エンジェルプリキュア   作:k-suke

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第25話 終焉(おわり)の始まり

 

夢園中学 屋上

 

 

あの日以降、私達はまだどことなくぎこちないところはあるが、とりあえず普通に会話はするようになった。

 

 

私達は久しぶりに全員で食事をしながら、未来の話を聞いていた。

 

 

あの時の言葉通り、週明けには未来は登校してきていた。

 

何を落ち込んでいたんだと言わんばかりに、明るい態度には私達も拍子抜けしていた。

 

 

心美「どうみても、空元気って訳じゃなさそうなのよね」

 

心美ちゃんの言う通り、未来は無理して笑っているといった感じが全然しないのだ。

 

 

未来「あったり前じゃない。ひかるがひかるのまんまって分かれば、悩む理由なんて無いもんね♪」

 

と、実に軽い態度で未来は笑っていた。

 

 

恵「そこんとこがよくわからないんだけど、あの人すごく自己中心的みたいだけど、ホントにプリキュアだったの?」

 

晶「そうね、私の場合は自分の事しか考えてなかったから、変身すら出来なかったわ。なのに何で…」

 

 

 

すると未来はこともなげに言った。

 

未来「決まってるじゃない。ちゃんと人の事考えてるからよ。ホントに自分の事しか考えないような人が、プリキュアやれる訳無いじゃない」

 

 

その言葉に心美ちゃんは当然のように反論した。

 

心美「どこが人の事考えてるのよ!! あれのどこが!?」

 

聖歌「でも待ってください。自分の事しか考えてないなら、私達を助けたりもしないんじゃないでしょうか?」

 

明日香「言われてみれば、さやかちゃんのところにも金ぴかのプリキュアがお見舞いにきたって言ってたけど、あれもあの人が…」

 

晶「フライシアだった時も考えてみれば、私達以外の人を傷つける様な事はしてなかったわね。生徒をあらかじめ追い出したりしてたし」

 

 

 

私達が頭を抱えていると、恵さんが質問した。

 

恵「ねぇ未来、結局あの人どう言う人なの? 分かりやすく説明してくれないかしら」

 

未来「どう言う人って… 会って話もしたなら分かるでしょ。ああ言う人よ」

 

 

未来のあまりと言えばあまりの言葉に、私達はしばらく何も言えなかった。

 

 

聖歌「え、えっとブレスレットを二つ着けてたみたいですけど、あれはどう言う事か分かりますか?」

 

その空気に耐えられなかったのか、聖歌ちゃんが話題を変えてきた。

 

 

未来「ああ、あれ。元々ゴッデスプリキュアはキュア・ライトニングにキュア・サイクロンの二人でね。ひかるが自分の金色のブレスと翼の銀色のブレスを一緒に使うとキュア・アルティメットに強化変身して、翼だとキュア・インフィニティになれるの」

 

 

恵「相方のキュアブレスを無理矢理奪ったなんてことは無いのかしら。かなり乱暴そうな人だったけど」

 

その恵さんの言葉に未来はものすごい勢いで食って掛かった。

 

 

未来「ふざけないでよ!! ひかるはね、確かに自己中で乱暴で口も悪くて手も早いけど、絶対にそんな事しないわ!!」

 

未来の勢いに、恵さんはたじたじになってしまった。

 

恵「わ、わかったわ。ご、ごめんなさい」

 

 

心美「あのさぁ、だったらそのもう一人は聖人君子みたいな人だった訳? あたしが悪口言って殴られたぐらいだし。大体そんな人じゃないとあの人のパートナーが務まらないでしょ?」

 

 

未来はその質問にケラケラと笑いながら答えた。

 

未来「まっさかぁ!! そんなわけないじゃない。ひかる以上に相手するのが大変な、頭がいいだけの自己中な人よ。 翼が聖人君子だったら私達は神様になれるって」

 

 

晶「…この学校の生徒だって言うから、一度先生にどんな人だったか尋ねてみたんだけど、ほとんど同じような回答だったわ。わからない、全くわからない」

 

晶さんも頭を抱えていた。

 

かくいう私も、さほど立派でない頭がショート寸前だった。

 

どうしても、未来が憧れるような人プリキュアに選ばれるような人と彼女のイメージが繋がらないのだ。

 

 

未来「そーんなことないってば、ものすごーく簡単な頭してる、とーっても分かりやすい人達よ♪」

 

明日香「どこが…」

 

 

実に明るい未来とは対照的に、私達はため息とともに食事を終えた。

 

 

 

 

 

 

夜 佐島家

 

 

 

ひかる「ただいま〜」

 

夜学を終え、ひかるが佐島家に帰宅した。

 

半年ほど欠席したおかげで、出席日数及び単位は絶望的であり留年はほぼ決定しているのだが、行っておくにこした事は無いとの考えから普通に通っているのである。

 

 

典子「おかえり。ってあら、ひかるが先なの?」

 

出迎えた典子が意外そうに尋ねた。

 

 

ひかる「ん? なんですか? 裕紀の奴まだ塾から帰ってないんですか?」

 

典子「そうなのよ。電話にも出ないし。何かあったのかしら?」

 

ひかる「何かって…。どうせまた寄り道かなんかでしょうよ」

 

そんな会話をしていると、ひかるのスマホが鳴った。

 

 

ひかる「おっ、うわさをすれば」

 

ひかるはスマホの画面で裕紀の名前を確認すると、電話に出た。

 

 

ひかる「もしもし、あたしだ。おい裕紀。もう遅いし、おばさんも心配してるぞ。寄り道しないで早く帰ってこい…。何?」

 

裕紀『ひかる姉ちゃん。とにかく来てくれよ、よくわかんないけど大変なんだ』

 

ひかる「あ〜落ち着け、分かりやすく説明しろ何があった?」

 

裕紀の声は非常に慌てており、ひかるは冷静に話すよう言ったが、どうにも要領を得なかった。

 

ひかる「あ〜もう分かった。すぐに行くから、ちょっと待ってろ」

 

 

ひかるはそう言って電話を切ると

 

ひかる「あ、おばさん。裕紀の奴、迎えに行ってくるよ。あたしの荷物お願い」

 

荷物を典子に預けて、出て行った。

 

 

典子「あら、そう。悪いわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひかるはバイクを飛ばし、隣町である夢園市にある裕紀の通っている塾の近くに行った。

 

するとそこには人だかりが出来ており、人一人探すのも骨だった。

 

ひかる「裕紀、どこだ?」

 

 

ひかるがバイクを降りて人だかりの中に呼びかけると、裕紀がその声を聞きつけて出てきた。

 

裕紀「あっ、姉ちゃん!」

 

ひかる「おう裕紀。一体何なんだありゃ?」

 

ひかるは上を指差して尋ねた。

 

 

見ると、人だかりは皆上を見上げており、その先のビルの四階ぐらいのところには自動車が一台突き刺さっていた。

 

幸いその車は無人だったようだが、誰もどうする事も出来なかった。

 

警察官が何人か近寄らないよう呼びかけていたが、野次馬やマスコミは増える一方だった。

 

裕紀「俺も分かんねえよ。ゴキブリみたいな怪物が突然車を取り囲んだと思ったら、車を投げ飛ばして…」

 

ひかるはその言葉に反応した。

 

 

ひかる「何!? そいつらはどこに行った?」

 

裕紀「車をビルに叩き付けたと思ったら、すごいスピードであっちの公園の方に走って行った。でもアイツら一体…」

 

 

ひかる「!! アブねぇっ!!」

 

 

そんな話をしていると、車が突然ひかる達の方へ向けてビルから撥ね飛ばされるように落下してきた。

 

凄まじい轟音とともに自動車が地面に落下したが、それに一瞬早く気付いたひかるは、咄嗟に裕紀を突き飛ばすと、自分もその反動で地面に転がり、うまく自動車をかわした。

 

 

 

 

野次馬達がおそるおそる自動車に近づいてきているのを尻目に、ひかるは裕紀の無事を確認した。

 

ひかる「裕紀、大丈夫か?」

 

裕紀「大丈夫、姉ちゃんは?」

 

ひかる「大丈夫だ! ただちょっと腕をぶつけちまった。湿布買って帰るから、先に帰ってろ。寄り道すんなよ」

 

 

そう言って、ひかるはバイクにまたがると、走り去って行った。

 

その先にはむろんコンビニもあるが、何よりもさっき裕紀が言った公園があった。

 

彼女にはさっき自動車が落下した時、デスローチの姿が見えたのである。

 

 

 

 

ひかる(間違いない。こないだの奴らだ。トリムを開放してエンジェルクリスタルも破壊したけど闇の力は増大しきってて、もう遅かったってのか)

 

バイクを飛ばしながらひかるは、舌打ちをしそうな顔をしていた。

 

 

 

公園の入り口までくるとひかるは、妙な気配を感じていた。

 

ひかる「…いるな」

 

 

 

 

 

 

公園

 

 

晶「ふう、遅くなってしまったわ。早く帰らないと」

 

三学期に入って、引き継ぎや次期役員の選挙の準備等で、生徒会役員である晶は多忙になっており、この日も遅くまで仕事をしていた。

 

そのため治安が良くない事で有名ではあるが、少しでも早く帰ろうと近道になる公園を突っ切って歩いていた。

 

そんな時だった。

 

彼女は公園を歩いている女性を見つけた。

 

 

晶「あら。あれは…神代さん?」

 

正直晶にとってもあまり話をしたくない人間である。

 

しかし、じっくり話をしてみたいという気持ちもあり晶はひかるの方へと駆け寄って行った。

 

 

ひかるは、何かを探すようにキョロキョロしながら公園の中を歩いていた。

 

その前に晶が駆け寄ってきた。

 

晶「あの、神代さん。水野 晶です。こんなところですみませんがお話を…」

 

 

その時だった。

 

大量のデスローチが二人に襲いかかった。

 

「デ〜ストロ〜イ」

 

晶「えっ!? キャア!!」

 

デスローチの奇襲に晶はひかるに寄りかかるようにして倒れてしまった。

 

 

ひかる「ゾー!!」

 

その瞬間、ひかるが妙な声を上げたと思うとそこにいたのはゾーゾだった。

 

晶「えっ、ゾーゾ!?」

 

 

晶が驚いていると、足下の影からアルティメットが飛び出し、晶を抱きかかえてデスローチの包囲から大ジャンプで距離を取った。

 

アルティメット「バッキャロー!! いきなり出るな!! こっちの作戦がオジャンじゃねぇか!!」

 

晶「えっ作戦?」

 

アルティメット「あたしに化けさせたゾーゾを囮にして、アイツらを一掃するつもりだったんだよ。あのまま攻撃したら、お前を巻き来んじまうだろ!!」

 

 

 

そう怒鳴りながらも、アルティメットは晶を庇うようにデスローチに向かって行った。

 

アルティメット「行くぜ、採伐セイバー!!」

 

アルティメットは、剣を取り出すと片っ端からデスローチを切り倒して行った。

 

 

そんな彼女にデスローチは四方八方から襲いかかった。

 

アルティメット「ええい、鬱陶しい。ハリケーン・ナックル!!」

 

アルティメットは苛ついたように、風を纏った拳でデスローチを殴り飛ばした。

 

殴り飛ばされたデスローチはその進路上にいた何体かのデスローチを巻き込んで溶けるように消えて行った。

 

 

しかし、大振りの攻撃をしたアルティメットは隙が出来てしまい、少し離れた所に現れたデスローチは、隙ありとばかりにどす黒い光弾をマシンガンのように連射してきた。

 

防御が間に合わないと踏んだアルティメットはジャンプでかわそうとした。

 

 

 

 

 

 

アルティメット「!! ちぃっ!」

 

なんと彼女は歯を食いしばって、直撃をうけた。

 

 

 

 

アルティメット「がはっ」

 

晶「だ、大丈夫ですか!? あなた今私を庇って…」

 

ダメージを受けて膝をついたアルティメットを見て、晶は心配そうに駆け寄った。

 

そう攻撃の射線上には、晶がいたのだ。

 

避ければ晶に攻撃が当たると判断したからこそ、彼女は避けなかったのだ。

 

 

アルティメット「う、うるせぇ…。ウダウダ言う暇があるなら加勢しろ。テメエ一人でも戦力に計上はできる」

 

晶「う…」

 

この時、晶はキュアブレスを捨てた事を心の底から後悔した。

 

 

アルティメット「ちっ。変身できねぇならせめてもっと離れてろ」

 

悪態をつきながら、アルティメットは再びデスローチに向かって行った。

 

 

アルティメット「でえい、プリキュア・フェザー・バレット!!」

 

羽の弾丸が的確に何体かのデスローチを打ち倒し、数が減ったのを見計らうとアルティメットは剣を空にかざした。

 

 

アルティメット「とどめだ!!」

 

雷が落ちてきた剣を大きく振り回しすと、電撃の混じった横向きの竜巻が発生して、デスローチ達を拘束した。

 

 

アルティメット「いくぜ!!」

 

そう言い放ち剣を構えると、背中から二対四枚の翼を広げ滑るように突っ込んでいった。

 

と思うと溶けるように姿を消し、次の瞬間デスローチ達の足下の影から不意打ち気味に出現し、突っ込んでいった勢いそのままに拘束した十数体のデスローチを真一文字に叩き切った。

 

 

 

アルティメット「プリキュア・アルティメット・グランプリ!!」

 

 

「「「ギィィィ!!」」」

 

 

必殺技が炸裂すると、耳障りのする悲鳴とともに全てのデスローチは消滅した。

 

 

 

 

変身解除したひかるは、汗を拭いながら愚痴った。

 

ひかる「こーりゃ、相当ヤバい事になってるな。近いうち一悶着ありそうだ」

 

 

そんなひかるに晶は恐る恐る近づいていった。

 

晶「あ、あの…神代さん…」

 

ひかる「ん? なんだ、まだいたのか?」

 

晶「あなたは、なぜ戦っていたんですか? プリキュアじゃないと言っていたのに」

 

 

ひかる「あん? あの終焉のデスローチとか言う奴ら世界を終焉に導くとか言ってたんでな。そりゃ戦うだろ。あたしの生きる世界終わらされてたまるかよ」

 

ひかるは当たり前の事を聞くなと言わんばかりにぶっきらぼうな返事をした。

 

 

晶「そ、それならもう一つ。どうして私を助けてくれたんですか? 答えてください

 

ひかる「理由なんか言う必要ないだろ。もう遅いしお前も早く帰んな」

 

晶に背を向けて、手をひらひらさせながらひかるはそう言った。

 

 

その後ろ姿を見て晶はぼそりと呟いた。

 

晶「なんとなくだけど、分かったような気がする…」

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

不良女A 「おいテメェら、こんなとこで何はしゃいでんだ、あん?」

 

不良女B「あたしらのシマで随分楽しそうだな、おい」

 

 

晶「え?」

 

突然不良らしき二人の高校生ぐらいの女性にからまれて、晶はここがどう言うところか思い出した。

 

だが、ひかるはまるで気後れせずに、むしろ面倒そうに言った。

 

 

ひかる「ああ、悪かったな。おい水野、適当に頭下げときな。連中もそれで納得するだろ」

 

晶「えっ? でも、えっ?」

 

不良女A 「そんなんで済むかよ。なんならテメェに落とし前つけてもらおうか!!」

 

どすの利いた声とともにその不良は指をバキバキならしながらゆっくりと近づいてきた。

 

 

ひかる「あたしに?」

 

不良女B「そうテメェだよ!!」

 

そう叫んで二人はひかるに殴り掛かった。

 

 

ひかる「へぇ… あたしにぃ?」

 

するとひかるは、低い声を出しながらニヤ〜っと笑って振り返った。

 

 

 

 

すると二人の不良は、ひかるの顔を見たとたんハッとして繰り出した拳を止めた。

 

次の瞬間には、二人の不良はガタガタと震え出した。

 

不良女A 「あ、あなたは…いえあなた様は…」

 

不良女B「か、神代…ひかる…さん…」

 

 

ひかる「はいそうでーす♪ で、あたしに何をしろと?」

 

それを聞いたとたん、二人は気をつけの姿勢になり腰をほぼ直角に曲げて頭を下げた。

 

不良女A・B「「しっ、失礼しましたー!!」」

 

それだけを言い残すと、二人は一目散に逃げて行った。

 

 

晶「な、なんなんですか。いったい?」

 

ひかる「大方ここら辺の不良だろうよ。っと裕紀が心配だな。お前も早く帰れよ」

 

そう言い残すと、唖然としてる晶を置いてひかるはさっさと立ち去って行った。

 

 

 

 

 

 

不良女A 「じょ、冗談じゃねえよ… 神代さんがこの辺に帰ってるなんて聞いてなかったぜ… 気づくのがあと一秒遅かったら…」

 

不良女B「おっそろしいこと言うんじゃねぇ… み、みんなに知らせねぇと… ヘマ撃ったらあたしら全員殺されるぞ…」

 

全力で逃げ出していた二人の不良は、肩で息をしながらどこか怯えていた。

 

 

 

晶「あの〜」

 

不良女A 「ひいっ!!」

 

突然後ろから話し掛けられた声に、不良は心臓が飛び出すかというほどに驚いた。

 

 

不良女B「あ、あんたさっきの。神代さんの知り合いなのか?」

 

晶「えっはい、まあ」

 

晶の言葉に二人は血の気が引いて真っ青になった。

 

 

不良女A 「たっ頼む!! 神代さんに謝っといてくれ!! 変な事して申し訳ありませんでしたって!!」

 

不良女B「あ、あ、あたしからもお願いする。頼む、頼む!!」

 

必死に地面に頭をこすりつけるようにして土下座する二人に晶は戸惑っていた。

 

晶としては、ひかるについて聞きたかっただけで追いかけてきたのだが、これでは話にならない。

 

 

晶「あ、あの、落ち着いてください。私はちょっと聞きたい事があるだけです。あの人一体どんな人なんですか?」

 

 

不良女A 「ど、どんなって…、アンタその制服、夢園中学の生徒なんだろ。じゃあ聞いた事ぐらいあるだろ」

 

晶「へ?」

 

不良女B「あの人は…神代ひかるさんは…」

 

 

不良女A・B「「他校の不良グループ全員とタイマンはって無傷で帰ってきたような最恐のヤンキーなんだよ!!」」

 

 

 

その言葉に晶は目を剥いた。

 

確かに生徒会役員でもある晶は、今なお風紀委員が敏感になるほどの不良であるその人物の話を聞いた事はあるが、いくらなんでも荒唐無稽すぎるので話半分ぐらいに思っていたのだ。

 

 

 

その後どんな話をしたのか、晶はほとんど覚えておらず、気がついた時には家に帰り着いていた。

 

そして自分の部屋で机に向かって再び頭を抱えていた。

 

 

晶「わからない。もう全くわからない」

 

 

 

 

一方そのころ

 

 

「…デ〜ストロ〜イ…」

 

地の底から響いてくるような不気味な声が、深夜の夢園市に静かに響いていた

 

 

すると影の中からデスローチが次々と姿を現し、夜の闇を覆い尽くしていった。

 

 

 

 

市内某所

 

 

とあるビルの地下駐車場に一台のパトカーがやってきた。

 

警官A「ただいま、通報のあった場所に到着しました」

 

警官B「本当にいるんですかね、人を襲うような化け物が」

 

警官A「わからん。だが通報があったのは確かだし、ここのところ変な事件も相次いでるからな。気をぬくなよ」

 

そんなことを話しながら二人の警官は拳銃の安全装置を外してパトカーから出た。

 

 

しばらく付近を見回ったが、誰も見つからず

 

警官A「おーい、誰かいるか」

 

辺りに呼びかけるも、返事は無かった。

 

 

警官B「やっぱりイタズラですかね」

 

警官A「らしいな。引き上げだ」

 

そうして二人の警官が踵を返した時、上から何かが落ちてきた。

 

二人は慌てて確認すると、それは食いちぎられたようにボロボロになった靴だった。

 

 

警官A「これは…」

 

警官B「まさか…」

 

二人の警官は恐る恐る天井を見上げた。

 

するとそこには、一面にデスローチが張り付いていた。

 

警官A「なんだあれは!!」

 

 

驚きの声を上げた次の瞬間、デスローチは一斉に警官に襲いかかった。

 

「「ギィャアアアア!!!」」

 

 

しばらくしてデスローチが姿を消した後、そこにはボロボロになった警官の制服だけが残されていた。

 

 

 

 

深夜の町のいたるところに不気味な声とともに悲鳴が響き始めた。

 

 

「…デ〜ストロ〜イ…」

 

「ギャアアアア!!」

 

 

 

「…デ〜ストロ〜イ…」

 

「化け物ー!!」

 

 

 

「…デ〜ストロ〜イ…」

 

「た、たすけ」

 

 

 

 

 

 

翌朝

 

 

 

その日の空は八時を回ったにもかかわらず、日の光を覆い尽くさんとするような黒い雲により、夜中のような暗さだった。

 

その暗さの中、絶望の悲鳴が至る所で響いていた。

 

 

 

ニュースキャスター「臨時ニュースを申し上げます。昨晩より夢園市を中心に、奇妙な黒い怪物が大量に出現し、町を破壊し人を無差別に襲っているとの通報が相次いでいます。市民の皆様は、速やかに避難所に移動するか決して家や建物から外に出ないようにお願いします。繰り返します…」

 

 

 

 

???

 

 

「絶望に満ちた者がこの終焉のデストロイに取り込まれた今、この世界に終焉をもたらす時が来た。希望など欠片も残さず絶望が覆い尽くすのだ。 デ〜ストロ〜イ」

 

 

 

「…デ〜ストロ〜イ…」

 

その不気味な声が響くたびに、影の中からデスローチが絶える事無く次々と姿を現していた。

 

そしてデスローチは大地を覆い尽くさんばかりの圧倒的な数を武器に、町を蹂躙し市民に襲いかかり始めていた。

 

 

 

 

 

続く

 

 

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