エンジェルプリキュア   作:k-suke

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第10話 光る翼 ライト・ウイング

この前の日曜日に突然現れた新しい敵、妖魔獣。

 

あいつらの言い方だと私たちの前にもプリキュアがいたらしい。

 

遊ぶ予定そっちのけで、色々グルトに聞いてみた。すると

 

 

 

グルト「実は、ヒューマンゾーンにくるのは今回が初めてじゃないグル」

 

心美「えっ、あんた前にもこの世界に来てたことがあるの?」

 

グルトの告白に私たちは驚いた。

 

 

グルト「グル。実は四年前にもこのヒューマンゾーンに来てたグル」

 

晶「一体、その時はなぜこの世界に来たの? それにあの妖魔獣という存在。プリキュアを知っているようだったわ」

 

晶さんのいや、私たちの疑問にグルトは答えた。

 

 

 

グルト「四年前にもアイツら妖魔獣はこのヒューマンゾーンを汚染しようとしていたグル。このヒューマンゾーンが毒で汚染されてしまえばフェアリーゾーンにも悪影響が出るグル。だから最後の切り札にもなるエンジェルクリスタルを持って、プリキュアになって妖魔獣と戦ってくれる人を探しに来たんだグル」

 

聖歌「つまり、グルトさんは四年前にもプリキュアと一緒にいたってことですか?」

 

聖歌ちゃんの疑問にグルトは頷いた。

 

 

恵「ちょ、ちょっと待って。じゃあその時のプリキュアは? なんでグルトはその人たちの所に行かなかったの? それにどうして今助けてくれないの?」

 

恵さんが尋ねた。

 

 

するとグルトは暗い顔でうつむきながら答えた。

 

グルト「…どこにいるのか、今どうしてるのかわからないグル」

 

明日香「えっ、それって、どういう?」

 

グルト「四年前、妖魔獣と戦ってくれた二人のプリキュアは妖魔獣のスライムの汁ベエ、ゴーレムの筋タロウとの最後の戦いで行方不明になってしまったグル…」

 

 

グルトの答えに私たちは背筋がゾッとした。

 

行方不明と言えば聞こえはいいが、それはつまり

 

 

明日香「つまりひょっとして、前のプリキュアが命がけでやっと倒した相手がよみがえってきたってこと?」

 

私はそうあって欲しくないと願いながら、グルトに尋ねた。

 

そしてアッサリと期待は裏切られ、グルトは力なくうなずいた。

 

 

 

聖歌「わ、私たちそんな人たちと戦わなきゃいけないんですか?」

 

聖歌ちゃんがおびえた声で言った。

 

 

心美「ばっ馬鹿、聖歌怖じ気づくんじゃないって。あっそうだそれと後一つ。あのライト・ウイングって何者?」

 

恵「そ、そうよ、ものすごく強かった。味方なら頼りにできるわ」

 

聖歌ちゃんを励ますように、心美ちゃんと恵さんが話題を変えた。でも

 

 

グルト「…分かんないグル」

 

晶「わからない…とは? プリキュアに関係した人じゃないの?」

 

明日香「そうだよ、私たちによく似てたし」

 

グルトの返事に私たちは質問した。が

 

 

グルト「ホントに分かんないグル。プリキュアの力を持ったものがほかにいるなんて思わなかったグル」

 

明日香「じゃあ、あの子は誰?」

 

グルトも知らない存在。私たちにもわかるわけがない。

 

 

心美「ライト・ウイング。光る翼…か。態度悪い奴だったよね」

 

聖歌「あの強さ、味方になってくれるといいんですけど…」

 

 

 

妖魔獣の強さを肌身で感じていた私たちは、頼れるものを探していた。

 

結局、日曜日はこれでお開きになった。

 

 

グルト「ライト・ウイング…。光る…翼…、まさか…」

 

 

 

 

 

 

とある沼地

 

 

 

風ライシア「この沼に汁ベエの体液を落とせば、やられた妖魔獣が蘇る、と。

おらでてこいよ、カッパさん」

 

すると沼地が沸き立ち何かが顔を出した。

 

 

乾クロウ「カッパさんではない。わしはカッパの(かん)クロウでごわす。そういうお前は誰だ?」

 

カッパの乾クロウと名乗った妖魔獣は沼地から陸に上がってきて尋ねた。

 

風ライシア「あたいはカマイタチの風ライシア。ちょいと手ぇ貸してくんないかな?」

 

風ライシアの言いように怪訝そうな顔をする乾クロウだったが、すぐに顔色をよくした。

 

 

汁ベエ「久しぶりだね〜え、乾クロウ」

 

汁ベエと筋タロウの姿を見たからだ。

 

乾クロウ「おお! 汁ベエ! 筋タロウ! 久しぶりでごわす!」

 

乾クロウはうれしそうに二人に駆け寄った。

 

 

筋タロウ「風ライシア…こいつに…何させる…」

 

筋タロウの質問に風ライシアは答えた。

 

 

風ライシア「あのライト・ウイングってやつ、使えそうだと思ってんですよ」

 

 

 

 

 

 

夢園中学校 2-B

 

 

2-B担任「えーみんな、もうすぐ夏休みなわけだが転校生を紹介する。なんでも一日でも早くこの学校に来たかったそうだ。じゃあ自己紹介を」

 

そう言って担任はウェーブのロングヘアの女子に挨拶を促した。

 

 

「はじめまして、(はた) 未来(みらい)です。夏休み直前という変な時期ですがよろしくお願いします」

 

 

男子生徒A「すげー美人」

 

男子生徒B「仲良くなりたいな」

 

女子生徒A「なんか気品があるわよね」

 

女子生徒B「どっかのお嬢様じゃないの」

 

 

 

結構な美少女の転校に2-Bはにわかに盛り上がった。

 

女子生徒C「質問です、どうしてそんなにこの学校に早く来たかったんですか?」

 

未来「はい、昔憧れていた人たちが通っていた学校ですので、どんなところか知りたかったんです」

 

男子生徒C「どんな人なんですか」

 

女子生徒D「すっごいカッコいいお兄さんとか、美人のお姉さんとかですか」

 

 

 

2-B担任「あ〜静かに。すまんが水野、しばらく面倒を見てやってくれ」

 

担任は無難な落とし所としてクラス委員長である晶に未来を頼んだ。

 

晶「あ、はい、分かりました」

 

かくして、転校生 畑 未来は晶の隣の席になった。

 

 

晶「初めまして、クラス委員長の水野 晶です。わからないことがあったらなんでも聞いてください。あっこれは私の携帯の番号です。」

 

晶としては、典型的なあいさつをしたつもりだった、が。

 

未来「お気遣いありがとうございます。私の番号はこれです。でも、あまりお世話にならないようにしますね」

 

未来はそう微笑み返してきた。

 

と思ったら、顔を近づけてくると晶にしか聞こえないように吐き捨てるように言った。

 

 

未来「役立たずには世話にならないってこと」

 

晶「えっ?」

 

その台詞に晶は驚き何も言えなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

放課後

 

 

 

未来「水野さん」

 

今日一日、朝の挨拶以来話しかけられることのなかった晶は突然未来から話しかけられ戸惑ってしまった。

 

晶「あ、はい何ですか」

 

そんな晶に未来は微笑みながら言った。

 

未来「今日は午前中で学校おしまいですし、できたらお友達を紹介してもらえませんか。木戸さんの他に隣のクラスにも仲のいい人がいるみたいだって聞きましたよ」

 

晶は未来の言いように何かしらを感じながらも、断る理由も思い浮かばなかった。

 

 

 

 

夢園中学 屋上

 

 

 

心美「で、この子が噂の美人転校生」

 

晶の頼みで屋上にていつもの五人が集まっていた。

 

恵「噂になるだけあってすごい美人ね」

 

恵さんも心美ちゃんも彼女を美人とほめていた。

 

かくいう私も一瞬見とれてしまったのは内緒だ。

 

 

でも気を取り直して挨拶をした。今日の友達はこの子だと思って。

 

明日香「初めまして、私、金城 明日香。これからも…」

 

そうして右手を差し出したのだが

 

 

未来「ああ、別にあなたたちと仲良くする気はさらさらないの。久しぶりだから、挨拶したかっただけ」

 

心美「ちょっと、久しぶりって私たち初対面なんだけど」

 

心美ちゃんが少し、ムカッとしたように返した。

 

 

私もさっきトリムを捕まえて嬉しかった気持ちがどこかへ行ってしまった。

 

するとさらに彼女は挑発的な返事をしてきた。

 

 

未来「だから、あなたたちに話してないの。頭も悪いのね、あんたたち」

 

晶「畑さんいいかげんにして、紹介してと言いながらそれはどういうつもり? 」

 

晶さんもかなり語尾が荒くなっていっていた。

 

 

 

未来「どういうもこういうも、あなたたちと一緒にいるって聞いたからよ。そこにいるんでしょ、お兄ちゃん」

 

明日香・心美・聖歌・恵・晶「「「「「お兄ちゃん?」」」」」

 

 

 

 

グルト「…やっばりお前グルか、バター」

 

グルトが畑さんをそう呼ぶと、煙とともに畑さんが消えて、グルトによく似た薄黄色の妖精がいた。

 

バター「お兄ちゃん、久しぶりバタ」

 

グルト「みんな紹介するグル、こいつはバター。グルトの妹グル」

 

それを聞いて私はうれしくなった。

 

 

明日香「そっかグルトの妹さんなんだ。じゃあ私とも友達だね、これからもよろしく」

 

ニッコリと笑顔で挨拶したらバターはそっぽを向いた。

 

 

バター「勝手に決めるなバタ。お前たちみたいな役立たずどもと仲良くするつもりなんてさらさらないバタ」

 

心美「ちょっと!! 黙って聞いてりゃさっきから。あんたになんでそこまで言われなきゃいけないの!」

 

恵「だいたい私たち初対面よ。グルトの妹なら王女様でしょ。礼儀というものを知らないの!」

 

 

心美ちゃんと恵さんが怒ってそう言った。

 

聖歌ちゃんや晶さんもかなり不機嫌そうにしており、かくいう私もぼちぼち限界だった。

 

 

 

グルト「バター、プリキュアに対してあんまりにも失礼グル。謝るグル」

 

グルトもバターを諭していた。

 

しかし、

 

バター「プリキュア? そんなのがどこにいるバタ。妖魔獣に手も足も出なかったくせに、えっらそうにプリキュアを名乗るなんて、ちゃんちゃらおかしいバタ」

 

明日香「えっ、ちょっちょっと待った。まさかあなたが…」

 

晶「ライト・ウイングということ?」

 

すると煙とともにバターが畑さんに変わっていた。

 

 

未来「やっと気づいた。やっぱり役立たずは鈍感でもあるみたいね」

 

グルト「バター、一体どうしてお前があんな力をもってるグル?」

 

未来「忘れたの、私昔プリキュアからプリキュアの力の種をもらってたこと」

 

畑さんは語り始めた。

 

 

未来「四年前、プリキュアがくれたヒマワリの種にはプリキュアの力が込められてた。その影響なのかそのヒマワリ成長が遅くてね。四年間毎日毎日ずっと大切にして世話して、フェアリーゾーンが滅んだときもその鉢植えだけは必死に守って、やっと大輪の花が咲いたの」

 

グルト「あの種が…」

 

未来「そうしたら、プリキュアの力も大きく育ってたのか、私をこの姿に変身できるようにしてくれた。プリキュアからもらったもう一つのもの、このパレットもその力で変化して、私をライト・ウイングの力をくれた」

 

畑さんは、絵の具のパレットのようなものを大切そうに取り出した。

 

 

未来「いわば、私はプリキュアの後継者よ。今度のプリキュアがこんなに情けないなんて思わなかったわ。妖魔獣を倒すというプリキュアのやり残した仕事は私が片付ける。役立たずのくせに、目の前でうろちょろしないでね、プリキュアもどきども」

 

明日香「なっ、プリキュアもどきって」

 

聖歌「あ、あんまりです。私たちだって」

 

あまりといえばあまりの言い方にさすがに頭に来た。

 

確かに頼りないかもしれないけど、ブラックムーンを倒したという自信もあるからだ。

 

 

その時だった。

 

未来「っ! この気配は!」

 

グルト「妖魔獣グル!」

 

 

 

というや否や畑さんはパレットをタッチペンのようなもので操作した。

 

未来「シャイニング・トランスフォーメーション!!」

 

『トランスフォーム』

 

するとパレットから声が出て、同時に発せられた鮮やかな七色に光に包まれ、光の羽根を舞い散らしながら、畑さんは変身した。

 

ライト・ウイング「清らかな光溢れる正義の翼 ライト・ウイング」

 

 

ライト・ウイングは私たちを一瞥すると

 

ライト・ウイング「妖魔獣とは私が戦う。いい、くれぐれも邪魔しないでね」

 

そう言うと羽根を広げて飛んでいってしまった。

 

 

聖歌「行っちゃいました」

 

心美「ホント態度悪い」

 

恵「でも妖魔獣が出現したなら、ほっとけない」

 

晶「ええ、みんな。行きましょう」

 

明日香「グルト、場所は分かる? 案内して」

 

グルト「わ、分かったグル」

 

 

そして私たちはキュアブレスを構えた。

明日香・心美・聖歌・恵・晶「「「「「プリキュアバワー、サモンアップ!!」」」」」

 

『サモン、ゴールドパワー』

『サモン、フレイムパワー』

『サモン、ウッドパワー』

『サモン、ラウンドパワー』

『サモン、ウォーターパワー』

 

私たちはオレンジ、赤、緑、黄色、青の五色の光に包まれて変身した。

 

ゴールド「金に輝く明日への希望 キュア・ゴールド!!」

 

フレイム「真っ赤に燃える心の炎 キュア・フレイム!!」

 

ウッド「新緑の映える聖なる木々 キュア・ウッド!!」

 

ラウンド「黄色に染まった恵みの大地 キュア・ラウンド!!」

 

ウォーター「命育む青き結晶 キュア・ウォーター!!」

 

 

「「「「「絆の生んだ奇跡の力!! エンジェルプリキュア!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

ゴールド「待ってよ〜、ライト・ウイング」

 

フレイム「空飛ばれたら、追っかけんの大変だよもう」

 

空を飛べない私たちは、屋根の上をジャンプに次ぐジャンプでライト・ウイングを追いかけていった。

 

 

 

 

夢園市 郊外

 

 

 

ここ夢園市の郊外には倉庫が多く立ち並んでいた。

 

その倉庫に張り手をかましていた妖魔獣がいた。

 

カッパの乾クロウである。

 

乾クロウ「もうそろそろくる頃でごわすかな」

 

ライト・ウイング「妖魔獣、これ以上好き勝手はさせない!!」

 

ライト・ウイングが上空から舞い降り、乾クロウの前に立った。

 

乾クロウ「おぬしがライト・ウイングとか言う奴でごわすか。待っていたでごわす」

 

乾クロウも四股を踏むようにして、ライト・ウイングに相対した。

 

 

 

ゴールド「あっ、妖魔獣」

 

フレイム「やれやれ、やっと追いついた」

 

ウッド「いらないかもしれませんけど」

 

ウォーター「加勢するわよ」

 

私たちも近くに到着して、ライト・ウイングに加勢しようとした。

 

その時

 

 

 

ゾーゾ「「「ゾーゾーゾー」」」

 

 

 

ラウンド「えっ? これってゾーゾ!?」

 

そうゾーゾの大群が現れたのだ。

 

 

フレイム「なんで? ブラックムーンの生き残りがいたの?」

 

 

???「うんにゃ、ブラックムーンはちゃ〜んと全滅したよ」

 

 

ゾーゾに戸惑っていると、聞き覚えのある柄の悪そうな女の人の声が響いた。

 

ウォーター「こ、この声は!?」

 

ゴールド「新月のフライシア!!」

 

すると私たちの間を縫うようにつむじ風が吹いた。

 

 

 

風ライシア「よう、エンジェル・プリキュア。無事にツキノワから脱出できたみたいで何よりだよ、うん」

 

風が止んだ時にいたのは、かぎ爪を持ったイタチのような怪物だった。

 

 

フレイム「あ、あんたが新月のフライシア?」

 

ウッド「全然姿が違っています」

 

 

そう、新月のフライシアは青い蝶のような姿だった。

 

顔こそ同じだったが、体の方はまるで似ても似つかない。

 

風ライシア「あったり前よ。あれは仮の姿だからな。あたしのことは、呼びたけりゃカマイタチの風ライシアって呼びな」

 

 

ラウンド「あ、あなた妖魔獣だったの?」

 

ラウンドの質問は私たちの総意だった。

 

 

風ライシア「ブラックムーンなんざ最初から仲間になった覚えもない。連中を滅ぼした褒美にお前らもツキノワから助けてやったし。もう遠慮はいらないな。行け、ゾーゾ」

 

フライシアいや風ライシアが指を鳴らすと、ゾーゾが一斉に襲いかかってきた。

 

 

ゾーゾ「「「ゾー」」」

 

フレイム「くっ、戦うしかないか」

 

早くライト・ウイングに加勢したいのに、ゾーゾに阻まれて先に進めなかった。

 

 

 

その間にもライト・ウイングは妖魔獣と戦っていた。

 

ライト・ウイング「はあっ」

 

乾クロウ「なんの」

 

ライト・ウイングのパンチを乾クロウは張り手で跳ね返し、突っ張りでライト・ウイングにダメージを与えていった。

 

 

ライト・ウイング「ぐあっ!!」

 

その勢いで後ろに突き飛ばされるもライト・ウイングは踏みとどまった。

 

 

 

ライト・ウイング「ふん、妖魔獣にしてはやるじゃない」

 

まだまだ余裕そうだったが

 

風ライシア「しっかしたった一人で、いつまでその余裕が持つかのな」

 

ライト・ウイングの後ろに風ライシアがいた。

 

ライト・ウイング「! いつの間に」

 

ゴールド「危ない!」

 

ゾーゾと戦いながら叫ぶも手遅れだった。

 

 

風ライシアが腕を一振りすると小さな竜巻が起こり、それに巻き込まれたライト・ウイングは体勢を大きく崩した。

 

そして乾クロウの張り手をまともに食らった。

 

 

ライト・ウイング「がっ」

 

そして風ライシアの所に突き飛ばされ、風ライシアの一撃を食らって変身まで解けていた。

 

ウッド「ああ!!」

 

フレイム「ええい、しょうがない」

 

やっとゾーゾを全部倒して、助けにいこうとしたが間に合わなかった。

 

 

風ライシア「よし、作戦第一段階終了。引き上げだ」

 

乾クロウ「おう」

 

そう言うと風ライシアは気絶した畑さんを肩に担ぐと乾クロウともども姿を消した。

 

 

ラウンド「消えた!? 一体どこに?」

 

ウォーター「それより、第一段階というのが気になるわ。初めから彼女の拉致が目的だったんじゃ」

 

ゴールド「でも、どこに連れて行ったんだろう。妖魔獣がどこにいるのかなんて分かんないよ」

 

ウォーター「探しようはあるわ。彼女畑さんの携帯の番号は分かってるから、GPSで場所は特定できる」

 

フレイム「あとは、携帯が届く範囲にいてくれることを祈るだけか」

 

 

 

 

どこかの原っぱ

 

 

 

未来「ん、ここは?」

 

目が覚めた未来は自分が原っぱの中央にある牢屋の中に閉じ込められていることに気づいた。

 

人一人だけ閉じ込めておくための広さしかなかったが、かなり頑丈そうである。

 

 

未来「ふん、これで私を閉じ込めたつもりかしら」

 

余裕そうにそう言い変身しようとしたが、

 

未来「!! シャイニング・パレットがない! ど、どこに!?」

 

シャイニング・パレットが見当たらなかった。

 

 

風ライシア「探し物はこれか? 自信過剰の妖精ちゃん」

 

そこに風ライシアがパレットを手に現れた。

 

未来「あ、あなた! 妖魔獣がそれに触るな。今すぐ返せ!!」

 

 

未来にとってシャイニング・パレットは何より大切な宝物である。

 

それをよりによって妖魔獣に取られていると思うと凄まじい嫌悪感があった。

 

 

風ライシア「返して欲しけれゃ、そこから出てみな。それとも、なにか。ずいぶんでかい口を叩いていたわりに、プリキュアからもらった力がないと何もできねえのか? え?」

 

風ライシアは未来を挑発するような言葉を投げかけた。

 

 

未来「なめるな! こんなもの自力で出てやる!」

 

そう言って未来は檻に力を込める。すると彼女を変身させている何かの力がオーラの様に発せられた。

 

 

未来「こんなもの〜!」

 

そうやって力を込めるも檻はびくともしなかった。

 

挑発に乗り熱くなっている未来は気づいていなかった。

 

檻の上にある甲羅のようなものに自分の出した力が吸い取られていることに。

 

 

 

未来が捕まっている牢から少し離れた場所。未来からは死角になっていて見えない場所に乾クロウと汁ベエ、筋タロウがいた。

 

乾クロウ「ライト・ウイングの発生したエネルギーをわしの甲羅の欠片に吸収させる。そして、その貯めた力をわしに転送し、一気に放出してヒトに浴びせる。するとそのエネルギーを浴びたヒトはカッパになってしまうんでごわす」

 

汁ベエ「そのカッパになったヒトは、ヒトの水分を吸い取って、次々とねずみ算式に仲間を増やしていく。その一方で世界中の川や海の水分まで吸い尽くすからあっという間に地球は、からっからに渇いた砂の惑星になっちゃうんだね〜」

 

そう言って汁ベエは嫌らしげに嗤った。

 

 

汁ベエ「いや〜、我が輩たち妖魔獣を毛嫌いしているライト・ウイングが我が輩たちの住み良い世界を作ってくれるなんて、皮肉が利いてて面白いねえ〜」

 

筋タロウ「風ライシアのやつ…なかなか…興を盛り上げる…」

 

 

ライト・ウイングの、畑さんの場所を突き止めた私たちは、この妖魔獣のおぞましい話を物陰で聞いた。

 

ゴールド「大変だよ、ライト・ウイングが世界を滅ぼすことになっちゃう」

 

ラウンド「早く彼女を助けないと」

 

ウォーター「あっちの方ね。行きましょう」

 

 

 

 

 

風ライシアは牢の前で、未来を挑発していた。

 

風ライシア「ハッハッハ。お前の力なんざ所詮そんなもんよ。いや、そもそも力を残したっていうプリキュアもよっぽどのろくでなしか馬鹿だったんだな」

 

風ライシアの言葉に未来はますます熱くなっていった。

 

未来「!! その言葉を口にするな! プリキュアを、あの二人をあんたなんかが馬鹿にするなー!!」

 

その結果ますます力が甲羅に吸収されていった。

 

 

 

フレイム「駄目よそれ以上怒らないで、大変なことになる!!」

 

その時、駆けつけた私たちは畑さんに妖魔獣の狙いを教えた。

 

ウッド「この檻の上にあなたの力を吸収する仕掛けがあるんです」

 

ウォーター「その力で、多くの人をカッパにして、やがては地球の水分を吸い尽くすつもりなの」

 

 

その言葉を聞いて、畑さんは怒るのをやめたが膝から崩れ落ちてしまった。

 

未来「う、うそ。私の力が世界を破滅させることに…」

 

 

風ライシア「ふん、どんな力も何かしら壊すことに使うもんなんだよ。妖精なんて相変わらずだな」

 

ラウンド「ふざけないで、プリキュアの力を、ライト・ウイングの力を悪用しようとしたあなたたち妖魔獣は許さない」

 

ラウンドたちは風ライシアに向かっていった。

 

 

一方、畑さんはまだ立ち上がれないでいた。

 

未来「プリキュアからもらった力で世界を破滅させようとしたなんて…。私は…私は…」

 

 

ゴールド「元気を出して、今ここから出してあげる」

 

そんな畑さんに私は声を掛けた。

 

 

未来「なんで、わたしを助けるの? あんなひどいこと言ったのに」

 

ゴールド「それはね、私が、ううん、みんなあなたを信じているからだよ。そりゃあなたの知ってるプリキュアから見たら頼りないんかもしれないけど、世界を、みんなを守りたいって気持ちは、わたしたちも一緒なんだから。だから一緒に頑張ろう」

 

未来「キュア・ゴールド…」

 

 

 

乾クロウ「力が止まったから変だと思って様子を見に来たら、おんしらの仕業か」

 

 

ゴールド「! 妖魔獣」

 

突然現れた乾クロウに私は驚いた。

 

 

乾クロウ「食らえ、突っ張り」

 

ゴールド「わぁー!!」

 

乾クロウの突っ張りで私は吹き飛ばされた。

 

 

見ると、みんなも風ライシアに苦戦している。

 

風ライシアは別に攻撃を積極的にしてはいないのだが、こっちの攻撃がまるで当たらないのだ。

 

フレイム「くっ、こいつ早い」

 

ウッド「カマイタチの名前伊達じゃありません」

 

 

風ライシアの風のような超スピードにみんなはついていけていなかった。

 

風ライシア「どうした? これを取り返すんじゃないのか」

 

そう言って風ライシアはシャイニング・パレットを取り出して弄んだ。

 

乾クロウ「プリキュアども、もう終わりでごわす」

 

乾クロウは勝ち誇ったように言った。

 

ウォーター「まだよ、まだ諦めない。私たちが諦めたら全部終わってしまう」

 

ラウンド「この世界をきれいなままでいさせるためにも諦めない!!」

 

 

未来「プリキュアもどき。あなたたちでも、その覚悟があるんだ。じゃあ私だって諦められない!!」

 

畑さんは立ち上がって、力を込めた。

 

未来「はぁぁー!!」

 

見てるこっちまで力が入るほど力を込めて叫ぶと檻がバラバラに壊れた。

 

 

乾クロウ「何!?」

 

風ライシア「うぉっ、アブね。破片が」

 

妖魔獣たちも驚いているようだった。

 

 

フレイム「今だ」

 

その隙をついて、フレイムが風ライシアに飛びついてシャイニング・パレットを奪った。

 

風ライシア「! しまった」

 

 

フレイム「畑! これを」

 

そのままパレットを畑さんに投げ渡した。

 

未来「お礼は言っておくわ」

 

 

そして畑さんは妖魔獣をキッと睨むと毅然とした声で言い放った。

 

未来「わたしは、お前たち妖魔獣を絶対許さない!」

 

畑さんはパレットをタッチペンのようなもので操作した。

 

 

未来「シャイニング・トランスフォーメーション!!」

 

『トランスフォーム』

 

すると鮮やかな七色に光に包まれ、光の羽根を舞い散らしながら畑さんは変身した。

 

 

ライト・ウイング「清らかな光溢れる正義の翼 ライト・ウイング」

 

 

 

そして変身完了とともにライト・ウイングは背中の羽根を広げて羽ばたかせた。

 

ライト・ウイング「受けなさい、ジャスティス・フェザー」

 

そう言うと光の羽根が舞い散って、その羽が小さな爆発を起こした。

 

風ライシアは躱したようだが、乾クロウにはダメージを与えた。

 

 

乾クロウ「ぐっ、だがこれしき」

 

ライト・ウイング「分かっている、こんなものは足止めよ」

 

そう言うとライト・ウイングはシャイニング・パレットに力を込めだした。

 

 

ライト・ウイング「汚れた魂を浄化する正しき光を受けなさい!! ライト・ウイング・サンシャインフラッシャー!!」

 

パレットを一振りすると、大きな光のヒマワリがライト・ウイングの前に現れ、すごくまぶしい光が乾クロウにむけて照射された。

 

 

乾クロウ「ぐわー、体が乾燥する〜」

 

そうして乾クロウがやられかけた時

 

風ライシア「まだだ、これ食いな」

 

風ライシアがゾーゾ草の種を乾クロウに投げ渡した。

 

乾クロウ「ありがたい」

 

その種を食べた乾クロウは3階建ての家ぐらいに巨大化した。

 

それを見届けると風ライシアは姿を消した。

 

 

しかしライト・ウイングは膝をついていた。

 

ライト・ウイング「力を…使いすぎた…」

 

完全に息が上がっていたのだ。

 

 

 

ゴールド「少し休んでて、私たちが戦うから」

 

フレイム「役立たずじゃないって見せたげるよ」

 

 

乾クロウ「プリキュア聞いてるぞ、お前たちはアイツらより弱いとな」

 

ラウンド「あんまりなめないでね、自慢じゃないけど私たちもプリキュアなのよ」

 

ウッド「そうです、やればできるんです」

 

ウォーター「まずは、私から行くわよ。 プリキュア・ウォーター・バレット!!」

 

大量に発射された水の弾丸は弾幕となり乾クロウの視界を遮った。

 

そこを狙って、

 

ウッド「プリキュア・アイビィ・チェーン!」

 

蔦の鎖が乾クロウの足を絡めとり、ウッドは鎖を思いっきり引っ張った。

 

乾クロウ「うおっ」

 

その結果、乾クロウはバランスを崩して倒れてきた。

 

さらにそこに

 

フレイム「プリキュア・フレア・ボンバー!」

 

ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!」

 

フレイムの発射した火の玉がカウンター気味で直撃し、ラウンドの投げた砂の丸鋸が、横腹を切り裂いた。

 

 

乾クロウ「あがあ〜」

 

ゴールド「今だ、プリキュア・ゴールド・ブレイカー!!」

 

私はオレンジの光をまとって、乾クロウに突撃した。

 

 

乾クロウ「ぐあ〜っ」

 

攻撃の直撃した乾クロウは爆発とともに大きく吹き飛んだ。

 

 

ゴールド「どんなもんだい!」

 

 

乾クロウ「まだまだ〜」

 

吹き飛んだ乾クロウは大ダメージを受けていたが立ち上がってきた。

 

 

フレイム「こっちだって」

 

ウッド「まだまだです」

 

ラウンド「今がチャンスね」

 

ウォーター「ええ、あの技を」

 

ゴールド「いっくぞー」

 

 

私たちは、金色の光を放つキュアブレスを頭上に掲げた。

 

するとひときわ大きな光の玉が私たちの頭の上にできた。

 

 

ゴールド・フレイム・ウッド・ラウンド・ウォーター

「「「「「悪しきを砕く、絆の生んだ奇跡よ! プリキュア・エンジェリック・シンドローム!!」」」」」

 

その光の玉を乾クロウに向けて発射した。

 

 

乾クロウ「ぐわ〜馬鹿な」

 

そのまま、光の玉は乾クロウに直撃し大爆発が起こり、爆発が収まったときには乾クロウは灰になって消し飛んでいた。

 

 

 

 

 

未来「今回のことはお礼を言っておくわ。それにあなたたちも、まあ、とりあえずプリキュアとして一応認めてあげないこともないわ」

 

心美「すっごい上から目線」

 

 

明日香「まあまあ、それよりよろしくね、未来さん」

 

そう言って改めて右手を差し出すと、未来さんは左手で私の手を握ってきた。

 

恵「ちょっちょっと。なにその握手?」

 

未来「今日のところはこれで十分よ」

 

晶「これから大変そうね」

 

聖歌「です」

 

グルト「生意気な妹で申し訳ないグル」

 

 

続く

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