第1話 変わった友達
「うーん。今日もいい天気」
私、
夢園市在住の市立夢園中学校の2年生。
ゴールデンウイークも終わってまた今日から学校で友達に会うんだ。
とかいってるうちに、学校が見えてきた。
門の前で、大きく深呼吸をする。 これだけは毎日やらないとね。
明日香「今日も友達作るぞー!」
そうして大声で叫ぶと、後ろからいきなり小突かれた。
明日香「あ痛!」
「全く毎日毎日、学校の前で大声で。はずかしいったらありゃしない。 あんたいくつになったのよ」
後ろから軽く私の頭をたたいて話しかけてきたポニーテールの子が、
幼稚園に入ったときにできた私の最初の友達。
心美「一年生になったら友達百人できるかな♪ なんていうけど、あんたみたいに友達友達っていう子も珍しいよホント」
あきれたように、ため息をつきながら心美ちゃんが言う。
明日香「だって友達ができるっていいじゃない。友達を作って、その子のためにいっぱい色んな事してあげて、喜んでくれたら私もうれしいし」
私の信条は、一日一人友達を作ること。
クラスメイトだけじゃなくて、近所の人とか、隣の犬とか、野良猫とか。
いままで色んな友達を作ってきた。
心美「そんなこと言って、中にはあんたの勝手な思い込みだってあるだろうし。その内、ろくでもないのと友達になって、いいように使われたりするようになっても知らないからね」
明日香「だーいじょうぶ! みーんないい人だよ」
夕方 2-A
今日一日の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く中、私はかなり焦っていた。
今日も一日が終わった。そう終わってしまうのだ。
まずい、今日は誰とも友達になっていない。
心美「じゃあね明日香。あたし部活あるから」
明日香「うん、今度の隣町の学校との柔道部の練習試合がんばってね」
心美ちゃんは女子柔道部なのだ。格闘技が好きで、柔道部に勧誘された時はうれしかったらしい。
が、マネージャーのつもりで勧誘されたらしく、裏切られたといって即退部。
そこで一念発起し、女子の柔道部を創部してしまったという事情があり、2年生なのに部長をやっている。
心美「まっかせなさい。でも明日香。あんたそーんなに友達友達言うならさ、なんか部活入ったらどうよ」
中学校に入学したときから心美ちゃんはずっとそう言う。
明日香「うーん。一つの場所にいると、なかなか友達が増えない気がするの」
これまた中学校に入学したときからの同じ返事を返す。
心美「わかったわかった。じゃあね。 気をつけて帰んなさいよ。あんた最近少し変だよ。昨日遊んでたら、いきなり学校にいくとか言い出すし、あげく何があったか覚えてないなんて言うし」
明日香「うーわかった」
そう言って、心美ちゃんは体育館の方に向かって行った。女子は柔道場がまだ使えないので、体育館でマットを敷いて練習しているのだ。
今度の試合で勝ったら、柔道場を使わせてもらえるらしい。
明日香「はーっ。帰り道で誰か友達になれるかな」
そう言いながら、窓の外を見ると光の玉のようなものがふわーっと窓の外を横切った。
明日香「え、何今の。人魂?」
見間違いかもしれないけど何か気になった。
追いかけようと走り出したところ、クラスのゴミ箱に足を引っかけて倒してしまった。
明日香「あ、あっちゃー」
ゴミを出すとこのクラスでは必ずこの人が怒りだす。
「金城さん!!」
明日香「は、はい!!」
美化委員の
髪の毛が落ちるのも嫌がりベリーショートにしているぐらいだから徹底している。
恵「ゴミや汚れのない場所で初めて、人はまっすぐ生きていけるの。何を慌てているか知れないけど、それでゴミを散らかすなんてもってのほかよ。だいたいあなたはいつも…。」
明日香「はい! すぐに片付けます!」
くどくどとお説教が始まる前に私はテキパキと片付け始めた。
この人とも友達になろうとは努力している。でもなかなか気難しい人で、話しかけてもにらまれることがあり、上履きが汚れているといって逆にお説教されたこともあった。
最近は私も少し距離を置いている状態である。
恵「わかればよろしい」
ゴミを片付けた後、光の玉を見かけた窓の下に来てみたけれど、当然もう見つからなかった。
どうでもいいような気がしたけれど、何となく気になって仕方なかった。
だから玉が飛んでいった方向に行ってみることにした。
ちょうどその方向には学校の図書館がある。
普段あまり近寄らないけど。本は漫画がほとんどだし。
図書館
この学校の図書館は、卒業生の寄贈。レンガ作りで見た目にはちょっとレトロだけど、まさしく図書館という感じがする。
が正直、学校の雰囲気とはミスマッチだと思うのは私だけではないだろう。
明日香「どこにいったのかな」
私は、図書館の入り口前できょろきょろしていた。
探して見つかるとも思えない。そもそも自分でもなぜこんなに気になるのかわからない。
「金城さん?」
いきなり名前を呼ばれて振り向くとそこにいたのはストレートのロングが似合う
成績は優秀。生徒会の中でも一目おかれている。
会長も頼りにしていて、現行の副会長ですらでも次期会長は彼女だ、なんて言ってるぐらいである。
でもクラスも違うし、面識もないはずだ。
明日香「え、なんで私の名前を?」
晶「毎日校門の前で騒いでる人を知らない人はいないわよ」
明日香「あっそうか」
晶「でもあなたがここに来るのは珍しいんじゃない?」
明日香「え、え、なんでそんなことまで?」
晶「わたしは図書館の管理で二日に一回はここにきているの、よく来る人なら、覚えているわ」
明日香「へー。やっぱり晶さんって、色々頼りにされているんですね」
私は心の底から感心した。
晶「ええ、そうね」
どこか暗い感じがしたが、気のせいだろうか。
あっと今はそれどころじゃない。
明日香「すいません。探し物があるんです」
私は頭を軽く下げると、図書館の奥の方へ入って行った。
図書館奥
図書館の奥の方はやっぱり少し薄暗かった。
でもこれなら光るものがあれば目立つだろう。
と思っていたら、案の定本棚の陰で何かが光っていた。
明日香「見つけた」そうして慌てて駆け出して本棚を曲がると
「キャ!!」誰かにぶつかった。
明日香「ごめんなさい」
この三つ編みのメガネっ子は
本が好きで休み時間なんかにもよく読んでいるらしい。
聖歌「な、なんなんですか」
明日香「ごめんね、探し物してて」
聖歌「気をつけてください」
そうぶっきらぼうに言って彼女は本棚に本を戻し、新しい本を持ってさっさと行ってしまった。
彼女の腕には腕時計があり、それに気づいた私は一人納得した。
明日香「光っていたのはあの子の時計の文字盤か」
やっぱりあの光の玉はどっか行っちゃったのかな。
そう思っていると、小さな声がしていた。
図書館は基本的に静かなものだが、その奥の方ということで、なんとか聞こえた。そんなレベルの音だった。
???「みつけたグル。これでフェアリーゾーンを復活させられるグル」
なんか変な話し方だな。そう思って声のする方へ行ってみた。
そこにいたのは、二本足で歩く猫ぐらいの大きさのリスだった。
リスといっても、大きなしっぽがそれっぽかっただけで、色は薄い水色という感じだった。そして体ぐらいの大きさのピラミッド型の宝石を持っていた。
???「ここにあるとは聞いていたけど探すのが大変だったグル」
しかも何より、人の言葉を話している。
明日香「お、おばけ!!」
そのため思わず叫んでしまった。
???「グル?」
そのリスみたいな生き物は私の方をみると一目散に宝石を抱えて逃げて窓から出ていった。
明日香「ちょっと待って!」
はしたないと思いながら、私も窓から出て行った。
図書館裏の林
図書館の裏はちょっとした林になっている。さっきのリスがそこにまぎれたら見つからないだろうなと思っていたが。
???「お、重いグル」
途中でダウンしていた。
明日香「体ぐらいのものなら、そりゃ重いか」
よくよくみるとぬいぐるみみたいにふわふわしていてかわいかった。
明日香「あなた、お化けじゃないの? リス? 猫?」
そのリス?に話しかけてみた。
???「お化けでも、リスでも猫でもないグル。グルはフェアリーゾーンの王子のグルトだグル」
明日香「フェアリーゾーン? グルト?」
ますます訳が分からなくなってきた。
グルト「このヒューマンゾーン、つまり君たち人間の世界とは違うグルトたち妖精の住む世界グル」
未だにはっきりとはわからなかったが、何となくは理解できた。
明日香「まだよくわかんないけど、そのピラミッド。この図書館の置物だよ。返してよ」
グルト「違うグル!これはフェアリーゾーンの宝、エンジェルクリスタルグル」
明日香「エンジェルクリスタル? あんまり次々新しい単語出さないでよ。自慢じゃないけど頭あんまりよくないんだから」
グルト「エンジェルクリスタルはどんな願いもかなえられる、フェアリーゾーンの最大の宝グル」
よけい訳が分からなくなってきた。
明日香「嘘ばっかり。最大の宝って、違う世界の宝物が、なんでよりによってうちの図書館なんかにあるのよ」
グルト「それは昔…」
何かを言いかけたその時。
グルト「あっ、いたグル!」
私の後ろに何かを見つけてグルトが叫んだ。
明日香「えっなになに?」
振り向くとそこには小さなモンシロチョウが飛んでいた。
明日香「ただのチョウチョじゃない」
グルト「似てるけど違うグル。これはトリム。希望の力の欠片グル。 おーいこっちに来るグル」
グルドがそう言うと、チョウチョがピラミッドの方へ飛んできた。
言われてみると確かにチョウチョじゃなかった。
羽が妙に三角三角しているのだった。
明日香「で、これがなんなの」
私は思わず聞いていた。
グルト「このトリムをエンジェルクリスタルに捕まえていくんだグル」
そう言うと、チョウチョがピラミッドの中に吸い込まれていった。
明日香「わっ!消えちゃった」
グルド「こうやって、トリムをいっぱい集めると願いが叶うんだグル」
明日香「ふーん」
何となく拍子抜けした。もっと派手なことが起きそうだったのに。
???「見つけましたよ。それがエンジェルクリスタルですか」
突然声がした。驚いて振り返ると、そこにはどこか身なりのいい紳士がいた。がそれは格好だけで、派手な赤いスーツに身を包み、どこかうさんくさかった。
グルト「お、お前は!」
明日香「え、誰? お友達?」
???「えー、そのような物です。自己紹介が遅れましたね、ヒューマンゾーンのお嬢様。私は次元撃滅軍団ブラックムーンの一人、十六夜のレッドビーと言います。そのエンジェルクリスタルをわたくし共も探していたのですよ」
グルト「そうやって、フェアリーゾーンに攻めて来て、グルドたちの世界をめちゃくちゃにしたくせにグル!」
明日香「え、めちゃくちゃ?」
レッドビー「おやおやいけませんか? 弱肉強食は世の常。自分たちで身を守ることもできない精霊など何も持つ権利はないのですよ。わたくし共の願い、永遠の破壊と略奪を行うために、エンジェルクリスタルを渡してくださいませんか」
グルト「渡せないグル! フェアリーゾーンを元に戻すのに、これが必要なんだグル!」
新しい単語ばかりで、混乱したけど、これを聞いて一つだけ確信した。
この人は悪い人だと。
明日香「弱いから何も持つ権利がないなんて違うよ! 弱いところを支え合うために友達がいるんだから!」
私は必死にそう叫んだ。
レッドビー「くだらないことを。では力づくでいただきましょう」
そう言うと、目の前の紳士は怪物になった。赤い色をした蜂人間といった姿だった。
明日香「あ…、あ…」
怖かった。いきなり人が怪物になったのだ。
これは夢だとどこかで思い始めていた。
無意識にあとずさりしていた。
レッドビー「怖いですか。では怖くなくなるように、今すぐ殺してあげますよ」
怪物が、人の時と同じ声、同じ丁寧な口調で語りかけてきた。
そのためになおさら、怖くなった。
グルト「危ないグル! 逃げるグル!」グルトが叫んでいたが、逃げようにも足が動かなかった。
ここで死ぬんだ。なぜかそれだけがはっきりわかった。
その時、目の前にふわーっと光の玉が飛んできた。
明日香「これさっきの」
グルト「それはまさか…」
私の左手首に光の玉がつくと、光の玉はオレンジのブレスレットみたいになった。
グルト「そんなことが…。とにかくそれで変身するグル!」
明日香「変身するって、どうやって…」何がなんだかわからない。
そう言おうとしたが、なぜかわかっていた。
左手をブレスレットごと体の前にかざし私は叫んでいた。
明日香「プリキュアパワー、サモンアップ!!」
するとブレスレットから声がした。
『サモン・ゴールドパワー』
次の瞬間、ブレスレットからオレンジの光が溢れてきた。
明日香「わっ!」あまりのまぶしさに目をつぶってしまった。
目を開けてみて驚いた。
明日香「何?このオレンジのゴスロリ服!? それにセミロングだった髪が背中までのびて、しかもオレンジ色に!?」
レッドビー「何ですかあなたは?」
明日香「わ、た、しは…」
金城 明日香。
慣れ親しんだ自分の名前。
でも今はそうじゃないとわかっていた。
無意識にポーズを決めると名乗っていた。
「金に輝く明日への希望 キュア・ゴールド!!」
ゴールド「って、私何言ってんの!?」
グルト「信じられないグル。伝説の戦士が、プリキュアがまた目の前にいるグル」
レッドビー「キュア・ゴールド? 何者か知りませんが、邪魔をするなら容赦はしませんよ」
そう言ってレッドビーが飛びかかってきた。
ゴールド「うわーっ」
思わず手を前に出すと、それがカウンター気味になってレッドビーにぶつかった。
レッドビー「ぐわっ」
手のぶつかったところを押さえてレッドビーがうずくまっていた。
レッドビー「けっこうやりますね」
ゴールド「え、これって」
まさかとは思っていた。
でも体育はできても並より少し上ぐらいだったはず。
レッドビー「ちょっと本気でやりましょう。 万一のためにつれてきてよかったですよ。 いでよ、立待月のカマシロス」
そう言うと、今度は目の前にジッパーのような裂け目を作った。
その中から、カマキリの姿をした白い怪物が出てきた。
カマシロス「お呼びですか。レッドビー様」
レッドビー「あの、お嬢様を痛めつけて差し上げなさい」
カマシロス「はっ」
怪物が増えて、もっと恐ろしいはずだった。
でも私の中になぜか怖いという思いは薄らいでいた。
カマシロス「死になさい」
そう言ってカマキリがふるって来た手のカマを私は受け止めていた。
ゴールド「やっぱり、いける! いけるぞー!」
カマシロス・レッドビー「「まさか!?」」
ゴールド「やーっ!!」
カマシロスのおなかを蹴ると、レッドビーの方へ飛んでいき、二体の怪物は転がっていった。
カマシロス・レッドビー「「ぐわーっ」」
グルト「今だグル!」
グルトが叫んでいたが、私にもわかっていた。
私は大きくジャンプした。軽く10メートルは飛び上がったが、なぜかもう驚かない。
ゴールド「プリキュア・ゴールド・ブレイカー!!」
私はそう叫ぶと、オレンジの光のオーラをまとって、怪物に突撃していた。
カマシロス・レッドビー「「ギャーッ!!」」
二体の怪物は大きく吹き飛ばされ、
カマシロス「くっそ…」
カマシロスはそうつぶやくと、灰になって消えていった。
レッドビー「おのれ、覚えておきなさい」
レッドビーもふらふらになりながら立ち上がると、目の前にジッパーのような裂け目を作り消えていった。
ゴールド「勝った…?」
グルト「やったグル! プリキュアの勝ちだグル」
明日香「ふわーっ」
私は大きなため息をつくとその場にへたり込んでいた。
と同時に元の姿にもどっていた。
グルト「まさか、またここでプリキュアに会えるなんて思わなかったグル」
明日香「もー何がなんだか」
グルト「でも助かったグル。ありがとうグル」
お礼を言うグルトを見て私はさっきの話を思い出した。
明日香「ねえ、グルトの国ってめちゃくちゃになっちゃったの?」
グルトは暗い顔をして言った。
グルト「そうだグル。だからこのエンジェルクリスタルが必要なんだグル」
明日香「そうなんだ、よーしじゃあ私も手伝ってあげるよ」
グルト「ホントグル!?」
明日香「もっちろん!! あ、自己紹介がまだだったね。私、金城 明日香。これから友達だよ。よろしくねグルト」
グルト「こっちこそよろしくグル明日香」
明日香「じゃあ、二人でグルトの国を元に戻そうね」
私はにっこり笑ってそう言った。
グルト「二人じゃないグル」
明日香「えっ?」
ほかに誰かいるのだろうか。
グルト「明日香がプリキュアになれたなら、あと四人なれるはずグル」
明日香「プリキュアってそんなにいるのー!?」
私は叫んでいた。
周り全部が、濃い紫色。上も下もなく星も見えないような奇妙な空間。
ここが異次元空間である。
そこに、大きな虫の形をしたような戦艦が浮かんでいた。
これこそが、次元撃滅軍団ブラックムーンアジトである次元戦艦ツキノワである。
レッドビー「次元撃滅軍団ブラックムーン首領、満月のモスブラック様。申し訳ございません。プリキュアと名乗る者のため、エンジェルクリスタルの場所を突き止めながら、手に入れることかなわず、大切な部下まで失ってしまいました」
その貫禄ある中年男性の様なフォルムの黒い蛾の怪物といった姿のモスブラックは低い声で語った。
モスブラック「構わん、カマシロスが弱かっただけのこと。次の機会に奪えばよい」
レッドビー「はっ、ありがたきお言葉」
???「おいレッドビー、プリキュアとか言ったか?」
レッドビーの後ろから聞こえてくる柄の悪そうな女性の声。
レッドビーが振り向くとそこにいたのは、女性のフォルムをしたシアン色の蝶の怪物だった。
レッドビー「ああそうだ、それがどうした。新月のフライシア」
フライシア「まさか、伝説の戦士プリキュアか。ふぅん、まぁ十分気をつけな」
そう言うと、奥へとフライシアは消えていった。
レッドビー「ち、忌々しいやつだ。フェアリーゾーンを滅ぼす一番手柄を立てたからって最近態度がでかくなりやがった」
続く
作品説明にも書きましたが、この作品はあるスーパー戦隊シリーズのオマージュのつもりです。
序盤展開が、Yes!プリキュア5に似ているのは、まぁご愛嬌ということで。