藤沢彩菜……登場。
両津らが英治達と出会う1時間前……
時刻は午後3時。
白咲中では6時限目の授業が残り30分程で終わろうとしていた。
「それでよー」
「マジかい!?」
この時間帯になると生徒達の集中力は限りなく散漫になり皆が今日は何をして遊ぼうか等と遊びの事を考える生徒が多くなる。
「えー……このようにしてへのへのもへじのレレレの法則は……」
ようやくつまらない大人(先生)の頭にも入らぬ授業から解放される時間……。
皆そわそわし始めるのだが一人の少女は、無機質なロボットのようにただただノートに眼差しを向け、時間が終わるのを静かに待ちわびた。
そしてその少女をまるでボウフラを見るような眼差しを向ける少女が一人。
彼女の様子を見て自然と笑みが浮かぶ。
(もう、あいつに抵抗する力なんて一切無いはず、煙草を身体に押し付けられても表情も変えず、お金を寄越せと言われれば渡すだけの味気無い女……)
「そろそろ送ってあげるわ……」
『藤沢彩菜』
見つめている少女は音を出さずに口を動かした。
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「「白咲町の犯罪抑制?」」
「うむ、あまりに悪ガキ共が好き放題やっとるらしいからな。前々から全国の警察で白咲町に他から応援を送る事は決まっとったらしい」
「それで両津さん達葛飾署の方達が先駆けて来たってわけスか」
「まぁ、そんなところだな!わしもこの頃身体がなまっていたからなぁ……ぐふふ、退屈せずに済めば良いが」
両津の狂気の笑顔に英治と善子は顔をひきつらせた。
残念はそんな二人に
「この人を怒らせないほうが良いよ……何するか分からないから……」
と、こっそり耳打ちで告げた。
はい……と二人は小声で返す。
笑顔だった両津は突然何かをふっと思い出したように真顔に戻った。
「ん?そういや……おい英治、善子。白咲町にも白咲署や交番等が各所に有るはずだろう?パトロールで取り締まったりせんのか?」
「確かにそうだな。そもそもこの町の警察がちゃんと犯罪抑制や補導等に力を入れていれば全国からの派遣の話自体起きなかったんじゃ?」
両津とボルボ二人の目線に英治と善子は少したじろんだ。
「ここの警察はね……」
話し出したのは善子だ。
「自分達のポイント稼ぎになるような事案しか扱わないの……だから私達子供が起こす事件なんて放ったらかし。そりゃそうよね……私達を助けたって点数になんかならないし……」
「なんと……」
三人は言葉を失う。
「確かに……白咲署は民間人等が少年達の暴行を住人が始めて通報したのを境に動き出したくらいですからね……面倒事は余程隠したいと言う事でしょうか」
「己の点数稼ぎの為に少年犯罪を切り捨てるとは……幾ら何でも自分勝手過ぎるな!両津、ここは俺達が目を覚まさせてやった方が良いんじゃないか?」
「慌てるなボルボ、わしらが白咲署の警察に楯突いたらそれこそここの子供達を救えなくなる……そうか、白咲の警察は見て見ぬ振りをしてたってわけか」
両津は腕を組み、じっと宙を睨む。
「すげぇや……」
英治は三人の様子を見てぽつりと呟いた。
その表情はまるで自分が憧れるヒーローを見るかのように。
「俺始めてだよ……こんなに俺らの事を考えてくれる大人を見るの、自分の損得じゃなくて他人の為に動ける大人達を見るのはさ」
英治の問に両津は満面の笑みを作り
「はははは!大したもんじゃねぇわしらは仕事だ。警察としてはちと不真面目だが義理人情には熱い方だぜ」
堂々と告げた。
「「両津さん……」」
「たまには、良い事言うぜ」
「全くです……でもそろそろ僕達が暫くお世話になる旅館へ向かった方が良くないですか?明日には件の白咲署への挨拶もあります」
これも白咲署の拒絶かどうか分からぬが両津達を署員として白咲署に置く気は無いのだろうか?
遊撃手のように自分達を活躍させるとはとても思えない。
「おお、もうそんな時間か!すまんがお前らまたな」
その言葉に二人はええーと落胆の声を挙げた。
しかし野宿をするのは真っ平御免だ。
「何て旅館に泊まるの?」
「残念、名前なんだったけ?」
「え~と……十千万(とちまん)って名前の筈です」
「うそっ!」
善子は手を合わせて叫んだ。
「な、なんだ……」
「そこ、私の先輩の実家の旅館よ!」
「偶然ってあんだな……じゃあ善子わしらの案内をしてもらえるか?」
「喜んで!このヨハネがリトルデーモン達を千歌さんの家に招待するわ♪」
凄まじいキャラの豹変に三人は唖然となる。
「ヨハネ……り、リトルデーモン……」
「残念さん……気にしないで大丈夫です。これが善子のキャラですから」
「善子言うな!」
「それがお前の名前だろうが、俺も両津さん達を旅館まで見送るよ」
「そうか、すまんな」
「いいえ応援してます!両津さん!」
5人は十千万へ向かった。
学年設定は千歌高1 善子と英治は彩菜と同じく中3です。