エンジェルプリキュア   作:k-suke

15 / 30
第14話 最後に笑うもの

とある洞穴

 

 

 

汁ベエと筋タロウが笑い合っていた。

 

汁ベエ「いや〜あ、風ライシアの間抜けっぷりには、いまだに笑いが止まらないね。よりによって我が輩達を仲違いさせようなんて考えるなんてさあ〜」

 

筋タロウ「汁ベエ…お前と…俺の…仲は…切れない…」

 

汁ベエ「全く全く。で例のゾーゾ草はどうだい。数は増えたかい。これからの作戦に必要だからねえ」

 

筋タロウ「それがな…この種蒔くと…すぐにゾーゾになる…。栽培…できない…」

 

筋タロウが試しに一粒地面に蒔くとすぐにゾーゾが何体も出現してしまった。

 

 

汁ベエ「何だって? じゃあそれで全部ってことかい。チィ、風ライシアから栽培方法ぐらい確認しとくんだった」

 

汁ベエが悔しそうにそう吐き捨てた。

 

 

筋タロウ「でも…これで…十分…」

 

筋タロウはゾーゾ草の種の入った袋を手にそう言った。

 

 

汁ベエ「そうだね、いよいよこの星が妖魔獣のものになる時が来たんだね。最終作戦開始だよ」

 

筋タロウ「妖魔獣の…もの…か…そうだな…」

 

 

そう答えた筋タロウの言葉にはどこか覇気がなかった。

 

筋タロウ(汁ベエ…お前が…いなくなれば…妖魔獣は…滅びる…。でも…俺は…いなくても…いい…)

 

 

 

 

 

未来の部屋

 

 

 

晶「まず、現状を整理しましょう」

 

心美「うん、ちょっとこないだの件で混乱してるからね」

 

私達は先の戦いで起きたことが未だに理解仕切れていなかった。

今日はその話し合いにきたのである。

 

 

恵「まず、妖魔獣を束ねているスライムの汁ベエとゴーレムの筋タロウの二人。それと風ライシア。ここまではいいわ」

 

聖歌「はい、昔妖魔獣を封印していたラドンパの箱。風ライシアははじめから汁ベエをその箱に封印するつもりだったんですね」

 

未来「まあ、それでどうするつもりだったのかは知らないけど、見透かされて失敗。結果ラドンパの箱もなくなったからもう一度アイツらを封印することは出来なくなったということね」

 

明日香「うん、これで現状がよく分かったよ。でも風ライシアってどうするつもりだったんだろうね」

 

グルト「ホントグル。それにあんな妖魔獣は見たことが無かったグル」

 

晶「えっ見たことがない? 昔はいなかったということかしら?」

 

グルトの発言に晶さんが尋ねていた。

 

 

未来「ええ、新しく生まれたのか、それとも昔は隠れていたのかどっちにしろ不思議な奴だったわね」

 

心美「でも、アイツは倒したんだしこれからのことを考えよう」

 

 

 

 

 

 

とある洞穴

 

 

 

汁ベエ「この星の水をぜ〜んぶ我が輩の体液に変えてやる。そうすれば必然的にヒトの世界はおわって妖魔獣の世界になるんだね〜」

 

筋タロウ「汁ベエ…俺は…プリキュアを押さえておく…。心置きなく…やれ…」

 

汁ベエ「頼んだよ筋タロウ。いや〜頼りになるのはお前だけだよ」

 

 

そう満足そうに言い残し汁ベエは出かけて行ったが、それを見送り一人残された筋タロウは寂しそうに呟いた。

 

筋タロウ「妖魔獣の世界…俺は…そうなれば…一人だ…な…」

 

 

 

 

 

夢園市内

 

 

 

心美「暑い〜、泳げないと思うと尚更だ〜」

 

聖歌「でもどうしたんでしょう、急にプールが閉鎖なんて」

 

明日香「そうだよね、せっかくトリムもいっぱい捕まえて気分よかったのに」

 

夏休みも終わりに近い今日私達はプールに行くつもりだった。にもかかわらずいざ行ってみると急にプールが休園にされてしまっていた。

 

恵「なにか、故障でもしたのかしら」

 

晶「ありえるわね。それで急に点検が必要になったとか」

 

そんな他愛無い話をしているときだった。

 

グルト「グル! この気配!」

 

未来「妖魔獣!」

 

明日香「どっち? すぐに行こう」

 

 

明日香・心美・聖歌・恵・晶「「「「「プリキュアバワー、サモンアップ!!」」」」」

 

『サモン、ゴールドパワー』

『サモン、フレイムパワー』

『サモン、ウッドパワー』

『サモン、ラウンドパワー』

『サモン、ウォーターパワー』

 

私たちはキュアブレスを構えると五色の光に包まれて変身した。

 

ゴールド「金に輝く明日への希望 キュア・ゴールド!!」

 

フレイム「真っ赤に燃える心の炎 キュア・フレイム!!」

 

ウッド「新緑の映える聖なる木々 キュア・ウッド!!」

 

ラウンド「黄色に染まった恵みの大地 キュア・ラウンド!!」

 

ウォーター「命育む青き結晶 キュア・ウォーター!!」

 

 

 

 

未来「シャイニング・トランスフォーメーション!!」

 

『トランスフォーム』

 

ライト・ウイング「清らかな光溢れる正義の翼 ライト・ウイング」

 

未来も鮮やかな七色に光に包まれ、光の羽根を舞い散らしながら変身した。

 

 

 

 

 

フレイム「妖魔獣はどこにいるの?」

 

ラウンド「早く行きましょう」

 

ゴールド「グルトはここにいてね」

 

 

その時だった。

 

筋タロウ「プリキュア…ここに…いたか…」

 

ウォーター「ゴーレムの筋タロウ!?」

 

突然現れた筋タロウに私達は慌てた。

 

筋タロウ「お前達に…話がある…。損にはならない…」

 

ウッド「話とは?」

 

ライト・ウイング「ちょっとウッド、耳を貸す必要なんてないわ」

 

ゴールド「待ってライト・ウイング。様子がおかしいよ」

 

筋タロウはどこか思い詰めたような顔だった。私達と戦うつもりもなさそうだった。

 

ゴールド「まずは話を聞こうよ、ね」

 

筋タロウ「キュア・ゴールド…感謝する…」

 

 

 

 

筋タロウ「今…汁ベエは…この町の…浄水場に行っている…。あいつの…体液を…水に…溶かし込むことで…この星そのものを…汁ベエに…するつもりだ…」

 

ラウンド「じょ、冗談じゃないわ。そんなことされてたまるもんですか」

 

妖魔獣の作戦を聞いて私達は背筋が凍った。

 

 

フレイム「ちょっと待った。なんでそれを私達に教えるのよ!」

 

ライト・ウイング「そうよ、やっぱり何か企んでるんでしょ!」

 

フレイムとライト・ウイングの言い分も尤もだった。妖魔獣の作戦を私達に漏らしたところで何の得も無いはずだ。

 

 

筋タロウ「俺たち…妖魔獣は…汁ベエの…体液を浴びて…生まれた生き物…。汁ベエが…いなくなれば…力の大半はなくなる…。だが…俺たちが…いなくなっても…汁ベエは…困らない…。汁ベエは…一人では…大した力は無い…。だから…俺といた…。俺は…アイツと…一緒にいたかった…。でも…この星が…妖魔獣の星になれば…アイツを守ってきた…俺はいらなくなる…」

 

ゴールド「筋タロウ…」

 

この言葉で分かった。筋タロウはただ仲間と友達と一緒にいたいだけなんだと。

 

 

 

ウッド「ありがとうございます、色々話してくれて」

 

筋タロウ「構わない…早く行け…。俺は…もう奴に会えない…。奴を…裏切ったからな…」

 

そう言った筋タロウはとても寂しそうだった。

 

フレイム「あんたも行こうよ、一緒に」

 

筋タロウ「何…?」

 

フレイムが筋タロウを促した。

 

 

ウォーター「そのことを、あなたの気持ちを汁ベエに話しましょう」

 

ラウンド「お互いの気持ちをぶつけ合ってみようよ。それが一番大切なんだよ」

 

筋タロウ「ブリキュア…」

 

筋タロウは力強く頷いた。

 

 

 

 

夢園市 浄水場

 

 

 

この浄水場の中に汁ベエはいた。

 

すでに汁ベエは体液の一部を貯水槽に流し込んでいた。プールが閉鎖されたのも変な水が出てきたからであった。

 

汁ベエ「実験は上々だね〜え。そろそろ本番と行こうかね」

 

汁ベエはいよいよ自分の体の一部を貯水槽に入れようとしていた。

 

ウォーター「待ちなさい!」

 

汁ベエ「ん? プリキュア。どうしてここが?」

 

ラウンド「世界をこの星を妖魔獣の星になんて絶対させない」

 

 

浄水場に到着した私達は、浄水槽に何かを入れようとしていた汁ベエを見つけた。

 

ゴールド「汁ベエ、どうしてあなたはこの星を汚そうとするの?」

 

私はかねてからの疑問をぶつけた。

 

汁ベエ「フォッフォッフォッ、この星を汚してるのはお前達ヒトじゃないか。よく言うよ」

 

ラウンド「なんですって!」

 

汁ベエ「教えてやるよ。我が輩はお前さん達ヒトの所為で生まれたのさ。とある化学物質廃棄処理場に化学物質のカスが積もり積もった。そして偶然そこにいた微生物が突然変異をし、知能を持った生き物が生まれた。それが我が輩だ」

 

ウォーター「なっ!!」

 

汁ベエ「それまで存在していた生き物が繁殖を重ねるうちに、今まで無かった物質を作り出し、環境を変えて行く。そしてその変えた環境に適した新生物が生まれ旧生物を駆逐する。ごく自然なことなんだがね」

 

汁ベエの言葉に私達は絶句した。もしそれが本当なら私達のやろうとしていることは無意味になってしまう。

 

ライト・ウイング「ふざけないで!! そんなのただの都合のいい詭弁じゃない!!

仮にそうだとしても、ただ滅んでいい訳が無い!! プリキュア、あなた達だって滅びたい訳じゃないんでしょう!」

 

ライト・ウイングの言葉に私達はハッとなった。

 

フレイム「そうだよ、私達はまだやりたいことがある!!」

 

ウッド「守りたい大切な物だってあるんです」

 

ラウンド「この世界を汚くしようとすることが普通なんて認めない!!」

 

ウォーター「最後の瞬間まで私達は諦めないわ!!」

 

ゴールド「汁ベエ、私達人間は星を汚しているかもしれない。でも、私達はそれを止めることも出来る。この星の生き物はみんな友達なんだよ。それを壊して自分たちだけの世界にするなんて許さない!!」

 

 

 

私達の宣言に汁ベエは面白くなさそうに言った。

 

汁ベエ「ふんどんな奴らでも自分の世界が一番かわいいだけだよ。お前さん達もプリキュアならそんなことぐらい分かってるだろうに」

 

ライト・ウイング「黙りなさい!! あなた達、行くわよ」

 

ライト・ウイングの言葉に私達は汁ベエに向かって行った。

 

 

汁ベエ「お前さん達の攻撃は我が輩に効かないって忘れたのかい。」

 

汁ベエは余裕たっぷりという感じだったが、

 

フレイム「そんなことない!! アンタの弱点は…」

 

ラウンド「水分がなくなることなんでしょう!!」

 

フレイム「プリキュア・フレア・ボンバー!」

 

ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!」

 

二人の必殺技が汁ベエに向かって行った。

 

火の玉が汁ベエの体の一部を蒸発させ、砂の丸鋸が水分を吸い取って汁ベエの体を切り裂いた。

 

 

ライト・ウイング「どうしたの? かなり効いてるみたいじゃない」

 

ライト・ウイングが挑発するように言った。

 

汁ベエ「お前達、どうして我が輩の弱点を?」

 

汁ベエはかなり狼狽していた。

 

 

その時、筋タロウが汁ベエの後ろから現れた。

 

筋タロウ「汁ベエ…」

 

汁ベエ「おお筋タロウ、お前がいてくれたら百人力だよ」

 

筋タロウに汁ベエは途端に機嫌を良くした。

 

 

汁ベエ「あれ? そういえばお前さんプリキュアの足止めをするんじゃ… まさか!!」

 

筋タロウ「汁ベエ…すまないな…」

 

次の瞬間、筋タロウの拳が汁ベエの体を貫いていた。

 

ゴールド「えっ!?」

 

フレイム「ちょっとアンタ! いきなり何を!」

 

ウッド「話し合うんじゃ無かったんですか?」

 

汁ベエ「筋タロウ…お前…」

 

筋タロウ「汁ベエ…このままだと…お前は消える…。お前のいない世界…俺はいらない…。俺とお前のツートップ、でも俺はたまたまいただけだった。風ライシアと同じように」

 

筋タロウは思い詰めたように言った。

 

汁ベエは息絶え絶えになりながらそれに答えた。

 

汁ベエ「そうかい…そうかい… お前さんのことをそんな風に思ったことはないけどね…。思い詰めてたんだね…。分かったよ、我が輩の力、すべての妖魔獣の力の源、全部お前さんにやるよ。アイツらみたいでしゃくだけどね」

 

次の瞬間、汁ベエはドロドロのゲル状になって筋タロウの体に吸い込まれていった。

 

筋タロウ「うおーっ!!」

 

大地が震えるかと思うほどに筋タロウの叫びが辺りに響いた。

 

 

ラウンド「いったい何がどうなってんの?」

 

ライト・ウイング「アンタ、まさか最初から汁ベエを裏切るつもりだったの!!」

 

予想外に次ぐ予想外の展開に私達は軽いパニックになっていた。

 

 

筋タロウ「違う…俺は汁ベエとともにいたかっただけ…。俺たちは…これで永遠の相棒だ…この世界は…俺たちの物…」

 

ウォーター「そんなことは絶対にさせないわ!!」

 

ウッド「自分で相手を殺しておいて、なにが相棒ですか!!」

 

ゴールド「あなた達にもあなた達なりに仲間との絆があることは分かった。でもそんな誰かを犠牲にする絆なんて認めない! 教えてあげる、本当の絆の強さを」

 

 

「「「「「絆の生んだ奇跡の力!! エンジェルプリキュア!!」」」」」

 

 

筋タロウ「黙れ…お前達の絆なんて…すぐに切れる脆い物…。俺達は知っている…」

 

フレイム「黙んなさい。なんにも分かってないくせに!!」

 

私達は筋タロウに向かって行った。

 

 

 

ウッド「ええい!」

ウォーター「やぁぁ!!」

 

ウッドとウォーターが飛び込みパンチを食らわせた。が

 

筋タロウ「ふん!!」

 

直撃したにも関わらず、まるで微動だにせず気合いで跳ね返してしまった。

 

フレイム「だったら!」

ラウンド「これでどう!?」

 

フレイム「プリキュア・フレア・ボンバー!」

 

ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!」

 

火の玉と砂の丸鋸が飛んで行った。

 

筋タロウ「ぬぉぉーっ!!」

 

フレイム「うそ!」

ラウンド「なんて奴!?」

 

何と筋タロウは腕を振り回しただけで二人の攻撃を跳ね返してしまった。

 

ライト・ウイング「ええい、受けなさい! シャイニングナックル!!」

 

筋タロウ「甘い」

 

ライト・ウイングは光る拳でパンチを繰り出したが、それすらも筋タロウはあっさり受け止めた。

 

ライト・ウイング「そんな!」

 

驚いたライト・ウイングは隙だらけになり、筋タロウに蹴り飛ばされた。

 

 

ゴールド「ライト・ウイング!! こ〜なったら」

 

私は大ジャンプしてオレンジのオーラを纏った。

 

ゴールド「プリキュア・ゴールド・ブレイカー!!」

 

私の必殺技が筋タロウに直撃した。が

 

 

 

ゴールド「えっ?」

 

何と筋タロウは私の突撃を真っ正面から受け止めていた。

 

筋タロウ「ぬん!!」

 

筋タロウは気合いとともに私を思いっきり振り回して投げ捨てた。

 

ゴールド「わっわっわっー」

 

投げ飛ばされた私は地面に思いっきり叩き付けられた。

 

 

フレイム「こいつ、前のときよりずっと強くなってる」

 

ウッド「汁ベエを取り込んで大きくパワーアップしてるみたいです」

 

 

筋タロウ「当たり前だ…。汁ベエと…一つになった上…、すべての妖魔獣の力が…俺に集まっている…俺たちは無敵だ…。お前達を滅ぼした後…、あの連中も…とことん利用して…妖魔獣が永遠に…この星を支配してやる…」

 

ウォーター「まだよ、すべての妖魔獣の力をあなたに集めたなら、あなたを倒してしまえば、すべての妖魔獣は力を無くしてしまうはず」

 

ゴールド「そっか、じゃあアイツを倒せばいいんだ」

 

 

筋タロウ「確かにそうだ…。だが出来るかな…」

 

そう言うと筋タロウはゾーゾ草の種を大量に食べ始めた。

 

ライト・ウイング「アイツ何を!?」

 

ラウンド「まずい!!」

 

ウッド「このままじゃ」

 

私達の心配は現実のものとなり、筋タロウが何メートルにも巨大化した。

 

フレイム「冗談じゃないって!!」

 

ウォーター「ただでさえ、苦戦していたのにこれじゃ」

 

筋タロウ「プリキュア…死ね…」

 

巨大化した筋タロウがものすごい勢いでパンチを振り下ろしてきた。

 

「「「「「「キャアアア!!!!」」」」」

 

私達は直撃こそなんとか避けたけれど、その衝撃で大きく体勢を崩してしまった。

 

筋タロウ「食らえ…」

 

そこを狙って、ヘドロの塊のような物が私達に飛んできて爆発した。

 

「「「「「「うわーっ!!!!」」」」」

 

衝撃によるダメージで身動きとれなかった私達はその攻撃をよけられずまともに爆発に巻き込まれた。

 

 

ゴールド「ぐ…」

フレイム「うあ…」

ウッド「あ…」

ラウンド「うぅ…」

ウォーター「げほ…」

ライト・ウイング「なんて…威力…」

 

 

私達は大ダメージを受けてしまい、倒れてしまった。

 

筋タロウ「他愛無い…プリキュア…見ていろ…この星が…妖魔獣の星に変わる…」

 

そんな私達を見下すと、筋タロウはゲル状の物を体から浄水槽に流し込みだした。

 

すると、浄水槽の水が忽ちヘドロのように濁った色になっていった。

 

 

ラウンド「み、水が…濁って行く…」

 

フレイム「そんな…」

 

ウォーター「ここまで来て…」

 

ウッド「私達の負け…」

 

ゴールド「まだだよ、アイツを倒せば…」

 

みんなが諦め始めていた中、私は諦めずに立ち上がった。筋タロウを倒せばまだ可能性はあると思ったからだ。

 

 

筋タロウ「無駄だ…俺を倒しても…この水は元に戻らない…もう手遅れだ…」

 

ライト・ウイング「そんな…この世界が…妖魔獣に…」

 

 

その言葉を聞いて、さしものライト・ウイングも青ざめていた。

 

私も諦めるつもりは無かったが、おそらく真っ青になっていただろう。

 

筋タロウ「プリキュア…今度こそ…俺たちの…勝ちだ…」

 

筋タロウはそんな私達を見て高らかに笑った。

 

 

 

次の瞬間異変が起きた。

 

筋タロウ「ぐっ…苦しい…何だ…」

 

なぜか筋タロウが苦しみ始めた。

 

ゴールド「何? どうしたんだろ」

 

すると筋タロウから蔓や葉っぱのような物が生え始めたかと思うと、みるみる元のサイズに縮んでいき、濁っていた水も元の通りきれいに透き通っていった。

 

フレイム「なによこれ? どうなってんの?」

 

ウォーター「もしかすると…」

 

ウォーターが何かに気づいたように呟いた。

 

ラウンド「何、ウォーター?」

 

ウォーター「あのゾーゾ草、食べると巨大化出来るみたいだけど、時間制限があるんじゃ…」

 

それを聞いて私達はハッとした。

 

ウッド「そっか、今まで巨大化してもすぐに倒してましたから気づかなかったけど…」

 

ライト・ウイング「おまけに、効力が切れると草の方に力を吸い取られて、大きく弱るみたいね。考えてみれば、ずっと巨大化出来るなら風ライシア自身が真っ先に使ってるわよね」

 

事実、筋タロウは体から生やした葉っぱに養分を吸い取られたみたいにしわくちゃになり始めていた。

 

筋タロウ「お…おのれ…」

 

 

 

ラウンド「なんにせよ今がチャンスよ」

 

フレイム「一気に決めてやる」

 

ウォーター「これで終わりにしましょう」

 

ウッド「はい、私も行けます」

 

ライト・ウイング「プリキュアの仕事、今こそ終わらせる」

 

ゴールド「みんないくよ!!」

 

私たちプリキュアは、キュアブレスを掲げ、ライト・ウイングもシャイニングパレットに力を込めだした。

 

 

ゴールド・フレイム・ウッド・ラウンド・ウォーター

「「「「「悪しきを砕く、絆の生んだ奇跡よ! プリキュア・エンジェリック・シンドローム!!」」」」」

 

 

ライト・ウイング「汚れた魂を浄化する正しき光を受けなさい!! ライト・ウイング・サンシャインフラッシャー!!」

 

 

私達は必殺技を筋タロウに向けて発射した。

 

 

 

 

 

 

筋タロウ「まだだ…こんなところで…終わるか…」

 

必殺技が直撃しようとするその刹那、息絶え絶えな筋タロウの耳にどこからか声が響いてきた。

 

 

 

(いや、終わりだ筋タロウ。手前ら妖魔獣なんざ、所詮この世界の徒花に過ぎない奴らだったってことさ)

 

 

 

その声に筋タロウは思わず辺りを見回した。

 

筋タロウ「誰だ…!? 貴様は…!?」

 

するとその疑問に対してバカにするように答えが返ってきた。

 

 

 

(おいおい、あたしの声を忘れたのか。地獄で汁ベエにも伝えな、これを因果応報というんだと)

 

 

 

筋タロウ「っ!! この声!! まさか貴様は!!」

 

筋タロウは何かに気づいたがその瞬間、プリキュアとライト・ウイングの必殺技が直撃していた。

 

 

筋タロウ「ぐわーっ!! プリキュアーっ!!」

 

次の瞬間大爆発が起こり、筋タロウの姿はその中に消えていった。

 

 

 

 

ウッド「やった…?」

 

フレイム「うん、やったよ」

 

ラウンド「勝ったのね」

 

ウォーター「ええ、勝ったわ」

 

ゴールド「やったー!!」

 

 

私達は勝利の味を噛み締めていた。

 

 

 

ライト・ウイング「やったよ、ひかる…翼…妖魔獣を倒したよ」

 

ライト・ウイングも感無量といった感じだった。

 

 

ウッド「これで新学期は清々しい気持ちで迎えられそうです」

 

ゴールド「うん、今度こそぜーんぶ終わったよ」

 

ウォーター「しかし、私達人間が地球を汚し続けたらまた新しい妖魔獣が生まれるかもしれないわね」

 

フレイム「そうならないようにするのは、人間一人一人ってことか」

 

ラウンド「よし、私がそれを徹底してあげよう!」

 

ライト・ウイング「あなたに出来るのかしら?」

 

そんな軽口を言い合い、私達は笑い合っていた。

 

 

 

 

M・キュリー「ふん、全く持って愚か極まりないわね。ここまで地球を汚したのは誰? 愚かな人類でしょう。あなたたちが元の地球に戻せる見込みが、あるというの? それはいつ? 何年何月何日? 何時何分何秒?」

 

突然したどこか機械の合成音のような声に私達は驚き振り返ると、そこにはいつの間にか人間の女性的なフォルムをしたロボットがいた。

 

ゴールド「だ、誰? あなたは?」

 

 

 

M・キュリー「あなたたちと話すのはこれが1回目だったわね。私はエージェントのM・キュリー。機械神聖帝国 ティア・ストラン総統 10才のA・テレス様に作られた、最高性能のマシンロイドよ」

 

フレイム「き、機械神聖帝国 ティア・ストラン?」

 

ウッド「ま、まさかまた…」

 

ラウンド「あなた達も、この世界を支配しようというの!?」

 

M・キュリー「支配? 実に原始的な発想ね。さすがは人類というところかしら」

 

そう言って、M・キュリーは私達の疑問に鼻で笑った。

 

 

ウォーター「じゃあ、何をしようというの? そもそもあなた達は何者? 目的はなんなの?」

 

M・キュリー「ティア・ストランとは5000年の昔に栄え、地殻変動で海に沈んだ文明よ。愚かな人類はその時に滅んでしまったけれど、不滅の機械である私達はこうして存在している。私達の崇高な目的は、特定の環境下でしか生きることの出来ない、脆く愚かな生物という物を統率し、この星を永遠に栄えさせること。その愚かな生物の筆頭が人類になるか、妖魔獣になるかを見物させてもらったわ。尤も色々工作はさせてもらったけれど」

 

ライト・ウイング「なんですって!? じゃあまさか筋タロウが汁ベエを裏切ったのは」

 

M・キュリー「あの妖魔獣は、多少は利口だったわ。妖魔獣が人類を滅ぼしたなら、私達がサポートをして妖魔獣が繁栄出来るように保護してあげると言ったらすぐに承知したからね。私達も少しばかり見返りはもらったけれど」

 

そう言って彼女はゾーゾ草の種を取り出した。

 

 

ゴールド「ゾーゾ草!!」

 

M・キュリー「使える物は使う。それが合理的な思考というものよ。アイツら妖魔獣が人類を滅ぼせば私達も手間が省けると思ったけれど、所詮妖魔獣も愚かな生物ということね」

 

このロボットの言葉を聞いて私達は怒りがこみ上げていた。自分に都合良く他人を利用したそのやり方に。

 

 

フレイム「なによエラッそうに!! アンタ達のやろうとしてることは結局この世界の支配じゃない!!」

 

私達の気持ちを代弁するかのようにフレイムがそう叫んだ。

 

M・キュリー「やはり人類とは不合理で愚かな存在ね。私達の庇護の元美しい世界で生きて行けるというのに、それが分からないとは。妖魔獣よりも合理的な思考の出来ない存在。実に訳の分からない生物だわ」

 

M・キュリーはやれやれといった感じで言った。

 

 

ラウンド「分かりたくもないわよそんなこと!! それが分かるのが合理的だと言うなら、不合理で結構!!」

 

ラウンドもまた、激高した。

 

 

M・キュリー「じゃあもう一つの合理的なことを教えてあげるわ。邪魔になりそうな物は、消せるときに消す。 受けなさい、バースト・ミサイル」

 

そう言うと、M・キュリーは両胸からミサイルを発射してきた。

 

 

力を使い果たしていた私達は、避けることもできず、そのミサイルの起こした大爆発にまともに巻き込まれた。

 

 

 

「「「「「キャアアア!!!」」」」

 

 

 

 

M・キュリー「デリート完了。これで後顧の憂いは無いわね」

 

爆煙の後に何も残っていなかったことを確認すると、M・キュリーは笑いながら姿を消した。

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。