キマイラ目掛けて
竜声で
キマイラも数が多いだけで素早さは大した事ないが、それでも
「ほら、これで・・・・・・・・・いや、邪魔しないでもらえます?」
ようやく数が減ってきて、目に見えて終わりが近くなったと思った矢先、次の足場となる筈だった
「何よ、もう満足?」
「・・・・別にいいじゃん」
「いいわけないでしょ。人の静止を無視して勝手に無茶して、その結果がこれよ。どうせなら全部倒して私に楽させなさいよこの中途半端」
好き勝手言うな。所詮こっちはニセモノで、あんたは変えの効かない立場。生き残らないといけないのはどっちか・・・・・なんて言うまでもないじゃないか。
「そもそも、どうして邪魔するんですか?」
「アナタ、消えるつもりなんでしょう。だから神装まで発動させて、こんなにも無茶をしている」
どうせ消えるんだから、構わないだろうに。
「・・・・・いいじゃんか、別に。誰に迷惑をかける訳でもないんだから」
そう言った途端、
いきなり何するのさ、そう言おうと顔を上げた瞬間、義姉《ロッサ》の表情は、沈んでいた。
「良い訳・・・・ないじゃない。私にとって、”ハミア”は大切な弟。どっちが・・・・・・ううん、誰が本物かなんて関係ないの。なのに、どうしてそんなに寂しい事言うのよ!」
「・・・・・・」
再び
「・・・・・答えなさいよ」
その声が、静かに響く。今にも消え入りそうな位か細いのに、不思議と耳に残る。たった一言なのに、ずっと響いて聞こえるそれには、拒否を許さないと言わんばかりの意志を感じた。
「別に、大層な理由なんてないよ。ただ、アイツの方がオリジナルに近い性格してるし、アイツの方が、他の奴らの記憶に残ってる。ただでさえ混乱してる皆のところに
「私は、どうなのよ。アナタの事を知ってる私の事は、どうでもいいって言うの?」
キマイラの数が減っていく。だがそれは、己という存在が消える瞬間が迫っているのと同義だ。
「・・・・・どうでもいい訳じゃない。ただ、ニセモノの事を知っているのは、覚えていてくれるのは、悲しんでくれるのは、
「じゃあ、このままいたらいいじゃない」
そう言ってくれるのは・・・・嬉しい。だけど、覚えていてくれるのは、アンタだけでいいんだよ。どの道消える予定の存在が、いつまでも居座っているのは何か違うから。オリジナルの時間を奪う事には変わりないから。だから、消えるのは当たり前なんだ。これ以上、我儘を言ってはいけないんだ。
「・・・・・・」
敢えて聞こえてない振りをする。竜声で通じているからこんな事をしても無駄だと解ってはいるけど、これ以上余計な事を考えない為にはこうしないといけないんだ。
「我儘言ったって、いいじゃないの!」
なのに、なんでそんなにも引き止めようとするんだよ。
「もう、十分に楽しんだから。だから・・・・いいんだよ。このままで」
キマイラの数が目に見えて減ってくる。後は両手で数えられるくらい。後、もう一息で全てが終わるよ。これ以上、この人を悲しませずに済むようになる。
「・・・・なんで、自分を諦められるの。なんでもっと足掻こうとしないのよ!」
これ以上ニセモノがここにいても、この人は悲しむだけだ。今まさに消えようとしているニセモノを引き止めようと、ありもしない方法を探して、でも結局見つからないから、せめて言葉で止めようとして。
でもこれだけは解って欲しい。俺は、アンタを苦しませたくなくてそれを選ぶんだって。
「なんで、止まってくれないのっ!?」
何体目かも解らないが、遂に最後の個体が動きを止めた。それは同時にニセモノの活動が終わろとしている、なのになんで喜んでくれないの。どうしてそんな悲しい表情をしているんですか。
「ハミア!」
「あーあ、もう終わっちゃった」
ルゥは面白くなさそうに呟いた。まるで玩具が壊れたかのような、無気力な声。
対して、駆け寄って来た
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・何か言ったらどうなのよ」
気まずいから敢えて沈黙してたのに、なんでこっちの気持ちを汲み取らずに喋らせようとするのこの人。いいじゃんか別に静かに消えてったってさ。最後の個体を倒した瞬間に《ビフロスト》と
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・騙されないからね」
こっそり目を閉じてみてもダメだった。えぇ・・・・これでもダメなの?いいじゃんこういう時くらい多少都合よく進んでくれてもさ。
「・・・・・・・・・いや、あのッ!?」
「・・・・・・・・・うるさい黙りなさい。今更そんな我儘許されると思っているの?」
喋ろうとした瞬間に叩かれたんですがそれは?何か言えって言ったじゃんか・・・・・くそう、痛いなあ。
だけどまぁ、こんなんでも1番
「アンタみたいな強引な人初めてだよ。じゃあな」
「ちょっと変わったところもあって驚いたけど、頼もしかったです。さよなら」
「うん・・・・・またね」
うんまぁ、こんなんだけど・・・・・・・・いっか。
というわけだから、後はよろしく。
久しぶりに見た
『本当に、もういいの?』
あぁ、満足したよ。これでもかってくらいな。
『まだ全然いいんだよ?』
もうこれ以上、あの
『別に悪い人じゃないでしょ。というか良い人過ぎるくらいじゃなかった?』
・・・・・否定はしない。
『ならどうしてさ』
それでもやっぱり合わない人ってのはいるんだよ!
『後悔しない?』
これ以上後悔してたまるかっての!もう十分後悔してんだ、くそっ、こんな事なら外に出るんじゃ無かった!
『でも、外を知らなかったら後悔すら出来なかったでしょ?』
この言い方が、嫌でも自分とコイツが同一人物である事を思い知らせてくる。
こんな時ばっかり、否定出来ない事言いやがって。
『
・・・・そんな訳ないって見てたんだから解るだろ。
『ううん、見てたからこそ解るよ。
・・・・・・・そこまで解ってんなら言わなくてもいいだろううが。とにかく、俺はもう
『まだ・・・・消えない、よね?』
安心しな、
『・・・・うん』
・・・・・・思ってたより楽しかったな。
一先ず今回でハミア(自称偽物)の出番が終わります。ひょっとしたらまた出てくるかもですが、等の本人がロッサについて何かしら文句を言ってるからどうなんでしょうね。
それではまた次回。