色を持たない機竜   作:怠惰ご都合

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久しぶりに投稿したら前回より1年近く経過してる事に驚愕してますね、どうも作者です。気づいたらGWが終わることに恐怖してますが、それはともかく続きです。実は作者自身、前回の話を忘れてるのはここだけの話。


ニセモノなりの覚悟を示して

 

 キマイラ目掛けて機竜牙剣(ブレード)を放っては新たな足場として飛び移る。当たろうが避けられようが構わない。今はただ、直に変わるであろうハミア(アイツ)の為に少しでも数を減らしておくという、非常に不本意で大変面倒な、事をしているに過ぎない。

 竜声で義姉(ロッサ)が何か言っているが気にしない。つい最近会ったばかりのニセモノさえも心配してくれるのはありがたいが、それを口にしていいのは自分(ニセモノ)なんかではなく、ハミア(オリジナル)にだけだ。

 キマイラも数が多いだけで素早さは大した事ないが、それでもハミア(アイツ)には苦しいんだろうから、仕方ない。こういう時はもうすぐ消える存在が、なんとかしておいてやる。だから・・・・・・・ちゃんとしてろよ。

 

 「ほら、これで・・・・・・・・・いや、邪魔しないでもらえます?」

 

 ようやく数が減ってきて、目に見えて終わりが近くなったと思った矢先、次の足場となる筈だった機竜牙剣(ブレード)は、義姉(ロッサ)に引き抜かれていた。足場を無くして、仕方なく地面に着地する。

 

 「何よ、もう満足?」

 

 「・・・・別にいいじゃん」

 

 「いいわけないでしょ。人の静止を無視して勝手に無茶して、その結果がこれよ。どうせなら全部倒して私に楽させなさいよこの中途半端」

 

 好き勝手言うな。所詮こっちはニセモノで、あんたは変えの効かない立場。生き残らないといけないのはどっちか・・・・・なんて言うまでもないじゃないか。

 

 「そもそも、どうして邪魔するんですか?」

 

 「アナタ、消えるつもりなんでしょう。だから神装まで発動させて、こんなにも無茶をしている」

 

 どうせ消えるんだから、構わないだろうに。

 

 「・・・・・いいじゃんか、別に。誰に迷惑をかける訳でもないんだから」

 

 そう言った途端、機竜牙剣(ブレード)を急に投げつけられた。なんとか当たるより先にキャッチする。

 いきなり何するのさ、そう言おうと顔を上げた瞬間、義姉《ロッサ》の表情は、沈んでいた。

 

 「良い訳・・・・ないじゃない。私にとって、”ハミア”は大切な弟。どっちが・・・・・・ううん、誰が本物かなんて関係ないの。なのに、どうしてそんなに寂しい事言うのよ!」

 

 「・・・・・・」

 

 再び機竜牙剣(ブレード)を投げては足場として使い、もう一振りでキマイラを切りつけていくという、動きを無言で繰り返す。

 

 「・・・・・答えなさいよ」

 

 その声が、静かに響く。今にも消え入りそうな位か細いのに、不思議と耳に残る。たった一言なのに、ずっと響いて聞こえるそれには、拒否を許さないと言わんばかりの意志を感じた。

 

 「別に、大層な理由なんてないよ。ただ、アイツの方がオリジナルに近い性格してるし、アイツの方が、他の奴らの記憶に残ってる。ただでさえ混乱してる皆のところにニセモノ(もう一つのハミア)が顔を出せば状況は悪化、余計に混乱させる。だけど、今ならバレてないんだ。だったらこのまま消えた方がいい」

 

 「私は、どうなのよ。アナタの事を知ってる私の事は、どうでもいいって言うの?」

 

 キマイラの数が減っていく。だがそれは、己という存在が消える瞬間が迫っているのと同義だ。

 

 「・・・・・どうでもいい訳じゃない。ただ、ニセモノの事を知っているのは、覚えていてくれるのは、悲しんでくれるのは、アナタ(一人)だけでもオレ(ニセモノ)には勿体ないくらいなんだ。だって、ホントは誰にもバレずに消えるつもりでいたんだから」

 

 「じゃあ、このままいたらいいじゃない」

 

 そう言ってくれるのは・・・・嬉しい。だけど、覚えていてくれるのは、アンタだけでいいんだよ。どの道消える予定の存在が、いつまでも居座っているのは何か違うから。オリジナルの時間を奪う事には変わりないから。だから、消えるのは当たり前なんだ。これ以上、我儘を言ってはいけないんだ。

 

 「・・・・・・」

 

 敢えて聞こえてない振りをする。竜声で通じているからこんな事をしても無駄だと解ってはいるけど、これ以上余計な事を考えない為にはこうしないといけないんだ。

 

 「我儘言ったって、いいじゃないの!」

 

 なのに、なんでそんなにも引き止めようとするんだよ。

 

 「もう、十分に楽しんだから。だから・・・・いいんだよ。このままで」

 

 キマイラの数が目に見えて減ってくる。後は両手で数えられるくらい。後、もう一息で全てが終わるよ。これ以上、この人を悲しませずに済むようになる。

 

 「・・・・なんで、自分を諦められるの。なんでもっと足掻こうとしないのよ!」

 

 これ以上ニセモノがここにいても、この人は悲しむだけだ。今まさに消えようとしているニセモノを引き止めようと、ありもしない方法を探して、でも結局見つからないから、せめて言葉で止めようとして。

 でもこれだけは解って欲しい。俺は、アンタを苦しませたくなくてそれを選ぶんだって。

 

 「なんで、止まってくれないのっ!?」

 

 何体目かも解らないが、遂に最後の個体が動きを止めた。それは同時にニセモノの活動が終わろとしている、なのになんで喜んでくれないの。どうしてそんな悲しい表情をしているんですか。

 

 機竜牙剣(ブレード)を地面から引き抜いた途端、身体から力が抜けて行く。《ビフロスト》が静かに解除され、ドサリと体が床に落ちる。

 

 「ハミア!」

 

 「あーあ、もう終わっちゃった」

 

 ルゥは面白くなさそうに呟いた。まるで玩具が壊れたかのような、無気力な声。

 対して、駆け寄って来た義姉(ロッサ)は今にも泣き出しそうだった。

 

 「・・・・・・」

 

 「・・・・・・・・・何か言ったらどうなのよ」

 

 気まずいから敢えて沈黙してたのに、なんでこっちの気持ちを汲み取らずに喋らせようとするのこの人。いいじゃんか別に静かに消えてったってさ。最後の個体を倒した瞬間に《ビフロスト》と(カラダ)だけ残って、少しの間意識を失って義姉(ロッサ)が泣きながら叫んでる時にアイツとバトンタッチするという展開を望んでいたのに。

 

 「・・・・・・・」

 

 「・・・・・・・・・騙されないからね」

 

 こっそり目を閉じてみてもダメだった。えぇ・・・・これでもダメなの?いいじゃんこういう時くらい多少都合よく進んでくれてもさ。

 

 「・・・・・・・・・いや、あのッ!?」

 

 「・・・・・・・・・うるさい黙りなさい。今更そんな我儘許されると思っているの?」

 

 喋ろうとした瞬間に叩かれたんですがそれは?何か言えって言ったじゃんか・・・・・くそう、痛いなあ。

 だけどまぁ、こんなんでも1番らしい(・・・)とも言えるのか・・・・・・な?

 

 「アンタみたいな強引な人初めてだよ。じゃあな」

 

 「ちょっと変わったところもあって驚いたけど、頼もしかったです。さよなら」

 

 「うん・・・・・またね」

 

 うんまぁ、こんなんだけど・・・・・・・・いっか。

 というわけだから、後はよろしく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久しぶりに見たハミア(コイツ)の表情からは、心配だという気持ちが溢れていた。

 

 『本当に、もういいの?』

 

 あぁ、満足したよ。これでもかってくらいな。

 

 『まだ全然いいんだよ?』

 

 もうこれ以上、あの義姉(ヒト)と一緒にいたら自分(オレ)の何かがブレる予感がするから割と真剣にイヤなんだよ!そこんとこ察してくれよ自分(ハミア)なんだから。

 

 『別に悪い人じゃないでしょ。というか良い人過ぎるくらいじゃなかった?』

 

 ・・・・・否定はしない。

 

 『ならどうしてさ』

 

 それでもやっぱり合わない人ってのはいるんだよ!

 

 『後悔しない?』

 

 これ以上後悔してたまるかっての!もう十分後悔してんだ、くそっ、こんな事なら外に出るんじゃ無かった!

 

 『でも、外を知らなかったら後悔すら出来なかったでしょ?』

 

 この言い方が、嫌でも自分とコイツが同一人物である事を思い知らせてくる。

 こんな時ばっかり、否定出来ない事言いやがって。

 

 『(ハミア)は優しいんだね』

 

 ・・・・そんな訳ないって見てたんだから解るだろ。

 

 『ううん、見てたからこそ解るよ。(ハミア)は荒っぽい言葉で相手を遠ざけようとするけれど、それは本当は相手を傷つけたくないから。だから敢えて遠ざける事で守ろうとしてる。それが、(ハミア)なりの優しさ、なんだね』

 

 ・・・・・・・そこまで解ってんなら言わなくてもいいだろううが。とにかく、俺はもう疲れた(満足した)から代わるぞ。そういう約束だからな。

 

 『まだ・・・・消えない、よね?』

 

 安心しな、お前(ハミア)が満足するまでは見守っててやるよ。その代わり、俺がまだ消えてないって事はバラすなよ?知られたら面倒だからな。

 

 『・・・・うん』

 

 ・・・・・・思ってたより楽しかったな。

 

 

 

 

 

 

 




一先ず今回でハミア(自称偽物)の出番が終わります。ひょっとしたらまた出てくるかもですが、等の本人がロッサについて何かしら文句を言ってるからどうなんでしょうね。
それではまた次回。
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