エンジェルプリキュア   作:k-suke

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第11話 プリキュアに会いたい

 

 

どこかの山の中

 

 

 

汁ベエ「姐さんお久しぶりですねぇ、これはつまらないものですが」

 

汁ベエが姐さんと呼んだ妖魔獣に手みやげを渡していた。

 

 

「おやおや、すまないねえスライムの汁ベエ。じゃあ遠慮なくいただくよ」

 

そう言ってその妖魔獣は手みやげ、油揚げに手をのばした。

 

 

汁ベエ「それで、お力をお貸し願えませんかな。九尾狐の溶コ姐さん」

 

溶コ「やれやれ、まぁ退屈紛らしにはなるかね」

 

 

 

 

夢園中学 2-B

 

 

本日で無事に一学期の授業が終わり、帰宅しようとする生徒、部活に行こうとする生徒と色々だった。

 

その中の帰宅しようとする生徒の一人に未来がいた。

 

 

晶「畑さん、少し話をいいかしら」

 

帰る準備を終え、未来が席を立とうとした時、晶が話しかけた。

 

 

未来「あら、どうしたの」

 

聖歌「お願いしたいことがあるんです」

 

聖歌も珍しく未来に話しかけた。

 

 

あれ以来、それなりに会話はしているのだが、まだどこかお互いわだかまりがあり、すんなり話せていないのである。

 

 

未来「あなたたちが私に頼み? 何かしら」

 

聖歌「えっと、私の頼みという訳ではなくて」

 

聖歌はチラッと教室の入り口を見た。

 

 

未来もその視線の先を見て、ため息をついた。

 

そこにいたのはいつものメンバーだったからだ。

 

 

 

 

市立 夢園総合病院

 

 

 

未来「突然なんなの、こんなところまで連れてきて。きちんと説明して」

 

あの後、場所を変えて話をしたいと言うからついていったら病院である。

 

途中でトリムを捕まえた時以外ろくに会話もなく、しかも未だに説明がない。未来のいい分ももっともであろう。

 

明日香「あ〜うん、実はね、この病院私が昔お世話になった看護師さんがいるんだけど…」

 

 

 

回想 先の日曜日

 

 

聖歌「明日香さん、小さい頃入院したことがあったんですか」

 

明日香「うん、幼稚園に入る前に。軽い食中毒だったんだけどね、病院で一人で入院してると寂しかったんだ。」

 

当時明日香は一人で寝るなどということは経験がなく、夜になると泣いていたらしい。

 

その時一緒に寝てくれていた看護師さんがいるのだ。

 

その時その人は彼女に言った。

 

 

看護師「明日香ちゃん、あんまり泣いちゃ駄目よ。おめめが真っ赤になっちゃうから」

 

明日香「だって、パパもママもいないし、ここにわたし一人なんだもん。寂しいよ〜」

 

看護師は夜になる度に泣き出す明日香をあやしていた。

 

 

看護師「じゃあ、寂しくないようにしようか。この病院の人と毎日友達になっていこう。そうしたら、明日香ちゃんは一人じゃなくなるから寂しくないでしょ」

 

明日香「お友達? そうしたら寂しくない?」

 

明日香は不安そうに尋ねた。

 

看護師「もちろん! じゃあ今日は私が友達になってあげる」

 

 

 

恵「なるほど、あなたの原点というわけね。で、その看護師さん、真理子だっけ。その娘さんがここに入院してると」

 

明日香「うん、今年一年生でさやかちゃんっていうんだけどね。ちょっと簡単な手術がいるんだって」

 

心美「それで、お見舞いついでに手術を怖がってるその子を励まそうと私たちまで呼んだわけ?」

 

晶「まあいいわ、私たちでできることなら手伝うから」

 

 

 

 

病室

 

 

 

明日香「真理子さんお久しぶりです」

 

病室には真理子さんがいた。

 

 

真理子「明日香ちゃん久しぶり。大きなったわね、この子たちはお友達?」

 

明日香「はい、あれからいっぱい友達を作ってるんです」

 

私は自信たっぷりに返事をした。

 

 

心美「あんたの唯一の自慢だよね」

 

心美の台詞に周りは笑い、私も少しへこんだ。

 

明日香「そりゃないよ〜。あっそうだ、さやかちゃんは?」

 

 

さやか「あ、お母さんおはよう」

 

聖歌「起こしてしまったみたいですね」

 

真理子「さやか、この人たちがお母さんのお友達」

 

真理子はそう言って私たちを紹介した。

 

 

 

明日香「初めましてだね、さやかちゃん。わたし金城 明日香」

 

 

そうして自己紹介をして、彼女と友達になれたものの…

 

 

さやか「わたし、やっぱり手術なんて嫌!」

 

真理子「いい加減になさい!! それじゃいつまでもよくならないわよ」

 

真理子さんがただをこねるさやかちゃんを諭すように言ったけど

 

さやか「だって怖いもん!! あの人たちが来てくれなきゃ絶対手術なんか受けない!!」

 

さやかちゃんは頑として譲らなかった。

 

 

 

さやかちゃんはまだ手術が怖いんだろう。この子の年だと無理ないかもしれない。

 

明日香「あの人たちって誰、私が紹介してあげるよ。私い〜っぱい友達がいるから」

 

私としてはなんとか数日後に迫った手術を受けてもらおうと思ってそう言ったのだが

 

 

さやか「ホント!? じゃあねプリキュアと友達になりたい。プリキュアとライト・ウイングがお見舞いにきてくれたら何も怖くない」

 

その言葉に私たちは凍り付いた。

 

 

真理子「またこの子はそんなことを。ごめんなさいね。最近流行の都市伝説みたいなの」

 

さやか「ホントにいるもん! 約束だよお姉ちゃん、必ずプリキュアを連れてきてね」

 

 

明日香「あは、あははは…」

 

私たちは引きつった顔で笑うしかなかった。

 

 

 

回想終わり

 

 

 

 

 

 

未来さんはその話を聞いて呆れていた。

 

未来「まったく安請け合いするから。で、まさかとは思うけど」

 

明日香「そっ、変身してお見舞いに行ってあげたいの」

 

心美「あんまり気は進まないけどね」

 

聖歌「真理子さんのためでもありますし」

 

恵「まぁこれぐらいならね」

 

晶「人を勇気づけるのも大切なことだわ」

 

 

とまあ、とりあえずみんなは納得してくれていたのだが

 

 

未来「なにが元気づけるよ、ただ甘えてるだけじゃない。ビシっと言ってやればいいのよ」

 

未来さんは反対のようだった。

 

 

明日香「言いたいことは分かるんだけど。ね、お願い」

 

私は手を合わせて頼んだ。

 

 

未来「嫌よ、他人に頼らなきゃ何もできない子を励ますなんて。大体我が侭をかなえてあげようなんて発想が甘やかすことになるのよ」

 

未来さんの意思は固いようだった。

 

 

 

 

その時、遠くの方で大きな事故の音がした。

 

恵「何? 事故? かなり大きな音だったけど」

 

心美「結構派手な音だったし。被害も大きそうね」

 

恵さんたちは事故の被害に心配していた。

 

 

未来「違う、この感覚は」

 

グルト「妖魔獣グル!!」

 

グルトたちの言葉に私たちは驚いた。

 

 

明日香「みんな行こう」

 

聖歌「はい」

 

明日香・心美・聖歌・恵・晶「「「「「プリキュアバワー、サモンアップ!!」」」」」

 

『サモン、ゴールドパワー』

『サモン、フレイムパワー』

『サモン、ウッドパワー』

『サモン、ラウンドパワー』

『サモン、ウォーターパワー』

 

私たちは五色の光に包まれて変身した。

 

ゴールド「金に輝く明日への希望 キュア・ゴールド!!」

 

フレイム「真っ赤に燃える心の炎 キュア・フレイム!!」

 

ウッド「新緑の映える聖なる木々 キュア・ウッド!!」

 

ラウンド「黄色に染まった恵みの大地 キュア・ラウンド!!」

 

ウォーター「命育む青き結晶 キュア・ウォーター!!」

 

 

「「「「「絆の生んだ奇跡の力!! エンジェルプリキュア!!」」」」」

 

 

 

 

未来「シャイニング・トランスフォーメーション!!」

 

『トランスフォーム』

 

ライト・ウイング「清らかな光溢れる正義の翼 ライト・ウイング」

 

 

未来さんも鮮やかな七色に光に包まれ、光の羽根を舞い散らしながら変身したがいつもより厳しい顔だった。

 

ライト・ウイング「この感じ、あいつね…」

 

 

 

 

 

どこかの山の中

 

 

 

筋タロウと風ライシアが山の中の獣道を歩いていた。

 

 

筋タロウ「汁ベエが…自分から…手みやげまで持っていくような奴…あいつだけ…」

 

風ライシア「確かに、相当プリキュアを手こずらせましたしね」

 

 

その風ライシアの台詞に筋タロウは足を止めて尋ねた。

 

筋タロウ「お前…なぜ…あいつを…知っている…」

 

 

風ライシアはおどけたように言った。

 

風ライシア「誰でも知ってますって。九尾狐の溶コの強さは」

 

 

 

 

 

 

夢園市 交差点

 

 

 

交差点にたどり着いた私たちはあまりの惨状に目を背けたくなった。

 

なんせ交差点のど真ん中がえぐり取られた様に地盤沈下していたからだ。

 

当然、車はめちゃくちゃにぶつかり、あちこちで火の手も上がっていた。

 

ゴールド「ひどい、これも妖魔獣のしわざなの」

 

私は妖魔獣への怒りで歯を食いしばった。

 

 

 

溶コ「おやおや、プリキュアたちがやっとのご到着かい。今度のはずいぶんとのんびりしてるね」

 

お婆さんのようなしわがれた声に振り向くと、そこにいたのは九本もの尻尾を持った狐の怪物だった。

 

 

ライト・ウイング「やっぱりあなたね、九尾狐の溶コ」

 

フレイム「えっライト・ウイング、あんたこいつを知ってるの」

 

溶コ「あれまぁ。この匂い、あん時のくそ生意気な妖精かい。生きていたなんてしぶといねぇ」

 

 

その言い様に、ライト・ウイングは力強く叫んだ。

 

ライト・ウイング「黙りなさい!! 私はあのときとは違う! それを分からせてやる!!」

 

ウォーター「みんな、私たちもいくわよ」

 

ウッド「はい、一緒に戦いましょう」

 

フレイム「まずは私から、プリキュア・フレア・ボンバー!」

 

フレイムが攻撃しようとしたときだった。

 

 

 

 

ライト・ウイング「待ちなさい! うかつに攻撃しても駄目!」

 

ライト・ウイングが攻撃をやめるように言ったが遅かった。

 

 

溶コ「べぁっ」

 

溶コは口から青い火を吐き出し、フレイムの技を溶かしてしまった。

 

 

フレイム「えっ!」

 

ラウンド「そんな!」

 

ライト・ウイング「そいつは色んなものを溶かしてしまうの、下手に攻撃しても駄目よ」

 

ラウンド「じゃあ私がガードするから攻撃して」

 

ウォーター「ええ、頼むわ プリキュア・ウォーター・バレット!!」

 

ウォーターが一歩前に出て、水の弾丸で攻撃した。

 

 

溶コ「何度やっても同じさ」

 

溶コは弾丸を溶かそうと口から青い火を吐き出した。

 

 

ラウンド「させない、プリキュア・サンド・ソーサー!」

 

ラウンドはその炎を砂の盾で防ごうとしたが炎に盾が溶かされてしまい、炎の直撃を受けた弾丸も相殺され、おまけに炎の一部はラウンドに直撃した。

 

 

ウォーター「ラウンド!!」

 

ラウンド「私は大丈夫よ」

 

 

ゴールド「ええい、だったら近づいて攻撃を」

 

しようとしたのだが、何本もの尻尾が鞭のようにのびてきてまともに近づけなかった。

 

 

フレイム「こいつ、強い!」

 

フレイムの言葉を私たちは本気で感じていた。今までの妖魔獣以上に強い敵だと。

 

 

 

ウッド「キャア」

 

私達は必死に尻尾の攻撃を躱していたが、ついに躱しきれなかったウッドに直撃し、倒れてしまった。

 

溶コ「緑の小娘、これで終わりだよ」

 

そう言ってウッドにとどめを挿そうとした。

 

 

ライト・ウイング「今だ!」

 

その一瞬の隙を狙ってライト・ウイングが攻撃しようとしていたが、ウッドのピンチで頭がいっぱいだった私はそれに気づかなかった。

 

 

 

ゴールド「させない!」

 

溶コに必死に組み付いて動きを止めようとした。

 

 

ゴールド「ウッド、今のうちに逃げて」

 

私は友達を助けようと必死だった。

 

 

ライト・ウイング「キュア・ゴールド、どきなさい!!」

 

ライト・ウイングがそのために攻撃できなくなっていることに気づかないぐらいにである。

 

 

溶コ「おやおや、足手まといを庇うのかい。全くヒトというのは度し難い生き物だよ。役立たずを庇うから、馬鹿みたいにうじゃうじゃ増えちまって、却って自分たちの首を絞めている」

 

そう言うと溶コの体が真っ赤に輝きだした。

 

 

ゴールド「あちゃちゃちゃ、火傷する」

 

ものすごい熱を発した溶コから私は慌てて離れた。

 

 

溶コ「ふん堪え性のない小娘だよ。ん?」

 

その時にわか雨が降り出した。

 

 

溶コ「おやおや、雨だよ。私の美しい毛皮が濡れちまう。今日のところは引き上げさせてもらうよ。明日も雨だといいねえ」

 

余裕たっぷりといった様に溶コは立ち去った。

 

 

 

 

 

 

私たちはトボトボと帰り道を歩いていた。

 

 

心美「くやしいなぁ、何にもできなかった」

 

晶「溶解液で遠距離の攻撃はできない。近づこうにも尻尾で撥ね飛ばされる。なんとか近づけても発熱して振りほどかれる」

 

聖歌「完全に八方ふさがりです」

 

恵「敵ながら天晴れというところだわ」

 

明日香「でも大丈夫だよ、みんなで力を合わせればきっと勝てるよ。私たちは一人じゃないんだから」

 

落ち込んでるみんなを元気づけようと私は明るく振る舞った。すると

 

 

未来「…違う」

 

ぼそりと未来さんがつぶやいた。

 

 

明日香「えっ違うって?」

 

 

私は思わず聞き返していた。

 

すると未来さんは大声でまくしたててきた。

 

 

未来「違う! 違う! 違う!! 違う!!! 何よそれ、敵ながら天晴れ? ええそりゃあいつは強いわよ、でもそれをあっさり認めるって何!? 何もできなかった? 役立たず庇って攻撃もろくにしなかったくせに! みんなで力を合わせれば勝てる? 何の根拠もなしにヘラヘラと! やっぱりあんたたちはプリキュアなんかじゃない!!」

 

 

恵「ちょっ、ちょっといきなり何よ」

 

晶「落ち着いて、どうしたの」

 

あまりに大声でまくしたててきたので私たちは戸惑ってしまった。

 

 

未来「うるさーい! 私はね、もう一度プリキュアに会いたくて、今度こそ一緒に戦いたくてヒューマンゾーンに来たの。それが何? こんなんがプリキュア名乗ってんの?! 一人で戦うこともできないような奴らが? 負けたくせにヘラヘラしてるような奴らが? あんたらなんかがプリキュアをするな! このプリキュアもどき! ごっこ遊び! 偽物! 大っ嫌い!!」

 

さらに大声でまくしたてると未来さんはどこかへ走って行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

どこかの山の中

 

 

 

溶コ「やれやれ、日向ぼっこでもした方がましだったよ。退屈紛らしにもなりゃしない」

 

溶コがあくびをしながらそう言った。

 

 

汁ベエ「久しぶりの戦いは物足りなかったようですね」

 

溶コ「あんな小娘どもに手こずるとは、お前さんたちも封印されてた間に相当体がなまってるみたいだねえ」

 

汁ベエ「いやはや、姐さんは手厳しいことをおっしゃいますなあ」

 

 

汁ベエと溶コがそんな話をしているところに筋タロウと風ライシアがやってきた。

 

風ライシア「まさに、向かうところ敵なしといったところですね」

 

溶コ「おや、ゴーレムの筋タロウかい。ん、その子は誰だい?」

 

溶コが風ライシアを指差し尋ねた。

 

 

筋タロウ「俺たちの…新しい…舎弟と…いうところか…」

 

風ライシアは恭しく一礼をすると自己紹介をした。

 

 

風ライシア「あたしはカマイタチの風ライシアと申します。ライト・ウイングとは何か因縁があったようですが」

 

溶コ「ふん、昔あのくそ生意気な妖精を叩きのめしてやっただけのことさあね。生きていたのには驚いたが、それ以上じゃあない。大体弱いもの同士で庇い合おうとする連中なんて眼中にもないよ」

 

 

 

堤防

 

 

 

未来が膝を抱えてうずくまっていた。

 

未来(あんなやつらプリキュアなんかじゃない。プリキュアはもっと強くて一人でも十分戦えるような人だった。そんな二人が力を合わせて戦うから最強だった。そんな人たちに憧れたから、なのに…)

 

未来は昔のプリキュアを思い出していた。

 

四年前、プリキュアに憧れ、九尾狐の溶コに戦いを挑んだが、当たり前のように散々に痛めつけられて死にかけた時に看病をしてくれて、元気づけてくれた二人のことを。

 

 

???「あなた花が好きだって言ってたわよね。この種は大きな花が咲くのよ。ちょっと私たちが細工してあるから育てたらもっと大きなのが咲くかもね。その花私達に見せてくれないかしら」

 

そう言って一人はヒマワリの種をプレゼントしてくれた。

 

 

 

未来(それを大切に育てて、私はライト・ウイングの力を身につけた)

 

 

???「これはあたしからだ。お前絵うまかったよな、いつかその花が咲いたら描いて見せてくれや。だから早く元気になれよ」

 

もう一人のプリキュアは絵の具セットをプレゼントしてくれた。

 

 

 

未来(その絵の具セットのパレットがシャイニング・パレットになった)

 

 

 

???「いい? 自分も戦いたいって気持ちはうれしいけど、身の程はわきまえないとただの馬鹿女よ」

 

???「だけど、人に甘えず、自分でなんとかしようってのはいい心がけだぜ。ろくでなしでない立派な証拠だ」

 

 

 

いつしか未来は泣きじゃくり始めた。

 

未来「ヒック、ヒック。ひかる… 翼… 会いたいよ、もう一度…」

 

 

 

夜 明日香の部屋

 

 

 

明日香「ねえグルト、私たち何か未来さんを傷つけるようなことしたのかな」

 

私はベッドの中でグルトに尋ねた。

 

未来さんにプリキュアもどきだの偽物だのと散々に言われたことが忘れられないのだ。

 

 

グルト「バターは昔のプリキュアの強さにとても憧れてたグル。あの九尾狐の溶コに散々に痛めつけられて死にかけた時にも手当てしてもらって、すごく感謝してて、尊敬もしてるんだグル」

 

明日香「そっか、その強いプリキュアのイメージが私たちじゃ壊れちゃうってことなんだ」

 

 

しばらく考えた後

 

明日香「ねぇ、その前のプリキュアってどんな…」

 

人だったのと聞こうとしたが、グルトはもう寝てしまっていた。

 

 

 

 

あの後晶さんは言った。

 

晶「あんなこと言ってるけど、私たちを意識してるんだわ。あの時明日香さんを無視して攻撃してもよかったのにそうしなかった。なんだかんだで気にしてくれているんだわ」

 

 

確かにそうかもしれない。

 

未来さんがプリキュアに相当の憧れがあることも分かる。でも私たちはその人たちにはなれないことも。

 

さやかちゃんのお見舞いのこともあるしどうしたらいいのか、プリキュアとして何をするべきなのか悩んでいつまでも寝付けなかった。

 

 

 

明日香「世界を守ること…、フェアリーゾーンを復興させること…、人を勇気づけること…。なんかどれもこれも中途半端だな…」

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

溶コ「さあて、軽い運動がてらヒトの数を減らしてやろうかね」

 

そう言いながら溶コが町中に姿を現した。

 

未来「待ちなさい、妖魔獣!!」

 

溶コの気配を感じ、未来もまた駆けつけた。

 

溶コ「おやおや、無能な妖精は頭も相当悪いみたいだね。懲りるということさえ知らないとは」

 

溶コが未来を見て馬鹿にしたように笑う。

 

 

未来「馬鹿にしないで! それに今日は役立たずもいない。絶対にあなたを倒す」

 

そう言うと未来はシャイニング・パレットを構えた。

 

 

未来「シャイニング・トランスフォーメーション!!」

 

『トランスフォーム』

 

ライト・ウイング「清らかな光溢れる正義の翼 ライト・ウイング」

 

 

 

溶コ「で、変身してどうする気だい?」

 

ライト・ウイング「あなたを倒す!! 絶対に倒す!!」

 

ライト・ウイングは怒りに燃えており、いきなり殴り掛かった。

 

 

ライト・ウイング「はぁぁ!!」

 

溶コ「単純な攻撃だね」

 

溶コは尻尾の一本を鞭のようにふるうと、あっさりライト・ウイングをはね除けた。

 

 

ライト・ウイング「くっ、まだまだ!」

 

空中でバランスを取り直して着地するもそこを狙って溶コが火を吹いてきた。

 

 

 

ライト・ウイング「キャアアア!!」

 

火炎をまともに浴びてしまい、ライト・ウイングは火だるまになってしまった。

 

溶コ「ヒヒヒ、燃え尽きちまいな」

 

 

 

ウォーター「プリキュア・ウォーター・バレット!!」

 

そこに水の弾丸が降り注ぎ、ライト・ウイングの火を消した。

 

 

ラウンド「大丈夫? ライト・ウイング」

 

ウッド「一人で戦うなんて無茶しすぎです」

 

私達が遅ればせながら到着したのだ。

 

 

ライト・ウイング「ひっこんでなさい!! 邪魔よ!!」

 

フレイム「やられかけてたくせによく言うよ。あんたみたいなのでもグルトの妹だしほっとけないって」

 

ゴールド「前にも言ったよね。私たちは昔のプリキュアにはなれない。でも世界を、みんなを守りたいって気持ちは同じはずだよ。だからみんなで支え合ってみんなで勝とうよ」

 

溶コ「はっ、弱いもの同士で庇い合うから、まともになにもできゃしないのさ。弱い奴なんか守る価値もない。だからわたしはここに来たのさ」

 

溶コの言葉に私たちは引っかかった。

 

 

ウォーター「どういうこと? だからここに来たって」

 

溶コ「この道の先に何があると思う?」

 

それを聞いて私たちはハッとした。この道の先にあるものは…

 

 

ウッド「夢園総合病院!!」

 

フレイム「まさか、あんた!」

 

溶コ「そうさ、弱いものを助けるための場所なんて目障りにもほどがある。溶かし尽くしてやるよ」

 

あの病院にはさやかちゃんが、ううん多くの病人やけが人がいる。

 

 

ラウンド「そんなこと絶対させない!!」

 

ウッド「私たちが守ってみせます!!」

 

ゴールド「その病院には、プリキュアに会いたいって子がいるの。だから私たちは絶対負けない!! そうすることで必ずさやかちゃんにも手術を受ける勇気を与えてみせる!!」

 

 

ライト・ウイングは私たちの会話を聞いてため息をついていた。

 

ライト・ウイング「確かに、あの二人とは全然違うわね。でもまぁ、とりあえず今はあいつを倒すことに反論はないわ」

 

ウォーター「ライト・ウイング…」

 

フレイム「ホント、生意気な奴」

 

私たちは、うれしさ半分呆れ半分だった。

 

 

 

ゴールド「妖魔獣! 小さい力でも大きなものになるって教えてあげる」

 

 

 

私たちは溶コに立ち向かったが、やはり手強かった。

 

鞭のような尻尾に追い払われ、まともに近づけなかった。

 

溶コ「どうした? 大きな力とやらを見せてご覧よ」

 

溶コが小馬鹿にしたように笑った。

 

 

ラウンド「まだまだ!」

 

私たちは一度距離を取り、溶コを取り囲むように立ち一斉に飛びかかった。

 

溶コ「一斉に攻撃しようということかい。ガキの浅知恵だねえ」

 

そう言うと溶コは、また同じように尻尾をふるって来た。

 

ウォーター「今よ!」

 

ウォーターのかけ声で私たち「プリキュア五人」は尻尾に撥ね飛ばされながらもそれを全部つかんだ。

 

溶コ「ふん、それがどうしたい」

 

溶コは全身を白熱化しようとしたその瞬間

 

 

ライト・ウイング「もらったー!!」

 

ライト・ウイングが上空から急降下し、溶コの尻尾を一本残らず引きちぎった。

 

溶コ「しまった!! プリキュア、貴様らはじめから!!」

 

溶コは初めてうろたえた。

 

 

 

ラウンド「そういうこと、私たちは囮よ」

 

ウッド「あなたは私たちを馬鹿にするあまり、攻撃が単調になっていました」

 

フレイム「私たちを小娘って言ってたけど、あんたこそ年寄りの冷や水じゃないの」

 

ライト・ウイング「九尾狐の溶コ、その尻尾はお前の力の源のはず。勝負あったわね」

 

溶コ「なめるな小娘〜! 溶かし尽くしてやる!!」

 

相当怒った様子の溶コは溶解液を吐いてきたが、私たちはそれを軽く躱した。

 

 

ウォーター「どうしたの、まるで勢いがなくなってるわね」

 

そう、吐いた溶解液は簡単によけられるスピードだった。おまけに地面にかかったそれは、地表を軽く焦がしただけだった。

 

 

溶コ「くっそ〜」

 

悔しがる溶コの前に一つの種が飛んできた。

 

 

風ライシア「溶コ、そいつを」

 

ゴールド「風ライシア!? いつの間に」

 

溶コ「ええい、しゃくだが今はしょうがない」

 

 

その種を食べた溶コは数倍の大きさになり、それを見届けると風ライシアは姿を消した。

 

フレイム「あいつまた!」

 

ラウンド「フレイム今はこっちが先よ」

 

だが巨大化こそしたものの、溶コの動きはかなり鈍いものだった。

 

ライト・ウイング「寄る年波には勝てないんじゃない? 溶コお婆ちゃん」

 

ライト・ウイングが溶コを挑発した。

 

 

溶コ「黙れ、小娘!!」

 

溶コは怒りの形相で突進攻撃をしてきたが、私たちをとらえられず大きくバランスを崩した。

 

 

 

ゴールド「みんな、今だよ」

 

私たちは、キュアブレスを掲げて、頭の上に大きな光の玉をで作った。

 

ゴールド・フレイム・ウッド・ラウンド・ウォーター

「「「「「悪しきを砕く、絆の生んだ奇跡よ! プリキュア・エンジェリック・シンドローム!!」」」」」

 

 

ライト・ウイングも必殺技を発動していた。

 

ライト・ウイング「汚れた魂を浄化する正しき光を受けなさい!! ライト・ウイング・サンシャインフラッシャー!!」

 

 

溶コ「貴様ら〜私を誰だと〜」

 

二つの必殺技が直撃し、九尾狐の溶コは大爆発した。

 

 

ゴールド「やったね、ライト・ウイング!!」

 

ライト・ウイング「一つ一つは小さくても、五つもあればプリキュア並の力は出せる、か。エンジェルプリキュア認めてあげるわ。ついでに手伝ってくれたお礼もしてあげる」

 

ライト・ウイングはやれやれといった感じでそう言った。

 

 

 

 

市立 夢園総合病院

 

 

 

明日香「未来さん、ありがとう一緒に来てくれて」

 

未来「まあ、弱い子も大勢集まれば強くなれるかもしれないしね。それと私のことは未来でいいわ」

 

明日香「じゃあ私も明日香でいいよ」

 

心美「はぁ、まあいいか」

 

聖歌「私も聖歌でいいですよ」

 

恵「やっと一段落ね」

 

晶「これからは六人で頑張りましょう」

 

私たちはそんな話をしながらさやかちゃんの入院してる部屋のある階まで来た。

 

 

 

明日香「よし、じゃあトイレにでも行って変身を」

 

未来「変身する必要はないわ」

 

変身しようとした私たちを未来は止めた。

 

 

心美「え、どうして?」

 

未来「やっぱり、こんなことで変身しない方がいいと思うの」

 

恵「えっ、じゃあこのまま行くの」

 

それだとこの前と全く同じだ。

 

 

未来「大丈夫、良い手があるの」

 

そう言って未来はシャイニング・パレットを取り出した。

 

未来「フラッシュ・イリュージョン」

 

タッチペンでパレットを操作すると私たちの服はプリキュアみたいに変わっていた。

 

明日香「わっ変身した!」

 

聖歌「いえ違います、これは?」

 

心美「ただのコスプレ衣装?」

 

そう、服が変わっただけで後は何も変わっていなかった。

 

未来「そっ、見た目を自由に変化することができるの。これで十分よ」

 

とライト・ウイングの姿で未来はそう言った。

 

 

真理子「あら、明日香ちゃん。そんな格好でどうしたの?」

 

明日香「あっ真理子さん」

 

トイレから真理子さんが出てきた。

 

真理子「ごめんなさいね、さやかの我が侭でそんな格好までさせて」

 

恵「いえ別に…」

 

晶「これぐらいなら…」

 

真理子さんの反応を見るに、これでよかったんだろうと思いながらさやかちゃんの部屋の前まで来たその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

さやか「プリキュア〜!! ありがとー!!」

 

病室の中からさやかちゃんの大声がした。

 

 

 

 

その声の内容に驚いて私たちは慌てて部屋に入った。

 

真理子「駄目よさやか、起きたりなんかしちゃ」

 

さやかちゃんは窓から外を見て、両手をちぎれんばかりに振っていた。

 

 

さやか「あっママ、今ねプリキュアが来てくれたの、もう行っちゃったんだけど」

 

私たちはそれを聞いて顔を見合わせた。

 

 

明日香「さやかちゃん、ホントにプリキュアが来たの?」

 

私はさやかちゃんに真剣に尋ねた。

 

さやか「あっお姉ちゃん、その格好でプリキュアに頼んでくれたの?」

 

私は今の自分の格好を忘れていた。

 

 

明日香「えっあっうん」

 

私は曖昧な返事をしたが、さやかちゃんは満面の笑みで答えた。

 

 

さやか「ありがとうお姉ちゃん。プリキュアがね、わたしに言ったの。これからいっぱい大変なことや辛いことがあるだろうけど、くじけないで自分の力を信じて頑張れって。本当にどうしようもなくなったら必ずプリキュアが助けに来てくれるって。プリキュアが来ないときは、自分の力でなんとかできる証拠だって。だからすぐに人に甘えるなって」

 

未来「えっ、それは…」

 

さやかちゃんの言葉に未来は戸惑っていた。

 

真理子「またこの子は、夢でも見たんでしょ」

 

真理子さんは呆れるように言った。

 

 

さやか「夢じゃないもん、ホントだもん。金ぴかのプリキュアが来たんだもん。お母さん、私手術受ける。一生懸命頑張るから」

 

真理子「はいはい、あまり興奮しないで」

 

そう言って、真理子さんはさやかちゃんを寝かしつけた。

 

 

 

聖歌「いったいどういうことでしょう」

 

恵「嘘を言ってる様に見えないけど」

 

晶「そもそも、そんな嘘をついても意味はないわ」

 

心美「ただの夢なんじゃない、やっぱり」

 

私たちはひそひそと話し合っていた。

 

 

グルト「金ぴかのプリキュア…まさか…いやそんな…」

 

未来「まさか…まさか!」

 

明日香「えっちょっと、未来どこ行くの?」

 

私の呼び止める声も聞かず、未来は大慌てで病室を出て行った。

 

 

 

息を切らせて走りながら、未来はまさかと思っていた。でも他に考えられないとも。

 

病院から外に出た未来は、辺りを必死に探しまわった。

 

 

 

未来「ねえ、いるなら返事して! 私に声を掛けて! お願い、会いたいの! ひかる〜!!!」

 

彼女の叫びもむなしくどこからも返事はなかった。

 

 

 

 

 

どこかの山の中

 

 

 

汁ベエ「まさか溶コの姐さんがやられちまうな〜んて、こ〜りゃふんどし閉め直してかからないとね」

 

筋タロウ「アイツら…相当やるな…」

 

汁ベエと筋タロウがそんな話をしていると風ライシアが口を挟んできた。

 

風ライシア「お待ちどうさん、プリキュアを無力化できる算段がつきましたよ」

 

汁ベエ「ん? どっかに行ってたみたいだが、そのためかい?」

 

筋タロウ「一体…どうやって…倒すつもりだ…?」

 

風ライシア「はい、プリキュアの最大の力は絆…ならばそれをつぶしてしまえば…」

 

 

続く

 

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