どうやらオレは巻き込まれ体質らしい 作:どらい
皆さんこんにちは。オレの名前は羽島カイ、4歳の幼稚園生。普通の家庭に生まれた一般人。今は親に許可をもらって公園に向かっているところである。
ついにこの日が来た!今日で4歳になったから遂にブランコに乗ることが許されたのだ!
オレは今までブランコというものに乗ったことがないため、未知なる体験ができる喜びのあまりスキップしながら公園に向かう。・・・その道中で近所のおばあさんたちに笑われてしまった・・・少し自重しなくては、ブランコは逃げないのだから。
スキップから歩きにかえてしばらくすると公園に着いた。さあ、いざ
ブランコの近くに来たのはいいけど、なんか隣の女の子が悲しそうである・・・。
女の子のことがつい気になってしまって人見知りなのに話しかけることにした。頑張れ、オレの
「ど、どうしたの?」
「なんでもないの・・・。」
「そ、そうなんだ。」
「・・・・・・。」
・・・会話終了。人見知りなオレなりに頑張って話しかけてみたけど、どうやらオレでは荷が重いようだ。
なんか空気がもっと重くなっちゃったんだけど!誰か助けて。
「隣失礼します。」
そのまま突っ立ているわけにもいかないのでブランコに乗ることにした。
≪キーコ・・・キーコ≫
公園内にオレが黙々とブランコをこぐ音だけが響き渡る。
・・・あれ?全然楽しくないんだけど。幼稚園の同級生から聞いてオレが夢見てたブランコ遊びと違う。もっとキャッキャウフフとなるものではなかったのか。むしろこの空気が重すぎて早く帰りたいまである。
・・・しょうがない、この空気を破壊してこの少女とブランコ遊びをしよう!お父さん、お母さんこのオレにもう一度この子に話しかける勇気をください。・・・よし、行くぞ!少女よ覚悟しろ!!!!
「ね、ねえ一緒にブランコで競争しない?」
「どうして?」
どうして・・・とな。ほうこの少女オレに理由を求めるのか。よかろう、このオレが君を納得させるようなスンバらしい理由を述べてやろう!!
「独りぼっちは寂しいから。」
あ、やばい。完全にやらかした。なんかとてもかわいそうな子になっちゃってるよオレ。今からでも遅くない、もっといい理由を考えるんだ!頑張れオレの脳細胞。
「あなたもひとりぼっちなの?」
1人で理由を考えていると、少女に話しかけられた。残念ながらその通りなので肯定する。
「そうだよ、君もなんだ?」
「うん。お父さんが怪我してからみんな忙しそうで、家に居場所がなくて夕方になるまでここにいるの」
・・・なかなかヘビーなものが来た。どうやらこの少女の家族は今大変な状況らしい。
「それなら、オレと一緒にお父さんの怪我が治るまで毎日一緒に遊ぼうよ。そうすればオレも君も寂しくないよ」
「いいの?」
「オレがそうしたいから言ってるんだけど・・・駄目かな?」
オレがそう言うといきなり少女は泣き出してしまった。え?なんで!?
「どうしたの!?嫌だった?」
「ううん・・・。嬉しいの!」
「そっか。じゃあ、これからよろしくね。・・・そういえばまだ名前言ってなかったね、オレの名前は羽島カイ。君は?」
「なのは・・・高町なのはなの!!」
この公園を待ち合わせ場所にして、それから毎日2人で遊んだ。数か月後にお父さんの怪我が治ったらしくて、笑顔で教えてくれた。それからはお互いに空いてる時間を見つけて遊ぶようになった。
あれから何年も時が経ち、オレは小学3年生になった。
オレは、海鳴市で一番有名な私立聖祥大付属小学校に通っている。この学校は大学までエスカレーター式で進むことができる偏差値の高い学校だ。
未だになんでオレがこの学校に入学できたのか謎である。だけど、高いお金を払ってくれている両親にはとても感謝しているので、一生懸命勉強している。
しかし、理系はからっきし駄目である・・・算数はちょっと好きだけどね。文系はオレの得意科目だ。
「今日は、皆さんに自分の将来について考えてもらいます。」
今日の授業は自分の将来について考えるものらしい。弁護士や警察官など皆やけに現実的な夢ばかり言っている。小学3年生なのに皆しっかりしすぎじゃないか・・・!?オレの価値観がずれてるのかわからないけど・・・。
ちなみにオレは将来について何も考えていない。オレは何にも縛られずに生きていくのさ!!・・・嘘です、ただ単に将来のことについて考えるのが怖いだけです。
「じゃあ、羽島君に発表してもらいましょうか。」
え?なんで指されてんの?・・・いや落ち着け、これはオレ以外の羽島さんに違いない。おいおい、羽島さん早く発表しろよ~。
「羽島カイ君。聞こえていますか?聞こえてて無視しているならこれはちょっと放課後職員室に来てもらおうかしら。」
・・・オレでした。
「ちゃんと聞こえております、先生。ちょっと僕の夢は伝えるのが難しいものなので、どうやって伝えようか考えていたんです。」
「あら素晴らしいわね、そんなに自分の夢を考えているなんて。私は感動してますっ!」
今更ただ惚けていただけなんて言えない雰囲気だわコレ。くそ、即興で皆が感心する夢を言わなくては!!お前ら、耳の穴かっぽじって聞くんだ!!
このオレの素晴らしい夢を!!・・・もうちょっとだけ考えさせて。
「羽島君、どうしたの?」
なかなか言わないオレに対しての先生からのプレッシャーが凄い。もう行くしかない!羽島カイ行きまーす。
「僕の夢は・・・地球の平和を守ることですっ!」
「な、なるほど。やけにスケールの大きい夢ですね。」
「・・・・・。」
や、やっちまった・・・。クラスメイトも固まっているんだけど・・・。何だよ地球の平和を守るって。怪人とでも戦うのかよオレ。今のオレの顔は真っ赤になっていることだろう。もう遅い気がするが、なんとか巻き返しを・・・。
「冗談なんです先生。本当は誰かに養ってもらう予定なんです。」
「・・・・・」
・・・時が止まった気がした。さっきより悪化してるんですけど!!なんでいきなりヒモ発言してんのこの口!今の発言、絶対昨日見たドラマが関係してるっ!
どうやらオレはパニックに陥ると変なことを口走ってしまうらしい。クラスメートの視線が痛い。先生の笑顔もひきつってるし。
≪キーンコーンカーンコーン≫
ちょうどその時授業終了を告げるチャイムが鳴り、オレにとっての地獄の時間が終わった。自分の席で悶えていたオレを呼びに来てくれたなのはと一緒に屋上へと行くのであった。
今は昼休み。この学校は給食ではなく弁当なので屋上で昼食をとっているわけなんだけど・・・。
「あはははは!養ってもらうって何なのよっ!?」
友達のアリサバニングスに笑われていた。今ここにいるのはオレ、なのは、アリサ、月村すずかの4人。
アリサとすずかはなのはを通して小学1年生の時に知り合った。その時から続いている友達である。
「うるさい!なんか口から出ちゃったんだよ。多分昨日やってたドラマのせいだろう・・・うん、多分。」
「にゃはは・・・それはもう本心じゃないかな?」
なのは、心にグサッとくるからやめて。
「カイ君は皆を楽しませようとしてたんだよね!」
すずかさん、あなたのフォロー辛すぎるよ・・・。
「養うんじゃなくて、養ってもらうとか自分で働く気はないのかしらね。」
「もうやめるんだアリサ。オレの心はこれ以上ないくらいに傷ついてる。」
自宅警備員として働いているじゃないか。家を空き巣から守ってるじゃん!・・・いや、働いてないですねすみません。
「そういうアリサたちは夢決まってんの?」
「私は親が社長だからいっぱい勉強して跡を継がなきゃって思ってるけど・・・。」
「私は機械いじりが好きだから工学系に進みたいって思ってるよ。」
oh・・・どうやら2人の夢はもう決まっているらしい。君たち小学3年生だよね?やはりこの学校の生徒はどこかおかしい。スペックからして違う。オレはなのはへと一縷の望みをもって問いかける。
「なのはは?」
「私はまだ決まってないんだよね・・・。」
おお!仲間がいたぞ!勝ったッ!
「大丈夫だよなのは、オレも決まってないから!」
とびきりの笑顔で話すオレ。そうだよね、まだ小学3年生なんだからこれが普通だよね。
刮目せよアリサ、すずか!これが普通の人な反応だぜ・・・多分。
「何言ってんのよ。アンタとなのはを一緒にしないで。」
「アリサさんよォ、そんなにオレのこと傷つけたいのかい?」
ここでアリサ選手からの会心の一撃。オレの心に4000のダメージ!もう止めてこれ以上オレのメンタル傷つけないでっ!君のこころは輝いているかい?・・・いいえ、アリサのせいで澱んでおります。
「そんなことないわよ、あんた喜んでるじゃない。」
「オレが!?どこがですか!?オレはMじゃないぞっ!」
「本当かしら?」
「本当だって!」
「なのはちゃんって翠屋の2代目店主じゃないの?」
「うーん。それも一応将来のプランの一つではあるんだけど、私って得意なものがないから・・・。」
ここでオレとアリサのやり取りを無視してすずかがなのはに問う。・・・あれ?なのはの理系科目の点数ってトップレベルだと思うけど・・・。
「ばかちん!アンタ私よりも理系の点数高いじゃない。そんなことを言うのはこの口か~。」
あ、やっぱアリサが怒った。
「いふぁいよ、あふぃふぁふぁ~ん(痛いよ、アリサちゃ~ん)」
「アリサちゃん、落ち着いて。皆見てるから~。」
すずかがなのはの頬を引っ張っているアリサを宥めようとおろおろしている。オレ?もちろん傍観者Aに徹してるよ。あの空気の中に突っ込むのは藪蛇だからね。
・・・なんかこっちを見て拝んでいる人がいるけど気にしないことにした。
こうしてオレたちの昼休みは終わった。
なんやかんやで今日の授業がすべて終わり今は放課後。
昼休みの後から先生やクラスメートの視線が何故か温かい物であったことをここに記しておこう。
放課後、塾に行くなのはたちと別れて男友達である前田と一緒に下校している。前田はオレの少ない友達の1人である。・・・自分で言ってて悲しくなってくる。
「お前を将来養ってくれる人はもう見つかったか?」
「いや、それが全然・・・ってそのネタ蒸し返すのやめてもらっていい!?」
「お前、学校のなかでも有名なバニングスたちと仲がいいのにそういった話が全然ないからな。」
「アリサに至ってはオレのこと罵倒して楽しんでるから。」
「それでも羨ましいんだよ。」
「なら変わってくれ。罵倒の嵐だから。」
「いや無理だよ。美人過ぎて話しかけることすら難しいっていうか。」
「マジかよ・・・。なんか胃が痛くなってきた。」
家に着いたので前田と別れ、家の中に入る。今日は宿題もないからRPGゲームでもやろう。
≪助けて≫
ちょうど魔王が姫をさらい、姫の『たすけてください』というテロップが出現したときに同じ言葉が聞こえた。いや、聞こえたっていうより直接脳内に聞こえたような・・・。
最近のゲームはすごいな。直接脳内に響くような音声を使っているのか。思わずこいつ脳内に直接!?とか思ってしまったぜ。内心最新ゲームの性能の高さに感心しながらオレはゲームに没頭していた。
オレの両親は共働きで帰ってくるのが19時くらいである。ほかの家庭と比べて遅めの夕食を母さんが作っていた時にまた声が聞こえたような気がした。今日は幻聴が多いな・・・。耳鼻科に行くべきかな?
「あ!お醤油を切らしてるの忘れてた。ごめんカイ、近くのスーパーでお醤油買ってきてもらえる?」
「いいよ。ダッシュで行ってくる!」
「そんなに急がなくて大丈夫よ。気を付けて行ってきてね。」
「はーい。」
オレは母さんからお金を受け取って家を出た。しばらく歩いていると所々道路が陥没してるのが分かった。工事でもやってるんだろうか?と不思議に思いながらもそのまま歩いていく。
「グオオオオオオオオオオオ!!」
いきなり何かの鳴き声が聞こえて来たかと思ったら目の前に何かが降ってきた。
「なんだこれ?」
降ってきた物体に近づこうと思ったら、その物体はこちらを振り向いてきた。
・・・どうやら生物だったらしい。目が赤く輝いていて紫色の毛に覆われている。・・・うん、見たことないね。
危機感を感じてそのまま横を素通りしようと思ったけど、なぜかその生物はこちらを向いてきた。
「・・・ワン。ワンワンワン!ワンワンワン?」
「・・・・・。」
犬語で話してみたけど効果がない。ノーリアクションである。おかしい、ムツゴロウさんをイメージしてやってみたのだが・・・。
どうしようかと悩んでいた次の瞬間、その生物が襲い掛かってきた。オレはとっさに横に転がり逃走を開始した。その生物はオレのことを追ってきている。餌かなにかと勘違いしてるのか!?
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「いや、なんでだよーーーーーーーー!!!」
オレの叫びが夜の空に響き渡り、オレと生物Aの鬼ごっこが開始された。
彼の伝説はここから始まった!