次元撃滅軍団ブラックムーンアジト 次元戦艦ツキノワ内 牢獄
心美「こんのー!!」
心美は渾身の体当たりを檻に食らわしたものの、通用するわけもなく跳ね返された。
心美「はあはあ、やっぱりだめだ」
さっきから心美は幾度となく檻に体当たりをしているが、当たり前のようにびくともせず、疲れ果て大の字に倒れてしまった。
聖歌「携帯の電波も届かないみたいです」
聖歌はと言えば、なんとか明日香に連絡をとろうとしているが携帯は圏外だった。何度もリダイアルするも結果は同じだった。
恵「どこか壁の薄いところでもあればいいけど…」
恵は床や壁をこつこつと叩いて、壁の薄そうなところを探していた。
晶「この鍵さえ開けば…、でも鍵穴もない電子ロック…」
晶はなんとか鍵を開ける方法がないか模索していた。
全員初めから無駄であろうことは分かっていた。
しかし、このままでは自分たちの町がフェアリーゾーンの様に破壊されてしまうかも知れない。
そう思うと、無駄と知りつつも諦めるわけにはいかなかった。
そんな時間がどれだけ過ぎただろうか。
さすがに全員疲弊してきていた。
聖歌「やっぱり駄目なんでしょうか…」
聖歌が弱音を吐きだしていた。
心美「バッカ、ここで諦めてどうするの」
恵「心美の言う通り。ここで諦めたらアイツらの思うつぼだよ」
心美が聖歌を励まし、恵もまた諦めていなかった。
晶「まだ終わった訳じゃあないわ。立ち上がりましょう何度でも」
晶が聖歌の手を取って訴える。
それを聞いて聖歌の目にも希望がともった。
聖歌「うん、私頑張る」
その時、牢屋の前に突然ジッパーが開いた。
恵「あれは!?」
彼女たちに緊張が走った。
このジッパーはブラックムーンの怪人たちの移動用だからだ。
何が飛び出してくるかと全員身構えた。
しかし、そこから飛び出して来た物は彼女たちの予想外の物だった。
ゴールド「うわーっ!」
なんとキュア・ゴールドがジッパーから飛び出して来たのだ。
最も飛び出した勢いで廊下の端まで転がっていったが。
ゴールド「いたた、ここは…」
飛び出して来たゴールドを見て心美たちは驚きの声を上げた。
心美・聖歌・恵・晶「「「「ゴールド!?」」」」
ゴールド「みんな!」
飛び出した先がみんなのところに本当につながっていたのは驚いたが、牢の中のみんなを見て全員無事だったことが分かり、私はほっとした。
ゴールド「すぐ助けるよ」
そう言うと牢屋に近づき、力の限り檻を引っ張った。
すると鈍い音とともに檻が壊れた。
心美「やった!」
恵「ゴールド、ありがとう」
ゴールド「みんな大丈夫だった? それとこれ」
そう言って私はキュアブレスを差し出した。
聖歌「それは! 一体どうやって?」
取られたはずのキュアブレス。どうやって取り返したのか聖歌ちゃんが尋ねてきた。
ゴールド「フライシアから取り返したの。さあ早く今のうちに」
晶「気にはなるけど、話は後だわ。急ぎましょう、誰かがくる前に」
全員キュアブレスを受け取ると変身した。
心美・聖歌・恵・晶「「「「プリキュアバワー、サモンアップ!!」」」」」
『サモン、フレイムパワー』
『サモン、ウッドパワー』
『サモン、ラウンドパワー』
『サモン、ウォーターパワー』
フレイム「真っ赤に燃える心の炎 キュア・フレイム!!」
ウッド「新緑の映える聖なる木々 キュア・ウッド!!」
ラウンド「黄色に染まった恵みの大地 キュア・ラウンド!!」
ウォーター「命育む青き結晶 キュア・ウォーター!!」
四色の光が発せられ、変身が完了した。
ゴールド「みんな、脱出だよ」
逃げ出そうとしたその時
ゾーゾ「「「ゾーゾーゾー」」」
ラウンド「ゾーゾ!」
ゾーゾの群れが出現した。
フレイム「そう簡単にゃ逃がしてくれないか」
ウッド「戦うしかなさそうです」
ラウンド「おまけに何体か怪人もいるわ」
見ると虫のような怪人が何体かゾーゾの群れに混じっていた。
ウォーター「いくわよ、みんな」
私たちは脱出しようと一丸となって進むも、ひっきりなしに襲いくるゾーゾや怪人に阻まれてほとんど進めなかった。
フレイム「えーい、プリキュア・フレア・ボンバー!」
ゾーゾ「「「ゾー!!!」」」
フレイムの必殺技でゾーゾの大半が吹き飛ぶも、またすぐに次が来て行く手を阻んで来た。
フレイム「くっそ、一体どれだけいるのよ!」
戦いながら、フレイムがこぼしていた。
ウッド「そ、そもそもここが敵の本拠地なんですから、周りが敵だらけなのは当然です」
ウッドも肩で息をしていた。息つく間もなく戦っているのだから当然だろう。
ラウンド「おまけに、どこに行けば出口なんだか」
ラウンドの言う通りだった。
必死に戦ってがむしゃらに突き進んで来たものの、もともとどっちに行けばいいのかまるで分からない。
全員バラバラにならなかっただけでも奇跡だろう。
ウォーター「しかし、立ち止まる訳にはいきません」
ウォーターの言うこともこれまた最もだった。
今立ち止まってしまえば確実にやられる。
方向が分からなくなっても行くしかなかった。
ゴールド「大丈夫だよ、私たちは一人じゃない。みんなで一緒なら」
私はそう信じていた。
フレイム「ふっ、ゴールドらしい」
フレイムが微笑みながらそう言った。
ウッド「はい、でもその通りです」
ウォーター「まだ終わっていない以上、諦められないわ」
ラウンド「とことんやってみましょうか」
そうしてうなずき合うと、私たちは気合いを入れて立ち向かっていった。
その内少しずつゾーゾや怪人の数が減り、前に進めるようになっていった。
ラウンド「大分、敵も少なくなってきたわね」
息を切らしながらも、どこか少しほっとしたようにラウンドが言った。
フレイム「早く先に行こう。ここ一本道だし」
そして、先に進んでいくと行き止まりになった。
ゴールド「行き止まり!?」
その時後ろの通路にシャッターが降りて戻れなくなってしまった。
ウォーター「これはまさか!?」
ウッド「ここに誘い込まれたということでしょうか」
すると行き止まりだった方の壁が開き、その先にあったものは、まるで闘牛場のような所だった。
ラウンド「ここって、テレビなんかで見たような」
ウォーター「ええ、闘技場といったところかしら」
私たちが戸惑っていると突然低い声が響いた。
モスブラック「プリキュアよく来たな。ここは貴様たちの処刑場だ」
ウッド「しょ、処刑場!?」
あまりに物騒な言葉にウッドが震えた。
フレイム「誰? どっから?」
辺りを見回していると、闘技場の真ん中にジッパーが開いた。
その中から出て来たのは、その貫禄ある中年男性の様なフォルムの黒い蛾の怪物だった。
その怪物からは今まで戦ってきた怪物とはまるで違う威圧感があった。
ゴールド「あ、あなたは?」
そう尋ねながら私は自分が汗でびっしょりになっているのがわかった。
モスブラック「わしは、次元撃滅軍団ブラックムーン首領、満月のモスブラック」
その低い声を聞いただけで息苦しさを感じた。
モスブラック「貴様らのお陰で、次元最強のブラックムーンには多くの犠牲がでた。これ以上貴様らをのさばらせておくと、わしの沽券に関わる」
ウォーター「だから、私たちを自分の手で倒す、と」
ウォーターの声もどこかしら震えているようだった。
モスブラック「ヒューマンゾーンの者たちも、物わかりはいいようだな。光栄に思え、最強の存在と戦えることを」
そう言うとモスブラックは大きく羽を広げた。
その羽から巻き起こされる風に私たちは身動きが取れなかった。
ウッド「す、すごい風圧です」
モスブラック「どうした、そんな物かプリキュア。わしはただ羽を伸ばしているだけだぞ」
モスブラックの声には余裕綽々といった感じがあった。
ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!」
ラウンドがひときわ大きな砂の盾を展開して風を防いでくれた。
ラウンド「みんな、今よ」
ラウンドが声を掛けると、ウォーターが攻撃を仕掛けた。
ウォーター「これでどう? プリキュア・ウォーター・バレット!!」
左手から大量に発射された水の弾丸はモスブラックの風に負けずに向かっていった。が
モスブラック「ふん、この程度痛くもかゆくもない」
直撃したにも関わらず、まったくダメージになっていなかった。
ウォーター「そんな!?」
フレイム「ならこれで、プリキュア・フレア・ボンバー!」
次はフレイムの必殺技だ。
モスブラック「はあっ」
でも、モスブラックは気合いとともに繰り出したパンチで火の玉を跳ね返してしまった。
フレイム「うそ!?」
ゴールド「全然きいてない!!」
そのあまりの強さにフレイムも、私も驚いていた。
そんな私たちにモスブラックは勝ち誇るように言った。
モスブラック「愚か者どもが。お前たちに、わしを倒せる力などないわ」
そしてそのままビーチボールぐらいの黒いボールのようなものを胸の前に作り出した。
モスブラック「思い知るがいい、力の差というものを。ブラックボール」
そのボールを私たちに向けて発射した。
猛スピードで向かってくるボールはよける暇も与えず私たちに直撃し、私たちを吹き飛ばした。
ゴールド「キャアアア!!!」
吹き飛ばされた私たちは大ダメージを受けていてまともに立ち上がれなかった。
フレイム「す、すごい破壊力」
フレイムもなんとか立ち上がろうとしていたが、ダメージは深刻なようだ。
ラウンド「でも、やらなきゃ」
ラウンドが気合いを入れて立ち上がった。
ウッド「私たちの町を滅ぼさせたりしません」
ウッドも膝をつきながらもなんとか立ち上がる。
ウォーター「まだ、終わりじゃない。何度でもやるわ。諦めない」
そう私たちはまだ絶望していなかった。が
モスブラック「貴様らの希望など無に等しい。挨拶程度の攻撃で倒れ臥すのだからな」
ゴールド「え?」
その言葉に私たちは頭が真っ白になった。
モスブラック「くらえ」
さっきの黒いボールが何発もしかもより大きくなったものが飛んで来た。
「「「「「きゃああああ!!!」」」」」
大きな爆発が何度も起こり、それに巻き込まれた私たちはなす術もなく大きく吹き飛ばされた。
明日香「う…あ…」
私たちは全員地面に倒れ臥してしまい、変身まで解除されてしまった。
なんとか全員生きていることが奇跡のように思えた。
モスブラック「わしの手加減もたいしたものだな。生かさず殺さず動けなくできるとは」
モスブラックは自信に満ちあふれた声で言った。
心美「な…んですって」
モスブラック「お前たちを始末するのは、すべてが終わってからだ。世界の守護者、伝説の戦士プリキュアが、自分の世界を滅び行く様を見届ける。これ以上の屈辱、絶望はあるまい」
聖歌「そ…ん…な」
恵「私たちを…ここに…つれてきたのは」
晶「そんな…ことの…ため」
私たちは息絶え絶えになりながら自分たちをもてあそんだ存在に怒りを燃やした。でも体が動かなかった。立ち上がれなかった。
モスブラック「所詮、わしに敵うものなどいない。ブラックムーンはこの力であらゆる世界を滅ぼすのだ」
そう言ってモスブラックは高らかに笑った。
明日香「ち…が…う」
モスブラック「ん?」
明日香「違うよ。 力は、滅ぼしたり、破壊するためじゃない。守るためのものだよ!」
私はそう言うとふらふらながらなんとか立ち上がった。
心美「そうだよ、本当に強い人は絶対に威張らない。力は人を傷つけるものじゃない。一番始めに柔道で習ったことだ」
心美ちゃんも立ち上がった。
聖歌「この町には、私の大切なものができました。絶対滅ぼさせません」
恵「嫌なものでも、大事な思い出があるんだ。守ってみせる」
晶「諦めないことは、あなたたちから教わったのよ」
みんな息を切らしながら立ち上がった。
モスブラック「ええい、しつこい奴らめ」
明日香「私たちは絶対負けない。ここに友達がいるから、ひとりじゃないから」
私がそう言うと、みんなのキュアブレスが輝きだした。
明日香「みんな、行くよ!」
心美「オッケー」
聖歌「はい」
恵「絶対負けない」
晶「ここが正念場というやつね」
私たちはキュアブレスを構えた。
明日香・心美・聖歌・恵・晶「「「「「プリキュアバワー、サモンアップ!!」」」」」
『サモン、ゴールドパワー』
『サモン、フレイムパワー』
『サモン、ウッドパワー』
『サモン、ラウンドパワー』
『サモン、ウォーターパワー』
私たちはオレンジ、赤、緑、黄色、青の五色の光に包まれて変身した。
ゴールド「金に輝く明日への希望 キュア・ゴールド!!」
フレイム「真っ赤に燃える心の炎 キュア・フレイム!!」
ウッド「新緑の映える聖なる木々 キュア・ウッド!!」
ラウンド「黄色に染まった恵みの大地 キュア・ラウンド!!」
ウォーター「命育む青き結晶 キュア・ウォーター!!」
「「「「「絆の生んだ奇跡の力!! エンジェルプリキュア!!」」」」」
モスブラック「こしゃくな小娘どもが。司令室聞こえるか! やれ、ツキノワを大気圏に突入させろ。攻撃を開始するのだ」
ウッド「そんなことさせません!! プリキュア・アイビィ・チェーン!」
鎖がモスブラックを絡めとった。
モスブラック「ふん、これが何だ」
モスブラックはそう言うと鎖を力任せに引っ張り、逆にウッドが引きずられていった。
ウッド「わっわっわっ」
フレイム「ウッド!!」
フレイムがウッド後ろから必死に引っ張って支えた。
フレイム「くっ、こんの…」
モスブラック「おのれ…」
なんとかモスブラックと綱引きの状態になり、モスブラックの動きが止まった。
次の瞬間、モスブラックが羽を広げてきた。
ラウンド「プリキュア・サンド・ソーサー!」
しかし、ラウンドの投げた砂の丸鋸が、風を起こす前に羽を切り裂いた。
ウォーター「プリキュア・ウォーター・バレット!!」
続けて、大量に発射された水の弾丸はモスブラックの足下に着弾し、砂煙が上がった。
モスブラック「ええい、どこまでも」
モスブラックが舌打ちでもしそうな口調でそう言った。
モスブラックが視界を奪われている間に私は大ジャンプした。
ゴールド「プリキュア・ゴールド・ブレイカー!!」
私はオレンジのオーラを纏った必殺技をモスブラックに直撃させた。
モスブラック「ぐぅぅぅ!!」
爆発とともに、モスブラックは大きく吹き飛び膝をついた。
ゴールド「よし、行ける!!」
モスブラック「これで勝ったつもりか、甘いわ」
するとモスブラックは種のようなものを取り出した。
ゴールド「それは!?」
見覚えがあった。あれを食べると…。
モスブラック「貴様らには絶望を与えてやると言っただろ」
みるみるうちにモスブラック7、8メートルぐらいに大きくなった。
フレイム「じょ、上等じゃない」
ラウンド「余計に気合いが入るってものだわ」
フレイムもラウンドも精一杯強がっているようだった。
モスブラック「強がるな、声が震えているぞ。それにヒューマンゾーンも間もなく終わりだ。ツキノワは総攻撃を開始する」
モスブラックは余裕を崩さずに言った。
ウッド「でもまだ開始していないのでしょう」
ウォーター「そうよ。私たちは、最後まで絶対諦めない」
ゴールド「この世界は絶対守ってみせる!!」
私たちは決意も新たに立ち向かおうとした。
その時突如異変が起きた。
何かが爆発するような音がしたかと思うと、突然足下が大きく揺れだした。
ゴールド「な、なに? 地震!?」
ウォーター「いえ、違います。だってここは…」
モスブラック「どうした? なにが起きている?」
モスブラックも慌てているようだった。
すると放送が流れて来た。
『エンジンルームで異常発生!! ツキノワが空中でのバランスを崩しています。艦内エネルギーの制御がうまくいきません。このままではこの船が爆発します』
フレイム「ば、爆発!?」
ウッド「た、大変です!」
とんでもなく危ない状況にいることは分かった。
早く逃げないとまずい、でも。
モスブラック「ふん、ツキノワがこの程度で落ちるか。プリキュア、やはり貴様たちは腰抜けだな」
モスブラックはまるで慌てていなかった。
ラウンド「この状況で戦うの?」
モスブラック「当たり前だ。くらえブラックボール」
モスブラックが巨大化した分、さらに大きくなったボールを私たちに向けて発射した。
私たちは必死に躱したが、爆発に巻き込まれてしまう。
フレイム「さ、さすがに…効くな…」
ウッド「ハアハア…」
ラウンド「ぜえぜえ…」
ウォーター「ぐぅぅ…」
みんなもう限界だ。
モスブラック「プリキュア、これで最期だ」
ゴールド「終わりじゃない。命を大切にしない人なんかに絶対に負けない!!」
するとキュアブレスから金色の光が溢れ出て、私たちを包み込んだ。
モスブラック「な、なんだ? これは一体!?」
そのあまりのまぶしさにモスブラックは目を手で覆い、後ずさった。
フレイム「何これ?」
ウッド「すごく暖かい光です」
ラウンド「力がみなぎってくるよ」
ウォーター「戦えます私たち」
ゴールド「分かるよ、何をすればいいのか」
私たちは、キュアブレスを掲げた。
するとひときわ大きな光の玉が私たちの頭の上にできた。
ゴールド・フレイム・ウッド・ラウンド・ウォーター
「「「「「悪しきを砕く、絆の生んだ奇跡よ! プリキュア・エンジェリック・シンドローム!!」」」」」
その光の玉をモスブラックに向けて発射した。
モスブラック「こんなもの」
モスブラックはブラックボールを発射したが、光の玉の前にかき消されてしまった。
モスブラック「な、馬鹿な!! ぐわー!!!」
そのまま、光の玉はモスブラックに直撃し大爆発が起こった。
モスブラック「こんなことが…あるものか…わしは最強の…ブラックムーンの首領…、満月のモスブラックだぞ…。プリキュア…貴様らを…必ず…」
その言葉と共に一歩二歩と前に進んで私たちに向かってきたモスブラックだったが、ついに力尽きて灰になり消えた。
ウッド「や、やった…?」
フレイム「や、やったよ」
ラウンド「勝ったのね、私たち」
ウォーター「ええ、勝ったわ」
ゴールド「みんなで力を合わせて勝ったんだよ」
しかし、喜んでいる暇はなかった。
地鳴りのような音とともに足下がより大きく揺れだした。
天井からも破片がガラガラと落ちてくる。
ウォーター「い、いけない。早く逃げないと」
ゴールド「そうだった。喜んでいる場合じゃなかった」
フレイム「とりあえず来た道を引き返して…」
すると入って来た入り口が崩れて来た天井で埋まってしまった。
ウッド「そんな! これじゃ出られません」
ラウンド「どうすれば!!」
みんなパニック状態だった。すると私はあるものに気づいた。
モスブラックがいたところにジッパーのような裂け目があった。
ゴールド「みんなあそこから出られるかも」
それをみんなに教えたが
フレイム「どこにつながってるかも分かんないのに、危ないって」
フレイムが反対した。
ウッド「でもこのままじゃペチャンコです」
ラウンド「ほかに逃げ道も見当たらないし」
ウォーター「一か八かよ。いきましょう」
フレイム「ええい、どうなっても知らないよ」
半ばやけくそ気味に私たちは一斉にその裂け目に飛び込んだ。
次元撃滅軍団ブラックムーンアジト 次元戦艦ツキノワ内 エンジンルーム
エンジンルームの入り口は力任せにこじ開けられており、見張りや異常を察知し駆けつけたものが倒れ臥していた。室内の機械は大半がめちゃくちゃに壊されており、小さな爆発が断続的に起こっていた。
それを他人事のように見つめる存在がそこにいた。新月のフライシアだ。
彼女は汚れをはたき落とすように手を叩くと一人つぶやいた。
フライシア「これでブラックムーンも終わりだな。連中をここに招き入れた甲斐があったってもんだ」
次の瞬間大きな爆発が起こり、それが収まったときにはフライシアの姿はなかった。
夢園市
ニュースキャスター「臨時ニュースを申し上げます。本日午後三時頃、成層圏で謎の爆発が発生しました。現在詳しいことは調査中ですが、専門家によりますとおそらく隕石の類いが大気摩擦で爆発したものではないかとのことです。また天文台によると隕石の破片と思われるものが一部落下したとも報告されています。人的被害・物的被害は現在のところ報告されていません。」
明日香「う〜ん」
グルト(明日香、起きるグル。心美、聖歌、恵、晶)
グルトの声が聞こえた。
そう思うと、意識もはっきりしてきた。
明日香「こ、ここは?」
辺りを見回すと、通学路だった。
明日香「そっか、私は」
ブラックムーンと戦って、モスブラックを倒して…。
そうだみんなは!
慌てたが、みんな周りで気絶していた。
明日香「心美ちゃん、聖歌ちゃん、恵さん晶さんも」
心美「いたた…」
聖歌「わたしたちは…」
恵「助かったの?」
晶「そのようね」
みんな無事だった。
グルト「みんな大丈夫グル? 一体何があったグル?」
明日香「あ、そうだグルト。喜んで、実は…」
グルト「じゃあ、ブラックムーンは滅んだということグル?」
グルトはうれしそうに尋ねて来た。
明日香「そうだよ、もう何にも心配いらないんだよ」
心美「かなりギリギリだったけどね」
聖歌「でも私たちは勝ちました」
恵「悪い奴らがいないと思うと気分いいわ」
晶「みんなで苦労して目的を達せられて本当にいい気分だわ」
私たちは本当にいい気持ちだった。
さらにいいことは連続して続いた。
明日香「あっみて、トリムだよ。五匹もいる」
心美「じゃあ、一人一匹づつ」
私たちはトリムを捕まえてグルトのエンジェルクリスタルに入れた。
グルト「やったグル」
明日香「もう何の心配もないよね。あとはトリムを集めていけばいいだけだよ、うん」
晶「しかし…」
恵「どうかしたの晶」
晶さんはどこか不安げな顔をしていた。
晶「今日、学校をさぼったことをどう言い訳すればいいのかしら」
心美「あ!」
聖歌「そう言えば…」
恵「そうね…」
明日香「ど、どうしよう…」
そんな話をしながらも、私たちはブラックムーンを倒せた達成感でいっぱいだった。
これで、平和がくる。あとはグルトの国を元に戻せばいいだけだと。
この時の私たちはのんきにそう思っていた。
ある山の中腹
この山は夢園市からそう遠くない所にあり、ハイキングコースとしても人気があり、休日は家族連れでにぎわっている。
この山に爆発したツキノワの破片の一つが落下したのだが今日は平日だったため人も少なく、けが人もいなかった。しかし破片が落下した中腹で小さな崖崩れが起きた。
その崩れた崖から不思議な模様の刻まれた六角形の箱が転がり出て来た。
そしてその箱は風もないのにカタカタとひとりでに震え始めた。まるで中に何かが入っているかのように。
やがて、小さな石がぶつかるとともに醜悪な色の煙がその箱から溢れ出した…
続く