紅魔館の奴隷   作:ハクキョミ

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一個室での戦い

咲夜との一騎討ちは妖怪でさえ嫌がる。

彼女の実力と能力はとても厄介だからだ。

奴隷は約一年ほど紅魔館に居たが、咲夜が戦闘しているところは直接見たことない。

精々、噂で聞く程度だ。

彼女は時を止めると。

「人間とは久しぶりね。貴方程度なら能力もいらないわね」

「舐められたもんだな」

「一度逃げ出した時に完膚無きまでやられたのはどこの誰でしたっけ?」

奴隷は、解体部屋から逃げ出した時を思い出す。

あの時は解体包丁を持っていたが、咲夜にあっさりとやられてしまった。

「あれは…精神状態が不安定だったからだ。今ならお前に集中できる」

「そう、なら試してあげるわ」

咲夜がナイフを奴隷に向けて投げる。

奴隷は屈んで避け、咲夜に向けてナイフを振り下ろす。

咲夜に手首を捕まれ顔に届かない。

「掃除や家事面ではお前の方が上だが…力なら負けないぞ!」

奴隷も二十一歳の男だ。

咲夜が何歳かは知らないが、自分より身長が低い女性に負ける訳にはいかない。

ナイフの先が咲夜の鼻に触れるまで押し込む。

「そうね、力なら貴方の方が上かもしれないわ。でも…その他は私の方が上ね」

咲夜に腕を捻られ、さらに腹に蹴りをいれられる。

痛さにナイフを落としてしまった。

距離を置くも、元々狭い部屋なのですぐに接近をされる。

咲夜は奴隷上に覆いかぶさり、ナイフを振り下ろした。

奴隷はナイフの柄の部分を掴んで止める。

「貴方を…殺すわけにはいかないのよ!」

「あぁ!?知らねえよ!」

力で咲夜をはねのけ、追撃に拳で咲夜の腹を殴る。

「貴方を殺したら妹様がどうなるか分からない」

「それぐらいお前らでどうにかしろ!俺には関係ない!」

地面のナイフを拾い、咲夜に向けて振る。

咲夜もナイフを振り、二人の刃が触れ、部屋内に金属音が響く。

小さな刃で鍔迫り合いを行う。

「奴隷、行っておくわ。外より紅魔館(ここ)の中の方が安全よ」

「…信じると思うか?」

咲夜の言葉が引っかかったのだが、咲夜に突き飛ばされて背中に衝撃が走る。

「悪いけどお嬢様に紅茶を出さなければいけないの」

咲夜に二、三度ナイフの持ち手で殴られて意識が朦朧とする。

「くっ…そが!」

咲夜に頭突きをし、距離をとるために押し出す。

「紅茶淹れたきゃ負けろ!」

咲夜に殴りかかろうとするが、拳が届く前に咲夜の姿が消えた。

いつまにか背後にいた咲夜に後頭部を掴まれ壁に叩きつけられる。

そして、こちらを向かせたあとにナイフで壁ごと服を刺し、壁に縫い付けられる。

「(やばい、動けねぇ!?)」

奴隷がもがいているうちに、咲夜は大量のナイフを展開させる。

「少し眠りなさい。速符『ルミネスリコシェ』」

奴隷に大量のナイフが放たれる。

「(くっ、この刺さってるナイフが消えれば…)」

奴隷は覚悟を決め、服を破る勢いで足で壁を蹴った。

「ふんぬううううううう!」

力を込めた瞬間、今までの抵抗が無駄だったかのように壁から離れられた。

そして、先ほどまで迫っていたナイフも消えている。

「な、何故!?」

咲夜も戸惑っている。

「(よくわからんが、今しかない!)」

奴隷は咲夜に突撃した。

咲夜はナイフが消えたことにより反応が遅れ、奴隷の攻撃をモロにくらう。

「(しまっ…)」

全体重を乗せて床に咲夜の体を奴隷ごと叩きつけた。

咲夜は口から酸素を吐き出し、気を失った。

「はぁ、はぁ…。やったぞ!」

死闘に勝利して、思わず喜ぶ。

そして、自分が紅魔館から脱出する途中ということを思い出す。

「こうしちゃいられないな。フランドールがいつ気づくかもわからん、さっさと逃げないと…ん?」

咲夜のメイド服のポケットから鍵束が見える。

奴隷は鍵束を拾い、借りることにした。

「借りるぜメイド長」

奴隷は部屋の鍵を開けて扉を開く。

一度咲夜の方に振り返る。

「…頭は守った。死んじゃいねえだろ」

そう呟いて、奴隷は脱出ルートへ再び走る。

 

 

 

 

 

 

 

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