エンジェルプリキュア   作:k-suke

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第5話 5人目を探せ

 

夢園中学校 屋上

 

 

 

明日香「恵さんが仲間になってくれたことで、プリキュアも4人。後一人なれるんだよね。どんな人がなるのかな〜」

 

屋上で昼食をとりながらも、私は最後のプリキュアがどんな人なのか楽しみだった。

 

また新しい友達が増えると思っていたからだ。

 

恵「プリキュア…ね。あれから一週間未だに信じられないわね」

 

恵さんは、右手の黄色いキュアブレスを見ながらそう言った。

 

聖歌「それ、わたしも同じこと言いました」

 

聖歌ちゃんが笑いながら言った。

 

最近彼女もよく笑うようになったと思う。

 

 

心美「でもさぁ、プリキュアが5人ってなんでなのかなぁ?」

 

明日香「まぁ、切りのいい数字だし?」

 

 

心美ちゃんの疑問に私はそう返した。

 

恵「でも、どうせ後一人なれるなら、頼りにできる人だといいわよね」

 

聖歌「頼りになる…、うちのクラスの委員長みたいな人ですか?」

 

心美「あぁ水野(みずの) (あきら)さんだっけ、生徒会役員の」

 

そう、彼女 水野 晶さんはこの学校でも一番信頼されている人だ。

 

あまりに立派すぎて、話しかけるのも躊躇するぐらいである。

 

 

グルト「そんな人なら、一度頼んでみてもいいかもしれないグル。プリキュアが認めた人も、ブリキュアになれるはずグル」

 

グルトの言葉に私は驚いた。

 

明日香「えっ、そうなの?」

 

 

 

 

 

 

夢園中学校 生徒会室

 

 

 

生徒会室で一人の女生徒が黙々と事務作業をしていた。

 

彼女は確かに役員だが、ただの庶務であり、それほど仕事はないはずである。

 

ただ、会長や副会長が彼女に任せた方が確実だ、期待していると言った理由で彼女に頼んだ仕事を片付けているのである。

 

そんな彼女の名前は、水野 晶。2-Bのクラス委員長でもある。

 

晶「大分片付いたわね。みんなが私に期待してくれている。信じてくれている。その期待や、信頼を裏切らないようにしないと」

 

一人つぶやき、大きくため息をつくと、彼女はまた作業を続けた。

 

 

しばらく続けていくと、一枚の書類が目に入った。

 

それを手に取って彼女はまた大きくため息をついた。

 

その書類には、優先的に片付けてほしい事案が四つも書いてあったからだ。

 

一つ目は、体育委員長からの女子柔道部の柔道場の使用について。

 

先日の学校対抗試合で創部間もない夢園中学女子柔道部が勝ったため、かねてからの約束通り使用許可を与えないとならなくなったが、うちの学校の柔道場に男子と女子が同時に使えるほどの広さはなく、そう簡単に増設もできない。

 

結果、男女で現在女子が使っている体育館と数日置きで交代の形にならざるをえない。男子のほうはしぶしぶながら了解を取り付けてあるので、その旨を女子の部長である火口 心美と話し合わなければならなかった。

 

 

二つ目は、風紀委員長からのとある生徒の素行について。

 

2年生になると同時に、転入してきた女生徒が居るのだが、なんでも前の学校の時に万引きで補導されたのだという。

 

現在そんなことがないかどうか生徒会で確認してほしいと言うのだ。

 

その女生徒、木戸 聖歌は同じクラスであり、幸いある程度のことは分かっている。もの静かに本を読んでいるような人間であり、友人の気配がほとんどないのを心配していたぐらいが、最近はそんなこともなさそうである。

 

少なくとも、素行不良とは縁遠い人間であることだけは確かだ。

 

それらをまとめた報告書を作成する必要があった。

 

 

三つ目が、美化委員長からのある委員への指導について。

 

とても仕事に熱心な委員がいる。それはいいのだが、多少やり過ぎであり一般生徒からの評判はお世辞にもいいとは言えず、結果として美化委員への風当たりも強くなっている。

 

何度か注意はしているが、正論で武装してくるから始末に負えない。

 

なんとかしてくれとのことだった。

 

そんなことは自分たちでやってほしかったのだが、泣きつかれたのでは断れず、結局その委員 土門 恵を近いうちに呼び出して指導すると返事をしてしまった。

 

 

そして、一番頭の痛い四つ目。

 

一般生徒からの目安箱への投書であった。

 

最近校内のあちこちで妙な爆発のような音がする。

 

派手なスーツの変な人物がうろついている。

 

それだけならまだしも、同じ生徒がその近辺で目撃されているというのだ。

 

その生徒、金城 明日香はよかれ悪しかれ、学校で一、二を争う有名人であり、彼女がなにか妙なことに関わっているのではとの噂が立っているのだ。

 

しかしあくまで噂の領域を出ない話であり、直接本人に聞くべきか否かは悩みどころである。どう処理した物か悩んでいたのだ。

 

 

 

また大きく息を吐き出すと、ふと思い出したことがあった。

 

晶「そういえば、木戸さんが最近一緒にいるのって金城さんや火口さんよね。土門さんとも話しているみたいだし…」

 

そう、ゴールデンウイーク終了後しばらくしてから、木戸さんは少し明るくなり、クラスメイトともそれなりに話すようになった。

 

友達ができたらしい、と聞いたときはいい傾向だと思ったものだ。

 

ただ、そのできた友達がよそのクラスというのは、クラス委員長としては少し寂しかったが。

 

晶「ちょうどいいわ、この四つまとめて片付けましょう」

 

そうつぶやくと、晶はこの四人を生徒会室に呼び出す準備をするため立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

次元撃滅軍団ブラックムーンアジト 次元戦艦ツキノワ内

 

 

 

フライシア「おーい、準備はできたか? 三日月のチャドカリン」

 

フライシアが、茶色のヤドカリのような怪物に声をかけた。

 

チャドカリン「あの〜、ホントに私が行くんですか?」

 

どこか自信無さげに、おずおずとチャドカリンは尋ねた。

 

 

レッドビー「フライシア、そんなやつに何ができると思っているのですか」

 

レッドビーもまた見下すように告げると、チャドカリンも自虐的に言った。

 

チャドカリン「そうですよ。私には大した力なんてないですよ〜」

 

 

フライシア「いんや、あたしにゃわかる。お前はできるやつだ。自信をもて」

 

そう言ってフライシアはチャドカリンの肩を叩いて励ました。

 

フライシア「おーら、出撃だ」

 

チャドカリン「あ、はぁ」

 

自信なさげに言うと、チャドカリンはジッパーのような裂け目を作り、フライシアとともにその中へと消えた。

 

 

 

 

 

 

放課後 夢園中学校 生徒会室

 

 

 

明日香「うわ〜、ここ入るの初めて」

 

私は初めて生徒会室に入ったので、物珍しさにきょろきょろしていた。

 

明日香「あれ、窓際に置いてあるやつ。エンジェルクリスタルみたい」

 

心美「あんまりきょろきょろしない、恥ずかしい」

 

心美ちゃんは女子柔道部の部長だけあり、何度か生徒会室に出入りしたことがあり、堂々とした物だった。

 

美化委員である恵さんも彼女の性格もあるだろうが落ち着いている。

 

 

聖歌ちゃんはといえば

 

聖歌「なんで私たちがこんなところに呼ばれたんでしょう。まさかあのことが…」

 

少しびくびくしていた。

 

 

恵「わからないわ。とにかく話という物を聞きましょう」

 

すると、水野さんが入ってきた。

 

晶「ごめんなさい。放課後に呼び出したりして。ここには私たちしかいないし、ちょっと大事な話をしたいの」

 

明日香「は、はい」

 

いったいなんだろうと思っていると話が始まった。

 

 

晶「えーっと、まずは火口さん。女子柔道部の柔道場の使用の件についてなのですが…」

 

心美「え、はあ」

 

 

 

 

 

晶「じゃあもう一度ね。火口さん、女子柔道部の柔道場の使用は男子と一週間交代で。準備や片付けもあるから来週の月曜日からの一週間が女子、次の週が男子でいいわね。それと、出入りの管理は厳重にお願いします。昔は柔道場に勝手に出入りして、さぼりの場所にしていた生徒もいたらしいから」

 

心美「はい、それでいいです。部員には連絡しておきます」

 

晶「土門さん、さっきも言った通り職務に忠実なのはいいけれど、あまり強行にやりすぎると反発をうけて逆にやり辛くなるわ。もう少し融通を効かせてあげて」

 

恵「わかりました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 

晶「わかってくれてありがとう」

 

晶は、ほっと一息ついていた。

 

この二人との話し合いや説得にはかなりの難航を予想していたにも関わらず、あっさり納得してくれたからだ。

 

 

晶「木戸さん。あなたの過去については、他言無用ということで風紀委員会に知らせておきます。嫌なことを思い出させてしまってごめんなさい。うちの風紀委員は素行不良に関しては敏感なの」

 

聖歌「いえ、もう大丈夫ですから。気にしないでください」

 

晶は聖歌の作り笑いでない笑顔を見て、心の底からほっとした。

 

 

 

 

明日香「あの〜」

 

私は、おずおずと手を挙げ尋ねた。

 

明日香「私は、いったい何の話があるんでしょうか?」

 

心美ちゃん、聖歌ちゃん、恵さんと話が進んでいった。

 

聖歌ちゃんの話は多少、いやかなりムカッときたが、心美ちゃんや恵さんを含めて、生徒会としての事務連絡だ。

 

だが、私とそんな話をする理由はないはずだ。

 

晶「あぁ、金城さん。そうね、あなたには話というほどのことではないのだけれど…」

 

 

 

 

私は、いや私たちは晶さんの話を聞いて、冷や汗でびっしょりになっていた。

 

恵さんに呼び出されたときは、なんやかんやでうやむやになったため、すっかり忘れてしまっていたことだ。

 

でも、昼休みのグルトとの会話を思い出し、意を決した。

 

明日香「あの〜水野さん。実はそのことでお願いがあるんですけど〜」

 

心美「ちょっ、ちょっと明日香!!」

 

心美ちゃんが慌てて止めようとした。が

 

明日香「下手に隠すと、ややっこしくなるよ。きちんと説明しよう」

 

私は開き直ることにした。

 

恵「そうね、ここまでくれば…ね」

 

聖歌「きっと分かってくれますよ」

 

恵さんと聖歌ちゃんも同意してくれた。

 

 

心美「はぁ〜、まぁしゃあないか」

 

心美ちゃんもあきらめたようにそう言った。

 

 

晶「なんの話なの、あなたたちみんな知っているの?」

 

明日香「はい、信じられないかもしれないけど、これから話すことは全部ホントです。実は…」

 

私は、説明した。

 

 

グルトのこと、ブラックムーンのこと、エンジェルクリスタルのこと、そして私たちがプリキュアだと言うこと、後一人プリキュアになれるから、水野さんに手伝ってほしいということを。

 

 

そうすると

 

 

 

 

晶「…どこの漫画の話なの」

 

水野さんはこめかみを押さえながらそう言った。

 

明日香「最初に言った通り、ホントの話です」

 

心美「そうなんです」

 

聖歌「信じられないのは分かります。でも」

 

恵「私が保証します。信じてください」

 

みんなも真剣な顔で後押ししてくれた。

 

 

晶「でもねぇ…」

 

水野さんは明らかに疑惑の目で私たちを見てくる。

 

グルト「本当のことグル。明日香たちを信じてほしいグル」

 

グルトが鞄の中から声を出した。

 

明日香「あ、そうです。この子が今話したグルトです」

 

そう言って私はグルトを机の上に置いた。

 

グルトは水野さんの前まで歩いていって、挨拶した。

 

グルト「初めましてグル。グルはフェアリーゾーンの王子のグルトだグル」

 

グルトを見て水野さんは完全に引きつっていた。

 

晶「き、金城さん。校内にぬいぐるみを持ち込んではいけませんよ。それにしても、最近のおもちゃの技術はすごいのね…」

 

心美「あたしも、同じようなこと思ったなぁ」

 

 

 

少し時間をおくと、水野さんも冷静になったらしい。

 

晶「あなたたちの話は信じましょう。ですか、簡単に協力するとは言えません」

 

明日香「え〜なんでですか〜?」

 

信じてくれたなら、協力してくれると思った私はつい声に出してしまった。

 

 

聖歌「仕方ありませんよ、クラス委員長に生徒会役員。水野さんは忙しいんですから」

 

恵「もともとボランティアみたいなものだし、強制はできないし諦めましょう」

 

聖歌ちゃんと恵ちゃんの言い分に反論できなかったため

 

明日香「あ〜あ、がっかり」

 

私はがっくりと肩を落とした。

 

 

心美「仕方ないってこと」

 

心美ちゃんがポンポンと私の肩を叩いた。

 

 

晶「ごめんなさいね。 アラ?」

 

その時窓から何か入ってきた。

 

晶「モンシロチョウかしら? こんな時期に二匹も珍しいわね」

 

グルト「トリムグル!! しかも二匹も!!」

 

確かにトリム、二匹同時なんて初めてだ。

 

明日香「これが、トリムです。これを捕まえてっと」

 

私は一匹を捕まえて、グルトに渡した。

 

グルト「また一つ、夢に近づいたグル」

 

グルトはエンジェルクリスタルにトリムを入れた。

 

恵「じゃあ、もう一匹は私が」

 

そう言って恵さんが手を伸ばすと、急にトリムが窓の外に飛んでいった。

 

 

心美「ちょっと、どこ行っちゃうのよ」

 

聖歌「追いかけましょう」

 

私たちは、生徒会室から大慌てで出て行った。

 

 

晶「ちょっと、待ちなさい。まだ話は」

 

水野さんもそう言って後ろから追いかけてきた。

 

 

 

 

 

夢園中学 校庭

 

 

明日香「どこ行っちゃったんだろう」

 

慌てて校庭まで出てきたけどトリムを見失ってしまった。

 

聖歌「空を飛ばれたら追いつけませんね」

 

聖歌ちゃんも息を切らしていた。

 

心美「でもどうしたんだろ。部活やってる人も誰もいない」

 

明日香「え?」

 

言われてみれば、校庭が静まり返っている。

 

 

???「あたしがさあ、全員に出てってもらったのさ」

 

突然どこからか、柄の悪そうな女の人の声がした。

 

 

明日香「だれ? どこ?」

 

恵「あ、あそこ。時計塔の上」

 

恵さんが、校庭にある時計塔の上を指差した。

 

そこには、青い色をした蝶の怪物がトリムを手に腰掛けていた。

 

心美「あんたも、ブラックムーンなの?」

 

フライシア「ああ。今じゃあブラックムーンで、新月のフライシアなんて呼ばれてるよ」

 

フライシアと名乗った彼女はさらに続けた。

 

フライシア「で、今じゃあてめえらがプリキュアなんて呼ばれてる訳だ」

 

グルト「あ、あいつは」

 

グルトがフライシアを指差して言った。

 

 

明日香「どうしたの、グルト」

 

グルト「あ、あいつグル!! あいつがフェアリーゾーンを無茶苦茶にしたやつグル!!」

 

聖歌「え、あの人が!?」

 

明日香「どうして? フェアリーゾーンを、グルトの国にそんなことしたの」

 

私は、怒りを抑えられず尋ねた。

フライシア「ん〜フェアリーゾーンを? まぁそんなこともあったかもな。でもまぁ、そいつの自業自得ってやつじゃないかねぇ」

 

 

その言葉に私の怒りは頂点に達した。

 

明日香「いい加減にして!! 友達を悲しませたあなたを絶対許さない!!」

 

私たちは、キュアブレスを構えた。

 

フライシア「あれ、お前ひょっとして? あぁ、そういうことね」

 

フライシアは何かに納得していたようだが、そんなことはどうでもよかった。

 

明日香・心美・聖歌・恵「「「「プリキュアバワー、サモンアップ!!」」」」

 

『サモン、ゴールドパワー』

『サモン、フレイムパワー』

『サモン、ウッドパワー』

『サモン、ラウンドパワー』

 

四色の光に包まれて私たちは変身した。

 

ゴールド「金に輝く明日への希望 キュア・ゴールド!!」

 

フレイム「真っ赤に燃える心の炎 キュア・フレイム!!」

 

ウッド「新緑の映える聖なる木々 キュア・ウッド!!」

 

ラウンド「黄色に染まった恵みの大地 キュア・ラウンド!!」

 

 

フライシア「へぇ〜、そんな姿か。じゃあちょっと遊ぼうか」

 

そう言うとフライシアは何か種のような物を出して地面にばらまいた。

 

すると、この間の全身を緑のタイツで覆ったような人が次々現れた。

 

フレイム「こ、これって?」

 

ラウンド「この前のやつらよ」

 

 

フライシア「あぁそうだ。あたし特製ゾーゾ草の種から作った雑兵ゾーゾ。かかれ!」

 

ゾーゾ「「「ゾー」」」

 

フライシアが指を鳴らすと一斉にゾーゾが襲いかかってきた。

 

ゴールド「いくよ、みんな。水野さんは離れてて」

 

晶「え、ええ」

 

そう水野さんに伝えると、私たちはゾーゾの大群に向かっていった。

 

ゾーゾの攻撃をかわし、隙をみては片っ端から攻撃を打ち込んでいった。

 

一体一体はあっさり倒れるが、いかんせん数が多すぎる。

 

しばらく戦い続け、息を切らしながらも、やっとのことで全部やっつけた。

 

 

 

フライシア「おーおー、そこそこやるじゃん。それじゃ本命と行こうか。来な!三日月のチャドカリン」

 

フライシアは、校門の方に声をかけた。

 

ウッド「本命?」

 

フレイム「まだ何かいるの?」

 

すると校門の方から一台のトラックが猛スピードで突っ込んできた。

 

ラウンド「トラック? なんで?」

 

すると、そのトラックがものすごい音のクラクションを鳴らし始めた。

 

 

 

ゴールド「キャアア!!」

 

フレイム「う、うるさい!!」

 

ウッド「み、耳が…」

 

 

耳がつぶれるかと思うほどの大きな音に、私たちは耳を押さえてのたうち回った。

 

 

晶「どうしたのかしら、確かにうるさいけどそこまでじゃ…」

 

見ると、水野さんもうるさそうにはしていたが、それほどでもなさそうだった。

 

 

ゴールド「な、なんで…」

 

フライシア「プリキュアになって、身体能力が増してるからな。当然耳や目も良くなってるんだよ。うるさくってしょうがねえだろ」

 

ラウンド「やってくれるわね…」

 

フライシア「それと、その妖精さんにもプレゼントだ。さっきここの生徒にくれてやったのと同じやつをな」

 

そう言うと、トラックが水野さんとグルトの方へ向かっていった。

 

フレイム「!! 危ない!」

 

しかし、彼女たちの目の前でターンするとそのまま動きを止めた。と思ったら、排気ガスを大量に出し始めた。

 

 

 

晶「ケホケホ」

 

 

水野さんも苦しそうだが、グルトはそれ以上だった。

 

グルト「ぐるじーい、死んでしまいそうグル〜」

 

ゴールド「グルト!!」

 

フライシア「その妖精さんには、そういう汚染物質が一番効くだろ」

 

 

ウッド「プ、プリキュア・アイビィ・チェーン!」

 

放っては置けないとウッドが、蔦の鎖でトラックを絡めとり、ひっくり返した。

 

 

フレイム「プリキュア・フレア・ボンバー!」

 

続けて火の玉が飛んで行ってトラックに直撃し、大爆発とともに吹っ飛ばした。

 

 

そして

 

ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!」

 

水野さんたちは砂の盾で咄嗟にラウンドが守ってくれた。

 

 

チャドカリン「いてて…」

 

爆発したトラックから茶色のヤドカリの怪物が転がり出てきた。

 

ゴールド「あいつがトラックを運転してたんだ」

 

フライシア「チャドカリン、しっかりしろ。そいつらを叩きのめせ」

 

チャドカリン「無茶言わないでください。乗ってる乗り物を強くすることしかできないんですよ。生身で戦える訳が…」

 

フライシア「なっ、馬鹿が!!」

 

 

フレイム「いいこと聞いた」

 

ラウンド「チャンスね!」

 

フレイムとラウンドがチャドカリンに飛びかかっていった。

 

チャドカリン「ひえーお助けー」

 

チャドカリンはそんな二人の攻撃から悲鳴を上げて必死に逃げ惑った。

 

 

ウッド「なんか、情けないですね」

 

その姿を見てウッドが呆れ返ったように呟いた。

 

 

フライシア「しょうがない、おいこれ食いな」

 

フライシアも呆れるようにそう言うと、さっきの種をチャドカリンに投げ渡した。

 

 

チャドカリン「これは? ええいままよ」

 

チャドカリンがその種を食べると異変が起きた。

 

チャドカリン「うおー、パワーアーップ!!」

 

フレイム「うそでしょ!?」

 

ゴールド「大きくなっちゃった!?」

 

そう、2メートルほどだったはずのチャドカリンが、二階建ての家ほどの大きさまで巨大化したのだ。

 

 

ラウンド「こんなことって…」

 

チャドカリン「いくぞープリキュア!!」

 

チャドカリンは大きく腕を振りかぶってパンチを繰り出してきた。

 

ゴールド「うわー!!」

 

私たちはぎりぎりよけたけど、校庭には大きな穴ができた。

 

チャドカリン「ほらほら、どうした?」

 

次々くる攻撃を私たちは必死にかわすも、校庭は穴だらけになっていった。

 

 

 

 

晶「あ、あ…」

 

目の前の光景に、晶は言葉も出なかった。

 

グルト「お願いだグル。プリキュアになって明日香たちを助けて欲しいグル!」

 

グルトが、晶にもう一度プリキュアになるよう頼み込んだ。

 

だが

 

晶「あ、あんな怪物と戦えって言うの?」

 

晶は完全におびえていた。

 

 

グルト「でもこのままじゃ…、グル?」

 

晶の方に蛍のような光が飛んできた。

 

晶「蛍…?」

 

グルト「プリキュアの光グル!  やっぱり明日香たちが認めた君が五人目のプリキュアグル」

 

その言葉に晶はさっきの彼女たちの言葉を思い出した。

 

 

聖歌(仕方ありませんよ)

 

恵(強制はできないし諦めましょう)

 

明日香(あ〜あ、がっかり)

 

心美(仕方ないってこと)

 

 

晶「みんなに諦められたくない、やっぱり私がやらないといけないのね…」

 

晶は諦めたように光に手を伸ばした。

 

 

 

しかし次の瞬間、光は晶を拒絶するようにあさっての方に飛んでいってしまった。

 

晶「え!?」

 

グルト「そ、そんなグル!?」

 

 

フライシア「馬鹿が、そうそう簡単にプリキュアを増やされてたまるか」

 

 

 

いつのまにか、グルトたちの後ろにフライシアがいた。

 

大きくなったチャドカリンに気をとられて、すっかり忘れていた。

 

ゴールド「危ない!!」

 

私は思わず叫んでいた。

 

 

フライシア「もう遅い! はぁっ!」

 

フライシアはグルトを大きく蹴飛ばした。

 

 

グルト「グル!」

 

地面に叩き付けられた先で、透明のピラミッドがグルトからこぼれ落ちた。

 

グルトが拾い上げる前に、フライシアがそれを拾ってしまった。

 

 

ウッド「エンジェルクリスタルが」

 

フレイム「盗られた!?」

 

フライシア「これで用事は済んだ。チャドカリン、適当なところで引き上げな」

 

それだけ言い置くとフライシアは姿を消した。

 

 

ラウンド「ああっ!」

 

チャドカリン「よそ見をするな、プリキュア。せっかく強くなれたんだ、貴様らを全員倒して、出世してやる」

 

ゴールド「いい加減にして!!」

 

自分たちのことしか考えないブラックムーンに、私は完全に頭に来た。

 

ゴールド「はぁぁっ」

 

ジャンプして、チャドカリンにキックを食らわす。

 

フレイム・ラウンド「「やーっ」」

 

引き続き、フレイムとラウンドもパンチ攻撃を加える。

 

ウッド「最後は私です」

 

ウッドが両足で跳び蹴りを当てて、チャドカリンを大きく吹き飛ばした。

 

チャドカリン「こ、こんな。うぐっ、なんだ?」

 

 

ダメージを受けたところが痛むのかチャドカリンが胸を押さえてうずくまった。

 

ゴールド「とどめだよ!!」

 

 

私はジャンプすると、オレンジの光に包まれ

 

ゴールド「プリキュア・ゴールド・ブレイカー!」

 

必殺技が直撃した。

 

 

チャドカリン「そんな〜、私はもっとできるのに〜」

 

その言葉を最後にチャドカリンは灰になった。

 

 

 

穴だらけになった校庭は元に戻った、でも。

 

明日香「なんとか勝ったけど」

 

聖歌「エンジェルクリスタル、盗られちゃいました」

 

私たちは落ち込んでいた。

 

 

グルト「大丈夫グル! エンジェルクリスタルはここにあるグル!」

 

恵「えっ? じゃあさっきのは?」

 

グルト「生徒会室にあった置物グル。ついうっかり持ってきちゃったグル」

 

心美「焦らさないでよ、もう」

 

私たちは、ほっとして笑い合った。

 

 

 

晶「わかったでしょ、私はプリキュアなんかになれない。あなたたちのことは誰にも言わないから安心しなさい」

 

そう言って水野さんは、荷物を取りに戻っていった。

 

その後ろ姿を見ながら私たちは疑問に思った。

 

明日香「なんで、変身できなかったんだろう」

 

聖歌「水野さんなら、性格的にも問題はないと思うのですが」

 

心美「なにか、ほかにプリキュアになれる条件があるってこと?」

 

恵「グルト、そこのところはどうなの?」

 

グルト「うーん、分かんないグル」

 

 

 

 

 

 

次元撃滅軍団ブラックムーンアジト 次元戦艦ツキノワ内

 

 

 

フライシア「ちっ、偽物をつかませるとは。あいつらもけっこうやるな」

 

置物を放り捨てながら、フライシアが舌打ちとともに吐き捨てるように言った。

 

レッドビー「あなたも失敗しましたか、ざまあないですね」

 

フライシア「あぁん? てめえよりゃましだろ」

 

モスブラック「やめんか二人とも」

 

モスブラックがそんな二人を諌めて会話に割って入った。

 

モスブラック「レッドビー貴様の謹慎を解く。次は貴様が行け。ただし誰の手も借りず、目的を果たすまで帰還は許さん」

 

レッドビー「それは…」

 

レッドビーはモスブラックの冷たい視線に思わず息をのんだ。

 

 

レッドビー「分かりました。命に代えても必ず」

 

モスブラック「うむ」

 

そうして話が一段落つくとレッドビーとモスブラックは別々に戦艦の奥へと消えていき、ただ一人残されたフライシアがため息とともにつぶやいた。

 

 

 

フライシア「偽物をつかまされたふりも楽じゃねえな。ま、エンジェルクリスタルをあいつらに渡すわけにはいかねえ以上、仕方ねえんだが」

 

 

 

続く

 

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