ニュースキャスター「臨時ニュースを申し上げます。昨晩より夢園市を中心に、奇妙な黒い怪物が出現し、町を破壊し人を無差別に襲っているとの通報が相次いでいます。周辺市民の皆様は、速やかに避難所に移動するか、決して家や建物から外に出ないようにお願いします。繰り返します…」
このニュースが流れるとともに非常事態宣言が発令され、夢園市及びその周辺はパニックになり始めていた。
当然に学校は休校、避難をする人達で道路は溢れていた。
しかし、そんな人達にも容赦なくデスローチは襲いかかり始めていた。
「…デ〜ストロ〜イ…」
市民「たっ助けてくれー!!」
ある市民は、デスローチに襲われ必死に逃げ惑っていたが、圧倒的な数の前にはどうする事も出来ず取り囲まれ、無惨にもデスローチに食い殺された。
市民「く、来るな来るな」
またある市民は、手にした角材で必死に追い払おうとしていたが、デスローチのパワーには太刀打ちできず、同じような結末を迎えた。
町中に口の周りを血まみれにしたデスローチが闊歩し、ボロボロに食いちぎられた衣服が散乱していた。
そんな事が至る所で発生し、町は混乱の一途をたどっていた。
むろん、警察や自衛隊も無抵抗という訳では無かったが、拳銃やライフルの直撃にも耐え、絶える事無く何十体もの後続が生まれてくるデスローチの前には無力に等しく、撤退をするだけでも命がけという状況だった。
夢園市内周辺は文字通りの地獄絵図だった。
佐島家
この佐島家でも、避難所への移動のため朝から準備が進んでいた。
健三「おいみんな、荷物はまとめたな。避難するぞ」
ひとみ「はい」
裕紀「うん、いつでもいいよ」
典子「ひかる、ちゃんとついてきなさいよ。お正月の時みたいにいつの間にかいないってのは止めなさいね」
ひかる「ああ、分かってる。さあ行こうぜ」
そして、家を出ようとドアを開けたときだった。
「…デ〜ストロ〜イ…」
家の前の道路にはデスローチが何体もおり、今にも襲いかからんとしていた。
ひかる「くそっ!!」
ひかるは、襲いかかろうとするデスローチを蹴り飛ばして、なんとか家の中に閉じこもり、ドアの鍵をかけた。
窓から外を見てみると、デスローチがうろついており、今にも家屋にまで襲いかからんとしていた。
健三「くそ〜、これじゃどこにも行けん。しかしこれじゃ時間の問題だな」
全員居間に座っていたが、当然のように暗い顔になっていた。
ため息をついている健三達を見て、ひかるは意を決したように立ち上がった。
ひかる「あたしがなんとかしてくる。みんなはここにいてくれ」
典子「バカ言いなさい。何が出来るのよ」
典子が諌めるようにそう言ったが、健三は真剣な顔で問いつめた。
健三「…ひかる、一つだけ確認する。死ぬつもりじゃないだろうな」
ひかるもまた真剣なそしてどこか微笑むように力強く言った。
ひかる「死ぬ訳にいかねぇさ。あたしは、まだ、夢の入り口に立ったところだ。この世界も、あたしの夢もあんな奴らに壊させねぇ!!」
健三「…上等だ」
健三が頷くと、ひかるもまた頷き家から勢い良く飛び出して行った。
そしてその瞬間、両腕のキュアブレスを目の前で交差させた。
ひかる「プリキュアパワー、サモンアップ!!」
『Summon, lightning cyclone power. Explosion, ultimate power』
落雷と竜巻が発生し、その中心にいた人物は、次々にデスローチをなぎ倒して行った。
アルティメット「でえい、プリキュア・エレクトリック・ボンバー!!」
巨大な電撃の玉を打ち出すと、それに巻き込まれたデスローチは消し飛んで行った。
そんなアルティメットに対して、少し離れた所にいるデスローチは、どす黒い光弾をマシンガンのように連射してきた。
アルティメット「ワンパターンだな、プリキュア・サイクロン・ソーサー!!」
アルティメットは風の盾を展開するとその攻撃を全弾防ぎきり、攻撃が途切れたのを見計らい、ソーサーを投げつけて大量にデスローチを切り裂いた。
そして腰の箱に手をやり、ロケットランチャーを取り出すとミサイルを襲いくるデスローチに乱射した。
アルティメット「食らえ、最大ミサイル」
ミサイルの直撃を受けたデスローチは粉々に吹き飛び、周辺のデスローチはいなくなった。
そんなアルティメットを家から出た健三は見つめており、アルティメットもまた健三の目を見ていた。
健三「行ってこい!!」
アルティメット「おう!!」
力強い健三の言葉にアルティメットもまた、サムズアップで答えると、背中から二対四枚の翼を出して飛んで行った。
夢園中学校
この夢園市にも当たり前のように大量のデスローチが押し寄せており、朝から大量の家族が体育館に避難してきていた。
その中には当然私達、元エンジェルプリキュアのメンバーの姿もあった。
大人達もかなり不安そうにしている中、小さい子供に至っては恐怖のあまり泣き叫んでいる子もいた。
そんな空気の中、私達はいたたまれない思いでいっぱいだった。
聖歌「これも全部、私達の所為なんですよね」
聖歌ちゃんは罪悪感からか、今にも泣き出しそうだった。
心美「トリムを集めた所為で増大した闇の力…か」
心美ちゃんもいつもの元気や強気はどこへやら暗い顔をしていた。
恵「まさか、私が世界を破滅させる手助けをしたとはね。お笑いだわ」
恵さんは自嘲気味にそう言った。
晶「このまま、何もかも終わってしまうのかしら」
晶さんも不安そうに呟いた。
かくいう私も左手のキュアブレスを見てどうすればいいのか悩んでいた。
今のこの状態は、元を正せば私達がまいた種である。これを見過ごすのはあまりに無責任である。
しかし、この事態を招いた私達に今更戦う資格があるのだろうかとも悩んでしまい一歩踏み出せないでいた。
未来「あら、あなた達まだこんなところにいたの?」
その時、後ろから未来の不思議そうな声が響いた。
恵「未来、こんなところって。え?」
みると未来は避難誘導をしてきたらしく、多くの人を連れてきていた。
未来「決まってんでしょ。なにをこんなところでボケーッとしてるのかって言ってるの」
心美「な、なによその言い草は。じゃあどうしろって言うのよ」
未来「はぁ? 自分のやりたい事ぐらい自分が分かってるでしょうが」
そう言うと未来は避難所から出て行った。
晶「待ちなさい、外に出ると危ないわ」
晶さんが未来を追いかけて行ったので、私達も後を追った。
未来は校門まで出ると、シャイニング・パレットを取り出した。
明日香「未来待って。あなたどうするつもり?」
未来に追いついた私達は尋ねた。
すると未来は何言ってるんだというような表情で言い返してきた。
未来「どうもこうも決まってるでしょ。アイツらぶちのめすのよ」
聖歌「でも、あの人が戦ってくれるだろうし、そもそもそんな事もただ自己満足じゃ…」
不安そうな聖歌ちゃんの声に、未来は力強く言った。
未来「だからなんだって言うの。私は私。誰が何を言おうとも関係ない。やりたい事をやりたいようにやる。それだけよ」
いうや否や未来はパレットを操作した。
未来「シャイニング・トランスフォーメーション!!」
『トランスフォーム』
するとパレットから声が出て、同時に発せられた鮮やかな七色に光に包まれ、光の羽根を舞い散らしながら、未来は変身した。
そして変身が完了すると、ライト・ウイングは羽を広げて飛んで行った。
心美「ねえ、あれって…」
恵「ええ、あの人とほとんど同じ…」
聖歌「もしかして、あの人も…」
晶「やっぱりそう言う意味なのかしら…」
明日香「悩んでても仕方ない。みんな行こうよ」
わたしの言葉にみんなは頷き、町中へと向かって行った。
夢園市内
昼間だというのに、不気味な雲に一面を覆われた薄暗い中で、デスローチが町中の至る所を我が物顔で闊歩していた。
そんな中、避難し損ねた人達が物陰で怯えていた。
「…デ〜ストロ〜イ…」
その不気味な声が響くたびに、デスローチは数を増やして行った。
ライト・ウイング「はぁぁ!!!」
そこに光の翼をはためかせ上空からライト・ウイングが舞い降りてきた。
ライト・ウイングは雄々しく、デスローチに戦いを挑んで行った。
ライト・ウイング「ええい、シャイニング・ナックル!!」
ライト・ウイングは光の拳でデスローチを殴り飛ばした。
殴り飛ばされたデスローチは二三体のデスローチを巻き込んで溶けるように消えて行った。
しかし、そんな物は焼け石に水といったように続々とデスローチが現れライト・ウイングに襲いかかった。
ライト・ウイング「くっ、数が多すぎる!! これじゃ避難に手が回らない」
大量のデスローチを前にライト・ウイングは戦線を維持するだけで手一杯になってしまい、逃げ後れた人を助けに行けなかった。
「「「ゾーゾーゾー」」」
その時、ゾーゾが大量に現れ逃げ後れた人達の避難を手伝い始めた。
ライト・ウイング「えっ? ゾーゾ?」
突然の事にライト・ウイングが戸惑っていると、どこからとも無く電撃の玉が飛んできてデスローチを大量に吹き飛ばした。
アルティメット「ゾーゾ、逃げ後れた奴らを片っ端から避難させろ」
そう、キュア・アルティメットが到着したのだ。
アルティメット「行くぜゴキブリども!! 採伐セイバー!!」
アルティメットは剣を取り出し片っ端からデスローチを切り倒して行った。
ライト・ウイング「ひかる!!」
アルティメットの姿を見たライト・ウイングは嬉しそうに声を上げた。
アルティメット「話は後だ。派手に行くぞ!!」
ライト・ウイング「うん!!」
ライト・ウイングは力一杯返事をした。
アルティメット「オラオラオラ!!」
アルティメットは威勢良くデスローチを片っ端から殴り倒して行き、ライト・ウイングも負けじと必死に戦っていた。
そんな中、背中合わせに立ちながらライト・ウイングはアルティメットに声を掛けた。
ライト・ウイング「ひかる、私嬉しいよ。こうやってひかると一緒に戦う事が出来て。ずっと夢だったんだから」
するとアルティメットはライト・ウイングを諌めるように言った。
アルティメット「それはありがたいが、あまりあたしに気を使わなくてもいいぞ」
ライト・ウイング「え?」
アルティメット「お前が本当に一緒に戦いたいのは、あたしじゃないだろ」
その言葉にライト・ウイングはウッと言葉に詰まった。
アルティメット「ふっ、まあいい。行くぞ」
そう言ってアルティメットは、デスローチをなぎ倒しながら、まだ避難の終わっていない地区へと向かって行った。
明日香「ハアハア、あれは…」
聖歌「キュア・アルティメット!?」
ライト・ウイングを追いかけてきた私達だったが、空を飛ばれたため途中で見失い、デスローチを避けて逃げながら走り回ったところ、戦っているアルティメットとライト・ウイングを見つけた。
アルティメットの強さはやはり圧倒的で、次々とデスローチを倒して行った。
そんな彼女の戦いを見ていると、ふと気がついた。
アルティメット「オラオラ、どけどけ危ねえぞ!!」
彼女は避難の遅れた街の人々を邪魔者扱いしながらも、デスローチに攻撃を仕掛ける際にはうまく戦闘に巻き込まないようにしていた。
アルティメット「避難所はこの先だ、早く行け!!」
市民「分かりました!!」
恵「あの人…」
市民「来るな来るな、助けてー」
少し離れたところでデスローチに襲われている人が必死に抵抗しながら助けを求めていると
アルティメット「プリキュア・プラズマ・チェーン!!」
光の鎖を放ちデスローチを絡めとると、そのまま遠くへまとめて投げ飛ばした。
アルティメット「大丈夫か?」
アルティメットが呼びかけると助けられた人達はありがとうとお礼を言って避難して行った。
晶「やっぱりそういう事ね…」
心美「そういう事って、まさか…」
「…デ〜ストロ〜イ…」
避難をしていく人に対して、少し離れた所にいるデスローチは、どす黒い光弾をマシンガンのように連射してきた。
アルティメット「ちぃっ、プリキュア・サイクロン・ソーサー!!」
アルティメットは咄嗟に飛び出して、その人達への攻撃を全弾防いだ。
晶「あの人はプリキュアだから戦ってるんじゃない、自分のやりたい事をやっているだけなんだわ」
聖歌「つまりこういう事なんですね。誰が何を言おうとも自分を曲げる事はしない。やりたい事をやりたいようにする、それが人助けになっても関係ないだろうと」
心美「不良と呼ばれてもプリキュアと呼ばれてもどんなことが起きても関係ない、と。神代 ひかるとして生きて行くだけだ、ということか」
明日香「あの人、口が悪いだけなんだ」
恵「と言うより天の邪鬼かしら」
見るとみんな苦笑しているようだった。
明日香「ねえ、わたしのやりたい事は決まったけど、みんなのやりたい事は決まった?」
私はみんなに尋ねた。
心美「当然!!」
聖歌「決まってます。他人任せになんかしません」
恵「美化委員だろうと、プリキュアだろうとわたしのやる事はただ一つ」
晶「最初に決めた事よ。みんなの役に立ちたいと」
明日香「決まりだね!!」
わたしはみんなにキュアブレスを渡した。
みんなはブレスレットをつけるとそれを掲げた。
明日香・心美・聖歌・恵・晶「「「「「プリキュアパワー、サモンアップ!!」」」」」
『サモン、ゴールドパワー』
『サモン、フレイムパワー』
『サモン、ウッドパワー』
『サモン、ラウンドパワー』
『サモン、ウォーターパワー』
私たちはオレンジ、赤、緑、黄色、青の五色の鮮やかな光に包まれて変身し、デスローチに向かっていった。
フレイム「こんのー!! プリキュア・フレア・ボンバー!!」
ラウンド「だあぁー!! プリキュア・サンド・ソーサー!!」
フレイムは火の玉を打ち出して、デスローチを焼き付くし、ラウンドは砂の丸鋸で切り裂いていた。
ウォーター「はっ! プリキュア・ウォーター・バレット!!」
ウォーターは的確に一体一体に水の弾丸で攻撃を仕掛けていった。
ウッド「えぇーい!! プリキュア・アイビィ・チェーン!!」
ウッドは蔦の鎖で絡めとり投げ飛ばしていた。
ゴールド「やぁー!! プリキュア・ゴールド・ブレイカー!!」
私はオレンジのオーラを纏って突撃攻撃をしていった。
そんな私達を見ながら、アルティメットは声を掛けてきた。
アルティメット「けっ、やっと来やがったかエンジェルプリキュア」
ウッド「ええ、お待たせしてすいません」
ラウンド「誰が何を言おうとも、これは私達のやりたい事です」
ウォーター「本当に大切な物を守るためなら、何とだって戦います」
フレイム「何があっても、私達は諦めない、投げ出さないって決めました」
ゴールド「自己満足だろうとなんだろうと自分に取って大切なものを守りたいんです」
ライト・ウイング「よく言ったもんだわね、アンタ達も」
私達はそんな事を言いながらも、デスローチの大軍と戦っていった。
このデスローチは、数の暴力で襲いかかってくるのでさすがに手こずったが、アルティメットとライト・ウイングが先陣を切って戦ってくれたので、何とかなった。
そうして戦い続けていると、デスローチの数も減ってきた。
フレイム「大分先が見えてきたわね」
ゴールド「後一息だよ、みんな頑張って」
その時だった。
「…デ〜ストロ〜イ…」
その不気味な声が響くと突然デスローチ達が黒い塊になっていった。
ラウンド「えっ? 何」
するとその黒い塊は、一ヶ所に集まりさらに巨大な塊になっていった。
ウッド「まさか…これは…」
驚いている私達の目の前で、その黒い塊は地獄の悪魔を思わせるような姿をした全長五十メートルはあるのではないかというような、巨大な怪物となった。
ウォーター「こ、こんな事って」
するとその怪物は不気味な声で話し始めた。
「我が名は終焉のデストロイ。世界を絶望に満ちた終焉に導くもの。現れよ、希望を食らう地獄の亡者ども」
その言葉とともに、地面から何かが現れ始めた。
フレイム「またあのゴキブリどもなの? うっとうしいったらありゃしない」
フレイムがうんざりしたように吐き捨てたが、出てきた「それ」はデスローチでは無かった。
「…デ〜ストロ〜イ…デ〜ストロ〜イ…」
アルティメット「何? 妖魔獣だと!?」
ウッド「それだけじゃありません、ブラックムーンの怪人達に…」
ラウンド「あっちの奴らはマシンロイドかしら」
以前倒した事のあるはずの怪人達が、何体いや何十体と蘇ってきたのだ。よくみると中には同じ怪人が何体もいた。
デストロイ「我は、地獄の底で受け取った世界への恨みや憎しみ、絶望といった負の念を元に現世への扉を開いたのだ。この世界は間もなく終焉の闇となる」
その言葉とともに腕を一振りすると、強烈な衝撃波が発生し、私達は吹き飛ばされた。
ライト・ウイング「みんな!!」
アルティメット「チィ、さっすが」
しかし、地力の差かライト・ウイングとアルティメットは踏みとどまったようだった。
「…デ〜ストロ〜イ…デ〜ストロ〜イ…」
そうしている間にも、地獄から蘇った怪人達はアルティメットとライト・ウイングに襲いかかった。
ライト・ウイング「やるしか…なさそうね」
アルティメット「ああ、アイツらが心配なのはわかるが、そんなにヤワじゃねえだろ」
ライト・ウイング「ええ」
アルティメットの言葉にライト・ウイングは力強く頷いた。
ゴールド「アイタ!!」
デストロイの衝撃波に吹き飛ばされた私達は、かなり離れたところで地面に叩き付けられた。
フレイム「くぅ、やってくれるわねアイツも」
遠くの方に見えるデストロイの巨体を睨みつけてフレイムはそう言った。
ウッド「早く戻りましょう、あの二人が心配です。大丈夫だと思いますけど…」
ウッドの言葉に駆け出そうとした私達の前に、先ほど蘇った怪人達やデスローチが現れた。
ラウンド「くっ、こっちにも来るとはね」
ウォーター「でも、無視できる数でもないわ」
やむを得ず私達は戦い始めたが、あまりの数に戦線を維持するだけで手一杯になってしまい、先に進めなかった。
フレイム「くぅ、さすがにこの数は…」
ラウンド「再生怪人は弱いって法則も当てはまんないみたいね」
そう、この怪人達は下手をすれば倒したときよりも強いかもしれなかった。
ゴールド「キャアアア!!」
そんな中、私は怪人の一撃を食らって大きく吹き飛ばされた。
一方その頃アルティメットとライト・ウイングは、デストロイと戦い続いけていた。
デストロイ「おのれプリキュア〜」
デストロイは、直径数メートルはあるヘドロのようにどす黒い弾を何発も打ち下ろしてきた。
アルティメットとライト・ウイングは怪人達と戦いつつ、時には怪人達を盾代わりにしつつデストロイの攻撃を避けていた。
デストロイ「プリキュアよ、なぜこの世界を守る。怒りや恨みといった負の感情にすぐに覆われる世界など守る価値などあるまい」
アルティメット「ああ、無いだろうな」
デストロイの言葉にアルティメットは実にアッサリと答えた。
デストロイ「なんだと?」
アルティメット「あたしはこの世界を守るつもりなんざさらさらない。今も昔もな」
デストロイ「ならばなぜ戦う? この世界が滅んでも良いというのならば」
当然の疑問をデストロイは口にした。
アルティメット「あたしの世界を壊そうとするテメェが気に食わねぇ、それだけだ。それに…」
アルティメットはエンジェルプリキュアが吹き飛ばされた方を見やって言った。
アルティメット「この世界を守る奴らはちゃんといるしな」
ライト・ウイング「ひかる…」
そしてその時、エンジェルプリキュアが吹き飛ばされた方で巨大な竜巻が発生した。
ライト・ウイング「え? 竜巻?」
アルティメット「お、もしかすると」
ゴールド「くっそ〜… ま、負けるもんか…」
怪人の攻撃に吹き飛ばされた私は息を切らしながらも立ち上がろうとしていた。すると
???「ねえ、どうしてそんなにまでしてあなた達は戦うのかしら? 何の得も無いのに」
突然後ろから声を掛けられた。
驚いて振り返ると、そこには私と同い年ぐらいのボブカットの女の人がいた。
ゴールド「避難し損ねたんですか!? 早く逃げて、ここは危ないですから!!」
私はその人に避難を促したが、その人はまるで逃げる様子が無かった。
それどころか
???「質問に答えなさいよ、どうして戦うのかしら。気になるのよね、そういうの」
私の肩をつかんでガクガクと揺すりながらそう尋ねてきた。
ゴールド「ちょっ、ちょっと今はそれどころじゃないの!!」
そんな私のところにマシンロイドの攻撃らしいミサイルが飛んできた。
ゴールド「危ない!!」
私は咄嗟にその人を抱えて大ジャンプした。
???「ねえ、一体どうして…」
しかし、周りの状況などお構いなしといった感じにさらに尋ねてきた。
ゴールド「あーもう、しつこい!! これが私のやりたい事だからだよ。友達を、これから友達になれるかもしれない多くの人を守りたいの。これでいい?」
あまりのしつこさにイライラした私は早口でそう捲し立てた。
すると、その人は突然笑い始めた。
???「アーッハッハッハ。いいわ貴方、なかなか面白いわね。久しぶりにときめいた」
ゴールド「はあ?」
私は着地と同時に間抜けな声で聞き返していた。
???「いいわ、手を貸してあげる。エンジェルプリキュア」
そう言うとその人は両手を交差して呟くように言った。
???「…プリキュアパワー、サモンアップ」
『Summon, cyclone lightning power. Explosion, infinity power』
次の瞬間、彼女を中心に竜巻が発生し、それが収まったと思うと、今度は彼女目掛けて雷が落ちてきた。
そして、そこから飛び出していったものに私達は驚いた。
フレイム「えっ?」
ウッド「あれは?」
ウォーター「まさか?」
ラウンド「嘘でしょ」
稲妻のような金色のラインの入った銀色のゴスロリ衣装。
ボリュームのある金メッシュ入りの美しい銀髪。
流れる風を模したようなデザインのティアラにイヤリング。
右目にはモノクルのようなものを掛けており、ガンレットのようなものを装着し、右手首には銀色、左手首には金色のブレスレットをしていた。
その人物は強烈な風を巻き起こし、目の前の怪人達をあらかた薙ぎ払うとこう名乗った。
「絶望を払う無限への翼 キュア・インフィニティ!!」
フレイム「あれって、未来が言ってた…」
ラウンド「もう一人のゴッデスプリキュア…」
ゴールド「で、でも死んだって聞いたけど…」
インフィニティ「ええ、死んだわよ。間違いなくね」
私達が戸惑っていると、インフィニティはこともなげにそう答えた。
ウッド「えっ、だったらどうして?」
インフィニティ「周り見なさい。死んだ奴らがうじゃうじゃいるじゃない。不思議がる事も無いでしょ」
インフィニティの言う通り、確かに私達の周りは蘇った怪人達で溢れ返っていた。
ウォーター「そう言う事…で、いいのかしら…」
私達は呆れつつも納得していたが、そんな事はお構いなしといった風にインフィニティは左手に力を込めつつ抑揚の無い声で言った。
インフィニティ「適当に踏ん張りなさい。巻き込まれたくないなら」
ゴールド「えっ、今なんて?」
インフィニティ「天を引き裂く断罪の嵐、受けて見なさい。プリキュア・トルネード・パニッシャー」
そのまま力を込めた左手をスクリューアッパーの様に突き出すと、強烈な竜巻が起こり怪人達を巻き込んだ。
当然目の前で竜巻にいきなり発生された私達もそれに巻き込まれかけたが、なんとか踏みとどまった。
そして、しばらくして竜巻が収まると原形をとどめないほどズタズタにされた怪人達の成れの果てが落ちてきた。
もし巻き込まれていたら私達もこうなったかと思うとゾッとした。
フレイム「ちょっと、あんなん撃つならちゃんと言ってよ!」
ラウンド「巻き込まれる所だったわ、危ないじゃない!」
フレイムとラウンドは怒っていたが
インフィニティ「言ったじゃない、巻き込まれたくないなら適当に踏ん張りなさいって」
インフィニティはこともなげに言った。
そんなやり取りをしている間にも、蘇ったブラックムーンの怪人達が光の弾で攻撃を仕掛けてきた。
インフィニティ「最強アーマー展開」
するとインフィニティは両手のガンレットのようなものを大きく展開してその攻撃を跳ね返した。
もっとも、その跳ね返した弾は私達の方に飛んできたのだが。
ラウンド「だから危ないですってば!! 周りを見てください!!」
インフィニティ「当たりたくないなら避ければいいだけでしょ。一応プリキュアなんだから、それぐらいはできるでしょ。そこまで馬鹿なの貴方達は。…ああごめんなさい、馬鹿なのね」
フレイム「あのね!!」
ゴールド「あっはっはっはっ、未来の言ってた通りだ…」
ウッド「笑っちゃうぐらいホントですね…」
この一連のやり取りの中、乾いた笑みを浮かべながら私は未来の言葉を思い出していた。
もう一人のゴッデスプリキュアはさらに輪をかけた自己中心的な人だといっていたが、それがよーく分かった。
インフィニティ「はあ、仕方ない。馬鹿にも分かりやすく説明してあげるわ。死にたくないなら適当にその辺のものに捕まりなさい」
ウォーター「え?」
全く抑揚の無い声でとんでもなく物騒なことを言われ驚いていると、インフィニティはモノクルのスイッチを入れた。
インフィニティ「才能ブレイン起動。データ解析、行動パターン予測開始」
すると彼女は怪人達の動きを完全に読み切ったように、みごとな体術で攻撃を受けてはいなし、怪人達を次々と上空へ撥ね飛ばしていった。
次の瞬間、空に巨大な裂け目のようなものが出来たかと思うと、その裂け目はブラックホールのような強烈な吸引力を発揮し、周りのものや跳ね上げられた怪人達を吸い込み始めた。
当然私達も吸い込まれそうになったが、近くの木や電柱に必死にしがみついていた。
フレイム「な、何よこれ!?」
ウッド「す、すごい吸引力です。ラドンパの箱みたいに」
するとインフィニティは大ジャンプして、だめ押しのように怪人達に飛び蹴りを食らわせて怪人達を裂け目に蹴り込んだ。
怪人達は断末魔の悲鳴一つ上げずに裂け目の中に吸い込まれていったが、インフィニティ自身はキックの反動でとんぼ返りを打ってうまく吸い込まれないようにしたらしく、彼女が地面に着地すると同時に裂け目も消えた。
インフィニティ「…プリキュア・インフィニティ・ホール」
ゴールド「後で言うんだ…」
インフィニティ「さてと、あっちにも行かないとね」
そう呟くと、インフィニティは二対四枚の翼を展開してデストロイの方へと飛んでいった。
ウォーター「私達も追いましょう」
ウッド「はい」
アルティメット「ちいっ、大分数は減ってきたんだが。さすがにキツいな」
絶え間なく続く戦いにさすがのアルティメットも疲れが見え始め、肩で息をし始めていた。
デストロイ「終わりだ、プリキュア」
その言葉とともに闇の光線というようなものが発射された。
ライト・ウイング「まずい、避けきれない」
ライト・ウイングが覚悟を決めたときだった。
インフィニティ「プリキュア・サイクロン・ソーサー」
どこからとも無く飛んできた風の円盤がその攻撃を防いだ。
ライト・ウイング「え?」
インフィニティ「バター、身の程知らずは相変わらずね」
ライト・ウイング「あ…あ…翼!!」
上空から舞い降りてきた銀色のプリキュアを見て、ライト・ウイングは目を潤わせていた。
そしてアルティメットも彼女を見て言った。
アルティメット「けっ、これだけろくでなしどもが生き返ったなら、テメエもくるよなろくでなし」
インフィニティ「あら、アンタまだ生きてたの。あんな馬鹿丸出しな戦い方してるから、とっくに死んだと思ったのに」
アルティメット「ああ? あたしがそう簡単にくたばるかよ。大体その馬鹿を庇って地獄に堕ちたようなろくでなしが何言いやがる。こいつの力で生き返ったってのはそう言う事だろうが」
アルティメットはデストロイを指差してそう言った。
インフィニティ「この完璧人間の私が地獄に行く事になるなんてあるわけ無いでしょ。天国じゃときめけないからわざと地獄に行ったのよ。生前の力を渡すからそこの治安維持のために戦うという条件でね」
ドヤ顔でそう言うインフィニティに対してアルティメットは吐き捨てるように言った。
アルティメット「けっ、そんで地獄でブラックムーンやら妖魔獣やらティア・ストランの力をプラスしたってか」
インフィニティ「そう言う事。わざわざ潜入しないと学習できない馬鹿女とは違うのよ」
アルティメット「ああ? 頼みもしねえで勝手にくたばったろくでなしが何言いやがる。残ったあたしの苦労も知らねえでよ!!」
ラウンド「ハアハア、な、何あれ?」
フレイム「ちょっと、ケンカしてる場合じゃないって!!」
ようやくインフィニティに追いついた私達だが、デストロイや怪人達そっちのけで口喧嘩をしているアルティメットとインフィニティを見て唖然とした。
ウッド「落ち着いてください。今はそれどころじゃ…」
ゴールド「ライト・ウイング、あなたも何か言って…」
そう言いながらライト・ウイングを見てみると、滝のような涙を流していた。
ウォーター「ラ、ライト・ウイング!?」
ライト・ウイング「うう。昔のまんまだ、懐かし〜!!」
ゴールド「へ?」
そうやってる間にも二人の口喧嘩は続いていき、しびれを切らしたように怪人達が二人の背後から襲いかかった。
アルティメット「ええい!! うざったいな。プリキュア・エレクトリック・ボンバー!!」
インフィニティ「話の邪魔よ。 プリキュア・フェザー・バレット」
そうして二人は電撃の弾と羽の弾丸で「お互いの」背後から迫る怪人達を攻撃した。
ゴールド「え?」
アルティメット「ったく。ろくに話も落ち着いてできゃしねえな」
インフィニティ「全く、空気を少しは読めないのかしら」
アルティメット「と、言う訳だからして」
二人はデストロイを指差して言った。
アルティメット・インフィニティ「「おとなしくやられろ(なさい)!!」」
ライト・ウイング「ううっ、二人とも全然変わってない〜」
フレイム「なんやかんやで息合ってるのね…」
ウッド「あれが通常運行なんですか…」
ラウンド「信頼関係の一つの形とでもいうのかしら…」
ウォーター「わかるようなわからないような…」
ゴールド「う〜ん、友達って奥が深いな〜」
私達は、アルティメットとインフィニティの関係に呆れつつも感心していた。
デストロイ「ふざけるな〜!!」
二人の言葉を聞いたデストロイは怒りの言葉とともに闇の光線を発射した。
アルティメット・インフィニティ「「プリキュア・サイクロン・ソーサー!!」」
しかし、二人が同時に展開した円盤はそれを防ぎきった。
アルティメット「ちっ、そう簡単におとなしくなる奴でもないか。こりゃ全力で行くしかねえな」
インフィニティ「そうね、言っとくけどいちいち周り気にしてられないからね。まぁ、仮にもこれまで戦ってこれたんだし、なんとかはなるでしょ」
アルティメット「そうだな、しっかりついてこいよ」
アルティメット・インフィニティ「「後輩!!」」
私達に背を向けながらも「先輩」はそう声を掛けてくれた。
ウッド「はい!!」
フレイム「了解しました!!」
ラウンド「見ててください!!」
ウォーター「私達のがんばりを!!」
ライト・ウイング「戦いの中で得た絆と力を!!」
ゴールド「ありがとうございます。先輩!!」
私達も「後輩」として力強く返事をした。
そんな私達の返事を聞いた先輩達は、デストロイに向かって名乗った。
アルティメット「闇を裂く究極の閃光 キュア・アルティメット!!」
インフィニティ「絶望を払う無限への翼 キュア・インフィニティ」
インフィニティ「天に轟け!!」
アルティメット「大地に響け!! 人よ聞け!!」
アルティメット・インフィニティ「「ゴッデスプリキュア!!」」
そして私達も負けじと名乗った。
ゴールド「金に輝く明日への希望 キュア・ゴールド!!」
フレイム「真っ赤に燃える心の炎 キュア・フレイム!!」
ウッド「新緑の映える聖なる木々 キュア・ウッド!!」
ラウンド「黄色に染まった恵みの大地 キュア・ラウンド!!」
ウォーター「命育む青き結晶 キュア・ウォーター!!」
ライト・ウイング「清らかな光溢れる正義の翼 ライト・ウイング」
「「「「「絆の生んだ奇跡の力!! エンジェルプリキュア!!」」」」」
ゴールド「終焉のデストロイ!! この世界を終わりになんて絶対にさせない!!」
続く