色を持たない機竜   作:怠惰ご都合

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半年近くぶりの投稿になりますね、お久しぶりですと作者です。お知らせで月1投稿が云々とか身勝手なことを言ってましたが、コレまた身勝手な理由で未実行だったりします。大変お待たせしております。


あなたと自分を選ぶなら

 

 「ホントに・・・・・・数が多い、わね!」

 

 「全くだね。倒しても倒しても切りが無いこの物量に、ちょっとイライラしてきた・・・・よっ!」

 

 押し寄せる幻神獣(アビス)の群れをどうにか相手しながら会話する。状況を考えてれば無駄なだけではあるのだが、こうでもしなければ、心が折れるかもしれない。武装を弾かれるかもしれない。圧倒されるかもしれない。何れにせよ義姉(ロッサ)の負担が増えるだけだ。それなら、そうならないようにするしかない。この会話だって、お互いの無事を確認する為にも必要なのである。

 

 「せっかくみんなが今回の為に準備してたんだから、そんなこと言わないでもっと遊んであげてよー」

 

 部屋に響くルゥの声はどこまでも明るかった。だからこそ解った。この子には罪悪感なんて無いのだと。数多の幻神獣(アビス)が機竜に倒れ、そこら中に横たわっていたとしても、ただ本当に、遊んでもらってるという認識なのだと。

 次から次へと押し寄せる幻神獣(アビス)の大群に対して、どうにか二人だけで対象していく。機竜牙剣(ブレード)で弾き落として機竜息銃(ブレスガン)で撃ち抜く。ただそれだけの単純なことの繰り返しだが、数が数だけに一切気を抜けない。

 

 「流石にこれは・・・・・しんどい、ね!」

 

 迫りくる爪を避けながら機竜牙剣(ブレード)で斬りつけては、次の幻神獣(アビス)の対応をしていく。

 幻神獣(アビス)が一体だけならどんなに良かったことか。いや、仮に対峙しているのが一体だったとしても次から次へと現れるのであれば、それはもはや関係ないのである。

 

 「ホントよね。ちょっと誰よ、多く倒したほうが次の目的地まで楽できるとか言い出したヤツ」

 

 ・・・・・・随分とまぁ、都合のいい性格していらっしゃることで。いいよね言い出しっぺは、どんな発言しても自分にとってどうとでも解釈出来るんだから。

 

 「・・・・・ッ!?」

 

 「何か言いたそうな顔してるわね」

 

 あっぶな!?目の前の幻神獣(アビス)機竜爪刃(ダガー)が突き刺さったんだけど!助かったけど、少しでも外れたら《ビフロスト》大破してるかもなんですけど!

 

 「まだ何も言ってないじゃないですか!?それよりも、せめて投擲するなら一言くらい言って欲しかったですよ。こっちに突き刺ささるかと思いましたよ!」

 

 「フン・・・・・結局言うつもりだったんじゃない」

 

 「もっと他に言うことありますよね!?あとこっちの言い分をスルーすんの止めて下さいよっ!仮に焦って追い詰められたらどうするつもりだったんですか!」

 

 「とか言いながら、簡単そうに対処出来てるじゃない」

 

 「それは勿論ですともえぇ、なにせどっかの誰かさんよりも操縦上手いですから・・・・・・・ッ!?だから、狙わないで下さいよっ!せ、せめて幻神獣(アビス)に当てるならわかりますけどね、直接狙うのは違くないですか!?」

 

 「・・・・・・ちょっとは当たりなさいよ」

 

 どこに文句言ってんだこの人!?

 

 「つまんなーい。ホントはもうとっくにバテてもおかしくないんじゃないのー?」

 

 流石にそろそろ飽きてきたのだろう、ルゥは足をバタバタさせながらそんなことを言っている。

 

 「・・・・・・・安心しなさい、今度はちゃんと狙ってあげるわ。数にも困らなそうだしね」

 

 「いえあの、そろそろホントに自分の方に専念してもらっていいですか?助けてもらえるのはありがたいですけど、それで義姉(ロッサ)さんが倒れたら、俺がアイツに怒られちゃうんですよ。出来る限り面倒はゴメンです」

 

 未だに切りが無いこの状況。それどころかさっきの倍近くの数が今にも向かってきそうだ。ただ、さっきと違うのはガーゴイルタイプが見当たらず、キマイラの幻神獣(アビス)ばかりだということだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キマイラの数を確認していると義姉(ロッサ)が竜声で呼びかけてきた。まぁ少々複雑ではあるが今まで共に生活してきた仲だ。何が言いたいのかわからないほど鈍くはない。

 

 「・・・・・どう思う?」

 

 「ガーゴイルがいなくなったのは大分ありがたいね」

 

 「本音は?」

 

 「・・・・・・・頭数が増えただけで、大して楽になってないどころか余計面倒になってるね、誰か助けて」

 

 「・・・・・・ハッ」

 

 ねぇちょっと何この人。急に静かになった思ったら鼻で笑ってきたんですけど。

 

 「ちなみに、確認のために聞くけど、あれだけの数を前にしたとき、どんな気分だったのさ?」

 

 「あんたと同じに決まってるじゃない。なんだったら初めて見たわよあんな数。さっさとどうにかしましょ」

 

 「・・・・・・ハッ」

 

 「人の不幸笑ってんじゃないわよ。口動かす暇あんなら、あの数減らすくらいの働きしなさいよ」

 

 ・・・・・・言い返されると怒るとか、どんだけ情緒不安定なのさこの人。ひょっとして自分が何やってるか自覚ないのか?今だって結構働いてるでしょうに。

 

 「で、実際どうするのこの数?無理矢理逃げる?それともどっちかが囮になる?」

 

 とは言えないのが辛いところ。言えたらどれだけ楽だろう。

 

 「どっちも却下よ。そろそろネガティブ思考はその辺にして、いい加減現実見なさいよ」

 

 それでいて、二人とも生き残る選択肢を捨てないあたり、ただ自分勝手な訳でもない。相変わらず人の為となると優しいね。

 

 「・・・・・・・無限の悪意(ランダム・マリス)

 

 だったら、こんなヤツ(ニセモノ)を生かすためにここで消えるなんて勿体ないだろ。それこそアイツ(本物)を支えるために行動した方がいいに決まってる。だってそうだろう。今まで生きてきた本物のハミアや、記憶を失った直後のアイツの方が、他の知り合いと面識があるんだから。つい最近出てきたばかりのニセモノが残ったって、知り合いと顔合わせたら気不味くなるだけだ。だから、どうせ消えるなら・・・・・・俺が最適だ。

 

 「・・・・っ、ちょっと!?」

 

 突然神装を発動させれば、流石に気づくよね。でも仕方ないじゃん。だって、先に伝えたら絶対止めるでしょう。

 

 出た色は薄い紫、変わったのは武装の数・・・・・厳密に言うなら機竜息銃(ブレスガン)と《空挺要塞(レギオン)》が減って、その分だけ機竜牙剣(ブレード)が増えた。近距離戦用になったが、寧ろ好都合。ただ空から一方的に撃ち下ろす方が楽なことに違いはないが、それだと俺が消える可能性が低い。それに、どうせ消えるなら目立たずにいきたい。だって空でふよふよ浮いてて力尽きて倒れるとか恥ずかしいじゃん。

 

 最初に機竜牙剣(ブレード)を一本、群れ目掛けて投げつける。直撃したのを確認すると同時にワイヤーを突き刺さっている機竜牙剣(ブレード)の柄に射出する。巻き付いたらそれに引っ張られるように群れに突っ込んだ。

 煙が舞い、視界が塞がるが構わない。ワイヤーが巻き付いている方の機竜牙剣(ブレード)を振り回す。リーチがある分、多少は広めに振り回しても問題はない。どうせ義姉(ロッサ)は浮遊したまま援護射撃してるだろうから当たって文句を言われることもない。どうせ文句を言われるなら、多分今の行動に対してだろう。

 

 「・・・・・・・ッ!?」

 

 だけど、相手だって単純じゃない。単体ならどうとでもなるけど、今回のように統率者がいるのなら状況は変わってくる。今だって、倒し築いたキマイラの山に隠れていた個体が攻撃してきたところだ。

 

 「こ・・・・・のっ!」

 

 直接持っている方の機竜牙剣(ブレード)で切り払い、そのまま動きを止める。新たに機竜牙剣(ブレード)を構え、再び群れ目掛けて投げつける。ついさっき同じことをしたばかりだから避けられるだろう。

 

 「それじゃワンパターンだってー」

 

 「・・・・・・知ってるよ」

 

 笛の音による指示の下、キマイラの群れはそれを避ける。避けられた機竜牙剣(ブレード)は当然、床に深々と突き刺さる。だけど・・・・・・・それは想定済み。

 ルゥの言葉に言い返すと、今度はその機竜牙剣(ブレード)目掛けて跳び、《ビフロスト》の足が接したのを感じ再び跳ぶ。確かに、投擲武器は避けられたらそれっきりだ。だって、そのままどこかに飛んでいってしまうかもしれないし、突き刺さったまま抜けなくなるかもしれない。対峙している相手に奪われる場合もあれば壊されることもある。何れにせよ無事に回収できる機会は無いに等しい。

 だけどそれは、使用目的が武器という位置付けだった場合の話だ。今回は多少異なる。確かに狙うは狙ったが、”当たればいいや”程度であって、あくまでも目的はその先・・・・・足場にすることだ。

 機竜牙剣(ブレード)という近接武器で戦う場合、空から挑むには不利だ。上から相手に突っ込むのは、待ち構える方からすればある程度の予想がつくのだから。機竜そのものの重量の影響も考慮するとフェイントをかけるのは、それだけは墜落する可能性が高い。だったら直線・・・・前方向から正直に向かったほうがフェイントだって効果があるだろう。

 機竜牙剣(ブレード)が増えても機竜のアームが増える訳ではない。構えなくてもそのまま射出するタイプなら話は別だが、構えるタイプなら同時に持てるのはアームの数、つまり2本しか無理である。同時に複数持てたとしても使えなければ意味はない。なら、足場として使いながら跳躍しているうちに、新たな足場として投擲し、装備するという行動を繰り返す方が適しているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイツと違って神装を発動することはできるが、それは扱いきれるかという問題とはまた別の話だ。オリジナルの一部に過ぎない欠陥品にとっては発動すること自体、負荷が大きい。

 

 「まぁ、いいけどね」

 

 遅かれ早かれどうせ消える立場。ならせめて、この(カラダ)に神装の扱い方を教えて、思い出させておけば、未熟なハミア(アイツ)には十分過ぎる程の置き土産となる。

 

 

 

 

 

 




久しぶり過ぎる投稿なのに戦闘から書き出してしまう、自業自得な展開に落ち込みつつありますが、この戦闘シーン実はあともう一回ほど続きます・・・・・・・多分。
それではまた次回。
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