エンジェルプリキュア   作:k-suke

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第4話 きれいでいたい

 

朝起きて、窓の外を見ると土砂降りの雨だった。

 

 

私は雨が嫌いだ。

 

濡れるし、泥が跳ねる。結果辺り一面汚くなる。

 

どうしてみんなこんな当たり前のことが分からないんだろう。

 

きれいにしていれば、それを見る人だって気分がよくなる。

 

毎日の学校の清掃だって、一時間ぐらいかけてもっと徹底的にやればいいのに。

 

それができないなら、専門の清掃業者に頼んでもいいぐらいだ。

 

ため息をつきながら、私こと土門(どもん) (めぐみ)は通学路を歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

夢園中学校 下駄箱

 

 

 

案の定、学校の下駄箱前はぞっとする光景になっていた。

 

床は泥だらけの雨のしずくだらけ。傘立ての傘は乱雑に入っており、どれが誰のか分からないぐらいである。

 

目眩がしつつも、私は気合いを振り絞って怒鳴りつけた。

 

 

 

恵「いい加減にしなさい、みんな!! もっと泥を落として校舎に入る!!   傘は丁寧に順序よく入れる!! 濡れ方がひどい人はちゃんと拭く!! 乱雑に入れれば傘が壊れるし、とり違いもするでしょう!!  廊下が水浸しなら、足も滑らせたりするでしょう!!  どうしてこんな簡単なことが分からないの!!」

 

 

 

私は本当にイライラしていた。

 

雨が降るたび何度も言っているはずなのだが、未だに改善しない。

 

物覚えが悪いのか、やる気がないのかいい加減にしてほしい。

 

 

男子生徒A「また始まったぜ」

 

男子生徒B「よくやるよ、鬼の美化委員」

 

女子生徒A「あれだけやられるとね」

 

女子生徒B「いい加減こっちもうっとうしいよ」

 

 

恵「そこ、言いたいことがあればはっきり言う!!」

 

 

男子生徒C「はいはい、やりゃあいんでしょ」

 

男子生徒D「ったく、うるせえうるせえ」

 

 

 

 

 

 

 

明日香「うっわー、遅れる遅れる。早く教室に行かないと。一時間目だったよね、英語のレポート提出。早くしないと」

 

心美「まったく、あんたが宿題忘れてただけでしょ」

 

聖歌「今からで間に合うんですか?」

 

明日香「間に合わせる!!」

 

 

そんな時、後ろからばたばたとやかましいのが来た。

 

大慌てで傘立てに傘を挿したせいで、傘立てが倒れ、一面に傘がぶちまけられた。

 

恵「金城さん! ちゃんと元通りにしてから入りなさい!!」

 

 

そのまま校舎内に入ろうとする彼女の肩をつかんで引き止めた。

 

明日香「お願い、見逃して。宿題が〜」

 

彼女は実に情けない声を出して懇願してきた。

 

しかし、そんなことは知らない。

 

 

恵「それは、あなたの都合です。このままではみんなに不都合があります!! ほらきちんとして」

 

明日香「ふえ〜ん。そんな〜」

 

心美「あきらめな、明日香」

 

聖歌「私たちも手伝いますから」

 

 

泣き言を言う彼女に傘立てと傘を元に戻させ、ついでに泥だらけの体を拭かせたところで、始業のベルが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

2-A内 一時間目終了後

 

 

 

 

明日香「うう、ペナルティで追加のレポートなんてついてない」

 

心美「自業自得。あきらめな」

 

明日香「でも土門さんもひどいよ〜」

 

心美「あの人が雨の日に機嫌悪いって知ってるでしょ」

 

 

 

男子生徒「ったく。美化委員だからって口うるさすぎるぜ、あの女」

 

女子生徒「いつも一人だし、あの金城さんが友達になろうとしないってよっぽどよね」

 

 

 

 

 

教室の中で、ひそひそと私の悪口を言っているのが聞こえる。

 

私は嫌われ者なのだ。

 

でも構わない。きれいな空間に私は居たいのだ。

 

それが叶えば誰に何を言われてもいい。

 

にもかかわらず、最近不穏なことが起きている。

 

近所で時々爆発みたいなことがあるのだ。

 

幸いこれといった被害は出ていないが、なにかが壊れたりしたら、当然ゴミがまた出る。

 

またあんな空間が私の周りにできると思うと気が気でなかった。

 

 

 

 

 

私の家は、母子家庭である。

 

父は子供の頃に交通事故で死んでいるのだった。

 

元々両親は共働きだったのだが、決して寂しい思いをしたことなどなかった。

 

父はきれい好きで、家の中はもちろん、町内の清掃ボランティアを率先するような人だった。

 

身の回りをきれいにしておくことは、人としてきれいでいれることにつながるとは、父の口癖だったからだ。

 

わたしはそんな父が好きで、よく一緒に掃除をしては父にほめられたものだった。

 

しかし、父の会社が倒産してしまい、それ以降父は新しい仕事を探そうともせず酒に溺れた。

 

家の中にゴミは出し放題の散らかし放題になった。

 

おまけに、娘である私に「ゴミを触ったような汚い手で触るな」と、ことあるごとに言ってきた。

 

私は父の出したゴミの掃除をしていただけなのだが、酔った頭では何もかもが気にくわなかったのだろう。

 

子供の頃の私は、掃除を続ければ、いつか元の父に戻ってくれるのではと思っていた。

 

 

しかし願いもむなしく、そんな日々が続いたある日、酔ったまま外に出た父は車にはねられて死んだ。

 

あまりに情けなかった。

 

父に裏切られたという思いとゴミをちらかしたりする人間はろくなことにならないといった考えが私の中にできてしまい、それが今の潔癖性につながっているのだろう。

 

 

 

と私は思う。

 

 

 

 

 

 

昼休み 食堂

 

 

 

心美「雨はさっき止んだけど、屋上は無理だからここになっちゃうね」

 

聖歌「端の方ですし、とりあえず人目にはつかないんじゃないでしょうか」

 

明日香「グルト、鞄からは出ないで、できるだけ小声で話しようね」

 

グルト「分かったグル。じゃあ聖歌、これから事情を話すグル」

 

聖歌「あ、はい。これのことですよね」

 

聖歌はそう言って、左手の緑色のキュアブレスを見せた。

 

聖歌「まだ信じられません。こんなもので変身できるなんて」

 

グルト「はは、みーんな同じことを言うグル」

 

心美「確かに、にわかにゃ信じられないよね」

 

明日香「でも、信じない訳にいかないんだよね」

 

グルト「グル。それでなんだけれども…」

 

 

 

 

ここのところ続く妙な出来事。

 

そこで私は何か事情を知っていそうな人間に話を聞こうと考えている。

 

幸いというかなんと言うか、その人物は同じクラスだった。

 

昼休みならじっくり話ができると思ったのだが、すぐに食堂に移動してしまい、おまけに食堂の端の方に居たものだから探すのには苦労した。

 

恵「金城さん、ちょっといいかしら」

 

明日香「げっ、土門さん」

 

彼女は何かを慌てて鞄に隠したようだった。

 

恵「聞きたいことがあるのだけれど、一緒に来てもらえないかしら。食事は済んでいるみたいだし」

 

明日香「え、あ、う…。は、はい」

 

恵「火口さん、木戸さん、ごめんなさいね」

 

そう言って私は、彼女を連れ出した。

 

 

 

明日香と恵が食堂を出た後、グルトが鞄から顔を出した。

 

グルト「あの子今朝の子グル?」

 

心美「そ、美化委員の土門 恵。潔癖性でね、汚いのが大っ嫌いなの」

 

聖歌「きれい好き程度ならいいのですが、汗をかくのも嫌いだというぐらいですから、少し行き過ぎですね」

 

グルト「ふーむ、もしあいつらをみたら気絶するかもしれないグル」

 

聖歌「あいつらって、さっきの話のブラックムーンですか?」

 

グルト「え、あ、そっそうだグル」

 

心美「ま、確かに。って、明日香を追っかけないと」

 

聖歌「あ、はい」

 

 

そう言って、二人も食堂を出て行った。

 

 

 

 

 

 

図書館裏の林

 

 

林の中は雨で地面がぬかるんでいた

 

泥が気持ち悪かったが、今は我慢だ。

 

明日香「あの〜土門さん。こんなところまで来ていったいなにを」

 

恵「安心しなさい、別に暴力を振るったりしないから。ただ聞きたいことがあるの、連休明けぐらいにこの場所であったことについて」

 

震えながらおずおずと質問してきた彼女に対して私はそう伝えた。

 

 

 

私は知りたいのである。

 

ゴールデンウィークが明けて以来、二三回爆発らしき物が起きている。にもかかわらず、何かが壊れたとかけがをした人はいない。

 

それはいいが、あまりにも不思議なのだ。

 

その中でも一番不思議なのが彼女、金城 明日香である。

 

学校の中でも友達マニアの有名人であり、そんな彼女がその爆発が起きた近くで目撃されたというのである。

 

一度だけならまだしも、すべての現場の近くで、である。

 

だからその爆発が最初に起きた場所、図書館の裏で話を聞きたいのだ。

 

 

 

との旨を彼女に伝えた。

 

知らないなら知らないでいい。

 

別に親しい仲でもないが、彼女のことはそこそこ知っているつもりだ。

 

少なくとも、物を壊したり人を傷つけたりするような人ではないはずである、が。

 

 

 

明日香「え〜、あの〜、その〜、それは〜」

 

泳いでいる目、吹き出している冷や汗、明らかに何かを隠しているような態度に、私自身とまどった。

 

恵「何、まさかあなたが何かしてるんじゃないでしょうね!!」

 

思わず口調が荒くなる。

 

 

明日香「べ、別に私は何もやってない、わけでもない、こともなくて、でもつまり〜、なんというか〜、だから〜」

 

冷や汗をハンカチで拭きながらの彼女のこの返事に私のイライラは頂点に達しようとしていた。

 

恵「あなたね! ふざけるのもいい加減に…」 一歩踏み出して怒鳴り付けようとしたとき異変が起きた。

 

 

踏み出した先が妙に手応えがなかった。

 

地面を踏み抜いたようだった。

 

恵「えっ!?」

 

次の瞬間、落とし穴に落ちたような感覚が私を襲った。

 

 

 

 

 

図書館裏の林 一分後

 

 

心美「明日香も土門さんもどこいったんだろう?」

 

聖歌「こっちの方に来たのは確かなのですが。すいません、トリムを捕まえるのに手間取ってしまって」

 

グルト「明日香〜、どこグル〜?」

 

グルトが鞄から顔を出して明日香を呼んだが

 

心美「あんたは声出さないで。土門さんに聞かれたら面倒なんだから」

 

そう言って心美は、グルトを持ってきた明日香の鞄に押し込んだ。

 

 

聖歌「ん、心美さんあれ」

 

聖歌が指差した先には、ハンカチが落ちていた。

 

それを心美が拾い上げるとふと呟いた。

 

心美「これ明日香のだ、名前書いてある」

 

聖歌「え、明日香さんはどこにも」

 

 

グルト「グル…グル…」

 

二人して周りを見回していると鞄から顔を出したグルトが何かに震えていた。

 

 

 

心美「どうしたの?」

 

グルト「この感じ、ブラックムーングル。近くにいるグル」

 

心美「え、でもどこに?」

 

心美と聖歌は改めて周りを見回すが何も居なかった。

 

聖歌「上にも、周りにもいませんから…」

 

心美「まさか…」

 

 

二人は自分の足下を眺めた。

 

レッドビー(人間体)「そうですよ、あのお嬢さんは地の底です」

 

赤いスーツの男がジッパーのような裂け目から出てきた。

 

心美「ブラックムーン!!」

 

聖歌「この人が?」

 

レッドビー(人間体)「私は、あなたたちを倒して、エンジェルクリスタルをいただきましょう」

 

そういうとレッドビーは怪人体に変身した。

 

心美「あたしたちも」

 

聖歌「はい」

 

二人はキュアブレスを構えた。

 

心美・聖歌「「ブリキュアバワー、サモンアップ!!」」

 

『サモン、フレイム(ウッド)パワー』

 

 

フレイム「真っ赤に燃える心の炎 キュア・フレイム!!」

 

ウッド「新緑の映える聖なる木々 キュア・ウッド!!」

 

変身すると、二人はレッドビーに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

???

 

 

(土門さん、土門さん)

 

誰かが私を呼んでいる。

 

今の自分が、どんな状況なのかよくわかっていなかったが、それだけは分かった。

 

はっきりしだした意識の中で、徐々に思い出してきた。

 

そうだ、私は図書館裏の林で金城さんと話をしていて、それから…。

 

 

明日香「土門さん! あぁよかった。気がついて」

 

私の名前を呼んでいたのは彼女だった。

 

恵「金城さん…、ここはいったい、それに私たちは…」

 

周りをみて気づいたが、真っ暗だった。

 

いったいどれぐらい気絶していたのかと慌てて時計をみると、まだ昼休みも終わっていない時間だった。

 

恵「いったい何があったの、まだお昼なのにこの暗さって…」

 

明日香「わかんない、急に足下が抜けたみたいで」

 

思い出した。あの時急に足下がなくなったみたいな感覚があった。

 

 

 

地盤沈下でもしたのだろうか。

 

そう思っていると、下品なだみ声が響いてきた。

 

???「シシシ…、うまくいった。ブリキュアをバラバラにする作戦。まずはお前からだ。」

 

恵「誰!? 変な声出して」

 

明日香「これって、まさか」

 

???「この土の中は俺のテリトリーだ。この更待月のアオケラのな」

 

明日香「ブラックムーン!! この青いゴキブリめ。あなたの仕業ね」

 

アオケラ「ゴキブリじゃねぇ!! ケラだ!! 俺をゴキブリ呼ばわりした罪は重いぞ」

 

信じられなかった。目の前でクラスメイトが、青い虫のような怪物と会話している。

 

私は、腰が抜けて立てないというのに。

 

明日香「土門さん。少し下がってて」

 

恵「えっ?」

 

何をするつもりなのだろう。もしかして、私を逃がすためにあの化け物に?

 

恵「だめよ、そんなことしたら…」

 

 

明日香「ブリキュアバワー、サモンアップ!!」

 

『サモン、ゴールドパワー』

 

 

 

わたしの言葉などおかまいなしに、彼女は何か呪文のようなものを叫んでいた。

 

と思ったら、オレンジ色の光が発せられた。

 

暗闇の中で急に光ったせいで、あまりのまぶしさに私は目をつぶってしまった。

 

目を開けた時、金城さんは妙なオレンジのゴスロリ衣装に身を包んでいた。

 

 

ゴールド「金に輝く明日への希望 キュア・ゴールド!!」

 

 

 

ゴールド「いっくぞー!!」

 

アオケラ「一人でなーにができる。じっくりいたぶってやる」

 

そう言うと、アオケラは地面に潜ってしまった。

 

ゴールド「えっ、どこに」

 

アオケラ「こっちだ」

 

 

ゴールドの足下から、飛び出して彼女を殴った。

 

ゴールド「わー!!」

 

 

そして、ゴールドが吹き飛ぶとアオケラは横の壁にまた潜っていった。

 

ゴールド「まっまた」

 

アオケラ「シシシ…、こっちだこっち」

 

ゴールド「こっこれじゃ攻撃できない、どこに居るのかもわからないんじゃ」

 

 

 

私は目の前で起こっていることを見て、これは夢だと思っていた。

 

なんせ、クラスメイトが変身して怪物と戦っているのだ。

 

こんな漫画みたいなことが現実にある訳がない。

 

しかし、そう思っている間にも確実に彼女は追いつめられている。

 

土の中を自在に出入りする怪物の居場所がつかめないでいるのだ。

 

このままでは間違いなくやられてしまう。

 

彼女を助けたい。金城さんは確かに多少抜けているところはある。

 

しかし間違いなく私より遥かにみんなから好かれている。

 

こんなところで死んでいいはずがない。

 

私は、足に気合いを入れて立ち上がった。

 

 

 

恵「金城さん!! 上よ」

 

化け物が出てこようとしている場所を私は大声で伝えた。

 

ゴールド「えっ、はっ」

 

彼女はその声に反応して、攻撃をかわした。

 

アオケラ「きっさま、よけいなまねを」

 

攻撃をかわされた怪物は、アドバイスをした私を怒りの目でにらんできた。

 

アオケラ「まず貴様からだ」

 

そう言って、怪物は私に飛びかかってきた。

 

ゴールド「危ない!!」

 

そう言って、彼女は私のほうに飛んできて、勢いで一緒に転がっていった。

 

おかげで私は無事だったが、彼女は私をかばって、攻撃を受けた。

 

 

恵「金城さん!! どうしてわたしを?」

 

ゴールド「だって土門さんいつもがんばってるもの。知ってるよ、毎日ゴミ掃除してるの。ほかのクラスじゃみんながなかなかゴミ箱のゴミを持っていこうとしないから、すぐいっぱいになっちゃうのに、毎日持っていってくれてるからみんな感謝してるよ。嫌がることをやってくれてるって」

 

恵「それは…」

 

ただゴミが近くにあるのが嫌なだけだった。それをそんな風にとらえてくれていたなんて。

 

うれしかった。心の底からこの子を守りたいと思ったその時だった。

 

 

恵「えっ、ホタル?」

 

ゴールド「それは!!」

 

光の玉のような物が私の右手に止まった。

 

と思うと、黄色いブレスレットになった。

 

アオケラ「なんだ〜?」

 

恵「何これ?」

 

 

ゴールド「土門さんもプリキュアなんだよ、私たちと一緒の」

 

恵「プリキュア…」

 

私は立ち上がると、全部を理解したように叫んだ。

 

 

恵「ブリキュアバワー、サモンアップ!!」

 

『サモン、ラウンドパワー』

 

腕輪から声といっしょ出た黄色い光に私は包まれていた。

 

 

ラウンド「黄色に染まった恵みの大地 キュア・ラウンド!!」

 

 

 

アオケラ「プリキュア〜、一体何人居るんだ〜」

 

ラウンド「よくも好き放題やってくれたわね、絶対許さない!!」

 

アオケラ「へっ、言ってろ」

 

そう言うと、再びアオケラは地面に潜っていった。

 

 

ゴールド「また潜った!!」

 

ラウンド「大丈夫、どこからくるかは見当がつくから」

 

そういうと、私は軽く周りを見渡した。

 

 

次の瞬間、足下から何かが飛び出したが、私は小さなバックステップでかわし、すかさずパンチを叩き込んだ。

 

アオケラ「何〜!? なんでわかった?」

 

アオケラはまともにパンチの入った胸を苦しそうに押さえていた。

 

ラウンド「ワンパターンなのよ、注意をしてなさそうなところから攻撃してくるから」

 

私は、そう指摘した。

 

 

アオケラ「くっそ〜」

 

そう言って、また潜ろうとしていた。

 

ラウンド「させない!!」

 

私は左の手のひらに力を集中させた。すると砂で薄いフリスビーのような物ができた。

 

ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!」

 

そのフリスビーをアオケラに向けて投げつけた。

 

 

アオケラは両手でガードしようとしたがその判断は間違っていた。

 

アオケラ「ギャ〜!!」

 

このフリスビーは丸鋸のように、アオケラの両腕を切り飛ばした。

 

 

ゴールド「うっ、ちょっとこの光景は…」

 

私も自分でやってて思った、グロいと。

 

でも、その気持ちを押さえ込んでゴールドに攻撃を促した。

 

ラウンド「今よ!!」

 

ゴールド「あ、うん」

 

ゴールドはジャンプすると、オレンジの光に包まれた。

 

ゴールド「プリキュア・ゴールド・ブレイカー!」

 

 

彼女の攻撃が直撃し、アオケラは吹き飛んだ。

 

 

 

アオケラ「プリキュアめ〜」

 

その言葉を最後に、灰となって消えた。

 

 

ゴールド「やったよ」

 

ラウンド「ええ。はやく地上に出ましょう」

 

そう言って、私たちは思いっきりジャンプした。

 

 

 

 

 

図書館裏の林

 

 

レッドビー「食らいなさい、蜂爆弾」

 

レッドビーは赤黒い光弾を連射していた。

 

 

二人のプリキュアは必死にかわしていたが、疲れが見え始めていた。

 

フレイム「くっそ、近寄れない」

 

ウッド「技を出そうにも、力が集中できません」

 

 

レッドビー「その程度ですか、では地の底の仲間のところに行きなさい」

 

そう小馬鹿にするように言うと、レッドビーは一回り大きな光弾を発射しようとした。

 

しかし、次の瞬間。

 

ゴールド・ラウンド「「やーっ」」

 

地面の下、ちょうどレッドビーの足下から二人のプリキュアが飛び出してきた。

 

レッドビー「うわっ、な、なんだ?」

 

予想外の出来事にバランスを崩したレッドビーはそのまま倒れてしまった。

 

 

ゴールド「フレイム! ウッド!」

 

フレイム・ウッド「「ゴールド!」」

 

お互いに気づいたプリキュアは声を掛け合った。

 

 

フレイム「無事だったのね」

 

ウッド「それに、そちらの人は…」

 

ゴールド「キュア・ラウンド。新しい仲間だよ」

 

レッドビー「四人目のプリキュアですと!? えぇいまとめて吹き飛びなさい!!」

 

レッドビーは立ち上がると、一際大きな光弾を発射した。

 

 

 

ラウンド「させない、この人たちは絶対守る」

 

三人の前に飛び出し、私は再び技を使った。

 

ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!」

 

そのフリスビーを前にかざして、光弾を防いだ。

 

 

爆発が起きたが、気合いで踏ん張って耐えた。

 

レッドビー「な!?」

 

自分の攻撃を防がれたことに、蜂怪人は驚き隙だらけになった。

 

 

ラウンド「今よ!!」

 

フレイム「ウッド!!」

 

ウッド「はい!!」

 

フレイムとウッドが私の後ろから飛び出した。

 

 

ウッド「プリキュア・アイビィ・チェーン!」

 

蔦の鎖が、蜂怪人を拘束した。

 

そして次の瞬間。

 

フレイム「プリキュア・フレア・ボンバー!」

 

火の玉が飛んできて直撃した。

 

レッドビー「ぐ、ぐ」

 

蜂怪人は完全に、グロッキーだった。

 

 

 

ゴールド「これで終わりだよ」

 

ゴールドがそう言って攻撃しようとしたとき、異変が起きた。

 

 

 

???「「「「「ゾーゾーゾー」」」」」

 

 

どこからともなく全身を緑のタイツで覆ったような人が次々現れたのだ。

 

 

そればかりか、そいつらは蜂怪人を庇い、私たちに襲いかかってきた。

 

 

 

フレイム「何こいつら!?」

 

ラウンド「どきなさい!!」

 

私たちは片っ端から、パンチやキックを浴びせて倒していった。

 

幸いこいつらはそんなに強くなかったが、すべてを倒した頃には、蜂怪人は既にいなかった。

 

 

 

 

変身を解いて、私は改めて自己紹介をしようとしたところチャイムが鳴り響いた。

 

 

 

明日香「あっ昼休み終わっちゃった」

 

聖歌「すいません、私、次教室移動なので。お先に」

 

 

心美「私たちも戻ろう」

 

恵「そうね、放課後にじっくり話を聞かせてちょうだい」

 

授業に遅れると思い、慌てていた私は気づいていなかった。

 

自分が大変なことになっているということに。

 

 

 

 

 

 

2-A

 

 

恵「すいません遅れました」

 

教師「土門さん? 何ですそれは?」

 

恵「えっ? あっ?」

 

男子生徒A「うわ、鬼の美化委員が泥だらけだ」

 

そう、地面の下に落とされた私は泥だらけになっていたのだ。

 

 

男子生徒B「きったねーな。ちゃんと落としてこいよ」

 

からかうような、皮肉げな野次が飛んだ。

 

しかし、毅然として私は言った。

 

 

恵「汚くないわ。これはね私の勲章よ。大切な友達を守れたという、ね」

 

 

 

 

 

 

 

次元撃滅軍団ブラックムーンアジト 次元戦艦ツキノワ内

 

 

 

 

レッドビー「フライシア!!あなたはいったいどういうつもりですか!!」

 

フライシア「助けてもらって、ごあいさつだな。あのままだとやられてたよ、お前」

 

フライシアは手の中で、種のような物を転がしながら答えた。

 

レッドビー「なめないでもらいましょう。私はまだ戦えた! 邪魔をしておいてよくも」

 

 

レッドビーがフライシアに吠えていた。が

 

モスブラック「レッドビー、貴様はしばらく休養しろ」

 

モスブラックがレッドビーに諭すように言った。

 

 

レッドビー「モスブラック様。い、いったいなぜ!?」

 

それを聞きレッドビーは慌てた。

 

 

フライシア「四回も連続で失敗するからだろ、次はあたしにやれってさ」

 

レッドビー「ぐっ」

 

レッドビーは歯噛みしながら、フライシアをにらみつけた。

 

 

フライシア「ま、ゆっくり休んでな」

 

レッドビーをあざ笑うように彼女は言った。

 

その光景を見て、モスブラックは尋ねた。

 

モスブラック「フライシア、何か作戦があるのか」

 

フライシア「ああ、面白そーなのがな」

 

 

 

続く

 

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