エンジェルプリキュア   作:k-suke

21 / 30
第20話 ティア・ストランの末路

 

私達とA・テレスの戦いは続いていた。

 

 

ウォーター「はああ!!」

 

ウッド「ええい!」

ウォーターとウッドがA・テレスに飛び込みパンチを一緒に食らわせた。

 

A・テレス「ぐっ!」

 

ラウンド「やぁぁ!!」

 

ひるんだ所に続いてラウンドの飛び蹴りが直撃した。

 

フレイム「もらったぁ!」

 

体勢の崩れたところにフレイムがうまく懐に入り込み、一本背負いで大きく投げ飛ばした。

 

 

 

地面を転がっていき、起き上がったところにライト・ウイングが背中の羽根を広げて羽ばたかせ、光の羽を舞い散らせた。

 

ライト・ウイング「受けなさい、ジャスティス・フェザー」

 

その羽はA・テレスに接触すると連続で爆発を起こし、更なるダメージを与えた。

 

 

A・テレス「調子に乗るな!! 最大ミサイル発射!!」

 

その叫びとともにお返しとばかりにA・テレスは巨大なミサイルを乱射してきたが

 

 

ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!!」

 

ラウンドがそれを防いでくれた。

 

A・テレス「なぜだ? 貴様らの戦闘データは解析済みのはず。これほどの力はなかったはずだ」

 

A・テレスが珍しく慌てていたが、その疑問は私達も同じだった。

 

 

ラウンド「どうしたのかしら? 前は防ぎきれなかったのに」

 

ウッド「それに私達のパワーも大きく上がってるみたいです」

 

ライト・ウイング「それだけじゃない。技の威力も増してる」

 

ゴールド「きっと、みんなの気持ちがプリキュアの力を上げているんだよ」

 

私は以前グルトに聞いた事、プリキュアの力は夢や希望といった思いの力で強くなるということを思い出していた。

 

フレイム「なんにせよ、この場合はありがたいわね。A・テレス! アンタは絶対に倒す!! 友達と約束したんだから!!」

 

私はフレイムがH・ケラーのことを思い出しているんだと感じた。

 

 

A・テレス「ええい、そんなものの力で私のデータを上回るだと!? 不合理にもほどがあるわ!! 来い、サイボーグのF・シア」

 

 

 

 

 

A・テレスがF・シアを呼ぶと、さっき私達の変身機能を封印するのに力を使い切ったためか、ヨタヨタとしたおぼつかない足取りでF・シアがやってきた。

 

 

A・テレス「突撃しろ!! お前の裁断ショックでプリキュアどもを亡き者にしろ!!」

 

 

 

 

F・シア「いえす…」

 

もう飛ぶ力も残っていないのか、歩くのがやっとと言う感じでF・シアが私達に向かってきた。

 

 

M・キュリー「待ちなさい!!」

 

突然M・キュリーがF・シアの前に現れた。

 

二人はしばらく見つめ合っていたかと思うとM・キュリーがF・シアを思い切り突き飛ばした。

 

 

ゴールド「えっ?」

 

もう力が残っていなかったのかF・シアは糸の切れた操り人形の様に転がっていった。

 

 

 

そして、M・キュリーはA・テレスに言った。

 

M・キュリー「閣下。その任務、どうかわたしめに」

 

 

A・テレス「M・キュリー!? このポンコツめがっ! ええい、貴様でもかまわん! 行け!!」

 

M・キュリー「はっ。うおおーっ!!」

 

すると、雄たけびを上げながら、M・キュリーが突っ込んできた。

 

だが、いつもと違って明らかに異常だった。

 

 

ライト・ウイング「何こいつ!? 戦う気ないの?」

 

そう、まるで攻撃を仕掛けてこず、ひたすら組み付こうとしてくるのだ。

 

そんな中、一瞬の隙をつかれ私はM・キュリーに羽交い締めにされた。

 

ラウンド「まさかアイツ!? 自爆する気じゃ?」

 

ラウンドがそれに気付いたのと同時に、A・テレスの目が赤く輝いた。

 

A・テレス「裁断ショック、発動!!」

 

 

するとM・キュリーが電撃に苦しみだした。

そのおかげで私を羽交い締めにしていた腕の力が緩み、私は間一髪逃げる事が出来た。

 

ウォーター「伏せて!!」

 

ウォーターの叫びに私達は一斉に地面に伏せた。

 

 

そうしている間に、M・キュリーは苦しみながら天を仰いで叫んだ。

 

M・キュリー「未来に栄光あれ!!」

 

それを叫び終わると同時に、凄まじい炎と轟音が辺りを包んだ。

 

そんな中、M・キュリーの首や手足がバラバラに飛び散っていくのが地面に伏せた私の視界の端に映った。

 

 

 

ラウンド「なんて奴よ。特攻するなんて」

 

フレイム「ゴールド大丈夫?」

 

ゴールド「う、うん。みんなは?」

 

ウッド「平気です」

 

ウォーター「大丈夫よ」

 

ライト・ウイング「あなたに心配されるほどじゃないわ」

 

みんな無傷とは行かなかったみたいだが、無事な事は確かなようで、私はほっとした。

 

 

でもそんな私達を見て、A・テレスは吐き捨てるように言った。

 

A・テレス「何、プリキュアを一人すら倒す事が出来なかっただと!? やはり、M・キュリーは救いようのない失敗作だったな」

 

 

その言葉に私は怒りが収まらなかった。

 

ゴールド「いい加減にしなさいA・テレス! あなたはさっきから仲間を捨て駒に使ってばかりじゃない!!」

 

しかし、A・テレスはどこ吹く風といった様子だった。

 

A・テレス「だから、何だというのだ? あらゆるマシンロイドは私のために働くように私が作ったもの。ならばどう扱おうとも私の自由ではないか」

 

それを聞いてみんなも怒りが頂点に達したようだった。

 

ラウンド「何て、非道な奴なの!!」

 

ウッド「許せません! そんな考え方!!」

 

 

 

しかし、A・テレスは高笑いとともに言った。

 

A・テレス「非道だと? 下らん事を言うなプリキュアども! やはり貴様らも下等な生物、人類でしかないという事だ」

 

フレイム「アンタ、口を開けば人類が下等だ下等だと、他に言葉知らないの!?」

 

ウォーター「あなたは一体何を持って人類を下等だとそこまで言い切れるの!?」

 

私達はA・テレスの言い草には我慢がならなかった。

 

 

A・テレス「決まっている。絆、心、情愛、そんな形のない不合理なものに価値を見出そうとするから、人類はいつまでも下等なのだ。そしてそんなくだらない奴らだからこそ、強い恐怖心を植え付けるだけで簡単に統率することができる」

 

ラウンド「黙りなさい、人間の事なんかなんにも知らない機械のくせに!!」

 

ウッド「人間は、そんな物ではありません! 絆や愛情といったものの大切さは私達がよく知っています」

 

A・テレスはさらに馬鹿にしたように続けた。

 

A・テレス「お前達こそ人間のことを何も知らない。人間のことはおまえたちのような小娘より私の方が遥かによく分かっている」

 

 

ライト・ウイング「どういう事よ!?」

 

 

 

A・テレス「太古の昔、ティア・ストランに一人の科学者がいた。その孤高の科学者は天賦の才を発揮し、さらに努力を重ねた末、ついに至高の頭脳に加え、永遠に滅びぬ体まで手に入れた」

 

A・テレスはどこか遠い目をしているようだった。

 

A・テレス「しかし、その頃の人類どもは、彼を認めなかった。むしろその突出した彼の才能に恐怖し、迫害した。その時だ。地殻変動が起こった。人々は恐怖におびえ、不滅の体と最高の頭脳を手に入れた彼に救いを求めた。手のひらを返したように自分達が迫害した科学者に救いを求める恥知らずな姿に、その科学者は真理を知った。下等な人類の最大の弱点は、身を脅かす恐怖だと。その前にはすべてが意味をなさないと」

 

その話を聞いて私達は言葉を失った。

 

 

A・テレスは、続けざまに言い放った。

 

A・テレス「あれから五千年、人類はまるで変わらない。中途半端な知恵と脆い肉体を持っただけの、くだらん生き物だ」

 

 

 

私はその言葉に必死に反論した。

 

ゴールド「確かに、怖い事だっていっぱいあるよ。それが原因で自分の事でいっぱいになる事だってある。でも、その恐怖を乗り越えるためにあるのが友達なんだよ!」

 

A・テレス「ほざけ! よりにもよって貴様らプリキュアがそんなことを言うとは、ただの笑い話でしかない!」

 

そう言い捨てるとA・テレスはミサイルを発射してきた。

 

 

 

多くのミサイルが私達の周りに着弾して爆発を起こしたが、私達は身じろぎ一つしなかった。

 

ゴールド「あなたの恐怖になんかに誰も負けたりなんかしない!!」

 

フレイム「こんな程度で、偉そうに恐怖の権化なんて名乗るんじゃないわよ!! プリキュア・フレア・ボンバー!!」

 

いつもより一回り大きな火の玉がA・テレス目掛けて飛んでいった。

 

 

A・テレス「なめるな、細裂ハリケーン」

 

口の部分のスリットから強烈な風が発生し、以前のように火の玉を吹き飛ばそうとした。

 

が、以前は吹き飛んだはずの火の玉が、全く勢いを弱めず、A・テレスに直撃した。

 

A・テレス「くっ、何だと?」

 

 

ウォーター「私も! プリキュア・ウォーター・バレット!!」

 

大量の水の弾丸がA・テレスに向けて発射された。

 

A・テレス「甘いわ、最強アーマー」

 

するとA・テレスの鎧が展開し大きな盾となった。

 

しかし、弾丸を跳ね返しきれず、盾にひびが入り、A・テレスも着弾のダメージを受けていた。

 

A・テレス「ぐうぅ」

 

 

ウッド「今です。プリキュア・アイビィ・チェーン!!」

 

ウッドの放った蔦の鎖がA・テレスを拘束した。

 

A・テレス「くっ、採伐セイバー」

 

肘の部分の突起が長くのび、剣となったが鎖はまるで切れる気配がなかった。

 

 

A・テレス「馬鹿な! なぜだ? なぜ奴らの力が私のデータを上回る!?」

 

A・テレスは自分の武装が通用しない事に焦り始めていた。

 

ウッド「はぁぁー!!」

 

ウッドは気合いを入れてA・テレスを拘束した鎖を力任せに振り回し始め、そのままの勢いで、A・テレスを大きく投げ飛ばした。

 

そしてその先にはライト・ウイングが待ち構えていた。

 

ライト・ウイング「食らいなさい!! シャイニング・ナックル!!」

 

ライト・ウイングの光るパンチが直撃し、A・テレスはピンボールのように撥ね飛ばされた。

 

A・テレス「ぬああ。この私が、貴様らごときに…」

 

 

 

ゴールド「プリキュア・ゴールド・ブレイカー!!」

 

それを見計らって、私はオレンジのオーラを纏って突撃した。

 

A・テレス「ぐおおー!!」

 

私の必殺技が直撃したA・テレスは大きく吹き飛ばされ、全身の甲冑はひびだらけになっていた。

 

 

 

 

フレイム「見たか、A・テレス!」

 

ウッド「これがわたしたちの、絆の力です」

 

ラウンド「アンタなんか、恐怖でも何でもないわ!」

 

ウォーター「いい加減に、観念しなさい!」

 

ライト・ウイング「たった一人で、戦える訳がないわ。私もこいつらといてそれを思い知った」

 

ゴールド「A・テレス、あなたは自分以外の誰も信じていない。でも、もう一度何かを、誰かを信じられたらやり直せるかもしれない。さっきの話の科学者は、あなたのことなんでしょう? もうやめようよ、こんな事」

 

 

A・テレスはなにかを考えているかのように沈黙していた。

 

もしかしたら分かってくれたのかもしれない。私はそう思い始めていた。

 

しかしA・テレス静かに笑い始め、それは高らかな笑いに変わっていったことで私の思いは裏切られた。

 

A・テレス「ハッハッハ。面白い、面白いぞ、プリキュアよ。おかげでわたしは、己の信念を再確認できた」

 

ライト・ウイング「なんですって!?」

 

A・テレス「愚か極まりない人類を、信じられるわけがない。人類はこの五千年、進歩するどころか、退化する一方だ。もはや救いようがない、愚かで下劣な存在だ」

 

その言い様に私は愕然とした。

 

ゴールド「そんな…。あなたも人間だったなら、何で分かってくれないの?」

 

ウォーター「駄目だわ。もうこいつに人間を思う優しさみたいな気持ちは残っていない」

 

A・テレス「その通り。そのような感情など、この世に不必要なものの筆頭だ。そしておまえたちには、真の恐怖というものを教えてやろう。これが、わたしからの手向けだ」

 

すると、A・テレスは全身がどこか禍々しさを感じさせる赤色に輝き始めた。

 

 

A・テレス「これが我が10サイの一つにして究極の禁じ手、『砕身クラッシャー』だ。わたしの体そのものを巨大な爆弾と化し、貴様らを恐怖の闇の中へ葬り去ってくれる。この爆発力があれば、日本列島など一瞬にして世界地図から消し飛ぶ。むろん、おまえらもなあ!!」

 

 

それを聞いて私達は確かに背筋が凍った。

 

フレイム「じょ、冗談じゃないっての!!」

 

ウッド「何とか止めないといけません!!」

 

ラウンド「ここが、正念場!!」

 

 

A・テレス「プリキュアよ、冥土の土産にこの世の真理を知るがいい」

 

私達は必死にA・テレスに近づこうとするも、あまりのエネルギーに近寄れなかった。

 

フレイム「くっ、なんてエネルギーよ。まるで近寄れない」

 

ウッド「でも、なんとかしないといけません」

 

 

そうしている間にもA・テレスの体は燃え上がるかのように赤く染まっていった。

 

ライト・ウイング「ええい、一か八か」

 

そう言うとライト・ウイングはシャイニングパレットを取り出し、ありったけの力を込めだした。

 

ライト・ウイング「汚れた魂を浄化する正しき光を受けなさい!! ライト・ウイング・サンシャインフラッシャー!!」

 

パレットを一振りすると、いつもの倍ぐらい大きな光のヒマワリがライト・ウイングの前に現れ、光の奔流といった感じのものが照射された。

 

 

A・テレス「ぬぅぅぅー!!」

 

ライト・ウイングの必殺技が、放出されるエネルギーを押しのけてA・テレスを貫いたことで、A・テレスの体が赤く輝くのを止めた。

 

A・テレス「おのれ、砕身クラッシャーが機能を停止しただと…」

 

未来「はあはあ、や、やった…」

 

ライト・ウイングは力を使い果たしたのか変身が解除され、肩で息をし、膝をついていた。

 

しかし、A・テレスはなおも私達に向かってきた。

 

A・テレス「認めん! 認めんぞ! 貴様らごときにこの私がやられるなどあってはならんことなのだ!!」

 

その様はどこか見苦しく、子供がだだをこねているようにも私には見えた。

 

 

ゴールド「もうこうなったら… 仕方がない!! みんな行くよ」

 

私達は頷き合い、キュアブレスを金色に輝かせると一斉にジャンプして、大きな光の玉になった。

 

 

ゴールド・フレイム・ウッド・ラウンド・ウォーター

「「「「「絆の紡ぐ奇跡の光! プリキュア・エンジェリック・ダイナマイト!!」」」」」

 

光の玉となった私達は、そのままA・テレスへ突撃した。

 

必死にガードしようとしていたA・テレスだったが、ひびだらけの装甲では私達の攻撃に耐えられず、ついには押し負けてしまった。

 

A・テレス「ぐ、ぐおおーっ!!!」

 

必殺技の直撃を受けた10サイのA・テレスは大爆発してバラバラになり、あちこちに機械の部品が飛び散った。

 

 

 

 

 

もっとも、私達も今の一撃で力を使い果たしてしまい、着地したときには、変身が解除されていた。

 

 

 

 

晶「終わったわね…」

 

恵「ええ、終わったわ…」

 

聖歌「勝ったんですよね…私達」

 

心美「うん、勝ったよ」

 

「「「「「「やったー!!」」」」」

 

 

皆で喜びの声を上げていると、グルトが心配そうに駆け寄ってきた。

 

グルト「みんな、大丈夫グル〜?」

 

 

未来「あっお兄ちゃん」

 

明日香「グルト。うん、みんなくたくただけど大丈夫だよ」

 

その言葉通り私達はもう限界に近かった。

 

 

グルト「大丈夫。これからゆっくり休めばいいグル」

 

グルトの言葉に私達は笑顔で頷いた。

 

 

明日香「そうだね、私達ティア・ストランに勝ったんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハッハッハッハ」

 

その時どこからか笑い声がした。

 

心美「!! この声!!」

 

恵「まさか!!」

 

A・テレス「これで勝利した気でいるとは、とことんおめでたい奴らだな」

 

何と飛び散った部品の中からA・テレスの首だけが動いていた。

 

聖歌「く、首だけでしゃべってる!?」

 

A・テレス「当たり前だ。わたしの科学力を、なめてはいけない。貴様らごときの死とわたしの死を、同列に思うな」

 

A・テレスは余裕たっぷりといったように続けた。

 

 

A・テレス「我が10サイの最後の一つ、それは、『再生セル』だ」

 

晶「再生? まさか!!」

 

A・テレス「察しの通りだ。わたしは頭部さえあれば、再生セルの能力で何度でも、たやすく復活することができる。 F・シアこっちに来るのだ」

 

A・テレスの首に呼ばれたF・シアが何か装置のような物を手に歩いてきた。

 

A・テレス「F・シアよ、直ちに再生セルを発動させろ。恐怖の権化が再び降臨し、プリキュアを今度こそ地獄に送るのだ」

 

 

F・シア「イエッサー」

 

力を使い果たしているこの状態で、A・テレスに復活されれば勝ち目は無い。

 

おそらく真っ青になっていたであろう私達を見て、A・テレスは笑い始めた。

 

A・テレス「恐怖しろ。恐れ戦くがいい。ハッハッハッハッハ」

 

 

 

 

A・テレス・F・シア「「アーッハッハッハッハッ」」

 

 

 

 

 

A・テレス「ん?」

 

二重に聞こえた笑い声にA・テレスは戸惑い、首だけで振り返った。

 

F・シア「アーッハッハッハッハッ。な〜んてな、そんなこと言うわきゃねえだろ」

 

そう言うとF・シアは、笑いながら手に持っていた再生セルの装置を粉々に握りつぶした。

 

 

未来「え?」

 

A・テレス「な、なんだF・シア。どういうつもりだ。狂ったのか!?」

 

F・シア「い〜や。あたしゃ正気だぜ、A・テレス。ず〜っと前からな」

 

F・シアはそう言うとニヤ〜と笑った。

 

 

明日香「F・シアの口調が戻ってる!」

 

A・テレス「貴様、まさか記憶を!?」

 

F・シア「そのまさかさ」

 

 

 

 

回想

 

 

M・キュリー「わたしとおまえとは、違うわ。あれは、憐みだった。おまえは、わたしと違う。記憶を抜かれた、哀れな木偶の坊にすぎないのだから」

 

M・キュリーは何かを振り切るようにそう言い放った。

 

そのまま立ち去ろうとするM・キュリーの肩をF・シアはつかんだ。

 

 

M・キュリー「なんのつもり?」

 

F・シア「じゃあ記憶を抜かれた木偶の坊でなけりゃ、少しは話を聞いてくれるか」

 

F・シアの口調が変わった事に、M・キュリーは驚いた。

 

 

M・キュリー「な、なぜ?! あなたの記憶は確かに…」

 

F・シア「ここに漂着したのが偶然だと思ってたのか? それにあらかじめ自己暗示で記憶にある程度ロックをかけといたんだよ。 記憶喪失を装うつもりでな」

 

M・キュリー「なんですって!! 道理で取り出した記憶が不鮮明だったはず。 一体いつから思い出していたの?」

 

 

F・シア「この姿になってから最初に出撃したときだ。その後の演技が大変だったぜ」

 

M・キュリー「そんなに前から…。待って、じゃああなたはまさか始めから?」

 

F・シア「まあな。で、お前はどうする?」

 

 

回想終わり

 

 

 

 

 

F・シア「かくして、裏切る事にしたM・キュリーはテメエの奪ったあたしの記憶を全部元に戻してくれたって訳だ。まあもっとも、奪われたあたしの記憶なんてしれたものだったんだがな」

 

F・シア は、A・テレスの首を見下ろしながら皮肉気に続けた。

 

 

F・シア「自分の部下は、もう少し大切に扱ってやるべきだったなぁ。総統閣下」

 

A・テレス「M・キュリーめ、あのポンコツがっ!」

 

それを聞いて、F・シアは呆れ返ったように言った。

 

 

F・シア「どっちがポンコツ野郎だ。全く人の振り見て我が振り直せって言葉を知らねえのか」

 

それについては私も同意見だった。

 

 

F・シア「とは言えだ。ちょっとこっちにも予想外の問題があった。それがこの、裁断ショックだ」

 

F・シアは、胸の部分に取り付けられた裁断ショックを親指で指差して続けた。

 

 

F・シア「こいつは、テメエが自在に発動できる。ってことはテメエに正面切ってケンカ売れないって訳だ。だからこうなるまで、ペコペコしててやったんだよ」

 

A・テレス「まさか…プリキュアどもが変身できたのも…」

 

A・テレスは何かに気付いたように言った。

 

 

F・シア「察しの通り。あたしはアイツらの変身機能を、ほんの三十秒ほど停止させただけ。ついでに言っとくと、次に変身したときには大きくパワーアップするように細工しといた。そう、テメエぐらいなら倒せる程度にな。どうだ、実に合理的な説明がついて嬉しいだろう。ほら、もっと喜べよ」

 

F・シアの言葉に私達は驚いた。すべて彼女の手のうちだったということに。

 

 

A・テレス「F・シア、謀ったな!」

 

そう声を上げるA・テレスの首をF・シアは踏みつけた。

 

 

 

F・シア「けっ、な〜にが恐怖の権化だ。あたしの記憶をのぞいて、ビビり入ってたくせによ。A・テレス、お前は所詮ただの人間だよ。いやただのじゃねえな。五千年かけて何一つ成長していない自己中の勘違い野郎、ヘタレきった最低の人間だぁ」

 

そう言って、F・シアはA・テレスを踏みにじりながら嘲笑った。

 

A・テレス「お、おのれ…」

 

A・テレスは屈辱に満ち満ちた声を出した。

 

F・シアはそんなA・テレスの首を持ち上げて言い放った。

 

 

 

F・シア「A・テレス! ティア・ストランなんざ、テメエみてえなヘタレ野郎の、厨二病の産物でしかねえんだよ!」

 

A・テレス「F・シア、やはりおまえの正体は…」

 

F・シア「ん? 分かってんなら、話は早い。じゃあばよ」

 

 

 

 

そう言うと、F・シアはA・テレスの首を空高く放り投げた。

 

A・テレス「うわーっ!! 止めろー!!」

 

放り投げられたA・テレスの首は悲鳴を上げた。

 

しかし、F・シアはうるさい奴だと言わんばかりに、指先から電撃を発射した。

 

 

A・テレス「ぎゃあー!!」

 

電撃の直撃を浴びたA・テレスの首は恐怖の声とともに爆散した。

 

そしてそれと同時に、F・シアに取り付けられていた裁断ショックが剥がれ落ちた。

 

 

 

 

 

明日香「グルト、下がって」

 

グルト「グル」

 

私達はグルトを庇って立つと、F・シアが私達の方を睨んできた。

 

私達は身構えたが、F・シアはバラバラになったM・キュリーの首に目をやると、歩み寄って拾い上げた。

 

続いて、いくつかのM・キュリーのパーツを拾い上げると私達を見やった。

 

 

F・シア「じゃあな、エンジェルプリキュア。もう会うことが無いように、その妖精さんにしっかりお願いしときな」

 

そう言い残して、F・シアは姿を消した。

 

 

 

明日香「フライシア…」

 

 

 

続く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。