紅魔館の奴隷   作:ハクキョミ

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奴隷が見た衝撃

月の都の建物内に警報が響き渡った。

「襲撃!襲撃です!」

「相手は?」

「例の…純狐、へカーティア・ラピスラズリ、クラウンピース。さらに素性が不明の者の四人組です!」

「こんな時に…大賢者様に報告しろ!」

月人が各々部屋を出る。

皆、月を守るために。

 

 

へカーティアの拳一つで扉が開いた。

門番の月人は純狐とクラウンピースによって倒された。

「さっ、いくわよん」

奴隷が戸惑っているのを無視してどんどん奥へと進む。

月人が攻撃を仕掛けてきたが、純狐やへカーティアが全てなぎ倒していった。

「(こいつら強いな…。迂闊に手を出したら巻き込まれそうだ)」

圧倒的な強さに見惚れる。

第一、第二関門を突破し、広い場所に出た。

「…!」

三人の動きが止まる。

先に何かがいる。

「はぁ〜…あんたは地上に降りてないのね」

へカーティアはため息をつく。

へカーティアらの進軍を止めるとなると、かなりの実力者という事になる。

中央に男、その周囲には月人らが構えている。

「純狐さんあの男は一体?」

「…賢者よ」

その単語に、奴隷の表情が硬くなる。

賢者とは一度戦った。

その実力は体験している。

「ここから先は行かせん」

男が刀を抜く。

「気をつけて。あの刀に触れたら縛られる(・・・・)わよん」

「縛られる?」

「簡単に言うと、あらゆる行動が制限されるわけ。まぁ、それはただの月の最新兵器の能力なんだけどね」

「あいつにも程度の能力が?」

「…あいつは月夜見(・・・)。もっとも、あれは分身だけれど」

「何だって?」

月詠(・・)は就寝中かしらん」

「知る必要は無い」

月夜見は刀を高々と上げる。

それが合図だった。

「奴らを討ち取れ!」

月人らが一斉に攻撃を仕掛けてきた。

へカーティアと月夜見がぶつかる。

純狐とクラウンピースは、襲いかかる月人を対処する。

正直、奴隷が参戦できる状況じゃなかった。

恐らく参戦しても足を引っ張るだけ。

「(ここは素直に…証拠を探しに行こう)」

激戦を繰り広げている中、奴隷は戦場からそそくさと逃げた。

 

 

月人に見つからないように一つ一つの部屋を確認しながら進んでいると、モニター室らしき部屋に着いた。

「ここの見取り図でもあるかな?」

映し出されている映像を見る。

映像には、映し出されている扉の下に何の部屋か書かれている。

「(…大賢者様の部屋?賢者でも立ち入ることが出来ないと書かれているな。ここだな)」

部屋の場所を確認し、モニター室から出ようとする。

その時、一つの機械からガーガーと音を発しながら紙が出てきた。

報告書、と書かれている。

奴隷は報告書を手に取り確認する。

八雲紫と豊姫様が衝突。

浄化作戦が五割終了。

穢れた森を制圧。

など、幻想郷の危機的状況が書かれていた。

そして、一番下に書かれていたのは…。

紅い館の主を撃破。

奴隷はそれを見て目を丸くする。

「…レミリア?」

 

 

レミリアは倒れていた。

紅魔館の門はひしゃげている。

レミリアが横を見ると、咲夜も倒れていた。

「貴女は動きに無駄が多い。だからこそ読まれやすい」

頭上から言葉をかけられる。

見上げると、綿月依姫が無傷(・・)で立っていた。

レミリアと咲夜の攻撃、その全てが受け流された。

「不覚ね。地上では勝てると思ったのだけれど」

「地上だったら月人に勝てる、その考えが敗北を招いたのです」

依姫は刀を振り上げる。

レミリアの首を切り落とすために。

しかし…その手は止まる。

「お嬢様を殺すのなら、私を殺してからにしろ!」

紅魔館の門番、紅美鈴の拳が依姫の顔面に叩き込む。

「!」

依姫は豪快に吹っ飛んだ。

周囲の玉兎兵からは動揺の言葉が飛び交った。

だが、たったの一撃でやられるほど賢者は弱くはない。

「…次は貴女ですか。目の前で倒れている主を見て勝てると?」

「勝てないでしょう。でも、退けない戦いだってある」

美鈴は構える。

「龍は水を得て強くなる」

「背水の陣…か」

依姫も構える。

「お嬢様は死なせない」

美鈴の宣言と共に依姫は動いた。

 

 

大賢者室。

そこには大量の機密情報が保管されていた。

賢者の素性。

月の戦力。

月の兵器の設計図。

しかし、奴隷はこれらを無視する。

必要なのは証拠だ。

大量の機密情報と格闘していると、幻想郷にとって有利な情報が書かれている書類が出てきた。

「(これは…あの飛行物体の設計図!かなり詳しく書いてあるじゃないか!)」

設計図を傍らに置き、さらに探し出す。

「あー…違う…違う…これじゃ…ん?」

一枚の書類を掴む。

その内容を見て奴隷は驚いた。

「こ、これは…!?」

正しく証拠だった。

この書類の内容を月側に公開すれば、戦争が終わるかもしれない。

「ははっ、やったぞ!これを今すぐ…」

ここで奴隷は考えた。

ここにいるのは奴隷一人。

仮に今公開しても、直ぐに大賢者に消される可能性がある。

大賢者が偽物だと言えば、皆信じるはずだ。

「(大賢者が言い逃れできない環境が必要だな。一度幻想郷に戻る必要があるか)」

奴隷は証拠を大事に抱え、月の羽衣を掴む。

「確か、別の書類にこれの扱い方が載っていたな」

纏ってる間は心の失ってしまう効果があるらしい。

折角証拠を手に入れたのに、心を失っては元も子もない。

奴隷はその効果を程度の能力で消し去り、地球に向けて飛んでいった。

純狐、へカーティア、クラウンピースに感謝しつつ、奴隷は長い長い飛行時間を楽しむことになる。

 

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