「ち、近い近いっ、冷たい冷たいっ、痛い痛い痛い痛いぃっ!」
なんで俺は海面スレスレで吊るされてるんですか、俺が一体何をしたというんだっ!両手両足縛られて宙吊りにされたまま海面落ちるかどうかの距離まで降ろされるとか、全くもって身に覚えないんですけどっ!?
「文句言わないの、今はこれしかないんだから」
《ラミア》を操縦しているのは勿論
「なに見え透いた嘘を抜かしてんだアンタ、絶対さっきの出来事に対する罰だろコレ!消えようとしたこと根に持ってんだろ、だからこんな事になってんだろ!違うなら違うって言ってくれよ頼むから。『実は俺の勘違いでした』って言ってくれよ頼m・・・・」
「いいえその通りよ!着陸するまでこのまま頭を冷やしてもらうから覚悟してなさい!安心しなさい、無事に着いたらお説教してあげるからね!」
「アンタ人の話聞いてたか!?そこは言い切らないで欲しかったんだけどな!っていうかこれから説教まであんのかよしかもなんだ『無事に着いたら』って砂浜とか森に『ズザー』ってのだけはやめてくれよ本気で!じゃないと
「ハイ着陸っと・・・・・・何か言いたそうな顔してるわね?」
「ついさっきまでの体験してて文句ないって奴いないと思うんだよね。大抵の奴らは泣くか喚くか騒ぎ散らすかのどれかじゃないかな。ちなみに俺は文句言いたい派です聞いてもらえるんだよな当然?」
「アナタの口ぶりからして一部は文句言わないっていう派閥もあるんでしょ?それはなんでなのかしら?」
「・・・・・・まずは人の話を聞くところから始めようじゃないか。第一その話は
「人の話はちゃんと聞くものよ?」
「だからそれ俺の台詞・・・・・・ってちょっと待て一体何処に向かって投げようとしてんだよっ!?」
確かに
「まぁいいわ。楽しくてはしゃぐ弟を宥めるのも姉の役割ですもの」
「・・・・・はしゃいでるのはどっちかわかんないけどな」
「何か言ったかしら?」
「何も言ってないから早く降ろしてくれよっ!いつ投げ込まれるか不安で落ち着かないんだからさ!」
「で、ココ何処?」
「アティスマータ新王国の領海にある島群のどこかね」
「それは領土って言うんじゃないのか・・・・わかったから無言で構えるな!?突っ込んで欲しいのか黙ってて欲しいのかどっちなんだよ、ふぅ」
「あら、何を安心しているのかしら?」
「だって無事に到着したし、《ラミア》も解除したんだしこれから解放してくれる訳だろ?何も心配する事なんてないだろ?」
「なんで解放されると思ってるの?」
・・・・・・いや、まさか流石に冗談だよな?なんで首傾げてんだこの人?いやだってこの状況で解放しない以外の選択肢とかないだろう。逆にあったら聞いてみたいものだけどな・・・・やっぱり怖いから聞きたくないな、いやでも聞かないことには不明な訳だし、だけど藪蛇だったら困るし、うーんどうするのが正解だコレ。
「・・・・・・冗談よ」
「その謎の間が怖いな!」
「いくらなんでも、私がそんなことするはずないでしょう・・・・・・・多分」
「・・・・・信じるぞ、割と本気で」
最後の一言で恐怖が増したんだが、それでも今は信じるしかないか現に解放してくれた訳だし。さて、なにはともあれ自由になったことだし、なんでここに降りたのか聞かないとな。逃げられないようにゆっくりと向き直る。
「ところで話は変わるが
「なにかしら?もう家が恋しくなったのかしら?」
「いやそうじゃなくて」
「なら母親が恋しくなったのね!姉では足りないとそう言いたいのね!?」
「いやそれも違くて」
「知ってるわよ、早く本題に入りなさい」
「・・・・・・っ!」
ねぇ一体なんなのこの人。なんで今回こんなに情緒不安定なの?今までこんな事なかったじゃん!一体なんで島に着陸した途端こんな事になるの!?さっき上空から見た感じからして観光地とかではないし、近くに火山島が見えるくらいで別にそれ目当てでもないだろうし、急ぐならさっさと
「ちょっと確認なんだけど、アンタ最後にマトモな休息を取ったのはいつだ?」
「・・・・・」
「学園を出てからついてきてくれた事には感謝してる。機竜を奪われそうになった時に一緒に護ってくれた事も勿論そうだ。だけど
イヤな予感が止まない。そうさ、学園を出てから今ここに降り立つまでこの人はずっと俺の、
「変な時に、鋭くならないで欲しい・・・・・のに」
「〜〜〜〜っ!」
そのまま砂浜目がけて倒れそうになる
「・・・・・・・あった!」
火山島からそう離れてないところに、船らしき物を確認した。とにかく今は身元だとか所属だとかを気にしてる場合じゃない。一刻も早く安静にさせないと。
《ビフロスト》を召喚して接続。船に乗ってる人と話が通じることを祈りつつ、
甲板に人影が見える背丈的に少年だろうか。聞こえる範囲まで接近する。
「突然スミマセン理由は後で話します。できる範囲で手伝いもします!だから姉を助けて下さい!!」
「ん、どうしたんだそんなに慌てて・・・・・ってハミアか?」
「えっと、どなたかは知りませんがお願いです。姉を!!」
「・・・・・・・・わかった、案内するからついてきてくれ!」
何処かで見た気がする少年が扉を開けて中に入っていく。急いでた機竜を解除して後に続く。
「その人の容態は!?」
「わかんない!だけど早く休ませないとこのままだと姉さんが・・・・」
「着いたぞ!部屋は好きに使ってくれて構わない。俺は他の人に事情を伝えてくるな」
「・・・・・ありがとう」
「気にするなよハミア、困ったらお互い様さ!」
姉さんをベットにゆっくりと乗せると、それを見届けた少年が部屋を出ていった。
「・・・・・・・・あれ、名乗ったか俺?」
しかし確認しようにも少年は既にいない。礼をするのも、事情を知るのも全ては後回しとなってしまった。
前回の行動に対する罰としては、まぁ気が済んだならいいでしょう。口ではなんだかんだ冷たいことを言いつつも、いざという時には行動してくれるハミア。実は作者のないものねだりを反映した結果だったりそうでなかったり、それはまぁ置いておいて、兎にも角にも合流する形になりました。
それではまた次回。