紫からの推薦状
「
「えー、本当?何度目なのよこれで」
紅魔館内清掃をしていると、メイド妖精の話している声が自然と耳に入ってくる。
先ほどの話は、正邪革命から少し経った頃からメイド妖精達の話している。
物騒だと思いつつ、ベットメイキングを終える。
今ならホテルに勤められそうだ。
そんな時、奴隷はカップを一つ割ってしまった。
その瞬間、奴隷の背筋に冷たいものが走った。
「(嫌な予感がする…)」
奴隷は心で思った。
正邪を失った革命派は、針妙丸をリーダーとして活動していた。
針妙丸は対応に困ったが、例の情報提供者の助力もあって保っている。
針妙丸達は、再び革命を起こそうとしていた。
前回の正邪革命は、はっきり言ってずさんなものだったと針妙丸は思う。
スキマの程度の能力を手に入れたから敵無しと慢心していたのが敗因だ。
今回は策を練った。
しかし、行動に移すには時間がいる。
昼頃、奴隷は珍しく起きていたフランドールと遊び、疲れた体を癒しに椅子に座っていた。
被弾したところがジワリと痛む。
時計を見て、今日は料理担当だったことを思い出す。
咲夜には及ばないものの、奴隷の腕もそこそこだ。
厨房に入って食材を切っていると、背後から声をかけられた。
「あぁ、やっといたわ。ねぇ奴隷」
レミリアの声を聞いた瞬間、朝方に感じた予感が的中した気がした。
「な、何でしょう?」
奴隷はぎこちなく答えた。
「“残党狩り”…聞いたことあるわね?」
「ないな。今初めて聞いた」
「そう。じゃあ説明するわ」
レミリアの説明が始まった。
正邪革命以降、八雲紫は頻繁に起こっている事件に警戒心を抱いたらしい。
そこで、革命派の残党を徹底的に狩ることにした。
その役割を果たす役目を担う者が残党狩りとの事らしい。
「…で?俺に話す必要ある?それ」
「話は最後まで聞くものよ」
レミリアは一つ咳払いをして話す。
「そんな紫から推薦状を貰ってね。紅魔館から一人残党狩りに加わってほしいって言うのよ」
「へ、へぇ」
今すぐレミリアから離れたいと思った。
レミリアが次に何を言うのかが予想できる。
予想できてしまう。
「残党狩りに行きなさい奴隷。あら、逆らう気はないわよね?」
完璧すぎて、逆に引く。
奴隷は反論しようとしたが、立場が立場だ。
主と奴隷。
奴隷は重いため息を吐いた。
「…分かったよ」
奴隷の返答を聞き、満面の笑みでレミリアは自室に戻っていった。
一応、奴隷は正邪革命を止めた張本人の一人だ。
敵のことをよく知る者として、レミリアが奴隷を推薦したのは一理ある。
文句を言うのを止めて、奴隷は盛り付けを開始した。
これが最後の晩餐にならなければいいのだが、と奴隷は小さな声で呟いた。
…奴隷はレミリアの皿に福寿草をこっそり混ぜた。
後に、レミリアがどんな顔がするのか。
奴隷は少しワクワクしながら料理を運んだ。