョークを鳴らしながら黒板に数式を書き込んでいく。だが、そこに書かれていたのは────
1+1=2
3+4=7
5+2=?
3+3=7?
3+3=8…
「 一桁の足し算じゃ無理でしょ!? しかも間違えてるし! 」
やがてボーボボが計算を終えると彼の背後で数字と文字、円や多角形の幾何学模様が具現化して空間を埋め尽くす。
$x^{n}$
$x_{k}$
$\frac{A}{B}$
$\sqrt[n]{2x+1}$
$z=\vec{x}\cdot\vec{y}$
$(0,1\cdots,N-1)$
$\sum\limits_{i=0}^{N}$
$\frac{\partial}{\partial x}f(x,y)$
$\int_{0}^{\infty}$
「 一桁の足し算で!? 」
「よっしゃー! 今の計算で導き出された俺の乳首はこれだ───!」
そう言ってボーボボが手に掴んで頭上に掲げたのは掌ほどの大きさの黄色い星のマーク二つ。
「 それ絶対違う! 」
しかしボーボボはこちらの主張も何のその「蒸着!」と声を上げて星のマークを両肩に張り付けると──衣服が飛び散って青いパンツにブーツのプロレスラーの出で立ちになり、額に「米」の文字が浮かび上がる。そのボーボボの姿に薫はおののく。
「ば、ばかな……。あれだけの乳首の中から自分のを探し当てたとうのか……」
「落ち着け、薫。ヤツらは体の一部を変質、及び変形させる能力を持っている。その能力を用いて切り離された乳首を変形させたのだろう」
「いやいや! たとえそうだとしてもレスラーになる意味がわからないんですけど!?」
存外冷静な鉄仮面に思わず片手をパタパタさせてツッコムがレスラーの件についてはスルーされる。答弁の代わりに彼は懐から手榴弾のような物を取り出すと、そのまま地面に叩きつけた。
「いったい何を…」と私がみなまで言う前に白と灰色の混ざった煙が手榴弾から噴出、辺りを覆い尽くして視界を遮ってしまう。同時に不快感を感じさせる臭いを嗅覚が捉える。その臭いから察して……
「催涙ガスの類いよ! 吸わないように気をつけて!」
──と、周囲に呼び掛けるも……
「「 ごほっごほっ! 」」
「 あーもー! 言ってるそばから! 」
一足遅くボーボボたち3人は涙目で咳き込んでいた。
「 すいません、お嬢様。ごほごほっ! 」
「 美鈴、貴女もなの!? 」
煙で四苦八苦してる間にあの二人は逃亡しているであろうが、3人はともかく美鈴を放っておくわけにもいかず、それに彼女の能力で追跡すればすむと考えを改め、煙が晴れるの待つことしばし……
「「 ごほごほっ!! 」」
「 ………………………………………… 」
煙が消え去ったあとには──ガスを吸ったのか、咳き込む薫と鉄仮面の姿があった。
「 自分たちも苦しんでどうする 」
あきれつつも薫の側頭部にハイキックを叩き込む。
「「 ぶべらっ!? 」」
もろに蹴りを喰らった薫が近くにいた鉄仮面を巻き込んで真横に吹き飛び、公衆便所の壁と激突して壁を陥没。そのまま二人は動かなくなる。
あとには何をするわけでもなく突っ立っている私と苦しそうに咳き込むボーボボたちと美鈴の姿がそこにあったそうな。
(´・ω・)にゃもし。
◆夏は暑い。執筆が渋るがガンバる。
tex変換ツールが機能するといいなー。
◆tex変換ツール、反映されないなー。(修正1回目)
◆tex変換ツール、やり方わかったよ。(修正数回目)