「提督、次はこの書類にサインをお願い」
「ふむ、分かった。しかしこうも書類ばかりだと嫌になってくるな。
私は早く撃って撃たれ殺し殺され沈ませ沈まされ装甲と装甲をぶつけ合い嵐の様に弾薬が飛び交う、そんな地獄の様な情け容赦無い糞のような戦争を、鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様な闘争を、大戦争を!一心不乱の大戦争をしたいというのに!
そうは思わんかね?時雨よ」
「あはははは
相変わらずそこまで狂ってると逆に信用出来ちゃうよ提督さん」
そう楽しそうに返すのは秘書艦の白露型2番艦の時雨だ。
彼女は提督がケンペイ=サンに連行される一日前に建造された艦娘である為か他の艦娘達と違い提督へそこまでの不信感は無く、逆にあの演説を聞いて、興味が湧き自ら秘書艦を希望した艦娘だ。
「全く、狂ってるとは心外だな。私は狂ってなどいない。ただ、戦争を愛してやまないだけだと云うのに。
なのに上官からも言われ、
「その割には顔が随分と嬉しそうな顔しているけどね・・・
そう言えば提督」
「何かね?」
「提督って歳いくつなんだい?第三帝国親衛隊って言ってたけど、それって7~80年以上は歴史を遡るよね?
なのに、提督はどう見ても4~50代じゃないか。そこが不思議でね?」
「ふむ、年齢か
忘れてしまったよそんなもん
見た目に関しては、スターリングラードで名誉の戦死とやらを遂げた我が上官殿の言葉を借りるなら、「ナチスの科学は世界一。出来ん事など無い」と言った所だよ。」
「・・・なんだろうその上官さんとても五月蝿そうな気がするのは・・・
そして、まさか提督サイボーグだったりしないよね?」
「ハッハッハ
どうだろうね?まあ、この上官殿は最後に会った時にはサイボーグと化してたがね」
「えぇ・・・」
まさかの歴史の裏側を聞かされ少し引く時雨であった
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食堂での演説の後、少佐に対する見解は三つへと分かれた
一つは相変わらず提督は信用出来ないが、自分達を人間だと言ってくれた為に消去法に、提督の着任を賛成する者達
二つ目にこんな狂人を提督にしては何をするか分からないと着任に否定的な者達
三つ目に最初から甘い顔をして、後々本性を表すより最初からここまで狂っていた方が信用でき、また深海棲艦を倒す自分達は人間ではなくてはいけないと言ってくれた言葉に感動して着任に賛成だと言う者達
また、賛成派には少佐の戦争好きに同感な血気盛んな艦娘達がいる
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「そう言えば提督って護身用の銃とか持たないのかい?
他の鎮守府の提督達は陸上型深海棲艦や、艦娘反対の過激デモ達から身を守る為に普通は持ってるものだけど?」
「ふん、そんなもの今まで1度も・・・いや、1度しか当たった試しが無い」
「よくそれで軍人になれたね・・・逆に初めて当たった時が気になるよ・・・」
「ああ・・・あの時は人生で最高の時だった・・・
正に地獄と言う言葉が似合う程の阿鼻と叫喚の混声合唱が・・・血と肉が焼ける臭いが、歴史ある都が焼け落ちる音が、死の臭いが!崩壊の音が!ありありと体感できた最高の戦争だった!」
「そこまでの戦争って言ったらやっぱり第二次世界大戦かい?」
「いいや?終わってまだ一ヶ月も経ってないぞ」
「一ヶ月も!?そもそも何処で起きたのさそんな戦争。僕は建造されて一週間しか経ってないけど、その間に最近の情勢については調べた。
だけど、そんな歴史ある都で起きた大きな戦争なんて無かったよ
提督はここの基地で初めて深海棲艦の事を知ったようだし深海棲艦では無いよね?
しかも、吹雪から聞いた話では少佐はここに来る前はロンドンに居たらしいじゃないか。まさか、ロンドンで戦争を起こしたとか言わないよね?」
「・・・ハハハハハハハ!!
素晴らしい!!全く以て素晴らしい!!こんな優秀な秘書艦が付いて私は幸せだよ!
時雨よそのまさかだ、私は僅かな一個大隊、千人に見たぬ一騎当千の敗残兵達と私、総兵力100万と1人の軍集団で、
「だけどそんな記録何処にも残ってない!
そんな大きな戦争が起こったのら何処かに記録位残っててもおかしくない筈だよ!?
しかも、ヴァチカンだって!?
ヴァチカンが戦争に加担したというならもっとニュースでも大騒ぎになっててもおかしくない筈だよ!?
それに、化物殲滅機関って何さ!?
そんな機関聞いた事無いよ!?」
「はあ・・・時雨よ・・・そんなのは私は知らん・・・もしかしたら揉み消されたのかもしれんし、はたまた私が異世界とやらに飛ばされたのかもしれない。だが、時雨よ
光がある所に闇はある。君達が今正に化物相手に戦争している兵士だとしても、君達はまだ光の中に居ることを忘れるな。闇の中では君達光の中の住人達には想像もつかない事が日常的に起こってるのだから」
「ッ!!」
恐怖
それが正に時雨の体を覆い尽くす
口を開けない
呼吸をする事が出来ない
まるでアイアンボトム・サウンドに沈んだかの様に体を冷気で包まれたかの様な錯覚に陥る
「カッ・・・カハッ・・・」
「提督~!
お手紙が届いたっぽい~!!」
そう言って部屋に飛び込んで来たのは白露型駆逐艦夕立
時雨の姉妹艦に当たる
「ハッ!ハァハァ・・・そ、そうかい僕はこれで失礼するね提督」
「ああ、ご苦労残りは私がやっておくから休むといい」
「分かったよ。失礼するね」
そう言って逃げる様に退室する時雨
「・・・提督、まさか時雨ちゃんに変な事してないっぽい?」
「フッまさか。ただ、私の昔話をしたら少々刺激が強過ぎたと言うだけの話だよ」
「昔話であそこまで怖がるってどれだけ壮絶な人生歩んでるっぽい・・・」