私たちと己の能力を発動させたであろうモヒカンを除いて、視界に映っている乗客ごと時計回りにぐにゃぐにゃと歪む飛行機内の風景。
やがて、パレットの中の絵の具のごとくにごちゃごちゃに混ざったような景色を作り出した後、今度は反時計回りに景色が回転していき……
「採掘場?」
気がつけば、私たちはどんよりとした灰色の雲の下、切り立った崖に囲まれた場所の中心地に立っていた。
「これが俺の
向き合う形で対峙している件のモヒカン。さらに彼の背後に突如として黒い人影が現れ、次いで姿を明かす。
それは宙に浮かぶ上半身とその上半身から切り離された状態で浮遊する二本の腕を持った人型の機械。その手には切れ味の鋭そうな大鎌を両手で携えている。
「コイツは俺のイマジナリーフレンドのジャッジだ」
立てた親指で自身の背後にいるイマジナリーフレンド──ジャッジを背中越しに指差しつつ、モヒカンはそう紹介する。
「説明が面倒なので省くが、この俺が提示する
そう言いながら懐からカードが入っていると思われるパックを取り出し、表側をこちらに見せるモヒカン。そのカードパックにはイラスト付きででかでかとこう記されていた。
『 決闘! おじひんがーカード! 』
ついでにカードパックのパッケージにはいつぞやの三人組のおっさんが戦隊ものでよくある決めポーズを取っていた。
「ならばキサマを倒してとっとと脱出するのみだ!
クレジット36分割払いアタック!」
左腕に
「 男なら現金一括払い攻撃! 」
対してモヒカンは一枚のカードを光弾の群れの中に投げ放ち、直後にカードが発光、次に爆発、光弾をまとめて消滅させて防いでみせた。
「 カードゲームで戦うってそういう意味なの!? 」
驚く私をよそに戦いはなおも続く。
ボーボボが爆発を迂回するようにモヒカンの側面に移動、カードをくくりつけた拳で殴りかかる。
「 ボーボボ・立ち小パンチ連打! 」
ビシッ! ビシッ! ビシッ! ──と、どことなく格闘ゲームを彷彿させるボーボボの左ジャブの連打。しかし、モヒカンはこれを右腕を上げた立ちガードの構えで対処。
そして、ボーボボの連打の合間を縫って一枚のカードをボーボボの方へ放り投げるとそのカードが巨大化、ボーボボのパンチを受け止めてしまう。さらにデュエリストらしく右腕をボーボボに向けながら声を高らかに叫ぶ。
「ドナーカード発動! 対象プレイヤーの攻撃を無効化! さらに対象プレイヤーはドナーカード登録しなければならない!」
「 なんで!? 」
唐突なドナーカード宣告に思わず叫ぶ私。ボーボボの前にはドナーカードおぼしきカードが現れ、次いで書くための台座が煙とともに現れた。そして戦闘中にも関わらずカードに記入していくボーボボ。
「 私は臓器を提供しません 」
しないんだ。
常人には理解し難いよくわからない戦いはボーボボが『天の助』『首領パッチ』を召喚してから更に過熱、モヒカンもまた動き出す。
「『幸せの壺(本体価格20万円)』を発動! この契約書にサインをしてもらおう!」
「断る! 俺の代わりに『天の助』が契約する!」
「なんで俺が!?」
「『スミドリ』を犠牲にして『第9王子 ハルケンブルグ』の能力を発動! 『首領パッチ』のコントロールを得る!」
「ベンジャミン王子殿ォォオオ!! 万ン歳ィイッッ!!!」
ボーボボが盾として召喚した二人だが、モヒカンはこれを冷静に排除。守る盾がなくなったことでがら空きになってしまったボーボボの陣営。そこへモヒカンが一気に距離を縮めて急接近。勢いをつけたまま束ねたカードの角の部分でボーボボのこみかみを強打する!
「 デッキの角・アタック!! 」
「 ぐわぁぁああっっつつつ!? 」
額が割れ、そこから血が間欠泉のごとく勢いよく吹き出し、さらに全身を刀で傷つけられたような裂傷ができあがり、そこからも血が飛び散り、最後にボーボボが後ろ向きに吹っ飛ぶ。
「 あの攻撃で何でそこまでダメージを負うのよ!? 」
モヒカンの攻撃がよほど堪えたのか、両手で額を押さえながら転がり回るボーボボ。そこへ、今まで静観していたジャッジが喋り出す。
『ボーボボのヒットポイント が 「0」 に なった!
デュエリスト・モヒカン は ボーボボ を 倒した!』
RPGのゲームを思わせるジャッジの物言いに眉をひそめるものの、ジャッジはそれ以上は何も言わず再び沈黙。また、それ以上の行動をしてこない。
「……って、それだけ? ペナルティとかはないの?」
そう尋ねるのは当然と言えよう。
「安心しろ。ペナルティはない。強いて言えばカードゲームで負ったダメージそのものがペナルティかな? ついでに言えば
「──でも、貴方と
思った以上に厄介な能力である。この様子だと、
「美鈴の、彼女の気配を察知する能力では何も反応を示さない。
咲夜が時を止める能力を行使しても時間は止まらない。
妹様は破壊するための物体の綻びの目が見えない。
私たちの能力は発動せず、敵対者──モヒカンたちの能力だけが発動する。彼らにとって都合のいい世界ね、ここは……」
ボーボボとモヒカンが戦ってる間にこの奇妙な空間を調査してたらしく、そんなことを述べるパチェ。
「どうやら、私自身が彼と
そう言いながらパチェは腕に
動かない図書館と比喩される頼もしい魔女が動き出す。
( ´・ω・)にゃもし。
◆たまには他のキャラを活躍させなくちゃ……