・・・・・・まぁ、文字数が少ない事についてはご容赦頂けると嬉しいです。
「・・・そろそろさ、答えてよ。”あの方”って一体誰のこと?」
襲い来る銃弾を避けつつ、ハミアはロッサと名乗る女性に問いかける。
しかし、戦いを楽しんでいる彼女には聞こえていないのか返事はない。
「・・・・こうしてる間にも
ハミアはやむを得ず、攻撃に出る事にした。
避けるだけではきりがなく、この場を脱することもできないと判断したようだ。
二本の
「・・・・・仕方ないから少しだけだよ」
迫りくる銃弾の中を冷静にかわしながら、右手に持つ鎌となった
「・・・ええ、そうです!早くあの方と私を楽しませて!」
そして、二人の攻防戦が始まった。
「・・まったく大した方ですね。あれだけの銃弾を避けきるだなんて」
「・・・・そう思うならさっさと退いてほしいんだけど、ね?」
攻防戦を繰り広げてからどれくらい時間が過ぎたのか判らない。
しかし、二人は明らかに疲弊していた。
「いいえ、残念ながらそれはできないんですよ。私にも誇りがあるものですから」
「あぁ、そう」
両者は互いに向き合い、ゆっくりと兵器を向け合う。
「・・・・・・なっ!?」
次の瞬間、ロッサは驚きを隠せなかった。
てっきり攻撃してくると思っていた鎌が一本、明後日の方向へ投げられたのだ。
「私も随分と舐められたものですね。いいでしょう、しっかり仕留めてあげます!」
何度目かもわからない銃弾の中でハミアは考えていた。
このロッサを仕留める為には何をするのが最善なのかを。
別に、さっきの鎌を投げたのだって、勝負を諦めたからではない。
後々に隙を突く為にやっただけだ。
そう、あとは彼女の注意をそらすために役を演じればいいだけなのだから。
「ねぇ、その神装機竜ってさ、例の”あの方”に貰ったの?」
「・・・・・急に何です?武装を放棄したかと思えば、今度は質問ですか?変な人ですね」
「まぁまぁ、いいでしょそれくらいさ」
「・・確かにこれはあの方から頂いたものです。そして、それまで何も持っていなかった私の・・・初めての所有物」
「つまり、君の大事なそれを壊せば、敗北は確定するわけだ・・・ね!」
「・・・・・・・ッ!?」
今まで防御に残していた二機の
それにより、ロッサは体勢を崩した。
「・・・確かにその通りですが、たったの二機だけでは不可能ですよ」
「う~ん。それもそうだ。じゃあ、コレでいいよね?」
そういって、ハミアは《ビフロスト》の背中に取り付けてあったライフルを取り出す。
「・・・・ツ!?」
一瞬焦ったロッサだったがすぐに余裕を取り戻す。
「一体何度私を驚かせるつもりですか?この距離では間合いを詰めたほうが早いのですよ?」
そう、いかにライフルが強力とはいえ、トリガーを引くよりも接近戦を仕掛けた方が早いのだ。
それでもハミアは不敵に笑う。
「じゃあ、試してみようよ。君と僕、どちらが先に勝負をつけるのか」
そして、ハミアはトリガーを引いた。
銃口の向きは判っているのだから、当然避けたロッサは、
だが、そうはならなかった。
突如飛来した
そして、そのままでは終わらなかった。
今度は一発の銃弾によって持っていた
急いで距離を取ろうとしたが、目前には鎌を持った《ビフロスト》が迫っていた。
次の瞬間、ロッサの意識は途切れた。
「・・・・さってと、だいぶ時間とられちゃったけど、まだ間に合うかな」
今までに投げた武装を回収したハミアは暴走寸前の《ビフロスト》と共にリーシャ達の元へ向かった。
「・・・・・・で、来たわけなんだけど・・・・・ルクスと深月達がいるのはどうして?」
やっと合流したかと思うとリーシャの《ティアマト》は大破、ルクスは《バハムート》を装備している。さらにはリーザや深月など”D”まで揃っているという到着したばかりのハミアにとって、色々と突っ込む状況が待っていた。
「・・・実はですねハミアさん。悠さん達が来たのはドラゴンが・・・・”白の”リヴァイアサンが現れたからなんです」
「まぁ、それしかないか。・・・・でルクスがいるのってやっぱり・・・・」
「・・はい。残念ながら」
「・・・・そっか」
しょうがないな、と呆れると《ビフロスト》を動かした。
《バハムート》の近くで止まり、ルクスに呼びかける。
「隠すんじゃなかったのルクス?さすがに早すぎるって」
「アハハ。ごめんね、約束したのに」
困ったように苦笑しながらルクスが答えてくる。
「でもねハミア、僕は・・・・」
「助けたかったんだろ?救いたかったんだろ?ならいいじゃないか。黙って見てるより
「うん!頼んだよ、ハミア!ドラゴンが来るまでに片付けよう!」
ガーゴイル型の
「う~ん。どこまでやっていいのかな?半壊?それとも全壊?」
「何訳のわからない事を言っている!とっととくたばれぇぇ!」
ハミアが一人で悩んでいると一機の機竜が迫ってきた。
「なんだよ、せっかちだなぁ。せめて散り方くらいは選ばせてあげようとしたのにさ。・・・・・・
次の瞬間、《ビフロスト》の色が白色から紺色へと変色し、更には背中の翼が一対増えていた。
《ビフロスト》の神装である
今回は機動力の向上が発現した。
「・・・・今日は紺色か。さて、せっかく神装まで使ったんだ。そうそう簡単に楽になれるなんて思わないでよ?」
そして、二機の
「ぐっ・・・!?しかしそれがどうした!」
「3、2、1・・・・スタート!」
「・・・・・ぐあぁぁぁっ!?」
ハミアが数え終わると同時に、迫っていた
見れば、その場で停止したまま機竜のあちこちから無数の棘が飛び出ていた。
「さ、どんどん行こうか!」
その言葉を皮切りに、先程の二機と鎌から分離した二機、計四機の
「貴様ぁぁぁっ!」
ハミアは黙ってその機竜を蹴り飛ばした。
そのまま、激しい音と共に墜落した機竜に向かって
「じゃあ、これで終わりかな?後はルクスに任せようかね」
言い終えると再び《ビフロスト》を動かし、まだいるであろうロッサに情報を求めに向かった。
背後で多くの爆発音を聞きながら、走っている悠とイリスを確認しながら、《ビフロスト》の速度を上げた。
丁度、着いたタイミングでロッサが目を覚ました。
「さて、早速で悪いけど色々と話してもらおうか」
「くっ!?誰があなたなんかに・・・・」
無言で
「・・・・・」
ロッサが口を閉ざすと
あとわずかの距離まで接近したと思ったら、突然四機とも謎の衝撃によって弾かれた。
「あまりロッサを傷つけないでくれよ」
一人の男が、二人の間に立っていた。
「ネレク様!」
ロッサの嬉しそうな声が響く。
今まで彼女が言っていたのは彼の事だったようだ。
「・・・・・やっぱりアンタか、ネレク」
「ふむ、その様子だとまだ完全には飲み込まれてはいないようだな」
「・・・・え・・・ろ」
「ラナは元気にしているか?また昔みたいに話したいものだな」
「答えろ!」
それまで黙っていたハミアが声を荒げる。
「答えてあげたいところだが、生憎と今は忙しくてね。おしゃべりはまた今度にしよう」
ネレクはゆっくりと身を翻す。
「それではまた会おうハミア。次に会うときには昔のように呼んでくれるのを期待しているよ」
そう言ってラミアの手に乗り、空へと消えていった。
悠たちがいる方向から来た温かな光がハミアを包み込む。
そこで、ハミアは意識を失った。
再び目が覚めた時、僕は医務室にいた。
どうやらあの後、誰かに運んでもらったようだ。
「誰かは知らないけど礼をしなくちゃな」
ふと、今回の戦闘に思い返してみる。
暴走こそしなかったから良かったものの、流石に危険が過ぎた。
機竜を蹴り飛ばしたあの一瞬だけだが、『性格の変化』も発生してしまった。
怒られるかもね、と言おうとした瞬間、脳内にノイズが走る。
「・・・・・誰に怒られるんだっけ?」
しかし周囲に答えてくれる人物は見当たらない。
「そうだ、ラナだ。・・・・でも、なんですぐにわからなかったんだろ?いつもだったら・・・・・」
困惑していると、ドアをノックする音が聞こえた。
「ハミア君、入るよ?」
どうやら、ラナのようだ。
「・・・・あっ、やっと起きたのね」
「おはよ、ラナ」
挨拶を返すと、何故か溜め息を吐かれてしまった。
「・・・・流石に四日間も寝込んでて『おはよ』は軽すぎると思うんだけど?」
「まぁまぁ、それより悠たちは?」
「それよりって。・・・・あの後、消滅を確認したよ」
「そっか。悠たちがやったのか」
「それじゃ、今度は私の質問に答えてもらうわ。あんなところで倒れてたのはどうして?」
正直、話してもいいのか躊躇ってしまう。
ネレクに、ラナの本当の兄に会った事を伝えて、いいのかどうか。
それでも、しっかりと言わなければいけない。
だから僕は、ゆっくりと口を開いた。
「正体不明機と接触したよ。その鈍い赤色の神装機竜を操縦してたロッサから事情を聞こうとしたら、奴が・・・・ネレクが出てきたんだ」
「お兄ちゃんが!?」
「うん、逃げられたけどね。でも次は逃がさない!何を企んでるのか知らないけど絶対に止める!」
「・・・・・そう」
「さ、行こう。皆、待ってるんでしょ?」
気落ちしているラナと共に、僕は医務室を出る。
だって、今日も皆と一緒に楽しく過ごすんだから!
「やはり、二人は生きていたか。先が楽しみだよ」
暗闇の中、ネレクは愉しそうに笑みを浮かべている。
「・・・・・その、ネレク様。申し訳ありません。あのような失態を晒してしまいました」
その近くではロッサが謝っていた。
「・・・・いや、構わないよ。適合したのも少し前だったし神装だって使えない状況の中、無事でいてくれてよかった」
「あ、ありがとうございます!」
ネレクの言葉にロッサは顔を輝かせた。
まるで、ネレクそのものを崇拝しているかのように。
「ふふ、次は万全の状態で挑まないとね。さぁ、頑張ろうね」
「はい!」
そして二人は闇の中へと消えていった。
原作の第一巻分はこれで終わりとなります。
九話目で・・・・っていうのは遅いと思いますが。
次回からは第二巻へと入っていきます。
それでは、また!